大正の文学とベストセラー

1913年(大正2年)~1926年(大正15年)
<出版ビジネスの急拡大>
 大正7年(1918年)12月、大学令が公布され、大学が急増。慶応義塾、早稲田、同志社、中央、明治、東京商科(一橋)、東京工業などが誕生し、それと同時に高等学校、実業専門学校も急増し、学生の総数が急増することになりました。当然、そうした学生たちは勉強をするためだけでなく、視野が広がったことで、より多くの本が必要になって行きます。こうして、様々な分野のための専門書、文学、思想・哲学、科学など、様々なジャンルの本が売れるようになったのが大正時代でした。
 そうした状況のため、出版社の数も急増し、印刷所や本屋など出版ビジネスが拡大して行くことにもなりました。

<再販制の始まり>
 生産者、販売業者が販売価格を指定して維持させるのが、再販売価格維持契約制度(再販制)です。この制度が確立されたのが大正時代でした。
 大正2年(1913年)小売の書店としてスタートした岩波書店が、古本・新刊を問わず定価販売を実施し、値引きをやめたのがきっかけの一つでした。岩波書店はそれをやり切ることで常識を変えることに成功しました。
 明治42年新年号から実業之日本社が返品自由制を導入し、雑誌「婦人世界」を返品OKにしました。すると、本屋の在庫が増えた分、より多く売れるようになり、売り上げが急増しました。
 新興出版社だった講談社もいち早く返品自由制を取り入れることで売り上げを伸ばしましたが、こうした動きに対し当時の大手出版社だった博文館は返品の認めず、これが黄金期を終わらせるきっかけになったと言われています。
 大正8年にはほぼ全ての雑誌・書籍共に定価販売が実現。これが日本の出版界にとっては革命的な変革となりました。この後、大正9年に全国書籍商組合連合会が設立され、定価販売は全国で実施されることになります。
 この変革によって、日本中で安定して本屋が営めるようになり、それが本を読む文化を日本中に広め、相乗効果となって日本の文化レベルを押し上げることにもなります。世界有数の「本の国」日本の誕生はこの時代にあったといえるようです。
 こうした出版界の大きな変化に乗り、大正期に入り新しい出版社が次々に誕生、もしくは一気にその勢力を伸ばして行きました。
 中央公論社、新潮社、実業之日本社、講談社、岩波書店、平凡社、小学館、文芸春秋社など、現在につながる出版界の勢力図はこの時期にできたと言えるでしょう。

<関東大震災と出版界>
 大正9年株式の大暴落から始まった不況は本が売れない時代のきっかけとなり、大正11年の関東大震災はそれに追い打ちをかけました。この地震で起きた火災によって、東京中の多くの出版社が焼け、膨大な数の書籍が焼失。その被害額は現在の価格で400億円程度にあたるといいます。
 そんな中、火災の被害をほとんど受けなかった講談社が最初のベストセラーを生み出し、いよいよ時代のTOPに立つことになります。雑誌を得意とする講談社は、スタッフを総動員して関東大震災を取材し、それを一冊の本にまとめます。こうして生まれた「大正大震災大火災」大日本雄弁会(編)は、大事件を扱ったジャーナリスティックな書籍として価値があるだけでなく、様々な側面から震災をとらえたノンフィクションとして高い評価を得ると同時にベストセラーにもなりました。
 震災後、特徴的だったのは、大衆文学の流行でした。大衆は苦しい現実をひと時でも忘れたいと、娯楽として気軽な小説の世界に逃げ込んだようです。

<探偵小説ブーム>
 大正末、「怪奇」「幻想」の要素を含む探偵小説のブームが訪れました。博文館の雑誌「新青年」はそのブームのけん引役でした。
 大正11年雑誌「新青年」の新春増刊号が「探偵小説傑作集」として発行され、大人気となりました。その後も「新青年」は日本人作家による新作を掲載するようになります。その中で一躍人気作家の仲間入りを果たしたのが、江戸川乱歩でした。
 大正12年(1923年)デビュー作の短編「二銭銅貨」から次々に新作を「新青年」誌上に発表。大正15年には、代表作となった「屋根裏の散歩者」や「人間椅子」などを発表。彼以外にも、この時期にブームに乗って甲賀三郎や横溝正史も登場しています。(彼らが売れるのは昭和に入ってからのことになります)

<実業之日本社>
 この時代は本が売れる中、雑誌もまた様々な分野に向けて誕生し、それぞれが多くの読者層を掴むことになります。そんな状況の中、新興の出版社である実業之日本社は次々に新しい雑誌を発表し、売り上げを伸ばして行きました。もちろん、雑誌以外にも多くの小説もベストセラーにして行くことになります。
 明治39年「婦人世界」、「日本少年」
 明治40年「幼年の友」
 明治41年「少女の友」
 明治42年「家庭教育絵ばなし」

<新潮社の発展>
 現在も大手出版社として君臨する新潮社は、明治37年(1904年)に誕生していましたが、大正時代に入り大きく発展しました。その発展のきっかけとなったのは、海外文学作品の翻訳出版の成功でした。

 明治40年頃から、私は外国文学の出版について考えだした。日本の文壇の革新運動といったところが、ひっきょうするに、外国文学の影響によるのが大きいから、今後必ず外国文学翻訳の要求がさかんに起きるに違いない。それを見越して翻訳出版をやろうと決心し、第一にツルゲーネフから始め段々他に及ぼそうと思った。
佐藤義亮「回想録」より

 こうして新潮社は、まずツルゲーネフ「父と子」(明治42年)を出版。それがまずまずのヒットとなり、その後もツルゲーネフや他のロシア人作家の作品を翻訳出版して行きます。さらに「近代名著文庫」第一回作品として、ガブリエル・ダンヌンチオの「死の勝利」を出版。
 平塚らいてうと恋人の森田草平の心中未遂事件の際、二人が「死の勝利」を読み影響を受けていたことが話題となり、一気にこの本はベストセラーとなりました。

<改造社と賀川豊彦>
 山本実彦が創立した改造社も大正を代表する出版社です。新聞記者としてロンドンに住んでいたこともある山本は、大正8年に雑誌「改造」を創刊。社会主義、啓蒙主義のブームに乗って、急速に部数を伸ばしました。ただし、内容的に国からの検閲対象となり、発禁処分になることも多く、経営が安定しませんでした。
 そんな中、賀川豊彦が登場し、「死線を越えて」が大ヒットし、経営を支えてくれることになりました。

<講談社>
 東京帝大法科の野間清治が設立した大日本雄弁会がルーツとなった出版社。その会が創刊した弁論誌「雄弁」が最初の出版物となりました。明治44年に雑誌「講談倶楽部」を創刊し、その発行所とした創立されたのが講談社でした。
 その後、「少年倶楽部」(大正3年)、「面白倶楽部」(大正5年)、「現代」、「婦人くらぶ」(大正9年)を発行し、次々にヒットさせることで「雑誌王国」となります。ただし、雑誌以外の書籍はなかなか売れず、書店での評判は良くなかったようです。そんな中、翻訳小説「人肉の市」のヒットで講談社はやっと雑誌外でも成功し始めます。

1913年(大正2年)
「生きぬなか」全4巻 柳川春菜  金尾文淵堂 
「啄木歌集」  石川啄木  東雲堂書店 
「死の勝利」  ダンヌンチオ(著)
生田長江(訳) 
新潮社 
「兎糞録」 和田垣謙三  至誠堂 
「渦巻」  渡辺霞亭  隆文館 
 華族の家督相続争いを背景にヒロインの人生を描いた小説。
 大阪の浪花座で上演されてブームとなり、百貨店には渦巻人形、渦巻染めが登場。
 ヒロインに憧れ髪形を真似るファンまで現れることになりました。 
「みつずのたはこと」 徳冨健次郎  新橋堂 
 8年がかかり8編からなる随筆集。
 著者の田園生活を記録した作品集で100版に達するロングセラーとなりました。 
1914年(大正3年) 
「坊ちゃん」  夏目漱石  新潮社 
 新潮社の「坊ちゃん」は4万4000部、春陽堂版も4万8000部売れ、「吾輩は猫である」に次ぐベストセラーとなりました。 
「芳水詩集」  有本芳水  実業之日本社 
 著者の有本芳水は、実業之日本社の少年向け雑誌「日本少年」の編集長でもありました。 
「心身強健術」  川合春充  武侠世界社 
 気合術を基礎にした体育法の書。肉体改造、健康的実用書の先駆的な作品です。 
「三太郎の日記」  阿部次郎  岩波書店ほか 
 明治から大正を生きた著者(30代)の精神的な葛藤、悩みなどを描いた青年向けの哲学書。
 多くの学生が読み、青春の必読書となりました。この後も人気は続き、昭和初期まで売れ続けます。 
「世の中」  三宅雄二郎  実業之日本社 
「幾何学-考へ方と解き方」  藤森良造(編)  青野文魁堂
「ポケット顧問 や、此れは便利だ」 下中芳岳  成蹊社のち平凡社 
 新用語の解説と文学便覧をまとめた本。
 著者下中は、成蹊社が倒産したのを機に自ら出版社「平凡社」を立ち上げます。
 この本は大正末までに100万部、昭和になって売れ続け128版にまで達するロングセラーとなり平凡社の基礎を築くことになります。
 「現代大衆文学全集」、「世界美術全集」、「世界大百科事典」などを出版し、「百科事典の平凡社」と言われることになります。
「黒い眼と茶色の目」  徳冨健次郎  新橋堂 
 著者の若き日の恋愛事情を描いた自伝的小説。何を書いても売れる著者はまさに当時のアイドル作家でした。  
「朕が作戦」  独帝カイゼル(著)
クリュール原(訳) 
武田博盛堂 
 フランスの密偵が、ドイツのカイゼル陛下が戦場に行っている間に秘密の書を盗み出して発表したという謎の書。
 第一次世界大戦下ヨーロッパの実情を知りたいというニーズに答えて発表されてらしいが、本当にカイゼル著かは眉唾? 
1915年(大正4年) 
「一日一言」  新渡戸稲造  実業之日本社 
 日本の大衆に向けて歴史上の人物の格言を紹介した本。
 今後、世界はどうなるのか?その中で日本人の役割は?そんな問いかけの書は今後も増え続けます。 
「牛」  岡本米蔵  博文社 
 大正時代は悩める青年の指針となるような思想書が数多く売れた時代でもありました。
 この本は著者が行商などで苦労した後、アメリカへ渡り、ニューヨークで土地開発事業で成功。
 日本のカーネギーとも言われた実業家の自伝です。 
「森林哲学 生の実現」 タゴール(著)
三浦関造(訳) 
玄黄社 
1916年(大正5年) 
「受難者」  江馬修  新潮社 
 新潮社の佐藤義亮が、無名の存在だった江馬の才能を認め、生活費を与えて書かせた540pに及ぶ大長編小説。
 新人作家にも関わらず口コミで売れだし、新しいタイプの青春恋愛小説として若者からの支持を獲得。
 文壇とは別に無名作家が突然ブレイクするというのは、それまでにはなかったことでした。
「近世に於ける「我」の自覚史」  朝永三十郎  東京宝文館 
「論理学」 速水滉  岩波書店 
「大正の青年と帝国の前途」  徳冨猪一郎  民友社 
1917年(大正6年) 
「出家とその弟子」  倉田百三  岩波書店 
 結核で療養中の無名の著者が書いた本。親鸞やキリストの影響を受けた宗教書でもあります。
 大正期宗教ブームの先駆作とも言われるベストセラーです。大正末までに14万部以上売れ、フランスなど海外でも出版されました。
 堅い本ばかり出版していた岩波書店にとってこれらの本のヒットは大きな助けとなりました。
「若きエルテルの悲しみ」  ゲーテ(著)
秦豊吉(訳) 
新潮社 
「幼きものに」  島崎藤村  実業之日本社 
 島崎藤村による子供向けの童話集。 
「学士様なら娘をやろか」  奥野他見男  東文堂 
「貧乏物語」  河上肇  弘文堂書房 
1918年(大正7年) 
 この年、児童向けの雑誌「赤い鳥」が創刊され、数多くの童話作家を育てました。
 明治時代に「御伽噺」と呼ばれていた子供向けの物語を「童話」という「児童文学」の新ジャンルへと高めた功績は大きいと言えます。
 ただし、童話からはベストセラー小説はまだ生まれませんでした。「童話」はまだ子供のための文学で大人が読むことはなかったからです。
「カインの末裔」  有島武郎  新潮社 
「生まれ出る悩み」  有島武郎  叢文閣 
「小さき者へ」  有島武郎  叢文閣 
「社交要訣是丈は心得おくべし」  加藤美侖  誠文堂
 社主の小川菊松のアイデアで生まれた本。書名のキャッチ―さとニーズに答えた内容によりヒットし、シリーズ化されます。
 「洋服を着るなら是だけは心得置くべし」、「日本式礼法なら・・・」、「料理店宿屋に・・・」、「手紙を書くに・・・」など16冊が出版。 
1919年(大正8年) 
「地上」(全4巻)  島田清次郎  新潮社
 大正の三大ベストセラー小説。
 第一部「地に潜むもの」はまったくの新人作家だったため初版は3000部でした。
 しかし、評論家に高い評価を受けて3万部を売り上げます。 第二部もヒットしますが、しだいに自信を失い始めトラブルを起こします。
 女性を誘拐する事件まで起こし、3年後には病によりこの世を去ってしまいました。
 無名の作家がブームに押しつぶされた最初の例となりました。
「或る女」  有島武郎  叢文閣 
「新生」  島崎藤村  春陽堂 
 島崎藤村の自伝的な小説 
1920年(大正9年) 
「死線を越えて」  賀川豊彦  改造社 
 キリスト教の牧師でもある著者は、労働運動にも関わる社会活動家として活躍。
 この本は彼の自伝的な内容で、文章が未熟で素人っぽいと批判されましたが、大衆に支持されてベストセラーとなりました。
 予想外の売れ行きに、一年で200版に達し、賀川は「スラムの聖者」と呼ばれカリスマ的な存在となり、海外でも出版されました。 
「真珠夫人」前後編  菊地寛  新潮社 
 女性を弄ぶ男性を逆に手玉に取り、破滅させる華族令嬢の物語。
 この時代を象徴する歌人の柳原白蓮をモデルにしたという噂も手伝って大ヒットしました。 
「惜しみなく愛は奪う」  有島武郎  叢文閣 
 タイトルも斬新で、女性たちの共感を呼び、有島ブームが起きることになるきっかけとなったベストセラー作品。 
「象牙の塔を出て」  厨川白村  福永書店 
「若き日の悩み」  藤森成吉  新潮社 
「ふるさと」  島崎藤村  実業之日本社 
「古事記物語」上下巻  鈴木三重吉  赤い鳥社 
1921年(大正10年) 
「懺悔の生活」  西田天香  春積社 
 時代の急激な変化に人々はついてゆけず信じられる何かを求めていました。 
「愛と認識との出発」  倉田百三  岩波書店 
「小鳥の来る日」  吉田弦二郎  新潮社 
 若者たちが一度は読む青春文学のベストセラーとして、大正時代の5大ベストセラーのひとつとなりました。
 キリスト教的人道主義に基づいて社会、人生を描いたエッセイ集。大正13年村田実、昭和40年増村保造で二度映画化。

 疑い深い近代人の一大痛恨は人を信ずることのできないところにある。身も心も打ち委ねて人を信ずることのできないところにある。
「柔らかな草」より 
「新約」全3冊  江原小彌太  越山堂 
「旧約」全3冊  江原小彌太   越山堂 
 キリスト教の聖書をもとにした長編小説で聖書の翻訳本ではありません。
 人間としてのキリストや反逆者としてのユダなどを描いています。 
「江戸から東京へ」全9冊 矢田挿雲  東光閣書店 
「人肉の市」  エリザベート・シェーエン(著)
窪田十一(訳) 
講談社 
 大正時代の5大ベストセラーのひとつで、講談社初の大ベストセラー小説。
 刺激的なタイトルと裸女を描いた表紙などが第二次探偵小説ブームとうまくリンクして、13万6500部の大ベストセラーとなりました。
 女性を主人公とする小説が売れることを証明したことから他社も追随することになります。 
「善の研究」  西田幾太郎  岩波書店 
「アインシュタインと相対性原理」  石原純  改造社 
 著者の石原は理論物理学者であると同時に歌人でもある天才。
 改造社は、この本の出版に合わせてアインシュタインを日本に招き、日本各地(東京、大阪、神戸、仙台、福岡)で特別講演開催。
 そのおかげでアインシュタイン・ブームとなり、物理学の本でありながら2~3万部のベストセラーとなりました。 
「無我愛の原理」  伊藤証信  蔵経書院 
 仏教だけでなくキリスト教も取り入れた「無我愛」運動から生まれたベストセラー。
 徳冨蘆花、幸徳秋水、堺利彦らも参加。社会主義思想とも結びつき社会運動としてブームとなりました。 
1922年(大正11年) 
「ナナ」  エミール・ゾラ(著)
宇高伸一郎(訳) 
新潮社 
 高級娼婦が主人公の純文学小説。「人肉の市」人気に乗り女性主人公の作品がヒット。これもその流れに乗り32版に達する大ヒット。
 この直後に建てた新潮社の新社屋は「ナナ御殿」と呼ばれたとのこと。 
「破船」前後編 久米正雄  新潮社 
「愛すればこそ」 谷崎潤一郎  改造社 
「人間親鸞」  石丸梧平  蔵経書院 
「受難の親鸞」  石丸梧平  小西書店
 「親鸞ブーム」のきっかけとなった作品。苦悩する人間的な親鸞を描いて大衆の心をつかみました。 
「近代の恋愛観」  厨川白村  改造社 
1923年(大正12年) 
「大菩薩峠」  中里介山 青秋社
 震災の影響で娯楽小説を求める大衆の心をつかんだ時代小説。
 何度も映画化され、昭和16年まで連載が続くロングセラーとなりました。 
「愛なき人々」 谷崎潤一郎  改造社 
「肉の栄光」 ドロロサ(著)
窪田十一(訳) 
講談社 
「法城を護る人々」全3巻  松岡譲  第一書房 
「大正大震災大火災」  大日本雄弁会(編)  講談社 
 初版も30万部と強気な数でしたがすぐに売り切れて10万部を増刷。
 しかし、震災の影響で紙などの資材が不足したため、それ以上の増刷ができなくなりました。
1924年(大正13年) 
「半七捕物帳」全5巻  岡本綺堂  新作社 
 著者はシャーロック・ホームズなどの推理小説をヒントにそれを江戸が舞台の物語に展開させ、娯楽を求める読者の心をつかみました。
 連載は大正6年でしたが、この年単行本として発売され大ヒット。震災の影響で人々は痛快な娯楽小説に飛びつきました。 
「幕末秘史・鞍馬天狗」 大佛次郎  博文館 
 多少13年に連載開始。 この年に単行本となって大ヒット。
 この作品もロングセラーとなり、後に映画化、テレビドラマ化もされることになります。
1925年(大正14年) 
「第二の接吻」  菊地寛  改造社 
 「接吻」という単語をタイトルに入れた最初の小説と言われます。
 話題となったこの小説は映画化もされましたが、内務省は「公序良俗」に反するとして「京子と倭文子」に変更させられたとのこと。 
「富士に立つ影」全8巻  白井喬二  報知新聞社 
「痴人の愛」  谷崎潤一郎  改造社 
 時代は恋愛小説を求めるようになり、その流れに乗って売れだしたのが谷崎文学でした。
 一人のサラリーマンが奔放な美少女ナオミの魅力に引きずられてゆく物語は、ロングセラーとなり、何度も映画化されます。
 「ナオミズム」という流行語も生まれました。 
「剣難女難」  吉川英治  講談社 
 昭和を代表する時代小説作家である吉川英治にとって最初のベストセラー。
 吉川英治と大沸次郎は、昭和を代表する大衆小説の巨匠となります。 
「女工哀史」  細井和喜蔵  改造社 
「心理試験」 江戸川乱歩 春陽堂
「家族的看護の秘訣」  筑田多吉  廣文館 
1926年(大正15年) 
「屋根裏の散歩者」  江戸川乱歩  春陽堂 
 日本を代表する作家、乱歩の代表作誕生。 
「愛慾」  武者小路実篤  改造社 
「修羅八荒」前中後  行友李風  朝日新聞社 
「政治の倫理化」  後藤新平  講談社 
「現代日本文学集」63巻  木村毅(編)  改造社 


「ベストセラー全史(近代篇)」 2019年
(著)澤村修治 Sawamura Shuji
筑摩選書

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