2020年以降の代表作(日本映画) 


2020年 2021年 2022年 2023年
作品名  監督・スタッフ・出演者・コメント
2020年
「朝が来る」 
(監)(脚)河瀨直美
(製総)木下直哉( P)武部由美子(原)辻村深月(共脚)高橋泉(撮)月永雄太、榊原直記(編)ティナ・バス、渋谷陽一
(美)塩川節子(音)小瀬村晶、アン・トンタッ(主題歌)「アサトヒカリ」C&K(SD)ロマン・ディムニー
(出)永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、佐藤令旺、中嶋ひろ子、山下リオ、利重剛、青木崇高、山本浩司
<あらすじ>
子供ができず不妊治療を続けていた夫婦に養子縁組制度を使い子供が来ます。
それから6年後、幼稚園に通うようになった頃、謎の人物が現れ、子供を返して欲しいと・・・。その人物は誰なのか?
その子を産んだ女子中学生は、なぜその子を産むことになり、手放しを選択をしたのか?その後彼女はどうしたのか?
新しいい両親のパート、生んだ少女のパート、養子縁組施設のパート、生んだ後の少女のパート、それらが最後に一つに。
原作がしっかりしているせいか、河瀨直美作品では一番物語がしっかり完成された作品。
途中、縁組施設紹介部分でまずひと泣きし、その後も何度も泣かされました。
浅田美代子、蒔田彩珠、永作博美ら女性陣の演技が素晴らしい!男は完全に脇役の映画です。
やはり「世界の河瀨直美」です。途中、施設でドキュメンタリー・タッチに急変するあたりは、是枝風で味がありました。 
「あのこは貴族」 
(監)(脚)岨手由貴子
( P)西ヶ谷寿一、西川朝子、宮本綾(原)山内マリコ(撮)佐々木靖之(美)安宅紀史(衣)大森茂雄(編)堀善介(音)渡邊琢磨
(出)門脇麦、高良健吾、水原希子、山下リオ、石橋静可、山中崇、佐戸井けん太、銀粉蝶、高橋ひとみ、津嘉山正種、篠原ゆき子
<あらすじ>
医者ばかりのお嬢様家庭に育ち世間知らずの華子は、周囲がどんどん結婚する中、見合いで幸一郎と知り合い婚約。
しかし、バイオリニストの友人から幸一郎には恋人がいることを知らされます。
その恋人、美紀と会った華子は、もう彼とは合わないと言われ、予定通り結婚することにします。
ところが、幸一郎は近い将来、オジサンの後継者として政治家の道に進むことを知らされます。 
東京に生きていても、それぞれは引かれた路線から出ることはなく、その範囲で人と出会い、付き合い、結婚する。
そこからはみ出すと、そこには大きなストレスが生じるが、そうしなければ同じ道を歩むだけの人生に陥ってしまうだけ。
女性はとくにその中で既定の路線から外れることが困難であり、お互いが足を引っ張ることになりかねない。
だからこそ、お互いに協力しなければ・・・まさにフェミニズムの映画。4人女性たちの未来に幸あれ!と祈りたくなりました。
思えば、昔、そんな貴族のお嬢様に惚れたことがあったけど、付き合わなくてよかった・・・。
門脇、水原の魅力はもちろん、山下、石橋と4人の女優さんは大好きです!彼女たちの未来にも幸あれ!
ラストに石橋静河が演奏する会場は、軽井沢で撮影されたドラマ「カルテット」の店ですよね!
「アルプススタンドのはしの方」  
(監)(編)城定秀夫
(製)久保和明(企)直井卓俊(原)藪博晶(脚)奥村徹也
(撮)村橋佳伸(主題歌)The Peggies
(出)小野莉奈、平井亜門、西本まりん、中村守里、黒木ひかり、目次立樹、平井珠生、山川琉生 
高校野球夏の大会のアルプススタンドのはしっこに応援に来たやる気のない高校3年生4人が主人公の青春ドラマ。
たった4人の部員で高校演劇祭の全国大会優勝をさらった伝説的作品の映画化。
それぞれの挫折感や悩みを語りながら、野球部の応援をする4人。いつしか彼らの心は変って行きます。
どんな話になるのかは、ある程度予想できてしまいますが、・・・それでも胸熱映画になるのは、演出の良さ!
「送りバント」をする矢野君が最後の最後に主人公となるオチも素敵です。 
「しょうがない」で終わらせるのは早すぎる!舞台での上演ならもっと熱くなるはず。
「一度も撃ってません」  
(監)(企)阪本順治
(製)榎望、菅野和佳奈(製総)木下直哉(脚)丸山昇一(撮)儀間眞悟(編)普嶋信一(美)原田満生(音)安川午朗
(出)石橋蓮司、大楠道代、桃井かおり、岸部一徳、妻夫木聡、佐藤浩市、寛一郎、柄本明、柄本佑、井上真央、豊川悦司
江口洋介、新崎人生、渋川清彦、濱田マリ、堀部圭亮、前田亜季、小野武彦
<あらすじ>
まったく売れないハードボイルド小説の作家。彼の作品には未解決の殺人事件が詳細に描かれています。
実は彼は伝説のヒットマンで、自分の事件を詳細に記録して小説化していたのでした。
そのうえ実際に彼は殺人を実行していたわけではなく、それを別のヒットマンに依頼させていました。
ある日、彼の殺人を依頼していた男が逆に中国系のヒットマンに狙われることになります。
そして、そのヒットマンは伝説のヒットマンの存在を突き止め、彼を狙って動き出します。
予想以上に面白かった!でも、この面白さは若いもんにはわからんやろうなあ。
笑えるシーン連発で、ずっとクスクス笑いながら見てしまいました。「探偵物語」丸山昇一のテイストが懐かしい!
ドラマの展開は予測不能でハラハラさせますが、それぞれの役者の贅沢な使い方が絶妙で配役だけで楽しめます。
19年ぶりの主演映画という石橋蓮司には、主演男優賞をお願いしたい!
「宇宙でいちばんあかるい屋根」  
(監)藤井道人
(企P)前田浩子(P)金井隆治(原)野中ともそ(脚)(撮)(編)(音)
(出)清原果耶、桃井かおり、伊藤健太郎、坂井真紀、吉岡秀隆、水野美紀、山中崇
<あらすじ>
義理の母親が妊娠し妹ができることがわかり両親との関係は不安になった女子高生つばめ。
彼女はある夜、書道教室の屋上で 謎のおばあさん、星バアと出会います。
空を飛べる星バアの助言で、彼女が大好きな隣に住む大学生、亮君との関係が上手く行き出します。
お礼に彼女は星バアが探している孫の居場所探しをすることになり、亮君と町中を歩きまわります。
アニメで描くべきファンタジックなお話を実写化していますが、清原ちゃんの涙と桃井かおりの演技はそれを納得させます。
良い映画だったのに亮君の事故により、話題にできなかったことが残念です。 
「映画大好きポンポさん」 POMPO : THE CINEPHILE(アニメ)
(監)(絵コ)(脚)(音監)平尾隆之
(A制)CLAP(演)居村健治(製)菊池剛、青柳昌行他(P)新井孝介他(原)杉谷庄吾(制P)松尾亮一郎(CD)足立慎吾(作監)加藤やすひさ他
(美監)二嶋隆文(色監)千葉絵美(編)今井剛(音)松隅ケンタ(主歌)CIEL
(声)清水尋也、小野好美、大谷凛香、小川力也、加隅亜衣、大塚明夫
<あらすじ>
祖父から仕事を受け継いだ映画製作者のポンポさんのもとで助監督として修行中のジーンに予告映画の製作依頼がきます。
その出来栄えに納得したポンポさんは自分が脚本を初めて書いた映画「マエストラ」の監督をジーンに任せることにします。
「マエストラ」を演じるのは映画界の伝説的俳優マーティン・ブラドックと新人のナタリー。 
映画とは、撮り終えた映画フィルムを編集しカットし、映画の意図、監督の思いをそこに映し出して初めて完成する。
「編集」という仕事にかなり特化した映画。
本当は編集しなくても、監督のプランがしっかりとしていれば無駄なフィルムは不要ですが・・・
絵があまりに子供っぽ過ぎるのが難点。「マエストロ」のシーンはその分映画的に素晴らしく見えるのですが・・・。
ニャカデミー賞のシーンは不要だった気がします。その分、もっとマニアックな映画の話を見たかった。
題材が凄く面白いだけに贅沢をいいたくなります。
でも映画好き、「シネフィル」には見て欲しい映画です。
映画「映像研に手を出すな!」  
(監)(脚)英勉
(製)大田圭二、今野義雄(企)上野裕平(原)大童澄瞳(撮)川島周、古長真也(音響)柴崎憲治
(アニメ統括)大嶋美穂(VFX)村上優悦
(出)斎藤飛鳥、山下美月、梅澤美波、小西桜子、浜辺美波、高嶋政宏、グレイス・エマ、福本莉子、桜田ひより
松本若菜、山中聡、松崎亮、板垣瑞生
テレビ版の延長ですが、単なる長く伸ばしたオマケつき作品ではなく、しっかり別の作品。
アニメも良かったけど、実写版もお薦め!
舞台劇を見ているような若手俳優たちの熱い演技合戦が新鮮。
今回は、新たに「音響効果」が重要な鍵として登場します。だからこそ「映像研」なのです。
その意味ではアニメファンだけでなく映画ファンにも見てほしい作品です。
リアリズムはまったく無視した展開なので、逆にハチャメチャさが楽しめます! 
「おらおらでひとりいぐも」 
(監)(脚)沖田修一
(製)杉田成道、佐野真之他(原)若竹千佐子(撮)近藤龍人(編)佐藤崇(アニメ)四宮義俊(音)鈴木正人
(主題歌)ハナレグミ「賑やかな日々」(曲・編)鈴木正人(詞)沖田修一
(出)田中裕子、蒼井優、東出昌大、濱田岳、宮藤官九郎、青木崇高、田畑智子、黒田大輔、岡山天音、山中崇、三浦透子
六角精児、大方斐佐子、鷲尾真知子

 日高桃子さんは夫を亡くし、息子と娘も別に暮らして寂しい一人暮らしを続けています。
寂しい夜は彼女の分身たちが現れ、夫との出会いなど昔話を聞き出しています。
自分はボケてきたのか?そんなことを思いつつ、一人自由に暮らす生活を淡々と描いた人生讃歌! 
沖田ワールド得意の世界が時に可笑しく、時に懐かしく、時に悲しく、時に力強く展開します。
田中裕子、蒼井優、日本を代表する二人の女優による夢の共演に感動。 
「風の電話」 
(監)(脚)諏訪敦彦
(企)泉英次(製)宮崎大、長澤敬也(脚)狗飼恭子(撮)灰原隆裕(美)林チナ(編)佐藤崇(音)世武裕子
(出)モトーラ世里奈、西島秀俊、西田敏行、渡辺真紀子、三浦友和、山本未來、占部房子
<あらすじ>
東日本大震災で両親と弟を亡くした女子高生ハルは、叔母を二人呉に住んでいます。
ところが叔母が倒れてしまい、そのショックでハルは家があった大槌町へとヒッチハイクの旅に出ます。
洪水に襲われ生き残ったオジサン。シングルマザーになる予定の女性。難民認定申請中のクルド人家族。
誰もいない福島に帰ってきたおじいさん。妻と娘を震災で失いホームレスになった男性。交通事故で父親を失った少年。
呉から大槌までの旅の途中、彼女は様々な人と出会い、生きる希望を失っていた彼女は変って行きます。
最後に彼女は大槌の丘の上にある「風の電話」で両親と語り始めます。
 「風の電話」を通じて死んだ人と対話するファンタジー映画かと思ったら、そこに到るまでのロード・ムービーでした!
旅をしながら様々な悲劇に見舞われた人々は、がんばっていました。
主演のモトーラ世里奈、最初はこの子起きてるの?と思っていましたが、ラストの一人芝居までどんどん良くなりました!
笑いの要素まったくなしの西田敏行の芝居が本当に素晴らしかった!助演男優賞ものです。
2時間19分じっくりとカメラをすえて撮影されたちょっと懐かしい「映画らしい映画」でした。
「狂武蔵」Crazy Samura  
(監)下村勇二
(EP)太田誉志(P)藤田真一(原案協力)園子音(脚)灯敦生(撮)長野泰隆(A監督)稲川義貴(音)カワイヒデヒロ
(出)TAK、山崎賢人、樋浦勉、斎藤洋介、山中アラタ
1時間半ワンカットで宮本武蔵が戦い続けるという究極のチャンバラ映画。 1対400の戦い。
ただし、1時間ぐらいで何度も切られに出てくる俳優陣の顔と斬られ方がわかってきてしまい、さすがに長い。
雨、マジックアワーの光、雷などで変化をつけ、二刀流や変形なぎなたなど武器にも工夫をしていますが・・・。
CGの血は、かえって興覚めかも。
園子音の作品でワンカット7分の殺陣シーンが予定され、それが実現しなかったことへのリベンジから始まった企画。
男たちの熱い思いは伝わってきます。でも、1時間でよかったかな?
「劇場」  
(監)行定勲
(チーフ・プロ)古賀俊輔(製総)坂本直彦(原)又吉直樹(脚)蓬莱竜太(撮)槇憲治(美)相馬直樹(編)今井剛
(音)曽我部恵一(出)山崎賢人、松岡美優、寛一郎、伊東沙莉、浅香航大、三浦誠己、上川周作、井口理(キング・ヌー)
「映画館で見たくなる映画」という意味がわかりました。演劇に感動したことがある方には感動間違いなしの作品。
できれば三密の小さな映画館で観たい作品。(実際、この作品はネット以外は小劇場のみでの公開です)
山崎賢人、松岡美優二人の舞台上の芝居を画面で見ているような感覚になれます。素晴らし演技!
下北沢の街が懐かしい!新宿紀伊国屋書店も懐かしい!1980年代と変わらない雰囲気なのに驚き。
ラストの一瞬の展観・転換は舞台劇の大堂的手法と言えるけど、わかっていても感動間違いなし。
すべての演劇人のために捧げる作品です。
画面という舞台で行われる素晴らしい純文学のお芝居をご堪能下さい!
「攻殻機動隊 SAC_2045」(アニメ)(N)第1シーズン(1~12)
(監)神山健治、荒牧伸志(原)士郎正宗(脚)神山健治、檜垣亮、砂山蔵澄、土城温美、佐藤大、大東大介(CD)イリヤ・クブシノブ、山田正樹
(音)戸田信子、陣内一真(A制)Production I.G.、SOLA DIGITAL ARTS
(声)田中敦子、大塚明夫、山寺宏一、潘めぐみ、林原めぐみ、津田健次郎、阪脩
電脳を進化させスーパー・コンピューターを超えるレベルに達した新人類ポスト・ヒューマンたちによる犯罪事件を追う新生公安9課。
米国からの依頼によって解散していた9課のメンバーが再集結し、日本に帰国して捜査を行うことになります。
ポスト・ヒューマンは次々に新たなレイドを起こし、持続可能な戦争「サステナブル・ウォー」が静かに展開されていました。 
映像があまりにCGっぽいのが残念。電脳内と現実の境界を消すためにわざとそうしたのか?
それでもストーリーはさすがに面白い!ポスト・ヒューマンに関する謎が明らかにならないままシーズン1は終了。
なぜ、「ポスト・ヒューマン」が誕生したのか?その謎はシーズン2で明らかになるのか?
最終話の「郷愁」はどうつながるのか?人間である「トグサ」が謎を解くカギになるのか?
 
「37セカンズ」 37seconds (N)  
(監)(脚)(製)HIKARI
(製)山口晋(撮)江崎朋夫、スティーブン・ブラハット(編)トーマス・A・クルーガー(音)アスカ・マツミヤ
(出)佳山明、神野三鈴、大東俊介、渡辺真紀子、萩原みのり、芋生悠、宇野祥平、渋谷清彦、尾美としのり
板谷由夏、石川静可 
ベルリン国際映画祭パノラマ部門観客賞、国際アートシアター連盟賞
37秒の無呼吸状態により脳性麻痺になった漫画家志望の少女が自らのアイデンティティーを見出すまでの物語
エロ漫画を描くために新宿歌舞伎町に迷い込んだところから、出会いと冒険に旅が始まります。
主演の佳山明は当然ながら、それ以外の俳優陣の演技も素晴らしい。神野三鈴、渡辺真紀子はさすがの貫禄。
でも、それをリアルに引き出したアメリカ育ちの新人監督の才能に脱帽です。文句なしに傑作です! 
生きる勇気が欲しい今、是非、見てもらいたい作品です。 
「サイダーのような言葉が湧き上がる」 (アニメ)  
(監)(演)(脚)イシグロキョウヘイ
(演)山城智恵(アニP)小川拓也(脚)佐藤大(原)(音制)フライングドッグ(キャラD)(作画監)愛敬由紀子(音)牛尾憲輔
(声)市川染五郎、杉咲花、山寺宏一、坂本真綾、潘めぐみ、花江夏樹、中島愛、梅原裕一郎、諸星すみれ  
<あらすじ>
俳句好きだがコミュニケーションが苦手な少年サクラ。前歯が気に入らずマスクで隠し「スマイル」の名で動画配信で人気の少女。
二人が手伝う介護施設の老人が探す彼の妻だったシンガー・ソングライターのレコード「YAMAZAKURA」とは?
ひと夏の出会いと別れを俳句を使って描いた青春アニメの快作!  
「YAMAZAKURA」が素晴らしい曲です!作詞・作曲・歌は大貫妙子!どうりで泣けるはずだ。
ラストは泣けます。   
「ジョゼと虎と魚たち」(アニメ)
(監)(演)(絵コンテ)タムラコータロー
(A制)ボンズ(演)岡田堅二朗、飛田剛他(原)田辺聖子(脚)桑村かや香(キャラ原)飯塚晴子(美)金子雄司(色設)梅崎ひろこ(撮)坂本久美子(音)Evan Call
(声)中川大志、清原果耶、宮本侑芽、興津和幸、Lynn、松寺千恵美、てらそままさき
<あらすじ>
メキシコの海に住む魚を見るための留学のためバイトを掛け持ちする鈴川は、偶然知り合った家に手伝いのバイトに通うことに。
しかし、そこでの仕事は車椅子で生活するわがままな娘ジョゼの世話係でした。
実写版は主演俳優の演技に感動させられましたが、こちらはお話とファンタジックな絵にやられました。
こちらのアニメ版も泣けました。
「新解釈・三國志」 
(監)(脚)福田雄一(アクション監)田渕景也
(撮)鈴木靖之(美)高橋努(編)臼杵恵理(音)瀬川有英史(主歌)福山雅治「革命」
(出)大泉洋、賀来賢人、ムロツヨシ、佐藤二朗、橋本環奈、西田敏行、広瀬すず、山田孝之、山本美月、岩田剛典
岡田武史、橋本さとし、渡辺直美、磯村優斗、矢本悠馬、阿部慎之助、小栗旬、城田優
「三國志」「レッド・クリフ」のユルーいパロディ。楽しいです。
「スパイの妻」 WIFE OF A SPY  
(監)(脚)黒沢清
(P)山本晃久(EP)篠原圭、土橋圭介、澤田隆司他(脚)濱口竜介、野原位(撮)佐々木達之介(美)安宅紀史
(編)李英美(音)長岡亮介
(出)蒼井優、高橋一生、東出昌大、笹野高志、坂東龍汰、みのすけ、玄理、恒松祐理
<あらすじ>
太平洋戦争開戦直前、日本軍が満州で行っている残虐な人体実験の事実を知った貿易商の福原。
彼はその情報を国連に告発しようとフィルムや実験資料を入手。それを運び出そうとします。
しかし、その事実を知った妻の聡子は、資料を知り合いの軍人、津森に渡してしまいます。ところが、彼女は・・・ 
ヴェネチア国際映画祭監督賞
どんでん返しがしっかりとあり、黒沢的映像も途中から徐々に出て来て怪しい雰囲気もあります。(実験フィルム映像など)
地味な作りですが、セットもよくできていて違和感なく見られました。俳優も、豪華にしなくてよかった。
さすがは世界の黒沢! 最後までしっかりと見せていただきました。
「すばらしき世界」 
(監)(脚)西川美和
(EP)濱田健二、小竹里美(原)佐木隆三「身分帳」(撮)笠松則通(美)三ツ村けいこ(編)宮島竜治(音)林正樹
(出)役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、長澤まさみ、梶芽衣子、安田成美、橋爪功、キムラ緑子、白竜 
<あらすじ>
やくざを殺した殺人罪で13年間刑務所にいた三上は出所後、東京で生活保護を受けながら独り暮らしを始めます。
そんな彼の境遇に興味を持ったライターの津乃田はテレビ出演の話を持ちかけ取材を始めます。
しかし、少年時代のDVの影響か?彼は怒りを抑えることができず、すぐに事件を起こしてしまいます。
三上はそんな生活に嫌気がさし、やくざ仲間のもとを訪ねます。
しかし、その仲間ももうやくざとしては生きられなくなっていました。
もういちどやり直そうと思う彼を助けてくれる人も現れますが・・・。 
現在の日本社会における厳しい現実を描きつつも、そこに救いを見出そうとする監督の気持ちが伝わってきます。
これまでの作品のようにどうなるかわからない怖いほどの展開は控え目。
それでも一歩間違えばもとに戻ってしまうギリギリに迫る描写はさすがです。
空が青いというのは本当に素晴らしいものです。 
「空に住む」 
(監)(脚)青山真治 
(P)井上鉄大他(原)小竹正人(脚)池田千尋(撮)中島美緒(編)田巻源太(美)清水剛(音)長蔦寛幸(主歌)3代目JSB
(出)多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾、岩下尚史、高橋洋、大森南朋、永瀬正敏、柄本明
 高層マンションに一人住まいの編集者と猫のハルの物語。
どうもテーマが不明確で猫好きでないと感情移入が難しいのか?
配役は良く、多部&岸井までは良いのですが・・・岩田&多部の組み合わせはどうも?テレビならまだしも・・・。
高層マンションからの美しい映像ももっと必要では?田舎のオフィスとの対比がもっとあってよい。
豪華な俳優陣が惜しい。 
「罪の声」
(監)土井裕泰
(P)名須田淳、渡辺信也、進藤淳一(原)塩田武士(脚)野木亜紀子(撮)山本英夫(編)穂垣順之助(衣)宮本まさ江
(美)磯見俊裕、露木恵美子(音)佐藤直紀
(出)小栗旬、星野源、松重豊、古館寛治、梶芽衣子、市川実日子、火野正平、宇野祥平、阿部純子、阿部亮平、堀内正美、桜木健一、若葉竜也、宇崎竜童
<あらすじ>
テーラーを営む曽根はある日、自分が子供の頃に録音したテープを見つけます。
それは「ギンガ・萬堂事件」の犯人グループが使った録音でした。
なぜ自分の声が使われたのか?曽根はその謎を解こうと調査を始めます。
そして同じころ、大日新聞社の記者も時効になったその事件の調査を始めていました。
「グリコ・森永事件」(1984年)を下敷きにした犯罪サスペンス大作。
なぜ犯人グループは身代金の受け渡しを実行しなかったのか?
その理由は、事件をマスコミに騒がせることでターゲット企業の株価を下げさせ、それを利用して仕手戦で利益を上げる作戦だった。
日本アカデミー賞脚本賞受賞も納得の実に良くできた脚本です。
三人の子供たちは確かに不幸になった。でもどこか犯人グループの犯行に拍手を送りたくなる気分でもあります。
宇野祥平の名演技は特に印象深い。
「泣きたい私は猫をかぶる」(アニメ) 
(監)佐藤順一、柴山智隆
(制)スタジオ・コロリド(企)ツイン・エンジン(脚)岡田磨里(キャラD)池田由美(音)窪田ミナ(演)清水勇司(編)西山茂
(作画)加藤ふみ、横田匡史、村山正直、永江彰浩他(美監)竹田悠介、益城貴昌(色計)田中美穂
(主題歌)「花に亡霊」ヨルシカ
(出)志田未来、花江夏樹、寿美菜子、山寺宏一、浪川大輔、小木博明、小野賢章
 母親が家を出て、その後、新しい母親を迎えた複雑な家庭の少女ムゲ、クラスメートの日之出に近ずくため、猫に変身。
毎日、日之出家に行っていた。しかし、猫に変身するために必要な仮面をくれた猫店主はムゲを猫にしてしまいます。
彼女が持つ人間の仮面と寿命を奪うつもりでした。
 ある日、家でしてしまった彼女は、もう猫のままでいいと思うようになり、人間の仮面を渡してしまいます。
でもやはり人間に戻って日之出に会いたい…そう思った彼女ですが、いつの間にか彼女は猫から戻れなくなりつつありました。
「千と千尋の神隠し」「平成狸合戦ぽんぽこ」「猫の恩返し」「転校生」「ペンギンハイウェイ」様々な映画の要素が混ぜ込んである。
「なぜ君は総理大臣になれないのか」(ドキュメンタリー)  
(監)大島新
(製)(撮)前田亜紀(撮)高橋秀典(編)宮島亜紀(音)石崎野乃(製音)富永健一
(出)小川淳也 として32歳で初めて選挙に挑戦し、香川県から国会に通う若手議員の17年を追ったドキュメンタリー。
民主党系衆院議員の選挙戦、議員活動、私生活を追い続けることで現在の日本の政治の問題点が明確になりました。
「選挙とは?」「政治とは?」が誰にも理解しやすく描かれています。これこそ政治・経済の授業で見せるべき作品。
純粋に日本を変えようと立候補した青年議員が、様々なしがらみや政争に巻き込まれ翻弄されながら苦闘する人生。
二人の娘の健気なお手伝いに涙・・・それだけでも彼は幸せです。他の議員はどうでしょうか?
少なくとも議員人生は不幸なだけではなかった。これは救いだし、政治家を目指す人にも勇気を与えるはず。 
2021年には続編が始まろうとしています!
「夏、至るころ」 
(監)(原案)池田エライザ
(P)三谷一夫(製)酒井識人(脚)下田悠子(撮)今井孝博(編)陸彗安(音)西山宏幸(主題歌)崎山蒼志「ただいまと言えば」
(出)倉悠貴、石内呂衣、さいとうなり、リリー・フランキー、原日出子、杉野希妃、高良健吾、大塚まさじ
田川の夏祭りで太鼓 を叩くために練習する二人の高校生、翔と泰我。泰我がある日突然受験勉強のため太鼓を辞めると言い出します。
将来の目標もない翔は、自分はどうするか?急に悩み始めます。
そこに現れた東京で歌手をしていた少女、都。自分がわかってしまい歌が嫌になったという彼女と行動を共にする二人。
池田エライザの監督デビュー作で地方を舞台にした王道青春映画。久々の感じで懐かしく見られました。
カメラの長回しの効果は今一つ。そこまで主人公の魅力はあるかというと?主人公がイケメンすぎ?
背景はなかなか良いし、飽きずにみられる作品になっているのですが、これだ!という魅力が・・・。
「花束みたいな恋をした」 
(監)土井裕泰
(企)孫家邦、那須田淳他(P)有賀高俊、土井智生(脚)坂元裕二(撮)鎌苅洋一(美)杉本亮(衣)立花文乃(編)稲垣順之助(音)大友良英
(出)有村架純、菅田将暉、戸田恵子、岩松了、オダギリジョー、小林薫、韓英恵、清原果耶、古川琴音、瀧内公美、押井守、佐藤寛太
推しの押井守で恋をしたアート大好きオタク気質の二人の5年を振り返ります。(親近感がわきますね!)
豪華な俳優たちをもったいない使い方をしています。(贅沢な使い方というべきか!)
現在から過去への振り返り型青春映画がやたら多い気がしますが、どれも良いんですよね。不思議でけど。
最初から過去を振り返りノスタルジックに見せることで、ロマンチックに見せる手法が機能しているのでしょうけど、もうそろそろかな。
でもこれは好きです。
「his」
(監)今泉力哉
(製)狩野隆也、宮崎伸夫他(製総)多湖慎一(脚)アサダアツシ(撮)猪本雅三(編)相良直一郎(音)渡邊崇(裁判監修)南和行
(主題歌)「マリアロード」Sano Ibuki
(出)宮沢氷魚、藤原季節、松本若菜、松本穂香、外村紗玖良、鈴木慶一、中村久美、根岸季衣、戸田恵子、堀部圭亮 
岐阜県白川町が舞台のテレビドラマ「his ~恋するつもりなんてなかった~」の13年後の続編映画版
ゲイであることを隠して結婚し子供を育てたが、自分がゲイであることを変えられずに離婚してしまった日比野渚
学生時代に渚と別れ、岐阜の山奥で自給自足生活をしていた迅の家に渚が娘を連れてやってきます。
ゲイであることを隠していた彼は困りながらも二人を受け入れます。
しかし、離婚調手中の渚の妻が娘を連れて行ってしまいます。
二人の離婚調停裁判、村での生活とカミングアウト、LGBTQ映画の名作と言える作品
鈴木慶一、松本穂香、根岸季衣らの脇役がいい味。そして妻役松本若菜も素敵です。そして空ちゃん役の外村紗玖良が素晴らしい!
「無頼」
(監)(脚)井筒和幸 
(P)増田悟司、小木曽仁、漆谷恭史(脚)佐野宜志、都築直飛(撮)千足陽一(編)山下健治(音)細井豊(主題歌)「春夏秋冬」泉谷しげる
(出)松本利夫(MATU)、柳ゆり菜、中村達也、升毅、ラサール石井、木下ほうか、三上寛、長村航希、阿部亮平、遠藤雄弥、駒木根隆介、小木茂光、隆大介
戦後50年代から現代まで、2時間半弱の「ある昭和やくざの歴史」。様々な歴史のエピソードが散りばめられたテンポの良い展開。
かなり切られていて、わかならい部分もありますが、それでも十分に楽しめます。
「仁義なき戦い」のようは重さ迫力はないけど、庶民的やくざの物語として見るべき作品。
俳優陣が渋くて味わい深いのも見所。EXLE、ブランキー、三上寛と音楽畑出身俳優の映画でもあります。 
少年やくざグループの映画「ガキ帝国」でブレイクした井筒監督の大人のやくざ映画。
「HOKUSAI」 
(監)橋本一
(企)(脚)河原れん(EP)細野義朗(P)中山賢一(撮)角田真一(編)掛須秀一(美)相馬直樹(衣)宮本雅まさ江(音)安川午朗
(出)柳楽優弥、田中泯(葛飾北斎) 、玉木宏(喜多川歌麿)、阿部寛(蔦屋重三郎)、瀧本美織、津田寛治、河原れん(お栄)
永山瑛太(柳亭種彦)、青山崇高(高井鴻山)、辻本祐樹(滝沢馬琴)、浦上晟周(東洲斎写楽)
 葛飾北斎の伝記映画で、歌麿、蔦屋、写楽、滝沢馬琴なども登場する江戸サブカル・アート黄金期映画。
音楽、撮影もっと面白くできた気もします。俳優陣の演技を生かしているのでそれは良いのですが・・・
80年以上の生涯を2時間でまとめるのがそもそも困難なのですが・・・惜しい!
エンドロールあたりで原画をもっと見せてほしかった気もします。 
「星の子」
(監)(脚)大森立嗣
(製)松井智、太田和宏他(アニ演)香月邦夫(原)今村夏子(撮)槇憲治(編)早野亮(美)堀明元紀(音)世武裕子
(出)芦田愛菜、永瀬正敏、原田知世、黒木華、高良健吾、岡田将生、大友康平、蒔田彩珠、粟野咲莉、新音、池谷のぶえ、宇野祥平、田村飛呂人
<あらすじ>
子供時代に病弱だった娘のためにと怪しい水を買い、その効果で助かったと信じる両親によって育てられた少女と家族の物語。
イケメン教師に憧れるちひろは授業中に彼の似顔絵を描いて片思いを続けていますが、もうすぐ受験です。
姉は宗教にはまった両親に耐えられずに家を出て行くへ不明。 
永瀬、原田の夫婦は信じたら強そう。黒木、高良のカルトは怖そう。岡田、大友は憎らしい。その間にはまる芦田の板挟みが痛い。
新興宗教から脱出するお話ではないのが味噌。とはいえ、ラストには何か起きてほしかった気もします。
星が見えるか見えないか?確かに同じ方向を向くのが家族ではあります。でもみんなが同じ方向を見るとなると怖い!
「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」 (ドキュメンタリー)
(監)豊島圭介
(企P)平野隆(P)竹内明、刀根鉄太(撮)月永雄太(編)村上雅樹(音)遠藤浩二
(出)三島由紀夫
(東大全共闘)芥正彦、木村修、橋爪大三郎(盾の会)篠原裕、宮澤章友、原昭弘
(新潮社カメラマン)清水寛(TBS)小川邦雄(作家)瀬戸知寂聴(ポパイ)椎根和
(作家)平野敬一郎(思想家)内田樹(社会学者)小熊英二
1969年5月13日東大駒場900番教室で行われた伝説の討論会の記録映像を基に50年前の言論バトルを振り返る。
「媒体としての言葉があった最後の時代の記録」
「人と人が意見を闘わせる時に必要なのは、熱と敬意と言葉である」
全共闘と三島由紀夫の運動は「反米愛国運動」である点で同じだった!共通の敵は「あやふやな日本国民」だった。
三島をも上回る前衛的思想家、芥正彦による「解放区は思想的に永遠である」という発想に衝撃!
「ナンセンス!」が飛び交うヤジ合戦になるかと思いきや、知的で敬意に満ちた和やかで自由でコミカルな言葉のボクシング!
まさかこんなに創造的で建設的な会だったとは驚きでした。こりゃ難しいけど面白い!
「ミッドナイト・スワン」 
(監)(脚)内田栄治
(EP)飯島三智(P)森谷雄、森本友里恵(撮)伊藤麻樹(衣)川本誠子(編)岩切裕一(音)渋谷慶一郎(バレエ監)千歳美香子
(出)草なぎ剛、服部樹咲、水川あさみ、佐藤江梨子、田口トモロヲ、上野鈴香、田中俊介 
日本アカデミー賞作品賞、主演男優賞
LGBT映画かと思ったら、実は本格的なバレエ映画でした。
草なぎは助演男優とみるべきかも?
予想外の展開もあり、見ごたえはありますが、話に無理があるのと、草なぎはもっと演技抑えていいのでは?
主役の服部樹咲(一果)のバレエが素晴らしい!
でも、日本アカデミー賞はちょっと?そこまで凄いか?期待しすぎだったか?泣けなかった。
「MOTHER マザー」  
(監)(脚)大森立嗣
(製)(企)(EP)河村光庸(P)佐藤順子(原)山寺香「誰も僕をみていない」(脚)港岳彦(撮)辻智彦(編)早野亮(音)岩代太郎
(出)長澤まさみ、奥平大兼、阿部サダヲ、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、木野花、大西信満
働かない母親のために依存して金のために嘘をつく少年が母と妹と共に暮らす日々。
ついには金に困った母親は祖母を殺して金を盗って来いと・・・・
実話に基づいた怖くて悲惨で救いようのない物語。よくぞ作りました。正直、見たい映画ではないのですが・・・
長澤まさみは凄い!でも、この主人公に感情移入しちゃったら、日常生活が困難になったはず。そっちの方が凄い!
韓国映画なら、殺害現場もしっかり撮るのかもしれない。
「私をくいとめて」  
(監)(脚)大九明子
(製)鳥羽乾二郎、竹内力・・・(企)谷戸豊(製総)福家康孝(原)綿矢りさ(撮)(編)(音)
(出)ノン、橋本愛、林遣都、片桐はいり、臼田あさ美、山田真帆、前野朋哉、(声)中村倫也
<あらすじ>
ミニ・お局になりつつあるOLのみつ子は、「おひとりさま」のスペシャリストで唯一の話し相手は脳内自分「A」。
しかし、仕事で知り合った多田君と親しくなりつつありました。
みつ子唯一の親友は結婚してローマに移住。彼女を訪ねて初めてのおひとりさま海外旅行に向かいますが・・・。 
大九監督ワールド全開でのんはその主役にぴったり!それぞれに配役もはまっています。中村倫也の声と前野の顔もいい!
のんのアップが多いのは、彼女の目と顔の輝きだけでも観客を圧倒する力があるからでしょう。文句なしに魅力的です!
なんだか懐かしい。多くの人が経験したであろうお悩みの時期を思い出させてくれます。
「あまちゃん」トリオ再結集もうれしい作品です。 橋本愛も輝いています。
「ワンダーウォール劇場版」  
(監)前田悠希
(脚)渡辺あや(製)上野遼平(製総)寺岡環(撮)松宮拓(編)大庭弘之(音)岩崎太整
(出)須藤蓮、岡山天音、三村和敬、中崎敏、若葉竜也、成海璃子、山村紅葉 
京西大学の近衛寮の存続をかけた闘いを続ける大学生を描いたNHKBSのドラマを劇場版として公開
京都大学の吉田寮をモデルにしただけに実にリアルに作られています。SNSで大きな話題になったのも納得
僕には昔懐かしい学生運動が今もなお続いていることの驚き。「ザ・青春」
でも、それ以上に現在の日本の若者たちが「幸福とは何か?」を考えるきっかけになることが新鮮です。
今の若者たちにどう受け入れられたのか?知りたくなります。
それにしても、岡山天音は良い芝居しますね。
その後の近衛寮(吉田寮)が心配です・・・でも
コロナの影響で世界中で増え続ける壁の方が今は問題かもしれません。
 2021年
「明日の食卓」 
(監)瀬々敬久
(製)石垣裕之、堀内大示他(原)椰月美智子(脚)小川智子(撮)花村也寸志(編)今井俊裕(美)中川理仁(音)入江陽
(出)菅野美穂、尾野真千子、高畑充希、柴崎楓雅、和田聰宏、真行寺君江、烏丸せつこ、大東駿介、山口紗弥加、渡辺真紀子、大島優子、山田真歩
三人の母親(石橋家)の家庭の危機がじわじわと描かれ、それが一気に崩壊に・・・
ほとんどサスペンス・ホラーのような展開ですが、山口&真行寺の不気味なこと!ちょっとやりすぎかもしれません。
子役3人も凄い。意外な展開で大島優子が場をさらいます。 
「茜色に焼かれる」
(監)(脚)(編)石井裕也 
(製)五老剛、竹内力(GP)河村光庸輔(撮)鎌苅洋一(美)石上淳一(衣)立花文乃(編)岡崎正弥(音)河野丈洋
(主題歌)Going Under Ground「ハートビート」
(出)尾野真千子、和田庵、オダギリジョー、片山友希、永瀬正敏、大塚ヒロタ、嶋田久作、鶴見慎吾
<あらすじ>
夫をアルツハイマーの元官僚の老人に引き殺された良子は謝罪しない犯人から示談金を受け取らなかった。
良子は義理の父親の介護費用、夫が愛人に生ませた娘の養育費、一人息子のための学費を稼ぐため、昼はホームセンター、夜は風俗で働く日々。
風俗の同僚ケイが愚痴をこぼせる唯一の存在です。息子の順平はクラスでいじめにあいますが、頭はナンバー1です。 
コロナ禍という状況によって、不条理な不幸に追い込まれた人々の苦労をこれでもかと描きます。
2020年の東京をしっかりと描き出した貴重な作品として忘れられない作品になりそうです。
でもそこには笑いと救いが・・・ 最初に死んでしまうオダギリの存在感は大きく、いないのに観客の脳内で名演技を見せてくれます!
「浅草キッド」  
(監)(脚)劇団ひとり
(製総)高橋信一(企)秋元康(原)ビートたけし(撮)高木風太(編)稲垣順之助(音)大間々昴(主題歌)桑田佳祐
(出)柳楽優弥、大泉洋、門脇麦、鈴木保奈美、土屋信之、中島歩、大島蓉子、尾上寛之、風間杜夫、クリーピーナッツ
ビートたけしの青春時代を描いた伝記映画ですが、彼の師匠だった浅草の芸人深見!こそこの作品の主人公。
深見を演じた大泉洋、その妻鈴木保奈美、門脇麦が素晴らしけど、やはりたけしを演じた柳楽は凄い!
映画としては、音楽と言い演出と言い懐かしの松竹喜劇映画的で可もなく不可もなくかな?
偽のCGたけしを登場させる演出は不要だった気がします。残念。ちなみにたけしの声と振りは松村邦洋でした!
「あの頃。」
(監)今泉力哉
(原)劔樹人「あの頃。男子かしまし物語」(脚)冨永昌敬(企)紀嘉久(P)杉本雄介他(製)鳥羽乾二郎、小西啓介他(撮)岩永洋(編)佐藤崇
(衣)神田白実(音)長谷川白紙
(出)松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、コカドケンタロウ、大下ヒロト、西田尚美、山﨑夢羽
ハロプロにはまったオタク仲間6人の日々を追い、時が過ぎて行く中、それぞれの道を歩む姿を描きます。
モーニング娘を知らなくても、何かにはまったことがある人なら彼らの「あの頃。」が懐かしく思えるはず。僕もそうです。
仲野太賀がまた美味しい役を取りました。原作のタイトルがなんとも懐かしく愛おしい。 
「生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事」(ドキュメンタリー)
(監)佐古忠彦(P)藤井和史、刀根鉄太(撮)福田安美(編)後藤亮太(音)兼松衆、中村巴奈重(主歌)小椋佳
(声)山根基世、津嘉山正種、佐々木蔵之介
1944年10月、沖縄県知事に任命された島田叡は兵庫出身で東大野球部の名選手から官僚となりますが、本庁から離れた地方を担当。
市民の声に耳をかし中央に対してモノ申す姿勢は、地元で称賛されていました。そんな男が戦場となる寸前の沖縄へ飛ばされました。
軍部からの指示で軍隊と一緒に南部へと移動させられたことで多くの犠牲者を出し、最後は玉砕を求められます。
それに対し、反抗したくてもできないジレンマで苦しむ島田の苦悩を彼を信じる周りの人々の証言から浮かび上がらせます。
軍隊のトップが「お前たちは最後まで戦え」と言い残し切腹してしまったことで、沖縄戦は終わりなき戦争となってしまいました。
8月15日の終戦後も沖縄では戦闘が続き、9月5日やっと終戦が訪れています。なんという無責任な軍の指導者か!
アメリカ軍による説得を信じて投降した市民たちが、「兵士たちはまだ残っているか?」と聞かれると
多くの人々が「いるから殺してくれ!」と答えたと言います。それが兵士たちがやった悪行を示しています。
泣き止まない子供を射殺し、食料を盗んだ少年を殺害する兵士たちは、最後には全員にお互いを殺し合うようにまで命令しています。
戦争が生んだ狂気と言って許せるものか?そう言わざるを得ません。
非戦闘員の側からみた沖縄戦の暗くて重いリアルです。
「過去はいつも新しく、未来はつねい懐かしい 写真家 森山大道」(ドキュメンタリー) 
(監)(撮)(編)岩間玄
(企P)杉田浩光(製)宮崎伸夫、岡本東郎他(P)杉本友昭、飯田雅裕他(ロケ撮)伊藤佳菜子(カラリスト)佐藤智
(音)三宅一徳(声)菅田将暉
(出)森山大道、神林豊(編集者)、町口覚(造本家)
日本を代表する写真家、森山大道のドキュメンタリー
デビュー写真集「にっぽん劇場写真帖」の再発行のプロジェクトに密着。
彼の日々の撮影にも密着しながら、彼の写真家人生を振り返る構成。
「狩人」「写真よさようなら」「光と影」「Daido hysteric」「東京ブギウギ」「犬と網タイツ」「K」などが登場。 
「かそけきサンカヨウ」
(監)(脚)今泉力哉
(原)窪美澄(脚)澤井香織(製)狩野隆也、小林栄太朗他(企)(P)福嶋更一郎、内山太郎他(撮)(照)岩永洋(美)禪州幸久(衣)馬場恭子
(編)相良直一郎(音)ゲイリー芦屋(主題歌)崎山蒼志
(出)志田彩良、井浦新、鈴鹿央士、菊池亜希子、西田尚美、石田ひかり、芹澤興人、中井友望、鎌田らい樹、梅沢昌代 
<あらすじ>
父と二人暮らしの女子高生、陽は、父親の恋人とその娘と会います。
父と昔、別れた陽の実の母親の個展に彼女は彼氏の陸と出かけますが、声をかけることはできませんでした。
陸は心臓が生まれつき悪く、手術をすることになりますが、父親は海外赴任でちょっと淋しく不安でした。
この作品にも今泉作品らしく悪い人はでてきません。でもそれぞれに悩みがあり、心のすれ違いもあります。
そうした心のすれ違いや修正が繊細かつ丹念に描かれます。それぞれの俳優の演技も繊細そのもの。
まさにサンカヨウ(山荷葉)のようにはかなく美しい日々を描いた作品です。
「キネマの神様」
(監)(脚)山田洋次
(P)房俊介、阿部雅人(原)原田マハ(脚)朝原雄三(撮)近森眞史(美)西村貴志(編)石島一秀(音)岩代太郎
(主題歌)RADWIMPS&菅田将暉(VFX)山崎貴
(出)沢田研二、菅田将暉、永野芽郁、宮本信子、野田洋次郎、北川景子、寺島しのぶ、リリー・フランキー、小林稔侍、前田旺史郎、志尊淳
片桐はいり、松尾貴史、原田泰造、近藤公園、渋川清彦、 
<あらすじ>
映画監督になる夢を果たせなかった主人公ゴウは78歳で賭け事の借金で家族を不幸にしています。
母と娘はゴウからカードを取り上げ、賭けとアルコールを止めるよう説得します。
そんな中、映画が好きな孫が祖父が昔書いた脚本「キネマの神様」を読んで感動し、それを書き直し木戸賞に応募します。
現代編の前半が古臭く芝居も50年前の映画のようでがっかり、過去編になってよくなりましたが、それでも小津安二郎にはほど遠い。
わざと?監督が昔の映画ファンに合わせたの?
それでも映画愛にあふれたラストになり、やっと面白く胸アツになりました。
小津安二郎、原節子がモデルでしょうが、山田洋次にはどう見えていたのか?
演技は素人のはずの野田洋次郎の自然な演技が逆に目立ちます。
俳優は豪華だし、過去のセットもよくできている気がしますが・・・脚本も破綻して、感情移入が困難です。
「漁港の肉子ちゃん」(アニメ)
(監)渡辺歩
(A制)STUDIO4℃(演)秋元賢一郎(企P)明石家さんま(原)西加奈子(脚)大島里美(キャラD)(作監)小西賢一(美)木村真二
(色設)伊東美由樹(編)廣瀬清志(音)松村崇継(主歌)GReeeeN
(出)大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹、山西淳、吉岡里帆、中村育二、石井いづみ、マツコデラックス
西加奈子の小説をアニメ化。(トニ・モリソンの「青い眼が欲しい」、J・D・サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」が登場)
大竹しのぶの吹き替えが圧倒的!ラストの目が大きくなってからの「おめでとう」は泣けます!最高です!
「となりのトトロ」へのオマージュも半端ない!肉子ちゃん最高です! 
「空白」
(監)(脚)吉田恵輔 
(企・EP・製)河村光庸(撮)志田貴之(編)下田悠(衣)瀬塚奈美(音)世武裕子
(出)古田新太、松坂桃李、寺島しのぶ、田畑智子、藤原季節、趣里、伊藤蒼、片岡礼子
<あらすじ>
スーパーで万引きした少女がスーパーの店長青柳に追われて逃走。道に飛び出して車に轢かれ死んでしまいます。
少女の父親は娘の万引きが信じられず、青柳を追求しますが、2人をマスコミが追いかけ大きな話題になってしまいます。
少女を轢いた女性ドライバーも父親に謝りに来ますが、相手にしてもらえません。
いつしか関係者すべてが苦しみ、スーパーも営業困難になってゆきます。・・・
実際にあった古本屋での万引き、自動車事故事件がもとになっています。
誰もが被害者で、誰もが加害者で、ゲスなマスコミの犠牲者になってゆく、気分最悪のお話。
正直、見たくない映画でしたが、確かに途中からは引き込まれます。弁当ファンの兄ちゃんと少女の絵がなかったら救のない映画。
「ヒメアノール」といいこの作品と言い、良い作品だと思うのですが、他人には薦められない・・・
この映画の主人公のように何か喉にひっかかったまま終わりました。見る方にも時間がいるのかもしれません。
「孤狼の血 LEVEL2」 
(監)白石和彌
(企P)紀伊宗之(P)天野和人、高橋大典(原)柚月裕子(脚)池上純哉(撮)加藤航平(編)加藤ひとみ(音)安川午朗
(出)松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬、中村梅雀、音尾琢真、毎熊克哉、早乙女太一、渋川清彦、宮崎美子
斎藤工、滝藤賢一、吉田鋼太郎、中村獅童、かたせ梨乃、寺島進、宇梶剛士、三宅弘城、矢島健一
<あらすじ>
刑務所から出た上林は五十子会組長の敵を打つために動き始めます。
そのことを知った日岡は、内定者として使っていた近田を組に潜入させます。
かつて親を残虐な方法で殺した上林は、広島県内の暴力団のバランスを崩しただけでなく日岡も狙い始めます。
しかし、日岡の本当の敵は実は上林ではありませんでした・・・
鈴木亮平による狂気半端なしの演技はこの映画の最重要ポイント!松坂桃李ももちろんそれに迫る狂気で対抗。
負けじと滝藤、村上も奮闘しています。まあ演技合戦をみなさん楽しんでます!中村&宮崎夫妻もまた隠れた名演技。
さすがにストーリーがよくできています!
パート3にも期待します!まだまだいけますね。
音尾琢真と渋川清彦、そして出所するであろう江口洋介にも期待。
「さがす」 
(監)(脚)片山慎三
(EP)豊島雅郎他(P)井出陽子、山野晃他(共脚)小寺和久、高田亮(撮)池田直矢(編)片岡葉寿紀(美)松塚隆史(音)高位妃楊子
(出)佐藤二朗、伊藤蒼、清水尋也、森田望智、石井正太郎、松岡依都美、成島瞳子、品川徹 
<あらすじ>
突然行方不明になった父親、原田を捜す娘。父親の名前を騙って働く男が殺人犯で手配中の男、山内と知った彼女は男を追い始めます。
3か月前、実は山内は病院で原田と知り合い、難病のALSに苦しむ原田の妻を殺していました。 
その後、山内は原田と共に死にたい女性をネットで募集し殺すことで稼ぎ始めていたのです。
娘役の伊藤蒼が見事な演技。切れるシーンでも、唾かけシーンも、迫力満点。
ラストの卓球シーンがなかなかに意味深。様々な事件を上手く取り込んだ物語ですが最後まで読めない展開が素晴らしい!
トイレの森田の着替えのシーンがなんとも泣けました。 
救いのないドラマですが、コメディにも見えるのがこの監督の作品の魅力かもしれません。
「彷徨う魂」
(監)北田直俊
(脚)大木ハルオ(撮)白石みち(音)坂本弘道
(出)杉本凌士、山野はるみ、剛州、高山陽平、生井みづき、磯部康宏 
<あらすじ>
ペットを残虐に殺し、その動画をアップした男。その犯人に猫を殺された男。
妻が猫を殺されたショックで精神を病み、自分も立ち直れなくなり、ついに犯人を狙い始めます。
動物愛護法の改正に合わせて製作された作品。 
ペットを飼ったことがない自分には感情移入が今一つでした。
これは見る人の猫に対する思いにより評価がかなり別れそう。
「スギメ SUGIME (3万年前の航海徹底再現プロジェクト)」(D) 2021年 
(監)(脚)(撮)(編)門田修
(監修)海部陽介(撮)杉浦由典、宮澤京子、妹尾一郎他(音監)濱田豊(制M)三浦くみの(曲)Poet.type,M
(声)宮崎美子、海部陽介、岡本昇 
3万年前の人類がどうやって海を渡って台湾から琉球に移住できたのか?
数々の遺跡が化石の発見により、それが可能だったことが明らかになった今、その再現に挑戦した記録映像。
草の船で失敗。竹の船で失敗。丸木の船でついに成功するまで2016年から2019年までかけての長い挑戦。
丸木の船の優秀さが証明されましたが、それをつくるための木を切るだけで6日間。
ナビゲーションや誘導も許されない3万年前の技術にこだわった奇跡の航海。
それを削って、船にするのにまた長い時間と労力と技術が必要でした。縄文大工の雨宮国広さんの存在は大きかった!
映画としてはなんとも博物館の展示室で見るような編集・構造・音楽なのが残念でした。
作り方によっては、もっともっと素晴らしい映画になった気がします。
タ 
「大怪獣のあとしまつ」 
(監)(脚)三木聡
(撮)高田陽幸(特監)佛田洋(美)磯見俊裕(編)富永孝(音)上野耕路
(出)山田涼介、土屋太鳳、濱田岳、オダギリジョー、岩松了、嶋田久作、菊地凛子、松重豊、染谷将太、二階堂ふみ、西田敏行 
前半の密室会議ダジャレ大会は面白かったし、パロディとしても面白かったんですが、変なラブストーリーから可笑しくなりました。
それに中途半端なシリアス展開も残念。お金をかけずに会議室だけで展開させた方が良かったのか?
でも大金をかけての巨大な失敗作の後始末もまた大変です。これこそパロディ中のパロディか! 
「映画太陽の子」
(監)(脚)黒崎博
(P)コウ・モリ、土屋勝裕他(EP)井上義久、佐野昇平他(撮)相馬和典(美)小川冨美夫(衣)宮本茉莉(編)大庭弘之(音)ニコ・ムーリー
(主歌)福山雅治「彼方へ」(声)ピーター・ストーメア(アインシュタイン)
(出)柳楽優弥、有村架純、三浦春馬、田中裕子、イッセー尾形、三浦誠己、國村隼、宇野祥平、渡辺大知、葉山奨之、奥野瑛太、山本晋也
原子爆弾の開発に挑んだ京大の学生たちの物語。NHKのドラマを映画版として作り直した作品。
アメリカに先行して開発することを目的に海軍からの委託で研究を続けていた。
途中で無理とわかっていたが、教授は若い才能を死なせないために開発をあえて続けた。(戦地に行かせ犬死にさせないため)
科学者として戦争でどうするべきだったのか?
自分たちの研究結果を広島で目にした研究者の衝撃はどれほどだったのか?
でも今の研究者はそのことを知って研究しているはず。ラストのアインシュタインとの脳内対話が良い。
思った以上に深く考えさせる作品でした。 
でも三浦春馬ファンにはそれ以上に重い作品のはず、彼が戦地に向かうシーンには泣かされます。(戦地というより、死へと向かうように思えます)
「ちょっと思い出しただけ」 
(監)(脚)松居大悟
(製)太田和宏(P)和田大輔、沢村敏(撮)塩谷大樹(美)相馬直樹(編)瀧田隆一(振)皆川まゆむ
(出)池松壮亮、伊藤沙莉、河合優美、大関れいか、尾崎世界観、成田凌、國村隼人、永瀬正敏、市川実和子、高岡早紀、菅田俊、神野三鈴、渋川清彦
(主題歌)「ナイト・オン・ザ・プラネット」(演)クリープ・ハイプ(曲・詞)尾崎世界観
「君の部屋」「さっきの話」(演)クリープ・ハイプ(曲・詞)尾崎世界観
「ex.ダーリン」(演・曲・詞)尾崎世界観 
<あらすじ>
2022年7月26日主人公で元ダンサーの佐伯照生の誕生日の出来事から、1年ごとに過去へと遡り、彼の6年間の誕生日を振り返ります。
彼女だったタクシー運転手、野原葉との別れ、恋愛、出会い・・・が思い出されて行きます。
ノスタルジックでいて、けっしてあざとい恋愛ドラマにはならず・・・現実を生きることへの肯定でもある素敵でほろ苦い人生ドラマ。
ジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」から生み出された名曲を元に脚本が書かれた映画というのも味噌。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」とは違いますが、どっちも大好きです。
なぜ時間を逆回転にしただけで、こうも感動してしまうのか?
「思い出す」という行為にそれだけで泣ける要素があるのかもしれない。 
ドライブ・マイ・カー Drive My Car 
(監)(脚)濱口竜介
(P)山本晃久(AP)(原)村上春樹(脚)大江崇允(撮)四宮秀俊(美)徐賢先(編)山崎梓(音)石橋英子
(出)西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生、パク・ユリム、ジン・デヨン、ソニア・ユアン、アン・フィテ、ペリー・ディゾン、安部聡子
<あらすじ>
俳優で演出家でもある家福は、かつて娘を失くし、その後2年前に脚本家だった妻をくも膜下出血で失くしていました。
アジア演劇祭での演出をすることになった彼は、その開催地、広島でしばらく暮らすことになります。
緑内障で視力が落ちていた彼のため、練習会場への送迎のため運転手の女性、渡利が準備されていました。
彼女の完璧な運転テクニックでの移動中、彼の日課となる亡き妻の残した芝居の録音テープとの練習が始まります。 
カンヌ国際映画祭脚本賞
村上春樹の原作に加えられたドラマが見事!それにより映画としての魅力が大幅に増しました。カンヌ脚本賞も納得です。
多言語による「ワーニャ叔父さん」の演劇、亡き妻の音が語る空き巣女子高生の物語、ドライバーの渡利の故郷での悲劇の物語などが複層的に折り重なっています。
3時間の長さですが、3本の異なる映画を見ているようでもあり、まったく飽きません。
広島に舞台を移したことで、映像的にも魅力的になり、香港、韓国、フィリピンなど多国籍の登場人物設定もより魅力的にしています。
一年後のコロナ禍の韓国を舞台にしたシーンは、ワーニャ叔父さんのようにドラマにエンディングはあっても人生はそうはいかない。
苦しくても、厳しくても、コロナ禍でも続くが、それでも生きなければいけない!そんなメッセージと捉えました。
アントン・チェーホフ恐るべし!この映画のもう一つの原作は「ワーニャ叔父さん」なのです。
ハリウッドやヨーロッパの映画家たちが評価する理由がわかりました。
演劇好きにはたまらない映画内演劇という構造。それも演劇の基本、チェーホフへのオマージュ作品でもあること。
人種間、民族間、国家間の溝が深まりゆく21世紀世界に対し、多言語社会の融和を試みる演劇への共感。
アメリカの映画人には、彼らの心の故郷とも言える「ロード・ムービー」的展開もうれしかったはずです。
「BLUE/ブルー」  
(監)(脚)吉田恵輔
(企P)岡田真、木村俊樹(撮)志田貴之(美)山崎輝(編)清野英樹(音)かみむら周平(B指導)松浦慎一郎
(主題歌)竹原ピストル「きーぷ、うぉーきんぐ!!」
(出)松山ケンイチ、東出昌大、木村文乃、柄本時生、よこやまよしひろ、守谷周徒、松浦慎一郎
<あらすじ>
日本チャンピオンに挑戦する小川は脳に傷害が出来つつありますが、恋人の千佳と結婚することに。
ジムで教える立場にもありながら、いつまでも勝てない万年青コーナーの瓜田はやめることを考えていました。
ボクシングやってる風を目指して入門した楢崎はいつしか本気でボクサーを目指し始めます。 
30年ボクシングを続けていたという監督の吉田恵輔が脚本も書いただけあり、リアルでボクシング愛にあふれた作品。
挑戦者(青コーナー)の物語だけに、とにかく登場人物が負け続けます。ボクシングは負けるスポーツです!
松山ケンイチの絞り具合は東出の比ではない!でも東出のボクシングは凄いです。楢崎には勝ってほしかった!
「ボクシング映画に駄作なし」はやはり正しかった!
ボクたちはみんな大人になれなかった(N)  
(監)森義仁
(EP)坂本和隆(P)山本晃久(原)燃え殻(脚)高田亮(撮)吉田明義(美)林田裕至(セットD)郡司英雄
(編)岩間徳裕(音)TOMISIRO
(出)森山未來、伊藤沙莉、篠原篤、東出昌大、萩原聖人、SUMIRE、平岳大、高嶋政伸、大島優子、ラサール石井
1990年代から2020年まで、小説家になりたかった青年とフツ―を嫌う少女の恋から始まる物語。
過去へとさかのぼる作りが新鮮で、スマホ、携帯、PHS、ポケベル、電話へと小道具もさかのぼるこだわりもグッド!
音楽も映像も小道具も衣装も美術も演技もセットもよくできました!フツ―の女子伊藤沙莉ちゃんが可愛すぎ。
さすがにネットフリックス。しっかりとこだわって作られた作品です。
小沢健二、堀米康行の音楽がしみます。ドライブ途中に日が暮れるシーンの映像はカットと言い、色と言い忘れがたい!
「鳩の撃退法」
(監)(脚)(編)タカハタ秀太
(製)高橋敏弘、藤田浩幸他(P)浅岡直人(原)佐藤正午(脚)藤井清美(撮)板倉陽子(美)佐々木健一(音)堀米高樹 
(出)藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、岩松了、豊川悦司、坂井真紀、リリー・フランキー、村上淳、浜野健太、佐津川愛美、濱田岳、ミッキー・カーティス
元直木賞作家でが3年間作品を発表せずバーテンをしている津田。彼が書いている新作を読んだ編集者の鳥飼はその内容を調べます。
前作は実際の事件でそれが訴訟事件に発展した経緯があったからです。そして、小説は実際に起きたことであることが明らかになります。
そして、それは現在進行形であることもわかります。
偽札事件、一家失踪事件が津田と何の関係があるのか?地味に豪華な俳優たちが楽しく見事な配役です。
藤原は安定のくず男ですが、風間も含めて少々わざとらし過ぎ・・・。
それに比べると、西野七瀬、佐津川愛美、土屋太鳳、坂井真紀の女優陣が魅力的です。 
 マ
「街の上で」 (製作は2019年) 
(監)(脚)今泉力哉
(製)遠藤日登思、K・K・リバース、坂本麻衣(脚)大橋裕之(撮)岩永洋(音)入江陽(主題歌)ラッキーオールドサン「街の上で」
(出)若葉竜也、穂志もえか、古川琴音、萩原みのり、中田青渚、成田凌、村田由規乃 
オール下北沢ロケによる青春映画。
アート、本、音楽、芝居、映画、サブカルの街への愛が満ちた作品で大好きです。
主演の若葉竜也の魅力大でその周りの女性たちがまたじつに魅力的です。
ラストはもっと盛り上がるまとめもできたはずですが、それをやらない奥ゆかしさも好きです。
変わる街、下北沢も心の中では変わらずにいると良いのですが・・・
「護られなかった者たちへ」 
(監)(脚)瀬々敬久
(企P)筒井竜平、福島大輔(原)中山七里(脚)林民夫(撮)鍋島淳裕(美)松尾文子(衣)越智雅之(編)早野亮(音)松村崇継(主歌)桑田佳祐「ミスター・ムーンライト」
(出)佐藤健、阿部寛、清原果耶、倍賞美津子、林遣都、吉岡秀隆、永山瑛太、緒方直人、岩松了、浪岡一喜、井之脇海、原日出子、奥貫薫、宇野祥平
西田尚美、千原せいじ、鶴見慎吾、三宅裕司、石井心咲(カンちゃん)、黒田大輔 
<あらすじ>
東日本大震災から10年後、全身を縛られ放置され餓死させられる事件が連続発生。いずれもかつて福祉保険事務所で働いていたことが明らかに。
犯人として浮上してきたのは、二人によって生活保護を受けられなかった後、餓死した老女の知人男性。
彼はその保険事務所への放火により刑務所に入っていたことも明らかになります。しかし、この頃、次の犠牲者が生まれそうになっていました。
生活保護、東日本大震災、家族、連続殺人事件、貧困日本・・・様々な問題を2時間14分にまとめた社会派犯罪映画の傑作
このタイプの作品は瀬々監督の得意分野!
佐藤、阿部、清原、倍賞の四人の演技は文句なし!物語の説得力が違います。真犯人をわからなくさせた佐藤は文句なしの名演技!
それ以外の贅沢な脇役陣も贅沢過ぎる使い方でスキなし。
唯一問題があるとすれば、さすがに清原ちゃんにあの殺人方法は無理があることぐらいか。 
「ヤクザと家族 The Family」 
(監)(脚)藤井道人
(製)河村光庸(撮)今村圭佑(美)部谷京子(編)古川達馬(衣)宮本まさ江(音)岩代太郎
(出)綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村優斗、菅田俊、豊原功補、寺嶋しのぶ、岩松了、駿河太郎
<あらすじ>
父親を失い自暴自棄になりヤクザの麻薬を奪い、殺されそうになっていた山本は、柴咲組の組長に救われます。
組員となった山本は、組の顔となりますが、組同士の抗争が始まり、組長が殺されかけます。
殺された弟分大原の敵を討つため、山本は対立する組の若頭を殺し、刑務所に入り14年の時が過ぎます。
その時、恋人になっていた大学生の由香に金を残しますが、その時、二人の間には・・・
出所した山本は、暴対法などにより、ヤクザが消え去りつつあることを知ります。 
藤井作品らしい街の映像が美しい。ヤクザ映画でもやはり「藤井作品」らしさがありました。(ちょっと真面目過ぎる点も含め)
ヤクザ社会の変化を追った日本版の「グッドフェローズ」といった感じのスケールの大きな作品。
オープニングがラストにつながる予想はつきましたが、その後の続きが良かった! 
俳優陣は、綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、市原隼人、それに磯村優斗がまた素晴らしい!岩松了のいやらしさもなかなか。
「ライアー×ライアー」 
(監)耶雲哉治
(EP)豊島雅郎(原)金田一蓮十郎(脚)徳永友一(撮)豊納正俊(編)武田晃(音)遠藤浩二(主題歌)SixTONES
(出)森七菜、松村北斗、小関雄太、堀田真由、相田翔子、竹井亮介
<あらすじ>
女癖の悪い義理の父の連れ子の心を入れ替えさせようと、ギャルに変身して恋人になった姉。
意外なことに弟は、そんな姉が化けたギャルに一目ぼれし、他の恋人とすべて別れてしまいます。
姉もいつしかそんな義理の弟にひかれ始めてしまいます。 
義理の兄妹に恋してしまった主人公のラブ・コメですが、脚本(原作)が実にうまくできています。
おバカなラブストーリーと思わず、見てほしい作品です。森七菜がまあ可愛い!イケメン二人もキュンときそう。 
「竜とソバカスの姫」 BELLE (アニメ)
(監)(原)(脚)細田守
(企)(制)スタジオ地図(CGキャラD)ジン・キム、秋屋蜻一(作監)青山浩行(CGD)堀部亮、下澤洋平(美監)池信孝(美)上條安里(音)岩崎太製
(声)中村佳穂、成田凌、染谷将太、佐藤健、役所広司、玉城ティナ、幾田りら、森山良子、清水ミチコ、森川智之、宮野真守、津田健次郎
<あらすじ>
6歳の時、母親を川の事故で亡くし、それ以来、立ち直れずにいた女子高生すずは、ネット上の仮想世界Uでベルという歌手とした活動し大人気です。
ある日、彼女が歌うライブにU内で暴れ続ける「竜」が乱入。彼女は彼が誰なのかが気になり、友人と共に彼の正体を調べ始めますが・・・ 
「サマーウォーズ」の世界観や高揚感が戻ってきた感じがする力作。今回はバトルではなく、歌の力というのが新しい。
中村佳穂の歌声がそれを可能にしました。
「美女と野獣」だったり「風の谷のナウシカ」だったり「サマーウォーズ」だったりしますが、ベルの歌声には胸が熱くなりました。
映像の美しも圧倒的です、ただ東京への旅は彼女一人でなぜ行かせたのか?ちょっと疑問です。
2022年 
 
「アイドル」(NHKスペシャル・ドラマ) 
(作)八津弘幸(演)鈴木航(振)梅棒、Suzuyaka(タップ)HideboH(音)宮川彬良、及川眠子
(出)古川琴音、山崎育三郎、愛希れいか(元宝塚)、椎名桔平、正門良規、宮川彬良(ピアノ弾き)
実在のアイドル、明日待子の半生を描いたドラマ。それまで存在しなかった「アイドル」としてのスターとなった元祖と言われる存在。
新宿の劇場ムーランルージュが舞台。古川琴音の記念すべき初主演ドラマ。 
台本の八津弘幸は、「半沢直人」など池井戸潤原作ドラマシリーズの脚本家。さすがに面白い。そして感動しました。
「空気、めし、ムーラン」
「雨を告げる漂流団地」(アニメ)
(監)(脚)石田裕康(制)スタジオ・コロリド
(演)渡辺葉、間崎渓、木村拓他(脚)森ハヤシ(キャラD)永江彰浩(作画監)近岡直、西村幸恵、加藤万由子、荻野美希他(美監)稲葉邦彦(音)阿部海太郎
(音監)木村絵里子(色設)広瀬いづみ(編)木南涼太(撮監)町田啓
(声)田村睦心、瀬戸麻沙美、村瀬歩、山下大輝、小林由美子、水瀬いのり、花沢香菜、島田敏、水樹奈々 
<あらすじ>
両親の離婚のため安じいの家に預けられていた夏芽は同じ家に住む航佑と幼馴染として育ちました。
しかし、二人が住んでいた団地は取り壊しになり、夏芽は母親のもとに戻り、二人の関係は疎遠になっていました。
そんなある日、友達と取り壊し前の団地に来た航佑は、団地の中で夏芽と出会います。
そして屋上でみんなが集まった時、夏芽が屋上から転落。その時、突然大雨となり、気が着いた時 団地は海の上を漂流していました。
団地の亡霊(座敷童?)に引き込まれた少年少女と仲間たちのひと夏の夢体験。
「ペンギン・ハイウェイ」のチームによる想像力にあふれたスケールの大きな新しいファンタジー・アニメ。
もう少し、それぞれの思いでの場所を漂流・接近させると良かったのでは?
とにかく落ちそうになって、それを引っ張り上げるシーンが多すぎるのでは?
「海の見える理髪店」 (NHKスペシャル・ドラマ)
(演)森ガキ侑大(原)荻原浩(脚)安達奈緒子(音)森優太
(出)柄本明、藤原季節、水野美紀、眞島秀和、尾上寛之、片岡礼子、玄理、中島歩 
岩手?海の見える高台にある理髪店の店主とそこを訪れた青年の対話。
店主の昔話から始り、彼の半世紀が語られ、彼が殺人犯であることまで明かされます。
なぜ、そこまで語るのか?それは語らなければならない理由があったからでした。
映画にするような題材ではないかもしれませんが、画面の雰囲気といい俳優陣の演技といい、十分に映画館で見られるクオリティーの作品です。
一昔前なら主人公は高倉健だったかも、二人目の奥さんはもちろん倍賞千恵子。 
「仮面ライダー BLACK SUN」(配信シリーズ・ドラマ)
(監)白石和彌(企P)古谷大輔(原)石ノ森章太郎(脚)高橋泉(撮)馬場元(美監)今村力(編)加藤ひとみ(特)田口清隆(音)松隅ケンタ
(出)西島秀俊、中村倫也、中村梅雀、吉田羊、三浦貴大、平澤宏々路、プリティ太田、音尾琢真、濱田岳、ルー大柴、尾見としのり、中村蒼、寺田農
<あらすじ>
戦時中、日本軍の化学兵器開発部隊によって開発された「怪人」。その秘密は敗戦によって消されましたが、その源となる二つの石は残された。
1972年日本には怪人が多くいて、彼らは差別の対象となっていた。そんな彼らが団結し、抗議活動を行い、彼らを生み出す「創世王」を奪還。
「創世王」を隠し持ち 、総理大臣の息子を誘拐した怪人グループは革命を始めようとしますが・・・
3つの時代の特徴を見事に生かして、差別問題を盛り込んで作り上げた「怪人がいる並行世界」の物語。
かなりのグロさで展開するシーンですが、そこは昔っぽい作り物っぽさがあるので怖くはありません。
もう少しお互い妥協できないものかなあ?その間に立つキング牧師敵人物にも登場して欲しかった。
これじゃあ、本当に永遠に戦いは終わらないように思えます。
「シン・ウルトラマン」 
(監)樋口真嗣(監修)(製)(企)(脚)(編)庵野秀明
(製)塚越隆行、市川南(EP)臼井央、黒澤桂(撮)市川修、鈴木啓造(美)林田裕至、佐久嶋依里(D)前田真宏、山下いくと(編)栗原洋平
(VFXSバイザー)佐藤敦紀(音)宮内國郎、鷺巣詩郎(主歌)米津玄師「M八七」
(出)斎藤工、長澤まさみ、田中哲司、西島秀俊、有岡大貴、早見あかり、山本耕史、岩松了、嶋田久作、竹野内豊、白石和彌(居酒屋の店長)
(声)高橋一生、津田健次郎、山寺宏一
<あらすじ>
次々と日本に現れる謎の巨大生物。その「禍威獣」を倒すために「禍威獣特設対策室」が設置されます。
電気を食べるネロンガが暴れる中、謎の人間型巨人が現れ、ネロンガを倒します。その銀色の巨人は「ウルトラマン」と名づけられます。
地底怪獣ガボラもウルトラマンが倒し、正義の見方かもしれないと思われます。
ところが、ウルトラマンに次いで地球に現れ、友好関係を築いた外星人ザラブ星人は、ウルトラマンに変身し、彼を悪者にしてしまいます。
誘拐されていたウルトラマン(神永)は、バディーの浅見に助けられ、偽ウルトラマンを倒します。
<登場した禍威獣>
ゴメス、マンモスフラワー(ジュラン)、ペギラ、ラルゲユウス、カイゲル(ゴーガ)、パゴス (ここまでは「ウルトラQ」)
ネロンガ、ガボラ、ザラブ星人、メフィラス星人、ゾフィー、ゼットン(「ウルトラマン」)
神永の机の上には「ルドルフ・シュタイナー」の伝記。 一人で読んでいたのはレヴィストロースの「野生の思考」
オープニングは「シン・ゴジラ」から「シン・ウルトラマン」へ。「ウルトラQ」から「ウルトラマン」へとドラマは移行し、本題へと移ります。
ウルトラマンのスタイルはやはり「エヴァ」?ガボラのデザインが斬新。
ウルトラマンをゼットンの回まで含めて一本にまとめた見事な脚本に仕上がっています。凄い手腕。
「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」
「新聞記者」(Nシリーズ6話) 
(監)(脚)藤井道人
(EP)坂本和隆、高橋信一(企P)河村光庸(P)佐藤順子、山本礼二(撮)今村圭祐(美)部谷京子
(衣)宮本まさ江(編)古川達馬、前田径成(音)岩代太郎
(出)米倉涼子、横浜流星、綾野剛、寺島しのぶ、小野花梨、ユースケサンタマリア、佐野史郎、吉岡秀隆、田口トモロヲ、吹越満
田中哲司、大倉孝二、萩原聖人、柄本時生、でんでん、利重剛、須藤理彩、野間口徹、岩松亮、土村芳、ふせえり、菅原大吉
橋本じゅん
俳優が豪華なだけでなくそれぞれが入魂の演技!
<正義>米倉涼子(祝ドクターX卒業!)横浜流星(彼のおかげで多くの女性が見ることに!)小野花梨(流星よ彼女を追え!)
<悪役>ユースケサンタマリア、佐野史郎、岩松亮、田中哲司、官房長官と顔を見せない謎の総理大臣!
<板挟み>この作品の主役とも言えるのが、板挟みになった人々です!
綾野剛(最後までイライラさせるもラストの涙は素晴らしかった!)吉岡秀隆(赤木ならぬ鈴木ファイルの悲劇)
田口トモロヲ、大倉孝二、利重剛、菅原大吉、その他、ほとんどの登場人物は何かの板挟み。
この作品が大ヒットしてもそれがマスコミをどれだけ取り上げるか?そこにもこの作品の価値がありそうです。
6話完結だからこそ可能になった多角的な視点。(新聞関係者、若者、保守層、一般大衆・・・)
ネットフリックスだからこそ可能にだった?実際の事件「森友学園問題」への接近。
赤羽の街が登場しています! 
「東京2020オリンピックSIDE:A」
「東京2020オリンピックSIDE:B」
(総監督)河瀨直美
(音楽・主題歌)藤井風
<A>
開会式、シリア難民の水泳選手、カナダのママさんバスケ選手、女子バスケ代表とホーバスコーチ、オリンピックの原点回帰となったスケボー
母国を棄てモンゴル代表として銀メダルを獲得した柔道家、旧ソ連、ウズベキスタン、ドイツから出場しメダリストとなった女子跳馬選手
国旗に背負向けても代表入りした黒人女子ハンマー投げ選手、ハーバード大の女子200mランナー、沖縄の魂、空手代表、喜友名
波に乗るのではないエネルギーに乗るサーフィン、アスリートではなく柔道家でありたい柔道大野正平・・・
スポーツが好きで、河瀨直美監督の作品が好きなら、けっして悪くない作品です。
様々なオリンピックの批判に影響されずに見て欲しい作品。
<B>
選手村のレストラン、南スーダンの帰れない選手たち、桃田の事故、東日本大震災で命の危機にあった東野有紗、渡辺勇大ペア
森大会委員長の女性蔑視発言、その後、続いた演出チームの脱退、女子マラソンのスタート時間変更、バッハの広島訪問
オリンピックへの反発の中開催されたオリンピックの様々な問題を描いた記録。
今はまだ抵抗があっても、10年すれば貴重な記録として、撮っておいてよかったと思えると思います。 
「ハケンアニメ!」
(監)吉野耕平(原)辻村深月(脚)政地洋佑(製)須藤泰司、高橋直也、木村麻紀(ナ)朴璐美(撮)清久素延(編)上野聡一(音)池頼広
(アニメ)Production I.G.(アニメ監)梅澤淳稔(美)神田諭(衣)遠藤良樹
(出)吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子、柄本佑、小野花梨、工藤阿須加、高野麻里佳、前野智哉、古館寛治、徳井優、六角精児、矢柴俊博
「サウンドバック 泰の石」VS「運命戦線 リデルライト」
アニメ界の人気者、王子作品に新人斉藤が挑んだアニメ戦争を描いたアニメ制作現場の群像劇。
日本のアニメ界がいかに作品作りに精魂を込めているのかが、熱く濃く描かれた傑作。これは思った以上に面白かった!
吉岡里帆、中村倫也は共にはまり役。柄本佑は、最後に持って行きますので要注意。
それにしても「派遣アニメ」とはこれまたアニメ界のブラック体質を赤裸々に描いた問題作なのかと思ってました!
完全に正反対でした。失礼しました。でも実際はそうなってますけどね。
「バブル」(N) (アニメ)
(監)荒木哲郎
(企・P)川村元気(制)WIT STUDIO(脚)虚淵玄(キャラD)小畑健(音)沢野弘之
(声)志尊淳、広瀬アリス、りりあ。、宮野真守、梶裕貴、畠中祐、千本木彩花、逢坂良太、井上麻里奈、三木眞一郎 
「人魚姫」「崖の上のポニョ」「天気の子」「アキラ」「未知との遭遇」+パルクール+「渦巻」(宇宙、銀河、生命、遺伝子・・・)
リアルにバブルな東京の映像が実に魅力的です。「アキラ」の東京と少年たちとの関係に似ています。
もっと奥深く東京バブル地帯の説明、背景、歴史などを描いても面白かったはずですが、そこはあえてカットして、パルクールに徹して正解?
アニメ・シリーズ化するのもあり?もっと知りたいこともありますが、そこをバッサリ切ったのも正解かも?
歌がもう少し魅力的なら良かった? 
荒木哲郎&WIT STUDIOは「進撃の巨人」の制作チーム。なるほど!納得
「PLAN75」
(監)(脚)早川千絵
(EP)小西啓介、フレデリック・コルベス他(P)水野詠子他(原・脚・P)ジェイソン・グレイ(撮)浦田秀穂(編)アン・クロッツ
(美)塩川節子(SD)フィリッペ・グリベル(音)レミ・ブーバル
(出)倍賞千恵子、磯村勇斗、ステファニー・アリアン、たかお鷹、河合優実、串田和美、大方斐紗子
<あらすじ>
高齢者の人口が増え、社会が支えきれないとして、75歳以上に自らの死を選択できる権利を与えることになった近未来。
職を失い、家を失い、家族がいない78歳の女性がそのPLAN75を選択します。
彼女の手続きを担当した窓口の担当者。偶然、彼が見つけたPLAN75を選択した父親の弟。
彼女のカウンセリングを担当した女性。
彼女の死後、その遺体を処理する仕事についたフィリピン人女性。
カンヌ国際映画祭カメラドール特別表彰
それぞれの視点で、その悲しいシステムに関わる人々と日本社会を描いた重い社会派映画。
監督は新人の早川千絵。WOWOWから脱サラして45歳でデビュー。 
音楽、サウンド・デザインが印象的。
もちろん倍賞千恵子の役者魂も素晴らしい!天国で渥美清も喜んでいるはずです。
 マ
「マイスモールランド」 
(監)(作)川和田恵真
(製統)藤並英樹(P)倉崎憲、伴瀬萌(撮)四宮秀俊(編)普嶋信一(美)徐賢先(音)Roth Bart Baron(クルド語監修)ワッカス・チョーラク
(出)嵐莉奈(リナ・カーフィザデー)、奥平大兼、アラシ・カーフィザデー、サヘル・ローズ、藤井隆、池脇千鶴、平泉成、韓英恵、板橋駿谷
ベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞
クルド人難民としての申請が却下されたため、仕事も失い、自由も失った家族とその周りの人々の物語。
救いのない物語ですが、主演二人が魅力的!わきを固める俳優も地味ながらいい味を出しています。 
監督(英国、日本)、嵐莉奈(ドイツ、イラン、日本)と多国籍な映画で、日本映画の今後もに影響を与えてほしい作品。
「マイ・ブロークン・マリコ」 
(監)(脚)タナダユキ
(EP)小西啓介(原)平庫ワカ(脚)向井康介(企)(P)永田芳弘(P)米山加奈子、熊谷悠(撮)高木風太(美)井上心平(編)宮島竜治(音)加藤久貴
(出)永野芽衣、奈緒、窪田正孝、尾身としのり、吉田羊
<あらすじ>
ブラックな会社の営業で働くシノイトモヨはある日幼馴染で唯一の親友イカガワマリコが自殺したことを知ります。
慌てて彼女の部屋に行くと、もう彼女の私物も遺骨も実家に移されていました。
しかし、その実家の父親はDVを繰り返しついには彼女に性的暴行も加えた最低の男でした。
トモヨは彼女の実家からマリコの遺骨を奪うとそれを持ってかつたマリコが行きたがっていた海の見れる「まりこが岬」へと向かいます。 
永野芽衣のイメージを覆すハードボイルドな女子キャラが素晴らしく、彼女の女優としての進化に感動。
壊れたマリコを演じた奈緒のはかない演技も素晴らしい。それに比べると、窪田の役が少々物足りなく見えるのは仕方ないか?
トモヨのその後が知りたいので、是非続編も撮ってほしい! そう思わせる愛すべきキャラクターが誕生しました。
トモヨはもう少しセリフ少な目で寡黙にしてもハードボイルドでカッコ良かったのかな?でもダメっぷりもまた可愛かった!
とにかくトモヨのファンになりました!
「山女」TV版
(監)(脚)福永壮志
(制統)安田慎(P)家富未央、三宅はるえ、Eric Nyari(脚)長田育恵(撮)Daniel Satinoff(照)宮西孝明(美)寒河江陽子(編)Christopher Makoto Yogi
(音)Alex Zhang Hungtai(時代考察)佐多義彦(撮影場所)岩手県遠野市、山形県高畠町、戸沢村など
(出)山田杏奈、森山未來、二ノ宮隆太郎、山中崇、永瀬正敏、でんでん、品川徹、川瀬陽太、白川和子
東北中心に残る民話「山女」とは?「神隠し」とは?その真実に迫ったリアリズムタッチのドラマ。
撮影が美しく、不気味な音楽も新鮮。主役の山田杏奈は、女優としての記念となる作品になるかもしれません。
三浦透子が出てくる場面などが、映画版には追加されるのでしょうが、それでも十分に面白いです!
小野和子著「あいたくて ききたくて 旅にでる」はそんな民話を採集し続けた女性の記録です。 
2023年
「ちひろさん」(N)
(監)(脚)今泉力哉
(EP)岡野真紀子、佐藤奈穂美、豊島雅郎(P)山野晃、中里友樹(原)安田弘之(脚)澤井香織(撮)岩永洋(編)佐藤崇(美)井上心平
(衣)江口久美子(フードS)飯島奈美(録)根本飛鳥(音)岸田繁(主歌)「愛の太陽」(演)くるり(詞)(曲)岸田繁
(出)有村架純、豊島花、嶋田鉄太、Van、若葉竜也、佐久間由衣、長澤樹、市川実和子、リリー・フランキー、鈴木慶一、根岸季衣、平田満、風吹ジュン 
<あらすじ>
元風俗嬢のちひろさんは、港のある街(焼津)の弁当屋で働く人気者。
居場所のない女子高生、不登校の女子高生、鍵っこの悪ガキ、ホームレスのオジサン、孤独な労働者たちが彼女の周りに集まってきます。
みんなに優しく接する彼女ですが、本人の心の中は空っぽでした。なぜ彼女はそうなってしまったのか?
コロナの季節が終わり、人々には今まで以上にハグが必要なのかもしれない!そう思わせてくれるほんのりと心が温まる映画。 
悪ガキ、女子高生などの演技の素晴らしさに感動しました。もちろん有村架純の魅力全開です。
透明感が凄すぎて、心の空虚さが丸見えでした。凄い女優さんです。
「テレビとはあついものなり」- 放送70年 TV創世記-NHKスペシャル
(制統)新延明(演出)新田真二(P)小林正知(D)網秀一郎、大久保圭祐(編)梅本京平(音)江藤直子(撮)杉山古克、渡瀬竜介
(出)三浦貴大、塚本高史、大倉孝二、藤野涼子、中村靖日、浜野健太、坂本冬美、間寛平、黒柳徹子、太田光
宮田輝、高橋圭三らNHKのテレビ草創期のテレビマンの苦労を再現したドラマ&ドキュメンタリー
ゼロからの立ち上げの苦労はわかるものの放送されていた番組は、どれも面白くなさそうでした。
結局、そのレベルを上げたのはアメリカのTVを真似て作った音楽バラエティー「夢で逢いましょう」のような番組だったのかもしれません。
ニュースのアナウンサーも最初は画面に映らず原稿だけを読んでいたとのこと。それでも良い気もしますが・・・
スタジオ録画の番組中にカメラマンが観客にカメラを向けてその反応を撮ったシーン。
そこからテレビは観客も含めて作る作品という共通認識ができた!そこは感動もの。
確かにレベルは低かったものの、そこから楽しみながら、苦しみながら、少しづつレベルを上げてきたのは楽しい工程だったのでしょう。  
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