- あがた森魚 -

2002年8月24日改訂

<最初の出会い>
 あなたの歌を最初に聴いたのは、やはりあの「赤色エレジー」です。当時30万枚を売り上げたこの大ヒット曲を歌うあなたを、僕はテレビで見たのを覚えています。まるで寺山修司の芝居のような異様な雰囲気は、小学生の僕にとってとうてい理解不能であり、その強烈なインパクトだけが、僕の脳裏に残ったものです。

<15年後の再会>
 そして15年が過ぎ、僕が再びあなたの作品と出会ったのは、吉祥寺にあった芽瑠璃堂という輸入盤専門店でした。その頃、すっかりその店の常連客になっていた僕は、店長の井上さんに「鈴木君、あがた森魚のこれ絶対いいから聴いてみな」と言って買わされたのが、名作「バンドネオンの豹」でした。その前にアストル・ピアソラのタンゴ・ゼロ・アワーを聴いていたので、タンゴの面白さはわかっていたのですが、あなたの作品は僕の想像を遙かに超えていました。それは一般的なタンゴのアルバムとはまったく違うものでした。

<「バンドネオンの豹」>
 まるでそれは「耳で聴く映画」でした。目を閉じると、そこには戦前のパリの町並みが見え、オリエント急行や凱旋門、万国博覧会会場などが、映画のワンシーンのように次々に現れました。かつて、「トミー」「ザ・ウォール」のように傑作アルバムが舞台化されたり映像化されたりしたことがありましたが、あなたの作品はそんな映像化を必要としないほど、映像とドラマにあふれた作品でした。

<「日本少年」>
 その後、僕はあなたの復刻アルバムを買い始めました。そして二枚組の大作「日本少年」と出会い、再び驚かされてしまいました。
「この人、僕の趣味といっしょじゃないの!」
その頃、毎年世界各地に冒険旅行に出かけていた僕にとって、そのアルバムは、まるでテーマ・ソングのように聞こえたのです。インド、バリ、トルコなど、世界を旅する「日本少年」が少年の頃に、夢みた冒険がそこにはありました。

<モロッコへの旅>
 90年に僕はモロッコ、スペインへ一人旅に出かけました。出発前、僕が旅行の計画を立てている頃、たまたま買った某音楽雑誌にあなたと細野晴臣氏との対談が載っていました。その中で、あなたはついこの間、シルクロード経由でいよいよブームになりつつあったライの故郷マグレブへの旅をしてきたと言っていました。
「やられた。先に行かれちゃったよ!」
こうして生まれた作品が、「ミッキーオの伝説」それと「雷蔵参上」でした。
(「雷蔵参上」は、あがたが元じゃがたら、当時ビブラストーンのギタリスト、OTOと組んだプロジェクトで、ライありクロンチョンありの隠れた名作でした!)

<その後の出会い>
 その後も、僕はあなたをいろいろなところで見てきました。
 池袋サンシャイン・シティ・プラネタリウムで行った星を見ながらのロマンチックなコンサート、渋谷クワトロでの中東からの帰還コンサート、それに小樽の文学館で行ったミニ・コンサートを見せていただきました。(三回とも、うちの奥さんと一緒でした。その点でも感謝しております)そうそう、そのうえ、あなたはかつて小樽に住んでいたこともあるわけですから、もともと他人とは思えない存在でした。

<あがた森魚の功績>
 あなたは、音楽だけでなく文学、映画なども含めた総合的なアーティストとして、多くの人々を「あがたワールド」へと導き、その中の多くの人々を、空想世界だけでなく現実の世界における冒険へと旅立たせてくれました。僕もそのひとりです。微力ながら、僕もこのサイトで、同じように何人かの人々を本当の冒険の世界へと導けたら、と考えております。「英雄列伝」なんてコーナーに入れられるのは迷惑だとあなたに怒こられそうですが、僕にとっては、やっぱり大切な英雄なのです。

<ライブ・イン・小樽>2002年6月追記
 久しぶりに、ライブを見せていただきました。やっぱり、あがたさんは小樽のイメージにピッタリです。カルメン・マキさんも久しぶりでしたが、よりソウルフルになって素晴らしい歌声でした。二人のデュエットは、かつての文学少年が、憧れの不良少女についに出会った至福の時、という感じで実に魅力的でした。おまけに久保田真琴さんまでゲストで登場するなんて!贅沢過ぎでした。あがたさん、やっぱりあなたはミュージシャであると同時に日本の最高峰のアーティストです!

<ライブ&トーク・イン・小樽>2002年8月追記
 なんと一年で2度目のライブ!と言っても今回は沼田元気さんとのトークも交えたライブでしたが、歌の方もしっかり聞かせていただきました。それにトークも沼田さんのつっこみのおかげでかなり、人間「あがた森魚」に迫るものになっており、小樽に向けた思いも含めて非常に楽しく且つ感慨深い2時間でした。ありがとうございました。

<締めのお言葉>
「菫礼菫礼雄は20世紀に生まれた20世紀の児童である。菫礼雄の音楽こそは、菫礼雄の夢こそは20世紀の児童とともに発育し、今、20世紀の終わりに向けて、まっすぐに突き抜けようとしている。…」
「菫礼礼少年主義宣言」 あがた森魚(新宿書房)

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