「冒険者たち Aventuriers」 1967年

- ロベール・アンリコ Robert Enrico 、フランソワ・ド・ルーベ Francois De Roubaix -

<これぞ、青春映画>
 これぞ青春映画です。しかし、登場人物はそう若くはありません。どちらかというと悔いなく生きた青春時代の終わりを描いた青春時代後期の物語というべきでしょう。1967年というかなり古い製作年度でありながら、未だにその輝きを失わないというのは大変なことです。青春時代をノスタルジックな時代設定で描いた作品は数多くあります。「明日に向かって撃て」「スタンド・バイ・ミー」「いまを生きる」「アメリカン・グラフィッティ」「さらば青春の光」「エデンの東」・・・etc.しかし、この作品は、製作当時の流行や風俗を描いた現代劇としての青春映画です。実は、こうした現代劇ものが時代の壁を乗り越えることはめったにありません。たいていは、その時だけのヒットで終わり、すぐに陳腐な時代の象徴的作品としか扱われなくなっています。例外と言えるのは、「太陽がいっぱい」「卒業」「フェーム」「「シド&ナンシー」「ロミオとジュリエット」(シェークスピアの偉大さのおかげ?)「イージー・ライダー」「ザ・コミットメンツ」(音楽映画と呼ぶべきかも)などなど。例え、その時代の風俗(音楽、ファッション、文化、ダンスなど)を描いていても、素晴らしい作品にはその向こうに時代を越えた普遍的テーマである「愛」や「夢」、そして多くは「挫折」が見えてきます。その点、この映画には青春映画の要素が見事にそろっています。
 「男たちの友情」「男2人と女1人の三角関係」「ギャンブル」「冒険」「車」「飛行機」「宝探し」「ギャングとの銃撃戦」「スキューバ・ダイビング」「南の楽園」「自分で家の城」そして「別れ」・・・etc.
 これだけの要素を一本の映画に収めながら、それがゴチャゴチャしたストーリーにならなかったのは、原作者でもある脚本家のジョゼ・ジョバンニ Jose Giovanniの見事な脚本と細かなカット割と美しい映像によってそれを見事に映像化した監督のロベール・アンリコ Robert Enrico(1931年4月13日生まれ)の手腕によるものでしょう。さらにその映像をまるで美しい一本のビデオ・クリップのように見せてくれたもう一つの主役である「音楽」の作者、フランソワ・ド・ルーペ Francois De Roubaixの存在も忘れるわけには行きません。

<フランソワ・ド・ルーベ>
 この映画に忘れられない音楽を提供したフランスの作曲家フランソワ・ド・ルーベ Francois de Roubaix は、1939年パリに生まれました。ほとんど独学で音楽を学び、ジャズ・バンドでトロンボーンを演奏していた。その後、作曲家としてではなく、撮影助手や録音技師として映画製作に関わり始めます。その中で少しずつ映画音楽を作るようになっていった彼は、1959年に映画監督のロベール・アンリコと出会い、その後彼の映画を中心に映画専門の作曲家として活躍するようになります。
 元もと録音技師だったこともあり、多重録音によって映画音楽を作るようになった先駆けであり、シンセサイザーを用いて音楽を製作するようになった先駆者でもありました。
 そんな彼は1975年スキューバ・ダイビング中の事故により36歳という若さでこの世を去っています。彼こそ「冒険者たち」そのままの人生を送った伝説の英雄かもしれません。
彼が音楽を担当した映画は、「サムライ」(1967年)、「さらば友よ」(1968年)、「ラムの大通り」(1971年)、「ラ・スクムーン」(1972年)、「追想」(1975年)

<素敵な役者たち>
 男はあくまで格好良く、女はあくまで美しく・・・ちょっときざで格好良すぎるお話でありながら、それが嫌みにならないのは、やはり3人の主役、アラン・ドロン、リノ・バンチュラ、ジョアンナ・シムカスがどんぴしゃだからでしょう。
 この作品までは、どちらかといえば線の細い二枚目役ばかりだったアラン・ドロン Alain Delonは、この作品では髭を生やし、日焼けした筋肉質の肉体を披露、野性味のある男を演じました。彼は、この作品に資金提供もしており、彼のキャリアにとって非常に重要な意味をもつことになりました。
 ヨーロッパ・チャンピオンにまで登りつめたことのあるボクサー出身の俳優リノ・バンチュラ Lino Venturaは、アクの強い悪役専門の役者でしたが、この作品ではかえって、その経歴が「優しさ」を表現するのに役立ち、この後彼は善玉専門の俳優になって行くことになります。
 そして、紅一点のジョアンナ・シムカスの美しさ。これもまたこの映画の魅力のひとつです。この映画の後、彼女は大物黒人俳優の先駆けとなったシドニー・ポワチエと結婚。スクリーンから消えてしまいます。それだけに、この映画での輝きには忘れがたいものがあります。

<美しい大自然の映像>
 もうひとつ見逃せないのは、冒険の舞台となっているコンゴ沖の海と海岸線の美しさです。このシーンを撮影するために理想の場所を求めて、スタッフはロケハンにかなりの時間をかけたそうです。そして、選ばれたのはリビアの地中海に面した海岸線にあるジェルバ島の周辺でした。赤土でできた海岸線が延々と連なる海岸線と青々とした海。こんも風景だけでも十分に見応えがあります。
 1967年の時点でスキューバ・ダイビングを用いた冒険映画が作られていたということは、日本にスキューバ・ダイビング・ブームが訪れる1980年代後半に対して20年早かったことになります。さすがはジャック・イブ・クストーやジャック・マイヨール、そしてスキューバ・ダイビングを生んだ国です。
 それとラストに登場する島にそびえる古城もまた素晴らしい場所です。

<未だに古くならない貴重な作品>
 昔感動した映画でも、今観るとそれほどではない作品はいくらでもあります。しかし、この作品は今見ても十分に見応えがあります。とはいえ、この映画もしかすると近い将来リメイクされるのではないでしょうか?ネタ不足で困っているハリウッド映画なら絶好の企画のように思うのですが?ちなみに、そうなるとアラン・ドロンに代わるのはディカプリオでどうでしょう。ジョアンナ・シムカスに代わってキャメロン・ディアス。そうするとリノ・バンチュラに代わるのは誰か?ここは黒人俳優のサミュエル・L・ジャクソンなんてどうでしょう?それとも、ベニチオ・デル・トロなんてのも良いかも。

「冒険者たち Aventuriers」 1967年
(監督)ロベール・アンリコ Robert Enrico
(原作)ジョゼ・ジョバンニ Jose Giovanni
(脚本)ロベール・アンリコ
     ジョゼ・ジョバンニ
     ピエール・ペルグリ Pierre Pelegri
(撮影)ジャン・ボフェティ Jean Boffety
(音楽)フランソワ・ド・ルーペ Francois De Roubaix
(出演)アラン・ドロン、リノ・バンチュラ、ジョアンナ・シムカス

<あらすじ>
 命知らずの飛行機乗りマヌー(アラン・ドロン)は、新型自動車の開発を夢見るローラン(リノ・バンチュラ)と厚い友情の絆で結ばれていました。そんな二人の前にある日美しい彫刻家のレティシア(ジョアンナ・シムカス)が現れ、いつしか三人の間には不思議な三角関係が生まれてゆきます。事件に巻き込まれ仕事を失ったマヌーは、ある人間からアフリカ沖に沈む財宝を積んだ船の話を聞きます。どん底から這い上がるため、二人はその船を捜す一攫千金の旅に出ることにしますが、個展の失敗で落ち込むレティシアも、また一行に加わることになりました。3人は苦労の末、ついに財宝を積んだ船を発見しますが、同じようにお宝を探していた男たちに襲われ、銃撃戦となってしまいます。そして、その時、流れ弾にあたったレティシアが死んでしまいました。二人は、財宝を守りきり、その分け前を渡そうとレティシアの姉の住む島へと向かいました。

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