世界のビールとその歴史

- History of Beer -

<ビールの歴史>
 ビールの起源は遥か昔、紀元前1万年ごろ(新石器時代)トルコ、イラン、イラクにまたがる地域とされています。(メソポタミア文明)この地域に住んでいたシュメール人が残した5000年以上前の粘土板には数種類のビールの使い方が記録されていました。有名なバビロニアの王ハンムラビが作ったハンムラビ法典には20種類のビールが記されており、「小麦ビール」、「赤ビール」、「黒ビール」などもそこに記されていました。
 ぶどうが収穫できる地域だった古代ローマでは、ワインが主な飲み物でしたが、ぶどうが育たないドイツ以北の地域では大麦が育ったことからビールが飲まれるようになったといわれます。(イギリスも同様)
 ビールに使用する水は煮沸されるため、水や牛乳などのように病原菌が含まれにくく、「安全な水」として飲料水の代わりにもなっていました。さらにそこにホップを加えることで殺菌作用はより強くなります。麦の水であるビールは栄養価の高い飲料であると同時に安全安心な水分供給源ともなったのでした。(ホップは当初ビールの防腐剤として入れられたもので、香りづけはそこから派生した役割でした)ヨーロッパのビール史にとって、修道院や病院が重要な位置を占めるのは、健康の為にそうした施設が積極的にビールを醸造していたからでもあります。

 ちなみに現在ビールの世界地図は大きく変わるつつあります。それはビール生産国ベスト5でもわかります。
(1)中国(2)アメリカ(3)ロシア(4)ブラジル(5)ドイツ(ビールの消費量は国力をしめす目印のひとつです)

<ラガーとエール>
 水に比べると安全な飲料のビールですが、夏の暑い時期には酵母による醗酵が早くなり過ぎビールを腐らせることもありました。そこで、ドイツ、バイエルンの修道士は、醗酵作用を抑えるためにビールを地下室に置くことで低温長期保存する方法を考えます。そうした状況において酵母は樽の底に沈み、「下面醗酵」としてゆっくりと醗酵が進むことになるのです。ドイツ語で「貯蔵」は「lagern」といいます。ここから「ラガー・ビール」という呼び方が生まれることになりました。こうして造られたビールは、それまでの製法によって造られた「エール・ビ-ル」に比べ、さっぱりとした口当たりで夏に飲むのにもぴったりでした。さらにこのビールの透明さを引出し、爽やかで飲みやすいスタイルに進化させたのがチェコが生んだ「ピルスナー」です。世界でも最も飲まれているのは、このピルスナー・タイプのビールでしょう。
 ラガーに比べるとそれまでのエールは簡単に家庭でも作ることができたため、イギリスなどの国ではビール作りは主婦の仕事となり、多くの家庭で自家製ビールが作られるようになりました。ビールはこの2つの製法によって大きく二つに分けられるといえます。

<ビールの製法>
(1)麦芽(モルト)を作る
 大麦、小麦、エンバク、ライ麦などの穀物を水に浸し、発芽しかけたところで水から引き揚げて乾燥させ、発芽をストップさせます。
 この時、乾燥のための焙燥温度の違いによって「ペールモルト」(浅焙り)から「チョコレート・モルト」(深焙り)まで様々なモルトが生まれます。そして、これらのモルトをうまくブレンドすることで数限りないタイプのビールを生み出すことができるのです。この過程こそビールの味を左右する左右する微妙でありかつ最も重要な部分かもしれません。

(2)麦汁を作る
 麦芽を粉砕して挽き割りにし、糖化槽(マッシュタンク)に入れて温水と混ぜます。こうして、おかゆのようにどろどろ状態の甘い麦汁「マッシュ糖化液」ができます。
 この過程は、麦のもつデンプン質を酵素によって糖に変える過程ですが、この酵素を最も多く含んでいるのが大麦です。そのためモルトの主流は大麦なわけです。

(3)煮沸とホップの投入
 「マッシュ」を銅やステンレスでできた釜に移して煮沸を行います。沸騰するまで加熱したところで、最初のホップを投入します。このホップはビールに苦みを与え、濁っていた麦汁を澄んだ状態にします。
 煮沸が終わる頃に再び投入するホップは「レイト・ホップ」と呼ばれ、ビールにアロマを与える役目を果たします。ここで投入するホップの量、種類によってビールの香りは大きく変わることになります。
 こうして煮沸が1~2時間半ほど行われた後の麦汁は、「ホップバック」と呼ばれる容器で濾されホップが取り除かれます。そして熱交換機によって冷やされます。

(4)醗酵させる
 麦汁を醗酵タンクに移し、酵母を添加します。酵母が麦汁の糖分を吸収し、アルコールと炭酸ガスを作る過程が始まります。
 (A)「上面醗酵」
 比較的高温で活動する酵母を使い、表面近くで醗酵を行わせ、2~4日で完成させるのが「上面醗酵ビール」です。(エール、ポーター、小麦ビール、スタウトなど・・・)
 (B)「低温発酵」
 低温で働く酵母が麦汁の下面醗酵を行う場合は、5日~2週間と時間が長くなります。しかし、この下面醗酵ビールは、すっきりとしたラガー・ビールを生み出します。
 (C)「自然発酵」
 現在でもベルギーの修道院などで行われている空気中の(野生)酵母なども利用する醗酵方法。クラフト・ビールの復活とともに見直されつつあります。

(5)熟成と製品化
 醗酵が終わった麦汁は「若ビール」と呼ばれ、熟成タンクに移され、熟成が行われます。下面醗酵ビールの場合は、最低でも4週間0℃近い温度でじっくりと貯蔵熟成が行われます。さらにほとんどのビールは最後に冷やされた後、濾過され透明できれいな状態に仕上げられます。
 この後、大量生産品の場合は、瓶や缶に詰められた後、低温殺菌処理が行われますが、「樽内熟成」「瓶内熟成」ビールの場合は濾過はしません。

<世界のビール>
<ベルギー>
 最も多彩なビールが造られているビール天国。それに合わせて多彩なビアグラスを使う国でもあります。ベルギー製ビールで海外で最も飲まれているのは「ステラ・アルトワ」です。
 14世紀にはブリュッセルでビール醸造ギルドが結成され、本格的にビール業界が誕生することになりますが、それまでのベルギーのビールは修道院などで造られる商売のためのビールではありませんでした。こうして生まれた「トラピスト・ビール」こそ、ベルギー製ビールを代表する存在です。
「トラピスト・ビール」
 1962年、法的に定められた醸造所だけで造られるビールに与えられた名前。トラピスト修道院で修道士によって造られ、法律上必要経費をのぞく利益は慈善活動に用いられることになっています。品質管理も非常に厳格で、基準を満たす修道院醸造所はベルギーに6か所、オランダに1か所の7か所しかありません。(僕も大好きなシメイもそのひとつ)
 ライセンス生産品として造られているもので、「修道院ビール」と呼ばれる種類もあります。
「ランビック」
 ベルギーで作られている世界でも貴重な「自然醗酵ビール」のこと。酸味が強いこともありサクランボなどのフルーツを加え甘くする場合もあります。瓶内でも醗酵が進んでいて、「ワイルド・ビール」ともいわれます。
<有名ブランド>
「シメイ Chimay」

 ベルギーのアルデンヌ地方のノートルダム・ド・スクールモン修道院で造られている「トラピスト・ビール」の人気ブランド。1862年に醸造所が設立。公式のトラピスト・ビールとして最大の販売数で、「レッド」、「ホワイト」、「ブルー」の3種類があります。
「ステラ・アルトワ Stella Artois」
 世界的メジャー企業アンハイザー・ブッシュ傘下のビール会社。1366年にベルギーのデン・ホーレン醸造所で造られたのがスタート。醸造所技師長セバスチャン・アルトワの名からとられた名前です。1930年に海外輸出を開始し、その後世界中に広まったピルスナー・ビール。
「デゥヴェル Duvel」
 1871年にヤン・レオナルド・モルトガットが設立した醸造所で造られるビール。第一次世界大戦の勝利を記念し「ビクトリー・エール」という名前で発売されたのが最初。強いアロマと黄金色のエール・ビールを飲んだ客が「こりゃ本当に悪魔だ!」と叫んだことから「duvel(悪魔)」の名前がついたと言われています。瓶内醗酵で完成するビール。
「ヒューガルデン Hoegaarden」
 「オリジナル・ベルギー・ホワイト・ビール」として知られるブランド。小麦とエンバクを使ったビールで「ヴィットビール」もしくは「ホワイト・ビール」とも呼ばれます。一度は廃業により消えてしまいますが、1967年に復活。現在は巨大企業アンハイザー・ブッシュ・インベブ傘下となっています。
「レフ Leffe」
 アンハイザー・ブッシュ・インベブが所有する修道院ビールのブランド。13世紀にベルギーのレフ修道院がスタートで19世紀には醸造をやめていたが1952年に醸造を再開。「ブロンド」、「ブリュンヌ」が人気ブランド。現在はステラ・アルトワが製造を担当しています。

<ドイツ>
 ドイツもまたビールの故郷のひとつといえるでしょう。アメリカの大企業のほとんどもドイツ系移民によって設立されており、日本のビール醸造所もそのルーツはドイツ人によるものです。ドイツ系ビールの代表的存在であるラガー・ビールがピルスナーに進化し、それが世界中に広まって現在に至っています。
 1040年に醸造を開始したとされるベネディクト派の修道院は現在でもビールの醸造を続ける世界最古の醸造所とされています。
 ドイツの中でもビール製造の中心は過去も現在もバイエルン州とされています。
 1269年、バイエルン州のミュンヘンに最初の民間醸造所が設立されたという記録があります。1810年から続くミュンヘンのオクトーバーフェスはヨーロッパ最大のビール祭りです。
 バイエルン州は、現在でも世界のホップ需要の35%を栽培しており、最高級醸造用大麦の生産地でもあります。
 ビールに関する法律で最も有名なものとして「バイエルン純粋令」(この名前が正式についたのは1918年)があります。それはバイエルン候ヴィルヘルム4世が制定したものです。
「ビールは水とホップと大麦だけで創られなければならない」
(現在でも、この法律は修正が加えられながらも基本的に有効なままドイツ国内で有効になっています)
「デュンケル」と「へレス」
 濃い色の小麦麦芽を使用したチョコレートっぽい香りをもつ「デュンケル」(濃い)に対し、淡い色の夏向きでアルコール度数低めのラガー・ビールを「へレス」(淡い)と呼びます。
「ケルシュ」
 ケルン生産の金色のエールタイプビール。ホップが効いた味わい。
「ボック・ビール」
 バイエルン産でブロンズ色、麦芽風味豊かなビールで、冬に楽しまれる。
「ラオホ・ビール」
 ブナの木のチップを用いて燻されてスモーキー・フレーバー豊かな香りが特徴のビール。
「シュバルツ・ビール」
 ローストした麦芽を使った「黒いビール」。過去のものになりつつあったが、東ドイツで醸造されていて現在も生産されている。
<有名ブランド>
<エルディンガー Erdinger>

 1886年、ヨハン・キーンレがバイエルンのエルディングで設立した醸造所。小麦ビールの生産についてはドイツ1位で、家族経営企業としてもドイツ最大の企業です。色の濃い小麦麦芽を使った「デュンケル」と呼ばれるタイプの代表的ラガー・ビール。
<ベックス Back's>
 1873年に誕生したピルスナー・タイプのビール・切れの良さで人気があり、ドイツビールの代表的存在とした世界90か国で販売されています。現在は、バドワイザーなどを製造するABインベブの傘下となっています。

<アメリカ>
 アメリカにはピルグリム・ファーザースと呼ばれた最初のイギリス移民がすでに持ち込んでいました。しかし、広すぎる土地に住む人々は、それぞれ地域ごとにビール(エール)を製造していて、大企業が誕生することにはなかなかなりませんでした。ビール会社といえる存在が登場したのは、18世紀に起きた産業革命以降、急激な都市化が進み、集中する労働者のためのビジネスが発展し始めてからのことになります。
 1620年にはニューヨークに商業向けの醸造所が誕生していますが、ビール醸造を事業として本格化させたのはイギリス人ではなく1830年以降に移民したドイツ系の人々でした。彼らの持ち込んだビールの影響もあり、アメリカのビールはそれまでのエール中心からラガー中心に変化することになりました。1840年にジョン・ワグナーがラガー・ビールの製造を開始すると、この後アメリカに移民した800万人のドイツ人たちがビール産業を支えることになります。
 アメリカでは禁酒法時代にビール会社はどこも危機的状況に陥り、ノンアルコール・ビールなどでかろうじて生き延びようとしたものの多くの企業は倒産に追い込まれました。一時期は1200あった醸造所が、戦後急激に進んだ大手企業による吸収合併などにより、さらに減少し、1984年時点ではわずか83の醸造所と44の企業に減少していました。バドワイザー、クアーズ、ミラーの3社によるほぼ独占になっていたのです。
 ただし、1970年代以降、アンカー・スチーム・ビールを代表とする小規模ビール会社が「クラフト・ビール」と呼ばれる手作りビールにより復興。小規模のビール会社の数は増えつつあります。
<有名ブランド>
<バドワイザー Budweiser>

 1842年、エバーハート・アンハイザーがミズーリ州セントルイスに移住。1861年にアドルファス・ブッシュとアンハイザーの娘が結婚し、アンハイザー・ブッシュ・カンパニーが誕生。そして、1876年にチェコ・スタイルのラガー・ビール「バドワイザー」の販売を開始します。アメリカのビールの代名詞ともいえる「バドワイザー」は世界中で販売されていますが、2008年アンハイザー・ブッシュ・カンパニーはベルギー大手のインベブに買収、合併され巨大企業アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)となりました。バドワイザーはアメリカのビール市場で50%近いシェアをもちます。
<クアーズ Coors>
 ドイツ系移民のアドルフ・クアーズはコロラド州デンバーに住みつき、そこでドイツでの醸造経験を生かして1873年に醸造所を設立します。1880年にはアドルフ・クアーズ・ゴールデン・ブルワリーズを創業。この会社の所有するゴールデンの醸造所は2005年時点でも世界最大のビール工場として操業を続けています。
<ミラー・ライト Miller lite>
 ドイツ系移民のフレデリック・ミラーが設立したのが、同じくアメリカを代表する大企業ミラー・ブルーイング・カンパニーです。ただし、2002年南アフリカ醸造社(SAB)に買収されSABミラーとなっています。ミラー・ライトはアメリカでバドワイザーに次ぐ人気ビールです。
<アンカー・スチーム・ビール Anchor Steam Beer>
 フリッツ・メイタグが1965年に買収し、1971年に再スタート。見事によみがえり、カリフォルニア州から始まったクラフト・ビール・ブームの中心となりました

<チェコ共和国>
 透明ですっきりした味わいのビール「ピルスナー」の発祥地。一人あたりのビール消費量は、アメリカの2倍というビール大国で、国内に125の醸造所がある。
<有名ブランド>
<ピルスナー・ウルクェル Pilsner Urqell>

 1842年チェコ共和国のピルゼンでスタートした世界初の淡色ラガー・ビールとして、1873年にはアメリカへの輸出が始まっていた。「ピルスナー」の代表的ビール。現在はSABミラーグループ傘下。
<ブドヴィイゼル・ブドヴァル Budweiser Budvar>
 バドワイザーと同じ名前で古くからあるビール・ブランド。1265年から醸造を行っていたチェコのブドヴァイススで造られ、1895年ブジョヨヴィキ・ピヴォヴァル・カンパニーがアメリカに輸出を開始するが、あのバドワイザーとの名称使用問題でもめることになった。現在は和解が成立し、そのバドワイザーを製造するABインベブが海外での販売を行っています。
<ベルナルド Bernard>
 16世紀に建造されたチェコのコンポレツにある醸造所がスタート。1991年に倒産したが経営者が変わって再スタートし、人気ブランドとなりました。ラガー・ビールの「ベルナルド・セレブレーション」、「ベルナルド・アンバー」、「ベルナルド・ダーク」などが有名。

<イギリス>
 エール・ビールは誰でも小規模設備でも造ることができたため、イギリスでは多くの家庭に自家製ビールがありました。中には近所でも評判のビールもあり、それを販売する家も登場します。そこから「パブ」と呼ばれるイギリス独特の飲み屋とその文化が生まれることになりました。
「ビター」
 ドライでホップが効いたアルコール度数低めのビールであり、イギリスのパブ定番のビール。「ペール・エール」の一種です。
「スタウト」
 ローストした麦芽を用いコーヒーのような香りをもつアルコール度数高めのビール。「ギネス」はこの代表格。「ドライ・スタウト」や「アイリッシュ・スタウト」などがあります。
「オートミール・スタウト」
 挽き割りエンバクを加えた官能的口当たりと栄養価の高さから人気の個性的なビール。
<有名ブランド>
<テトレーズ Tetley's>

 1822年ジョシュア・テトレーがヨークシャー州リーズに設立。昔ながらの「テトレーズ・ビター」や「スムース・フロウ」などが人気。現在はカールスバーグ・グループの傘下。
<ニューカッスル・ブラウン・エール Neucastle Brown Ale>
 1927年、ニューカッスル・ブルワリーズが発売。アメリカでは最も人気の輸入ビールで、現在はハイネケンUKの傘下。
<マーストンズ・ペディグリー Marson's Pedigree>
 1834年、ジョン・マーストンが設立した醸造所が醸造。醗酵にオーク樽を使う独特な製法によって造られます。ペディグリーは、この醸造所が1952年に発売し、ペール・エールとしてイギリスではナンバー1の人気ビール。
<ウェールズ>
<ブレインズSA BrainsSA>

 ウェールズの首都カーディフのSAブレイン&カンパニー(1882年設立)が製造するウェールズの国民的ビール。1713年から続く醸造所をブレイン家が買い取って始めたブランドで人気商品は「ブレインズSAベスト・ビター」
<スコットランド>
<テネンツ Tennent's>
 マックワン、ヤンガーと並ぶ3大ビールのひとつ。ロバート&ヒュー・テネント兄弟が1740年にグラスゴーで設立。テネンツのラガー・ビールはスコットランドを代表する存在。
<イニス・アンド・ガン Innis & Gunn>
 2003年誕生の新しいブランド。ウイスキー・メーカーのウィリアム・グラント・アンド・サンズがエール樽を使ったウイスキーを造るため、エール・ビールをバーボンの樽に入れたところ、その香りがついたビールが素晴らしい香りであることに気が付き発売されることになったという、「瓢箪から駒」のビール。当初は樽から出されたエールは廃棄されるはずだったらしい。これは美味しそう・・・。
<アイルランド>
<ギネス Guinness>
 1759年にアーサー・ギネスがアイルランドの首都ダブリンで設立。1769年にはイギリスへの輸出を開始しています。現在はイギリスの酒造会社ディアジオが所有しています。
 世界の50か国でライセンス生産され、150か国で販売されているアイルランドを代表する存在。僕はこのビールが大好きです!

<日本>
 日本のビールはドイツ系のラガー・ビールが中心で癖のあるエール・タイプはほとんどありません。そのために、日本のビールは海外ではほとんど注目されていません。日本酒、ウイスキー、ワインなどの注目度に比べるとかなり低いといえます。
 1876年、開拓使麦酒醸造所が札幌に誕生。1886年に社名をサッポロ・ビール株式会社に変更します。
 1889年、大阪麦酒設立。(のちのアサヒ・ビール)アサヒ・ビールはその後1897年に日本初のビアホールを開業。さらに日本初の瓶ビール、缶ビールもアサヒでした。海外に進出すいることになる「スーパー・ドライ」もアサヒでした。大阪の商人は挑戦好きなのでしょう。
 1885年、1869年横浜にドイツ系アメリカ人が設立したスプリングバレー・ブルワリーが倒産後、その設備などを買い取って設立されたのが「ジャパン・ブルワリー」。これがその後「キリン・ビール」となります。
<アサヒ・スーパードライ>
 日本製ビールとして現在最も海外で人気があり輸出もされているのが、アサヒのスーパードライです。

<その他の国のビール>
<ハイネケン Heineken>(オランダ)
 1864年、ジェラルド・アドリアン・ハイネケンがアムステルダムのデ・ホーイベルヒ醸造所を買収して、1873年にハイネケン醸造所となった。ハイネケン・インターナショナルは世界第三位の生産量となっています。
<グロールシュ Grolsch>(オランダ)
 1615年、ウィレム・ネールフェルトがグロールで創業した醸造所で造られます。1897年に「グロールシュ」として販売開始。オランダを代表するピルスナーは世界70か国で販売されています。2008年以降、SABミラー傘下となっています。
<アムステル Amstel>(オランダ)
 オランダを代表するピルスナーで現在はハイネケン傘下。
 世界90か国で販売されており、ヨーロッパでは人気第三位というブランド。
<カールスバーグ Carlsberg>(デンマーク)
 1847年にヤコブ・クリスチャンセンが設立したデンマークを代表する企業。
 世界ベスト5に入る人気ブランド。
<クローネンブール Kronenbourg>(フランス)
 1664年にジェロニマス・アットがストラスブールに設立したキャノン・ブルワリーが原点のブランド。現在はカールスバーグ・グループ傘下となっています。
 「クローネンブール1664」はフランスで市場シェア30%の人気プレミアム・ラガー。
<ペローニ Peroni>(イタリア)
 1846年、北イタリアのヴィジェーバノでジョバンニ・ペローニが設立。1869年ローマに移転。イタリアでは最も有名なビール・ブランド。
 「ペローニ・ナストロ・アズーロ」は海外でも有名なブランド。SABミラーが買収し、50か国で販売されています。
<バルティカ Baltika>(ロシア)
 バルティカは1978年に合弁企業として誕生した新しい企業。2006年にはバルティカ・ブルワリーとなり、カールスバーグ・グループ傘下となりました。ロシア市場において40%近くのシェアを誇るロシア最大のビール・メーカー。

<コロナ Corona>(メキシコ)
 代表的製品「コロナ・エクストラ」はピルスナー・タイプのラガー・ビールとしてラテン・アメリカを代表するビール。メキシコ最大のメーカーであるグルポ・モデロが製造。1926年から製造されていて、1990年代にはヨーロッパにも進出。アメリカ、カナダにおける輸入ビールナンバー1の存在。(それだけラテン系の移民が増えているということでもある)
<フォスターズ Foster's>(オーストラリア)
 1888年、アメリカ人のフォスター兄弟がメルボルンでスタートさせたブランド。1972年にイギリスで大ヒットし、一躍有名ブランドになった。本国よりもイギリスでの人気が高く、イギリス国内では売上第2位。世界150か国で販売されるラガー・ビール。
<ラバット Labatt>(カナダ)
 1847年、アイルランド移民のジョン・キンダー・ラバットがオンタリオ州ロンドンで設立。「ラバット・ブルー」が人気ブランドで、カナダのビール市場でシェア40%を占める大企業。
 現在はABインベブ傘下で、カナダ向けのバドワイザーやギネスなども製造している。

<タイガー Tiger>(シンガポール)
 1932年、ハイネケンとフレーザー&ニーヴの合併によって誕生したブランド。現在はアジアン・パシフィック・ブルワリーズが製造している。人気ブランドの「タイガー・ペール・エール」は60か国以上で販売される東南アジアを代表するビール。
<青島チンタオ Tsingtao>(中国)
 1903年、山東省青島に中国初の醸造所として誕生。ドイツ系の企業アングロ・ジャーマン・ブルワリーが製造。中国から海外へと輸出されるビールの50%以上がこのラガー・ビール。
<キングフィッシャー Kingfisher>(インド)
 1857年インド南部のマイソールに設立されたキャッスル・ブルワリーが原点。
 インドで最も飲まれているビールで市場シェアは36%。現在は1915年設立のユネイテッド・ブルワリーズ・グループが製造。

<参考>
「ビールの歴史 食の図書館 Beer : A Global History 」
 2014年
(著)ギャビン・D・スミス Gavin D. Smith
(訳)大間知知子
原書房

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