アメリカにおける黒人解放運動の英雄たち
<黒人解放運動の英雄たち>
 アメリカにおける黒人解放運動が盛り上がった1960年代は、様々な黒人アーティストや政治活動家が活躍した時代として忘れられません。ここではそんな1960年代に活躍した黒人解放運動の英雄たちを中心に、リストを作ってみました。モハメド・アリやジェームス・ブラウン、マイルス・デイヴィスなどの大物だけでなく、あまり日本では知られていない「ブラック・パンサー党」のメンバーやジェームズ・ボールドウィンなどの文学者なども載せているので、参考にして下さい。
A
モハメド・アリ(カシアス・クレイ) Muhammad Ali(Cassius Clay)(1942年~)
「蝶のように舞い蜂のように刺す」20世紀最強のヘビー級チャンピオンと呼ばれたボクサー。
ネイションズ・オブ・イスラムに改宗後、「モハメド・アリ」に改名。ベトナム戦争に反対し兵役を拒否。ヘビー級チャンピオンのタイトルをはく奪された。
その後、裁判に勝利し、実力でチャンピオンに復帰した。「キンシャサの奇跡」など名勝負が多い伝説のチャンピオン。
マリアン・アンダーソン Marian Anderson(1897年~1993年)
アメリカの女性声楽家(クラシック・聖歌)の先駆的存在で人種差別と闘ったことでも知られる。
ルイ・アームストロング Louis Armstrong(1900年~1971年)
アメリカのジャズ・トランぺッター、歌手、エンターテナー。
トランぺッターとして活躍し、その後は映画にも出演し、アメリカを代表する存在となった。
B
A・ピーター・ベイリー A.Peter Bailey(1938年~)
アメリカのジャーナリスト。マルコムXらと「アフロ・アメリカン統一機構OAAU」を設立。
マルコムXに関する著作でも知られる。
ジョセフィン・ベイカー Josephine Baker(1906年~1976年)
「ジャズ・エイジ」と呼ばれる1920年代に活躍した女性ダンサー。
黒人文化をヨーロッパなど海外に広めた先駆的エンターテナー。
ジェイムズ・ボールドウィン James Baldwin(1924年~1987年)
アメリカの作家・劇作家・詩人であり公民権運動の活動家。黒人であり、同性愛者である苦悩から作品を生み出した。
公民権運動における中心的作家・思想家のひとり。
自伝的小説「山にのぼりて告げよ」、「もうひとつの国」、エッセイ「次は火だ」
カウント・ベイシー Count Basie(1904年~1984年)
アメリカの黒人ジャズ・ピアニスト、バンドリーダー、作曲家
メアリー・マクラウド・ベシューン Mary Mcleod Bethune(1875年~1955年) 
奴隷だった両親のもとに誕生した女性。後に教育家となり黒人女性のための教育機関を設立。
穏健派の活動家として民主党ルーズベルト大統領の顧問まで勤め、黒人の社会進出を進めた。
アベベ・ビキラ Abebe Bikila(1932年~1973年)
エチオピアのマラソン・ランナーとして、オリンピック2連覇を達成。
世界中の黒人アスリートにとっての英雄として、その後のスポーツ界に大きな影響を与えた「裸足のランナー」。
グウェンドリン・ブルックス Gwendolyn Brooks(1917年~2000年)
アメリカの女性詩人。ピューリッツァー賞を受賞した最初の黒人女性となった。
ジェームズ・ブラウンJames Brown(1933年~2003年)
「ファンクの父」として20世紀のポピュラー音楽を代表する歌手。
人種差別に対しても抗議の姿勢を示し続けた。
H・ラップ・ブラウン H.Rap Brown(1943年~)
学生非暴力調整委員会最後の議長であり「ブラック・パンサー党」の創設メンバー。
名前をジャミル・アル=アミンに改名。警官殺害の疑いにより逮捕されるが、有罪かどうかは?
C
キャブ・キャロウェイ Cab Calloway(1907年~1994年)
黒人の流行語辞典「ジャイヴ辞典」(1944年)の著者でもあるアメリカのエンターテナー、バンド・リーダー。
ズート・スーツなどのファッションや「ミニー・ザ・ムーチャ」などのヒット曲など黒人文化の流行を作ったカルト・スター。
ストークリー・カーマイケル Stokely Carmichael(1941年~1998年)
学生非暴力調整委員会SNCC出身で「ブラック・パンサー党」(1966年設立)の主席を一時期務めたが、後に脱退。
アメリカを離れアフリカのギニアに移住し、そこで死去。
ジョージ・ワシントン・カーヴァー George Washington Carver(1860年~1943年)
アメリカの植物学者で、南部の農業発展のために研究を続けた。
綿花と大豆、落花生などの輪作を進めて、生産効率を向上させることで、黒人農業者のために貢献した。
ジョン・ヘンリク・クラーク John Henrik Clarke(1915年~1998年)
アメリカの作家・歴史家。アメリカにおけるアフリカ研究の第一人者として、アフロ・アメリカン文化を広めることに貢献した。
エルドリッジ・クリーヴァー Eldridge Cleaer(1935年~1998年)
黒人解放運動活動家で「ブラック・パンサー党」の指導者の一人として活動するが、他のメンバーと対立し脱退。
自伝「氷の上の魂 Soul on Ice」(1968年)の著者。
サム・クック Sam Cooke(1931年~1964年)
1960年代公民権運動の時代を代表するソウル歌手。
「キューピッド」「トゥイステッド・ナイト・アウェイ」「ユー・センド・ミー」などヒット曲も多い。
 D
マイルス・デイヴィス Miles Davis(1926年~1991年)
アメリカのジャズ・トランペッター、バンドリーダー。
人種差別に対して積極的に反対の姿勢を示し、音楽的にも革新を続けた20世紀音楽界の巨人。
サミー・デイヴィス・Jr Sammy Davis Jr.(1925年~1990年)
アメリカの歌手・俳優・エンターテナー。フランク・シナトラ・ファミリーのメンバーとしても活躍。
日本でも1970年代にテレビCMなどで大人気となった。白人女性と結婚しユダヤ教に改宗したため、多くの差別を受けることになった。
「前衛がないことはしちゃいけないというルールが、もし確固たる成文法だったなら、いまの世の中は存在しないだろうな。
・・・いいかい、ジェームズ・ボールドウィンが本を書きはじめられたのは、彼の前にリチャード・ライトがいたればこそなんだ。ぼくがなんとか成功をおさめられたのは、
ぼくの前に成功をおさめた黒人の俳優や歌手がいたればこそなのさ。黒人はね、その職業がなんであれ、自分だけのためにしているんじゃないんだよ。
たとえそうだと意識していなくとも、黒人は常に自分と自分の属している種族のために、それをしているんだ。・・・」

1964年のインタヴューより
フレデリック・ダグラス Frederick Douglass(1817年~1895年)
アメリカで奴隷として誕生。その後、逃亡し奴隷解放運動の活動家となった。
公演活動や執筆活動を行い「公民権運動の父」と呼ばれる存在となった。
W・E・B・デュボイス W.E.B.DuBois(1855年~1963年)
アメリカの近代黒人解放運動における思想的指導者。
全国黒人地位向上協会の創成者として、黒人たちが経済的に独立して生活してゆけるよう様々な取り組みを行った。
さらには国内だけでなくアフリカの独立運動や米ソ冷戦時の平和運動にも活躍。
黒人として政界にも大きな影響力を発揮した先駆的存在だったが、穏健派であったことから批判の対象となることもあった。
ポール・ローレンス・ダンバー Paul Laurence Dunber(1872年~1906)
アメリカの詩人。黒人たちの話し言葉で黒人たちの生活をうたった。
E
デューク・エリントン Duke Ellington(1899年~1974年)
アメリカの黒人ジャズ・ピアニスト、バンドリーダー、作曲家。
黒人音楽を白人大衆レベルまで広め、ジャズを新しい音楽ジャンルとして確立した。
F
エラ・フィッツジェラルド Ella Fitzgerald(1918年~1996年)
アメリカの黒人女性ジャズ歌手。
長く活躍し、黒人女性の地位向上とジャズを海外に広める重要な役割を果たした。
ジョン・ホープ・フランクリン John Hope Franklin(1915年~2009年)
アメリカの歴史学者、教育家で、「アメリカ黒人の歴史 - 奴隷から自由へ From Slavery to Freedom」の著書で知られる。
マーカス・ガーヴェイ Marcus Garvey(1887年~1940年) 
ジャマイカ生まれの黒人活動家、実業家であり、黒人の独立と権利を主張した先駆者 
ニッキ・ジョバンニ Nikki Giovanni(1943年~)
アメリカの女性作家、詩人、大学教授
H
アレックス・ヘイリー Alex Haley(1921年~1992年) 
アメリカの作家。綿密な取材をもとにした長編小説作家。
代表作「ルーツ」はドラマ化もされ日本を含め海外でも大ヒットし、アフロ・アメリカンの歴史を振り返るだけでなく世界中で「ルーツ探し」がブームとなった。
口述によりマルコムXの伝記を執筆したことでも知られる。
ウィリアム・C・ハンディ William C.Handy(1873年~1958年)
民謡の一ジャンルだった「ブルース」を初めて楽曲として発表したミュージシャン。そのため「ブルースの父」とも呼ばれる。
ダニー・ハサウェイ Donny Hathaway(1945年~1979年)
公民権運動の時代を代表するソウル歌手。運動の停滞の影響か?1979年に悲劇の自殺をとげています。 
ギル・スコット・ヘロン Gil Scott=Heron(1949年~2011年)
ニューヨークを活躍した詩人、歌手。人種差別に反対するメッセージ性の高い詩を作っていたが、バンドをバックにミュージシャンとして活躍。
「Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビで放送されない)」や「ボトル」などが有名。
レナ・ホーン Lena Horne(1917年~2010年)
アメリカの女性ジャズ歌手、俳優。
黒人女性エンターテナーとして広い活躍をしたアーティスト。(混血で白人に近かったことも幸いした)
ラングストン・ヒューズ Langston Hughes(1902年~1967年) 
アメリカの詩人、小説家。
1920年代「ハーレム・ルネッサンス」の中心的存在として黒人文化の発展に活躍した。
黒人たちの喜怒哀楽を歌った自由詩が高く評価され、多くの黒人たちだけでなく白人にも読者層を広げた。
著書としては「夢の番人 The Dream Keeper」などがある。 
ゾラ・ニール・ハーストン Zora Neale Hurston(1891年~1960年)
アメリカ南部だけでなくジャマイカやハイチなどでアフロ・アメリカンの民話や民謡を調査した女性民俗学者。
小説「彼らの目は神をみていた」などの作者でもある。
J
エドワード・P・ジョーンズ Edward P.Jones
アメリカの小説家。黒人でありながら奴隷を所有していた意外な歴史を扱った小説「地図になかった世界」の著者。
リロイ・ジョーンズ LeRoi Jones(1934年~2014年)
アメリカの詩人、作家、音楽評論家、黒人解放運動活動家。後に名前をアミリ・バラカに改名。
「ブルースの魂」、「ブラック・ミュージック」など音楽関連の著者は日本でも有名。
K
ウィリアム・メルヴィン・ケリー William Melvin Kelley
ニューヨーク出身の作家。1950年代NYのアフロ・アメリカンの生活を描いた「ぼくのために泣け」は代表作。
ジョン・A・ケニー John A.Kenney(1914年~2003年)
アメリカの医師であり、皮膚病学の権威。
多くの黒人医師を育てることで黒人社会に大きな貢献をした人物。
チャールズ・ケニヤッタ Charles Kenyatta(1921年~2005年)
アメリカの黒人解放運動活動家・宗教家であり、マルコムXの側近でもあり、ボディ・ガードも務めていた。
マーティン・ルーサー・キング牧師 Martin Luther King Jr(1929年~1968年)
牧師であり黒人解放運動の活動家。平和的な活動を徹底的に貫いたことで20世紀を代表する存在となりました。
アーサ・キット Eartha Kitt(1927年~2008年)
アメリカの女性歌手・女優。
「セシ・ヴォン」などのヒット曲と映画・テレビの俳優として活躍。しかし、人気絶頂期にホワイトハウスの昼食会でベトナム戦争への反対を表明。
そのために多くの仕事を失ってしまった悲劇のアイドル。
L
ネラ・ラーセン Nella Larsen(1891年~1946年)
「ハーレム・ルネッサンス」を代表する女性作家。「白い黒人」、「サンクチュアリ」などが代表作。
M
マルコムX Malcom X(1925年~1965年)
黒人解放運動の活動家
ネルソン・マンデラ Nelson Mandela(1918年~2013年)
南アフリカにおけるアパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃させ、黒人初の大統領となった20世紀を代表する政治活動家
カーティス・メイフィールド Curtis Mayfield(1942年~1999年)
公民権運動の時代に活躍し「ニューソウル」の中心アーティストとして活躍。
「スーパー・フライ」、「バック・トゥー・ザ・ワールド」「ニューワールド・オーダー」などの名作を残した。
クロード・マッケイ Clude McKay(1890年~1948年)
ジャマイカ生まれのアメリカ人で詩人、小説家で、「ハーレム・ルネッサンス」の中心的存在のひとり。
ルイス・ミショー Lewis Micheaux(?~1976年)
ニューヨーク・ハーレムで黒人専門の書店を開店させ、黒人解放運動の知的拠点とした伝説の書店オーナー
トニ・モリスン Toni Morrison(1931年~)
西加奈子、オバマ大統領などが愛読する女性小説家。アフロ・アメリカンの女性として初めてノーベル賞を受賞した。
「ソロモンの歌」、「ビラブド」などが代表作。
イライジャ・ムハンマド Elijah Muhammad(1897年~1975年)
アメリカのイスラム教団「ブラック・ムスリム」(ネイション・オブ・イスラム)の指導者。
弟子でもあったマルコムXと対立し、彼の暗殺に関わった可能性も高い。 
N
ヒューイ・P・ニュートン Huey Percy Newton (1942年~1989年)
「ブラック・パンサー党」の創設者のひとり。
暴力を容認する急進的な黒人解放運動組織として、公民権運動においてキング牧師を中心とする穏健派から分裂発展。
しかし、暴力の容認により、白人・黒人両陣営から孤立し、運動は急速に失速することになった。 
クワメ・エンクルマ Kwame Nkrumah(1909年~1972年)
ガーナの初代大統領(1960年~1966年)。1935年から1945年にかけてアメリカに留学し、教師も務めて後に帰国。
帰国後に政治家に転身、ガーナ独立時に大統領に就任したガーナ独立の英雄。
アフリカアメリカの黒人文化にも大きな影響を与えた黒人指導者。
P
サチェル・ペイジ(本名)リロイ・ロバート・ペイジ Leroy "Sathel"Paige(1906年~1982年)
アメリカの野球選手。黒人と白人が異なるリーグでプレイしていた時代に活躍。「史上最高の投手」と呼ばれた伝説的選手。 
アダム・クレイトン・パウエルJr Adam Clayton Powell Jr.(1908年~1972年)
アメリカの牧師であり、ハーレム選出の下院議員(1945年~1971年)として公民権運動の中心として活躍。
R
リトル・リチャード Richard"Little Richard"(1932年~)
アメリカのR&B歌手、ピアニスト、作曲家であり、「ロックンロールの元祖」とも言われる存在。
シュガー・レイ・ロビンソン Sugar Ray Robinson(1921年~1989年) 
アメリカを代表するプロボクサー。元ミドル級、ウェルター級チャンピオン。
至上最高のボクサーと呼ばれ、黒人少年たち憧れの存在だった。
ポール・ロブソン Paul Robson(1939年~1976年)
エリート黒人スポーツ選手から二グロ・スピリチュアル歌手へ、そして黒人解放運動の闘士へ、歴史から消された男の苦難の人生
S
ソーニャ・サンチェス Sonia Sanchez(1934年~)
アメリカの女性詩人。1960年代のアフリカ回帰運動をうたったブラック・アート運動の推進者としても有名な存在。
ボビー・シール Bobby Seale(1936年~)
「ブラック・パンサー党」の創立者の一人。
内部分裂により、メンバーを死亡させたとして、逮捕されるが後に釈放される。
ニーナ・シモン Nina Simone(1933年~2003年)
アメリカの公民権運動の時代を代表する女性プロテスト・シンガー。
T
ハリエット・タブマン Harriet Tubman(1820年~1913年)
アメリカの奴隷出身の女性。奴隷解放運動と女性解放運動の中心として活躍。
南部の奴隷たちを北部へと逃がすための秘密組織「地下鉄道」の指導者として多くの奴隷たちに自由をもたらした。
ナット・ターナー Nat Turner(1803年~1831年) 
アメリカで奴隷として誕生したが、1831年に農場で反乱を起こした。
「ナット・ターナーの反乱」として有名な事件で、多くの白人が殺された。
その首謀者とされたターナーは逮捕後に処刑された。
ウイリアム・スタイロン著「ナット・ターナーの告白」はこの事件を描いた歴史的名著
ジェイムズ・E・ターナー James E. Turer
コーネル大学アフリカ研究センターの創設者であり、初代センター長となったアメリカにおけるアフリカ研究の第一人者。
W
ブッカー・タリアフェロ・ワシントン Booker Taliaferro Washington(1856年~1915年)
アメリカで奴隷として誕生。雇い主に恵まれて教育を受けることができたことから自らも教育者となった。
白人の慈善家と協力することで南部で黒人のための教育機関を設立。
黒人に教育の機会を広めたが、白人に迎合する「アンクル・トム」として批判されることもあった。
自伝「奴隷より身を起こして Up from Slacvery」
カーター・G・ウッドソン Carter G.Woodson(1875年~1950年)
アメリカの黒人文化の歴史家。
アメリカにおける黒人史を、黒人の視点から調べ直した「黒人史の父」
リチャード・ライト Richard Wright(1855年~1947年)
アメリカで奴隷として生まれたが、軍の主計官として働いた後、教育者、銀行家として黒人たちのために働いた。
経済的に黒人企業家を支えることで、黒人たちの自立を援助した。
小説「アメリカの息子」の著者で、ジェームズ・ボールドウィンら多くの黒人作家に影響を与えた。

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