世界6大文学賞+2を狙え!


- ノーベル文学賞、ブッカー賞、ゴンクール賞・・・芥川賞、直木賞 -
<文学賞を狙え!>
 今や秋の風物詩となった感のあるノーベル文学賞発表前のハルキストたちの集い。村上春樹の受賞は、本人も含め、ハルキストもそれほど望んでいるわけではないかもしれませんが、やはりいつかは受賞してほしいものです。
 でも、そもそもノーベル文学賞は、どんな作家、どんな作品がとっているのでしょうか?その「傾向と対策」はあるのでしょうか?
 スポーツ界では、日本での活躍より海外での活躍を初めから目指す若者が増えています。それと同じように、俺は「芥川賞」より「ノーベル文学賞」が欲しい!という若者もこれから出てくるかもしれません。
 そもそも「ノーベル文学賞」はそう思って、狙える賞なのでしょうか?
 ここでは「世界の8大文学賞」という本から「文学賞」について勉強し、今後、あなたが賞を狙うための参考にしていただければ!と思います。
 本気で狙う方は、先ずはその本を読み、そこで解説されている受賞作を読みましょう!
 ちなみに「世界6大文学賞+2」としたのは、さすがに日本の文学賞を世界の文学賞に入れるのはどうかと思ったので・・・。
 ノーベル文学賞、ブッカー賞、ゴンクール賞、ピュリッツァー賞、フランツ・カフカ賞、エルサレム賞と芥川賞・直木賞についてまとめました。

ノーベル文学賞 
<開始年>1901年
<受賞者>1年に1名
<主催>スウェーデン・アカデミー(スウェーデン)
<賞金>1億円程度
アルフレッド・ノーベルとノーベル賞について
<過去の受賞作>
アリス・マンロー「小説のように」、オルハン・パムク「僕の違和感」、V・S・ナイポール「ミゲル・ストリート」
<傾向と対策>
「死ぬ前にあげる賞」(受賞者には高齢者が多い)
「地元が有利な賞」(ヨーロッパ、特に北欧の作家が有利)
「優れた翻訳本が必要」(ヨーロッパの主要言語で書かれていると有利)
「道徳的、理想主義的、人道主義的な作品」(ノーベル賞の理念から)
「誰もが面白いエンタメ小説」「エロティックな小説」「アヴァンギャルドな小説」は受賞困難。
かつては国民的文学作品が有利だったが、現在は「世界文学」であることの方が有利。 

芥川龍之介賞 
<開始年>1935年
<受賞者>年に2回選出
<主催>公益財団法人日本文学振興会(日本)
<条件>文学誌に掲載された新人作家の短編小説、中編小説が対象
芥川龍之介とはどんな人かご存知ですか?
<過去の受賞作>
小野正嗣「九年前の祈り」、目取真俊「水滴(赤い椰子の葉)」、黒田夏子「abさんご」
「エンターテイメント小説は、どんどんページをめくらせるのがいい小説だと言われますが、こういう純文学系は、一行にどこまで滞在させられるかが、勝負でもある。
そう考えると「abさんご」はものすごく成功していると思います。・・・」

瀧井朝世
<傾向と対策>
「新人作家のための賞」(新人賞なのでその年最高の作品である必要はない)
「話題性が重要な賞」(文学界を盛り上げるための賞なので、「最年少」「美女」「芸能界出身」など話題性は重要)
「才能も重要」(作家が選ぶ賞なので文学としての質も重要)
作家が選ぶ審査が厳しいせいか、受賞者の数が多いわりに長く活躍する作家が多い。
そのためには、2作目以降の作品もしっかり準備しておくこと!(って何様?)

直木三十五賞 
<開始年>1935年
<受賞者>年に2回選出
<主催>公益財団法人日本文学振興会(日本)
<賞金>100万円 
ところで「直木三十五」とはどんな人か?ご存知ですか?
<過去の受賞作>
東山彰良「流」、辻村深月「鍵のない夢を見る」、ジュノ・ディオス「オスカー・ワオの短くも凄まじい人生」、温又柔「台湾生まれ、日本語育ち」
<傾向と対策>
「新人ではなく中堅作家の賞」(若い作家である必要なし、ある程度の実績が必要)
「エンタメ作品賞」(芥川賞と違い芸術性よりも大衆小説、エンターテイメント小説が対象)
「日本が題材の必要なし」(私小説的作品が対象の芥川賞と違い、舞台は日本でなくてもよい!)
「とにかく面白い小説」「様々な情報を盛り込んだ厚めの小説」「娯楽小説であっても啓蒙的な小説」 

ブッカー賞(マン・ブッカー賞) 
<開始年>1968年
<受賞者>年に一回(複数回受賞することも可)
<主催>ブッカー賞財団(英国)
<賞金>5万ポンド
<過去の受賞作>
ジョン・バンヴィル「海に帰る日」、マーガレット・アトウッド「昏き日の暗殺者」、ヒラリー・マンテル「ウルフホール」
<傾向と対策>
「英語文学の賞」(元は、旧英国植民地である英語文化圏の文学賞としてフランスのゴンクール賞に対抗して創設)
 ただし、2014年からは英語の翻訳版が出版されていればOKとなり、複数回の受賞もOK。
「厳しい選考による選出」(選考委員が100冊以上の候補作品をすべて読んで選考するので、本物有利)
「面白く、仕掛けがあり、歴史を学べる小説」
新人でも大御所でも中編・長編関係なしで、優れた作品を選ぶ賞。
最も充実した作品が受賞している文学賞かもしれない。
<ブッカー国際賞>
英語文学ではない作品も対象に世界規模で選ぶ賞も追加。
日本人にはこの賞の方がチャンスありか?
作品ではなく作家が対象となり、実績のある作家が選ばれる賞だったが2016年から作品に変更。
イスマエル・カダレ(アルバニア)、アリス・マンロー(カナダ)、チヌア・アチェベ(ナイジェリア)、ハン・ガン(韓国)

ゴンクール賞
<開始年>1903年
<受賞者>年に1回
<主催>アカデミー・ゴンクール(フランス)
<賞金>10ユーロ 
<過去の受賞作>
パトリック・モディアノ「暗いブティック通り」 
<傾向と対策>
「作家が創設した賞」(作家のゴンクール兄弟が親の遺産を相続し、それを元手に創設した文学賞)
「ほぼフランス人のための賞」ほとんどはフランス人で40歳代くらいまでの作家が受賞
お洒落で、構成が巧みで、文章が美しく、深い思索による作品が有利。
受賞できる範囲は、フランス語文化圏までと狭いが質の高い作品が選ばれている。

ピュリツァ―賞(フィクション部門) 
<開始年>1917年(1948年「フィクション部門」に変更)
<受賞者>年に1回
<主催>コロンビア大学(アメリカ)
<賞金>3000ドル 
<過去の受賞作>
デニス・ジョンソン「煙の樹」、ジェニファー・イーガン「ならずものがやってくる」、ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」
エリザベス・ストラウト「オリーヴ・キタリッジの生活」
<傾向と対策>
「報道のための賞」ジャーナリストで新聞社の社主ジョゼフ・ピュリツァ―が創設した報道賞から派生した小説部門
審査員には文学以外の報道関連の専門家がいるので、芸術性とは異なる方向性が重要。
「面白い小説」であると同時に「歴史的に重要な問題を扱った報道的視野のある小説」
さらに「アメリカらしい内容の小説」なら文句なし。

フランツ・カフカ賞 
<開始年>2001年
<受賞者>年に1回
<主催>フランツ・カフカ協会(チェコ)
<賞金>10000ドル
<過去の受賞者>
フィリップ・ロス、村上春樹、ハロルド・ピンター、エルフリーデ・イエリネク、エドゥアルド・メンドサ、セサル・アイラ、ミラン・クンデラ
<傾向と対策>
「現代の世界文学の偉大な作家の一人であるフランツ・カフカの作品同様、出自、民族、文化に関係なく、読者に訴える、芸術的に傑出した現代作家」
「ユダヤ人作家が有利な賞」(カフカがユダヤ人で教会の中心もユダヤ人のせいもあり、ユダヤ人作家か中東欧の受賞が多い)
「チェコ語出版が必要」(作品のうち一作でもチェコ語での出版がないと候補になれない)
最近はユダヤ、東欧系以外の受賞もありになりつつあります。
ちなみに村上春樹の受賞は、「海辺のカフカ」がチェコで出版され話題になっていたおかげ。だからって、カフカの名前を使わないこと!

エルサレム賞 「社会の中の個人の自由のためのエルサレム賞」
<開始年>1963年
<受賞者>2年に1回
<主催>エルサレム国際ブックフェア(イスラエル)
<賞金>10000ドル 
<過去の受賞者>
J・M・クッツェー、イアン・マキューアン、イスマエル・カダレ、村上春樹、ジョイス・キャロル・オーツ、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アーサー・ミラー
<傾向と対策>
審査委員には、ボルヘス、ミラン・クンデラ、スーザン・ソンタグ、ドン・デリーロなど、過去の受賞作家など有名作家が加わっています。
自国の作品がそもそも少ないので世界中の作品から選出。
人種、地域、国による偏りは少ないが、現代的で都会的な作品が多い傾向。
ヨーロッパの作家もしくは、わかりやすい英語の文学が有利な傾向あり。


「世界の8大文学賞」 2016年
受賞作から読み解く現代小説の今
(著)都甲幸司、中村和恵、宮下遼、武田将明ほか
立東舎

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