芸術関連の伝記・実録映画
<PART1>


- 画家・カメラマンなど人物・作品に関する伝記映画 -
<画家が主人公の映画>
 スポーツをテーマにした映画の中で圧倒的な名作が多いのはボクシング映画です。1対1で相手が倒れるまで殴り合うというシンプルなルールには、様々な人間ドラマと組み合わせることで名作の宝庫となりました。しかし、そのシンプルさでは画家の創作活動も負けてはいません。たった一人でキャンバスに向かう画家の仕事は究極の創作活動と言えます。そう考えると、画家をモデルにした映画が多いこともうなづけます。そのうえ個性的という点では、画家はボクサーを上回るでしょう。それぞれ波乱万丈の人生を歩んでもいるので、今後も数多くの伝記映画が作られるはずです。
 さらにもうひとつ画家の映画の魅力は、それぞれの画家の作品を映画にとりこむことで生まれる独特な「ルック」でしょう。ゴッホの伝記映画を、彼の作品のような構図や独特の筆のタッチ、色で描くことは映画監督ならやりたいはずだし、観客も見たいはずです。ジュリアン・シュナーベル監督の「永遠の門」は、それを実現した作品でした。たとえその映画のお話が面白くなくても、映像として美しく魅力的であれば、十分にその作品に価値はあるといえます。その点では、カメラマンの手腕や美術担当のセンスもまたこうした作品には不可欠となりそうです。

<芸術家の波乱の人生>
 ここでは芸術家(画家・彫刻家・建築家)の伝記映画、ドキュメンタリー映画をまとめてみました。
 芸術家の多くは経済的には恵まれない人生を歩んでいますが、それぞれ波乱万丈の展開でそのまま映画化できるものが多いのかもしれません。
 傑作・名作の誕生秘話もまた面白く興味深いので、映画化された作品もけっこうあります。
 ただし、こうした芸術関連の映画はどれも粒ぞろいですが、映画史に残るような傑作はない気がします。それは、映画では本人が生み出した作品を超えることはできないからかもしれません。

<カメラマンの映画>
 報道カメラマンとアートな写真のカメラマンについての映画もまとめました。
 このページの後半にあるので、ご参考まで!

<創作映画などPART2>
 このページには作家と作品に関する伝記・実録物を集めていますが、それ以外の創作の作家物語や美術館や絵画に関するドキュメンタリーについての映画は、PART2へどうぞ!
芸術関連のドラマ映画とドキュメンタリー映画


<美術関連の伝記映画>
アンドレイ・ルブリョフ 
「アンドレイ・ルブリョフ 第一部、第二部」 1969年
(監)アンドレイ・タルコフスキー(ソ連)
ロシアを代表するイコン(聖画)画家の伝記映画 
ソ連を代表する監督タルコフスキーの初期代表作
アンディ・ウォーホル
「アンディ・ウォーホルを撃った女」 1996年 
(監)メアリー・ヘロン(アメリカ) 
ウォーホルを狙撃した女性の目から見たウォーホルとその時代
「アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ」 The Andy Warhol Diaries (ドキュメンタリー・シリーズ)
(監)(脚)(製総)アンドリュー・ロッシ(アメリカ) 
アンディが残した口述日記を基にしたドキュメンタリー 
エゴン・シーレ 
「エゴン・シーレ 死と乙女」 2016年 
(監)ディーター・ペルナー 
「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」 2018年
(監)ミシェル・マリー
(脚)マリアナ・マレリ(ナレーション)ロレンツォ・リケルミー、リリー・コール
グスタフ・クリムト、エゴン・シーレをウィーン「分離派」黄金時代を背景に振り返るドキュメンタリー作品。
ジークムント・フロイト、アルノルト・シェーンベルク、シュテファン・ツバイク、グスタフ・マーラー、ヨハン・シュトラウス、ルトゥールシュニッツラー
ドーラ・カルムス、ヴァリー・ノイツィル、エミーリエ・フレーゲ、ヘルミーネ・フーク=ヘルムート・・・
オーストリアが文化の発信地だった1900年前後の時代を総合的に見せる優れた作品です。
エッシャー (マウリッツ・コルネリス・エッシャー) 
「エッシャー 視覚の魔術師」 2018年 
(監)(製)(脚)(撮)ロビン・ルッツ(オランダ)
(脚)マラインケ・デ・ヨンケ(ナレ)スティーブン・フライ(出)グラハム・ナッシュ、ジョージ・エッシャー、ヤン・エッシャー 
トリック・アートの巨匠マウリッツ・コルネリス・エッシャーの人生と作品を追ったドキュメンタリー映画。
自然をいかに版画で再現するかに挑戦し続け、そこから「無限」「異なる次元の世界」などへ。
数学的、幾何学的に世界を追求することに絵を利用したとも言える数学者&版画家&哲学者
単なる「騙し絵」の表現者として見るだけでは不十分であることが理解できました。
映画「インセプション」のワン・シーンも登場。どれだけ多くの映画・音楽・絵画に影響を与えているか?!  
岡本太郎
「太陽の塔 TOWER OF THE SUN」 2018年 
(監)関根光才(日本)
(製)井上肇、大桑仁、清水井敏夫、掛川治男(エグP)平野暁臣(P)曽根祥子、菅原直太、鈴木南美他(撮)上野千蔵(編)本田吉孝(音)JAMAPUR
<コメンテーター>
赤坂憲雄(民族学者)安藤礼二(文芸評論家)糸井重里(コピーライター)植田昌吾(太陽の塔設計担当者)大杉浩司(川崎市岡本太郎美術館学芸員)奥山直司(密教学者)
嵩英雄(太陽の塔ショットクリート担当者)唐澤太輔(仏教文化研究者)小林達雄(考古学者)コンチョク・ギャムチョ師(チベット僧侶)
佐藤玲子(川崎市岡本太郎美術館学芸員)椹木野衣(多摩美大教授)シェーラプ・オーセル師(ボン教僧侶)ジャスティン・ジェスティー(ワシントン大准教授)
菅原小春(ダンサー)春原史寛(美術史研究者)関野吉晴(探検家)舘鼻則孝(アーティスト)千葉一彦(テーマ館サブプロデューサー)Chim↑Pom(アーティスト集団)
土屋敏男(TVプロデューサー)中沢新一(文化人類学者)長野泰彦(チベット言語学者)並河進(ソーシャルデザイナー)奈良利男(太陽の塔設計担当者)
西谷修(フランス哲学者)平野暁臣(岡本太郎美術館館長)マユンキキ(マレウレウ)
  
岡本太郎による太陽の塔のメイキング・ドキュメンタリーかと思ったら、もっともっとべらぼーな作品でした。
太陽の塔は「生命の歴史」を原始から未来まで巨大樹として具象化したアート作品なだけではない!
そこには「人間」「宇宙」「細胞」などすべてがある。
人類は縄文文化に代表される原始の生き方や幸福が失われた。(アイヌや琉球にはその文化がわずかに残っている)
芸術の行き着くところは、腐るもの、生きているもの、まさに糞なのだ!(ジョルジュ・バタイユ)
岡本太郎と南方熊楠は、青春期に洋行し、宇宙の見方にも共通するものがある。南方の粘菌、太郎の太陽の塔にはいずれも宇宙のすべてがある!
原子力発電所とは人工の太陽。「明日への神話」は、岡本太郎が「原子力」の恐ろしさを描いた作品であり、同時期に作った「太陽の塔」と対になる作品。
「太陽の塔」は、未来の人類に捧げられた供物である。
芸術家とは、無償で未来の人類に何かを残す(贈与)人である。
「自発的隷属」が進む現代社会。その隷属によって組み上げられた社会から抜け出すことは、自由になることであり、原始に帰ることでもある。
このサイトも誰かに「贈与」するために作っていたのかも? 
葛飾北斎 
「北斎漫画」 1981年
(監)(脚)新藤兼人(日本)
(製)赤司学文他(原)矢代静一(撮)丸山恵司(美)重田重盛(音)林光
(出)緒形拳、西田敏行、田中裕子、樋口可南子、乙羽信子、殿山泰司、フランキー堺
葛飾北斎と滝沢馬琴の交流を中心に描いた日本画家の伝記映画。娘のお栄役は田中裕子。
「HOKUSAI」 2020年 
(監)橋本一 (日本)
(企)(脚)河原れん(撮)角田真一(美)相馬直樹(音)安川午朗
(出)柳楽優弥(北斎)、田中泯(北斎)、玉木宏、瀧本美織、河原れん(お栄)、永山瑛太、阿部寛
グスタフ・クリムト 
「クリムト」 2006年 
(監)ラウル・ルイス (出)ジョン・マルコビッチ
グスタフ・クリムトの伝記映画 
「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」 2018年
(監)ミシェル・マリー
(脚)マリアナ・マレリ(ナレーション)ロレンツォ・リケルミー、リリー・コール
熊谷守一
「モリのいる場所」 2018年
(監)(脚)沖田修一(製)吉田憲一、宇田川寧(製総)永山雅也(撮)月永雄太(美)安宅紀史(音響)勝亦さくら(音)牛尾憲輔
(出)山崎努、樹木希林、加瀬亮、青木崇高、池谷のぶえ、光石研、吉村界人、三上博史、きたろう、吹越満、林与一
 画家、熊谷守一と妻のある一日にスポットを当てた作品。小さな庭が無限の広さをもつ宇宙のような広さに見えてくる壮大な映画。
 ラストには本当に地球を飛び出すSF映画にまで拡張されてしまいます・・・!
この場面は必要なかった気がしますが・・・、それよりもアリの二番目の脚が動き出す映像がほしかったなあ。
 山崎努と樹木希林が初共演だったとは!これまた驚きでした。
 沖田監督は、「南極料理人」といい「横道世之介」といい人間を優しい視点で描くのが本当に得意。心優しい映画も必要です。
 「ディストラクション・ベイビーズ」ばかりじゃ疲れますから。   
ゴーギャン 
「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」 2017年
(監)(脚)エデュワール・デュリック(仏)
(製)ブリュノ・レヴィー(脚)エチエンヌ・コマール、トマ・リルティ、サラ・カミンスキー
(撮)ピエール・コッテロー(PD)エマニュエル・キュイエリ(音)ウォーレン・エリス
(出)ヴァンサン・カッセル、チュアイ・アダムズ(テフラ)、マリック・ジディ  
ポール・ゴーギャンのタヒチへ出発と楽園での創作活動の苦難
野生のイヴ、テフラとの生活と別れまでを描いた伝記映画  
ゴッホ 
「炎の人ゴッホ」 1956年 
(監)ヴィンセント・ミネリ(出)カーク・ダグラス、アンソニー・クイン 
ポール・ゴーギャン役のアンソニー・クインがアカデミー助演男優賞
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホを演じたのはカーク・ダグラス
「ゴッホ」 1990年 
(監)ロバート・アルトマン(出)ティム・ロス、ポール・リス
当初BBCの4話ドラマとして製作されたが映画として公開された。 
「夢」 1990年
(監)(脚)(編)黒澤明(日本)
(製総)スティーブン・スピルバーグ(撮)斎藤孝雄、上田正治(衣)ワダ・エミ(音)池辺晋一朗
(出)マーティン・スコセッシ(ゴッホ) 
オムニバス作品の中の一作がゴッホの見た「夢」を描いています。
ゴッホを演じているマーティン・スコセッシは映画監督になる以前、神父になろうと神学校に通っていました。
そして、ゴッホも画家になる前、父親の影響から牧師になろうと勉強し、日曜学校などで説教をしていました!
精神的におかしくなるかもしれないと思いながら、神に救いを求める人生を歩んだ二人です。
「ゴッホ 真実の手紙」VAN GOGH :PAINTED WITH WORDS  2009年
(監)(脚)アンドリュー・ハットン(イギリス)
(製)(脚)アラン・イエントンフ(撮)グラハム・スミス(編)アダム・リヒト(美)ジーン・カー(音)モリー・ニーマン
(出)ベネディクト・カンバーバッチ、ジェイミー・パーカー、エイダン・マクアードル、クリストファー・グッド 
ゴッホとその弟のテオの間で交わされた手紙をもとに構成されたドキュメンタリータッチのドラマ
ほとんどはゴッホ役ベネディクト・カンバーバッチの一人芝居。なかなか似ています。
ゴッホが父親の同じように神父になりたく学校にまで通っていたとは!
黒澤明の「夢」でゴッホを演じたマーティン・スコセッシも神父になりたかった人で共通しています。  
「ゴッホ 最期の手紙」 2017年 
(監)(脚)(編)ドロタ・コビエラ(ポーランド)
(製)(脚)(編)ヒュー・ウェルチマン(脚)ヤツェク・デネル
(撮)トリスタン・オリヴァー、ウカシュ・ジャル(音)クリント・マンセル
(出)ダグラス・ブース、ジェローム・フリン、ロベルト・グラチーク(エンドテーマ)ドン・マクリーン 
ヨーロッパ映画賞長編アニメーション賞
ゴッホの死の秘密に迫った伝記映画をゴッホ風アニメで再現!
異色のアニメ「動くゴッホ絵画」  
「永遠の門 ゴッホの見た未来」 2018年 
(監)(脚)(編)ジュリアン・シュナーベル(フランス)
(製)ジョン・キリク(脚)ジャン=クロード・カリエール、ルイーズ・クーゲルベルク(撮)ブノワ・ドゥローム
(PD)ステファヌ・クレッサン(衣)カラン・ミュレル・セロー(編)ルイーズ・クーゲルベルク(音)タチアナ・リソブスカヤ
(出)ウィレム・デフォー、ルパート・フレンド、オスカー・アイザック、マッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリック 
ゴッホ最期の日々を描いた絵画のように美しい作品。
アップの映像が多く、ゴッホの心理状態を表現。音楽の繊細さも素晴らしい!
歴代映画内ゴッホの中でもウィレム・デフォーは最も似てるし、演技も最高。
「潜水夫は蝶の夢を見る」と共通する一人称的な作品。変わらないタッチです。 
ゴヤ
「宮廷画家 ゴヤは見た」 2006年 
(監)ミロシュ・フォアマン(出)ナタリー・ポートマン、ハビエル・バルデム、ステラン・スカルスガルド 
フランシスコ・デ・ゴヤを演じたのはステラン・スカルスガルド 
ジュゼップ・バルトリ 
「ジュゼップ 戦場の画家」 2020年 
(監)オレル(脚)ジャン=ルイ・ミレシ 
戦場で絵を描き続けたカタロニア出身の画家の人生を描いたアニメ映画
セザンヌ 
「セザンヌと過ごした時間」 2016年
(監)(脚)ダニエル・トンプソン(フランス)
(製)アルベール・コスキ(撮)ジャン=マリー・ドルージュ(美)ミシェル・アヴェ=ヴァニエ
(衣)カトリーヌ・ヌテリエ(編)シルヴィ・ランドラ(音)エリック・ヌヴー
(出)ギヨーム・カネ、ギヨーム・ガリエンヌ、アリス・ポル、デボラ・フランソワ、フレイア・メイヴァー 
ポール・セザンヌとエミール・ゾラの少年時代から老年までの友情を描いた作品。
老年になるまで評価されなかったセザンヌの作品を唯一評価し続けたのが作家ゾラでした。
しかし、気難しく嘘のつけない芸術家セザンヌは何度もケンカ別れしますが、友情は不変でした。
彼の作品もモチーフも登場し、特の田舎の風景の映像が実に美しい!  
1937年の名作「ゾラの生涯」も合わせてみると良いと思います。
セラフィーヌ・ルイ 
「セラフィーヌの庭」 2008年 
(監)マルタン・プラヴィ(出)ヨランド・モロー 
家政婦から画家として有名になったフランスの女性画家の伝記映画 
ターナー 
「ターナー、光に愛を求めて」 2014年
(監)マイク・リー(出)ティモシー・スポール 
近代絵画の先駆者と言われる英国の画家ジョセフ・M・W・ターナーの伝記映画 
トム・オブ・フィンランド(トウコ・ラークソネン) 
「トム・オブ・フィンランド」 2017年
(監)(原案)ドメ・カルコスキ(フィンランド)
(製)(原案)(脚)アレクシ・バルディ(製)ミーヤ・ハヴィスト他(撮)ラッセ・フランク
(音)ヘルドゥル・ドゥーナドッティル、ラッセ・エネルセン(出)ペッカ・ストラング、ラウリ・ティルカネン、ジェシカ・グラボウスキー、タイスト・オクサネン 
<あらすじ>
フィンランド軍の兵士としてソ連と闘っていたトウコ・ラークソネンは、ゲイであることを隠して生きていた。
アートデザインの仕事をしていた彼は理想のゲイの画像を絵にかいていました。
その作品を海外に送って売っていた中で、アメリカのLAで彼の作品が海賊版の画集として大ヒット。
彼にはいつの間にか「トム・オブ・フィンランド」というペンネームがつけられていました。
いつの間にか、彼はアメリカのゲイ・カルチャーの英雄になっていました。 
第二次大戦から80年代のエイズ危機まで、フィンランドの田舎からアメリカの大都会まで
物語の展開が楽しい!しかし、エイズにより、急に物語は悲劇へと向かいます。
彼と妹、それとゲイのダンサーの不思議な三角関係も面白い。
彼の絵によって、革ジャンとマッチョなボディのゲイのイメージが世界中に広がりました。
ちょっとしたエッチないたずら書きが、世界を変える存在へと広がるとは!これこそ、歴史の掘り出し物! 
バスキア 
「バスキア」 1996年 
(監)ジュリアン・シュナーベル(出)ジェフリー・ライト、ベニチオ・デル・トロ、デヴィッド・ボウィ 
豪華なキャストで描かれた若くして亡くなった天才黒人画家の伝記映画
「バスキアのすべて」(ドキュメンタリー) 2010年
(監)タムラ・デイヴィス 
「バスキア、10代最後のとき」(ドキュメンタリー) 2012年 
(監)サラ・ドライバー 
パブロ・ピカソ 
「ピカソ 天才の秘密」(ドキュメンタリー) 1956年 
(監)アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 
「サバイビング・ピカソ」 1996年 
(監)ジェームズ・アイヴォリー(出)アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア 
バンクシー 
「イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ」 2010年  
(監)(出)バンクシー BANKSY(イギリス?)
(ナレーション)リス・エヴァンス
(出)ティエリー・グエッタ(Brain Wash)、スペース・インベーダー、シェパード・フェアリー 
LAに住むフランス系アメリカ人ティエリーはストリート・アーティストを撮影するオタク・カメラマン
多くのアーティストを撮影、手伝っていた。それがある日、バンクシーから手伝いの依頼が!
撮影しながらのアシスタントとして彼の活動に協力し始め、信頼を得ます。
そして、今までの映像を編集し記録映画として、バンクシーに見せると・・・
彼は映像ではなく、君もストリート・アートを始またら?そう言われて彼は本気で活動を開始。
そして、自らの資産をつぎ込んで巨大なパフォーマンス・プロジェクトを始めます。
普通のドラマなら。絶対に失敗するはずのド素人の挑戦がまさかの大成功!
だからアートの世界は面白い?インチキ?それもまたアート・パフォーマンスの革命?
いろいろな意味で考えさせられ、笑わせてもらいました。アートって奥が深いし、馬鹿げてる!  
「バンクシーを盗んだ男」The Man Who Stole Banksy  2017年 
(監)(製)(脚)マルコ・プロゼルピオ(イタリア)
(製)(脚)フィイリッポ・ペルフィド(製総)ルチア・ニコライ(脚)クリスチャン・オモデオ(撮)ヤコポ・ファリーナ
(編)ドメニコ・ニコレッティ(音)フェデリコ・ドラゴーヤ、マッテオ・パンサーナ(ナレ)イギー・ポップ 
パレスチナの壁などに描かれたバンクシーの作品。壁ごと切り取り売りに出した男。
ストリート絵画は、はがして売ることは可能なのか?そして意味があるのか?
はがす奴、売り買いする奴、集める奴、だれもがいけ好かない奴。
現代アート・ビジネスに対する疑問と反発しか感じられなくなる作品。
ナレーションの声までうさん臭く感じていたら、なんとイギー・ポップでした!
なんだかすっきりとしない作品でした。  
ハンク・ヴァルゴナ 
「何も変わらない ハンクとしての芸術家の魂」 2018年 
(監)(製)(撮)(編)マシュー・カプロヴィッツ(アメリカ)
(製)ポール・フランシス、アンドレア・レヴィン他
(出)ハンク・ヴァルゴナ、アンディー・フレンチ、チップ・キッド、バーナデッド・ピータース 
1960年から同じクイーンズのスタジオで画家としては活動するハンク・ヴァルゴナのドキュメント。
世界的には無名な画家ですが、かつてはイラストレーターとして稼いでいました。
ニューヨークの地下鉄などを舞台に普通の市民を描き続ける87歳の芸術家の生き様と覚悟を描いた作品。
毎日、スタジオへ1時間以上かけて通勤。その中で人々を見つめ描く。それもまでもが創作活動。
「生きる事」=「芸術活動」=「神を描く行為」=「ハンクのすべて」
世の中から認められなくても、自分が満足できることを続けるだけ!という覚悟が素晴らしい!地味に感動。 
ピロスマニ 
「放浪の画家 ピロスマニ」 1969年
(監)(脚)ゲオルギー・シャンゲラーヤ (ジョージア)
(製)ジョージア・フィルム・スタジオ(脚)エルロム・アフヴレジアニ(撮)コンスタンチン・アプリチャン(音)ワフタング・クヒアニーゼ
(美)アフタンジル・ワラジ、ワシーリー・アラビーゼ
(出)アフタンジル・ワラジ(ピロスマニ)、アッラ・ミンチン、ニノ・セトゥリーゼ、マリヤ・グワラマーゼ 
一時は「東欧のルソー」と呼ばれ人気が出たものの、第一次世界大戦が始まり、その混乱で忘れられてしまいました。
無名のままこの世を去った放浪の画家、ピロスマニの人生をその作品の画面構成を使うことで映像化した傑作。
ヒエロニムス・ボス 
「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」(ドキュメンタリー) 2016年 
(監)ホセ・ルイス・ロペス=リナレス(スペイン)
 (コメント)サルマン・ラシュディオルハン・パムクほか
オランダの天才画家、ヒエロニムス・ボスの「悦楽の園」
その作品の魅力と謎に迫ったドキュメンタリー 
フェルメール 
「真珠の耳飾りの少女」 2012年 
(監)ピーター・ウェーバー(イギリス)
(製)アンディ・パターソン、アナンダ・タッカー(製総)ピーター・ブロック、ニック・ドレイク他(原)トレーシー・シュバリエ(脚)オリヴィア・ヘトリード
(撮)エデゥアルド・セラ(美)ベン・ヴァン・オズ(衣)ディーン・ヴァン・ストラーレン(音)アレクサンドル・デスプラ
(出)スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン、キリアン・マーフィ 
フェルメールの傑作「真珠の耳飾りの少女」の誕生秘話。
画面全体がフェルメールっぽく、場面に行ってさらに画質を変えることでより雰囲気を出しています。
動くフェルメール絵画ですが、お話は暗い・・・  
フジタ(藤田嗣治)
「FOUJITA」 2015年
(監)(脚)(製)小栗康平(製)井上和子、クロディ―・オサール
(撮)町田博(美)小川富美夫、カルロス・コンティ(音)佐藤聰明
(出)オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、マリー・クレメール、加瀬亮、岸部一徳、リリィ、風間杜夫 
 美術作品のような映画です。とにかうどの場面も美しい絵画作品のように完璧に仕上げられています。
その意味では、この作品は藤田の人生を描いた伝記映画ではありません。
人生のごく一部を絵画のように切り取って見せてくれる作品なので、それ以外の部分はあらかじめ知っておかないと面白さは半減します。
非常に不親切な映画ですが、その分、彼の作品と人生を知っているとより深く彼の作品を見ることができるでしょう。これはこれで素晴らしいと思います。
 日本を捨てた彼が最後に描いた礼拝堂の壁画の中で彼は処刑されるイエス・キリストを群衆の中から覗き見ています。
自分はイエスを見捨てた大衆の中の一人にすぎないという思うは最後まで心に刻まれていたようです。
その思いにつながるのが、彼が戦時中に行った軍との共同作業による絵画作品の製作と展覧会でした。
その対比が、最後に心に突き刺さります。
 狂乱のパリでの生活には多くの画家も登場するので、パリが生んだ天才画家たちの動くポートレイトとしても楽しめます。
ピカソ、ユトリロ、キキ、ヴァン・ドンゲン・・・
 考えてみれば、ウディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」も同じ時代にタイム・スリップするお話で同じようにこの時代を覗くことができます。 
フランシス・ベイコン 
「愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像」 1998年 
(監)ジョン・メイブリー(出)デレク・ジャコビ、ティルダ・スウィントン、ダニエル・クレイグ
フランシス・ベイコンの伝記映画。彼の同性の恋人役ダニエル・クレイグの出世作となった。
フリーダ・カーロ 
「フリーダ」 2002年 
(監)ジュリー・テイモア(出)サルマ・ハエック、アルフレッド・モリーナ、アントニオ・バンデラス 
メキシコの女性画家フリーダ・カーロの伝記映画
ポロック 
「ポロック 二人だけのアトリエ」 2000年 
(監)(製)エド・ハリス(米)
(原)スティーブ・ネイファー他(脚)バーバラ・ターナー他(撮)リサ・リンズラー(音)ジェフ・ビール
(出)エド・ハリス、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジェニファー・コネリー、バッド・コート 
「ポアリング」で有名な画家ジャクソン・ポロックの伝記映画
アカデミー助演女優賞受賞  
マーガレット・キーン
「ビッグ・アイズ」 2014年 
(監)(製)ティム・バートン(米)
(脚)スコット・アレクサンダー、ラリー・カゼウスキー(撮)ブリュノ・デルボネル
(PD)リック・ハインリクス(音)ダニー・エルフマン
(出)エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ 
 実在のモダンアート作家の物語。作品と同じような色彩による画面も美しい! 
ミケランジェロ 
「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」 2007年
(監)アンジェロ・ロンゴーニ(出)アレッシオ・ボーニ、ジョルディ・モリャ 
ミケランジェロの伝記映画。もとはイタリアのテレビ向けミニシリーズとして製作された作品。オリジナルは3時間。 
「カラバッジョ」 1986年
(監)(脚)デレク・ジャーマン(出)ナイジェル・テリー、ショーン・ビーン 
ミケランジェロの生涯を回想で描く伝記映画。この年、HYVと診断されたデレク・ジャーマンの作品。 
モディリアーニ 
「モンパルナスの灯」 1958年 
(監)(脚)ジャック・ベッケル
(原)ミシェル・ジョルジュ・ミシェル(撮)クリスチャン・マトラ(音)ポール・ミスラキ
(出)ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リリー・パルマ―、リノ・バンチュラ、ジェラール・セティ
アメディオ・モディリアーニの伝記映画ですが、プライドの高さとモテ男っぷり、そしてダメ男っぷりはジェラール・フィリップにはまり役。
それ以上に悪いやつなのがリノ・バンチュラ演じるモディの死を持つ画商。主役より印象深いキャラクターです。
そして、女性たちが皆美しい!アヌーク・エーメほど、芸術作品のように美しい女性がいましたっけ?
モディを支えたベアトリス役のリリー・パルマ―がまたいい女です!
いろいろ実際とは違うようですが、とにかく「ザ・悲劇」です。死神画商以外に彼の作品を評価する人がいないのが残念。
彼の作品の価値をもう少しわかるようにしてほしかった。主人公がただただダメ男に見えてしまいます。
ジャック・ベッケルのリアリズム描写は確かに凄い。モノクロで正解かもしれません。
「モディリアーニ 真実の愛」 2005年 
(監)ミック・デイヴィス(出)アンディ・ガルシア、エルザ・ジルベルスタイン、ウド・キア 
モディリアーニの伝記映画でピカソ、ユトリロ、コクトーなども登場します。 
モード・ルイス 
「しあわせの絵の具 愛を描く人モード・ルイス」 2016年
(監)アシュリング・ウォルシュ(カナダ)
(製)ボブ・クーパー、メアリー・セクストン他(製総)ヘザー・ホールデイン(脚)シェリー・ホワイト
(撮)ガイ・ゴッドフリー(PD)ジョン・ハンド(編)スティーブン・オコンネル(音)アミケル・ティミンズ
(出)サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク、カリ・マチェット、ガブリエル・ローズ、ザカリー・ベネット 
カナダの国民的画家モード・ルイスとその夫の伝記映画。
主役の二人の演技が素晴らしい!でもラストの本物にはかなわない!絵も素晴らしい!
絵画の魅力とは?描くことにあるという人もいるし、見て癒される人もいる。
そんな絵画・芸術の魅力についても考えさせてくれる奥の深い作品。
カナダの風景がまた素晴らしく、シンプルな音楽も味わい深い!
窓から見える風景だけで十分という言葉も説得力あり、旅しながら描く山下清とはまた別次元の画家。 
ル・コルビュジェ
「ル・コルビュジェとアイリーン 追憶のヴィラ」 2014年 
(監)(製)(脚)(編)メアリ―・マクガキアン(イギリス)
(製)ジャン=ジャック・ネイラ、ユベール・トワン(撮)シュテファン・フォン・ビョーン(PD)エマ・プッチ
(衣)ピーター・オブライエン(編)スティーブン・オコンネル他(音)ブライアン・バーン(スチ写真)ジュリアン・レノン!
(出)オーラ・ブラディ、ヴァンサン・ペレ―ズ、フランチェスコ・シャンナ 
主役はコルビュジェではなくアイリーン・グレイ
偉大な建築家によって自分の作品である恋人との邸宅に余計な壁画を書かれた悲劇の女性。
地味な作品でE.1027のことなど知らないと面白くないかもしれませんが・・・
建築やアートに興味がある方には、きっと面白いはず。
コルビュジェについては本も読んでいながらページを作っていませんでした。
それはどうも彼の人生が面白くなかったから・・・だったのかもしれません。アイリーン・グレイの方が面白い! 
ルノワール 
「ルノワール 陽だまりの裸婦」 2013年 
(監)ジル・ブルドス(出)ミシェル・ブーケ、クリスタ・テレ 
ピエール=オーギュスト・ルノワール最晩年の傑作「浴女たち」の誕生秘話の映画化。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮」 2016年
(監)ニコ・マラスピーナ、ルカ・ルチーニ
様々な研究者による解説で見るダヴィンチのドキュメンタリー作品。 
「天才画家 ダ・ヴィンチのすべて」 2007年
(監)フィル・グラブスキー 
ダ・ヴィンチの没後500年を記念した製作されたドキュメンタリー作品。
レンブラント
「レンブラントの夜警」 2007年
(監)(脚)ピーター・グリーナウェイ(出)マーティン・フリーマン、エミリー・ホームズ
レンブラント・ファン・レインによる「夜警」創作秘話であり、彼の人生終盤の伝記映画。
ロダン 
「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」 2017年
(監)(脚)ジャック・ドワイヨン(フランス)
(製)クリスティナ・ラルサン(撮)クリストフ・ボーカルヌ(美)カーチャ・ビシュコフ(衣)パスカリーヌ・シャバンヌ
(編)フレデリック・フィシュフェ(音)フィリップ・サルド
(出)ヴァンサン・ランドン、イジア・イジュラン、セヴリーヌ・カネル、ベルナール・ヴェルレー 
ロダン、カミーユ・クローデル以外にもビクトル・ユゴー、セザンヌ、モネ、リルケなども登場
女性であるがゆえに表舞台に出られない弟子で愛人のカミーユの悲劇の物語でもあります。
ロダンはロダンでなかなか作品を理解されない苦しみから抜け出せない日々。
その象徴がバルザックの像。そして、ラスト・シーンがまさかの箱根「彫刻の森美術館」!
彼がどうやって作品を作っていたのかが、裸婦モデル、有名人モデルでまったく製法が違うのに驚き。
それにしても「芸術家」とは自分勝手で我がままでつき合ってはいけない種族です。 
カミーユは可哀想。でもそんな彼女もまた救いがたい我がまま娘だったはず。 
ロートレック 
「赤い風車」 1952年 
(監)(脚)ジョン・ヒューストン(イギリス)
(製)ジャック・クレイトン(脚)アンソニー・ヴェイラー(撮)オズワルド・モリス(音)ジョルジュ・オーリック
(出)ホセ・ファーラー、ザザ・ガボール、コレット・マルシャン、クリストファー・リー、ピーター・カッシング
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの伝記映画。ホセ・ファーラーがベネチア国際映画祭銀獅子賞
「赤い風車」のあるムーラン・ルージュなど当時の風景、そして彼の絵が見事に再現されています。
ムーランルージュの踊りや店内装飾、客たちの衣装などは、見ごたえがあります。
映像がリアリズムにこだわってる割に、俳優たちのセリフ回しが舞台劇調なのがちょっと違和感。
偶然ですが、「スター・ウォーズ」のドゥー・クー伯爵とモフ・ターキンの二人が出演しています!

<写真・報道カメラマン関連の映画>
「輝ける瞬間(とき) コンバットカメラマン沢田教一の愛と青春」 1999年 
(監)若松節朗 
「地雷を踏んだらサヨウナラ」 1999年 
(監)五十嵐匠 
「アントン・コービン 伝説のロック・フォトグラファーの光と影」 2012年 
(監)クラーチェ・クイラインズ(オランダ)
(製)サンデル・フェルドンク他(撮)マルティイン・ファン・ブルックハイゼン、ディデリク・エベレス
(編)ボリス・ヘーレッツ(音)ギャビン・フライデー
(出)アントン・コービン、アーケイド・ファイア、ボノ、メタリカ、ルー・リード、ジョージ・クルーニー 
ロック・アーティスト専門の名カメラマン、アントン・コービンのドキュメント映画。
ジョージ・クルーニー主演の映画「ラスト・ターゲット」の撮影現場。
メタリカ、ルー・リードのアルバム・ジャケット写真撮影。
牧師の息子として育って青春時代の苦悩とロックとの出会い。
ビートルズ、ジャニス、ジミヘン、キャプテン・ビーフハート、ジョイ・ディヴィジョン、カート・コベインなど豪華な被写体
「過去はいつも新しく、未来はつねい懐かしい 写真家 森山大道」 2021年
(監)(撮)(編)岩間玄
(企P)杉田浩光(製)宮崎伸夫、岡本東郎他(P)杉本友昭、飯田雅裕他(ロケ撮)伊藤佳菜子(カラリスト)佐藤智
(音)三宅一徳(声)菅田将暉
(出)森山大道、神林豊(編集者)、町口覚(造本家) 
日本を代表する写真家、森山大道のドキュメンタリー
デビュー写真集「にっぽん劇場写真帖」の再発行のプロジェクトに密着。
彼の日々の撮影にも密着しながら、彼の写真家人生を振り返る構成。
「狩人」「写真よさようなら」「光と影」「Daido hysteric」「東京ブギウギ」「犬と網タイツ」「K」などが登場。
「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」 2014年 
(監)(脚)ヴィム・ヴェンダース(監)(撮)ジュリアーノ・リベイロ・サルガド(製)ダヴィッド・ロジェ
(撮)ユーゴ・バルビエ(音)ローラン・プティガン(出)(写真)セバスチャン・サルガド 
南米、アフリカ(コンゴ、エチオピア、ルワンダ)、旧ユーゴスラビアなど、紛争、飢餓地域などを取材。
飢餓、ジェノサイド、戦争、疫病、民族紛争など、悲惨な現場を巡り、悲劇の現場を世界に伝えた写真家。
セバスチャン・サルガドの人生を振り返ったドキュメンタリー映画の名作。
悲劇の現場を撮る社会派のカメラマンが、ルワンダの虐殺現場を撮って以降、方向転換。
ブラジルの実家が所有している荒れ果てた山を植林によって再生させるプロジェクトを開始。
見事に山に緑と生き物を復活させます。その間、彼は様々な大自然の驚異を撮った「ジェネシス」を制作。
イヌイットやアマゾンの謎の民族の写真や動物たちの写真を収めました。
美しい写真以上に悪夢のような写真の数々に圧倒されます!見たことのない世界がまだあることを再確認。  
「写真家ミック・ロック ロックレジェンドの創造主」 2016年 
(監)バーナビー・クレイ(英)
(製)モニカ・ハンプトン、マリサ・ポリビーノ他(撮)マックス・ゴールドマン
(音)スティーヴン・ドローズ(音監)ランドール・ポスター(出)ミック・ロック
デヴィッド・ボウィ、ルー・リード、イギー・ポップ、クイーン、デヴォラ・ハリー、セックス・ピストルズ・・・
グラム、パンクの英雄たちに密着し写真を撮り続けたカメラマンのドキュメンタリー映画 
「ダン・エルドン 運命の旅」 2016年 
(監)(脚)ブロンウェン・ヒューズ(米・カナダ)
(製)リチャード・アールック、キャシー・エルドン、マーティン・カッツ他(脚)ジャン・サルディ
(撮)ジョリオ・ビカーリ(PD)ボビー・カルドーソ(編)ロベルト・イビソン、ナタン・モス
(音)ダンカン・ブリッジマン
(出)ベン・シュネェツァー、ケリー・マクドナルド、サム・ヘイゼルダイン、エマ・パーネル
マリア・ベロ、ユスラ・ワルサマ、ググン・ディプ・シン、タロー・イシダ 
21歳でソマリア紛争に巻き込まれてこの世を去った若きカメラマン、ダン・エルドンの伝記映画
重い物語になり過ぎないよう写真のコラージュ、音楽、旅の映像などの工夫も好感もてます
監督はアメリカのテレビ出身の女性監督ですが、ネットフリックスならではの作品 
青春を純粋に真実の追求にかけた人生を描いていますが、どうしても西欧人のお節介が・・・
彼の思いは純粋でも、それはアフリカ人には受け入れられないのが現実。
それでも彼は21歳の人生を生き切った。ラストの彼の旅の映像が救いです!
スペイン、モロッコは僕も行った場所でなんか親近感もわきました。 
「バハールの涙」 2018年 
(監)(脚)エヴァ・ウッソン(仏)
(製)ディドール・ドメリ(撮)マティアス・トゥルールストルップ(編)エミリー・オルシーニ(音)モーガン・キビー
(出)ゴルシフテ・ファラハニ、エマニュエル・ベルコ、アフメット・ジレク、ベヒ・ジャナティ・アタイ 
イラクが国内でイスラミック・ステートに誘拐され性奴隷にされていた女性たち。
脱走したり、解放された彼女たちによる部隊の活躍と彼女たちを追う女性カメラマン、マチルダの闘いの日々
彼女たちの怒りと悲しみに比べれば、「ランボー」の怒りなんて些細なモノ。
「戦いの歌」より
この体と血が土地と子孫を育む 母乳は赤く染まり 私たちの死が命を産む
私たちの信念 新しい日の始まり 新しい時代がやって来る 女 命 自由の時代 


多くの戦争 多くの兵士を見てきた でも女の戦場の取材は初めてだ
体中で恐怖を感じる こんな弱さはもう失ったと思ってた すべてを見た気になり感覚がマヒしても
この仕事をする理由を急に思い起こす 惨劇を生き抜いた人々に突然生命力を注がれるのだ
バハールに”真実”を書くよう頼まれた 語りたいのは打ちのめされながらも 再び立ち上がる女たち
倒れても後を継ぐ者がいる 私 戦争記者のマチルド・Hは 彼女たちの歌声に震える
士気高揚の歌 力強い歌 先祖代々伝わる歌 立てと鼓舞する歌 人間のあり様に抗う希望 
「プライベート・ウォー」 2018年 
(監)(製)マシュー・ハイネマン(イギリス)
(製)ベイジル・イヴァニク、シャーリーズ・セロン他(製総)エリカ・リー、ジョナサン・ファーマン他
(原)マリー・ブレナー(脚)アラッシュ・アメル(撮)ロバート・リチャードソン(PD)ソフィー・ベッカー
(編)ニック・フェントン(衣)マイケル・オコナー(音)H・スコット・サリーナス
(主題歌)アニー・レノックス
(出)ロザムンド・パイク、ジェイミー・ドーナン、スタンリー・トゥッチ、トム・ホランダー
英国サンデー・タイムズ特派員のアメリカ人記者メリー・コルヴィンの伝記映画
緊張感が半端ないリアリズム戦場映画の傑作
最後のシリア・ホムスからの中継は特に素晴らしい!
ここまでしなければ伝わらないし、この映画も見て感動する人は事実を知っている人。
映画が素晴らしいほど、リアルなほど、現状をしっかり理解してくれる人は少なくなるのかもしれない。
ふとそんなことを考えました。
「ヘルムート・ニュートンと12人の女たち」 HERMUT NEWTON : The Bad and the Beautiful(D)  2020年
(監)ゲロ・フォン・ブーム(ドイツ)
(製)フェリックス・フォン・ブーム(撮)スヴェン・ヤーコブ=ベンゲルマン(編)トム・バイヒェンハイン
(出)ヘルムート・ニュートン、ジューン・ニュートン、シャーロット・ランプリング、グレイス・ジョーンズ、アナ・ウィンター、イザベラ・ロッセリーニ
クローディア・シェファー、ハンナ・シグラ、マリアンヌ・フェイスフル 
1920年10月31日ドイツ生まれのカメラマン、ヘルムート・ニュートンの伝記ドキュメンタリー。
2004年1月23日に自動車事故で亡くなるまでを12人の女性モデルたちが回想しながら浮かび上がらせます。
最初のファッションカメラマンとも言われるイヴァ(エルゼ・ジーモン)のもとでカメラマン修行。
ドイツ表現主義とレニ・リーフェンシュタールの影響を受けたもののユダヤ人であるがゆえにオーストラリアに亡命。
その後、イギリスで英国版「ヴォーグ」のカメラマンとなり、パリを拠点にファンション雑誌などでファッション・カメラマンとして活躍。
1970年代80年代を中心にカリスマ的カメラマンとして、時代を象徴する写真を発表し続けました。
女性差別、人種差別、障害者差別、動物虐待の写真として問題視される作品を多く発表しますが、そこには彼の意図がありました。
女性を撮影するのは、その肉体の美しさを撮るのであって、内面などはどうでもいい。そう言い切るところも凄い! 
「SAWADA 青森からベトナムへ ピュリツァー賞カメラマン沢田教一の生と死」 2020年 
(監)五十嵐匠 

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