2020年以降の代表作(洋画編)

- 2020年~ -


2020年 2021年 2022年 2023年

 作品名  
 監督(出身国) 
スタッフ・出演者
<あらすじ> 
コメント 
2020年
「愛してるって言っておくね」If Anything Happenea I Love You (N)(アニメ)
(監)ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィア(アメリカ) 
アカデミー賞短編アニメ賞
学校で起きた銃乱射事件で犠牲になった子供の親の苦悩を映像化 
「アナザー・ラウンド」 Another Round / Druk
(監)(脚)トマス・ヴィンターベア(デンマーク) 
(製)シシ・グラウム・ヨアンセン、キャスパー・ディシン(脚)トビアス・リンホルム(撮)シュトゥルラ・ヴラント・グロヴレン(PD)サビーヌ・ヴィード
(衣)エレン・レンス、マノン・ラスムッセン(編)アンネ・オーステルード、ヤヌス・ビレスコフ=ヤンセン
(出)マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・レンセン、マグヌス・ミラン、ラース・ランゼ、マリア・ボネヴィー、ヘリーヌ・ラインゴー・ノイマン
挿入曲「Cissy Strut」(ザ・ミーターズ
アカデミー国際長編映画賞
血中濃度0.05%の時、人間は最大の能力を発揮できる。という理論を試すために実験を開始。
仕事中のみ飲酒することにした高校教師4人組。
実際、授業は上手く行くようになりますが、しだいに酒量が増え、いつしか常に酩酊状態になり悲劇も起きることになります。
とはいえ、その飲酒メンタルは日本とは雲泥の差!高校生が卒業式で酔っぱらうって・・・文化の違いに驚きです。
思えば、昔、胃炎になるほど飲んでいた時代があり、その頃の思いでは強烈でした。音楽だって違って聞こえてきたかもしれない。
それって、改めて考えると実に贅沢で幸福な瞬間でした。そのためには、自己責任で飲酒はあり?その延長で薬物もあり?となるのも事実。
この作品はそんな問題をギリギリでクリアして、ラストはマッツの見事なダンスで締めくくります。
コロナ禍の今では考えられないエンディングですが、なおさら幸福そうに見えます。コロナを乗り越えて、人生に乾杯!したくなる作品。
今こそ必要かも?
あの夜、マイアミでOne Night In Miami 
(監)レジーナ・キング(アメリカ)
(製)ジェス・ウー・カルダー、キース・カルダー、ジョディ・クレイン(原戯)(脚)ケンプ・パワーズ(撮)タミー・レイカー
(編)テリク・アンワル(音)テレンス・ブランチャード
(出)キングスレイ・ベン=アディル、イーライ・ゴリー、レスリー・オドムJr.、アルディス・ホッジ、ランス・レディック、ボー・ブリッジス 
<あらすじ>
カシアス・クレイがソニー・リストンを倒して世界チャンピオンになった夜。会場があるマイアミにアリの友人が集合した。 
サム・クック(歌手)、ジム・ブラウン(アメフトのスター、俳優)、マルコムX(社会活動家)
4人はクレイの勝利を祝うはずが、黒人解放運動への関わりついて激論を戦わし始めます。 
実際にあった一晩の出来事を舞台劇とした書いたのは「ソウルフル・ワールド」の脚本家でもあるケンプ・パワーズ。
監督は女優として活躍してきたレジーナ・キングで初監督ながら見事な作品に仕上げました。
「俳優ジム・ブラウン」誕生秘話。「モハメド・アリ」誕生秘話。「A Chang Gonna Come」誕生秘話。「マルコムX」暗殺秘話。
公民権運動の行方を左右したと同時に、その後の彼らの運命を変えた一晩の物語。
黒人音楽、黒人文化ファンにはたまらない作品です!必見。 
アメリカン・ユートピアDavid Byrne's American Utopia  
(監)(製)スパイク・リー(アメリカ)
(製)デヴィッド・バーン(製総)ジェフ・スコール、デヴィッド・リンド他(撮)エレン・クラス(編)アダム・ガフ(振)アニー=B・パーソン
(出)デヴィッド・バーン 
2018年発表のアルバム「アメリカン・ユートピア」を基にしたコンサートを撮影した作品。
監督はスパイク・リーですが、ジャネイル・モネーのカバーが彼をやる気にさせたのでしょうか?
多様な国籍のメンバーからなるバンドが、コードレスの楽器を使いダンスのように動きながら演奏する「演奏するミュージカル」!
デヴィッド・バーン、トーキングヘッズのヒット曲集なのにそれぞれ新たな輝きをもって演奏されます。
ストップ・メイキング・センス」のようにメンバーが増えて行き複雑化する演出も再現。 
より進化した作品を見てジョナサン・デミも天国で喜んでいることでしょう。
脳にある神経繊維の複雑さは大人になるほど減少し、単純化するというのが医学的事実。
しかし、人間はそれを人間と人間による関係性によって補うことが可能。人間こそが一番面白い!
しばらくご無沙汰でしたが、やはり同時代の英雄と思っていたデヴィッド・バーンは本物だった!感無量です。
ボブ・ディラン、ビートルズ、ボブ・マーリーのような世界を変えた天才ではないかもしれませんが、僕の世代のナンバー1。 
「アンモナイトの目覚め」Ammonite  
(監)(脚)フランシス・リー(イギリス)
(製)イアン・カニング、エミール・シャーマン他(製総)サイモン・ギリス、メアリー・バーク他(撮)ステファーヌ・フォンテーヌ
(PD)サラ・フィンリー(衣)マイケル・オコナー(編)クリス・ワイアット(音)ダスティン・オハロラン、フォルカー・バーテルマン
(出)ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン、ジェマ・ジョーンズ、ジェームズ・マッカードル、アレック・セカレアヌ 
<あらすじ>
アンモナイトなど化石の発掘と販売で暮らすメアリー・アニングは、うつ病の療養でやってきたシャーロットの世話を頼まれます。
仕方なく世話をやくメアリーは、風邪をひいて寝込んだシャーロットの看病をするうちに心が乱れ始めます。
いつしか二人は愛し合うようになり始めます。  
新旧美女俳優が愛し合うとLGBT作品。主人公が化石発掘の専門家というのが味噌!
ドラマチックさはないものの、良質の作品。 
とはいえ、ケイト・ウィンスレットはまるで女装した男性に見え、体つきもがっちり。作品のために体を大きくしたのかも?
彼女ならやりそうです。それに比べ、シアーシャ・ローナンの病弱そうなこと・・・ 
「息がつまりそう」 Choked 
(監)(製)アヌラーグ・カシャップ(インド)
(製)ダルフ・ジャガシア他(脚)ニヒト・ブハヴェ(撮)シルヴェスター・フォンセカ(編)コナルク・サクセナ(音)アチータ・アロラ
(出)サイヤミ・ケール、ラジシュリ・ラシュパンデ、アムルータ・スバーシュ、ロシャン・マシュー、トゥシャール・ダルヴィ
<あらすじ>
歌手になるチャンスに声が出なくなったサミーは働かない夫に代わり銀行で地道に働いていました。
そんなある日、夜中に台所の排水管から丸められた札束があふれだしてきました。
それは上の階に住む議員秘書が密かに隠したお金でした。
彼女はそのお金が入れられる夜中のタイミングを知り、そのお金を取り出し続けます。
金まわりが良くなった妻を不審に思った夫は、彼女の浮気を疑い始めます。
ちょうどその頃、モディ首相が不正な資金を使えなくするためと称して、500ルピーと1000ルピーの札を新札に交換し使えなくすると発表。
慌てた人々が手持ちのお金を新札に変えようと銀行に殺到し始め、銀行は大混乱。
その状況を利用して儲けようとする者や強盗まで現れます。 
殺人どころか暴力なし、セックスなし、お笑いなし、警察もなし、悪い人もなし・・・ラスト近くにいきなり強盗団が登場しますが
それでもサスペンス・シーンの連続で、ライブ感覚のジャズタッチの音楽も新鮮!ちょっと「死刑台のエレベーター」を思わせます。
上の階に住む政治家秘書の不正なお金が排水溝をたどって下の階へ。このお金の流れがまず象徴的。
モディ首相による新札への交換が10年に一度あるのも初耳でインドならでは?
この監督らしく登場人物が皆何を考えているのかわからないので感情移入が困難ですが、その分予測不能なので面白い。
この監督の作品にしては、予想外のハッピー・エンドです。
「#生きている」#Alive (N) 
(監)(脚)チョ・イルヒョン(韓国)
(脚)マット・ネイラー(撮)ソン・ウォンホ
(出)ユ・アイン、パク・シネ、チョン・ベス、イ・ヒョヌク 
ゾンビに囲まれ、部屋に立てこもる青年と迎えのマンションに住む女性
SNSやデジタル機器を使うことで生き延びつことができるか?
設定とスリリングな展開は飽きさせません。ゾンビは韓国のお家芸になりつつあるのか?
コロナ禍の世界を思わせる設定がまた実に今風です。  
「一秒先の彼女」 消失的情人節 My Missing Valentine 
(監)(脚)チェン・ユーシュン(台湾)
(撮)チョウ・イーシェン(音)ルー・ルーミン(出)リウ・グアンティン、リー・ペイユー、ダンカン・チョウ、ヘイ・ジャアジャア、リン・メイシウ
(エンド・テーマ曲)「I Started A Joke」(曲)(詞)(演奏)ビージーズ 
<あらすじ>
郵便局で働くヤン・シャオチーは常に人より早く動く女性ですが、そのために恋人もできずにいました。
そんな彼女にやっと恋人ができ、バレンタインデーにデートの約束をしました。
ところが、当日、目を覚ました彼女はバレンタインデーが終わっていることに気づきます。
そして、恋人との連絡もとれず、近所の写真屋のショー・ウィンドーに自分の写真が飾ってあることを発見します。
いったいその写真は、どこで誰が撮ったのか?彼女はその謎を解こうとし始めます。
台湾のアカデミー賞(金馬奨) 作品賞、監督賞など5部門受賞
なかなかよくできた謎解きファンタジー・ラブ・ストーリー。
街の動きを止めた場面の演出もじつにこだわっていて楽しめます。
バスが走る海岸の風景も美しく面白い場所で新鮮です。
「イン・ザ・ハイツ」 In The Heights  
(監)ジョン・M・チュウ(アメリカ/中国系)
(製)(原案)(作詞・作曲)リン=マヌエル・ミランダ(製)スコット・サンダーズ他(製総)デヴィッド・ニックセイ他(撮)アリス・ブルックス
(原戯)(脚)キアラ・アレグリア・ヒューディーズ(PD)ネルソン・コーツ(編)マイロン・カースタイン(振)クリストファー・スコット
(出)アンソニー・ラモス、コーリー・ホーキンズ、レスリー・グレイス、ネリッサ・バレラ、オルガ・メレディス、ジミー・スミッツ 
<あらすじ>
ニューヨーク北部のヒスパニック系の街ワシントン・ハイツに住むウスナビは父と過ごした故郷ドミニカでの日々を懐かしむ毎日。
ついには父から受け継いだ店を売り、故国へ帰国しようと決心します。そして彼は憧れの女性ヴァネッサをデートに誘います。
ヴァネッサはファッション・デザイナーになる夢を追い、街を出ようとしていました。
そんなハイツに住む人々の日々に突然大停電が起きます。 
トニー賞作品賞など4部門受賞の傑作を映画化した作品。
監督は中国系移民のジョン・M・チュウ。アメリカの移民問題を描いた社会派のミュージカルでもあります。
音楽は、サルサ&ヒップホップとNYらしいサウンドで素晴らしい!
「ザ・ニューヨーク」ムービーの一作です。  
「運命の回り道」 LIMBO
(監)(脚)ベン・シャーロック(スコットランド)
(製)イルネ・グルトゥバイ、アンガス・ラモント(撮)ニック・クック(編)カレル・ドラク、ルチア・ズチェッティ(音)ハッチ・デモウィルピド
(出)アミール・エル=マスリ、ビカシュ・バイ、オラ・オレビイ、クワベナ・アンサ、シセ・ベベットクヌッセン、ケネス・コラード 
<あらすじ>
スコットランドの田舎の村にある難民のための待機施設。そのでは様々な国から来た難民が認定されることを待っていました。
シリア難民のオマールはウード奏者ですが手を怪我したため、演奏はできずにいました。
彼らは難民認定を受けるため、その後就職のための準備をしていましたが認められる可能性は低いのが現実です。
重いテーマを扱っていますが、オフビートな感覚で演出。スコットランドの田舎の風景もまたのどか。
展開ものどかですが、逃げた羊と共に発見されたのは・・・厳しすぎる現実も描きます。
今、日本も含めて世界各地に広がりつつある現実。
「AK vs AK」 AKvsAK 
(監)(脚)ヴィクラマディティヤ・モトワニ(インド)
(脚)アヌラーグ・カシャプ(音)アロカナンダ・ダースグプタ
(出)アニル・カプール、アヌラーグ・カシャプ、ソナム・カプール、ヨギタ・ビハーニ 
<あらすじ>
大物監督アヌラーグ・カシャプと大物俳優アニル・カプールが舞台上で大喧嘩。ネット上で批判された監督は、復讐作戦を考えます。
彼はアニルの娘を誘拐し、その捜索を行うアニルを撮影することを要求。それを映画にするため撮影します。
途中、アニルが警察に誘拐を件を通報しても、アヌラーグは映画撮影のリハーサルだとしてしまいます。
娘が縄で縛られている姿を見せられたアニルは必至で捜索を開始します。
ところが、途中からアヌラーグの脚本から別の方向へ向かい、彼の両親も誘拐されてしまいます。
娘はどこにいるのか?彼らはムンバイの夜、町中を探し回ります。 
実によく出来た脚本。見事にできているお話です。
結末が予想できない展開が新鮮です!
ただし、理論的に納得はできるものの、どう考えてもアヌラーグが可哀想。彼が復讐を誓うのも当然。 
「エノーラ・ホームズの事件簿」 ENOLA HOLMES
(監)ハリー・ブラッドピア(アメリカ)
(製)メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア他(製総)ジョシュア・グロード他(原)ナンシー・スプリンガー(脚)ジャック・ソーン
(撮)ジャイルズ・ナットジェンズ(PD)マイケル・カーリン(編)アダム・ボスマン(衣)コンソラータ・ボイル(音)ダニエル・ペンバートン
(出)(製)ミリー・ボビー・ブラウン(出)サム・クラフリン、ヘンリー・カヴィル、ヘレナ・ボナム・カーター、アディーナ・アクタル 
<あらすじ>
シャーロック・ホームズの妹エノーラは母親と暮らしていましたが、ある日、母が家を出てしまいます。
そこに彼女の兄二人が現れ、彼女を花嫁学校に入れようとします。
母親から知識だけでなく武術まで教え込まれていた彼女は、母親を探そうとロンドンに向かいます。
その旅の途中に出会った若き侯爵と殺し屋に襲われたため、彼女の旅の目的は大きく変わることになります。
母親が女性の参政権運動の活動家ということで、彼女も男社会での生き方に反発する女性になっています。
映画の基本テーマは「フェミニズム運動の原点の時代を描くこと」となっています。
シャーロック・ホームズも時代遅れの存在にしてしまう時代設定は、なかなか新鮮です。
今後も、このシリーズはこの問題を取り上げるのでしょうか? 
「選ばなかったみち」 THE ROADS NOT TAKEN
(監)(脚)(編)(音)サリー・ポッター(イギリス)
(製)クリストファー・シェパード(撮)ロビー・ライアン(PD)カルロス・コンティ(衣)キャサリン・ジョージ
(編)エミリー・オスリーニ、ジェイソン・レイトン
(出)ハビエル・バルデム、エル・ファニング、サルマ・ハエック、ローラ・ニーリー、ブランカ・カティッチ、ミレーナ・ツァルントケ 
<あらすじ>
メキシコからアメリカに移住しNYに住む作家レオは50歳で認知症を発症。分かれた妻との間の娘が介護をしています。
ある日、彼を歯科と眼科に連れて行くためにタクシーで外出しますが、症状が進んでいるレオは次々にトラブルを起こします。
その間、彼の頭の中では、かつて彼が選ばなかったもう一つの人生が展開していました。 
メキシコで最初の恋人との間に生まれた子供を失った時のこと。
作家に専念するためにギリシャに渡り、妻と子を置き去りにした時のこと。
娘はそんな父親の思いを必死で知ろうとしますが、一緒に暮らしていなかった彼の心のうちを理解することは困難でした。
ついには彼女は仕事を失うことになろうとしていましたが、・・・
救いのない物語のようですが、ラストに父と娘の間にささやかな奇跡が起きることで救いがあります。
ハビエル・バルデムにとっては役者冥利につきる役どころだったはず。見事に異なる人格を演じ分けています。
エル・ファニングも相変わらず素晴らし演技。サルマ・ハエック、ローラ・ニーリーもいい味出してます。
「オクトパスの神秘 海の賢者は語る」 My Octopus Teacher (N)ドキュメンタリー  
 ピッパ・エアリック、ジェームズ・リード(南アフリカ)
(出)クレイグ・フォスター、タコ(名前なし) 
アカデミー長編ドキュメンタリー賞候補作
ドキュメンタリーのカメラマンとタコとの関係をほぼ1年間追いかけた海洋ドキュメンタリー
いつしか人とタコとのラブ・ストーリーになるところがこの作品もミソ!
サメとタコの追いかけっこのシーンは奇想天外、スリリングで最高に面白い!
海が懐かしい・・・  
「オールド・ガード」The Old Guard(N) 
(監)ジーナ・プリンス=バイスウッド(米)
(製)デヴィッド・エリソン、シャーリーズ・セロン、マーク・エヴァンス(原)(脚)グレッグ・ルッカ
(撮)タミー・レイカー、バリー・アクロイド(編)テリン・A・テロップシャー(音)ハウシュカ、ダスティン・オハロラン
(出)シャーリーズ・セロン、キキ・レイン、マティアス・スーナールツ、マーワン・ケンザリ、ルカ・マリネッリ
キウェテル・イジョフォー、ベロニカ・グゥ、ハリー・メリング 
歴史の影で正義のために戦い続けてきた傭兵軍団。そのメンバーは不死で老いることがない。
そのリーダーを演じ製作も担当するのがシャーリーズ・セロン。しかし、彼女には寿命が近いようです。
そのうえ、彼らのその不老不死の能力を解明、医学に利用しようとする医薬品メーカーの傭兵部隊が彼らを襲います。
ちょうどその頃、もう一人新たな能力者が現れます。
久々の新人を加えたチームが戦闘を開始しますが、予想もしなかった敵が身近に迫っていました。
十字軍や様々な事件の記録や写真に残された彼らの証拠が興味深い!そこから様々なスピンオフが製作できそう。
不老不死の彼らが最も恐れるのが生きたまま監禁されること・・・確かにそうなったら怖いかも!
それぞれのキャラクターは戦い方に「空手」「ムエタイ」「ボクシング」など、こだわりの設定があります。
次作のラスボスはどうやらベロニカ・グゥのようです。これは期待大のシリーズになりそうです。
この作品もまた女性監督・製作・主演など女性スタッフ中心の作品になっています! 
 カ
「狩りの時間」Time To Hunt(N) 
(監)(脚)(編)ユン・スンヒョン(韓国)
(製)ダンダエ・リー(撮)リム・ウォン・ジウン(編)ワン・スンイク
(出)イ・ジェフン、チェ・ウシク、アン・ジェホン、ユン・サンヒョン、パク・ヘス 
韓国が経済破綻しウォンの価値が失われた近未来。
4人の若者が南の島での再出発を目指して、カジノ強盗を実行し、見事に成功。
しかし、怖ろしい殺し屋に終われ始めることになります。次々に関係者を突き止めて、迫り来る殺し屋。
若者たちが能力不足だし、ラストはちょっと読めちゃいましたが、テンションの高さはなかなかのもの。 
どう考えても続編がありそうなラストですが、あれだけ撃たれてハンが生きている? 
GIVING VOICE 内なる声が語ることGIVING VOICE (N)ドキュメンタリー 
(監)ジェームズ・D・スターン、フェルナンド・ヴィレラ(アメリカ)
(製)カレン・ドーヴ、ショーン・スミス他(製総)ニコラス・カプリオ、ヴィオラ・デイヴィス他(撮)ジョナサン・ナルドゥッチ
(編)ロス・コール、アレクサンダー・ヘイデン、ウェス・リップマン(音)ブライアン・センティ
(出)オーガスト・ウィルソン、ヴィオラ・デイヴィス、デンゼル・ワシントン 
「フェンス」、「マ・レイニーのブラックボトム」などの戯曲を書いたオーガスト・ウィルソンの芝居をモノローグで演じるコンテスト。
ブロードウェイで開催されるその決勝大会に進出した高校生たちの密着ドキュメント作品
「芝居とは?」「アフリカ系アメリカ人とは?」「人は何にでもなれる」
芝居をする中で様々なことを学ぶ高校生たちが実にうらやましい!さすがはアメリカ。これぞアメリカン・ドリームの世界  
「漁村の片隅で」Fisherman's Diary (N) 
(監)エナ・ジョンスコット(カメルーン)
(製)カング・クイントゥス(撮)レネ・エッタ(PD)フォクバ・バビラ
(出)カング・クイントゥス、フェイス・フィデル、ウダモ・ダマリセ、コソン・チノポー 
<あらすじ>
カメルーンの小さな漁村の学校。多くの漁師たちは子供を学校にやる必要はないと考えていました。
ソロモンの娘エカは母親が学校に行ったにも関わらず、家を出てしまい父親は娘を学校にやる気はありませんでした。
頭のいいエカは、母親が残したマララ・エルザイの言葉の意味を知ろうと学校を訪れます。
学校の教師ビビは彼女の素質に気づきますが、ソロモンは彼女が学校に行ったことを知りたい罰を与えます。
そのうえ借金を抱えた彼女の伯父は、彼女を使って借金をチャラにしようと企てます。 
女性に対しての扱いがひどすぎるのは家族だけでなく村人みんななので、なんとも救いが無さ過ぎます。
幸なことに彼女には並外れた数学の才能がありましたが、それは彼女だけのこと。
この映画が実話なことはわかっても、その背後で多くの女性たちが人間以下の扱いを受けている事を考えると・・・
まったくハッピーエンドに思えません。 それだけに、この作品のリアリズムは素晴らしい!とも言えます。 
「恐怖のアンソロジー」 Ghost Storyies (N) 2020年 
(監)(脚)ゾーヤ・アクタル(「ガリ―・ボーイ」の監督)(出)ジャンビ・カプーア、ヴィジェイ・バルマ 
(監)(脚)アヌラーグ・カシャップ(出)ソーヴィタ・ドゥリワラ
(監)ディバーカル・バナージー (出)スカント・ゴエル 
(監)カラン・ジョーヘル(出)マルナル・タークル 
4人のインドの監督によるオムニバス・ホラー・映画集 
(1)<あらすじ>
介護士の女性が訪れた謎のお婆さんの家。うごけないはずのお婆さんの家で夜中に誰かが動いていました。
お婆さんは息子が家にいると言ってききません。 
(2)<あらすじ>
甥っ子を預かるネーラは生んだ女の子が出産直後に死んでしまいショックから立ち直れずにいました。
甥っ子のアンシュはそんな叔母を愛していて、次の子供が生まれることを密かに嫌がっています。 
「バード」「シャイニング」など不気味な映画の要素がモノクロっぽい画面で描かれます。  
<あらすじ>
田舎の村に視察に来た男。夜、村に着くと少年に家に招かれます。
ところが自分の父親も含め、皆が食べられ、村は全滅だといいます。
実は村は猿のような謎の生き物により、村人がゾンビにされていたのでした。
明らかに政治的な街と町(村?)の支配関係をゾンビものとして描いた作品。
途中からはコメディのようになりますが、けっして夢落ちのラストではないような・・・
<あらすじ>
理想の資産家男性と出会い結婚したアイラ。ところが夫は夜、死んだはずのお婆ちゃんと話していてびっくり。
義理の父、母、お手伝いさんも祖母は死んでいないと言い張ります。
彼女もまた夜中に祖母の存在を感じます。 
けっして幽霊に出てこいなどと言わないこと。
そんなこと言っちゃダメなことは日本人ならわかるはず?国民性の違いか主人公が愚かすぎたのか?
「金日成の子どもたち」 KIM IL SUNG'S CHILDREN(D) 
(監)(撮)(脚)(編)キム・ドクヨン金徳榮(製)イム・スヨン(音)アン・ジファン 
1950年代に起きた朝鮮戦争で10万人の子供たちが親を失いました。
そうした孤児たちをどうするか?北朝鮮は彼らを「委託教育」という名目で東欧へと送り出します。
ソ連からの指示によりチェコ、ハンガリー、ルーマニア・ブルガリアなどの国々が5千名(一説には1万)の子供を私設で育てました。
ほぼ7年に渡り、現地の教師や子供たちと交流を深めた子供たちは、それぞれの土地になじみます。
ところがスターリンの死後、北朝鮮国内は親ソ派、親中派、親金派の争いとなり、東欧各地で民主化運動が起きます。
北朝鮮政府は、彼らが欧州の影響を持ち帰ることを恐れ、一斉に彼らを呼び戻すことにします。
帰国後も、彼らの影響が広がらないよう、彼らはバラバラにされたようです。
ルーマニアで現地の女性と結婚した男性も強制的に離婚させられ、二人は二度と会うことはなかった。
現地での温かい歓迎と帰国後の非情な扱いとのギャップが悲しすぎます。
12年かけて自費で撮影を続けた作者の努力に頭が下がります。渾身のドキュメンタリー作品です。 
「クーリエ : 最高機密の運び屋」 The Courier
(監)(製総)ドミニク・クック(イギリス)
(製)アダム・アクランド、ベン・ブラウニング他(製総)ジョシュ・バーニー他(脚)(製総)トム・オコナー(撮)ショーン・ボビット
(PD)スージー・デイヴィーズ(衣)キース・マッデン(編)タリク・アンウォー、ギャレス・C・スケイルズ(音)アベル・コジェルオウスキ
(出)ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー、アンガス・ライト 
<あらすじ>
米ソ冷戦下、キューバ危機が始まる次期、ソ連内部の情報提供者が盗み出した核兵器関連の情報運んだ男の実録映画。
ごく平凡なサラリーマンであり貿易商だったグレヴィル・ウィンは、それが逆に怪しまれないとして選ばれます。
あくまでも貿易のためとしてソ連入りした彼はスパイといして活動していたペンコフスキーとの作戦を遂行。
二人の間に友情が芽生えますが・・・彼に危機が迫っていることから家族と共に亡命させる作戦を開始しますが・・・
イギリス映画らしく渋いながらも、なかなかよくできたサスペンス映画です。
前半はコメディ・タッチですが、そこから急展開でサスペンス・タッチへ、そして実録政治ドラマ、最後に男の友情のドラマへ。
カンバーバッチの痩せっぷりがその窮迫具合を演出しています。
地味な枠役たちもそれぞれいい味を出しています。
バレー見学での「シンデレラ」と「白鳥の湖」の対比も意味深で面白い! 
「KCIA 南山の部長たち」The Man Standing Next  
(監)(脚)ウ・ミンホ(韓国)
(原)キム・チュンシク「実録KCIA 南山と呼ばれた男たち」(脚)イ・ジミン(撮)コ・ラクソン(音)チョ・ヨンウク
(出)イ・ビョンホン、イ・ソンミン(朴大統領)、クァク・ドウォン(パク)、イ・ヒジュン、キム・ソジン 
1979年に起きた中央情報局長官による朴正煕暗殺事件の内幕に迫った実録映画。
「わたしはいつも君のそばにいる」「君の好きなようにしろ」大統領を演じるイ・ソンミンが素晴らしい!
それにしても韓国の政治サスペンス映画は面白いのは、起きていることそのものが面白いからかもしれません。
日本の政治サスペンスは、それ自体が面白くないのかもしれません。
この暗殺事件から民主化運動が勢いを増し、「光州事件」が起きることになります。 
「獣の棲む家」His House (N)
(監)(脚)レミ・ウィークス(イギリス)
(撮)ジョー・ウィレムズ(音)ロケ・バニョス
(出)ショペ・ディリス、ウンミ・モサク、マット・スミス、ハビエル・ボテット 
内戦の南スーダンから命がけで逃げてきた夫婦が移民局から家を与えられた家に住み出します。
しかし、その家には何かが潜んでいることがわかってきます。それは二人の娘の亡霊と魔術師のようでした。
なぜ、彼らの家に亡霊が現れたのか?その理由が少しづつ明らかになります。
移民問題、アフリカの紛争、人種問題がオカルト映画と合体。
アフリカを舞台にした亡霊の映画「アトランティック」も良かったですが、これもなかなか良い! 
「声もなく」 Voice of Silence
(監)(脚)ホン・ウィジョン(韓国)
(撮)パク・ジョンフン(音)チャン・ヒョクジン、チャン・ヨンジン
(出)ユ・アイン、ユ・ジェミョン、ムン・スンア、ユ・ソンジュ、イ・ガウン 
<あらすじ>
口のきけない青年テインは足の悪いチャンボクと犯罪者の下請け仕事として死体の後始末を請け負っていました。
ところがある日、二人は1日だけの約束で11歳の少女を預けることになります。
それは身代金目当てで誘拐された女の子でした。しかし、身代金の受け渡しが進まず、女の子の滞在も長引きます。
ついに身代金受け渡しが成功したもののそこで大きなトラブルが発生。少女は人身売買組織に渡されることになりますが・・・
残虐な事件をコメディ・タッチで描く。韓国映画ならではの展開ですが監督は新人の女性監督。
西川美和の韓国版?主人公が何を考えているのかわからないので、最後までハラハラします。
次回作にも期待したい!
その主人公を演じたユ・アインはさすがです。映画のためにかなり増量したはずですが、それがまた実にリアルです。
事件の結末はどうなるのか?気になります。
「この茫漠たる荒野で」News of The World  
(監)(脚)ポール・グリーングラス(アメリカ)
(製)ゲイリー・ゴーツマン、ゲイル・マトラックス他(製総)トール・シュミット、グレゴリー・グッドマン他
(原)ポーレット・ジルズ「News of the World」(脚)ルーク・デイヴィス(撮)ダリウス・ウォルスキー
(編)ウィリアム・ゴールデンバーグ(PD)デヴィッド・クランク(音)ジェームズ・ニュートン・ハワード
(出)トム・ハンクス、ヘレナ・ゼンゲル、マイケル・コヴィーノ、フレッド・ヘッキンジャー、ニール・サンディランズ 
<あらすじ>
街を回り、10セントで最新の新聞記事を読み聞かせるジェファーソン・キッド大佐は道で孤児の少女を助けます。
彼女はドイツ系の農民の娘でしたがインディアンに襲われ家族を殺され、誘拐されて育てられていました。
会話もできないうえ逃げ出そうとする少女を伯父夫婦の元に届けるように頼まれた彼は南部の故郷への旅に出発します。 
南北戦争終了後のアメリカ南部が舞台。まだアメリカは分断されたままで戦争の傷跡が深く残っています。
これは今のアメリカと同じ状態では!
まるで世界が崩壊した後の世界を旅する終末SF映画のような展開です。「ザ・ロード」を思わせます。  
「ゴヤの名画と優しい泥棒」 The Duke
(監)ロジャー・ミッシェル(イギリス)
(製)ニッキー・ベンサム(脚)リチャード・ビーン、クライブ・コールマン(撮)マイク・エリー(PD)クリスチャン・ミルステッド
(衣)ダイナ・コリン(編)クリスティーナ・ヘザーリントン(音)ジョージ・フェントン
(出)ジム・ブロードベント、ヘレン・ミレン、フィオン・ホワイトヘッド、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グード
<あらすじ>
BBC放送の料金支払いを拒否し逮捕されたケンプトン・バントンは高齢者に支払をさせることに反対でその運動を始めます。
ある日、テレビで政府が14万ドルでゴヤが描いたウェリントン侯爵の肖像画を購入したことを知ります。
すると何者かによってその絵画は盗まれる事件が発生します。なんとその絵は彼の家に・・・。
彼はその絵と交換に14万ドルを受け取り、それで高齢者の受信料を払う計画を立てていました。しかし、そう上手くゆくのか?
実話がもとになっていなければ、おバカな爺さんの我がまま人生のほら話にしか聞けません。
でも裁判が進むにつれて、おバカな爺さんの反抗がそう馬鹿げた行為でもないように思えてきます。
最後にはちょっとしたどんでん返しやウエリントン侯爵の絵画の裏話まであって楽しめます。
ジム・ブロードベントは我がまま爺さんをやらせると敵なしです。
「ザ・コール」Call (N) 
(監)(脚)イ・チョンヒョン(韓国)
(脚)カン・ソンチュ 
(出)パク・シネ、チョン・ジョンソ、キム・ソンリョン、イ・エル、パク・ホサン、オ・ジョンセ、イ・ドンフィ 
過去と電話でつながったことで、父親の命を救ってもらったことから始まる連続殺人鬼とのバトル。
韓国得意の残虐系サスペンス映画の傑作がまた誕生。
過去を改変してはいけません!この教訓を学びましょう。
過去を変えると現在も変わるが、どこまで変わるか?
よく出来たお話ですが、いろいろと疑問も。そして、続編、改変版の可能性も感じさせる最後でした。  
「ザ・コールデスト・ゲーム」The Coldest Game  
(監)(脚)ウーカシュ・コシミツキ(ポーランド)
(製)クシュシュトフ・テレ、ダニエル・バウアー他(脚)マルセル・サヴィツキ(撮)パヴァウ・エデルマン(PD)アラン・スタルスキ
(編)ロベルト・グリッカ、ヴォルフガング・ヴァイグル他(音)ウカシュ・タルゴシュ
(出)ビル・プルマン、ロッテ・ファービーク、ジェイムス・ブルーア、ニコレス・ファレル、アレクセイ・セレブリャコフ  
<あらすじ>
キューバ危機が始まり、ソ連の武器輸送船がキューバに向かう中、ポーランドでチェスの米ソ対決が実現。
アメリカ代表の天才数学者ジュシュア・マンスキーは出場予定の選手が殺害されたための代理出場。
彼はその試合中にソ連内部に潜む情報源と接触し、核兵器に関する秘密情報を入手することになります。
しかし、アメリカ側にもスパイがいるらしくチームのメンバーが毒殺されます。いったい誰を信じればよいのか?  
「キューバ危機」の裏側で起きていたかもしれないというスパイ合戦をチェスとからめて描いたなかなかの快作。
ラストまで緊張感もあります。キューバ危機について歴史を知っていないと難しいかもしれません。
第二次大戦終戦時、ドイツに破壊されるポーランドを見殺しにしたソ連に支配されるポーランドの状況。
チェスの米ソ対決を見る人々の視線もまた、裏があり怖ろしい。「これぞコールデスト・ゲーム!」
歴史を知ると映画は倍面白くなる。そんな作品でもあります。  
「これからの人生」La Vita Dvanti A Se (N)
(監)(脚)エドアルド・ポンティ(スイス)(イタリア映画)
(製)カルロ・デグリ・エスポスティ、ニコラ・セラ他(製総)ジェラリン・W・ドレファス、パチリシア・マッサ他
(原)ロマン・ギャリー(脚)ウーゴ・キーティ(撮)アンガス・ハドソン(編)ヤーコプ・クアドリ(音)ガブリエル・ヤレド
(出)ソフィア・ローレン、イヴラヒマ・ゲイェ、レナート・カルペンティエリ、イオシク・ピルヴ、ガブリル・サモラ、マッシミリアーノ・ロッシ 
同じタイトルの映画見たことあるなあ?と思ったら1977年にシモーヌ・シニョレ主演でフランスで映画化された作品のリメイク!
エジプト出身のモーシェ・ミズラヒ監督による旧作も良い映画で高い評価を受けましたが、地味な作品。
ソフィア・ローレンが11年ぶりの主演ということですが、時代を越えて良い作品になりました!
ソフィア・ローレンももちろん良いのですが、セネガル移民の子供を演じる子役が素晴らしい。見事に顔が優しく大人になりました。
イタリア映画っぽいセンチメンタルな音楽も泣かせます。性転換したローラ、絨毯を売る伯父さんなどの脇役も味わい深い。
こういう王道の感動人間ドラマもないといけない。人は優しくなきゃだめだよ、とカート・ボネガット風に思いました。 
 
「最後にして最初の人類」 Last And First Man  
(監)(製)(脚)(音)ヨハン・ヨハンソン(アイスランド)
(製)ソール・スグルヨンソン(製)(撮)シュトゥルラ・ブラント・グロヴレン(原)オラフ・ステープルドン(脚)ホセ・アンリケ・マシアン
(編)マルク・ブクラール(音)ヤイール・エラザール・グロットマン(ナレーション)ティルダ・スウィントン
現在から20億年先の未来から現在の人類に向けて、語りかけて来た人類滅亡までの壮大な歴史。
これをまともにSF実写映画にするのはそもそも困難。この作品のような方法しかないでしょう。
旧ユーゴスラビアの戦争記念碑「スポメニック」を背景にした地球とは思えない背景。
それにあきらかに宇宙人ぽいティルダ・スウィントンの語りが究極のSF映画を生み出しました。
映像は原作「最後にして最初の人類」と微妙に重なる部分があります。
ヨハン・ヨハンソンは映画「メッセージ」の音楽も作っています。この映画の音楽を作った影響もあるのかな?
彼にとっては、初の監督作品です。 
「サンドラの小さな家」 Herself 
(監)(製総)フィリダ・ロイド(アイルランド)
(製)ロリー・ギルマーティン他(製総)アンドリュー・ロウ、ローズ・ガーネット他(脚)(原案)クレア・ダン(脚)マルコム・キャンベル
(撮)トム・コマーフォード(PD)タマラ・コンボイ(編)レベッカ・ロイド(音)ナタリー・ホルト
(出)クレア・ダン、 ハリエット・ウォルター、コンリース・ヒル、イアン・ロイド・アンダーソン、ルビー・ローズ・オハラ、モリー・マキャン
DV夫と離婚したものの、しつこく復縁を迫られるサンドラは二人の女の子を育てながら、自力で家を建てようと思い立ちます。
家政婦として働く女医や職場の同僚、ママ友らの協力を得ながら、家が完成間近となります。
ところが元夫が娘の養育権を求めて、訴訟を興します。家が建っても娘を奪われては何の意味もない・・・
主演女優が書いた脚本をもとに製作された女性監督による女性のための女性の映画。
衝撃的な事件も起き、そこまでやらなくても!と思わせますが、それで良かったのかもしれません。
自力で建てた家ですが、いい家でした。建てる過程も楽しそうだし面白いです。
「シカゴ7裁判」The Trial of the Chicago 7 (N) 
(監)(脚)アーロン・ソーキン(米)
(製)スチュアート・M・ベッサー、マーク・E・プラット他(製総)マーク・バタン、ドル―・デイヴィス他
(撮)フェドン・パパマイケル(編)アラン・ボームガーデン(PD)シェーン・バレンティーノ(音)ダニエル・ペンバートン
(出)サシャ・バロン・コーエン、エディ・レッドメイン、フランク・ランジェラ、ヤーヤ・アブドゥル、ジェレミー・ストロング
ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ジョン・キャロル・リンチ、マイケル・キートン、アレックス・シャープ、マーク・ライランス、ケルヴィン・ハリソンJr 
1968年シカゴ暴動に関わった8人の裁判を描いたドキュメンタリータッチの作品。
エンターテイメントには難しい題材を上手く処理し、最後には感動的なシーンもあり!
監督・脚本のアーロン・ソーキンは、経済ものを得意とする人。当初はスピルバーグのはずだった。
ただし、事件がどんな事件でどんな影響があったのか、などはある程度知って見ないと、面白さや感動は半減するかも? 
60年代末のカウンターカルチャーに興味のある方は必見!映画化まで17年かかった題材。 
「17歳の瞳に映る世界」Never Rarely Sometimes Always  
(監)(脚)イライザ・ヒットマン(アメリカ)
(製)アデル・ロマンスキー、サラ・マーフィー(製総)バリー・ジェンキンス、ローズ・ガーネット他(撮)エレーヌ・ルヴァール
(PD)メレディス・リッピンコット(衣)オルガ・ミル(編)スコット・カミングス(音)ジュリア・ホルター
(出)シドニー・フラニガン、タリア・ライダー、テオドール・ペルラン、ライアン・エッゴールト、シャロン・ヴァン・エッテン 
ベルリン国際映画祭銀熊賞・審査員特別賞
17歳の高校生が妊娠してしまい中絶するためにペンシルバニアの田舎からニューヨークに従妹と行く物語。
とにかくリアルに彼女の体験だけを描きます。そこが素晴らしい。
ニューヨークの街が他の映画とは違って見えます。そして主人公二人が美しく魅力的! 
「ショウタイム1958」 Showtime 1958
(監)(脚)アンワル・ジャミル(マレーシア)
(原案)ジャミル・スロング(撮)モハマド・ラマダーン・アーマド(衣)アクマ・スリアティ
(出)アマイ・カマルディン(Pラムリー)、ジャー・イスカンダル(J・スロング)、ベル・ンスガリ、ワン・ヌル・アクィヤ・ワン・アズリ
イフファン・ザイニ(デヴィッド)、アプレナ・マンロゼ(サローマ) 
<あらすじ>
断食月の終わりのお祭り「イード」に合わせて企画された仕事を失った仲間たちを支援するチャリティー・ショー。
それを計画したマレーシアの大スター、P・ラムリーを中心にした群像劇 
一枚だけ残された記念写真と中心人物ジャミル・スロングの記録をもとに脚本が書かれた実録映画。
1958年シンガポールで行われたバラエティ・イベントの再現映画として当時の音楽、芸能、ファッションなども楽しめます。
多民族の国マレーシアが生んだ大スター、監督、歌手P・ラムリーの伝記作品としても価値があります。
どの歌手も魅力的だし、インドネシア・ポップに似た音楽も美しく魅力的です。音楽だけでも十分も楽しめます。
アジアン・ポップに興味がある方必見の作品。
シルヴィ 恋のメロディSylvie's Love(A) 
(監)(脚)(製)ユージン・アッシュ(米)
(製)ウナムディ・アサマア、ジョナサン・ベイカー他(撮)デクラン・クイン(編)ディナ・コンドン(音)ファブリス・ルコント
(出)テッサ・トンプソン、ウナムディ・アサマア、エヴァ・ロンゴリア、アヤ・ナオミ・キング 
ジャズ・サックス奏者とテレビ・プロデューサーを目指す黒人男女の恋のすれ違いドラマ。
1960年代の雰囲気が素晴らしい!音楽がゴージャスで映像もレトロでいい感じ!まさに大人の恋の物語。
人種差別問題をあまりきつく描かず、恋愛ドラマに徹しているのも良い。現実よりも恋のドラマに浸れる映画。 
「新 感染半島 ファイナル・ステージ」Peninsura  
(監)(脚)ヨン・サンホ(韓国)
(撮)トン・ギウォン、イ・ヒョンドク(音)モグ
(出)カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、イ・レ、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン、キム・ドユン、イ・イェウォン 
<あらすじ>
韓国がゾンビに占領されて4年後。トラックごと置き去りになっていた大金を持ち出すために4人の韓国人が香港から出発。
インチョンの港までトラックで運べば、一人250万ドルが手に入ることになります。
トラックを無事に見つけた4人でしたが、彼らの前にゾンビとは別の敵が現れます。631部隊という軍隊組織とは何か? 
「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編 
わらわらと登場するゾンビの数の多さは圧倒的で楽しめます。それにしても、この後、韓国のゾンビはどうなるのか?
ゾンビは泳げないのでしょうか?そのうち、日本にも泳いで来たりしないのか?心配です。
ということで、次なる続編は「新感染列島 ジャパン篇」でどうでしょう! 
「親愛なる同志たちへ」DEAR COMRADES!
(監)(製)(脚)アンドレイ・コンチャロフスキー(ロシア)
(脚)イェレーナ・キセリョーバ(撮)アンドレイ・ナイジェロフ
(出)ユリア・ヴィソツカヤ、アンドレイ・グセフ、ヴラスジスラフ・コマロフ、ユリア・ブロヴァ、セルゲイ・エルリシュ
<あらすじ>
1962年フルシチョフ政権下のソ連南西部ノボチェルカッスクで大幅に賃金を下げられた労働者たちがストライキを始めます。
さらに市の行政委員会本部をデモ隊が取り囲み、他の街からも市民が集まり始めます。
政府は軍を投入し、デモ隊を包囲しますが、そこで突然銃声が響き、人々が倒れ始めます。
実は、それは軍ではなく要人警護のために配置されていたKGBのスナイパーによる狙撃でした。
市の行政委員を務める主人公はスターリンを未だに英雄視する共産党第一主義者でしたが、娘が事件に巻き込まれてしまいます。
娘を探し、KGBに助けてもらいながら様々な場所を尋ね歩くうちに彼女の考えは揺らぎ始めます。
ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞
ラストの主人公のセリフ「安心して、これから良くなるからね。良くならなきゃ。必ず良くなる」 
まさか21世紀になって同じようにロシア軍がウクライナ市民を殺害し、秘密裏に拷問を加えた上の死体を埋めることになるとは!
スターリン時代、フルシチョフ時代から今に至るまでソ連、ロシアの共産党政権の裏の顔の怖さは変わらないのです。
KGB出身のプーチンはスターリンを信奉する当時と変わらない考えの持ち主なのですから、ウクライナの悲劇も当然です。
100年経っても変わらない共産党指導部の狂気にウンザリ。
黒澤明脚本の映画化「暴走機関車」などで有名なコンチャロフスキー監督、久々の監督作でその実力を発揮しました。
「スタント・ウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」Stuntwomen : The Untoled Holliwood Story (N)(ドキュメンタリー) 
(監)エイプリル・ライト(アメリカ)
(製)ステファニー・オースチン他(製総)ミシェル・ロドリゲス他(原)モリー・グレゴリー(撮)スベトラーナ・スベトゥコ
(編)ジョナサン・P・ショウ(音)ノラ・クロール=ローゼンバウム
(出)ミシェル・ロドリゲス、エイミー・ジョンソン、アリマ・ドーシー、シャーリーン・ロイヤー、ジニー・エッパー、ジェイディ・デヴィッド 
サイレント映画の時代、女性スタント、女性監督は今より多かった!
しかし、ハリウッドが生まれビジネスが拡大し、女性は追い出された!
「バイオニック・ジェミー」「ワンダー・ウーマン」の頃から女性アクションが増え、女性スタントの仕事が増えだした。
初の女性アクション監督は「チャーリーズ・エンジェル」から誕生した。 
「スタントマン協会」には女性も黒人も入会できなかったため、「女性スタント協会」「黒人スタント協会」が誕生した。
演技がイメージできないなら、そこには心理的、条件的な何か問題がある。すぐに演技をストップせよ! 
すべてをかけて:民主主義を守る戦いAll in : The Fight For Democracy (A) 
(監)(製)リズ・ガーバス、リサ・コルテス(アメリカ)
(脚)ジャック・ヤンゲルソン(編)ナンシー・ノバック(音)ウォルフガング・ヘルド
(出)ステイシー・エイブラムス、キャロル・アンダーソン、シン・J・ヤン、マイケル・ワルドマン 
ジョージア州知事選挙で僅かの差で敗れたステイシー・エイブラムスの闘いを記録したドキュメンタリー映画。
黒人たちによる投票権獲得の歴史を振り返る歴史ドキュメントが並行した描かれます。
様々な手法により黒人票を奪おうとする保守層、共和党系のやり方の悪質さ、狡猾さに怒り。
しかし、ステイシーのこの体験が2020年の大統領選挙に生かされたと考えれば、意味ある敗北だったとも思えます。
セルマの橋での悲劇を体験した人々の犠牲があり、ステイシーの敗北があり、今回の大統領選挙の勝利があった。
この映画を見れば、バイデンの勝利は奇跡的だったと思えてきます。
民主主義の国、アメリカはもう完全に幻想ですね。残念ながら。 
「セルジオ 世界を救うために戦った男」Serujio (N) 
(監)グレッグ・バーカー(米)
(製)チアゴ・ダ・コスタ、ダニエル・メルク・ドレフュス他(脚)クレイグ・ボーテン(原)サマンサ・パワー
(撮)エイドリアン・テイジード(音)フェルナンド・ベラスケス
(出)ワグネル・モウラ、アナ・デ・アルマス、ブライアン・F・オバーン、ブラッドリー・ウィットフォード 
「As Rosas Nao Falam」(歌)カルト―ラ Cartola(曲・詞)Angenor De Oliveira
「Oracao Apo Tempo(A Prayer to Time)」(曲)(歌)カエターノ・ヴェローゾ Caetano Veloso  
忘れないでほしい
国連に務める真のやりがいと報いは
現場にあることを忘れないでほしい
君と必要とするのは窮地に立つ人々だ

セルジオ・ヴィエラ・デメオ 
世界平和のために世界各地で国連高等弁務官として働いたブラジル人セルジオ・ヴィエラ・デメロ
イラクで爆弾テロに巻き込まれた彼の危機から、過去の記憶へと遡り、その仕事を振り返ります。
国連が占領国アメリカと支配される国の政府の間に立ち、いかに苦労しているかがわかります。
理想どおりにゆかず厳しい現実に直面する国連という組織が具体的にどんな仕事をしているのか?
大いに勉強になりました!アナ・デ・アルマスは確かに美しい・・・でもラブシーンは要らない気もしました。
監督のグレッグ・バーカーはドキュメンタリー映画の出身なので、政治的な問題がわかりやすく作られています。 
ソウルフル・ワールドSoulful World (アニメ)(ディズニー) 
(監)(脚)ピート・ドクター(アメリカ)
(共監)(脚)ケンプ・パワーズ(製)デイナ・マリー(脚)マイク・ジョーンズ(音)トレント・レズナー、アッティカス・ロス
(声)ジェイミー・フォックス、ティナ・フェイ、グレアム・ノートン、アンジェラ・バセット、アリシー・ブラガ 
ジャズ・ピアニストを目指しながら上手く行かず、音楽教師になりかけの黒人青年がついにチャンスをつかみます。
ところが、その直前に事故死。彼の魂は天国へと向かいますが、死にきれない彼はそこから脱出を試みます。
この世に生まれることができない彷徨える魂と共に街に戻るものの、入る身体を間違えてしまいます。
彼は無事に自分の体に戻れるのか?
ジャズのアドリブ演奏シーンが素晴らしい!そして素晴らしき世界に乾杯したくなる素敵な作品です。  
「続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢物計画」BORAT SUBSQUENT MOVIEFILM  
(監)ジェイソン・ウォリナー(アメリカ)
(製)(原)(脚)サシャ・バロン・コーエン(製)(原)(脚)アンソニー・ハインズ(製総)(脚)(原)ダン・メイザー
(原)ニーナ・ペドラド(脚)ピーター・ベイナム他(撮)ルーク・ガイスビューラー(編)ジェームズ・トーマス他
(音)エラン・バロン・コーエン(出)サシャ・バロン・コーエン、マリア・バカローヴァ、ルディ・ジュリアーニ、トム・ハンクス 
<あらすじ>
カザフスタンで無期懲役刑になっていたボラットに大統領から司令が出ます。
アメリカにポルノスターのサルを連れて行き、副大統領のペンスに貢ぎ、トランプとの関係を気づけという内容でした。
しかし、アメリカについたサルのコンテナから出てきたのはボラットの娘でした。仕方なく彼は娘を貢ぐことに。 
ペンスの集会、ジュリアーニへのインタビューなど、本物のトランプ関係の集会に参加しながら撮影。
出てこないのはトランプぐらい。そこまでやるか!というモキュメント映画。
日本のコメディにこれをやれとは言わないけれど、ここまで本気で危険を冒して映画を作れるとは思えない。
少なくとも最近のテレビを見ればそれは明らか。
下品でおバカで感染の危険大の撮影ですが、本気度が凄い!それだけで笑えなくても納得させる力があります。
「独裁者」をチャップリンが撮った時も、そんな笑えない作品と思われたはず。
「シカゴ7裁判」とこの作品。サシャ・バロン・コーエン恐るべし!  
 
タイガーテール - ある家族の記憶 -Tiger tail(N) 
(監)(製)(脚)アラン・ヤン(米・台)
(製)キム・ロス、チャールズ・D・キング他(撮)ナイジェル・ブラック(編)マイケル・ブルック(音)ダニエル・ハワース
(出)ツィ・マー&リー・ホンチー、フィオナ・ヒュー&リ・クンジュン、クリスティン・コー、ジョアン・チェン&ユー・シンファン  
台湾からアメリカに渡った移民青年と妻、彼が台湾に残した母と恋人たちの過去から現在までの記憶をたどる物語
1時間半という枠に長きに渡る家族の歴史を見事にまとめています。音楽と映像に多くを語らせる手法も実に有効です。
テーブルに向かい同じ方向を向く父と娘のカット。ラストの窓枠から父と娘をとらえカメラがひいてゆくカット。
テーブルに一人寂しく向かう父と娘のカット。短いカットで多くを語らせる手腕も良し!
なぜかロバート・レッドフォードの「普通の人々」を思い出してしまいました。
良くも悪くもハリウッド的な台湾映画の良作です。地味ながら俳優陣が素晴らしい。 
「タイラー・レイク-命の奪還-」Extraction (N) 
(監)サム・ハーグレイブ(米)
(製)アンソニー&ジョー・ルッソ、クリス・ヘムズワース(原)アンデ・パークス、フェルナンド・レオン・ゴンザレス
(脚)(原)ジョー・ルッソ(撮)ニュートン・トーマス・サイジェル(音)ヘンリー・ジャックマン、アレックス・ベルチャー
(出)クリス・ヘムズワース、ルドラクシャ・ジェイスワル、パンカジ・トリパティ、デヴィッド・ハーバー 
「キャプテンアメリカ シビル・ウォー」のスタント監督の映画デヴュー作品
オープニング、バングラディッシュ、ダッカの空撮映像からすでにいい感じでした。
中盤のワンカットでの人質奪回作戦シーンは期待以上のなかなかの出来映えです。 
久々に無駄のない文句なしにカッコイイアクション映画でした!
思わせぶりなラストも良かったですが、どうやら続編も決定しているようですね。 
「ただ悪より救いたまえ」 DELIVER US FROM DEVIL 
(監)(脚)ホン・ウォンチャン(韓国)
(製)キム・チョルヨン、キム・ウォングク(撮)ホン・ギョンピョ(編)キム・ヒョンジュ(音)Mowg
(出)ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェ、パク・ジョンミン、パク・ソイ、パク・ソウ、ヴィタヤ・パンスリンガム、白竜、豊原功補
<あらすじ>
東京で殺し屋として活動していたインナムは、ヤクザの大物コレエダを殺して、引退しようとしていた。
しかし、昔の恋人が殺され彼との間の娘が誘拐されたことを知り、タイのバンコクへ向かいます。
彼に兄を殺された韓国人の殺し屋、タイの警察、タイの人身売買組織、そして主人公の4つどもえの展開が始まります。 
王道韓国製フィルムノワールの傑作。
日本から始り、韓国、そしてバンコクへとスケールの大きなバイオレンス・アクション大作。
それぞれの国でルックを変え、世界観を区別。俳優もちょい役にも日本人を使うのも良い。(小林薫出てなかった?)
見応え十分の作品! 
「だましだまされアート界: 贋作をめぐる物語」Made You Look :A True Story of About Fake Art(ドキュメンタリー) 
(監)(製)(脚)パリ―・アヴリッチ(カナダ)
(製)ケイトリン・チェディー(製総)ジェイ・ヘニック(編)ティファニー・ボーディン
(出)アン・フリードマン(ノードラー・ギャラリー代表) 
60以上の作品で8000万ドルを売り上げた165年の歴史を持つ画廊が突如、閉店。それはどれもが贋作だったから!
アメリカ史上最大の贋作事件を追ったドキュメンタリー。(マーク・ロスコジャクソン・ポロックなど)
「カタログ・レゾネ」という画家の全作品集に載るか載らないか。
国際美術研究財団(IFAR)が調査して本物と認定するか。( 来歴、画風など、インクなどの科学的鑑定)
そうした真贋確認を通れば本物となるが、そこまで調べたくないのが売りたい画廊と買いたいお金持ちたち
騙されるのは、お金を使って趣味の良さをアピールしたいお金持ち。だったら騙してもいいんじゃない!
ある意味、無責任に楽しめるドキュメンタリー。犯罪ですが、悪を感じないジャンル。だから贋作物は魅力的なんです。
贋作の作者が中国人のアメリカ在住数学教授というもの面白い。中国では絵画をそっくりに真似ることは高く評価される!
中国には贋作専門の工場もあるという。凄い。そして、主犯のアン・フリードマンは、和解により有罪とならずNYでギャラリーを始めている!
やっぱり腹が立つ。別の自分が騙されたわけじゃないけど、本家に失礼ですよね。 
「ダンス・オブ・41」Dance of the 41  
(監)ダビド・パブロス(メキシコ)
(製)パブロ・クルス(脚)モニカ・レビージャ(撮)カロリーナ・コスタ
(出)アルフォンソ・エレーラ、エミリアーノ・スリタ、ミッチ・メーブル・カディナ、フェルナン・ベスミル、アルバロ・ゲレロ  
1901年メキシコで実際に会った事件。ゲイ・パーティーに集まる42人が逮捕され、大統領の娘と結婚していた議員だけが許された悲劇。
今までのLGBTものの作品はいろいろありましたが、これだけ大人数のラブシーンは圧巻です。
ただし、悲劇の恋人たちのはずが、クラブのメンバーたちが金持ちの道楽に見え、妻の方が可哀想に思えます。
登場人物たちがもう少し描かれないと感情移入が難しかった。惜しい。 
「チェチェンへようこそ ゲイの粛清」 Welcome to Chechnya(D)
(監)(脚)デヴィッド・フランス(アメリカ)
(製)アリス・ヘンティ、アスコルド・クーロフ他(脚)(編)タイラー・H・ウォーク(撮)アスコルド・クーロフ
(音)エフゲニー・ガルペリン、サーシャ・ゲルペリン
(出)マキシム・ラプノフ、デヴィッド・イスティーフ、オリガ・バラノバ 
チェチェン共和国で行われているLGBTQの人々への迫害。
拷問を受けるだけでなく簡単に処刑してしまう警察&大衆。そこから被害者を救い出すLGBTQのためのプロジェクトに密着した記録。
事実としては知っていても、それをドキュメンタリー映画として現実のものとして見ることはその重みが全く違います。
それだけにその事実をリアルタイムで撮影する困難と努力は図り知れません。
撮影スタッフの苦労は大変だったはずですが、それ以上にそこで証言を行った被害者の勇気に頭が下がります。
それにしてもチェチェン政府は恐ろしすぎる。国民までもが恐ろしい人々にしか思えなくなり、それがまた壁を作ることになる悪循環。
この悲劇にストップをかけることは、そのトップにいるプーチンにストップをかけなければならないのかもしれません。
恐るべき恐怖の連鎖です。 
ドキュメンタリー映画「マーシャ・P・ジョンソンの生と死」も合わせてどうぞ!
「デイヴィッド・フォスター:名曲の裏にのぞく素顔」 David Foster: Off The Record
(監)(製)(脚)バリー・アブリッチ(カナダ)
(製)ランディ・レノックス(編)ユージン・ヴェイス(撮)ケンNG
(出)デイヴィッド・フォスター、バーブラ・ストライサンド、クインシー・ジョーンズ、セリーヌ・ディオン、キャロル・ベイヤー・セイガー
ポール・アンカ、ビル・クリントン、ピーター・セテラ、ロバート・ラム、クライヴ・デイヴィス、マイケル・ブーブレ、アンドレア・ボッティチェリ
デイヴィッドの娘たち 
「「素直になれなくて」シカゴ「アフター・ザ・ラブ・ハズ・ゴーン」E,W&F「アンフォアゲッタブル」ナタリー&ナット・キング・コールなどの生みの親
作曲家、ピアニスト、製作者デヴィッド・フォスターの名曲たちの制作秘話と彼の人生に迫ったドキュメンタリー
「テスラ エジソンが恐れた天才」TESLA  
(監)(製)(脚)マイケル・アルメレイダ(アメリカ)
(製)ユーリ・シンガー、クリスタ・キャンベル他(製総)アヴィ・ラーナー他(撮)ショーン・ウィリアムズ(PD)カール・スプレイグ
(衣)ソフィヤ・メシチェク(編)キャスリン・J・シューバート(音)ジョン・パエザーノ
(出)イーサン・ホーク、イヴ・ヒューソン、エヴォン・モス=バクラック、ジム・ガフィガン、カイル・マクラクラン(エジソン役似てます) 
エジソンとの電気システム戦争に勝利した20世紀を代表する発明家ニコラ・テスラの伝記映画決定版!
やっとテスラの魅力をちゃんと描いた作品が登場しました。
ドキュメンタリー映像のような解説が異色ですが、科学史初心者にはわかりやすくて良いと思います。
Tears For Fearsの大ヒット曲「Everybody Wants to Rule The World」が聴けるとは!? 
TENET テネットTENET  
(監)(製)(脚)クリストファー・ノーラン(英)
(製)エマ・トーマス(製総)トーマス・ヘイスリップ(撮)ホイテ・ヴァン・ホイテマ(PD)ネイサン・クロウリー
(衣)ジェフリー・カーランド(編)ジェニファー・レイム(音)ルートヴィッヒ・ヨーランソン
(出)ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デヴェッキ、ケネス・ブラナー、マイケル・ケイン
ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、ヒメ―シュ・パテル、クレマンス・ポエジー 
「007」シリーズとタイムトラベルSFの融合ですが、時間の逆行と順行を同時に描くという驚くべき映像!
科学的にはあり得ないかもしれないシーンの連続ですが想像力の素晴らしさに感動!
逆転映像が必ず後に回収される見事な展開がまた凄い!脚本だけでなくシュミレーション映像による確認を行ったそうです。
逆転部隊と順行部隊が同時に戦闘に突入するなんて!凄すぎですよ。
音楽というよりも音響と呼ぶべき究極の映画音楽ヨーランソンは「ブラック・パンサー」などライアン・クーグラー作品の作曲家。 
「電気工事士」ELECTRICIAN  
(監)(製総)(脚)(撮)(編)スティーヴ・コンウェイ(イギリス)
(音)ハナ・ホランド(出)ローリー・ファレリー、ピーター・クラーク、エドワード・サバスタノ、イアン・テイラー 
過去に事件を起こし妻と子を失った男が電気工事士として働きながら子供との再開を願い元妻に連絡を取ろうとしますが・・・
低予算のイギリス映画で様々な映画祭で高い評価を得た作品。 
ほとんどセリフなし。印象的なカットの連続で絵で語り、説明もほとんどなし、何が起きるか?緊張感が続き目が離せません。
次回作に期待します。 
「同級生マイナス」  
(監)(脚)ホアン・シンヤオ(台湾)
(製)チョン・モンホン、イエ・ルーフェン
(出)リウ・グアンティン、チェン・レンシュ、オナードゥ、シー・ミンシュアイ、リウ・グアンティン、ワン・サイファー、リン・ユージー、加藤鷹 
<あらすじ>
再会した同級生4人組。映画監督を目指していながら国会議員に立候補する男
役所の請負で戸口調査を行っていた憧れの女の子が娼婦になっていたことを知った男。 
吃音と病の祖母の世話で未婚だった紙細工職人の男。
不動産業者で働き、マンガ喫茶で知り合った女性と出来ちゃった結婚をして男。
40代となった男たちのそれぞれの人生の悲哀を描いたコメディですが、それを撮るのはもう一人の友人である監督自身! 
監督が自分の同級生4人を撮影したドキュメンタリー・タッチの不思議な人生コメディ。 
映画内映画ですが、ラストのライブ演奏もなんとも味わいが深い・・・
加藤鷹、富士山、スカジャンと日本ネタも楽しい。 
「透明人間」The Invisible Man  
(監)(製総)(原案)(脚)ジョー・ワネル(米)
(製)ジェイソン・ブラム、ケイリー・デュ・フレズネ(製総)クーパー・サミュエルソン他(撮)ステファン・ダスキオ
(編)アンディ・キャニー(音)ベンジャミン・ウォルフィッシュ(出)エリザベス・モス、オルディス・ホッジ、オリバー・ジャクソン=コーエン 
過去の「透明人間」とは全く違う作品。新鮮で見ごたえ十分のサイコ・ホラー・ストーカー映画。
今までは「透明人間」目線で作られていたが、主人公は「透明人間」ではなく襲われる女性の方で彼女の成長物語。
悪役は「透明人間」ではなく普通の人間のストーカーでもありうる内容。そこがミソ。
低予算でヒット作を作る見本のような作品。アイデアの勝利!おまけに続編も可能性あり!次作は「The Invisible Woman」かな?
「ソウ」シリーズのようなスプラッタではないので安心してみて下さい。 
「TOVE/トーベ」 TOVE
(監)ザイダ・バリルート(フィンランド)
(製)アンドレア・ロイター、アレクシ・バルディ(原)(脚)エーバ・プトロ(原)ヤルノ・エロネン(撮)リンダ・ヴァッスベ
(PD)カタリーナ・ニークビスト・エルーンルート(編)サム・ヘイッキラ(衣)ユージェン・タムベリ(音)マッティ・バイ
(出)アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ローニ、ヨアンナ・ハールッティ、カイサ・エルンスト
「ムーミン」シリーズの作者トーベ・ヤンソンの伝記映画。
「ムーミン」誕生秘話かと思ったら、まさかのLGTBTQラブストーリーでした。
それも舞台演出家との関係と父親コンプレックスからの卒業までの苦難の人生を描いた人生ドラマ。
音楽もノスタルジックな名曲がいい味です。
カルロス・ガルデル「Per Una Cabeza」、エディット・ピアフ「C'est Merveilleux」、ジョセフィン・ベイカー「De Temps En Temps」 
ベニー・グッドマン「シング・シング・シング」、グレン・ミラー「イン・ザ・ムード」
「トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そしてDisclosureドキュメンタリー(N) 
(監)(製)サム・フェダー(米)
(製)エイミー・ショルダー(編)ステイシー・ゴルデイト(編)アブラム・フィンクレスティン、ソフィア・ミドン
(音)フランシスコ・ル・メートル(出)ラヴァーン・コックス、スーザン・ストライカー、リリー・ウォシャウスキー
ジェン・リチャーズ、ジャズムン、アレクサンドラ・グレイ、キャンディス・ケイン、サンドラ・コールドウェル
ドレヴェル・アンダーソン、ジェイミー・クレイトン、ホリー・デミータ  
ハリウッド映画に中でトランスジェンダーはどう描かれてきたのか?「異常な殺人犯」「連続殺人のターゲット」・・・
誰が演じてきたのか?その変化の歴史。ストレートの俳優から本物のトランス俳優の登場へ
少数者、差別される人々にとって、映画やテレビによる描かれ方は、どんなに愚かで残酷だったのか!
様々なことがわかりました。この問題は、トランスジェンダーだけではなくあらゆる差別問題に共通するのでしょう。 
「ナイル殺人事件」 Death on the Nile
(監)(製)ケネス・ブラナー(アメリカ/北アイルランド)
(製)リドリー・スコット他(製総)マーク・ゴードン、サイモン・キンバーグ他(原)アガサ・クリスティー(脚)マイケル・グリーン
(撮)ハリス・ザンバーラウコス(PD)ジム・クレイ(衣)パコ・デルガド(編)ウナ・ニ・ドンガイル(音)パトリック・ドイル
(出)ケネス・ブラナー、ガル・ガドット、アーミー・ハマー、アネット・ベニング 、レティ―シャ・ライト、ソフィー・オコネドー、アリ・ファザール
<あらすじ>
資産家令嬢リネットは友人の恋人サイモンと略奪婚。新婚旅行と結婚式にはなぜかポワロも招待されていました。
ナイル川を旅する新婚旅行に、恋人を奪われた元カノが乱入し、 サイモンを狙撃し怪我を負わせます。
そして、その夜、何者かにリネットが射殺されます。犯人は船の乗客の中にいるはずですが、その後も乗客が殺されることに・・・
第一次世界大戦でのポワロの青春時代。トレードマークの髭に隠された秘密が明かされ、ポワロの悲劇的人生がテーマでもあります。
最後までヒーローであるはずのポワロが憎まれ役で、殺人も止められず、犯人も逮捕できないダメっぷり。
相棒もいないし、恋人もいないし、っていうか、ポワロこそ同性愛者だったと思うのですが・・・
そして、彼が最後に心の拠り所にしたのが、「ブルース」だったとは・・・。
ひっかかったのは、1937年の時点でサロメ・オッタボーンのようなエレクトリック・ブルースはあったのか?それもロンドンで?
「ニュー・オーダー」 Nuevo Orden
(監)(製)(脚)(編)ミシェル・フランコ(メキシコ)
(製)クリスティーナ・ベラスコ、エレンディラ・ヌニェス・ラリオス(製総)ロレンソ・ビガス、ディエゴ・ボネータ、セシリア・フランコ他
(撮)イヴ・カペ(編)オスカル・フィゲロア・ハラ
(出)ナイアン・ゴンサレス・ノルビンド、ディエゴ・ボネータ、モニカ・デル・カルメン、フェルナンド・クアウトレ、エリヒオ・メレンデス
<あらすじ>
近未来のメキシコ。貧富の差が大きくなり、突然、大規模なデモからの暴動が発生。
結婚式を始めようとしていた新婦マリアンのもとに以前の従業員が妻の手術費を貸してほしいと訪ねてきます。
彼女は彼の家に急遽向かいますが、その間に彼女の家に群衆が押し寄せてきます。そして悲劇が・・・
マリアンもまた暴徒から逃れながら、目的の家に着きますが・・・
ヴェネチア国際映画祭審査員大賞
情け容赦のない描写で、軍事クーデターと暴徒とその間の犯罪に巻き込まれた人々を描きます。
見ていて気分が悪くなるかもしれませんが、パーティー会場の金持ちたちに同情する気分にはなれません。
こうなってもしかたないよね。そう思える状況がいますでに世界中にあるのは確かです。
富の再分配をもうそろそろしないと、僕は知りませんよ!そんな監督の皮肉たっぷりの笑顔も見えそうな作品です。
究極の近未来SFでフランスを舞台にした「アテナ」を思い起こさせます。 今なら世界中どこで起きても不思議はないのです。
ノマドランド」 NOMADLAND  
(監)(製)(脚)(編)クロエ・ジャオ(中国系アメリカ)
(製)ピーター・スピアーズ、モリー・アッシャー、ダン・ジャンビー(原)ジェシカ・ブルーダー「ノマド:漂流する高齢労働者たち」
(撮)ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ(音)ルドウィコ・レイナウディ
(出)(製)フランシス・マクドーマンド(出)デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ(本人)、ボブ・ウェルズ(本人) 
<あらすじ>
ネバダ州の企業城下町で夫と暮らしていたファーン。夫の死後、街は工場の閉鎖と共に消滅。
職も住居も失った彼女は自分で改造したキャンピングカーに乗り、非正規労働者として移動を続けます。
途中で出会った女性リンダに誘われた彼女は、ノマド生活をする仲間たちが集まるアリゾナの砂漠での集会に参加。 
そこで知り合ったデイヴとその後、再会。二人は魅かれあい、デイヴは自分が住む息子の家に来るよう誘います。 
アカデミー作品・監督・主演女優賞、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデン・グローブ作品・監督賞
新たなるロード・ムービーの傑作誕生。これぞアメリカ。究極の自己責任生活だけど、それが普通でもある。
アメリカの原点、西部開拓史への回帰、「イージーライダー」「ハリーとトント」「イントゥ・ザ・ワイルド」 「怒りの葡萄」が融合
自然の美しさ満載。人の優しさも満載。社会の厳しさも満載。これぞ、アメリカ!
そんな映画を独裁国家中国から逃げてきた監督が製作するのもまたアメリカ!
いろんな意味でアメリカの真実であり、未来でもある映画がアカデミー賞を獲ったのも歴史の流れかもしれない。 
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ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから」The Half of It (N)
(監)(製)(脚)アリス・ウー(米)
(製)アンソニー・ブレグマン、M・ブレア・ブレアード(製総)エリカ・マトリン、グレゴリー・ズック(撮)グレタ・ゾズラ
(編)イアン・ブラム、リー・パーシー(音)アントン・サンコー
(出)リーア・ルイス、ダニエル・ディーマー、アレクシス・レミール、コリン・チョウ、エンリケ・ムルシアーノ、キャサリン・カーティン 
アメフト選手のポールにラブレターの代筆を頼まれた中国系の女子高生エリー。
しかし、その相手は同性でありながら自分が好きな同級生のアスターでした。
映画や文学好きのエリーの手紙はアスターの心をつかみ、二人のデートも実現します。しかし、二人の恋は上手く行くのか?
映画・文学好きにはたまらない作品です!ちょっとありがちな物語ですが、現代的で可笑しくてそして何より優しい物語に感動。
こんな作品が見たかった。「アメリカングラフィティ」のようなラスト、それも駅での別れの場面は可笑しくて悲しくて・・・素敵です。
エリーは可愛く、アスターは美しく、ポールは優しく、それぞれのキャラクターが実に生き生きと描かれています。
お父さん役のコリン・チョウは「マトリックス・シリーズ」に出演しています!  
「ハミルトン」 Hamilton 
(監)トーマス・ケイル(アメリカ)
(脚)(音)(出)リン=マヌエル・ミランダ
(出)ダヴィ―ド・ディグス、レネー・エリス・ゴールドベリー、ジョナサン・グロフ(英国王)、クリストファー・ジャクソン
ジャスミン・セファス・ジョーンズ、アンソニー・ラモス、フィリッパー・スー、アリアナ・デヴォーズ
ミュージカル界の天才、リン=マヌエル・ミランダのまさに独り舞台!とも言える作品。
ワシントン初代大統領の副官として独立戦争を率いたアレクサンダー・ハミルトンの伝記ミュージカルの舞台を映像化。
あえて多人種で独立の英雄たちを描いたダーバーシティ・ミュージカル作品。
アメリカの独立史の物語をラップで展開するので歴史的事件がてんこ盛りに詰め込まれています。
字幕の読みとりが大変ですし、2時間半越えと長いのですが、見応えは十分の傑作です。
「ウエストサイド・ストーリー」でアカデミー助演女優賞を受賞するアリアナ・デヴォーズも出ています!
「パーム・スプリングス」Palm Springs  
(監)マックス・バーバコウ(アメリカ)
(製)アンディ・サムバーグ、アキヴァ・シェイファー他(製総)アレックス・トン、ガブリエラ・エビリャ・ルゴ
(脚)アンディ・シアラ(撮)クゥイエン・トラン(PD)ジェイソン・キスヴァーディ(編)マシュー・フリードマン、アンドリュー・ディックラー
(音)マシュー・コンプトン(音監)ロビン・アーダング
(出)アンディ・サムバーグ、クリスティン・ミリオティ、J・K・シモンズ、ピーター・ギャラガー、メレディス・ハグラー 
<あらすじ>
砂漠の真ん中、パーム・スプリングスで行われた結婚式に参列した男女が、タイム・ループに巻き込まれます。
同じ一日を繰り返す中、様々なことをしても変わらないことに諦めるナイルズと量子力学を勉強するサラ。
サラとの毎日に幸福を感じ、そのままで良いと思うナイルズに対し、脱出しようとするサラ。
二人の運命は?  
タイム・リープ・ラブ・コメディの掘り出し物!
時間の繰り返しに開き直りやりたい放題の二人も楽しい。夜のキャンプ地に現れる恐竜がまた魅力的。
S・E・ロジー、ホール&オーツなどの使用曲もいい選曲!J・K・シモンズもいい味で、主役もいい!
永遠の幸福を繰り返すか、人生を片道切符で再開するか?
初監督作品ですが、今後も期待したい。  
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey 
(監)キャシー・ヤン(米)
(製)マーゴット・ロビー、ブライアン・アンケレス、スー・クロール(製総)ウォルター・ハマダ、ゲイレン・ヴェイスマン他
(脚)クリスティーナ・ホドソン(撮)マシュー・リバティーク(PD)K・K・バレット(編)ジェイ・キャシディ、エヴァン・シフ
(音)ダニエル・パンバートン(音監)シーズン・ケント、ゲイブ・ヒルファー
(出)マーゴット・ロビー、メアリ―・エリザベス・ウィンステッド、ジャーニー・スモレット=ベル、ロージー・ぺレス
ユアン・マクレガー、エラ・ジェイ・バスコ  
DCコミックから「ジョーカー」の元カノ、ハーレイ・クインが女性4人でブラックマスクの一味とバトル開始! 
コメディ・タッチのアクション映画としてまずまずの出来映えです。ヒット曲満載の音楽も楽しい!
メジャー初監督の中国系女性監督キャシー・ヤンは前作「Dead Pigs」がサンダンス映画祭など注目されて大抜擢。
製作、脚本、監督、俳優と女性中心の映画となっています。 
ハンディキャップ・キャンプ:障害者運動の夜明け」Crip Camp ドキュメンタリー(N) 
(監)(脚)ニコル・ニューナム、ジム・レブレヒト(アメリカ)
(製総)バラク&ミシェル・オバマ、トーニャ・デイヴィス、プリヤ・スワミナサン他
(撮)ジャスティン・シャイン(編)アイリーン・メイヤー、アンドリュー・ガーシュ(音)ベアー・マクレアリー
(出)ジュディ・ヒューマン、ジム・レブレヒト、デニース・シェラー・コブソン 
感動間違いなしのドキュメンタリー作品です!これぞ、自由の国アメリカ。
障害者の人権を保障する公民権法504条への調印を求めた運動の中心となった障害者たち。
その多くが青春時代を過ごした障害者たちの自由平等なキャンプ「ジェネド・キャンプ」(1951~1977)の出身。
「障害のあるアメリカ人法」の設立までのさらなる戦い(1990年調印) 
彼らの人生と運動を追った障害者運動の歴史ドキュメンタリーです。
差別と闘った黒人、LGBTの人々と同じ平等を求めた闘いが同じ時期に展開していたとは!
やっぱり民主主義の国アメリカは凄い。それなのになぜ2020年のアメリカはこんなことになったしまったのか? 
「ザ・ハント」 The Hunt
(監)(製総)グレイグ・ゾベル(アメリカ)
(製)ジェイソン・ブラム(製)(脚)デイモン・リンデロフ(脚)(製総)ニック・キューズ(撮)ダーレン・ティアナン(PD)マシュー・マン
(編)ジェーン・リッツォ(音)ネイサン・バー
(出)ベティ・ギルピン、ヒラリー・スワンク、エマ・ロバーツ、ウェイン・デュバル、エイミー・マディガン
<あらすじ>
眠らされ運ばれそこで狩りの対象になったことを知った人々。
あるSNSの炎上事件で被害を被った資産家たちがその復讐のために始めたゲームだった。
ところがゲームを逃れただけでなく彼らに反撃する女性(スノーボール)が現れます。 
予想できる展開ですが、逆転劇画かなり爽快なサスペンス・アクション・コメディの快作です。
そのわりにジョージ・オーウェルの「動物農場」が意味深な役割を果たします。
犯人グループが差別もなく民主的な思想の持ち主のように見えるのが味噌。本当に怖いのはこうした人々だ!
基本的にコメディ映画なのだというのも味噌。そのうえラスボスとして、まさかのヒラリー・スワンクが登場!
彼女にコメディ映画に出て欲しかったのですが、これはコメディかもしれませんが、やっぱり悲劇の最後なんです。残念です。 
「ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!」Bill & Tedd Face the Music
(監)ディーン・パリソット(アメリカ)
(製)スコット・クルーフ、デヴィッド・ハリング他(製総)スティーブン・ソダ―バーグ他(脚)クリス・マシスン、エド・ソロモン
(撮)シェリー・ジョンソン(PD)メラニー・ペイジズ=ジョーンズ(編)ドン・ジマーマン(衣)ジェニファー・スタージク
(音)マーク・アイシャム(音監)ジョナサン・レイヒー
(出)キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンター、クリステン・シャール、ジェイマ・メイズ、サマラ・ウィービング、ウィリアム・サドラー 
ビル&テッド・シリーズ29年目の第三作
今回は、宇宙を救うための曲を演奏するためのバンド集めも行われます。ジミ・ヘン、ルイ・アームストロング、モーツァルトなどが集結。
おバカな展開は理屈抜きに楽しめます。前作、前々作は見ていなくてもとりあえず大丈夫です! 
「ヒルビリー・エレジー郷愁の哀歌」Hillbilly Elegy (N) 
(監)(製)ロン・ハワード(アメリカ)
(製)ブライアン・グレイザー(原)J・D・ヴァンス(脚)ヴァネッサ・テイラー(撮)マリス・アリベルティ(編)ジェームス・ウィルコックス
(PD)モリー・ヒューズ(音)デヴィッド・フレミングス、ハンス・ジマー
(出)ガブリエル・バッソ、エイミー・アダムス、グレン・クローズ、ヘイリー・ベネット、フリーダ・ピント、ボー・ホプキンス 
原作はノンフィクションで「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」
大学に行きたくても行けず、貧しい生活から一生抜け出すことができない暮らしを余儀なくされた人々の物語。
そこから唯一抜け出す方法は、家族が支え合い努力を続けること。戦争に行き、生き延びて、大学に行く権利を得る事が必要です。
そのチャンスをつかみかけた主人公が、残してきた母親のために帰郷し、過去を思い出しながら、家族のことを思います。
久々に泣けました。グレン・クローズもエイミー・アダムスもまさに体当たりの演技でアカデミー賞行けるのでは?
ロン・ハワードは本当にいい監督になりました。直系ではないもののイーストウッドの後継者ですね。 
ザ・ファイブ・ブラッズ Da 5 Bloods(N) 
(監)(製)(脚)スパイク・リー(米)
(製)ジョン・キリク、ベアトリス・レヴィン、ロイド・レヴィン(製総)バリー・レヴィン、マイク・バンドリー、ジョナサン・フィレイ
(脚)ダニー・ビルソン、ポール・デ・メオ、ケヴィン・ウィルモット(撮)ニュートン・トーマス・サイジェル(編)アダム・ガフ
(音)テレンス・ブランチャード(出)デルロイ・リンドー、ノーム・ルイス、クラーク・ピータース、イザイア・ウィットロック・Jr
チャドウィック・ボーズマン、ジョナサン・メジャーズ、ポール・ウォルター・ハウザー、ジャン・レノ、メラニー・ティアニー
ヤスペル・ペーコネン、ヴェロニカ・グゥ、ジャンカルロ・エスポジート、ジョニー・グェン  
これは素晴らしい!スパイク・リーの集大成ともいえる作品。アカデミー作品賞いけるのでは?
公民権運動、ベトナム戦争からブラック・ライブズ・マターまでのアメリカン・ブラックの歴史をふり返りつつ
戦争によるPTSD、残された地雷の問題、帰国後の苦しみ、家族との不和、変わらない差別、戦争が生んだ子供・・・
様々な問題を2時間半に凝縮して描くその手際の良さは、これまで培ってきた経験のおかげでしょう。
最後には、愛と憎しみと赦しへと見事に昇華させ、感動を与えてくれます。
16mmフィルムの映像はかつてのニュース映像のように観客をベトナム戦争へと連れて行ってくれます。
ベトナム奥地への旅と同時に戦場での記憶を遡る「地獄の黙示録」のパロディでもあります。
ポールが後半に精神が破綻して行くところは、マーロン・ブランドが演じたカーツ大佐のように鬼気迫る演技です。 
「ファーザー」The Father  
(監)(原戯)(脚)フロリアン・ゼレール(フランス/イギリス)
(製)フィリップ・カルカソンヌ、デヴィッド・パーフィット他(製総)エロイーズ・スパドーネ他(脚)クリストファー・ハンプトン
(撮)ベン・スミサード(PD)ピーター・フランシス(編)ヨルゴス・ランプリノス(音)ロゴヴィコ・エイナウディ
(出)アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、マーク・ゲイティス、ルーファス・シーウェル、イモージェン・プーツ 
アカデミー主演男優賞、脚色賞
認知症の父親と介護に苦労する娘を客観的な視点ではなく父親の視点から描いた画期的な作品。
ファンタジーのような展開は映画的に面白く、飽きさせない工夫とも言えるし、もし自分がそうなったら?考えることになります。
それにしても、アンソニー・ホプキンスの演技は凄い、時に憎らしく、時に子供の様で、時に哀れで・・・アカデミー賞当然かも。
なんだか「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターを思い出しました。 
「ブーブル」Bulbblu(N) 
(監)(脚)アンヴィタ・ダット・グプタン(インド)
(製)アヌシュカ・シャルマ、カルネシュ・シャルマ(撮)シダース・ディバン(音)アミット・トリヴェディ
(出)トリプティ・ディムリ、アビナッシュ・ティワリー、ラーフル・ボース、パラムブラト・チャテルジー、パオリ・ダム 
12歳で結婚させられた女性が、家族や夫から受ける体罰、暴力により、魔女へと変貌してしまうオカルト風心理サスペンス
音楽が良い、主人公が美人!インドにおける幼児婚についての問題提起であり、女性への差別・暴力への抵抗の映画
ネットフリックスらしい社会派の娯楽映画で、ミュージカル・シーンもなく2時間も超えない見やす過ぎる?作品 
「ブラックホール:知識の境界線に挑む」 Black Holes : The Edge of All We Know (D)
(監)(製)ピーター・ギャリソン(アメリカ)
(製)(編)チルド・キング(製総)グレッグ・ボウステッド、ジェシカ・ハロップ(音)ゾーイ・キーティング
(アニメ)ルース・リングフォード(撮)ステファン・マッカーシー、アリー・ハムナック、ティム・クラッグ
(出)シェップ・ドールマン、アンディ・ストロミンジャー、マルコム・ペリー、スティーブン・ホーキング、サッシャ・ハコ
この作品は、同時期に進行していた二つの研究を記録・解説することでブラックホールの最新情報を教えてくれます。
<ブラックホールは情報を保存するか?>
 スティーブン・ホーキングと3人の理論物理学者によるブラックホール内では情報が保存れないという理論の誤りを証明する試み。
  途中でホーキングがこの世を去ってしまいますが、残ったメンバーでそれを証明します。
ブラックホールに吸収された情報は、その内部ではなく表面に存在する「柔らかい髪の毛」と言われる部分に保存されている。
したがって、宇宙に存在する情報は保存され失われてはいない。それはすべてのものに存在価値があるということでもあります。
<ブラックホールの姿を映像化>
 イベント・ホライゾン・テレスコープEHT(Event Horizon Telescope)を用いてブラックホールを撮影、画像化する10年がかりの試み。
 世界各地6か所の巨大望遠鏡を組み合わせ地球規模の電波望遠鏡を合成する。VLBI(Very Long Baseline Interferometry)
 望遠鏡の直径は1万キロで視力300万(ハッブル宇宙望遠鏡約1500)
 観測で得たデータを複数のチームが別々に映像化。それが一致することで正確性を証明した。
 2019年4月1日に結果を発表し、理論とほぼ一致した映像が得られた。
 遥か彼方に存在する太陽の65億倍の質量を持つM87ブラックホールを映像化し、それが存在することを証明した。
「フランクおじさん」UNCLE FRANK (A) 
(監)(脚)(製)アラン・ボール(米)
(製)ビル・ブロック、マイケル・コスティガン他(製総)ボブ・オシャー、アンドリュー・ゴロヴ他
(撮)カリッド・モタセヴ(PD)ダーシー・スキャンリン(衣)メーガン・スターク・エヴァンズ
(編)ジョナサン・アルバーツ(音)ネイサン・バー(音監)ゲイリー・カラマル
(出)ポール・ベタニー、ソフィア・リリス、ピーター・マクディッシ、ジュディ・グリア、スティーヴ・ザーン、ロイス・スミス 
ゲイの伯父さんと姪っ子のひと夏の経験と故郷への素晴らしい感動の旅。LGBTの新たなる傑作誕生です。
1973年という時代設定も懐かしい。
ポール・ベタニーの代表作ですが、ソフィア・リリスも頑張りました。
ラストの裏庭での幸福感は本当に素敵です!早くコロナが終息してあんな気持ちのいい風を感じたいものです。  
「フリー・ガイ」Free Guy  
(監)(製)ショーン・レヴィ(アメリカ)
(製)サラ・シェクター、ライアン・レイノルズ他(製総)メアリー・マクラグレン他(原案)(脚)マット・リーバーマン(脚)ザック・ペン
(撮)ジョージ・リッチモンド(PD)イーサン・トーマン(編)ディーン・ジマーマン(音)クリストフ・ベック
(出)ライアン・レイノルズ、ジョディ・カマー、ジョー・キーリー、タイカ・ワイティティ、リル・レル・ハウリー、ウトカルシュ・アンブドゥカル 
<あらすじ>
ゲーム「フリーガイ」の中のモブキャラ銀行員がなぜかゲーム内で自身の感情・判断で行動を開始。
開発者の二人が作ったAIシステムが自立することに成功した結果でした。
しかし、ガイはそのことを知らず、そのおかげでゲームの続編への以降が困難になり、経営者アントワンは激怒。
ガイの抹殺を支持しますが・・・ 
ゲーム内キャラが意志を持ち行動する作品はこれまでもありましたが、今回はモブキャラにしたのが味噌。
恋がきっかけで自立し始めるという設定もポイントです。
様々な過去作品の小道具やキャラクターが散りばめられているのも楽しい!  
「プリズン・エスケープ脱出への10の鍵」Escape from Pretoria 
(監)(脚)フランシス・アナン(英国/南アフリカ)
(製)マーク・ブレイニー、ジャッキー・シェパード他(原)ティム・ジェンキン(脚)L・H・アダムズ(撮)ジェフリー・ホール
(PD)スコット・バード(衣)マリオット・カー(編)ニック・フェントン(音)デヴィッド・ハーシュフェルダー
(出)ダニエル・ラドクリフ、ダニエル・ウェバー、イアン・ハート、マーク・レナード・ウィンター、スティーブ・ハンター 
<あらすじ>
南アフリカでアフリカ民族会議のメンバーとしてアパルトヘイトへの反対運動に参加していた白人青年ティム・ジェンキン。
逮捕されて懲役12年の刑を受けることになった彼は、プレトリアの刑務所からの脱走をしようと計画を立てます。
脱獄のために彼は選んだ方法は、刑務所内の鍵を全て作るという作戦でした。  
最近珍しくなったシンプルな作戦をシンプルに描いた正調脱獄映画。 
実話なので成功するとわかってはいても十分ハラハラさせてくれます。
犯罪者がアパルトヘイトに反対する解放運動の英雄というのがポイント。 
「プロジェクト・パワー」Project Power(N) 
(監)アリエル・シュルマン、ヘンリー・ジュースト(米)
(製)エリック・ニューマン、ブライアン・アンケレス(脚)マットソン・トムリン(撮)マイケル・シモンズ(音)ジョセフ・トラパネーゼ
(出)ジェイミー・フォックス、ジョセフ・ゴードン=レビット、ドミニク・フィシュバック、マシンガン・ケリー、ロドリゴ・サントロ
エイミー・ランデッカー、タイット・フレッチャー 
5分間だけ超能力を発揮できる薬がニューオーリンズの街に広がり、事件が多発。
捜査を行う警官がその売人を追跡するが彼はさらわれて実験台になっている娘を探していた。
人により能力が違うが、バラバラで何かの動物の遺伝子が元になっているらしい・・・。
この手のスーパーパワーものはいろいろあるので、それを超えるにはちょっと物足りない。  
「プロミシング・ヤング・ウーマン」Promising Young Woman  
(監)(製)(脚)エメラルド・フェネル(イギリス/アメリカ)
(製)マーゴット・ロビー、ジョニー・マクナマラ他(製総)グレン・バスナー、キャリー・マリガン(撮)ベンジャミン・クラカン
(PD)マイケル・T・ペリー(編)フレデリック・トラバル(衣)ナンシー・スタイナー(音)アンソニー・ウィリス(音監)スーザン・ジェイコブズ
(出)キャリー・マリガン、ボー・バーナム、アリソン・ブリー、クランシー・ブラウン、ラヴァーン・コックス、コニー・ブリットン 
<あらすじ>
コーヒーハウスで働くキャシーは、友人を失い医学部を中退していました。
彼女は夜な夜な街で酔いつぶれたふりをして男に襲われるギリギリまで行っていました。
彼女は医学部の男たちに暴行されたことが原因で自殺した友人の復讐を始めます。  
アカデミー脚本賞見事な脚本です。
主人公がクールでカッコいい。事件の過去映像を見せず、復讐を淡々と進めていく演出も好感大!
マーゴット・ロビー、キャリー・マリガンら女性たちの映画に拍手!  
「ザ・プロム」THE PROM (N) 
(監)(製)(音総)ライアン・マーフィー(米)
(製)アダム・アンダース他(製総)エリック・コブタン他(脚)ボブ・マーティン(脚)(原)チャド・ベゲリン(撮)マシュー・リバティーク
(PD)ジェイミー・ウォーカー・マッコール(衣)ルー・アイリック(振)ケイシー・ニコロウ(音)マシュー・スクラー
(出)メリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン、ニコール・キッドマン、キーガン=マイケル・キー、アンドリュー・ラネルズ
ジョー・エレン・ペルマン(エマ)、ケリー・ワシントン 
「glee」の監督による本格的なミュージカル映画。
セレブと大衆の溝の大きさ。それを修復しようという身勝手なスターたち。始まりが不安でした。
プロムってそんなにやりたいこと?という基本的な疑問もありました。
話が上手く行きすぎなのはミュージカルだからありなのか? 
主演のジョー・エレン・ペルマンの笑顔は素敵です!今後に期待したいです。
ダンスも歌も素晴らしいのですけど。「glee」を見ているので、ちょっと期待はずれかも・・・ 
「ヘイター」Sala Samobojcow.Hejter  
(監)ヤン・コマサ(ポーランド)
(脚)マテウシュ・パツェビチュ(撮)ラデック・ラドチュック(美)カタジーナ・ソバンスカ、マルセル・スラビンスキ
(音)ミハウ・ヤツァシェク
(出)マチェイ・ムシャウォフスキ、アガタ・クレシャ、ダヌカ・ステンカ、バネッサ・アレクサンダー 
論文の盗用で大学を退学させられたトマシュはSNSを使い様々な手法で敵対企業や個人を攻撃する企業に就職
フェイクニュース等を使いこなし、その才能でのし上がります。そして、別れた恋人が関わる政治家を倒す作戦に参加。
政治家のスキャンダルを暴露しますが、作戦はしだいにエスカレートし、ついにはテロ事件へと発展します。
実は、この作品には前編もあったようです。
「ヘイト&フェイク総登場!」といった感じの典型的な胸糞が悪くなる映画です。
でも、ここまで主人公が悪で作戦を見事に成功させると、逆に映画だからいいかって気になるから不思議。
怖い映画ですが、見入ってしまいます。これが世界の真実なのか?挑戦するべきか?
この監督、次の作品「聖なる犯罪者」はアカデミー外国語映画賞にノミネートされます。 
「隔たる世界の二人」Two Distant Strangers(N)(短編) 
(監)(脚)トラヴォン・フリー、マーティン・デズモンド・ロー(アメリカ)
(製)ローレンス・ベンダー、ショーン・コムズ、クリス・ウィットウィラー、ジュシ・ウィリアムズ
(撮)ジャシカ・ヤング(編)アレックス・オデスミス(音)ジェームズ・ポイザー
(出)ジョエイ・バダ$$、アンドリュー・ハワード、ザリア  
<あらすじ>
初めて泊まった彼女の部屋で目覚めた主人公は、彼女の別れを告げ、外に出るとすぐ、白人男性とぶつかってしまいます。
そこへ近くにいた白人警察官が現れ、彼に職務質問をし始めます。何もしていない彼はその対応に怒り、暴れ始めます。
すると近くにいた警官がやってきて、彼を押さえつけ、首を締めあげると彼は窒息死してしまいます。
はっと気が付くと彼は、彼女の部屋のベッドにいました。どうやら夢だったようです。しかし、あまりに現実的な・・・
こうして、彼の新たな一日が始まりますが、再び彼の目の前にはあの白人警察官が現れます。  
ジョージ・フロイドに捧げられた作品であることは、すぐにわかりました。
しかし、ラストには彼以外にも同じような目に遭った人々の名前が紹介されます。 
<使用曲>
「Home」(演)Uhmeer(曲)James Poyser,Karriem Riggins他
「The Way It Is」(演)Bruce Hornsby & The Rango(曲)ブルース・ホンズビイ
「God's Child」(演)Jill Scott(曲)Jill Scott, James Poyser
「Two Distant Strangers」(演)Joey Bada$$(曲)Jo Vaughn Virginie,Erick Elliott,Chris McClenney,Dominic Makerm,Romeo Testa 
「ヘルムート・ニュートンと12人の女たち」 HERMUT NEWTON : The Bad and the Beautiful(D) 
(監)ゲロ・フォン・ブーム(ドイツ)
(製)フェリックス・フォン・ブーム(撮)スヴェン・ヤーコブ=ベンゲルマン(編)トム・バイヒェンハイン
(出)ヘルムート・ニュートン、ジューン・ニュートン、シャーロット・ランプリング、グレイス・ジョーンズ、アナ・ウィンター、イザベラ・ロッセリーニ
クローディア・シェファー、ハンナ・シグラ、マリアンヌ・フェイスフル
1920年10月31日ドイツ生まれのカメラマン、ヘルムート・ニュートンの伝記ドキュメンタリー。
2004年1月23日に自動車事故で亡くなるまでを12人の女性モデルたちが回想しながら浮かび上がらせます。
最初のファッションカメラマンとも言われるイヴァ(エルゼ・ジーモン)のもとでカメラマン修行。
ドイツ表現主義とレニ・リーフェンシュタールの影響を受けたもののユダヤ人であるがゆえにオーストラリアに亡命。
その後、イギリスで英国版「ヴォーグ」のカメラマンとなり、パリを拠点にファンション雑誌などでファッション・カメラマンとして活躍。
1970年代80年代を中心にカリスマ的カメラマンとして、時代を象徴する写真を発表し続けました。
女性差別、人種差別、障害者差別、動物虐待の写真として問題視される作品を多く発表しますが、そこには彼の意図がありました。
女性を撮影するのは、その肉体の美しさを撮るのであって、内面などはどうでもいい。そう言い切るところも凄い!
 
「マクマホン・ファイル」The Last Thing He Wanted (N) 
(監)(製)(脚)ディー・リース(米)  
(脚)マルコ・ヴィラロボス(原)ジョーン・ディディオン(撮)ボビー・ブコウスキー(音)タマール=カリ
(出)アン・ハサウェイ、ベン・アフレック、ウィレム・デフォー、ロージー・ペレス、エディ―・ガテギ  
女性記者が父親に代わり武器密輸に関与、そこから見えてきた米軍兵器の中米への密輸。
ハードボイルド・スタイルの展開はクールですが、難解過ぎ。もう少し面白くできなかったか? 
マ・レイニーのブラックボトムMa Rainey's Black Bottom (N) 
(監)ジョージ・C・ウルフ(米)
(製)デンゼル・ワシントン、トッド・ブラック他(原戯)オーガスト・ウィルソン(脚)ブーベン・サンチャゴ=ウィルソン
(撮)トビアス・A・シュリッスラー(PD)マーク・リッカー(編)アンドリュー・モンドシェイン(衣)アン・ロス(音)ブランフォード・マルサリス
(出)ヴィオラ・デイヴィス、チャドウィック・ボーズマン、コールマン・ドミンゴ、グリン・ターマン、マイケル・ポッツ、ジェレミー・シャーモス 
「ブルースの母」と呼ばれたマ・レイニーが地元の南部コロンバスからシカゴへレコーディングに来た際の一日を追った作品。
チャドウィック・ボーズマンの遺作となった「黒い底辺」の物語。
1927年が舞台だが、これもまた現在のアメリカ黒人社会を描いた作品となっています。 
デンゼル・ワシントン主演の「フェンス」と同じオーガスト・ウィルソンの戯曲(1982年作)が元になった作品。 
「ミス・アメリカーナ」 Miss Americana(ドキュメンタリー)
(監)ラナ・ウィルソン(アメリカ)
(製)モーガン・ネヴィル、ケイトリン・ロジャース、クリスティン・オマリー(撮)エミリー・トッパー(編)グレッグ・オトゥール
(音)アレックス・ソマーズ(出)テイラー・スウィフト
アメリカを代表するシンガー・ソングライターのテイラー・スウィフトのデビューから現在までを追ったドキュメンタリー。
白人女性カントリー歌手としてデビュー。その後、ポップス歌手としてアイドルになりました。
しかし、見た目やファンの人気を意識しすぎ、摂食障害になったり、SNSで裏のある女と炎上したり、カニエ・ウエストに口撃されたり。
美人でスタイルが良くて白人で歌が上手くて・・・それでもなおスターでいるためには努力が必要なショービズの世界は厳しい。
そこからトランプ派の女性上院議員の当選を阻止するために決断を下す後半が一気にロック・シンガーっぽくなります。
自信なさげだったスターになった当時の表情も、ラストの晴れやかで自身に満ちた表情に変わっています。 
一人の白人女性の成長の記録を見ることができるのが、この作品の魅力です。
「Cruel Sommer」(2019)「・・Ready for It?」(2017)「ME!Featuring Brendon Urie of Panic! at the Disco」(2019)「Lover」(2019)
「Smokey Black Nights」(2003)「Lucky You」(2003)「Tim McGraw」(2006)「Our Song」(2006)「You Belong With Me」(2008)
「All Too Well」(2012)「Out of Woods」(2014)「Bad Blood」(2014)「I Knew You Were Trouble」(2012)
「Look What You Made Me Do」(2017)「I Did Something Bad」(2017)「King of My Heart」(2017)「Call It My Heart」(2017)
「Gorgeius」(2017)「Delicate」(2017)「This Is Why Can't Have Nice Thing」(2017)「Getaway Car」(2017)「The Man」(2019)
「Clean」(2014)「Only The Young」(2019)「You Need To Calm Down」(2019)「The Archer」(2019)
「ミッドナイト・スカイ」The Midnight Sky(N) 
(監)(製)ジョージ・クルーニー(米)
(製)グラント・ヘスロヴ、キース・レドモン他(製総)バーバラ・A・ホール、トッド・シュスター他
(原)リリー・ブルックス=ダルトン「世界の終わりの天文台」(脚)マーク・L・スミス(撮)マーティン・ルーエ
(PD)ジム・ビゼル(編)スティーブン・ミリオン(衣)ジェニー・イーガン(音)アレクサンドル・デスプラ
(出)ジョージ・クルーニー、フェリシティ・ジョーンズ、デヴィッド・オイェロウォ、ティファニー・ブーン(カワイイ!)
デミアン・ビチル、カイル・チャンドラー、ケイリン・スプリンゴールド  
人類が滅亡した地球、生き残った北極の天文台からK23(木星の衛星)から帰還する宇宙船に連絡が・・・。
地球に戻らずK23で生き延びよ!しかし、期間中の宇宙船もまた危機に追い込まれていました。
「ゼロ・グラビティ」「惑星ソラリス」「ユピテルとイオ 地球最後の少女」「パッセンジャー」・・・いろいろ入っています。
ハードSFタッチの地球滅亡作品の快作。
ただし、予想の範囲を越えるほどのワンダーはなかったかも。 
Mank/マンクMANK (N) 
(監)デイヴィッド・フォンチャー(米)
(製)セアン・チャフィン、エリック・ロス、ダグラス・アーバンスキー(脚)ジャック・フィンチャー(撮)エリク・メッサーシュミット
(PD)ドナルド・グレアム・バート(衣)トリッシュ・サマーヴィル(編)カーク・バクスター(音)トレント・レズナー、アッティカス・ロス
(出)ゲイリー・オールドマン、サマンサ・セイフライド、チャールズ・ダンス、リリー・コリンズ、アーリス・ハワード  
永遠の名作「市民ケーン」の脚本が書かれる過程とそのもとになった体験を描いた内幕もの。
脚本の作者は監督デヴィッドの父親。30年代ハリウッドの大物が次々に登場する歴史大作でもあります。
ただし、この作品はそうしたメイキング映画とは別の側面も持っています。
アプトン・シンクレアという社会主義政治家というもう一人の登場人物を登場させ、アメリカの現状とリンクさせてゆきます。
フェイク・ニュースならぬフェイク・ムービーによる共和党の勝利。それがまた再現することがなかったことを喜びたいと思います。  
「水を抱く女」UNDINE  
(監)(脚)クリスチャン・ペッツォルト(ドイツ)
(製)フロリアン・コールナー・フォン・グストルフ、ミヒャエル・ヴェッバー(撮)ハンス・フロム(編)ベッティナ・ボーラー
(出)パウラ・ベーア(ウンディーネ)、フランツ・ログフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ、アネ・ラテ=ポレ 
ベルリン国際映画祭銀熊賞(パウラ・ベーア)
「水の精」のギリシャ神話がもとになったドイツの小説「ウンディーネ」を現代のベルリンに移し換えた異色のファンタジー映画
水の精を愛してしまった男の悲劇が美しく悲しくサスペンス・タッチで描かれます。
シンプルなストーリーのようで伏線もあり、回収もあり、予想外の展開で最後までハラハラさせられるラブ・ストーリー!
古い神話とベルリンの都市開発の解説という対比もいいし、ビージーズの「ステイン・アライブ」の使い方も洒落ている。
小説とは異なる結末は、お腹にいる赤ちゃんがウンディーネに語りかけたおかげだと思います! 
「ミス・マルクス」 Miss Marx
(監)(脚)スザンナ・ニッキャレッリ(イタリア/ベルギー)
(製)マルタ・ドンゼッリ、グレゴーリオ・バオネッサ(製総)アレッシオ・ラッツァレスキ(撮)クリステル・フルニエ
(美)アレッサンドロ・ヴァヌッチ、イゴール・ガブリエル(衣)マッシモ・カンティーニ・パリーニ(編)ステファノ・クラヴェーロ
(音)ガット・チリエージャ・コントロ・イル・グランデ・フレッド、ダウンタウン・ボーイズ
(出)ロモーラ・ガライ(エリノア・マルクス)、パトリック・ケネディ、ジョン・ゴードン・シンクレア(エンゲルス)、フェリスティ・モンタギュー
カリーナ・フェルナンデス、フィリップ・グレーニング(カール・マルクス) 
<あらすじ>
1883年カール・マルクスがこの世を去り、残されたマルクスの3姉妹の中、末娘のエリノアは父親の意思を継ぎます。
労働問題、女性の地位向上、児童労働の禁止などに人生を捧げます。
しかし、彼の夫エドワードは彼女の活躍には協力的でしたが、異常な浪費癖により彼女の資産を食いつぶします。
主演のロモーラ・ガライが素晴らしい!
コミュニズムの映画である以上にフェミニズムの映画として名作です!
映像、音楽、衣装、背景そして演技。どれも素晴らしい作品です。 
MINAMATA - ミナマタ - MINAMATA 
(監)(製)(脚)アンドリュー・レヴィタス(アメリカ)
(製)サム・サルカル、ビル・ジョンソン、ガブリエル・ターナ、ジョニー・デップ他(原案)ユージン・スミス、アイリーン・美緒子・スミス
(脚)(製)デヴィッド・K・ケスラー(脚)ジェイソン・フォルマン、スティーブン・ドイターズ(撮)ブノワ・ドゥローム(PD)トム・フォーデン
(衣)モミルカ・バイロヴィチ(編)ネイサン・ヌーゲント(音)坂本龍一
(出)ジョニー・デップ、ビル・ナイー、美波、真田広之、國村隼、浅野忠信、加瀬亮、岩瀬晶子 
1971年、チッソ水俣工場からの汚染排水によって起きた水俣病の取材に訪れたユージン・スミスはアルコール依存のカメラマン。
かつて雑誌「TIME」のスタッフ・カメラマンとして活躍していた彼は、引退を意識しスランプに陥っていました。
そんな状況にいた彼に水俣を取材してほしいと依頼されての来日でしたが、彼は沖縄戦を取材した際のトラウマも抱えていました。 
思っていた以上に素晴らしい作品でした。ジョニー・デップのDV問題が起きていなければもっと高い評価を得られたのに残念です。
水俣の美しい海の風景が欲しかった!「苦海浄土」が素晴らしいのは石牟礼道子さんが海の魅力にこだわっているからです。
日本で撮影できなかったのも惜しかった。(セルビアなどが中心)
ジョニー・デップの演技は素晴らしく、水俣病問題よりも報道カメラマンが自分の魂を削る苦しみから立ち上がる人間ドラマとなっています。
ラストの母子の入浴写真も素晴らしかった!泣けました。そこには家族だけではなく、「愛」「人類」「地球」「宇宙」が見えます!
日本の俳優陣もみなさん素晴らしかった。
チッソの社長も単なる悪者として描かない姿勢も好感がもてました。病院への潜入シーンはスパイ映画的で少々やりすぎですが・・・・  
「ミナリ」MINARI  
(監)リー・アイザック・チョン(韓国系アメリカ)
(製)デデ・ガードナー他(製総)ブラッド・ピット、スティーブン・ユァン(撮)ラクラン・ミルン(編)ハリー・ユーン(音)エミール・モッセ
(出)スティーブン・ユァン、ハン・イェリ、ユン・ヨジョン(アカデミー助演女優賞)、ウィル・パットン、アラン・キム 
朝鮮戦争の後、アメリカに移民した韓国人とその家族の苦難の物語。
1980年代カリフォルニアで鶏の選別で稼いでいた夫婦がアーカンソーの田舎に土地を購入して移住。
そこで農業を始め韓国の野菜を育て始めます。しかし、水不足や売り先の不足などのトラブルで夫婦の間に亀裂が・・・。
けっしてハッピーエンドでなはいリアリズム作品であっても、ラストには救いがありホッとしました。
この後、家族がどうなったのか?気になるラストです。 
もう終わりにしようI'm Thinking of Ending Things (N) 
(監)(脚)チャーリー・カウフマン(製)ステファニー・アズピアズー、アソニー・ブレグマン他(製総)グレゴリー・ズック
(原)イアン・リード(撮)ウカシュ・ジャル(編)ロバート・フレイゼン(音)ジェイ・ワドリー
(出)ジェシー・プレモンス、ジェシー・バックリー、デヴィッド・シューリス、トニ・コレット 
「脳内ニューヨーク」のチャーリー・カウフマンが謎に満ちたサスペンス小説を映画化。
ほとんどがカップルの会話劇で展開しますが、いつしかそれが妄想の世界であることがわかってきます。
これほど居心地の悪い映画はめったにない!
たぶん高校の用務員として暮らすおじいさんによる最後の妄想なのでしょうが・・・
何を「もう終わりしよう」なのかは見る人次第なのかもしれません。
映画の中、ジョン・カサベテスの名作「こわれゆく女」がボロクソに言われ、アンナ・カヴァンの「氷」の話も出てきます。 
ヤ~ワ
「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」JUDAS AND THE BLACK MESSIAH 
(監)(脚)(原案)(製)シャカ・キング(アメリカ)
(製)ライアン・クーグラー、チャールズ・D・キング(原案)ケニー・ルーカス、キース・ルーカス(原案)(脚)ウィル・バーソン
(撮)ショーン・ボビット(編)クリスタン・スプレイグ(音)マーク・アイシャム、クレイグ・ハリス(主歌)H.E.R.「Fight For You」
(出)ダニエル・カルーヤ、レイキース・スタンフィールド、ジェシー・プレモンス、マーティン・シーン(フーバー長官
ドミニク・フィッシュバック、アシュトン・サンダーズ、アルジー・スミス、ダレル・ブリット=ギブソン、リル・レル・ハウリー 
<あらすじ>
20歳にてブラック・パンサーの副議長となったフレッド・ハンプトンはシカゴの街をまとめる存在になっていました。
社会活動と同時に黒人ギャング団だけでなく 白人貧困層にも仲間を増やすなど優秀な指導者でした。
FBIのミッチェル捜査官はパンサー党の壊滅を目指し、盗みで逮捕されたオニールをパンサーのスパイとして潜入させます。 
アカデミー助演男優賞(ダニエル・カルーヤ)主題歌賞(H.E.R.) 
事実に基づいたブラック・パンサー壊滅作戦とその犠牲となったメンバーを追った社会派作品。
21世紀に入りやっと映画化が可能になった題材。
1990年にテレビのインタビューで自らの役割について初めて証言したオニールは、その日に自殺したとのこと!
イエス・キリストとユダの関係を思わせる二人だからこそのタイトルも見事です。 
「夢追い人」The Disciple (N) 
(監)(脚)(編)チャイタニヤ・タームハネー(インド)
(製)ヴィベック・ゴムベル(製総)アルフォンソ・キュアロン(撮)マイケル・ソボチンスキー(音)アニーシュ・プラドハン
(出)アディティア・モダック、アルン・ドラビド、スミトラ・バーベ、ディーピカ・ビーデ 
<あらすじ>
インドの古典音楽「ラーガ」の師匠について40歳を前にして未だ修行中のミュージシャンの苦悩と訓練と再生の物語。
師匠の元で鍛錬を続けてきたが、なかなか認めてもらえず、大会でも勝てず、高齢の師匠の体調もすぐれず、収入もない。
それでも彼は師匠の師匠マアイの講義を毎日聞きながら、その鍛錬を続けます。それはある種宗教のような存在でした。  
ヴェネチア国際映画祭脚本賞 
「夢追い人」という邦題で良いのか?と思えるほど宗教的で地味な音楽映画。
もちろん主人公は成功したいとも思っていますが、世俗的な成功とは別のことろを目指しているつもりなのです。
そのあたるの葛藤が見事に描かれています。
ラーガの良し悪しは難しいところですが、ラスト近くの彼の歌は宇宙的な世界へと羽ばたいているようにも聞こえました。
プログレ的でジャジーで演奏も素晴らしい!歌のテクニックもなんとなくわかった気がしました。
ジョージ・ハリソンに見せたかった! 
「弱くて強い女たち」弧味 Little Big Woman  
(監)(脚)シュー・チェンチエ許承傑(台湾)
(製総)ビビアン・スー、リャオ・チンソン(脚)ホアン・イークイ
(出)チェン・シューファン(祖母)、ディン・ニン(愛人)、シェ・インシュアン(長女)、ビビアン・スー(次女)、ソン・カーファン(三女)
チェン・イェンフェイ(孫娘)、チャン・チュンニン(実の三女) 
<あらすじ>
家庭を捨て20年以上行方不明になっていた夫が入院し、愛人の看護を受ける中、そのまま亡くなります。
離婚していなかった正妻は、葬儀を三人の娘たちと行うため準備を始めます。するとそこに愛人が友人と現れます。
なぜ父親は家庭を捨てたのか?その理由を知らない三女は、その謎を訪ねますが、姉たちは教えてくれません。 
台湾版「海街ダイアリー」というか是枝家族映画を見ているような雰囲気の作品で大好きです。
台湾と日本のメンタルの近さを感じてしまいました。
広瀬すず、夏川結衣、真木よう子、樹木希林・・・そんな顔ぶれを見ている気になります。
お葬式って本当に何もかも許せる場なのかもしれません。悲しいけれどいい思い出になるのもお葬式です。  
「40歳の解釈:ラダの場合」The Forty-Year-Old Version (N) 
(監)(製)(脚)ラダ・ブランク(アメリカ)
(製)レナ・ウェイス、ジョーダン・ファッジ他(撮)エリック・ブランコ(編)ロバート・G・ウィルソン(音)ガイ・C・ルート
(出)ラダ・ブランク、ピーター・キム、オズウィン・ベンジャミン、イマニ・ルイス 
芸術家の家庭に生まれ、戯曲作家として活動する40歳目前の黒人女性ラダは、演劇教室で教える日々が続き作品を発表していない。
そんなある日、友人の韓国系エージェントが舞台で彼女の戯曲を発表する機会を見つけてくれます。
ただし、製作者も演出家も白人で、内容を変更するよう求められます。不満を持ちながらも準備に追われる日々。
彼女はラップに目覚め、トラック・メーカーのDを尋ねます。そこで彼女はラッパーとして開眼しますが・・・・
NYを舞台にした音楽、演劇のアンダーグラウンドが楽しめます。そして、欺瞞に満ちた演劇への反抗が爆発!楽しい!
自分のことを親の代まで見せてしまっ彼女が次にどんな作品を撮るのか?楽しみです! 
「ラブバード」The Lovebirds(N) 
(監)マイケル・ショウォルター(米)
(製)(脚)(原)アーロン・エイブラムス(製)(脚)(原)ブレンダン・ゴール(製)マーティン・ゲーロ(撮)ブライアン・バーゴイン
(編)ロバート・ナッソー(音)マイケル・アンドリュース(出)クメイル・ナンジアニ、イッサ・レイ、アンナ・キャンプ
ポール・スパークス、ベッツィ―・ボレゴ  
イスラム系男性ジブランと黒人女性レイラニの関係は崩壊寸前。そんな二人が殺人事件の容疑者に。
逃げながら自分で犯人を突き止めようとするが、素人の二人は逆に犯人たちに捕まることに。二人の運命は?
パトカーに乗る警官ににらまれるが、そのままスルーされた時の主人公の台詞が笑えます。
「なんだただの人種差別主義者だったのか!」  
「林檎とポラロイド」 Mila Apples
(監)(脚)(製)クリストス・ニク(ギリシャ)
(製)ニコラス・マヴロイディス、アリス・ダヨス他(製総)ケイト・ブランシェット他(脚)スタブロス・ラプティス(撮)バルトス・シュビラニスキ
(編)ヨルゴス・ザフェイリス(音)ザ・ボーイ
(出)アリス・セルヴィタリス、ソフィア・ゲアルゴバシリ、アナ・カレジドゥ、アルジョリス・バキルティス 
<あらすじ>
ある日、バスに乗っていて記憶を失った男。彼は病院で記憶喪失と言われますが、それは国全体で急激に増えていました。
病院での治療は不可能とされ、彼は病院外での治療プログラムに参加することになります。
彼はテープで送られてくる指示を忠実に守りながら、その姿をポラドイド・カメラで記録し続けます。 
近過去SFと呼ぶべき作品。
主人公は本当は記憶があって何かの理由で記憶を消し去りたかったのではないか?
だから記憶力に良いと言われて、逆に林檎を食べることをやめたのではないか?
急増する記憶喪失は、集団ヒステリーか、手のこんだストライキか?
共産主義時代の記憶を忘れつつあり、ポピュリズムを受け入れつつあるヨーロッパ諸国への警鐘か?
1980年代の東欧社会を思わせる映像です。
不気味な世界はありますが、どこかのどかに見えるのがこの作品の魅力かもしれません。
「LUDO 四つの物語」LUDO  
(監)(脚)アヌラーグ・バス(インド)
(出)アンビシェーク・バッチャン、アーディティヤ・ローイ・カプール、ラージクマール・ラーオ、サーニャ・マルホートラ 
<あらすじ>
刑務所から出ると妻と子供に去られていた男。殺人を目撃後、爆発事故に巻き込まれ偶然、大金を手にした男。
盗撮され流出させられた画像を消そうとする男。片思いの女性に頼まれ殺人罪で逮捕された男を脱獄させることになった男。
4人の男とその彼女たちが一人の極悪人の犯罪に巻き込まれ、ラストに大集合し大銃撃戦になります! 
実によくできた(できすぎた)脚本で、ラストのハッピーエンドもできすぎですが・・・文句なしに楽しい映画です。
これは、実によくできたコーエン兄弟、タランティーノ作品のインド版! 思わず拍手したくなりました。 
「ローズ島共和国 小さな島の大波乱」 L'Incredible storia dell' Isola delle Rose(N)
(監)(脚)シドニー・ジリア(イタリア)
(製)マッテオ・ロベーレ(脚)フランチェスカ・マニユーリ(撮)バレリオ・アッツァーリ(美)トニーノ・ゼッラ(編)ジャンニ・ベツォシ
(衣)ニコレッタ・タランタ(音)ミケーレ・ブラガ
(出)エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・リディ、マティルダ・デ・アンジェリス、トム・ブランシア、ジンガ・レティ 
1969年イタリアの沖合500mに表れた人口の島が独立を宣言します。
最初に来たパトロール船はアンテナがないことを確認してさります。これはこの時代にあった海上ラジオ局「パイレーツ・ロック」の話。
60年代末の起きた様々な事件の一つですが、やはりこの話も面白い。
真実が小説よりも奇なりだった時代は確かに創造的であり、面白い時代だったのは確かです。
「ロスト・ガールズ」Lost Girls(N) 
(監)(製総)リズ・ガーバス(米)
(製)アン・ケアリー、ケヴィン・マコーミック(製総)ロリー・コスロー他(脚)マイケル・ワーウィー(原)ロバート・コルカー
(撮)イゴール・マルティノヴィッチ(PD)リサ・マイヤーズ(編)カミーラ・トニオロ(音)アン・ニキティン
(出)エイミー・ライアン、トーマシン・マッケンジー、ゲブリエル・バーン、ローラ・カーク、ウーナ・ローレンス 
(エンドテーマ)「Lost Girls」(歌)(曲)ルシンダ・ウィリアムス 
ロングアイランド連続殺人事件は15~16人の女性が殺害され遺棄されていた事件。
その被害者の一人が警察のずさんな捜査を指摘し、娼婦であるがゆえの差別を批判し続けました。
ついには自分の力で解決しようとしますが、犯人は捕まらず、行方不明の自分の娘も・・・ 
実話だからこそのリアリティーと説得力。アメリカの格差社会の現状、女性への差別が重く描かれています。
監督はこれまでニーナ・シモン、マリリン・モンロー、ボビー・フィッシャーらのドキュメンタリー映画を撮って来た女性です。
そして、主演のエイミー・ライアンの演技も圧巻です! 
ROMA/ローマ 完成への道(ドキュメンタリー)(N) 
(監)アンドレス・フラオンド、ガブリエル・ナシミオ(メキシコ)  
(製)アレハンドロ・デュラン、ガブリエル・ナシミオ(撮)マルセロ・ガラン、ファン・パブロ・ラミレス
(編)ペドロ・G・ガルシア(音)エステバン・アルドルテ(出)アルフォンソ・キュアロン  
傑作「ROMA/ローマ」の製作ドキュメンタリーを監督自身の解説で見られます。
監督の様々なこだわりと映画のテーマが実に明確に明らかにされます。
これを見たら、もう一度見直さないわけにはゆかないでしょう。
これぞキュアロン作品の真髄です!
監督自身、これが初めて自分が撮りたいテーマを撮りたいように撮れた作品と言ってます。
そんなわがままが実現したのも、ネットフリックスのおかげですね。  
「私というパズル」Pieces of a woman  
(監)コルネル・ムンドルッツォ(ハンガリー)(カナダ映画)
(製)アシュリー・レビンソン、アーロン・ライダー他(製総)ジェイソン・クロース、マーティン・スコセッシ、サム・レヴィンソン他
(脚)カタ・ヴェーベル(撮)ベンジャミン・ローブ(編)ダーヴィド・ヤンチョ(音)ハワード・ショア
(出)ヴァネッサ・カービー、シャイア・ラブーフ、エレン・バースティン、モリー・パーカー、セーラ・スヌーク、ベニー・サフディ 
「ホワイトゴッド」でカンヌ「ある視点賞」を受賞したハンガリー出身監督の世界デビュー作。
オープニングから出産シーンの長回しで観客を釘付けにします。出産シーンがまるでサスペンス映画のようにスリリングに展開。
死産となってしまった子供のためにと助産師を訴える父親と祖母、しかし、母親は悲しみに暮れそれどころではない・・・
夫との関係も崩れ、仕事も祖母との関係も駄目になって行きます。そんな彼女の唯一の救いは赤ん坊の匂いに近いリンゴ。
彼女がリンゴの種を育て、発芽させようとそます。そして、夫が関わる橋の工事も進みます。
どこの家庭でもあり得る出産トラブルをじっくりとリアルに描き出す手腕に感心!
我が家でも一度これに近い出来事があったので、男の側で身につまされました。旦那は本当にしっかりしないと・・・
(思えば自分もおろおろするばかりでしたが・・・)出産経験のある女性なら本当に重い映画でしょう。
でも、それだけ母親にとっての子供は何物にも代えがたいのです。(たぶん夫よりも大切・・・)
ヴェネチア国際映画祭女優賞(ヴァネッサ・カービー)も納得です!母親役エレン・バースティンもさすがの名演技です。
橋が出来るまで、リンゴの種が発芽するまで、そこまでがんばれば・・・とわかってはいるのですが・・・
シャイア・ラブーフの事件がなければ・・・残念です。 
「我らが民の代弁者」The Spokeswoonan  
(監)ルシアナ・カプラン(メキシコ)
(製)カロリーナ・コッペル、モニカ・ロサーノ、エイモン・オファリル 
メキシコの先住民が作った団体「全国先住民議会CNI」から大統領に立候補した女性候補マリア・デ・ジェズス・パトリシオ
正式に候補者となるには、90万の署名を集める必要があるため、全国を巡りキャンペーンを展開。
女性と先住民と自然を守るための闘いの日々を記録したドキュメンタリー映画 
「ワンダーウーマン 1984」Wonder Woman 1984  
(監)(製)(原)(脚)パティ・ジェンキンス(アメリカ)
(製)チャールズ・ローヴェン、ガル・ガドット他(製総)リチャード・サックル他(原)(脚)ジェフ・ジョンズ(脚)デイブ・キャラハム
(撮)マシュー・ジェンセン(PD)アリーヌ・ボネット(編)リチャード・ピアソン(衣)リンディ・ヘミング(音)ハンス・ジマー
(出)ガル・ガドット、クリス・パイン、ペドロ・パスカル、ロビン・ライト 
敵役があまりにおバカで、まさかのコメディ?!途中からシリアスになりますが、最後まで突っ込みどころだらけ。
これは残念ながら失敗ですね。もしかして「1984年」というおバカな時代のせいなのでしょうか?
最後の最後のオマケシーンのアリスタ役はリンダ・カーターですよね。(元祖テレビシリーズ「ワンダーウーマン」)  
2021年
愛すべき夫妻の秘密Being The Ricardos  
(監)(脚)アーロン・ソーキン(アメリカ)
(撮)ジェフ・クローネンウェス(編)アラン・ボームガーテン(音)ダニエル・ペンバートン
(出)ニコール・キッドマン、ハビエル・バルデム、J・K・シモンズ、ニナ・アリアンダ、アリア・ショウカット、トニー・ヘイル、クラーク・グレッグ 
<あらすじ>
全米ナンバー1の人気テレビ番組「ルーシー・ショー」の主役夫妻ルシル・ボールとデジ・アーナス。
二人の間には夫の不倫疑惑が持ち上がり、彼女が共産党のシンパとして疑われる疑惑が持ち上がっていました。
このままでは番組が打ち切りになるかもしれない。そんな危機に追い込まれた1週間を描いた伝記映画。
二人はそこをどう乗り切ったのか?  
シカゴ7裁判」のアーロン・ソーキンが、再び同じ赤狩り時代の知られざる事件を描きました。
離婚危機にあった二人。お腹に赤ちゃんがいた妻と共産党嫌いのキューバ系アメリカ人の微妙な関係。
全米のアイドルであっても共産党シンパならば一気に業界から追い出される時代が背景。
二人の成功までの道のりも回想されます。
「ルーシー・ショー」を知らないと面白くないかもしれないし、時代背景など微妙な部分も多くちょっと難しい。
時代を見事に描き出した興味深い作品ではあります。 
ニコール・キッドマンがゴールデン・グローブ主演女優賞 
「アーミー・オブ・ザ・デッド」Army of the Dead(N) 
(監)(製)(原)(脚)(撮)ザック・スナイダー(アメリカ)
(製)デボラ・スナイダー、ウェズリー・コラー(脚)シェイハッテン、ジョビ―・ハロルド(編)ドディ・ドーン(音)ジャンキーXL
(出)デイヴ・バウティスタ、エラ・パーネル、アナ・デ・ラ・レゲラ、ギャレット・ディラハント、ノラ・アルデゼネール、テオ・ロッシ
真田広之、マティアス・シュバイク・ホファー 
<あらすじ>
ゾンビによって占領されたラスベガスの街をアメリカ政府は、核攻撃によって破壊しようと攻撃準備を開始。
ラスベガスの地下金庫に眠る巨額の金を回収するチームが時間制限のある中で街に侵入します。
しかし、街には今までとは異なる進化したゾンビが現れ、軍隊を持つに至っていました。
チームは、お金を回収し、脱出を図ろうとしますが、実はチームの目的は別の所に・・・  
ゾンビ版の「ジュラシック・-パーク」を見るような、新鮮味やワクワク感がありました。さすがはザック・スナイダー。
ただし、おバカな娘の登場で何人もの人が死ぬ展開には少々興ざめ。
正義のつもりが多くの犠牲者を出すことになる、彼女の存在は内戦下の国に侵攻したアメリカ軍の存在を思わせる事に気づきました。
良かれと思って参戦しても、結果はより多くの犠牲者を出し、そこで嫌われることになる・・・。アメリカは何度でも繰り返します。
知名度が低い俳優ばかりですが、個性的でいい味の役者ばかりでした。コヨーテ役はフランスの俳優さんで良い感じでした。
ラストは、そこまで重くしなくても良かったのでは?続編を意識した?
お話はシンプルでわかりやすく展開もスピーディーで迫力満点!見ごたえあります。
<使用曲>
「Suspicious Minds」エルヴィス・プレスリー、「The End」The Rareonetts(ドアーズのカバー)、「Night Life」エルヴィス・プレスリー
「Do You Really Want To Hurt Me」カルチャー・クラブ、「Zombie(Acoustic)」ザ・クランベリーズ 
「アーミー・オブ・シーヴズ」Army of Thieves(N) 
(監)マティアス・シュバイクホファー(ドイツ/アメリカ)
(製)ザック・シュナイダー、デボラ・シュナイダー(脚)シェイ・ハッタン(撮)ベルンハルト・ヤスパー(編)アレクサンダー・バーナー
(音)ハンス・ジマー、スティーブ・マッツァーロ
(出)マティアス・シュバイクホファー、ナタリー・エマニュエル、ルビー・O・フィー、スチュアート・マーテイン、グズ・カーン
ジョナタン・コエン、中井ノエミ 
「アーミー・オブ・ザ・デッド」の前日譚と言っても、ゾンビは一切登場しない!
金庫破り担当がラスベガスの金庫「神々の黄昏」に挑戦することになる前のお話。
金庫破りのヨーロッパでの連続強盗作戦を展開するグループと彼らを追うインターポールの刑事たちの勝負。  
「UNTOLD 勝利の拳とその代償」 ドキュメンタリー(N) 
(監)ローラ・ブラウンソン(アメリカ)
(出)クリス・マーティン 
ボクシングの殿堂入りをした初の女子ボクサー、クリス・マーティンの栄光と悲劇と再生の記録。
まだ知名度が低かった女子ボクシング。突如現れた新星ボクサーが、そのパンチ力を武器に連勝を続け、ドン・キングの傘下入り。
マイク・タイソンの世界戦の前座に大抜擢されます。そこで素晴らしい熱戦を展開し、一躍女子ボクシングのスターとなります。
しかし、モハメド・アリの娘に破れた彼女は、連勝記録も途切れ、精神的にボロボロとなり、薬物依存状態になります。
そんな彼女の夫となったトレーナーは、彼女を支配し、試合を続けさせます。
逃げ場を失ったクリスは、高校時代の恋人だった女性に連絡を取り、彼女の元へ向かいます。
そのことを知った夫は、彼女が同性愛者であることを暴露。そして彼女を監禁そして悲劇が起きます。 
前半は、女子ボクシングの枠を超えたスポーツものドキュメンタリーとして楽しめます。
後半は、同性愛者であることを隠した苦悩と夫からの支配と虐待に怯える女性の自由への戦いが描かれます。
映画よりも、ドラマチックな展開に驚かされ、ラストのハッピーエンドにすっきりともしました。
これぞアメリカン・ドキュメンタリー! 
「ウエスト・サイド・ストーリー」 West Side Sory
(監)(製)スティーブン・スピルバーグ(アメリカ)
(製)クリスティ・M・クリーガー他(製総)リタ・モレノ、ダニエル・ルピ他(製総)(脚)トニー・クシュナー(撮)ヤヌス・カミンスキー
(PD)アダム・ストックハウゼン(衣)ポール・タゼウェル(編)セーラ・ブロシャー、マイケル・カーン(振)ジャスティン・ペック
(出)アンセル・レルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デヴォーズ、マイク・フェイスト、デヴィッド・アルヴァレス、リタ・モレノ 
なぜ、リメイクを同じ時代、同じ舞台を背景に撮ったのか?
よりリアルに撮り直す必要があると考える人もいたから。そこが重要なポイントでしょう。
製作総指揮でもあるリタ・モレノは、シャーク団のメンバーがプエルトリコ系ではなかったと証言。
顔の色の黒く塗るのもおかしく、歌詞にもプエルトリコへの偏見があったなど問題点がありました。
トニーがオリジナルで働いていた店の店主をその未亡人に代えることでリタ・モレノの出演を実現。
彼女はオリジナルへの出演までプエルトリコ人の役ではなくアジア人、黒人など異なる人種ばかり演じさせられ精神的に追い詰められていたそう。
その意味で、彼女が唯一そうしたストレスを感じながら出演していたプエルトリコ人として次なる世代への橋渡しとなりました。
彼女が出演することで出演者全員に高いモチベーションが生み出されることにもなりましたし、オリジナルへのリスペクトも表現できました。
撮影時点ではスティーブン・ソンドハイムが生きていたことも撮影のモチベーションになったでしょう。 
この作品は、リタ・モレノに代表されるプエルトリコへのオマージュであり、ソンドハイムへの追悼の作品になりました。
「ヴェノム : レット・ゼア・ビー・カーネイジ」 VENOM : Let There Be Carnage
(監)アンディ・サーキス(アメリカ/イギリス)
(製)(原案)トム・ハーディ(製)アディ・アラッド他(原案)(脚)ケリー・マーセル(撮)ロバート・リチャードソン
(編)メリアン・ブランドン、スタン・サルファス(音)マルコ・ベルトラミ
(出)トム・ハーディ、ウディ・ハレルソン、ミシェル・フィリップス、ナオミ・ハリス、リード・スコット、スティーブン・グレアム
連続殺人犯クレタス・キャサディを取材することになったエディは、体内同居人ベノムの血を吸われます。
死刑になるはずのキャサディは、赤いヴェノムに変身し、幼馴染の恋人で超能力者のシュリークを助け出し結婚式に望みます。
そこで式の同伴者にエディ、ベノム、そしてシュリークを撃った刑事を招く計画を立てます。
そのためにエディの元カノ、アンを誘拐し、刑事も誘拐。ベノムと仲たがいしていたエディも協力することになります。
「ヴェノム」の続編。ヴェノムのデザインがやはり圧倒的。グロと笑いのバランスが見ごたえありの1時間半。
善悪がはっきりで見やすい作りですが、もう少し二人の敵役に同情させる部分があってよかった気がします。
監督アンディ・サーキスは、アベンジャーズの敵ユリシーズ・クロウ、 「指輪物語」のゴラム、「猿の惑星」のシーザーなどの俳優。
「ウォーデン 消えた死刑囚」The Warden 
(監)(脚)ニマ・ジャヴィディ(イラン)
(撮)フーマン・ベーマネシュ(音)ラミン・コーシャ
(出)ナヴィド・モハマドサデー、パリナズ・イザディアール、セタレ・ペシャニ 
<あらすじ>
刑務所長ヤヘド少佐は、昇進を告げられ喜んでいました。しかし、刑務所の移転準備の途中、死刑囚がいなくなります。
消えた死刑囚は、刑務所から出ていないはずと考えた所長は、建物内の捜索を始めますが、誰も発見できません。
いったい彼は何処に消えたのか?  
これぞ掘り出し物です!
主人公でもある死刑囚を最後まで出さない手法。伏線が次々に張られ、怪しい証言者も続々登場しスキなしの展開でたまりません!
「ショーシャンクの空に」のイラン版のような展開の見事なストーリー!脱獄映画の傑作がまた登場しました。
所長目線のドラマから、社会福祉士の女性目線への転換。ラストには死刑囚目線からに転換します!お見事!
この監督、今後も期待大です。  
「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」Woman In The Window  
(監)ジョー・ライト(イギリス)
(製)イーライ・ブッシュ、スコット・ルーディン他(原)A・J・フィン(脚)トレイシー・レッツ(撮)ブリュノ・デルボネル
(編)ヴァレリノ・ボネッリ(音)ダニー・エルフマン
(出)エイミー・アダムス、ゲイリー・オールドマン、ジュリアン・ムーア、ジェニファー・ジェイソン・リー、アンソニー・マッキー 
ヒッチコックの名作「裏窓」の主人公を広場恐怖症の女性に代えた小説の映画化。
主人公があまりにダメダメなのがどうも好きじゃない。どうしても犯人の方に感情移入したくなるのです。
ヒッチコック作品は、それで観客を引き込むのですが、昔からモヤモヤするんです。この作品はまさにその典型的なタイプ。
ジョー・ライトだから、長回しの面白いカットなどあるかと思いきや、特に目新しさがなかったのが残念です。 
エターナルズETERNALS  
(監)(脚)クロエ・ジャオ(中国系アメリカ)
(製)ケヴィン・ファイギ、ネイト・ムーア(製総)ルイス・デスポジート他(原案)ライアン・フィルポ、マシュー・K・フィルポ
(脚)パリトリック・バーリー(撮)ベン・デイヴィス(PD)イヴ・スチュワート(視効)ステファン・セレッティ
(編)クレイグ・ウッド、ディラン・ティチェナー(衣)サミー・シェルドン・ディファー(音)ラミン・ジャバディ(音監)デイヴ・ジョーダン
(出)ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、アンジェリーナ・ジョリー、マ・ドンソク、クメイル・ナンジアニ、リア・マクヒュー
ブライアン・タイリー・ヘンリー、ローレン・リドロフ、バリー・キオガン、デイン・キットマン、ハーリシュ・パテル、サルマ・ハエック 
<あらすじ>
人類の進化を守るためにセレスティアルズにより、7000年前に地球に送り込まれた「エターナルズ」
彼らは永遠の命を保ちつつ、現在までディビアンツの攻撃から人類を守り続けてきた。
しかし、彼らが送り込まれた最大の理由である大きな事件が起きようとしていました。
その事態に立ち向かうため、彼らは再結集することになりますが、リーダーだったエイジャックが殺されてしまいます。 
宇宙を想像した神のごとき存在「セレスティアルズ」が地球でしようとしていたのは、 何だったのか?
その事実を知った時、エターナルズが選んだ道は? 
「炎上する大地」 BURNIG (ドキュメンタリー)(A)
(監)(製)エバ・オーナー(オーストラリア)
(製)ジェイソン・バーン、ジョナサン・シャーフ(製総)ベン・シルバーマン、ハワード・T・オーウェンズ(撮)グレッグ・ハリントン
(編)フォレスト・ボリー、デイヴ・シェルマン他(音)コーネル・ウィルチェック、パスカル・バベル、トーマス・ラウチ
2019年にオーストラリアを襲った「黒い夏」と呼ばれる大森林火災の緊迫の映像。
てっきり僕は元々乾燥しているオーストラリアの草原で火事が起きたのかと思っていましたが違いました!
何百年と存在し続けてきた熱帯雨林が温暖化によって、少しづつ乾燥し、ついに燃え始めたのでした!
これは重要な勘違いでした。オーストラリアは地球全体の平均気温よりも早いテンポで気温が上昇しているとのこと。
ある意味、オーストラリアは未来の地球なわけです。J・G・バラードの「燃える世界」が現実に展開しています。。
二酸化炭素の増大による気候変動を認めず、クリーンエネルギーへの転換を進めない保守派政治家の責任追求ドキュメンタリー。
映画「ドント・ルック・アップ」で巨大隕石の衝突を認めようとしない政治家たちを思い出させます。これはまったく似た構図です。
彼らは永遠に温室効果ガスの存在を認めないでしょう。世代が代わるまでは、何もできないが、それで間に合うのか?
確かにこれを見たらモリソン首相を殴りたくなるでしょう。 最近見た映画の中でも断然ナンバー1の悪役です!
「オキシジェン」OXYGEN 
(監)(製)アレクサンドル・アジャ(フランス)
(製)ブラヒムシウア他(脚)クリスティ・ルブラン(撮)マキシム・アレクサンドル(音)ロバン・クーデル
(出)メラニー・ロラン、マチュー・アマルリック、マリック・ジディ 
<あらすじ>
医療用ポッドの中で目覚めた女性。彼女は自分が誰かも思い出せず、なぜそこにいるのかもわからない。
内臓のAIの助けで外部との連絡は可能になったが、自分の居場所もわからず酸素がなくなると告げられます。
やっと夫の住所を知り連絡しますが、夫ではない女性が彼女にそこから出てはいけないと告げます。
そしてそこから出るためになぜ目覚めたのかを調べるよう支持します。
なぜ彼女はそこにいるのか?そこはどこなのか?  
なかなかよくできたSF。低予算の映画と思いきや、そうでもなくなってきます。
小さなポッドから巨大な宇宙へ・・・  
オペレーション・ミンスミート- ナチを欺いた死体-」 Operation Mincemeat
(監)ジョン・マッデン(イギリス)
(製)チャールズ・S・コーエン、イアン・カニング他(製総)サイモン・ギリス、クリスチャン・マクラフリン(原)ベン・マッキンタイアー
(脚)ミシェル・シュフォード(撮)セバスチャン・ブレンコフ(PD)ジョン・ポール・ケリー、リンダ・ウィルソン(編)ヴィクトリア・ボイデル
(音)ジナ・ジェイ
(出)コリン・ファース、マシュー・マクファーデン、ケリー・マクドナルド、ペネロープ・ウィルトン、ジョニー・フリン
<あらすじ>
1947年7月、連合軍のシチリア島上陸作戦開始前、英国はドイツにはギリシャが上陸作戦の目標であると偽情報を計画。
死体に偽情報を持たせ、スペインの海岸に打ち上げさせれば、それをドイツのスパイが入手すると考えます。
こうして「ミンスミート作戦」が始まり、先ずは死体探し、架空の将校の情報捏造が行われます。 
実際にあった「ミンスミート作戦」の全貌が映画化。面白い話なので映画化は当然かもしれません。
「ミンスミート」は、ドライフルーツ、酒、スパイスから作られたパイなどの詰め物のこと。
架空の英国人将校の詳細な人生を作り出す過程が楽しいのですが、実話でなければ「ウソくさっ!」となるところです。
それだけ嘘っぽい実話であるところが、騙しの基本なのかもしれません。
作戦のメンバーの中に後に「007シリーズ」を書くことになるイアン・フレミングがいたというのも実話。
「神々の山嶺」 Le Sommet des Dieux(アニメ)
(監)(脚)パトリック・アンベール(フランス)
(製)(脚)ジャン=シャルル・オストレロ(P)ディディエ・ブリュネール、ダミアン・ブリュネール(製総)ティボー・ルビー
(脚)マガリ・プゾル、パトリック・アンベール(原)夢枕獏(原絵)谷口ジロー(翻訳)光瀬憲子
(声)堀内賢雄、大塚明夫、逢坂良太、今井麻美
<あらすじ>
登山家、羽生丈二がエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む姿を描く。
彼と偶然ネパールで出会った山岳カメラマンの深町が伝説的登山家の羽生を追い、彼の人生も取材します。
かつてエベレストの初登頂に挑み行方不明になったジョージ・マロリーのカメラを羽生が持っていること。
彼が仲間を失い、総てを失う中でもエベレストを目指していると知った彼はエベレストへ向かいます。 
そして彼が挑む危険な挑戦を撮影するためにエベレストを上り始めますが・・・
日本の小説・漫画をフランス人がアニメ化しセザール賞最優秀長編アニメ賞を受賞した傑作
山々の映像が特に素晴らしい!アニメであることを忘れさせる出来栄えです。
日本人の冒険文化もまた世界レベルであることを再確認できました。
声優もまた素晴らしい!
カモン カモン」 C'MON C'MON
(監)(脚)マイク・ミルズ(アメリカ)
(製)チェルシー・バーナード、リラ・ヤコブ他(撮)ロビー・ライアン(PD)ケイティ・バイロン(衣)カティナ・ダナバシス
(編)ジェニファー・ベッキアレッロ(音)アーロン・デスナー、ブライス・デスナー
(出)ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、スクート・マクネイリー、モリー・ウェブスター
ジャブーキー・ヤング=ホワイト 
<あらすじ>
双極性障害で入院することになった夫のために家を空けることになった妹に代わり甥っ子ジェシーを預かったジョニー。
ラジオ番組用の子供たちへのインタビューをするためアメリカを巡っているジョニー。
彼はジェシーをそのたびに同行させることにします。
父親の不在を心配し、母親の不在を寂しがるジェシーはそのイライラをジョニーにぶつけ彼を困らせます。
そんな状況から母親である妹の偉大さに気づいた彼は、夫と別れるよう簡単に告げたことを後悔し始めます。 
さすがホアキン・フェニックス。もちろん子役の少年も凄いけど、妹役のギャビー・ホフマンも含め俳優陣が素晴らしい。
モノクロの画面も美しく世界を優しくピュアに見せてくれます。
映画の中で朗読される文章がまた素晴らしい! 
「義足のボクサー GENSAN PUNCH」 GENSAN PUNCH
(監)(製)ブリランテ・メンドーサ(フィリピン)
(P)山下貴裕、クリス間・マクラン・ファジャード、尚玄(脚)ホリー・アリピオ(撮)ジョシュア・A・レイエス
(編)イサベラ・デノガ、アーマンド・ビング・ラオ、ピーター・アリアン・ヴィト(音)ディワ・デ・レオン(美)ダンテ・メンドーサ
(出)尚玄、ロニー・ラザロ、ビューティー・ゴンザレス、南果歩、ジェフリー・ロウ、木佐貫まや、ジュン・ナイラ、金子拓平
<あらすじ>
子供時代に右足の膝から下を失った津山はボクシングを始め、プロを目指していました。
しかし、どんなに実力があっても日本では義足の選手は危険であることを理由にプロのライセンスは発行されません。
そこで彼は義足でもライセンス取得が可能なフィリピンに渡り、ジェンサンにあるジムに所属しプロを目指します。 
実在の沖縄出身の日本人ボクサー津山尚生がモデルの実録映画。
まるで本物のボクサーに密着取材しているようなリアリズム映像。
プールの中で行うシャドーボクシングでの義足が美しかった。(これはCGなんでしょうか?)
トレーナーのロニー・ラザロがいい味を出しています。 
ボクシングだけでなく「マグロの街」ジェンサンの紹介映画でもあり、福岡、沖縄、ジェンサンの交流映画でもあります。
そのことがエンドタイトルの映像でよくわかりました。
スポーツ映画でもあり、地域交流の映画でもあるこれまでとは異なるメンドーサ監督の優しさが見える作品です。
どうしようもない不条理との闘いを描いてきたメンドーサ監督ですが、少し未来への希望を見せてくれた作品となりました。
「キングスマン:ファースト・エージェント」The Kings Man  
(監)(脚)(製)(原案)マシュー・ヴォーン(アメリカ)
(脚)カール・ガイダシェク(撮)ベン・デイヴィス(PD)ダーレン・ギルフォード(衣)ミシェル・クラプトン
(出)レイフ・ファインズ、ハリス・ディキンソン、ジェイモン・フンスー、ジェマ・アタートン、リス・エヴァンス、トム・ホランダー(3役)
チャールズ・ダンス、マシュー・グード、バレリー・パフナー、アーロン・テイラー=ジョンソン、スタンリー・トゥッチ 
<あらすじ>
ボーア戦争で母親を失ったコンラッドは父に守られて育ちますが、世界は未曽有の危機に襲われようとしていました。
セルビアのフェルディナンド侯爵暗殺事件により、第一次世界大戦が始まると彼は戦場に向かいます。
しかし、謎の人物に操られたラスプーチンがロシア皇帝を操っていることがわかり、彼は父と共に暗殺に向かいます。
アメリカではマタ・ハリが大統領に接近し、アメリカの参戦を止める作戦を展開していました。 
英国の秘密スパイ組織「キングスマン」誕生秘話を歴史的な大事件と共に描きます。
フェルディナンド暗殺、ラスプーチン暗殺、ロシア革命、ボーア戦争などが歴史教科書のように再現されます。
そうした史実を上手く組み合わせることで、実に面白い映画になりました! 
「クライ・マッチョ」 CRY MACHO
(監)(製)クリント・イーストウッド(アメリカ)
(製)アルバート・S・ラディ、ティム・ムーア他(製総)デヴィッド・M・バーンスタイン(原)(脚)N・リチャード・ラッシュ(脚)ニック・シェンク 
(撮)ベン・デイヴィス(PD)ロン・リース(衣)デボラ・ホッパー(編)ジョエル&デヴィッド・コックス(音)マーク・マンシーナ
(出)クリント・イーストウッド、エドゥアルド・ミネット、ナタリア・トラヴェン、ドワイト・ヨーキム、フェルナンダ・ウレホラ
音楽が良いです。
「Find A New Home」(曲)マーク・マンシーナ(演)ウィル・バニスター
「Como Tu」(曲)クリスチャン・A・バレンシア、ウィリアム・ノルベルト・エドワーズ(演)C・A・バレンシア
「Sabor A Mi」(曲)アルヴァロ・カミーロ(演)エディ・ゴルメ&ロス・パンチョス 
メキシコに住む息子を連れてきてほしいという恩人からの依頼を受け、メキシコに向かった元カウボーイの老人。
「運び屋」「ガルシアの首」を思わせるロード・ムービー。
盛り上がりも、感動も今一つだったかな。 
「刑事グロムVS粛清の疫病ドクター」(N) 
(監)オレグ・トロフィム(ロシア)
(製)(原)(脚)アルテョム・ガブレリャノフ(原)エフゲニー・フェドトフ
(製)ミハイル・キタエフ他(脚)ロマン・コトコフ、エフゲニー・エロニン他(撮)マクシーム・ジューコフ(音)ロマン・セテヴェルストフ
(出)ティーホン・ジズネーフスキ、リュボーフィ・アクショノヴァ、セルゲイ・ゴロシュコ、アレクセイ・マクラコフ 
明らかに「バットマン」「トゥーフェイス」そして「ジョーカー」を一本にした感じで、よくまとまっています。
ただし、バットマンの街がゴッサムシティなのに対し、サンクトペテルブルグが舞台でロシアの現状が70年代アメリカのよう!
違和感なく今のロシアだというのが皮肉です。 
「ゴジラVSコング」GODZILLA VS KONG 
(監)アダム・ウィンガード(アメリカ)
(製)メアリー・ペアレント他(製総)ジェイ・アシェンフェルター、坂野義光他(原)テリー・ロッシオ、マイケル・ドハティ、ザック・シールズ
(脚)エリック・ピアソン、マックス・ボレンスタイン(撮)ベン・セレシン(PD)オーウゥン・パターソン(視効監)ジョン・デジャルダン
(編)ジュシュ・シェファー(音)トム・ホルケンボルフ
(出)アレキサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、レベッカ・ホール、ブライアン・T・ヘンリー、小栗旬 
ゴジラ対キングコングかと思ったら、最終的にはゴジラ&コング対メカゴジラでした。
ゴジラシリーズの究極王座統一戦が実現。これ以上やりようがない戦いが完結!文句なしに楽しい。
いろいろな登場人物がいるけれど、小栗旬も含めて、ほとんど必要ないキャラクター!怪獣だけで十分です。
あとは地下世界がすばらしい!そこをもっと描けば、それだけで一本映画ができたはずで、もったいなかった。
謎の生物、謎の風景だけでワクワクしてしまいました。
レベッカ・ホールは、「PASSING 白い黒人」の監督! 
「コーダ あいのうた」 CODA
(監)(脚)シアン・ヘダー(アメリカ)
(製)フィリップ・ルスレ、ファビリス・ジャンフェルミ他
(オリ脚)ヴィクトリア・ベドス、スタニスラス・キャリ・ドゥ・マルベリ、エリック・ラルティゴ、トマ・ビデガン
(撮)パウラ・ウイドブロ(PD)ダイアン・リーダーマン(編)ジェロード・ブリッソン(音)マリウス・デ・ブリーズ(音P)ニック・バクスター
(出)エミリア・ジョーンズ、エウヘニオ・デルベス、トロイ・コッツァー、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ダニエル・デュラント、マーリー・マトリン 
アカデミー作品・助演男優・脚色賞
両親と兄が聾者の家族に生まれたルビーは健常者で高校で合唱部に入り、教師から音楽大を目指すよう勧められます。
しかし、家族は代々漁師で健常者の彼女がいなければ船を出すことも許されなくなります。
大学を諦めて、家族と一緒に働くと決断した彼女でしたが・・・
フランス映画「エール!」のアメリカ版リメイク。
想像を越える展開はなく、新しさはない作品なので正直「ドライブ・マイ・カー」の方が好きです。
しかし、音楽映画であることを生かし、楽曲と歌声の魅力により成功作になっています。ラスト近くの手話を使った歌のシーンもです。
ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」が歌詞と共に素晴らしい役目を果たしています。
 サ
「再生の地」 LAND
(監)ロビン・ライト(アメリカ)
(脚)ジェシー・チャザム、エリン・ディグナム(撮)ボビー・ブコウスキー(編)アン・マッケイブ、ミッケル・E・G・ニルソン
(出)ロビン・ライト、デミアン・ビチル、キム・ディケンズ、ブラッド・リーランド、ウォーレン・クリスティー
<あらすじ>
夫と息子を無差別殺人事件で失ったエディは、何もかもを棄て、山の中で暮らし始めます。
しかし、何もない山の中での暮らしは厳しく、食料も尽きた彼女は餓死寸前の状態になります。
そんな彼女を偶然見つけた男女が見つけ、彼女を助けます。
しかし、彼女はこの山からは降りないと言い、二人を追い返そうとします。 
「ノマドランド」と「イントゥ・ザ・ワイルド」を思わせる作品。
美しい自然を背景に心が癒されて行く過程を描いています。
自然に癒される感覚を体験しないと共感できないかもしれませんが・・・僕は好きです。
「ルール・ザ・ワールド」が鍵となる曲として使用されます。 
「ザ・ビートルズ: GET BACK」THE BEATLES : GET BACK  
(監)(製)ピーター・ジャクソン(ニュージーランド/イギリス)
(製)ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、オリビア・ハリソン、ヨーコ・オノ・レノン
(編)ジャベス・オルセン(音監)ジレス・マーティン
(出)ジョン・レノン、ポール・マッカトニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スター、ビリー・プレストン、ジョージ・マーティン 
1969年ビートルズ最後のライブとなったアップル屋上での伝説的演奏とそこに至るまでの2週間を記録した奇跡のドキュメント。
ビートルズが解散する直前の混沌とした中で、彼らは何を考え、何を争い、何を歌ったのか?
20世紀の音楽史に燦然と輝く歴史的な8時間を目撃することができる夢のような映像作品です! 
「最後の決闘裁判」The Last Duel 
(監)(製)リドリー・スコット(イギリス)
(製)ケヴィン・J・ウォルシュ他(製総)ケヴィン・ハロラン他(原)エリック・ジェイガー「決闘裁判」(脚)ニコール・ホロフセナー
(脚)(製)(出)ベン・アフレック、マット・デイモン(撮)ダリウス・ウォルスキー(PD)アーサー・マックス(衣)ジャンティ・イエーツ
(編)クレア・シンプソン(音)ハリー・グレッグソン=ウィリアムス
(出)アダム・ドライバー、ジョディ・カマー、マイケル・マケルハットン、アレックス・ロウザー、マートン・ソーカス 
14世紀フランスで富と名誉を争う関係のライバルに妻を強姦された騎士が決闘を挑んだ顛末。
黒澤明の「羅生門」を基にした物語ですが、物語に意外性がなくダメ男同士の決闘ということで感情移入が今一つ。
リアリズム、時代の再現、決闘や戦闘の迫力はさすがリドリー・スコットです!
それにしても、リドリー・スコットはデビュー作からずっと男の決闘を描き続けるのが好きな監督なんですね。
でもそのマッチョな感覚が古く感じられてしまうのかもしれません。  
サマー・オブ・ソウル(あるいは革命がテレビ放映されなかった時)
Summer of Soul(...or ,When The Revolution Could Not Be Televised) 
(監)アミール”クエストラブ”トンプソン(アメリカ)
(製)ジョセフ・パテル、ロバート・フィヴォレント、デヴィッド・ダイナースタイン(撮)ショーン・ピーターズ(編)ジョシュア・L・ピアソン
(出)スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ニーナ・シモン、スティーヴィー・ワンダー、ザ・フィフス・ディメンション、デヴィッド・ラフィン
B・B・キング、ヒュー・マセケラ、レイ・バレット、モンゴ・サンタマリア、ステイプル・シンガーズ、マヘリア・ジャクソン・・・ 
1969年の夏、ニューヨーク市ハーレムで6週間にわたり開催された音楽フェスの記録映像
50年間行方不明になっていたフィルムが発見され、ついのその幻の映画が初公開!
町中の公園に30万人が訪れた黒人だけのイベントは時代の変化を映し出すイベントだった。 
「三姉妹」 Tree Sisters 
(監)(脚)イ・スンウォン(韓国)
(製)キム・サンス、ムン・ソリ(音)パク・キホン
(出)ムン・ソリ(次女ミヨン)、キム・ソニョン(長女ヒスク)、チャン・ユンジュ(三女ミオク)、チョ・ハンチョル、ヒョン・ボンシク
<あらすじ>
夫の浮気に気づいた次女ミヨンは教会で讃美歌の指導もする成功者に見えます。
癌に冒され、娘にウザがられる長女ヒスクは花屋の商売もうまく行かず、元夫の借金にも苦しんでいます。
三女は劇作家ですがほとんどアルコール中毒で情緒不安定。義理の息子ともうまく行きません。
そんな三人が父親の誕生日のお祝いに久々に集合しますが・・・そこで事件が起きます。
韓国版「海街ダイアリー」というより「阿修羅のごとく」でしょうか。韓国らしく喧嘩も迫力満点。
とにかく救いのない展開で進みますが、ラストにはちゃんと救いが用意されるので安心してご覧ください。
長女のウザさは素晴らしい!三女のキレ具合も半端ない!長女が「浮気野郎」と夫の耳元で囁くシーンは最強に怖い!
それぞれの子供時代を演じた子役たちも見事な演技です。
そんな素晴らしい演技を引き出し、素晴らしい脚本を書いた監督の次回作に期待大です。 
「ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーズ・カット」(前編・後編)
ZACK SNYDER'S JUSTICE LEAGUE 
(監)(原案)ザック・スナイダー(アメリカ)
(製)チャールズ・ローヴェン他(製総)クリストファー・ノーラン、ベン・アフレック他(原案)(脚)クリス・テリオ(脚)ジェス・ウェドン
(撮)ファビアン・ワグナー(PD)パトリック・タトポロス(衣)マイケル・ウィルキンソン
(編)デヴィッド・ブレナー、リチャード・ピアソン、マーティン・ウォルシュ(音)ダニー・エルフマン
(出)ベン・アフレック、ガル・ガドット、ジェイソン・モモア、エズラ・ミラー、レイ・フィッシャー、ヘンリー・カヴィル、ジェレミー・アイアンズ
エイミー・アダムズ、J・K・シモンズ、ジョー・モートン、ウィリアム・デフォー、ダイアン・レイン、ジョー・シューリス、アンバー・ハード
コニー・ニールセン、ロビン・ライト、ジェシー・アイゼンバーグ、ジャック・ヤン、マイケル・マケルハットン、ビリー・クラダップ、ジョー・マンガニエロ
ジェス・ウェドンが完成させた2017年の120分版に大幅に映像を加えたザック・スナイダーによる241分版。
そもそもこうしたかった前編・後編からなる4時間の大作がDVDでやっと見られました。
それぞれのヒーローたちの物語がそれぞれ映画1本分収められているので、物語の説得力と感動は2倍増し。
それぞれのキャラクターがカッコいい!ガル・ガドットの美しさと男前さのカッコよさは人間離れしています。 
「シャンチー」SHANG-CHI and The Legend of the Ten Rings  
(監)(脚)デスティン・ダニエル・クレットン(アメリカ)
(製)ケヴィン・ファイギ、ジョナサン・シュワルツ(脚)デイヴ・キャラハム、アンドリュー・ラナム(撮)ビル・ポープ
(PD)スー・チャン(衣)キム・バレット(編)ナット・サンダーズ、エリザベス・ロナルズドッティル、ハリー・ユーン
(音)ジョエル・P・ウエスト(出)シム・リウ、オークワフィナ、メンガー・チャン、ファラ・チェン、トニー・レオン、ミシェル・ヨー
ベネディクト・ウォン、ベン・キングスレー、マーク・ラファロ、ブリー・ラーソン 
ダンスのように美しいカンフーシーンと「グリーン・デスティニー」を思わせる竹林。
もっとカンフー・ファイトが見たかった気がします。ラストは怪獣映画になっちゃったし、・・・
トニー・レオン、ミシェル・ヨーは年取ったなあ。でもまだまだ元気そうで良かった。
ベン・キングスラーの使い方がもったいない!
マーベルの新キャラクター作品は、十分の楽しめます。  
「ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド」 Shopliters of the World
(監)スティーブン・カヤック(イギリス/アメリカ)
(製)ローラ・リスター、ニック・マンガニエロ他(原案)(製)ロリアン・ホール(撮)アンドリュー・ホイーラー(PD)ジェシカ・ファルカス
(衣)ジーナ・ルイス(編)ファビアンヌ・ブヴィール、ヤニーブ・ダバフ(音)ラエル・ジョーンズ(音監)リズ・ギャラチャー
(出)ヘレナ・ハワード、エラー・コルトレーン、エレナ・カンプーリス、ニック・クラウス、ジェームズ・ブルーア、ジョー・マンガニエロ 
<あらすじ>
1987年アメリカ、デンバーに住む4人の男女とラジオ局を占拠して、解散発表をしたザ・スミスの曲を一晩中かけさせる男の物語。
4人は将来のこと、性のこと、そして大好きなザ・スミスの解散という現実に悩み一晩を過ごします。 
ザ・スミスの曲の歌詞に合わせて作られたドラマの構成が見事。
ラジオ局のヘビメタDJとの対話も楽しいし、挿入されるモリッシーのインタビューも効果的です。
そして何よりザ・スミスの音楽が素晴らしいのでそれだけで十分に楽しめる作品です。
いかにザ・スミスというバンドが愛されたのか、強烈な影響を残したのかがわかる作品とも言えます。
「ザ・スーサイド・スクワッド”極悪”党、集結」The Suicide Squad 
(監)(脚)ジェームズ・ガン(アメリカ)
(製)チャールズ・オーヴェン、ピーター・サフラン(撮)ヘンリー・ブラハム(PD)ベス・ミックル(衣)ジュディアナ・マコフスキー
(編)フレッド・ラスキン、クリスチャン・ワグナー(音)ジョン・マーフィ
(出)イドリス・エルバ、マーゴット・ロビー、ヴィオラ・デイヴィス、ジョン・シナ、ジョエル・キナマン、ピーター・キャパルディ
ダニエラ・メルキオール、アリシー・ブラガ、シルベスター・スタローン(声のみ)、タイカ・ワイティティ、マイケル・ルーカ― 
<あらすじ>
カリブの島国で起きたクーデター。その島で行われていたスターフィッシュ計画の抹消を指示されたブラッド・スポートらのチーム。
異なる能力を持つチームは、上陸の際待ち伏せにあい多くのメンバーが殺されます。
生き残ったメンバーにより作戦は継続されますが、その裏にはアメリカによる軍事開発計画があたことが明らかになります。 
多くのキャラクターが登場し、次々と無駄にくだらなく死んでゆきます。そのくだらなさが楽しい。
音楽、カメラ、キャラクター、会話・・どれもセンスが良く、実に楽しい作品です。 
「スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム」Spider-man : No Way Home 
(監)ジョン・ワッツ(アメリカ)
(製)ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル(製総)アヴィ・アラッド、ルイス・デスポジート、レイチェル・オコナー他
(原)スタン・リー、スティーヴ・ディッコ(脚)クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ(撮)マウロ・フィオーレ
(PD)ダレン・ギルフォード(衣)サーニャ・ヘイズ(編)ジェフ・フォード他(視効)ライナー・メイナーディング(音)マイケル・ジアッキノ
(出)トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファブロー、アンドリュー・ガーフィールド
トビー・マグワイヤ、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、J・K・シモンズ、ウィレム・デフォー
ジェイミー・フォックス、ベネディクト・ウォン 
<あらすじ>
ミステリオとの戦いの後、正体がピーター・パーカーであると暴露されたスパイダーマン。
そのために周囲に迷惑がかかり、目標だったMITにも入学もできなくなったピーターは、ドクター・ストレンジに助けを求めます。
彼がスパイダーマンであるという記憶を消してもらうことになりますが、ピーターの余計な注文から魔法に失敗。
マルチバースの混乱が起き、別ユニバースからドクター・オクトパスやエレクトロなどが復活してしまいます。
なんとかして彼らを捕まえ、元の場所に戻そうとしますが・・・ 
マルチバースが開いたことで物語の重度が一気に増大する中で実に見事に物語を作り上げました!
まさかの1,2,3体制!3人の対談だけでももっと見たかった!
ネッドが魔法を使いだしてことで、物語は「ハリー・ポッター」っぽくなってきました。
ドク・オク、トビー・マグワイアが若いのにもびっくり!
3人のヒーロー役俳優が、真面目で優しすぎるタイプでよく似ているのもいい感じです。
オープニング曲はトーキングヘッズの「I Zimbra」でした!思えば、トーキングヘッズもニューヨークらしいバンドです。 
「スパークス・ブラザース」 The Sparks Brothers
(監)(製)(出)エドガー・ライト(イギリス)
(製)ニラ・パーク、ジョージ・ヘンケン、ローラ・リチャードソン(撮)ジェイク・ポロンスキー(編)ポール・トレウォーサ
(出)ロン・メイル、ラッセル・メイル、ベック、フリー、ジョルジオ・モロダー、トッド・ラングレン、アル・ヤンコビック、マイク・マイヤーズ 
アメリカ、LA出身のロックバンド、スパークスの伝記ドキュメンタリー作品。
高校時代はアメフト、サーフィンに熱中した体育会系。
映画が好きでヌーベルヴァーグ、イングマール・ベルイマンの影響大。
大学時代にハーフネルソンというバンドを結成するも人気が出でず、バンド名をスパークスに変更し1972年再デビュー。
その芸術性はイギリス向きとして、アイランド・レーベルに移籍し英国で活動開始。それでもうまく行かず、二人で再スタート。
「キモノ・マイ・ハウス」で最初のブレイク。見た目と音楽性は「ヒトラーとマーク・ボラン」のようだった。
変化を求める彼らはフランスの巨匠ジャック・タチの作品に参加するが、タチの体調不良により流れる。
アメリカのB級パニック映画「ジェット・ローラー・コースター」に出演。
ドナ・サマーをブレイクさせたプロデユーサー、ジョルジオ・モロダーとアルバムを制作。
「ビート・ザ・クロック」、「No1ソング・イン・ヘブン」がヒット。
1988年から1994年頃まで活動休止に近い状況。
アニメ「サイキック少女舞」のティム・バートンによる映画化の音楽担当となるが、ティム・バートンが降板し流れる。
1994年アルバム「官能の饗宴」で再スタートし再ブレイク。
イギリスで全21枚のアルバムをすべて演奏する連続ライブ開催。
300曲弱を4カ月かけて練習し、一夜1アルバム演奏し1か月かけた!
オリジナルのミュージカルに挑戦。スウェーデンの巨匠ベルイマンがハリウッドに招かれたらどうなったか?というお話。
2015年フランツ・フェルディナンドとの共演アルバム「F・F・S」発表。
レオス・カラックス監督の映画「アネックス」の脚本、出演、音楽担当。
毎日朝は運動し、同じ時間でスタジオ入りし、音楽制作する。真面目で薬物もアルコール依存もなし。
表も裏もない存在でありながら、それでも創造的な音楽・芸術活動はできるということを証明したバンド。
世界的な大ヒットもなく、それでも50年間活動を続け多くのファンに支持される世界一幸福なロックバンドの記録。
「タミ―・フェイの瞳」 The Eyes of Tammy Faye
(監)マイケル・ショウォルター(アメリカ)
(製)ジェシカ・チャスティン、ケリー・カーマイケル他(原)フェントン・ベイリー、ランディ・バルバート(脚)エイブ・シルヴィア
(撮)マイケル・ジオラキス(編)メアリー・ジョー・マーキー、アンドリュー・ワイスブラム(音)セオドア・シャピロ
(出)ジェシカ・チャスティン、アンドリュー・ガーフィールド、ビンセント・ドノフリオ、チェリー・ジョーンズ
アメリカのナンバー1テレビ伝道師夫妻の伝記映画。資金流用事件によって逮捕された夫とその妻タミ―。
黒柳徹子のようなタミ―を演じたジェシカ・チャスティンがアカデミー主演女優賞候補になりました。
厚化粧だけでも十分なのに誰だかわからないメイクで大変身しています。彼女は製作にも関わっています。
「tick,tick...BOOM !チック、チック...ブーン!」  
(監)(製)リン=マヌエル・ミランダ(アメリカ)
(製)ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード他(原)(音)ジョナサン・ラーソン(脚)スティーブン・レヴェンソン(撮)アリス・ブルックス
(出)アンドリュー・ガーフィールド、アレクサンドラ・シップ、ヴァネッサ・ハジェンズ、ロビン・デ・ヘスス、ブラッドリー・ウィットフォード 
<あらすじ>
30歳を前に8年かけて書き上げたミュージカルの視聴会を目前にしたジョンは、最後の曲がかけず悩んでいました。
友人がエイズで入院したり、恋人がダンスの教師として働くためNYを離れると言い出したり、 収入がなかったり・・・
それでも彼は当日までになんとか曲を書き上げ、観衆の前で無事に視聴会を成功させますが・・・ 
大ヒットしたミュージカル「RENT」の公演初日前日に35歳の若さで病によりこの世を去ったジョナサン・ラーソンの伝記映画。
「RENT」の登場人物がどうやって生まれたのかがわかるメイキング・ムービー&ミュージカル作品。
1990年いかにエイズがニューヨークで猛威を振るっていて、大きな影響を与えていたのかがわかります。
アレン・ガーフィールドが熱演!  
「ディア・エヴァン・ハンセン」 Dear Evan Hansen 
(監)スティーブン・チョボスキー(アメリカ)
(製)マーク・プラット、アダム・シーゲル(脚)スティーブン・レヴェンソン(撮)ブランドン・トゥロスト(編)アン・マッケイブ
(音)ダン・ローマー(楽曲)ベンジ・バセック、ジャスティン・ポール
(出)ベン・ブラット、ケイトリン・デヴァー、ジュリアン・ムーア、エイミー・アダムス、アマンドラ・ステンバーグ、ニック・ドダーニ、ダニー・ピノ 
<あらすじ>
自分宛てに書いた手紙を奪われ、取り返そうとするうつ病に悩むエヴァン。ところが手紙を盗った同級生コナーは自殺。
その手紙を読んだ自殺したコナーの両親は、二人が親しかったと勘違い。コナーのことを聞かせてほしいと頼みます。
ことわれなくなったエヴァンは、コナーとの交流をでっち上げて、メールのやり取りまでつくり上げます。
コナーの追悼式での彼の歌(スピーチ)がSNSで拡散されるとコナー・プロジェクトが立ち上げられるブームとなります。
彼はコナー家とすっかり親しくなり、以前から気になっていたコナーの妹から告白されてしまいます。 
ブロード・ウェイで大ヒットしたミュージカルの映画化。「ラ・ラ・ランド」「グレーテスト・ショーマン」のチームによる作品。
重い内容を題材にした学園ミュージカルですが、曲がよく楽しめます。SNSを使った2020年代のミュージカル!
妹役のケイトリン・デヴァーががんばってます。アラナ役のアマンドラ・ステンバーグがいよいよ美人でびっくり。
そう考えると、主役の俳優が魅力不足だったかもしれません。 
「トゥモロー・ウォー」The Tommorow War (Amazon) 
(監)クリス・マッケイ(アメリカ)
(製)デヴィッド・エリソン他(製総)クリス・プラット他(脚)ザック・ディーン、ビル・ドゥビューク(撮)ラリー・フォング
(編)ロジャー・バートン、ギャレット・エルキンス(PD)ピーター・ベナム(音)ローン・バルフェ
(出)クリス・プラット、J・K・シモンズ、イヴォンヌ・ストラホフスキー、ベティ・ギルピン、エドウィン・ホッジ、サム・リチャードソン 
<あらすじ>
未来の2051年から来た兵士が人類がエイリアンの攻撃により絶滅の危機に瀕していると告げます。 
そこで人類はタイムワープにより未来へ兵士を送り込み始めますが、作戦は上手く行かず、多くの死者が出ます。
科学者のダン・フォレスターも徴兵により未来へ向かいますが、そこで自分の娘と再会します。
彼女はエイリアンを倒すための毒薬の開発を行っていて、それがついに完成しようとしていました。
彼はそれを持って過去へと戻り、エイリアンが繁殖する前に殲滅するよう娘に説得されます。 
「エイリアン」「ターミネーター」「遊星からの物体X」「フランケンシュタイン」「クリフハンガー」「ワールド・ウォーZ」など
様々な作品の要素を持ち込んでのSF大作。コロナによりAmazonでの公開になった作品です。
久々の王道人類滅亡危機回避SFですが、なかなかおの完成度!よく出来ています!
ホワイトスパイクと呼ばれるエイリアンの造形もなかなか。 
監督は「レゴ」ムービーなどの監督で実写は初監督。 
「時の面影」The Dig (N) 
(監)サイモン・ストーン(イギリス)
(製)ガブリエル・ターナ、キャロライン・マークス、マーレイ・ファーガソン他
(原)ジョン・プレストン(脚)モイラ・バフィーニ(撮)マイク・イーレイ(編)ジョン・ハリス(音)ステファン・グレゴリー
(出)キャリー・マリガン、レイフ・ファインズ、リリー・ジェームズ、ジョニー・フィン、ベン・チャプリン、ケン・スコット
アーチ―・バーンズ、モニカ・ドラン 
<あらすじ>
1939年第二次世界大戦直前のイングランド、サフォーク州イプスウィッチにあるサットン・フーで村に住む未亡人が遺跡の調査を依頼。
依頼されたのは地元の発掘の専門家でアマチュアながら叩き上げの専門家でした。
彼は、そこには古い墓があるかもしれないと言い、発掘調査を開始。するとそこからバイキング時代以前の船を発見します。
それは埋葬する人物を天国へと送るための船で、一緒に宝物も収められている事が明らかになります。
情報を知った大英博物館は大物の研究者を送り込み、その調査を引き継ぐと宣言します。
未亡人は、それを拒否しようとしますが、彼女は心臓に病を抱える見でした。
発掘調査の行方は?発掘された宝は誰のものになるのか?未亡人の病は?  
6世紀以前のアングロサクソン人の墓を発見・発掘した人々の物語。実際にあった発掘事件の記録が元になっています。
戦争、病、死、墓、宇宙、船・・・様々なイメージが結びつき地味な遺跡発掘のドラマが壮大な宇宙へと展開します。
想像力の翼の魅力を感じさせてくれる素晴らしい作品です。
キャリー・マリガン、リリー・ジェームズと僕が大好きな英国女優が出ているだけでも最高!
舞台は、これまた大好きなBBCのTVドラマ「刑事フォイル」の舞台と近いはず。 
「ドント・ルック・アップ」Don't Look Up  
(監)(製)(原案)(脚)アダム・マッケイ(アメリカ)
(製)ケヴィン・J・メシック(原案)デヴィッド・シロタ(撮)リヌス・サンドグレン(音)ニコラス・ブリテル
(出)レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ロブ・モーガン、ジョナ・ヒル
ティモシー・シャラメ、マーク・ライランス、ロン・パールマン、ヒメーシュ・パテル、アリアナ・グランデ、タイラー・ペリー 
<あらすじ>
天文台で「オールトの雲」周辺の天体観測をしていた大学教授と助手が巨大な彗星が地球に向かって飛んできていることを発見。
その彗星が半年後には地球に激突し、人類が絶滅することを知ります。
そこで彼らはNASAの専門家に連絡し、直接大統領に報告します。
ところが政界のスキャンダル問題で危機的状態の大統領は、それを無視。そこで二人はテレビの情報番組に出演しますが・・・ 
コメディ映画なのに泣けてきたし、考えさせる2021年だからこその作品です。
ハリウッドの映画人が今描きたかった内容が詰め込まれた作品です。
「コロナ禍の分断」「フェイク・ニュース」「見たいことしか見ない症候群」「地球温暖化」・・・ 
バッシュ社CEO役のマーク・ライランスが怪演!ロン・パールマンも久々の適役!メリル・ストリープは貫禄の名演。
ほんのわずかでも地球最後の瞬間を感じることができました。その時、あなたなら何をする?
最後に食べたいものは?最後に会いたい人は?最後にしたいことは?
では今できることは? 
DUNE/デューン 砂の惑星DUNE  
(監)(製)(脚)ドゥニ・ヴィルヌーヴ(アメリカ/カナダ)
(製)メアリー・ペアレント、ケイル・ボイター他(製総)ターニャ・ラポワント、ジョシュア・グロード他(原)フランク・ハーバート
(脚)ジョン・スペイツ、エリック・ロス(撮)グレイグ・フレイザー(視効)ポール・ランバート(PD)パトリス・ヴァーネット
(衣)ジャクリーン・ウエスト(編)ジョー・ウォーカー(音)ハンス・ジマー
(出)ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリン 
「砂の惑星」での冒険を圧倒的な映像・音響・音楽により体験することができます。
1965年に出版されて56年。ついにその映像化に成功したと言えそうです。
映画館で体感することをお勧めします!  
「ナイトメア・アリー」 Nightmale Alley
(監)(製)(脚)ギレルモ・デル・トロ(アメリカ/メキシコ)
(製)J・マイルズ・デイル、ブラッドリー・クーパー(原)ウィリアム・リンゼイ・グレシャム(脚)キム・モーガン(撮)ダン・ローストセン
(PD)タマラ・デヴェレル(PD)ルイス・セケイラ(編)キャム・マクラクリン(音)ネイサン・ジョンソン
(出)ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス
デヴィッド・ストラザーン、ロン・パールマン、メアリー・スティーンバージェン、ホルト・マッキャラニー
<あらすじ>
1939年アメリカのカーニバルに逃げ込んだスタントンは、そこで読唇術を学び、それを使った出し物で人気を獲得。
カーニバルのモリーと独立して、都会で読唇術を使って、詐欺師まがいの行為で大金を稼ぎ始めます。
心理学博士のリリスと共謀し、資産家の間でも有名な交霊術師になって行きますが・・・
前半は、デル・トロ趣味が怪しく楽しいカーニバルの裏側を見せながらの群像劇。 
後半は、詐欺がらみのダークな要素満載のノワール・ドラマ。
強面の俳優陣が見事な配役で登場!ルーニー・マーラとデヴィッド・ストラザーン以外みな怖い!
騙してゆくうちに、自分が騙していることも忘れてのめり込んでしまうというのは、フェイク・ニュースで国民を操る独裁者のことでもあります。
「ニルマル・プルジャ 不可能を可能にした男」 14 Peaks:Nothing Is Impossible(N)(D)
(監)(製)(脚)トークィル・ジョーンズ(アメリカ)
(製)バリー・スミス、ジョン・マッケンナ、ドリュー・マスターズ(製総)ジミー・チン、マーク・ウェバー(脚)ガブリエル・クラーク
(撮)(製)ニルマル・プルジャ(音)ナニータ・デサイー
(出)ニルマル・プルジャ、スキ・プルジャ、ラインホルト・メスナー、ジミー・チン
8000m越えの世界の最高峰14座を7か月ですべて登る試みに挑んが男ニルマル・プルジャとチームの記録。
これまでの最短は7年かけて達成されています。44人しか達成していない。
それを成し遂げたのが欧米人でも日本人でもないネパール人の元グルカ兵で元英国特殊部隊兵士というのも意味が大きい。
「もしこの記録が欧米人によるものなら、この話題は10倍大きなものになっていただろう。しかし、ここから歴史は変わるだろう」
登山の方法は8000mを越えてから酸素ボンベを使用することで、批判もあるらしいのですが。
「そうした批判はあるだろうが批判の言葉より、実行する方が価値がある。私は彼を評価する」
ラインホルト・メスナー
<14座>
(1)エベレスト:8848m(ネパール・中国)(2)K2:8611m(中国・パキスタン)(3)カンチェンジュンガ:8586m(ネパール・インド)
(4)ローツェ:8516m(ネパール・中国)(5)マカルー:8643m(中国・ネパール)(6)チョ・オユー:8188m(中国・ネパール)
(7)ダウラギリ:8167m(ネパール)(8)マナスル:8163年(ネパール)(9)ナンガ・パルバット:8126m(パキスタン)
(10)アンナプルナ:8091m(ネパール)(11)ガッシャ―ブルムⅠ:8080m(中国・パキスタン)
(12)ブロードピーク:8051年(中国・パキスタン)(13)ガッシャ―ブルムⅡ(中国・パキスタン)(14)シシャパンマ:8027年(チベット)
「ハウス・オブ・グッチ」 House of GUCCI
(監)(製)リドリー・スコット(アメリカ/イタリア)
(製)ジャンニア・ファシオ他(脚)ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティヴェーニャ(原)サラ・ゲイ・フォーデン(撮)ダリウス・ウォルスキー
(編)クレア・シンプソン(衣)ジャンティ・イエーツ(音)ハリー・グッドソン=ウィリアムズ(美)アーサー・マックス
(出)アダム・ドライバー、レディー・ガガ、ジェレド・レト、アル・パチーノ、サルマ・ハエック、ジェレミー・アイアンズ、ジャック・ヒューストン
カミーユ・コッタン、カミーユ・コッタン、リーブ・カーニー(トム・フォード)、キャサリン・ウォーカー(アナ・ウィンター)
<あらすじ>
グッチ家唯一の子、マウリツィオは大学で弁護士になるべく勉強中にパトリツィアと知り合い恋に落ちます。
父親に反対され、家を出た彼は彼女と結婚し、父親の兄弟、叔父アルドに呼ばれてNYに行きます。
父親の死により、グッチを継ぐことになった彼は叔父と叔父の息子を排除するようパトリツィアに言われ、行動に移します。
しかし、そんな妻の影響で家族が崩壊して行くことに嫌気がさしたマウリツィオは離婚を決意します。
銃と暴力のない「ゴッドファーザー」なのでファッションに興味がないと面白くないかもしれません。
ファッションは、それぞれの登場人物が個性的でそれだけで見ごたえあります。
しかし、残念ながら登場人物が皆嫌な感じなので感情移入しずらいのです。
それぞれ何のために動き、破滅に向かっているのか?そのモチベーションが富だけ?なのかよくわかりません。
「美への欲望」という父親の言葉も、どうも説得力が感じられません。
その辺の心の奥が見えてこないのが残念でした。グッチ・ファンなら理解できるのか?
結局、アメリカから来たトム・フォードやイラン人投資家など外から来たまともな人だけが残り、グッチ家は誰もいなくなったのです。
PASSING - 白い黒人 -PASSING   
(監)(脚)レベッカ・ホール(イギリス/アメリカ)
(原)ネラ・ラーセン「白い黒人」(撮)エドゥアルド・グラウ(音)デヴォンテ・ハインズ
(出)テッサ・トンプソン、ルース・ネッガ、アンドレ・ホランド、ビル・キャンプ、ベンガ・アキナベ  
<あらすじ>
1920年代のニューヨーク、黒人女性アイリーンは街で偶然友人クレアと再会します。
すると、彼女は白人として生き、白人と偽って白人男性と結婚していました。
その後、家を訪ねたクレアは、アイリーンが主催するパーティーにも参加し始めます。
しかし、白人にしか見えない彼女が現れたことで、彼女の私生活はしだいに影響を受け始めます。  
イギリスの女優レベッカ・ホールの初監督作品ですが、素晴らしい仕上がり!
モノクロ映像の完璧な構図に光と影、ピアノによる繰り返されるメロディ、二人の女性の対比・・・
真実を明らかにしないラストも、「藪の中」のようで新鮮。
これはなかなかの傑作です。  
パワー・オブ・ザ・ドッグThe Power of the Dog  
(監)(脚)(製)ジェーン・カンピオン(ニュージーランド/アメリカ)
(製)エミール・シャーマン、イアン・カニング他(原)トーマス・サヴェージ(撮)アリ・ワグナー(編)ピーター・シベラス
(音)ジョニー・グリーンウッド
(出)ベネディクト・カンバーバッチ、キルステン・ダンスト、コディ・スミット=マクフィー、ジェシー・プレモンス、キース・キャラダイン
フランセス・コンロイ、トーマシン・マッケンジー 
<あらすじ>
1925年モンタナ州でバーバンク兄弟が経営する牧場が舞台。弟ジョージがレストランを経営する未亡人ローズと結婚。
しかし、弟のフィルはローズと息子のピーターをいじめ、ローズはアルコールに手を出し始めます。
ところがピーターはある日男っぽいカウボーイのフィルが裸で泳ぐ姿を目撃。彼には秘密がありました。
その後、フィルはピーターを一人前のカウボーイに育てようとし始め、ピーターも素直になってゆきますが・・・ 
ヴェネチア国際映画祭監督賞(銀獅子賞)
最低の男フィルによりバーバンク家はとんでもない緊張状態になります。
驚くほど美しい景色(実はニュージーランド)の中、最初から最後まで緊張感マックスで展開も読めません。
単なるLGBTQの映画ではなく、家庭内殺人映画というのでもなく、もちろん西部劇でもありません。
定義づけ不能な心理サスペンス&完全犯罪映画&LGBTQ映画
巨匠ジェーン・カンピオンはやはり凄い!  
「Hand Of God 神の手が触れた日」The Hands of God  
(監)(脚)(製)パオロ・ソレンティーノ(イタリア)
(製)ロレンツォ・ミエーリ(製総)リカルド・ネリ、エレナ・レッキア(撮)ダリオ・ダントニオ(編)クリスティアーノ・トラバリョーリ
(音)レーレ・マルキテッリ(出)フィリッポ・スコッティ、トニ・セルヴィッロ、テラーザ・サポナンジェロ、マーロン・ジュベール 
ヴァネチア国際映画祭審査員大賞
ナポリで過ごしたパオロ・ソレンティーノ監督の青春時代を描いた半自伝的作品。
マラドーナがナポリに来て大活躍した時代が背景で主人公は「神の手」によって命を救われることに!?
「フェリーニのアマルコルド」のような涙と懐かしさ。イタリア映画得意の笑いとお色気と少々のサスペンス。
とにかく個性的な登場人物ばかりの実に楽しい青春コメディ。 
「ヒヤシンスの血」 HIYACYNT
(監)ピョートル・ドマレフスキ(ポーランド)
(脚)マルチン・チャストン(撮)ピョートル・ソボチンスキ
(出)トマシュ・ジェンテク、フベルト・ミウコフスキ、マレク・カリタ、アドリアンナ・フレビツカ、トマシュ・シューハルト 
1980年代共産主義政権下ポーランドで行われた同性愛者への迫害作戦「ヒヤシンス作戦」
秘密警察によってリストアップされ、脅迫され、密告させられ、殺害され、社会から抹殺された人々の悲劇
主人公は資産家の同性愛者殺害事件の捜査を行ううちに、その背後に秘密警察がいることに気付きます。
男娼を別荘に集めて行われたパーティーにいた人物を探すために潜入した彼はアレクという同性愛者と親しくなりますが・・・
主人公が情けなさすぎて・・少々イライラ。もう少しちゃんとして欲しかった。
最後はなんとかなったけど、そこから先もどうなったことやら?
重すぎ暗すぎ解決が見えなさすぎ・・・それが事実なんですけど。
そして同じことが今でも世界中の多くの国で行われているのも事実。だからこその映画化。
少なくともこの映画を作った国、公開された国は大丈夫ということなのかな?
「ブルー・バイユー」 Blue Bayou
(監)(製)(脚)ジャスティン・チョン(アメリカ)
(製)チャールズ・D・キング他(撮)マシュー・チャン、アンテ・チェン(PD)ボー・クーン・シン(編)レオノルズ・バーニー(音)ロジャー・スエン
(出)ジャスティン・チョン、アリシア・ヴィカンダー、マーク・オブライエン、リン・ダン・ファン、エモリー・コーエン、シドニー・コワルスキ 
<あらすじ>
韓国から国際養子縁組でアメリカに渡り、虐待を受けて一人で育ったアントニオ。
ニューオーリンズでタトゥー師として暮らし、子供もいますが、生活は苦しい状態です。
妻には別れた夫がいて、 子供と会いたがっていて、その同僚がアントニオをいじめ国外への追放を仕組みます。
養子縁組でアメリカに住んでいても市民権獲得の手続きをしていない移民は、トランプ政権下の法改正で追放が可能になります。
彼はまさにそのターゲットにぴったりでした。そこから逃れるため、弁護士を雇いますが・・・それには費用が必要でした。
タイトル曲「ブルー・バイユー」(作曲・作詞)ジョー・メルソン、ロイ・オービソン
トランプ政権下のアメリカの悲劇を描いた悲しい作品。
韓国系アメリカ人ジャスティン・チョンの今後にも期待。
アリシア・ヴィカンダーも素敵でした。「ブルー・バイユー」の歌唱も最高でした。(「エクス・マキナ」のロボット役!)
末期ガンの女性を演じたベトナム人女優リン・ダン・ファンも魅力的でした。 
「フレンチ・ディスパッチ  ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊」
The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun 
(監)(製)(脚)(原案)ウェス・アンダーソン(アメリカ)
(製)スティーヴン・レイルズ、ジェレミー・ドーソン(原案)ロマン・コッポラ、ヒューゴ・ギネス、ジェーソン・シュワルツマン
(撮)ロバート・イェーマン(PD)アダム・ストックハウゼン(衣)ミレーナ・カノネロ(編)アンドリュー・ワイスブラム(音)アレクサンドラ・デスプラ
(出)(ナレーション)アンジェリカ・ヒューストン
「確固たる名作」
ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントン、レア・セドゥ、ボブ・バラバン
「宣言書の改訂」
ティモシー・シャラメ、フランシス・マクドーマンド、リナ・クードリ、セシル・ドゥ・フランス
「警察署長の食事室」
ジェフリー・ライト、リーヴ・シュライバー、クリストフ・ヴァルツ、マシュー・アマルリック、ステフェン・パーク
エドワード・ノートン、シアーシャ・ローナン、ウィレム・デフォー
<編集部>
ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、エリザベス・モス
「ザ・ニューヨーカー」がモデルでその記者や執筆者に捧げられています。
ハロルド・ロス(創設者・編集長)、ウィリアム・ショウン(編集長)メーヴィス・ガラント、リリアン・ロス、ジョセフ・ミッチェル、E・B・ホワイト・・・
絵画、アニメ、建築、衣装、グルメ・・・豪華すぎる動く雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の最終号 
画面構成、登場人物、俳優、衣装、部屋の配置、カメラの移動など
画面ごとの情報量が多すぎて見る方も大変です。(作る方も大変でしょうが・・・)
「ベルファスト」 BELFAST
(監)(製)(脚)ケネス・ブラナー(イギリス/アイルランド)
(製)ローラ・バーウィック、テイラー・ト-マス(撮)ハリス・ザンバーラウコス(PD)ジム・クレイ(編)ウナ・ニ・ドンガイル
(衣)シャーロット・ウォルター(音)ヴァン・モリソン
(出)ジュード・ヒル、カトリーナ・ベルフ、ジェイミー・ドーナン、ジュディ・デンチ、キアラン・ハインズ、コリン・モーガン
<あらすじ>
1969年北アイルランドのベルファストに住むプロテスタント系の家族の物語。
その地域にはカトリック系も多く住んでいて、彼らをプロテスタント系住民が追い出そうとしていました。
主人公一家(少年期のケネス・ブラナー)は、暴力行為が日常を覆いつつある街で暮らしていました。
しかし、父親はロンドンに出稼ぎに出ていて、たまにしか戻りません。そして母親との関係も上手くいっていないようでした。
1960年12月10日生まれのケネス・ブラナーは僕と同じ年齢。それもあって、出てくるテレビや映画がまさに同世代の共通項。
アルフォンソ・キュアロンの「ROMA/ローマ」、パオロ・ソレンティーノの「ハンド・オブ・ゴッド」などと並ぶ名作の誕生です。
ジム・クレイによって、再現されたベルファストの街並みも実によくできています。
そして、ヴァン・モリソンの音楽がまた素晴らしい!彼はアイルランドの外で、1969年すでに活躍していました。 
「僕を育ててくれたテンダー・バー」THE TENDER BAR  
(監)(製)ジョージ・クルーニー(アメリカ)
(製)グラント・ヘスロヴ、テッド・ホープ(製総)バーバラ・A・ホール(原)(製総)J・R・モーリンガー(脚)ウィリアム・モナハン
(撮)マーティン・ルーエ(音)ダラ・テイラー
(出)ベン・アフレック、タイ・シェリダン、リリー・レーブ、クリストファー・ロイド、ダニエル・ラニエリ 
<あらすじ>
ロングアイランドでバーを経営する叔父さんと同居することになった母一人子一人の少年。
彼の父親はDJだったがアルコール依存症だったことから、実家に帰ってきていた。
貧しい家で叔父さんも大学を諦めていたが、自分で勉強しバーには本がぎっしり置いてあった。
彼はその叔父さんから様々なことを学びながら成長し、作家を目指してイエール大学に奨学金付きで合格します。  
選曲が実によい!ご機嫌な音楽!ラストの「Do It Again」、中盤のジャクソン・ブラウン、「彼女と別れる50の方法」など!
さすがの演出!シンプルながら実に素敵な作品です。
「グッドウィル・ハンティング」の続編のような作品。ベン・アフレックはまたしても送り出す側を演じています! 
ジョージ・クルーニーはハズレがない! 
「ザ・ホワイトタイガー」The White Tiger   
(監)(脚)(製)ラミン・バーラニ(インド)
(製)プリヤンカー・チョープラー、ムクル・デオラ(製総)アダシュ・グーラブ他
(原)アラヴィンド・アディガ(撮)パオロ・カルネラ(音)ダニー・ベンシ、サウデル・ジュリアンズ(編)ティム・ストリート、ラミン・バーラニ
(出)アダシュ・グーラブ 、プリヤンカ・チョープラー、ラージクマール・ラーオ  
<あらすじ>
カーストの最下層から資産家の運転手になった青年。召使根性が抜けないまま、交通事故の責任を負わされます。
罪には問われないものの、自分の立場を理解した青年は主人を騙し始めます。
そして、主人が政治家への巨額献金を行うことを知り、その金を強奪しようと考えます。   
インドのカースト制と政治の腐敗の中、下層民が成功を収めるには犯罪か政治家に取り入るしかない。
その2択を両方実行したホワイトタイガーの人生をテンポよく描きます。
主人公が最後までまったく反省していないのは逆に清々しい!   
「日々は、うたかたに」Kagittan Hayatlar 
(監)カン・ウルカイ
(脚)エルジャン・メフメット・エルデム
(出)チャガイ・ウルソイ、アミール・アリ・ドールウ、エルシン・アリジ、トュルガイ・タニュルキュ 
<あらすじ>
イスタンブールの街で廃品回収をしながら暮らすメーメットは腎臓病を患いこのまままでは命は短いことがわかっていました。
ある日彼は回収した廃品の中から少年を見つけます。DVの父親から守るため母親が彼は隠したようでした。
彼は少年を助け、自分で育てようとします。友人のゴンジはそんな彼を助ける良き相棒です。  
<あらすじ>
イスタンブールの街で廃品回収をしながら暮らすメーメットは腎臓病を患いこのまままでは命は短いことがわかっていました。
ある日彼は回収した廃品の中から少年を見つけます。DVの父親から守るため母親が彼は隠したようでした。
彼は少年を助け、自分で育てようとします。友人のゴンジはそんな彼を助ける良き相棒です。  
「シックス・センス」のような展開は予想できましたが、悲しすぎる展開です。
一見近代化したように見えるイスタンブールの街も一歩はずれると貧困層が多く、彼らには未来がまったく見えない。
美しいイスタンブールの夜景など、街並みが懐かしい! 
「ブラック・ウィドウ」Black Widow  
(監)ケイト・ショートランド(オーストラリア)
(製)ケヴィン・ファイギ(脚)エリック・ピアソン(撮)ガブリエル・ベリスタイン(PD)チャールズ・ウッド(衣)ジャニー・ティマイム
(編)レイ・フォルソム=ボイド、マシュー・シュミット(特監)ジェフ・バウマン(音)ローン・バルフェ
(出)スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、デヴィッド・ハーバー、O・T・ファグベルン、レイチェル・ワイズ
オルガ・キュリレンコ、ウィリアム・ハート、レイ・ウィンストン 
<あらすじ>
「シビル・ウォー」でアベンジャーズが分裂し犯罪者として追われることになったブラック・ウィドウ。
彼女に少女時代に別れたままの妹から謎の薬品が送られてきます。それはレッド・ルームが生み出した人間を捜査を解く薬物。
それを狙って謎の改造人間が表れます。姉妹はその薬物でレッド・ルームに操られている仲間を救おうと動き出します。  
ドン・マクリーン「アメリカン・パイ」(1971年)が重要な役割。
ロックンロールの人気スター、バディ・ホリー、リッチー・バレンスの墜落事故を歌った8分36秒の大ヒット曲
アメリカン・ヒーローの死を歌った曲とされています。
オープニングには、ニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーンズ・スピリット」のカバー。
親子4人の何とも言えない会話が楽しい!アクションは空中での戦いが凄い!
美しき女性殺人軍団の方がなんとも魅力的!彼女たちはたとえマインドコントロールが解けてもまたスリルを求めて戻る気がします。 
「ブラッド・レッド・スカイ」Blood Red Sky  
(監)(脚)ペーター・トゥアバルト(ドイツ)
(製)クリスチャン・ベッカー、ベンジャミン・ムンツ(脚)シュテファン・ホルツ(撮)ヨシ・ハイルマート
(出)ペリ・バウマイスター、アレクサンダー・シェーア、カイス・セッティ、カール・コッホ、ゴードン・ブラウン、ローランド・ムーラー 
<あらすじ>
病気の治療のためNYへ向かう母親と息子。ところが、その飛行機がハイジャックされ、母親は息子を守ろうとして射殺されます。
ところが、母親は蘇ります。彼女は病ではなく、バンパイアだったのです。
彼女はハイジャック犯たちに立ち向かいますが、多勢に無勢で次々にトラブルが発生します。  
母親がバンパイヤという設定以外に馬鹿げた展開はなく、ちゃんと辻褄が合い、主人公も犯人もちゃんと動くのでシラケません。
実によく出来たストーリー展開です。うまくいきかけると、必ず破綻が起きてしまい、悲劇的なラストへと向かいます。
これはなかなかの掘り出し物!バンパイヤ映画に外れなし!またも面白い作品ができました! 
「ブラッド・ブラザーズ:マルコムXモハメド・アリBlood Brothers :MalcolmX & Muhmmad Ali ドキュメンタリー(N) 
(監)マーカス・クラーク(アメリカ)
(原)ランディ・ロバーツ、ジェニー・スミス(製)アンドリュー・マイアット(P)ジェイソン・ペリッツ、ケニア・バリス(編)ジャコブ・フィッシャー
(出)マルコムX、モハメド・アリ他 
マルコムXとカシアス・クレイとの出会い。
それぞれの生い立ちを駆け足で描き、「マイアミ」での二人の共闘から別れ、マルコムの死までの記録。
マルコムが教祖イライジャの批判を行ったために、アリもまたマルコムを批判し、ついにはその暗殺に。
その死によって、アリはマルコムについに謝罪することができなかった。
そのことを生涯悔いていたことを彼の家族が証言します。  
「ブルーズド~打ちのめされても~」
(監)(製)ハル・ベリー(アメリカ)
(製)ベイジル・イバニク、ブラッド・ファインスタイン他(脚)ミシェル・ローゼンファーブ(撮)フランコ・G・デマルコ、ジョシュア・ライス
(美)エリザベス・ジョーンズ(編)ジェイコブ・クレイクロフト、テリリン・A・シュロプシャー(音)アスカ・マツミヤ
(出)ハル・ベリー、エイダン・カント、アドリアーニ・レノックス、シーラ・アティム、ヴァレンティ―ナ・シェフチェンコ、
リーラ・ローレン、スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン 
<あらすじ>
4年前に11試合目でタイトルに挑戦。リングから逃げ出して敗れたジャッキー。アルコールにおぼれ職もない彼女のもとに息子が。
別れた夫が亡くなり、彼女のもとにやってきましたのでした。そんな彼女に復帰のチャンスが巡ってきます。
息子のためにも立ち直るためにももう一度リングに上がり、勝利をおせめようと彼女は練習を始めます。 
ハル・ベリー初監督作品ですが、上出来だと思います。
ボクシングではなく総合格闘技ということでかなりの訓練を要したはずだし、肉体の鍛錬も凄い!
女性トレーナー、ブッダガンがカッコいい!ただし、LGBTまで盛り込む必要はなかった。ちょっと盛り込みすぎの内容。 
デビュー作ということで張り切り過ぎたかも?彼女の肉体のようにもっと絞ってよかったのかもしれません。
でも僕は好きな作品です! 
「ペレ・レジェンド 栄光のサッカー人生」PELE ドキュメンタリー(N) 
(監)ベン・ニコラス、デヴィッド・トライホーン(ブラジル)
(製総)ケヴィン・マクドナルド
(出)ペレ、マリオ・ザガロ、ジルベルト・ジル、リベリーノ、ジュカ・クフォーリ  
1958年ワールドカップ・スウェーデン大会に17歳でデヴューし、いきなりチームの柱となって優勝。
1962年チリ大会では怪我で決勝は欠場するも、ガリンシャ、ザガロらの活躍で優勝。 
1966年イングランド大会は相手チームの徹底的にマークされたことで、ブラジルは予選敗退。
1970年メキシコ大会では29歳最後の大会として出場し、他の選手を活かしながら、見事に3度目の優勝。
この間のブラジルの社会状況と独裁政権とペレの関係にも注目したドキュメンタリー映画
17歳でスーパースターになりながら自分を見失わなかったペレは本当に真面目な人間でした。
その反面、独裁者に逆らうという発想は難しかった。当時、そのことへの批判もあったようですが、それも吹っ飛ばしたのが最後の優勝! 
「マトリックス レザレクションズ」 THE MATRIX RESURRECTIONS 
(監)(製)(C創)(脚)ラナ・ウォシャウスキー(アメリカ)
(製)ジェームズ・マクティーグ、グラント・ヒル(C創)リリー・ウォシャウスキー(脚)デヴィッド・ミッチェル、アレクサンダル・ヘモン
(撮)ダニエレ・マッサチェージ、ジョン・トール(視効)ダン・グラス(PD)ヒュー・ベイトアップ、ピーター・ウォーポル(衣)リンジ―・ピュー
(編)ジョセフ・ジェット・サリー(音)ジョニー・クリメック、トム・ティクヴァ
(出)キアヌ・リーヴス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ(スミス)
ニール・パトリック・ハリス(アナリスト)、プリヤンカー・チョープラ・ジョナス、ランベール・ウィルソン(メロビンジアン)
ジェイダ・ピンケット=スミス(ナイオビ)
<あらすじ>
トーマス(ネオ)はAIによって作られた世界に閉じ込められ、ゲーム・クリエイターとして働いていてトリニティーはティファニーとして結婚し子育て中。
しかし、ある日モーフィアスが彼の目の前に現れ、この世界が現実ではないことを再び知らされます。
そして、彼はトリニティーを救い出し、再び世界を作り変える作業に挑戦することになりますが・・・ 
「マトリックス」シリーズに続く新作ですが、ラナ・ウォシャウスキー単独作。片割れが反対した時点で少々残念なスタートでした。
新たな現実世界ではメカが生物として生きていて、人類の協力者となります。
「マトリックス」がゲームの世界の出来事になっているという設定はまあそれほど新規性はないし、アクションも新鮮味は薄い。
それぞれクオリティは高く、過去の作の登場人物が出て、なるほどと思わせたり、メロビンジアンのように笑わせてくれます。
シリーズを覚えていれば十分に楽しめる作品。スミスの変化と活躍はちょっと予測できました。 
ジェファーソン・エアプレインの「ホワイト・ラビット」がかかるシーンあたりまでは謎めいていて面白い。
いっそのこと「マトリックス」の原点となるあの装置の誕生秘話の方が面白いかも!(そこはちょっと明かされますが・・・)
「マルコム&マリー」Malcolm & Marie  
(監)(製)(脚)サム・レヴィンソン(アメリカ)バリー・レヴィンソンの息子!
(製)ゼンデイヤ、ジョン・デヴィッド・ワシントン、アシュレイ・レヴィンソン他(撮)マーセル・レヴ(編)ジュリオ・C・ペレス
(PD)ミカエル・グレイスリー(音)ラブリンス
(出)ゼンデイヤ、ジョン・デヴィッド・ワシントン 
<あらすじ>
初監督作品のプレミア上映で成功を収めた黒人監督マルコムは、ガールフレンドのマリーとマリブの豪邸に帰宅。
しかし、マリーは上映挨拶に自分の名前が忘れられていたことに腹を立てていました。ケンカを始める二人。
薬物依存だった彼女がモデルになっていたのに、自分のおかげでできた作品のに・・・と怒るマリーに逆切れしたマルコムも反撃。  
新型コロナ禍の真っ最中に撮影された二人だけの芝居はセリフも多く、感情の爆発の連続という芝居合戦。
映画論、夫婦論、男性・女性論、人種差別問題など様々な問題が語られますが、音楽が良いこともあり、飽きさせません。
撮影も工夫しているし、怒涛の台詞も圧巻。ゼンデイヤはもちろんながら、ジョン・デヴィッド・ワシントンもベテラン俳優の貫禄!
少々大人向け、映画ファン向けですが充分に楽しめる作品です! 
「ミーシャと狼」MISHA AND THE WOLVES ドキュメンタリー(N) 
(監)(脚)サム・ホブキンソン(アメリカ)
(製)ユルゲン・ブエッツ他(撮)ウィル・プー(編)ピーター・ノーリー(音)ニック・フォスター
(出)ミーシャ・デフォンセカ他 
フランス映画「ミーシャ/ホロコーストと白い狼」(2007年)の原作となったベストセラーノンフィクションは実は嘘だった!
彼女の両親は、ホロコーストによって殺され、彼女はその両親を探して森に入り、そこで狼たちと生活を
著者は、ホロコーストを生き延びたユダヤ人ではなく、ベルギーの軍人の娘でカトリック教徒だった。
その事実を見つけ出したのは、彼女の本を出版しながら、彼女と印税支払い問題などで訴訟となったジェーンとその依頼者たち。
なぜ、彼女は壮大なホラ話を作り上げたのか?それは、その話を真実としたかった人々の思惑のせいでした。
そして、彼女の父親がナチスに仲間を売った裏切者だったという事実を消したかった記憶の改変だったのか?
それにしても、彼女と狼の関係も嘘だった?彼女が狼と親しい関係を作れたのはなぜだった?
様々な疑問が残り、まだ続編が作れそうな感じです。どこまでが妄想で、どこまでが事実なのか?
映画よりも面白いドキュメンタリー映画です! 
「ミッチェル家とマシンの反乱」The Mitchell vs, The Machines (アニメ)(N) 
(監)(脚)(声)マイク・リアンダ(アメリカ)
(製)フィル・ロード、クリストファー・ミラー、カート・アルブレヒト(脚)ジェフ・ロウ(編)グレッグ・レビタン(音)マーク・マザースバーグ
(声)アビ・ジェイコブソン、ダニー・マクブライド、マーヤ・ルドルフ、オリヴィア・コールマン 
<あらすじ>
新たに開発されたスマホをロボット化したPal Maxが、旧型Palに乗っ取られて暴走し、人類を宇宙に飛ばそうとします。
なぜか逃れることに成功したミッチェル家は壊れた2体のロボと共に反撃を試みます。  
「スパイダーマン/スパイダー・バース」のチームによる作品だけあり、さすがに見ごたえ十分です。
本当は劇場公開予定がコロナの影響でネットフリックスで公開。 
「ミュンヘン 戦火燃ゆる前に」 Munich : The Edge of War (N)
(監)クリスティン・シュボホー(ドイツ)
(製)アンドリュー・イートン(製総)ダニエル・ヘッツァー(製総)(原)ロバート・ハリス(脚)ベン・パワー(撮)フランク・ラム
(美)ティム・パネン(衣)フラウケ・フィルル(音)イソベル・ウォーラ―=ブリッジ
(出)ジョージ・マッケイ、ヤニス・ニーブナー、ジェレミー・アイアンズ、ロバート・バサースト、アウグスト・ディール、サンドラ・フラー
ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、アレックス・ジェニングス、ウルリッヒ・マテス、リブ・リサ・フリース、アビゲイル・グラッテンデン
<あらすじ>
1938年9月29日から30日、ドイツのチェコ国内ズデーテン地方への侵攻を容認することが英、仏、独、伊の会談により決定されました。
ドイツのヒトラーは、今後は侵略を行わないと約束して、手打ちとなったわけですが、歴史はそれが大ウソだったことを示しています。
この時、ドイツの反ナチ思想をもつ外交官がヒトラーがすでにヨーロッパ征服を計画していることを知り、その証拠となる議事録を入手。
かつてオクスフォード大学で友人だった英国の外交官に渡し、英国のチェンバレン首相に調印を止めるよう進言しますが・・・ 
英国のチェンバレンはその後、弱腰でチェコを見捨てた卑怯者と言われ、変わって反ナチのチャーチルが英国のトップになります。
二人の外交官の話は、創作でしょうが、大枠の歴史的展開は史実にのとっています。
実に緊張感のあるポリティカル・スパイ・サスペンス映画で、第二次世界大戦開戦前夜の緊張感が良く描かれています。
このミュンヘンの会談は、今ウクライナで起きているロシアの侵略戦争にもダブって見えます。
今、ここでウクライナを見捨てれば、あのチェコのズデーテン地方を見捨てたかつての英仏と同じ過ちを起こしたことになるのではないか?
この思いは歴史を学んでいる世界各国の指導者たちにも影響を与えているはずです。
だからこそ、歴史を学ぶことに意味があるのです。
「ミランダと魔法だらけの家」 ENCANTO(アニメ)
(監)バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ(アメリカ/コロンビア) 
(脚)シャリース・カストロ・スミス、ジャレド・ブッシュ(歌)リン=マルエル・ミランダ(音)ジャーメイン・フランコ(編)ジェレミー・ミルトン
(声)斎藤瑠希、中井和哉、中尾ミエ、平野綾、ゆめっち、関智一、藤田朋子(歌)ナオト・イン・ティライミ
<あらすじ>
コロンビアの田舎にある魔法の村。その村を作ったマドリガル家にはそれぞれが魔法の力を持っています。
しかし、ミランダだけはその力を受け継いでいませんでした。そんなある日、村に危機が訪れます。
魔法の力が弱まりつつあったのです。なぜ、そうなってしまったのか?どうすれば魔法は戻るのか? 
「イン・ザ・ハイツ」などのミュージカル作者リン=マルエル・ミランダがミュージカル部分を担当。
コロンビアならではのアフリカっぽいリズミカルなサルサが楽しい曲が印象的です。
テンポも良いコロンビアを舞台にした家族愛の物語。
「モキシー~私たちのムーブメント~」 Moxie (N)
(監)(製)(出:母親役)エイミー・ポーラー(アメリカ)
(製)モーガン・サケット、ディラン・メイヤー(原)ジェニファー・マチュー(脚)タマラ・チェスナ、ディラン・メイヤー
(撮)トム・マギル(編)ジュリー・モンロー(音)マック・マコーン
(出)ハドリー・ロビンソン、ローレン・サイ、ニコ・ヒラガ、パトリック・シュワルツネガー、アリシア・パスクワル=ペーニャ
マーシャ・ゲイ・ハーデン、クラーク・グレッグ、サブリナ・ハスケット、リンダ・リンダズ 
<あらすじ>
地味な高校生ヴィヴィアンは校内にできている男子中心の階層構造にウンザリしていました。
そんなクラスのきた転校生のルーシーはアメフト部の人気者ミッチェルにいじめられてもはねつける姿勢に感動。
さらに母親もかつて校内の不条理に反抗する学生だったことを知り、匿名の冊子「モキシー(勇気)」を発行します。
その影響で女子学生が集まり新しいグループが誕生します。
高校生たちによるフェミニズム活動を描いた熱い作品。
それぞれのキャラも立っていて、みな生き生きしています。監督は主人公のお母さん役で出演する女優さん。
アジア系の女子ロックバンド、リンダリンダズもカッコいい! 
ネギを持ったコールソン(クラーク・グレッグ)も登場します。
最低の男子ミッチェルを演じるのは、アーノルド・シュワルツネガーの息子(大叔父はジョン・F・ケネディで義理の兄はクリス・プラット)
「モンタナの目撃者」Those Who Wish Me Dead  
(監)(脚)(製)テイラー・シェリダン(アメリカ)
(製)スティーブン・ザイリアン他(原)(脚)マイクル・コリータ(脚)チャールズ・リーヴィット(撮)ベン・リチャードソン
(PD)ニール・スピサック(衣)カリ・パーキンス(編)チャド・ガルスター(音)ブライアン・タイラー
(出)アンジェリーナ・ジョリー、ニコラス・ホルト、フィン・リトル、エイダン・ギレン、ジョン・バーンサル、ジェイク・ウェバー 
<あらすじ>
政界の汚職を暴こうとしたため狙われた計理士が子供と逃避行中、殺し屋に襲われます。
生き残った少年は偶然出会った消防隊の女性と共に殺し屋に追われますが・・・  
消防士、保安官、サバイバル教室の先生、殺し屋と少年による逃走&バトルが展開するシェリダン・ワールドが展開します!
それぞれが一流のプロフェッショナルなのがこの監督の作風。それぞれミスなく戦うので気持ちいい!
ただし、今回は妊婦さんと子供という絶対に死なないキャラクターがいたため、スリリングさは少々薄まったかも?
それにしてもアンジェリーナ・ジョリーはボロボロの戦いで顔までボロボロ。役者魂を感じました。
ニコラス・ホルトがちょっと迫力不足なのは顔のせいか?
メイキングによると、本物の森に火をつけるわけにはいかないため、人工の森を作って火をつけたとのことです。 
ザ・ユネイテッド・ステイツVSビリー・ホリデイ The United States VS. Billie Holiday
(監)(製)リー・ダニエルズ(アメリカ)
(製)ジョーダン・ファッジ、ジョー・ロス他(製総)ヒラリー・ショー、ジェレミー・アレン他(原)ヨハン・ハリ「麻薬と人間 100年の物語」
(脚)スーザン=ロリ・パークス(撮)アンドリュー・ダン(PD)ダニエル・T・ドランス(衣)パオロ・ニイェッドゥ(編)ジェイ・ラビノウィッツ
(音)クリス・パワーズ
(出)アンドラ・デイ、トレヴァンテ・ローズ、ギャレット・ヘドランド、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ローレンス・ワシントン
ロブ・モーガン、ナターシャ・リオン
<あらすじ>
娼婦から歌手として成功し、「奇妙な果実」によりジャズ界の「レディ・デイ」と呼ばれる存在だったビリー・ホリデイ。
彼女の存在と「奇妙な果実」は公民権運動にも大きな影響を与えるとして政府は彼女を止めようと考えます。
連邦麻薬捜査局の長官アンスリンガーは黒人捜査官ジミー・フレッチャーを潜入させ彼女を麻薬不法所持の罪で逮捕。
彼女を1年間の実刑に処しました。
出所後、彼女は麻薬をやめようとしますが、麻薬捜査局は彼女のクラブ出演資格を奪い、再び彼女は麻薬に頼ることになります。
ジミーは彼女に密着しながらも彼女を守ろとしますが、その間も彼女は男たちに利用され続け、身体もボロボロになって行きました。
そして、早すぎる44歳での死を迎えます。 
あまりにも救いのない展開。それを救うのは主演のアンドラ・デイ(彼女の名前はレディ・デイからとられたとのこと!)の歌と演技です。
原作はアメリカ政府が行った麻薬捜査についてのノンフィクション。その中で犠牲になったビリーの実話が元になっています。
それにしてもアンスリンガーが憎たらしい!なんとか一矢報いて欲しかったけど。
それにしても、アンドラ・デイの歌がビリーに似ていること!ビリーの人生を追体験した彼女こそさぞや辛かったでしょう。
ラストナイト・イン・ソーホーLast Night In Soho  
(監)(製)(原案)(脚)エドガー・ライト(イギリス)
(製)ニラ・パーク、ティム・ビーヴァン他(製総)ジェームズ・ビドル他(脚)クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
(撮)チョン・ジョンフン(PD)マーカス・ローランド(衣)オディール・ディックス=ミロー(編)ポール・マクリス(音)スティーブン・プライス
(出)トーマス・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ、マット・スミス、テレンス・スタンプ、マイケル・アジャオ、ダイアナ・リグ 
<あらすじ>
服飾の専門学校に入学するためロンドンに出たエロイーズは、古い下宿の部屋でサンディという女性の夢を見ます。
60年代を生きるサンディは歌手志望で、ある日ジャックという男の紹介でオーディションを受けて合格します。
エロイーズは彼女に憧れて、新しいデザインの着想を得ることができましたが、その夢がある日から悪夢へと変わり始めます。
悪夢の世界からしだいに抜け出せなくなる彼女は、精神的に起こしくなり、ついには事件を起こします。 
タイムリープにより現代と60年代を結びつけてしまった古い下宿に刻まれた呪われた記憶とは?
ヒッチコック&ブライアン・デ・パルマと60年代ロンドンサブカルチャーをタイムリープによって融合させたサイコ・ホラーサスペンス!
音楽が今回も見事!  
「LAMB/ラム」 LAMB
(監)(脚)ヴァルディマル・ヨハンソン(アイスランド)
(製)サラ・ナッシム、ピオドール・グスタフソン他(製総)ノオミ・ラパス、ラル・ベーラ、マルチン・ドラビンスキ他
(脚)ショーン(撮)イーライ・アレンソン(編)アグニェシュカ・グリンスカ(音)ソーラリン・グドナソン
(出)ノオミ・ラパス、ヒルミル・スナイル・グドゥナソン、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
<あらすじ>
アイスランドの人里から離れた農村に生まれた羊の子。それは不思議な赤ちゃんでしたが、夫婦には悲しい過去が。
そのため二人はその赤ちゃんを大切に育て始めます。そんななか夫の弟が突然現れます。
風景が素晴らしい。妖精と暮らす国アイスランドだからこそ、不思議でもありそうな物語。
ちょっと残念なのは、夫婦に同情しきれないところ。因果応報で仕方のないラストでした。
「リコリス・ピザ」 LICORICE PIZZA 
(監)(製)(脚)(撮)ポール・トーマス・アンダーソン(アメリカ)
(製)サラ・マーフィ、アダム・ソムナー(製総)ジョアン・セラー、ダニエル・ルピ他(撮)マイケル・バウマン(PD)フロレンシア・マーティン
(衣)マーク・ブリッジス(編)アンディ・ユルゲンセン(音)ジョニー・グリーンウッド
(出)アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ 
<あらすじ>
15歳の高校生ゲイリーは学校に写真撮影に来ていたバイトの年上の女性アラナに一目ぼれ。
自分の俳優活動に付き添いとして参加してもらい、彼が始めたウォーターベッド販売のビジネス・パートナーとして雇います。
しかし、すぐに可愛いいい子に浮気をするゲイリーにアラナは飽きれてしまい、自分も女優として働き始めます。 
1973年のロサンゼルスを舞台にした実話に基づく作品。
フィリップ・シーモア・ホフマンの息子が憎めない主人公の少年を見事に演じています。(ゲイリー・コーツという実在の映画プロデューサー)
ジャック・ホールデン(ショーン・ペン)はウィリアム・ホールデン。トム・ウェイツの役はサム・ペキンパー。
ブラッドリー・クーパー演じるジョン・ピータースはそのまま「スター誕生」などの実在の製作者。
ファッション、音楽、小道具、登場人物など時代が見事に再現されています。
リコリス・ピザなんて、どこに出てきた?と思っていたら、Licorice Pizza =アナログ盤LPのことなのだそうです。なるほど!
「リスペクト」 Respect 
(監)リーズル・トミー(アメリカ)
(製)スコット・バーンスタイン、ジョナサン・グリックマン、ハーヴィー・メイソンJr、ステイシー・シェア(原案)カーリー・ワーリ
(原案)(脚)トレイシー・スコット・ウィルソン
(撮)クレイマー・モーゲンソン(編)アヴリル・ボークス(PD)アイナ・メイヒュー(美)マーク・ディロン(衣)クリント・ロマス(音)クリス・バワーズ
(出)ジェニファー・ハドソン、スカイ・ダコタ・パーマー(アレサ・フランクリン)、フォレスト・ウィテカー(C・L・フランクリン
タイタス・バージェス(ジェームス・クリーブランド)、マーロン・ウェイランド(テッド・ホワイト)、マーク・マロン(ジェリー・ウェクスラー
オードラ・マクドナルド(バーバラ)、ヘザー・へドリー(クララ・ウォード)、キンバリー・スコット(アレサの祖母)
ヘイリー・キルゴア(キャロリン・フランクリン)、セイゴン・セングロー(エルマ・フランクリン)、リロイ・フランクリン(セシル・フランクリン)
アルバート・ジョーンズ(二人目の夫)、テイト・ドノバン(ジョン・ハモンド)、ミック・ワトフォード(リック・ホール
スカイ・ダコタ・ターナー(アレサの幼少期)、ギルバート・グレン・ブラウン(マーティン・ルーサー・キング牧師)
メアリー・J・ブライジ(ダイナ・ワシントン)、ジョー・ネゼヴィッチ(トム・ダウド)、ジョン・ジョルジオ(チップス・モーマン
デヴィッド・シンプソン(スプーナー・オールダム)、ボー・シェイア(ジョー・アーノルド)、ロドリック・D・コリンズ(スモーキー・ロビンソン
ヴァンス・テイラー(アート・テイタム)、ケルヴィン・ヘアー(サム・クック)、デリック・ジェームス(キング・カーティス
M・ジェール・ヴィノット(シドニー・ポラック)、ジェームズ・ハモンド(アーメット・アーティガン)、セルマ・R・ミッチェル(エラ・フィッツジェラルド) 
「クイーン・オブ・ソウル」アレサ・フランクリンの伝記映画。数あるアーティストの伝記映画の中でも傑作と言える出来栄えです。
初監督とは思えません。
特にスタジオでの名曲誕生シーンは見所!曲(歌詞)が彼女の人生を語るのも魅力。
「リバー・ランナー 奔流をゆく者」The River Runner ドキュメンタリー(N) 
(監)ラッシュ・スタージェス(アメリカ)
(脚)コリーナ・ハロラン、セイヤー・ウォーカー(出)スコット・リンドグレン 
チベットのカイラス山から流れ出す4本の急流を制覇するために20年の人生を捧げたカヤッカーを追ったドキュメンタリー。
川との闘いの前半。病に侵されそのおかげで自分に向き合えるようになった人間性回復の後半。
アウトドア―の記録から、心の中の闘いの記録へと転換することで、この作品は人間ドラマとしての映画になりました。 
前半の川の乱流の凄さは半端ない。それも延々と急流が続く中を下るのだからそりゃ凄いわ!
プールのような場所でカヤックに乗ってターンするだけでも大変なのは経験しています。海も凄いけどその比ではない。 
「レッド・ノーティス」Red Notice(N)  
(監)(脚)ローション・マーシャル・サーバー(アメリカ)
(撮)マルクス・フェーデラー(編)マイケル・L・セール(音)スティーブ・ジャブロンスキー
(出)ドウェイン・ジョンソン、ライアン・レイノルズ、ガル・ガドット、リトゥ・アリヤ、クリス・ディアマントポロス、(エド・シーラン) 
クレオパトラが残した3つの金の卵を巡る世界巡る泥棒対決。どんでん返し連発の痛快アクション・サスペンス・コメディ。
でも結局、最も凄かったのはインターポールのダス捜査官だったことに気づかされました。それも楽しい。
それにしてもガル・ガドットの美しさ凛々しさは圧倒的なのでどんでん返しには納得です。
素晴らしいトリオに自作では最強の敵を用意しないと・・・誰がいいかな? 
エド・シーランにも感謝です! 
ロスト・ドーターThe Lost Daughter  
(監)(脚)マギー・ギレンホール(アメリカ)
(原)エレナ・フェッランテ(撮)エレーヌ・ルヴァール(音)ディコン・ハインクリフェ
(出)オリヴィア・コールマン、ジェシー・バックリー、ダコタ・ジョンソン、エド・ハリス、ピーター・サースガード
オリバー・ジャクソン=コーエン、ポール・メスカル 
<あらすじ>
夏休みに海岸の避暑地に来た大学教授。彼女は海辺で出会った少女とその母親を見るうちに自分の過去を思い出します。
二人の女の子を育てながら、そのストレスに耐えきれず、不倫に走り、ついには家を出た過去。
その心も痛みを思い出しながら、彼女は少女が大切にしていた人形を盗み、家に隠してしまいます。 
ヴェネチア国際映画祭脚本賞
いきなり主人公が海辺で倒れるシーンから始まり、そこに向かいドラマが始まります。
なぜ彼女は海辺で倒れるのか?なぜ彼女は娘を捨てたのか?なぜ彼女は人形を盗んだのか?
物語はどう終わるのか?様々な?が見るものを緊張させ続けます。
アップ気味のカメラは主人公の表情の変化を追い続けます。しかし、主人公にはどうしても感情移入できません。
嫌悪感すら感じながら見る苦痛がまたたまりません。この感情は男には理解できないのかも?そう思うながら見ました。
女性作家の原作を女性監督(俳優)が映画化したからこその新しい視点の映画です。  
わたしの名はパウリ・マレーMy Name Is Pauli Murray(ドキュメンタリー) 
(監)(脚)ジュリー・コーエン、ベッツィー・ウエスト(アメリカ)
(製)タリー・ブリッジス・マクマホン(撮)クラウディア・ラシュク(編)チンクェ・ノーザン
(出)パウリ・マレ―、ルイス・ベーダ―・ギンズバーグ他 
マーシャル判事やルイス・ベーダ―・ギンズバーグの先駆者として人種差別を戦った黒人女性弁護士がいた!
彼女の論文が、ブラウン判決や2020年のLGBTQ裁判での根拠となった!
なぜパウリは時代の先を行く理論を生み出したのか?そこには秘密と努力と才能がありました。
偉大な先駆者の人生に迫ったドキュメンタリー映画  
2022年
「アダム&アダム」 The Adam Project (N)
(監)(製)ショーン・レヴィ(アメリカ)
(製)デヴィッド・エリソン、ダナ・ゴールドバーグ他(脚)ジョナサン・トロッパー、T・S・ノーリン、マーク・レヴィン、ジェニファー・フラケット
(撮)トビアス・シュッリッスラー(美)クロード・パレ(編)ディーン・ジマーマン、ジョナサン・コーン(音)ロブ・シモンセン
(出)(製)ライアン・レイノルズ(出)マーク・ラファロ、ジーン・シモンセン、ゾーイ・サルダナ、キャスリン・キーナー、ウォーカー・スコーベル
<あらすじ>
タイム・トラベルの技術を生み出したことで未来が悲惨な状況になった2050年。そこから消えた妻を追ってきたアダム。
彼は妻が消えた2018年に来るはずが、2022年に不時着し少年時代の自分と出会います。
妻と再会した彼は、少年と共に2018年に向かい、そこで発明者の父と出会い、3人でその技術を消すことにしますが・・・
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「スターウォーズ」「ターミネーター」の要素が詰めこまれた「タイム・トラベルSF」
親子のノスタルジックな再会と別れはかなり感動的で、4人がかりの脚本もよくできています。
「アテナ」 ATHENA(N)
(監)(製)(脚)ロマン・ガヴラス(フランス)
(製)ムーラッド・ベルケダール(製)(脚)ラジ・リ(脚)エリアス・ベルケダール(撮)マティアス・ブカール(編)バンジャマン・ヴェイユ
(音)GIENER8ION
(出)ダリ・ベンサーラ、サミ・スリマン、オウアシニ・エンバレク、アレクシ・マナンティ 
<あらすじ>
フランスのアテナ団地に住む13歳の少年が警官によって殺害され、その動画がSNSで発信。
その兄が中心となり団地に住む若者たちが警察署を襲い、団地に武器を運び込み立てこもります。
団地は戦場と化し、若者たちは侵入してきた警官隊を火炎瓶で撃退し、その一人を人質にします。
弟を殺した警官を連れてこなければ警官を殺すと要求しますが、犯人は警官ではなく極右の過激派らしいことも明らかになります。
フランス国内ではその暴動をきっかけに30か所で暴動が発生し、極右、移民グループ、警官隊との内戦状態となってしまいます。 
オープニングから10分越えのワンカット・シーン。
警察署前の記者会見とそれを襲って始まった警察署の襲撃から武器の強奪と逃走と団地への帰還まで。それでお腹いっぱい!
その後も、ワンカット長回しの連発で1時間半がいっきに過ぎて行きます。
ほぼ時間軸が同時進行なのでワンカットで撮る必然性があります。そこから生まれるスリルとサスペンス、そしてリアリズムが素晴らしい。
なんと監督は「Z」「ミッシング」などで有名なギリシャが生んだ社会派映画の巨匠コスタ・ガブラスの息子!
父のスピード感とリアリズムとエンターテイメントとしての面白さを見事に受け継いでいます。
ベルリン国際映画祭コンペ作品なのも納得。今後の作品も期待大です。 
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」Avatar : The Way Of Water
(監)(製)(脚)(原)(編)ジェームズ・キャメロン(アメリカ)
(製)ジョン・ランドー(製総)デヴィッド・バルデス、リチャード・ベイナム(原)(脚)リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
(原)ジョシュ・フリードマン、シェーン・サレルノ(撮)ラッセル・カーペンター(PD)ディラン・コール、ベン・プロクター
(衣)デボラ・L・スコット(編)スティーブ・リフキン、デヴィッド・ブレナー、ジョン・ルフーア(音)サイモン・フラングレン
(出)サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニ―・ウィーバー、スティーブ・ラング、ケイト・ウィンスレット
<あらすじ>
ナヴィの一員となり家族を持ったジェイク・サリーは、平和に家族と暮らしていました。
しかし、軍人マイルズの記憶を移し替えたアバターのマイルズは地球からの指令を受け、サリーの暗殺に向かいます。
そのことを知ったサリーは家族と共に森の民のもとを去り、海の民のもとで暮らし始めます。
しかし、そこにもマイルズは迫りつつありました。
「エイリアン」のロボット・スーツ。タイタニックの沈没シーンなどのキャメロン作品への再利用。
捕鯨船には「白鯨」に登場する入れ墨を入れた呪術師フェダラア。
ラストには「風の谷のナウシカ」の黄金の草原。 
様々な作品の要素も盛り込んだてんこ盛りの192分は、思った以上にあっという間でした。
3Dは水中生命体を見せる場面で見事に生かされていましたが、戦闘シーンが始まるともうどうでも良くなります。
3Dじゃなくても十分に面白い映画ですが、やはり映画館のスクリーンで見た方がいいに決まっています。
それぞれのキャラクターの表情も実に見事で、もうそろそろ3D映像キャラクターが演技賞にノミネートされていいかも?と思いました。
キャラクターの違いをもう少しわかりやすくした方が、物語がわかりやすくなった気もします。
メカ、動物、衣装など細部が実に見事にデザインされています。
「アビーロード・スタジオの伝説」 Abbey Road Studio(D)
(監)(出)マリー・マッカートニー(イギリス)
(製)ジョン・バトセック、サラ・トムソン、マイルズ・コールマン(編)ポール・カーリン(撮)ベン・マガイー、ティム・クラッグ
(製総)マーク・ロビンソン、アリス・ウェッブ(音)トビー・ピットマン
(出)ポール・マッカートニー、ジョン・ウィリアムス、ナイル・ロジャース、デヴィッド・ギルモア、リアム・ギャラガー、リンゴ・スター
エルトン・ジョン、ケイト・ブッシュ、クリフ・リチャーズ、シラ・ブラック、ノエル・ギャラガー、ロジャー・ウォーターズ、ジミー・ペイジ
ビートルズの伝説を生んだロンドンのレコ―ディング・スタジオの歴史
クラシック音楽のレコード録音のためにグラモフォンが設立。古い家を改造して作った。
その後、ポップミュージックのための録音用に変更し、ロックンロールの黄金期へ。
ビートルズから始まるブリティッシュロックの時代へ。しかし、ロックの時代が終わり、巨額赤字に転落。
映画音楽対応ののオーケストラ用スタジオに改造し、ジョン・ウィリアムズ作品でブレイク!
ブリット・ポップのバンドにも愛され今に至ります。 
「アポロ10号1/2 宇宙時代のアドベンチャー」 Apollo 10 1/2 : A Space Age Childhood(N)(アニメ) 
(監)(製)(脚)リチャード・リンクレイター(アメリカ)
(製)マイク・ブリザード、トミー・パロッタ他(製総)ジョン・スロス(撮)シェーン・ケリー(美)ブルース・カーティス(衣)カリ・パーキンス
(編)サンドラ・エイデアー(音監)ランドール・ポスター(声)マイロ・コイ、リー・エディ、ジャック・ブラック、ビル・ワイズ、グレン・パウエル 
1960年生まれの主人公(リンクレーター自身)がある日アポロ計画に参加することに。
設計ミスでできたアポロ10号に乗って、月に行ってほしいという依頼。
ヒューストンで育った彼とその家族の1969年の体験をアニメによって再現した不思議な映画。
実写で撮影した映像を加工してアニメにした作品のようです。自動車や食べ物はリアルな実写映像!
音楽、映画、テレビ、宇宙計画、子供たちの遊びなど、1960生まれとしてはたまらない懐かしさです!
「アムステルダム」 Amsterdam
(監)(製)(脚)デヴィッド・O・ラッセル(アメリカ)
(製)アーノン・ミルチャン、マシュー・バドマン他(撮)エマニュエル・ルベツキ(PD)ジュディ・ベッカー(編)ジェイ・キャシディ
(音)ダニエル・ペンバートン
(出)クリスチャン・ベイル、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントン、クリス・ロック、アニャ・テイラー=ジョイ
ゾーイ・サルダナ、マイク・マイヤーズ、ロバート・デ・ニーロ、テイラー・スウィフト、ラミ・マレック、アレッサンドロ・ニヴォラ
マイケル・シャノン、ティモシー・オリファント、アンドレア・ライズボロー、マティアス・スナールツ
<あらすじ>
第二次世界大戦を前にしたアメリカ。第一次大戦で負傷して片目を失った医師バートは戦友ハロルドと傷病兵の援助をしていました。
そんな二人に、戦場で世話になった将軍の娘から、不審死を遂げた父親の死因を調べて欲しいと依頼がきます。
バートは黒人の女性医師と将軍を解剖し、何者かに殺害されたことを知ります。
ところが、将軍の死因について知らせようとした二人の目の前で、将軍の娘は何者かに殺害され、二人は罪を擦り付けられます。
真犯人を突き止めて自分たちの無実を明らかにしようと、二人は謎の資産家の家に侵入します。
そこで二人が会ったのは、かつて二人が戦場で命を救われた看護師のヴァレリーでした。
3人は、事件の裏側に巨大な陰謀が隠されていることに気づき、その真相に迫ろうとしますが・・・
豪華な俳優陣を見ているだけでもまず楽しい。テイラー・スウィフトの退場の仕方は衝撃的。 
実際にあった事件というのは驚きですが、この年、ドイツでも政府乗っ取り計画が明らかになる事件がありました。
トランプ信者たちによる議会占拠事件も同じくらいに馬鹿げた事件ですが、実際に起きるのです!
世の中は、何が起こるか本当にわからないものです。
そして、ほとんどの事件はこの映画のように解決されることもなく、歴史の1ページとしてそのまま刻まれてしまうのです。
ロシアによるウクライナ侵攻も、一歩間違えると、そのままロシアによるウクライナの解放の歴史として刻まれていたかもしれません。
「雨あられ」 GRANIZO 
(監)マルコス・カルネヴァーレ(アルゼンチン)
(脚)ニコラス・ヒアコボーネ、フェルナンド・バルマヨール
(出)ギレルモ・フランセーヤ、ペト・メナエム、ロミーナ・フェルナンデス、マルティン・ジーフェルト 
<あらすじ>
アルゼンチン初のお天気バラエティー番組の司会者で気象予報士ミゲールは嵐の到来を予報できずに人気を一気に失い番組を休養させられます。
故郷のコルドバに帰り、娘げ住む実家に隠れますが、娘からも煙たがられます。
ところがある夜、謎の男が翌日朝の雨を時間までピタリとあてたことに驚かされます。ミゲールは男のもとを訪ねます。
「謎の男」が出て急に話が謎めいて面白くなります。不気味なタクシー運転手の存在といい、予想が困難になります。
でもラストはどうなのかな?謎の男が謎でなくなってはまずいのでは?アルゼンチン人のメンタルが理解できないだけか?
パニック映画のようなラストはネットフリックスだけあってお金をかけてます!まあ、とにかく面白かった! 
「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」 Argentina, 1985
(監)(脚)サンティアゴ・ミトレ(アルゼンチン)
(製)アクセル・クシェバツキー、フェデリコ・ポステルナク他(脚)マリアナ・ジナス(撮)ハビエル・フリア(編)アンドレス・P・エストラーダ
(音)ペドロ・オスナ(音監)マイケル・ジアッキノ
(出)リカルド・ダリン、ピーター・ランサーニ、アレハンドロ・フレッチナー
<あらすじ>
1976年にクーデターによって当時の大統領ペロンを追放したビデラ将軍。その政権下で反体制派が軍により暴力による粛清を受けました。
どれだけの人が拉致・監禁・拷問・処刑されたのか。その数字は明らかにならないままでした。
1983年アルゼンチンでは軍事政権が終わりを迎え民政に移行。1985年軍事裁判でその調査が行われますが、違法ではなかったと認定。
そこで正式に裁判所でその犯罪的行為に対する審理が行われることになります。
フリオ・ストラセラ検事、ルイス・モレノ・オカンポ副検事を中心に若者たちで編成されたチームが動き始めます。
度重なる脅迫による妨害や政界などからの圧力に負けずに戦い続けたチームは軍のトップを有罪に追い込めるのか?
歴史的裁判をリアルに再現した重みのある作品ながら難しくなく感動的に仕上がっています。
拉致監禁中に赤ん坊を産み落とした女性の証言は衝撃的です。恐るべき犯罪者たち。
多くの裁判関係者がチームへの参加を拒否する中、経験のない若者たちが無手勝流で参加。このくだりも良い。
特に論告求刑のノーカットの場面は素晴らしい。(実際の論告文どおりなのかな?) 
裁判がそこで終わらず今もなお続いているというラストも納得ですが、それが可能な民政が続いているのは素晴らしいこと。
「アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ」 The Andy Warhol Diaries(N)
1-1「狼煙」1-2「SHADOWS アンディとジェド」1 - 3「2つの顔 アンディとジョン」 1 - 4「共同制作 : アンディとバスキア」
1-5「15分」 1-6「ラヴィング・ジ・エイリアン」
(監)(脚)(製総)アンドリュー・ロッシ(アメリカ)
(製)マーヤ・E・ランドルフ他(製総)アレックス・M・ウーダル他(撮)ウルフガング・ヘルド、メイス・アルベルティ(編)スティーヴン・ロス
(原編)パット・ハケット「アンディ・ウォーホル日記」(音)ブラッド・オベルホッファー(ナレーション・アンディの声)ビル・アーウィン&AI
1989年発表のアンディの日記を基にしたドキュメンタリー・シリーズ 
「狼煙」
アンディの生い立ちからブレイク。ポートレイトでセレブ入り。ファクトリーを設立しアート界だけでなく時代の寵児として活躍。
しかし、活躍の裏側では、自らの容姿への不満、ゲイであることの負い目を背負い続けます。
そんな中、彼はヴァレリー・ソラナスによって狙撃されて死にかけます。
「SHADOWS アンディとジェド」
暗殺されることを恐れるアンディはファクトリーを閉鎖し、AWEを設立し、アート・ビジネスでの活躍を開始。
自らをブランド化しますが、ポートレイトでセレブを描くだけの活動はアート界で批判されます。
そんな中、彼はジェド・ジョンソンと出会い、二人の生活が始まります。
しかし、アンディがスタジオ54で遊び、ドラッグにはまる姿にジェドは幻滅。
彼がゲイ・ヌード写真にのめり込んでいることを知って激怒。そんな中開催された個展「SHADOWS」(1979年)
自殺未遂を繰り返したジェドは、ついにアンディのもとを去ります。
「2つの顔 アンディとジョン」
ジェドと別れてすぐに出会ったジョン・グールド。パラマウント映画の重役で典型的WASPエリートとの関係。
共にゲイであることを認めない微妙な関係だがお互いを支え合う理想の関係となり、同居を開始。
1981年「オルタード・イメージ」展とためにアンディは女装し、もう一つの顔を作品化。
それは1975年「レディース&ジェントルメン」の自分自身による再現となった。
NYのドラッグ・クイーンのポートレイト作品は、当時は理解されなかった。しかし、それはファクトリー時代に回帰した作品だった。
「共同制作:アンディとバスキア」
NYからグラフィティが登場。彼らはポップ・アートに憧れていて、アンディも彼らの作品に憧れていました。
特にキース・へリングやケニー・シャーフは、アンディに影響を与えました。
画商にバスキアに紹介されたアンディは、彼を路上で見て知っていて40ドル貸していた。
そこからアンディとバスキアの共同制作が始まります。
「15分」
テレビ番組「アンディ・ウォーホルの15分」のスタート。
1985年「バスキアVSアンディ」展開催。エイズの蔓延とジョン・グールドの死。
「ラヴィング・ジ・エイリアン」
「アメリカ」の出版サイン会でのカツラ事件。
アンディ最後の個展となった「最後の晩餐」シリーズ展ミラノで開催。
胆のう炎の発症と手術からの合併症による速すぎる死。
「イニシェリン島の精霊」 The Banshees of Inisherin
(監)(脚)(製)マーティン・マクドナー(アイルランド) 
(製)グレアム・ブロードベント、ピーター・チャーニン(撮)ベン・デイヴィス(編)ミッケル・E・G・ニルソン(音)カーター・バーウェル
(出)コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン
アイルランドの架空の島、イニシェリン島、アイルランド紛争が続く中(1923年が設定)、島は平和だがその閉鎖空間には争いの種が・・・
「お前が嫌いになった」
「お前と無駄話をする時間が惜しい」
「音楽を作り、後世に名を残したい」
突然の絶縁宣言に戸惑い、怒り、狂ってゆく優しくて真面目な男が、事態を次々と悪化させてゆきます。
「戦争」とはこうして始まるもの。「内戦」の始りを予感させる二つの家系の対立の歴史が始まるのか?
「不穏」な空気は、その閉鎖された土地だからこそなのか?もちろんそうではないが、これはわかりやすい。
戦争、犯罪、内乱様々な混乱のもとになる「寓話」から何を学ぶべき?
ラストをどう考えればいいのか?風に聞け?精霊に聞け?
撮影が行われたのは、イニシュモア島がメインで、海の風景などが使われたのがアネル島。
パブの作りやドアから外に向けてのショットなどは、ジョン・フォードの西部劇を意識したようです。
思えば、ジョン・フォード監督はアイルランド移民。
「ウエスト・エンド殺人事件」 SEE HOW THEY RUN(D)
(監)トム・ジョージ(イギリス)
(製)ダミアン・ジョーンズ、ジーナ・カーター(脚)マーク・チャペル(撮)ジェイミー・D・ラムジー(PD)アマンダ・マッカーサー
(衣)オディール・ディックス=ミロー(編)ゲイリー・ドルナー、ピーター・ランバート(音)ダニエル・ペンバートン
(出)サム・ロックウェル、シアーシャ・ローナン、エイドリアン・ブロディ、ルース・ウィルソン、デヴィッド・オイェロウォ
<あらすじ>
1953年ロンドンのウエストエンド劇場でアガサ・クリスティ原作の舞台劇「ねずみとり」が100回公演のパーティーを開催。
その最中に映画化をまかされたハリウッドの監督が何者かに殺害されます。 
しかし、誰からも嫌われていた被害者を殺す動機は関係者のほとんどにありました。
捜査を任された警部は新米の女性巡査とコンビで動き始めますが・・・
「WHO DONE IT?」的な簡単な殺人事件のはずが・・・アガサ・クリスティの「ねずみとり」に合わせるように展開するのがミソ。
アガサ・クリスティ、リチャード・アッテンボローが登場。そこも楽しい。
アガサ・クリスティ好きにはたまらないサスペンス・コメディの快作。
これはなかなかの掘り出し物。
「運命のイタズラ」 Windfall (N)
(監)(製)(原案)チャーリー・マックダウェル(アメリカ)
(製)ジャック・セルビー他(脚)ジャスティン・レイダー、アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー(音)ダニー・ベンジー他
(出)(製)ジェイソン・シーゲル、ジェシー・プレモンズ、リリー・コリンズ
カリフォルニアの資産家別荘に泥棒に入った男が偶然、その家の持主夫妻と遭遇。
2人と共に身代金の到着を待つ羽目になります。しかし、偶然そこに庭師がやってきて、夫妻の危機を通報しようとします。
しだいに犯人は大事に巻き込まれて行きます。
ラストは想定内だったなあ。
面白い展開だったのですが、もうひとひねり欲しかった。
ジェシー・プレモンズは良い人ばかりかと思ったら、ここまで悪い奴もできるんだ!素晴らしい。
「エノーラ・ホームズの事件簿2」 Enola Holmes 2
(監)(製総)(原案)ハリー・ブラッドピア(アメリカ)
(製)メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア他(製総)ジョシュア・グローデ、ペイジ・ブラウン他(原)ナンシー・スプリンガー
(原案)(脚)ジャック・ソーン(撮)ジャイルズ・ナットジェンズ(美)マイケル・カーリン(衣)コンソラータ・ボイル(編)アダム・ボスマン
(音)ダニエル・ペンバートン
(出)(製)ミリー・ビリー・ブラウン(出)ヘンリー・カビル、デヴィッド・シューリス、ルイス・パートリッジ、スーザン・ウォーコマ
アディール・アクタル、シャロン・ダンカン=ブルースター、ヒメーシュ・パテル、ヘレナ・ボナム・カーター、ハンナ・ドッド(サラ)
<あらすじ>
探偵事務所を開いたエノーラでしたが女性の探偵事務所は信用されず、やっと現れたのはマッチ工場で働く少女でした。
彼女の依頼は同じ工場で働く妹サラが行方不明になったので探してほしいというものでした。
しかし、彼女が捜査を始めると、その子の友人が刺殺されているのを発見。彼女はその嫌疑をかけられ逮捕されてしまいます。
兄のシャーロックは、彼女を救い出すため仕方なく行方不明の母親に頼ることにします。 
第一作も面白かったのですが、この続編の方がさらに面白かった!
レストレード警部の他に、ワトソン博士、モリアーティも登場し、それぞれの正体がまた驚かせてくれます!
そして、ヘレナ・ボナム・カーター出演の「未来を花束にして」を思わせるラストの展開に感動!
サラ・チャップマンは1888年にロンドンのマッチ工場「Bryant&May」で女性たちによるストライキを成功させた実在の人物。
その曾孫は女優で彼女の夫はなんとクイーンのギタリスト、ブライアン・メイだといいます。嘘のような本当の話です!
パート3も楽しみにしています。 
「エルヴィス」 Elvis
(監)(製)(原案)(脚)バズ・ラーマン(アメリカ/オーストラリア)
(製)キャサリン・マーティン他(製総)トビー・エメリッヒ他(原)(脚)ジェレミー・ドネル(脚)サム・ブロメル、クレイグ・ピアース
(撮)マンディ・ウォーカー(PD)(衣)キャサリン・マーティン(編)マット・ヴィラ、ジョナサン・レドモンド(音)エリオット・ウィーラー
(出)オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング、デヴィッド・ウェンハム(ハンク・スノウ)
ケルヴィン・ハリソン・Jr(B・B・キング)、コディ・スミット=マクフィー(ジミー・ロジャース)、ヨラ(シスター・ロゼッタ・サープ)
ションカ・デュクレ(ビッグ・ママ・ソーントン)、アルトン・メイソン(リトル・リチャード)、ゲイリー・クラーク・Jr(アーサー”ビッグボーイ”クールダップ)
エルヴィス・プレスリーの伝記映画。
前半30分が圧倒的に面白い。その後、段々と主役がパーカー大佐へと移り面白くなくなって行きました。
残念ながら、エルヴィスの音楽の魅力の度合いに比例して映画が面白くなくなるのは、ある意味必然かもしれません。 
おまけに悪名高きパーカー大佐に主役の座を与えてしまったことで、益々ドラマは悲劇的になってしまいました。
トム・ハンクスの熱演には申し訳ないのですが、いかんせんドラマが盛り上がりません。
それに比べ、黒人居住区に住み、メンフィスそしてサン・スタジオ(サム・フィリップス)の下で過ごした日々のなんと魅力的だったことか!
そして、白人たちの街、ラスベガスに移り住んでからのドラマのなんと薄っぺらなことか!
ラスベガスのステージでエルヴィスが自ら曲のアレンジを行うシーンは魅力的だし、有名なテレビ向けのライブ・シーンも過去良かった!
ちなみにマヘリア・ジャクソン、ファッツ・ドミノも出てました。
「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」 The Elephant Wisperers(N)
(監)(原)(製総)(撮)カルティキ・ゴンサルヴェス(インド)
(製総)(原)(編)ダグラス・ブラッシュ(脚)ガリマ・プラ・パティヤルヴィ(製)グニート・モンガ(音)スヴェン・フォルコナ
(撮)カラン・タプリヤル、クリシュ・マヒヤ、アナンド・バンサル(編)サンチャリ・ダス・モリック
(出)ボンマレとベリー夫妻
南インドの森にすむ象の保護センターで働く夫妻と孫娘の記録映画(40分)
迷子になったりした子象を預かり、育てる仕事を代々続けてきた一族ののどかな暮らしが何とも言えません。
ゆったりとした時間の流れと美しい風景に心を癒されます。
アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画候補作 
 
「回帰」 Pipa
(監)(脚)アレハンドロ・モンティエル(アルゼンチン)
(脚)フロレンシア・エチュベス、ミリ・ロケ・ピット(出)ルイサナ・ラピラト、マウリシオ・パニアグア、イネス・エステベス
凶悪犯罪担当の警官だったピパは、不祥事により警察をやめ、田舎の村でボランティア活動をしている叔母の元で暮らします。
しかし、その村で原住民と鉱山会社の間で鉱山の土地をめぐるトラブルが起きていました。
さらに村長の家で行われた婚約パーティーで働いていた少女が翌日焼死体で発見されるという事件が起きます。
いくつかの事件が重なってきますが、上手く一つにならないのが残念。
主人公がもう少ししっかりしてほしかった。腐敗警察の方がカッコよくみえるのも残念。
もっと面白くできた気がします。 
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・ホリデー・スペシャル」 The Guardians of the Galaxy Holiday Special(D)
(監)(脚)ジェームズ・ガン(アメリカ)
(製総)ケヴィン・ファイギ(PD)ベス・ミックル(衣)ジュディアナ・マコーフスキー(音)ジョン・マーフィー
(出)クリス・プラット、ポム・クレメンティエフ、デイヴ・バウティスタ、ケヴィン・ベーコン、カレン・ギラン
(声)ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、マリア・バカローヴァ
<あらすじ>
サノスとの戦いでガモーラを失った悲しみにくれるクイルのためにマンティスとドラックスはクリスマス・プレゼントを用意することに。
それはかつてクリスにとっての憧れだった「フットルース」の俳優ケヴィン・ベーコンでした。 
一応、シリーズの流れにつながる作品ですが、中に衝撃の真相が明らかになります。
それはクリスとマンティスが兄弟かもしれないという説。「スターウォーズ」か?とつっこみたくなりました。
「キャメラを止めるな」 COUPEZ !
(監)(製)(脚)ミシェル・アザナヴィシウス(フランス)
(製)ノエミ・ドゥビド、ブラヒム・シウア他(オリジナル脚)上田慎一郎(撮)ジョナタン・リッケブール(編)ミカエル・デュモンティエ
(音)アレクサンドル・デスプラ
(出)ロマン・デュリス、ベレニス・ベジョ、竹原芳子、グレゴリー・ガドゥボワ、フィネガン・オールドフィールド
マチルダ・ルッツ、ジャン=パスカル・ザディ
ほど日本版の完コピ作品。
違うのは竹原芳子の登場とラストのワンシーン。
もう少し、+αが欲しかった気はしますが・・・
オリジナルと比較しながら見てしまうので初めからパロディとして笑えます。特に前半のゾンビ映画部分。 
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」 PINOICCHIO
(監)(製)(脚)ギレルモ・デル・トロ(監)マーク・グスタフソン(アメリカ)
(製)リサ・ヘンソン、ゲイリー・アンガー他(原)カルロ・コロディ(脚)パトリック・マクヘイル(CD)グリス・グリムリー
(撮)フランク・パッシンガム(PD)ガイ・デイヴィス、カート・エンダーレ(音)アレクサンドル・デスプラ(音監)スティーブン・ギジッキ
(声)ユアン・マクレガー(クリケット)、デヴィッド・ブラッドリー(ゼペット)、グレゴリー・マン(ピノキオ)、ジョン・タトゥーロ
ロン・パールマン、ケイト・ブランシェット、ティム・ブレイク・ネルソン、ティルダ・スウィントン、クリストフ・ヴァルツ、フィン・ヴォルフハルト
ストップ・アニメーションによる「ピノキオ」のリメイク。
ストーリーはほぼ原作に忠実ですが、ムッソリーニ的な独裁者など戦争の要素がかなり深く描かれます。
ミュージカルのように歌うシーンが多く、アレクサンドル・デスプラの音楽はさすがです!
キャラクターは可愛いいよりも武器な感じなのはデルトロらしい。キモイけれども愛らしく見えてくるのが彼の作品です。
ラストもグッときます。声優がまた豪華!
「グッド・ナース」  THE GOOD NURSE(N)
(監)トビアス・リンホルム(アメリカ/デンマーク)
(製)ダーレン・アロノフスキー、スコット・フランクリン他(製総)アリ・ハンデル、グレン・バスナー他(原)チャールズ・グレーバー
(脚)クリスティン・ウィルソン=ケアンズ(撮)ジョディ・リー・ライプス(PD)シェイン・バレンティノ(編)アダム・ニールセン(音)バイオスフィア
(出)ジェシカ・チャスティン、エディ・レッドメイン、ンナムディ・アサムア、ノア・エメリッヒ、キム・ディケンズ、マリク・ヨバ
<あらすじ>
心臓疾患に苦しみながら二人の女の子と一人で育てているエイミー。新しい同僚チャーリーは彼女を親身に助けてくれます。
しかし、彼が働き始めてから病院内で不審死が多発し始めます。
警察はその捜査を始めますが、病院側は情報をなかなか開示せず、不審死の遺体も埋葬されてしまいます。
チャーリーに助けられていたエイミーも彼の行動に怪しさを感じ始めます。
点滴用のパックにインシュリンなどの薬剤を注射器であらかじめ混入。
それが使われると、その患者は謎の死を遂げるという仕掛けで犯人は特定困難。証拠も見つけられない。
そこで病院側は彼を単に首にすることで事件をもみ消す。このことが彼の反抗を16の病院で繰り返させる原因となりました。
彼は29人の殺害を自供しましたが、実際には400人は殺されていたと言われます。
いったいなぜ?別れた妻に奪われた子供と合えないことによる怒り?病院でのストレス?
エディ・レッドメインとジェシカ・チャスティンによる演技合戦は緊張感にあふれています。
トビアス・リンホルムは「偽りなき者」「ある戦争」など、デンマーク出身の監督 
暗く不気味なムードは、製作者ダーレン・アロノフスキーのせいでもあるのか?
「グレイマン」 The Grey Man(N)
(監)(製)アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ(アメリカ)
(製)クリス・カスタルディ、ジョー・ロス他(原)マーク・グリーに―「暗殺者グエイマン」(脚)ジョー・ルッソ(撮)スティーブン・F・ウィンドン
(PD)デニス・ガスナー(編)ジェフ・グロス、ピエトロ・スカリア(音)ヘンリー・ジャックマン
(出)ライアン・ゴスリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ビリー・ボブ・ソーントン、ジェシカ・ヘンウィック、レゲ=ジャン・ペイジ、ダヌーシュ
<あらすじ>
CIAに工作員として雇われた殺人犯のシエラ・シックスは、殺人を指示された男を殺す時、俺は同じ組織のメンバーだと告げられます。
お前も殺されるから、そうなる前にこの証拠で上司をつぶせとペンダントを渡されます。
すぐに彼もまた命を狙われることになり、彼の元上司もまた姪っ子を誘拐され、捕虜になってしまいます。
そして、彼の命を狙うためにCIAの上司は、最凶の殺し屋ロイドに仕事を依頼します。
ルッソ兄弟による「ミッション・インポッシブル」的な王道スパイアクション映画。
ウイーンの街中、トラムを使った銃撃戦アンド追跡シーンは圧巻。ネットフリックスが巨費を投じただけの作品ではあります。
これといった新鮮さはないももの、それぞれのシーンがしっかりと作られています。 
「クロティルダの子孫たち 最後の奴隷船を探して」 Descendant(D)(N)
(監)(製)マーガレット・ブラウン(アメリカ)
(製)カイル・マーティン、エッシー・チャンバース(撮)ザック・マニュエル、ジャスティン・ツヴァイハフ
(編)マイケル・ブロッホ、ジェフリー・リッチマン(音)レイ・アングリー、ライアノン・ギデンス、ダーク・パウェル
(出)クロティルダ号の奴隷の子孫たち
1860年アメリカにやって来た最後の奴隷船クロティルダ号が運んできた110人の奴隷たち
1865年に南北戦争が終わり、彼らは自由の身になったが、帰国はできすアラバマ州モービル市にアフリカタウンを形成。
彼らの秘密は運んできたミーア―家が罪に問われることから秘密にされてきた。
2019年彼らを運んできた船、クロティルダ号が川で発見されその事実が明らかになりました。
「氷がすべてを隔てても」 Against The Ice(N)
(監)(製総)ペーテル・フリント(デンマーク)
(製)バルタザール・コルマウクル(原)アイナー・ミケルセン(脚)ジョー・デリック(編)モーテン・ホイビエル(音)フォルカー・ベルテルマン
(出)(製)(脚)ニコライ・コスタ―=ワルドー(出)ジョー・コール、ハイダ・リード、チャールズ・ダンス、ギスリ・オルン・ガルザルソン
グリーンランドの一部が島でアメリカの領土である、というアメリカの主張が間違いであることを証明するための冒険。
そもそもの原因は領土を巡る争いだったのは少々残念ですが、冒険は冒険です。見ごたえあります。
実録なだけに見入りますが、後半、突然、「惑星ソラリス」と「シャイニング」になります!
なるほどSFとホラーの歴史的名作は、意外にリアルにあり得るわかなのだと納得してしまいました。
ラストの本人たちの写真もいい味です。それとタイタニック号に乗れなかったというくだりもちょっと楽しいエピソードです。 
「ざわめき」 RUIDO(N) 
(監)(製)(脚)ナタリア・ベリスタイン(メキシコ/アルゼンチン)
(脚)ディエゴ・エンリケ・オソルノ、アロ・バレンスエラ(撮)ダニエラ・ルドロウ(編)ミゲル・シュバーディンガー
(出)フリエッタ・エグロラ、テレサ・ルイス、ケーニャ・クエバス、ヒメナ・ゴンサレス、アドリアン・バスケス
<あらすじ>
メキシコで麻薬戦争が本格化して以降、国内で行方不明者が急増。
人身売買、身代金目的などが原因らしいが、9万人以上が消えている。
同じように娘が9カ月行方不明になったままのフーニャは女性の失踪事件を追う女性ジャーナリストと共に探し始めます。
しかし、娘の行方どころか生死もわからないまま、彼女はメキシコ各地を彷徨うことになります。
人身売買、麻薬戦争、死体処理工場、行方不明家族を探す団体、腐敗した警察、戦う女性たち・・・
フーリャは行方不明の娘を探しながら恐ろしい「地獄巡り」を体験することになります。
メキシコ恐るべし。はっきりいって、どんなホラー映画より怖いシーンの連続でした。
それがある日、自分の身に降りかからないとは限らないのですから・・・そしてそれを警察が救ってくれないとしたら・・・
アメリカに密入国したくなるのも当然かもしれません。
ラストのフェミニストたちの戦いとそこに襲いかかる警察の暴挙は「アテナ」を思い出させます。
フェミニスト映画という以前、人権そのものを守る最低限の戦いの映画です。
「13人の命」 Thirteen Lives(A) 
(監)(製)ロン・ハワード(イギリス/アメリカ/タイ)
(製)ガブリエル・ターナ、ブライアン・グレイザー他(製総)ジョン・カイバー、マリー・サヴァレ他(原案)ドン・マクファーソン
(脚)(原案)ウィリアム・ンコルソン
(撮)サヨムプー・ムックディプローム(PD)モリー・ヒューズ(編)ジェームズ・D・ウィルコックス(音)ベンジャミン・ウォルフィッシュ
(出)ヴィゴ・モーテンセン、コリン・ファレル、ジョエル・エガートン、トム・ベイトマン、ポール・グリーソン、ヴィタヤ・パンスリンガム
<あらすじ>
2018年タイ北部のタムルアン洞窟でサッカー・チームの少年たち13人が雨による水没により閉じ込められた事件。
少年とコーチを無事に救出するまでの18日間を事実に基づいて描いた実録映画
さすがはロン・ハワード。2時間20分に見事にまとめています。ダイビング経験者にはよりリアルで面白いダイビング映画です。
(1)山にある穴をふさぎ、水を水田へと流して、洞窟への浸水を防ぐ作戦。 
(2)子供たちに麻酔注射することで水中を荷物状態で運ぶ作戦が用いられていたこと。
二つの知られざる事実に驚き。
「アポロ13」に続き、13がらみの救出作戦の実録映画。
「ジャズマンズ・ブルース」 A JAZZMAN'S BLUES
(監)(製)(脚)タイラー・ペリー(アメリカ)
(撮)ブレット・ポウラク(美)シャロン・ブッセ(衣)カリン・ワグナー(編)メイジー・ホイ(音)アーロン・ジグマン(曲)テレンス・ブランチャード
(出)ジョシュア・ブーン、アミラ・バン、ソレア・ファイファー、オースティン・スコット、ライアン・エッゴールド
<あらすじ>
アメリカ南部で暮らすバユは近所の娘リリアンと恋仲になります。
しかし、ある日彼女は北部のボストンに母親と旅立ちます。
兵役を終えて、故郷に近い街で暮らし始めたバユは、リリアンが白人の資産家と結婚するために戻って来たことを知ります。
二人は久しぶりに会いますが、もし彼女が黒人であることが知れれば、彼女だけではなく多くの人に悲劇が・・・ 
主人公が歌手として成功するくだりは楽しかったのですが、リリアンもバユも兄のウィリーも自分のことばかり・・・
悲劇は止められたはずなのに・・・どう考えても自業自得の最後なので悲しみが今一つ。
「ホワイト・ウォッシュ」「南部の過激な差別」「ユダヤ人マネージャー」「ミュージシャンと麻薬」様々な要素を盛り込んでいますが・・・
ラブ・サスペンスながらラストには時代を越えた長い物語の結末がありますが・・・
スリルとサスペンスはたっぷりですが、イライラがつのりました。 
「知られざるマリリン・モンロー: 残されたテープ」
The Myatery of Marilyn Monroe : The Unheared Tapes (D)(N) 
(監)(製)エマ・クーパー(アメリカ)
(製)クリス・スミス(共製)エロイーズ・ヴァンストン(撮)ジョフリー・センタム(編)グレゴール・リオン(音)アン・ニキティン 
マリリン・モンローの死の真相に迫ったドキュメンタリー。
マリリン・モンローについて知らない人には、衝撃かもしれません。でも今まですでにわかっていた内容でした。
ケネディ兄弟とピーター・ローフォードのワルぶりは最低なのに話題にならないのは当時の映画界はそれを当然と思っていたからでしょう。
そっちの方がひどい話です。幼少期から男にもてあそばれてきたマリリンがとにかく可哀想。
「スイマーズ : 希望を託して」 The Swimmers(N)
(監)(脚)サリー・エル・ホサイニ(イギリス)
(脚)ジャック・ソーン(撮)クリストファー・ロス(音)スティーブン・プライス
(出)マナル・イッサ、ナタリー・イッサ、マティアス・シュバイクホッファー、アフマド・マレク、アリ・スリマン  
オリンピック出場を水泳で目指しながら、内戦により崩壊しつつあったシリアから脱出した姉妹の物語。
ドイツまでの命がけの旅をリアルに描いた前半部。ドイツにたどり着き、難民として暮らし始め、オリンピックを目指す後半。
単純なスポーツ映画でもなく、お涙頂戴の感動作品でもなく、現実を映し出した実話に基づく作品。
東京オリンピックにも出場した妹より、難民救出活動によって逮捕された姉が心配。この映画が役立てばよいのですが。
ロシアによるウクライナ侵攻はロシアのシリア離れを生み出し、再びシリアが混沌として来る可能性があります。
シリアが良い方向に変化することを願うばかりです。彼女たちが故国へ戻ることが唯一の幸福なのですから。 
「スクール・フォー・グッド・アンド・イービル」 The School For Good and Evil(N)
(監)ポール・フェイグ(アメリカ)
(原)(脚)ソマン・チャイナニ(脚)デヴィッド・マギー(撮)ジョン・シュワルツマン(音)セオドア・シャピロ
(出)ソフィ・アン・カルーゾ、ソフィア・ワイリー、シャーリーズ・セロン、ケリー・ワシントン、ローレンス・フィッシュバーン
ミシェル・ヨー、ジェイミー・フラタース、キット・ヤング、ピーター・セラフィノウィッツ、ロブ・ディレイニー、レイチェル・ブルーム
善と悪に分かれた魔法学校に入学した二人の少女。
200年続く善側の勝利に対し、悪の魔法使いラファエルは秘密兵器としてソフィーを入学させたのです。
善とは?悪とは?善と悪の均衡とは?
新しい視点で描かれた魔法学校もので、それなりに面白いです。
ラストに王子様を選ばず、女性同士の友情を選ぶのがなんとも現代的! 
「スランバーランド」 Slumberland(N)
(監)フランシス・ローレンス(アメリカ)
(製)ピーター・チャーニン、ジュノ・トッピング他(原)ウィンザー・マッケイ「夢の国のリトル・ニモ」より
(脚)デヴィッド・グゥィオン、マイケル・ハンデルマン(撮)ジョー・ウィレムス(PD)ドミニク・ワトキンス(編)マーク・ヨシカワ
(音)ピナル・トプナック(衣)テリシュ・サマーヴィル(アートD)ローレル・ベルグマン、ジョーダン・ヘンダーソン他
(出)マーロウ・バークレイ、ジェイソン・モモア、クリス・オダウド、カイル・チャンドラー、ウェルシュ・オピア
<あらすじ>
父親を失い住んでいた燈台を離れ、叔父と暮らすことになった少女は悲しみから逃れるため夢の中に逃げ込みます。
そこで出会った父親が語っていた物語の主人公フィリップに父親を蘇らせることができる宝物を探そうと誘われます。
他人の夢の中を通り抜けることで「悪夢の海」の底にある夢を実現できる真珠を探す旅が始まります。
実によくできた脚本には原作となる漫画シリーズがあります。
主人公の少女は若き日?のシアーシャ・ローナンのようで人気がでそうです。
ジェイソン・モモアは、フィリップ役に見事にはまっています。
「静寂の彼方に:アイスダイビングの世界」 Hold Your Breath : The Ice Dive(D)(N)
(監)イアン・デリー(フィンランド/イギリス)
(撮)スティーブ・ジャミソン(水撮)ジャン=チャールズ・グランジョン(編)ジュリアン・クアントリル(音)ガリア・ビセンガリエヴァ
(出)ヨハンナ・ノードブラッド、キャスパー・ノードブラッド、アリナ・マニネン、ベン・メセル
氷の下を横に泳いで移動する距離の世界記録に挑戦したフィンランドの女性フリーダイバーの記録。
氷の厚さは30cm以上で水着のみの着用で自力で泳いでの移動でフィンもなし。水温は2℃くらい。
50mの女子記録保持者が男子の記録103mに挑戦して見事に成功!
二人の子持ちのお母さん。姉妹で挑戦。マウンテンバイクの事故で痛みが取れずに冷水治療を開始。足を冷やす治療からダイビングへ!
気持ちいいから泳ぎ出したそうです。 
「聖なる証」 The Wonder(N)
(監)(脚)セバスティアン・レリオ(イギリス/チリ)
(製)エド・ギニー、ジュリエット・ハウエル他(製総)エレン・ブラバトニック、ダニー・コーエン
(原)(製総)エマ・ドナヒュー(脚)アリス・バーチ(撮)アリ・ウェグナー(美)グラント・モンゴメリー(衣)オディール・ディックス=ミロー
(編)クリスタィーナ・ヘザーリントン(音)マシュー・ハーバート
(出)フローレンス・ピュー、トム・バーク、カイラ・ロード・キャシディー、トビー・ジョーンズ、キアラン・ハインズ
エレイン・キャシディ、ブライアン・F・オバーン 
<あらすじ>
19世紀半ば、アイルランドの田舎の村で4か月間何も食べずに生きている少女がいました。 
彼女を聖女と考える人々が彼女のもとを訪れるなどしますが、それが事実なのか?
その調査のためにイギリスから看護師が呼ばれ、聖少女アナの世話をし、監視をすることになります。
ところが、彼女が張り付いて、監視し始めるとアナは明らかに衰弱し始めます。
やはりアナは何かの方法で食事をとっていたのではないかと看護師は考え、アナに食事をするようすすめます。
ところがなぜかアナは食事をとろうとはしません。なぜ彼女は自ら衰弱し死ぬことを恐れないのか?
原作者のエマ・ドナヒューは「ルーム」の作者。
宗教・面子・名誉欲・・・様々な理由で子供を犠牲にしようとする男たち。それは内と外、どこででも今も行われている現実。
そうした子供たちへの虐待に対する抗議の映画でもあります。
そして、人は生きるために「物語」を求めているという事実。そして新たに物語を生み出すことで現状を変えることの意義を訴えます。
厳しく辛い現実を直視しつつ、最後に救いを見せてくれる素晴らしい映画です。
オープニングから見る側を引き込む仕掛けも好きです。
不気味で神聖で不思議な音響的音楽もまるで通奏低音のように響き続け印象に残ります。
主役で看護師役のフローレンス・ピューも、はまり役です。
「スパイダーヘッド」 Spiderhead (N)
(監)ジョセフ・コシンスキー(アメリカ)
(脚)レット・リース、ポール・ワーニック(原) ジョージ・ソーンダーズ
(出)クリス・ヘムズワース、マイルズ・テラー、ジャニー・スモレット・ベル、テス・ハウブリック、チャールズ・パーネル
犯罪者を孤島の私設で心操る薬物の治験に参加させる私設が舞台。
「愛情」、「恐れ」、「笑い」などを操る試験で利用されるうちに実験に疑問を感じ出した主人公は実験の裏に気づき始めます。
「恐怖」を感じさせる実験でついに自殺者が出たことでいよいよ状況は悪化しますが、治験は続くことに・・・ 
総てを薬物を操る考え方はアメリカらしいし、そもそもの設定に失笑なので今一つ感情移入できません。
いっそコメディ映画の方がよかった気がします。もっと面白くできた気がします。残念。 
「素晴らしき眺め」 Nice View
(監)(脚)ウェン・ムーイエ(中国)
(撮)ワン・ボーシュエ(音)ファン・チャオ
(出)イー・ヤ・チェンシー(ジャクソン・イー)、ティエン・ユー、チェン・ハーリン(タンタン役)、チー・シー、コン・レイ 
ティエン・チュアンチュアン(巨匠田壯壯が守衛役!映画学校での監督の師匠でもあります)
<あらすじ>
中国南部の都市、深圳が舞台。スマホの修理をする店を経営するハオは妹のタンタンと二人暮らし。
シカシ、タンタンは心臓に障害があり、早くに亡くなった母親と同じで手術する必要があります。そのためには50万元の大金が必要です。
そんなある日、彼に友人から不良品として返品されたスマホがあるが直して売れないかと相談があります。
しかし、再生品を勝手に販売することが違法とされたため、その行き先に困ったハオは、その製造元に出向き、新品として販売したいと提案。 
「薬の神じゃない!」を大ヒットさせた監督による新たなヒット作。(まだ長編第2作)
前作の出演俳優がまったく違うイメージで今回も出演しています。要注意!
主役の兄妹はどっちも初登場。松山ケンイチ風のハオ、抜けた歯が可愛いタンタン役も見事!
今回も登場人物たちのキャラクターが皆立っています。この監督作品も魅力はそこにあるかもしれません。
ただし、気になるのは広東省、深圳で働く人々への応援歌ですが、美化しすぎなのがどうも政治的な意図が見え見えでなこと。
「新時代に懸命に努力しているあなたに敬意を表します 我々誰もが奇跡の創造者です
今回は前作より、新鮮味がないのは題材のせいかもしれませんが、次回作がいよいよ勝負かもしれません。
「西部戦線異状なし」 Im Westen Nichts Neues
(監)(脚)エドワード・ベルガー(ドイツ)
(原)エリッヒ・マリア・レマルク(脚)レスリー・パターソン、イアン・ストーケル(撮)ジェームズ・フレンド(音)フォルカー・バーテルマン
(出)フェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ、アーロン・ヒルマー、モーリツ・クラウス、ダニエル・ブリュール、エディン・ハサノヴィッチ
デーヴィト・シュトニーゾフ、アンドレアス・ドゥーラー、ミヒャエル・ヴィッテンボルン 
1930年に映画化されたレマルクの小説の再映画化。オリジナルも時代を考えると驚くほどリアルに戦争を描いた傑作でした。
しかし、今回はよりリアルで残虐で不条理な戦場を描いています。前作をしのぐエグさです。
カメラもオリジナル同様、美しく計算されたカットで撮影されていて、時には累々と横たわる死体までもが美しく見えます。
戦闘シーンも迫力があり、特に戦車が登場するシーンはド迫力。火炎放射器による攻撃も怖い。
繰り返し聞かされる不気味な音楽・音響も忘れられません。
上層部の身勝手な軍人、休戦交渉に望む外交官、そしてひたすら命令に従って突進する兵士たち、その対比も見事。
オリジナルと異なる部分もありますが、最終的には同じ着地点に向かいます。
敗軍の将のセリフは、「あらゆる手段で戦闘を続ける」「間もなく新兵が来るからそれまで耐えろ!」
これはロシアのプーチンのセリフと同じです。
戦争の無意味さ不条理さ残虐さを描いた究極の戦場映画が新たな表現を得て復活しました。
「そしてバーバラはアランと出会った」 The Barbara Met Alan(TV)
(監)ブルース・グッディソン(イギリス)BBC製作
(製)ブリオニー・アーノルド、デビー・シャッター(脚)ジャック・ソーン、ジュヌヴィエーヴ・バー(撮)スザンヌ・サラバティ
(編)クリストファー・ワトソン(美)ジェームズ・クロス(音)チャズ・ジャンケル(音監)アメリア・ハートリー
(出)ルース・マデレイ、アーサー・ヒューズ、マット・フレイザー、ヴィヴィアン・ソーン、シャリーア・M・パテル、マニー・アーメド
車椅子のコメディアン、バーバラと障害者でシンガー・ソングライターのアランがロンドンで出会い障害者の権利獲得運動に奔走
二人の出会いからDNAの活躍により「障害者差別禁止法」が成立するまでを実録ドラマとして再現。
障害者仲間によるデモにより偽善的テレビ番組「ITVテレソン」を放送中止に追い込みます。
1989年DNA(Disabled People's Dierct Action Network)を設立。 
全国的な障害者のネットワークを構築し、交通機関などで障害者が差別されないようデモを連発。
1995年には国会で「障害者差別禁止法」を成立させました。
Who Wanted To Boldly Go Where All Others Have Gone Before And To Piss On Pity
健常者の行く場所へ勇敢に進もうとした人たち、同情を必要としなかった人たちへ
音楽もなかなか良い!シンプリーレッド、イアン・デューリーなど
シド&ナンシーとイアン・デューリーの合体!
「ソー:ラブ&サンダー」 THOR : LOVE & TUNDER
(監)(脚)(原案)(声)タイカ・ワイティティ(アメリカ)
(製)ケヴィン・ファイギ、ブラッド・ヴィンダーバウム(原案)ジェニファー・ケイティン・ロビンソン(撮)バリー・イドワーヌ
(PD)ナイジェル・フェルプス(視効)ジェイク・モリソン(編)マシュー・シュミット、ピーター・S・エリオット
(音)マイケル・ジアッキノ(音監)デイヴ・ジョーダン
(出)クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、クリスチャン・ベイル、テッサ・トンプソン、ラッセル・クロウ、クリス・プラット
ジェーン・アレキサンダー、デイヴ・バウティスタ、カレン・ギラン、ポム・クレマンティエフ、マット・デイモン、ステラン・スカルスガルド
(声)ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー
<あらすじ>
ソーと別れたジェーン・フォスターは癌ステージ4の告知を受け、藁をもつかむ気持ちでアスガルドに向かいます。
その頃、ガーディアンズと共に宇宙を旅していたソーは、神を殺しまわっているゴアがアスガルドに向かったことを知ります。
ソーがアスガルドに着くとゴアの攻撃が始まり、そこにジェーンが彼がかつて所有していたムジョルニアを手にソーとして現れます。
マイティ・ソーのシリーズ第4弾
タイトルの通り、今回は恋人同士の愛と父と娘の愛というラブ・ストーリーになっています。
とはいえ、ヘビメタ(ガンズ&ローゼス「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」)がドはまりするアクション・アドベンチャー・コメディ大作。
文句なしに面白いです!さすがはタイカ・ワィティティです。
ジェーン・フォスターの名前の由来は?
女性活動家の先駆でもある「ジェーン・フォンダ」と同性愛をカミングアウトしている女性監督「ジョディ・フォスター」から?
「神々との決戦」が次回作になるのか?それともスピンオフで「ワルハラの休日」とかを作るのか?楽しみです。
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」 Doctor Strange In The Murtiverse of Madness 
(監)サム・ライミ(アメリカ)
(製)ケヴィン・ファイギ(脚)マイケル・ウォルドロン(撮)ジョン・マシソン(PD)チャールズ・ウッド(編)ボブ・ムラウスキー、ティア・ノーラン
(視効)ジェネク・サーズ(衣)グレアム・チャーチヤード(音)ダニー・エルフマン
(出)ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン、キュウェテル・イジョフォー、ソーチー・ゴメス
レイチェル・マクアダム、パトリック・スチュワート、シャーリーズ・セロン、ブルース・キャンベル、アシェイラ・アティム
「マルチ・バース」は物語を何でもありにする危険な概念です。同じように映画をも危険にする可能性があります。
登場人物の死や悲劇の価値が減ってしまい、別の宇宙で救われればいいか?ということにもなりかねません。
旧スパイダーマンの監督がここで監督したり、「X-メン」や「ファンタスティック4」のメンバーが登場したりしちゃいます。
「掟破り」の手法を今回は上手く利用しましたが、封印しておいた方が良いかもしれません。 
スカーレット・ウィッチについては、ディズニー・シリーズドラマの「ワンダ・ヴィジョン」は見ておいた方が良いと思います。
イルミナティについても、ディズニー・シリーズドラマ「イフ」を見ると参考になります。
「ナイブズ・アウト:グラス・オニオン」 Glass Onion:A Knives Out Mystery(N)
(監)(製)(脚)ライアン・ジョンソン(アメリカ)
(製)ラム・バーグマン(撮)スティーブ・イェドリン(編)ボブ・ダクセイ(音)ネイサン・ジョンソン
(出)ダニエル・クレイグ、エドワード・ノートン、ジャネール・モネイ、キャスリン・ハーン、ケイト・ハドソン、レスリー・オドムJr
ジェシカ・ヘンウィック、マデリン・クライン、デイヴ・バウティスタ、イーサン・ホーク、ヒュー・グラント、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(声)
ノア・セガン、スティーブン・ソンドハイム、アンジェラ・ランズベリー、ヨーヨー・マ、セリーナ・ウィリアムス、カリーム・アブドゥル・ジャバー 
ジャレッド・レトとジェレミー・レナーは名前だけんじょ登場ですが重要な役目を果たします。
<あらすじ>
天才実業家マイルズ・ブロンに招待されギリシャの無人島に集まったマイルズの友人たち。
彼らはマイルズの旧友ですが、彼のおかげで成功を収めた人物たちでした。
しかし、招待客の中になぜか名探偵のブノワ・ブランがいました。
島で行われる予定の殺人ゲームの謎解きに招かれた彼らの前で本当の殺人事件が起きてしまいます。 
第一作はもちろん良かったのですが、2作目の本作も十分に面白い。というかより楽しくなっています。
コロナ禍で亡くなったスティーブン・ソンドハイムとアンジェラ・ランズベリーに捧げられています。
なかなか良くできた脚本で、ちゃんと辻褄もあっていて説得力のある筋になっています。さすがは「ルーパー」のライアン・ジョンソン。
俳優陣も豪華ですが、ちょい役また豪華なので見逃さないようにお願いします。
使用さえている曲も楽しめます。特にラストのナット・キング・コールは笑えるし、素敵です。
「ナルヴィク」 Kampen om Narvik - Hitlers forste nederlag(N)
(監)エーリク・ショルビャルグ(ノルウェー)
(脚)クリストファー・グルンダール、リーベ・ボンヌビエ、エーリク・ショリュビャルグ、セバスティアン・トルングレン・バルティン
(撮)ヨン=エーリング・H・フレドリクセン(音)クリスティン・ハルズ
(出)クリスティーヌ・ハルトゲン、カール・マルティン・エッゲスボ、クリストフ・ゲルファート・マティーセン、ヘンリク・メスタド
<あらすじ>
1940年ドイツとは中立の立場にあったノルウェーの港ナルヴィクは鉄鉱石の輸出港として重要な意味を持っていた。
そこに住み、ホテルで働く女性の夫は兵士でしたが、ドイツの突然の攻撃で捕虜になってしまいます。
彼女も子供と街から逃げようとしますが、逃げられずホテルを占領したドイツ兵のために働くことになります。
ドイツ軍が最初に負けた「ナルヴィクの戦い」の実話に基づく映画。
戦争によって、不条理にも分断された家族、街の人々、兵士たち・・・なんともいえな戦争映画でした。
でもこれこそが戦争なのです。 
「NOPE/ノーープ」 NOPE
(監)(脚)(製)ジョーダン・ピール(アメリカ)
(製)イアン・クーパー(撮)ホイテ・ヴァン・ホイテマ(編)ニコラス・モンスール(音)マイケル・エイブルズ(美)ルース・デ・ヨング
(衣)アレックス・ボーベアード(視効)ギョーム・ロシェロン
(出)ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、スティーブン・ユアン、ブランドン・ペレア、マイケル・ウィンコット、キース・デヴィッド 
「トレマーズ」「未知との遭遇」「宇宙戦争」・・・いろいろな要素を見事に混ぜ込んだ思ったよりも本格的なSF映画の快作!
伏線の回収もいろいろあってたまらない面白さです。最初から最後までしっかりと集中して見ましょう。
映画ファンにはたまらない魅力的な作品です。
「電気が使えない」という条件を上手く映像化している工夫も見事。 
「La Vie C'est Choyette」From "MOI,FLEUR BLEVE" by Jodie Foster、「Walk on by」 by Dionne Warwick
「(You're A) Strange Animal」 by Gowan、「This is the Lost Genaration」 by The Lost Generation
「Fisherman」 by The Congos、「Sunglass at Night」 by Coery Hart、「Call of the Wild」 by Viagra Boys
「HUTSLE ハッスル」 Hutsle
(監)ジェレマイア・ザガー(アメリカ)
(製)レブロン・ジェームス、マーベリック・カーター他(脚)テイラー・マターン、ウィル・フェッターズ(撮)ザック・マリガン(衣)ジョネッタ・ブーン
(美)ペリー・アンデリン・ブレイク(編)トム・コステイン、ブライアン・M・ロビンソン(音)ダン・ディーコン
(出)アダム・サンドラー、ファンチョ・エルナンゴメス、クイーン・ラティファ、ベン・フォスター、ロバート・デュバル、アンソニー・エドワード
NBAプレイヤー
<あらすじ>
フィラデルフィア・シクサーズのスカウトマンがスペインで見つけた逸材を連れ帰りますが、オーナーは彼を嫌っていて契約を断られます。
スカウトのための公式イベント「コンバイン」への参加も許されず、彼らはSNSで話題を作りなんとか参加権利の獲得します。
ところが本番で彼は敵の選手からの挑発に乗り、失敗してしまいます。帰国を覚悟した彼に最後のチャンスが巡ってきます。 
王道のスポーツ根性ものですが、「コンバイン」への参加を可能にしたのは路上バスケでの1ON1での対戦でした。
リングに当てれば50ドル、入れば1000ドルという賞金での勝負が話題になり、最後にはNBA選手まで挑戦に来ました。
このアイデアがグッド!久々のスポーツ映画の快作。
さらに映画に出てくる選手たちがほとんどNBA選手というのも試合を見ごたえのあるものにしています。
バスケットファンにはたまらない作品のはずです。 
「THE BATMAN ザ・バットマン」 The Batman
(監)(製)(脚)マット・リーヴス(アメリカ)
(製)ディラン・クラーク(製総)マイケル・E・ウスラン他(C創)ボブ・ケイン、ビル・フィンガー(脚)ピーター・クレイグ(撮)グレイグ・フレイザー
(PD)ジャームズ・チンランド(編)ウィリアム・ホイ、タイラー・ネルソン(衣)ジャクリーン・デュラン(音)マイケル・ジアッキノ
(出)ロバート・パティンソン、ゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダーノ、ジェフリー・ライト、ジョン・タトゥーロ、コリン・ファレル
アンディ・サーキス、ピーター・サースガード 
<あらすじ>
ゴッサムシティで次々に市の大物が誘拐・殺害される事件が起きます。 その犯人「リドラー」は、毎回謎を残し、バットマンに手紙を残していました。
犯人を見つけるため、彼はゴードン刑事と協力して謎を解き、被害者がマフィアの大物ファルコーネの店に集まっていたことを突き止めます。
彼ら全員が市の再開発計画に関わり、かつてのマフィアの大物マノーネの逮捕に関わり、多額の利益を上げていたことがわかります。
「ジョーカー」の続編のようにダークな内容ですが、決して胸糞が悪くなる作品ではありません。
名作「LAコンフィデンシャル」の世界観をバットマン、キャットウーマン、リドラー、ペンギンらによってリメイクした感じです。
3時間弱の長さですが、けっして長くは感じません。無駄なく、飽きさせることなく、かといって笑いもなくじっくりと展開します。
ダークヒーロー映画とは言え、刑事ドラマの秀作と言ってもいいでしょう。
リアリズムに徹した衣装、物語、キャラクター作りが見事です。 
「バルド、偽りの記録と一握りの真実」 RARDO : FALSE CHRONICLE OF A HANDFUL OF TRUTH 
(監)(製)(脚)(編)(音)アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(メキシコ)
(製)ステイシー・ペルスキー(製総)メアリー・ペアレント、カルラ・ルナ・カントゥ(脚)ニコラス・ヒアコポーネ(撮)ダリウス・コンジ
(PD)エウヘニオ・カバイェーロ(衣)アンナ・テラサス(音)ブライス・デスナー
(出)ダニエル・ヒメネス・カチョ、グリセルダ・シチリアーニ、ヒメナ・ラマリッド、イケル・サンチェス・ソラーノ 
<あらすじ>
LAで活動するジャーナリスト兼ドキュメンタリー映画作家のシルヴェリオは、久しぶりに故国メキシコに帰国。
優れたジャーナリストに与えられる賞の受賞を祝うため、ジャーナリスト協会が開いた会に参加するためでした。
久々の帰郷をきっかけに彼は家族との関係や両親や友人たちとの思い出に浸ります。
その後、彼は家族と共にアメリカに戻り、LAでの授賞式に出席する予定でしたが・・・ 
オープニングの空へと舞い上がるかのような不思議な映像から始まるファンタジーは、様々な不思議な場面がちゃんと回収されます。
まさかの展開ですが、様々なシーンは後の伏線にもなっているので、単に妄想だと思わずにみて下さい。
夜中に目を覚ました子供の髪の毛をきり、朝これがあれば、夢じゃなかったことだとわかるよ、と言った意味は?
テレビの中の掃除のおばちゃんが終電で発見したと説明していたのは?
壮大なる夢落ち?ならぬ精神の旅に是非お出かけください!
長回しが好きな映画ファンにはたまりません。長回し撮影が連発です!特にパーティーのシーンは凄いです。
パーティー会場のトイレで再会した父親の言葉(このあたりから急に面白くなり、目が離せなくなります)
「成功を口に含んだら、舌の上を転がして吐き出せ。でないと、毒になるからな」
音楽、撮影、編集、美術どれもが素晴らしい極上の作品です。
イメージの洪水を楽しんだ後、ラストはあの名作「ROMA/ローマ」を思わせる家族の映画になります。そして海のシーンと飛行機。
これはわざと?パロディ?そう楽しんでも良いのかもしれません。間違っても小難しい映画ではないはず。
「ビッグバグ」 BIGBUG
(監)(脚)ジャン=ピエール・ジュネ(フランス)
(製)フレドリック・ドニギアン、リシャ―ル・グランピエール(脚)ギョーム・ローラン( 撮)トマス・ハードマイヤー
(編)エルヴェ・シェネイ(音)ラファエル・ボー
(出)エルザ・ジルベルスタイン、イザベル・ナンティ、ステファン・ドゥ・グルート、クロード・ペロン、ユーセフ・ハイディ 
<あらすじ>
未来都市を管理するAIが突如ある一家を家に閉じ込めてしまいます。
なんとか家から出ようとしますが、外が危険すぎると出してくれません。
そんな中、古いパソコンで外部に助けを求めたことから管理ロボットが家に現れます。
そして、家宅捜索を開始し、違反品を発見、家族を逮捕すると宣言します。 
未来世界に残されたキッチュな遺物や本が楽しい!ブラックなユーモアも楽しい!
でも新しさがなかったなあ。 
「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」 Fire of Love(D)(D+)
(監)(製)(脚)サラ・ドーサ Sara Dosa(アメリカ) 
(製)(脚)シェーン・ボリス(製)アイナ・フィッチマン(製総)グレッグ・ポーステッド、ジェシカ・ハロップ他(音)ニコラ・ゴダン
(ナレーション)ミランダ・ジュライ(出)カティア・クラフト、モーリス・クラフト
1991年6月3日長崎県雲仙普賢岳の火砕流により命を落とした43名のうちの二人火山学者モーリス&カティア・クラフト夫妻
二人の出会いから火山研究の道のりをその死まで辿った愛のドキュメンタリー映画。
タイトルどおり「火山とカティア、モーリスの愛の三角関係」を描いた熱すぎるラブ・ストーリー。
スリル、サスペンス、笑い、実験性、センス・オブ・ワンダー、生と死、冒険と旅、人生・・・すべてが詰まった奇跡の作品
これを見てしまうと、どんなSFXも、どんなCGも、どんなスタントも、すべてが安っぽく見えるかもしれません。
究極の実写SFラブ・ストーリー。マグマの流れをカヌーに乗って漕ぐ彼の映像が目に見えてきました。
ヘルメットと防護服を着て火山の火口で踊る二人の姿がなんともほほえましく、うらやましい。
アラスカの大自然を愛しグリズリーの犠牲になった星野さんと同じように火山を愛しすぎて火砕流の犠牲になった二人は幸福。
危険とわかっていてもそこに近づてしまうのは戦場カメラマンも同じ、登山家も、スポーツ選手にも似ています。
いやいや優れたアーティストだって同じように誰もやらなかった挑戦をする点では似ているかもしれません。
「赤い火山」(赤いマグマが直接流れ出す、ある種きれいな予測可能な火山)
「灰色の火山」(予測不能の灰色の煙を出し様々な危険をもたらす火山)
「フォトコピー」PHOTOKOPIER (N) 
(監)(脚)レガス・バヌテジャ(インドネシア)
(撮)グンナル・ニンプノ(出)シェニア・シナモン、チック・クルニアワン、ジェローム・クルニア、ジュリオ・パレングアン 
<あらすじ>
演劇祭で優勝し京都でのアジア演劇祭に出場することになった劇団マタハリのパーティー。
そこに参加したウェブ担当の女子大生が酔っぱらった写真が流出したことで奨学金を取り消されることに。
なぜそんな写真が流出したのか?なぜ意識を失うまで酔ってしまったのか?
その原因を調べ始めますが・・・  
主人公にいまいち感情移入できないだけでなく悪役の方が魅力的なのが難点!
芸術のためなら、少々おかしなこともするでしょ?とは言わないまでもどうも説得力が足りない。
たぶんそれはこの作品がインドネシア映画(イスラム圏)だからなのかもしれません。
見ている日本人の価値観との違いが原因の可能性もあり、どちらが正しいという問題ではないかも? 
「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエヴァー」 BLACK PANTHER/WAKANDA FOREVER
(監)(原案)(脚)ライアン・クーグラー(アメリカ)
(製)ケヴィン・ファイギ、ネイト・ムーア(製総)ルイス・デスポジート他(脚)ジョー・ロバート・コール(撮)オータム・デュラルド・アーカポー
(PD)ハンナ・ビークラー(視効)ジェフリー・バウマン(編)マイケル・P・ショーバー、ケリー・ディクソン、ジェニファー・レイム
(衣)ルース・カーター(音)ルートヴィッヒ・ヨーランソン(音監)デイヴ・ジョーダン
(出)レティ―シャ・ライト、ルピタ・ニョンゴ、アンジェラ・バセット、ダナイ・グリラ、ウィンストン・デューク、フローレンス・カサンバ
マーティン・フリーマン、ドミニク・ソーン、ミカエラ・コール、テノッチ・ウエルタ・メヒア
<あらすじ>
ティチャラが病によって亡くなった後、彼の母が王女として後継者となりましたが、ワカンダが護ってきたビブラニウムは狙われ続けます。
ビブラニウムを探していたアメリカの探査チームが何者かに襲われる事件が起きます。
アメリカはワカンダを疑いますが、それは海中に国を築いていたタロカン国の軍隊によるものでした。
ビブラニウムを持つタロカンの王ネイモアは、国の存在を秘密にしてきましたが、ビブラニウム探知機によって危機に瀕していたのです。
そのビブラニウム探知機を作った天才少女をタロカンは、彼女を護ろうとした王女シュリと共に誘拐します。
エンターテイメント作品としても文句なしに楽しいのですが、亡きチャドウィック・ボーズマンの存在が涙を誘う感動作品に仕上がっています。
さらに海中に建設されたタロカン国の世界観が素晴らしい!このシーンがワクワクする仕上がりだからこそ和平が説得力を持ちます。
結局、いちばん悪い奴はこの間に二つの国の対立の間に漁夫の利を狙うアメリカです。
かつて西欧諸国がアフリカや南米からその地の産物を収奪した歴史が繰り返されています。
ビブラニウムは石油であり、スパイスであり、シルクであり、ゴムであり、珈琲であり、ダイヤモンドでもあります。
考えさせ、楽しませ、感動させるこれぞハリウッド映画の最高峰です!ライアン・クーグラーにこれからも期待したい。
そうそう1作目同様、音楽も衣装も最高です!ファッションの見事さは、出演者が着ることで最高にカッコよく、美しくなっています。
中でもアンジェラ・バセットが実に似合っていること!その肉体の美しいこと!凄い女優さんです。まさにブラック・イズ・ビューティフル。
「プレデター ザ・プレイ」 PREY
(監)ダン・トレクテンバーグ(アメリカ)
(キャラ創)ジェームズ・E・トーマス、ジョン・C・トーマス(脚)パトリック・アイソン(撮)ジェフ・カッター(音)セーラ・シャクナー
(出)アンバー・ミッドサンダー、ダコタ・ビーヴァーズ、デイアン・ディリーグロ、ミシェル・スラッシュ
18世紀のアメリカ・グレートプレーンズに住むコマンチ族、バッファロー狩りの白人たち、そしてプレデター。
かなりストイックな戦闘バトルが展開します。背景となる大自然も美しい。
予想を超える展開はないものの、なかなか見ごたえのあるバトル・アクション映画にはなっています。
「ブロンド」 BLONDE
(監)(脚)アンドリュー・ドミニク(アメリカ/ニュージーランド)
(製)(原)ジョイス・キャロル・オーツ(撮)チェイズ・アーヴィン(音)ニック・ケイブ、ウォーレン・エリス
(出)アナ・デ・アルマス、エイドリアン・ブロディー、ボビー・カナヴェイル、セイヴィア・サミュエル、ジュリアンヌ・ニコルソン、リリー・フィッシャー
マリリン・モンローことノーマ・ジーンの生涯を2時間40分の大作として映画化。
ほぼ知られている話なので新鮮味はないが、とにかく悪夢を魅せられている感じ。
ダーレン・アロノフスキー、チャーリー・カウフマンの作品を見ているような悪夢世界が展開。
生まれてから死ぬまで悪夢を見続けたとしたら、その人生はもう恐怖でしかない。
大熱演の主演女優アナ・デ・アルマスが、悪夢のような人生を演じ続けたトラウマを引きずらないか心配です。
エイドリアン・ブロディ―のノーマン・メイラーは良かったけど・・・
これを見たハリウッドの女優さんたちはどんな気分になるのだろうか?そこも気になります。
「ベイビー・ブローカー」 Broker 
(監)(脚)(編)是枝裕和(日本/韓国)
(製)ソン・デチャン、福間美由紀(製総)イ・ユジン(撮)ホン・ギョンピョ(美)イ・モグォン(衣)チェ・セヨン(音)チョン・ジェイル
(出)ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ぺ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン 
<あらすじ>
生まれたばかりの赤ん坊を教会の赤ちゃんポストに置いてきた母親がその子を取り戻しに来ます。
その子をブローカーとして売ろうとしていた二人組は、彼女も仲間に加え、一緒に赤ちゃんを探すことになります。
そんな彼らを警察がマークしていて彼らが赤ん坊を売り渡し瞬間を抑えようと張り付いていました。
ところが、母親は父親を殺害していたことが明らかになります。なぜ彼女は父親を殺したのか? 
カンヌ国際映画祭男優賞(ソン・ガンホ)
「万引き家族」に引き続き、この作品でも是枝監督は「疑似家族」を描いています。
しだいにメンバーが家族以上の関係を築く過程が見事です。
電車内でトンネルで明るくなったり、音がうるさくなったりの切り替え。
観覧車内で手で母親の目元と涙を隠すシーンの上手さ。
ラスト近く、暗闇の中で全員に生まれてきてくれてありがとうというシーン。 
監督の確かなテクニックと俳優たちの見事な演技にやられます。(少年役も良かった!)
ここまでくるともう職人技ですが、その分新鮮さにはかけます。次作では驚きも欲しい!
「平和の木々」 Trees of Peace(N)
(監)(脚)アラナ・ブラウン(アメリカ)
(出)エリアンヌ・ウムヒレ、シャーメイン・ビングワ、エラ・キャノン、トンガイ・キリサ 
1994年ルワンダで起きたフツ族によるツチ族の大虐殺は100万人の命を奪いました。
この事件で虐殺を逃れた4人の女性は、80日に渡り、地下の食糧庫に隠れていました。
ボランティアのアメリカ人、ツチ族の修道士、ツチ族のヤギをを育てる農家の娘、フツ族の穏健派で教師の妻。
それぞれのキャラクターが上手く描かれています。
オープニングから最後まで地下の狭い空間でドラマが展開する閉所ドラマの名作。 
「ほの蒼き瞳」 The Pale Blue Eye
(監)(製)(脚)スコット・クーパー(アメリカ)
(製)クリスチャン・ベール、ジョン・レッシャー、タイラー・トンプソン(製総)トレイシー・ランドン、バディ・パトリック、ディラン・ウェザード他
(原)ルイス・バイヤード「陸軍士官学校の死」(撮)マサノブ・タカヤナギ(編)ディラン・ティチェナー(音)ハワード・ショア
(出)クリスチャン・ベール、ハリー・メリング、ジリアン・アンダーソン、シャルロット・ゲンズブール、トビー・ジョーンズ
ロバート・デュバル、ルーシー・ボイントン、サイモン・マクバーニー、ティモシー・スポール
<あらすじ>
1830年ニューヨーク州ウエストポイントに陸軍士官学校で首をつった学生の死体が発見され死体からは心臓が取り去られていました。
学校の幹部は事件が外部にもれないよう密かに元刑事のオーガスタス・ランドーに捜査を依頼。
彼は学内でエドガー・アラン・ポーという青年と出会い、優秀な彼を助手として使い始めます。 
密室的内で起きた猟奇的な連続殺人事件は、名作「薔薇の名前」を思い起こさせます。
ただし、今回の助手は見習い神父ではなく、見習い兵士でもなく将来の天才作家というのが味噌!
それだけで十分に面白いのですが、さらにラストには驚きのどんでん返しも用意されています。
オーソドックスな西部劇調の画面にも好感が持てます。
しまった!前作を見逃している! 
ちなみにエドガーを演じているのは「ハリー・ポッター」のあのダドリーちゃん!士官役にピーター・ペティグリュー!
「ホール~スタンドアップの偉大な先達たち~」 The Hall : Hororing the Greats of Standing-Up(ドキュメンタリー)(N)
(監)マーティ・コーナー Marty Callner(アメリカ)
(ホスト)Pete Davidson(プレゼンター)Dave Chappelle, Chalsea Handler, John Mulaney, Jeff Ross, Jo Stewart
(脚)Chuck Sklar, Jeff Ross(撮)Jay Lafayette(編)Michael D. Mike(PD)Joe Celli(音)Mix Master Mike(ビ―スティー・ボーイズ)
スタンドアップ・コメディアンの殿堂入りした4人への表彰イベント番組
ジョージ・カーリン George Carllin、ロビン・ウィリアムス Robin Williams、ジョーン・リバース Joan Rivers, リチャード・プライヤー Richard Pryor
ジョージ・カーリンの名言(レニー・ブルースと共にこの言葉のおかげで警察に逮捕された)
「クソ! Shit」「ションベン Piss」「ファック Fuck」「オマンコ Cunt」「コックサッカー Cocksucker」「マザーファッカー Motherucker」「オッパイ Tits」
「ホワイト・ノイズ」 White Noise(N)
(監)(製)(脚)ノア・バームバック(アメリカ)
(製)デヴィッド・ハイマン、ユーリ・シンガー(原)ドン・デリーロ(撮)ロル・クロウリー(編)マシュー・ハンナム(音)ダニー・エルフマン
(出)アダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグ、ドン・チードル、ラフィー・キャシディー、アンドレ・ベンジャミン、ジョディ・ターナー=スミス 
<あらすじ>
化学物質を積んでいたトラックが列車と衝突炎上し、毒性の物質がブラックスミスという街を襲うことになりました。
大学でヒトラーについて教えている教授ジャックは、家族と共に車で街から逃げ出します。
普段から死の恐怖を感じていた彼は家族と共に危機的状況に追い込まれ、様々なことを考えます。
その後、街は平常に戻りますが、彼の妻は謎の薬物を常用していて物忘れが激しくなります。
ジャックはその薬品がなんなのかを娘と共に調べ始めますが、・・・
東海岸に住むインテリ層の家族の物語を撮り続けてきたノア・バームバックが初めて挑むドン・デリーロによる不条理SFの映画化。
背景は80年代のアメリカ?(原作は1985年発表)
前半は、いつ起きるかわからない人類絶滅の恐怖を体験する物語。
後半は、死を恐れる現代人が陥りがちな宗教や薬物などへの依存との闘い。
未来への恐怖を恐れつつ、それを何かを信じているふりをしながら生きる人類へのオマージュ。
その象徴的な場所がスーパーマーケット。だからこそのラストの素敵なダンスが楽しい!
デヴィッド・バーン監督の「トゥルー・ストーリー」を思い出しました。
「マーサ・ミッチェル - 誰も信じなかった告発 -」Martha Mitchell(ドキュメンタリー)(N)
(監)(編)アン・アルベルグ(アメリカ)
(P)ベス・レヴィンソン、ジュディス・ミズラヒ(EP)ジャミー・ウルフ(音)ネイサン・ハルペルン他(出)マーサ・ミッチェル
ニクソン政権の司法長官ジョン・ミッチェルの妻マーサ。彼女は他のお飾りの妻たちと違い歯に衣着せない発言でマスコミの人気者になります。
ニクソン政権の再選に向けた選挙運動の最中に民主党本部に侵入したニクソン再選運動の顧問が逮捕されます。
その犯人がミッチェルの名前を出したことで、夫がスケープゴートにされるを思った彼女は大統領こそが主犯と発言。
しかし、彼女の精神状態はおかしいとの情報が流出し、彼女の看病のために夫が政界を離れます。
彼女の発言は嘘とマスコミも判断することとになりますが・・・ 
「マチルダ・ザ・ミュージカル」 Roald Dahl's Matilda the Musical
(監)マシュー・ウォーチャス(イギリス)
(製)ティム・ビーバン、エリック・フェルナー他(製総)サラ=ジェーン・ロビンソン他(原)ロアルド・ダール(脚)デニス・ケリー
(撮)タト・ラドクリフ(美)デヴィッド・ヒンデル、クリスチャン・ヒューバンド(編)メラニー・アン・オリバー(衣)ロブ・ハウエル
(音)クリストファー・ナイチンゲール(曲)デイム・ミンンチェン(振)エレン・ケイン
(出)アリーシャ・ウィアー、ラシャーナ・リンチ、スティーブン・グレアム、エマ・トンプソン、アンドレア・ライズボロー、シンドゥ・ビー 
<あらすじ>
両親にいじめられ恐ろしい校長がいる学校に通うことになった少女マチルダ。
さっそく校長に目を付けられますが、彼女は校長に反発します。
マチルダは天才少女なだけでなく、実は超能力テレキネシスも持っていることがわかります・・ 
「チャーリーとチョコレート工場」の原作者による学園ファンタジーをミュージカル化して大ヒットした作品の映画化。
主人公の演技・歌は素晴らしい!それとまさかのエマ・トンプソン!のラスボス役が凄い!
「マット・キラウ:自由のための反逆」 Mat Kilau
(監)(脚)(編)シャムスル・ユーソフ(マレーシア)
(脚)シャフルディン・ダリ(撮)ラヒミ・マイディン(音)サントシュ・ロガンドラン
(出)アディ・プトラ、ベト・クシャイリー、ファッタ・アミン、ヨハン・アサリ、ラヒム・ラザリ、ナム・ロン、ヤヤン・ルヒアン(細身の最凶殺し屋)
英国の植民地だった時代にイスラムの教えを学んだマット・キラウが英国との独立戦争に立ち上がるまでを描いた作品。
マット・キラウは実在の人物ですが、内容的にはイケメン・アクション・スターによるほぼカンフー映画。
アラーの神のために戦う姿勢が少々不気味です。ましてそれが勝利の原因と思ったら・・・
この時に得た独立戦争での勝利のイメージがアラーへの強烈な信仰を生み出したのかもしれません。
そう考えると、神と戦争の組み合わせは恐ろしい。
「マン・フロム・トロント」 The Man From Toronto(N)
(監)パトリック・ヒューズ(アメリカ)
(脚)ロビー・フォックス、クリス・ブレムナー(撮)ロブ・ハーディ(音)ラミン・ジャバディ
(出)ケヴィン・ハート、ウディ・ハレルソン、ケイリー・クオコ、エレン・ナーキン、山下智久(マン・フロム・トーキョー) 
<あらすじ>
最強の殺し屋「マン・フロム・トロントMFT」が仕事の現場に来るはずが、先に現れたのはスポーツ・ジムの営業マン。
彼はなぜかMFTと間違えられてしまいます。そこに突入したFBIに彼は逮捕されます。
このまま間違えられたまま仕事を続けるようにFBIに指示されたところへ、本物のMFTが現れます。 
ウディ・ハレルソンだからこその役どころ。昔ならデニス・ホッパーでも良かったけど、おバカすぎて断ったかな。
まあ、おバカでご都合主義ではありますが、ここまでやれば楽しめます。 
「ザ・メニュー」 The Menu (D)
(監)マーク・マイロッド(アメリカ/イギリス)
(製)アダム・マッケイ、ベッツィー・コック、ウィル・フェレル(脚)セス・リース、ウィル・トレイシー(撮)ピーター・デミング
(PD)イーサン・トブマン(美)リンゼイ・モーラン(編)クリストファー・テレフセン(音)コリン・ステットソン
(出)レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ジャネット・マクティア、ジョン・レイグザモ、ホン・チャウ
<あらすじ>
無人島にある予約困難なレストラン「ホーソン」。シェフのスローヴィクの料理を味わうために集まった客たち。
しかし、その日の料理は何か奇妙でした。するとシェフは今日は究極のメニューを提供する我々最後で最高の日であると宣言します。
一品出されるたびに起きる事件はしだいに過激になり、ついには死人まで出ます。
シェフはなにを使用としているのか?そこから逃げることはできるのか?
宮沢賢治「注文の多い料理店」なのか?と思いつつ見ましたが、あながちはずれてはいませんでした。
笑えないコメディ映画、怖くないホラー映画、美味しそうなのに食べたくならないグルメ映画
いろいろな映画がありな時代になったのかもしれません。 
「私ときどきレッサーパンダ」 Turning Red (アニメ)(D)ピクサー
(監)(脚)ドミー・シー(アメリカ/中国)
(製)リンジー・コリンズ(製総)ダン・スキャンロン、ピート・ドクター(脚)ジュリア・チョー(PD)ローナ・リウ(編)ニコラス・C・スミス
(音)ルートヴィッヒ・ヨーランソン(オリジナル曲)ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコンネル
(声)ロザリー・シアン、サンドラ・オー、エヴァ・モース、マイトレイ・ラマクリシュナン、ヘイン・パク
大人になりかけの中国系少女の変化をレッサーパンダへの変身として描いたアニメ・ファンタジー。
大人になる中で自分の中の「野獣」を飼いならすか?なかなか深い作品。 
「我らの罪を赦したまえ」 Forgiven Us Our Trespasses(短編)(N)
(監)(脚)アシュレイ・エーキン Ashley Eakin(アメリカ) 
(製総)ジェレミー・キップ・ウォーカー、フレア・ブルックス(製)アーロン・バーネット(脚)ショーン・ラバリング(撮)マイケル・ガルブレイス
(PD)オルグ・サヴィツキー(編)エリック・デック(衣)アン・ディクソン(音)アレックス・ウェストン
(出)ノックス・ギブソン、ハネケ・タルボット、ジャスティン・マダー
<エンディング>
1939年ヒトラーの指示によりT4作戦開始。これによりナチスにより、障害者30万人が殺害され、40万人が断種された。
その死は、ユダヤ人の虐殺に使われた「ガス室」の実験台ともなった。犠牲者の多くは子供たちで、その事実は忘れられつつある。
「その国のモラルは子供たちをどう扱うかでわかる」 とはドイツの哲学者、宗教家のボン・ヘッファーの言葉です。(映画冒頭より)
わずか14分の映画ですが、その重みは超大作並み!ずっしりと心に響くはずです。
2023年
「刑事ジョン・ルーサー フォールン・サン」 Luther : The Fallen Sun(N)
(監)ジェイミー・ペイン(イギリス)
(製)(原)(脚)ニール・クロス(製)ピーター・チャーニン他(製総)ブレンダン・ファーガソン、ダン・フィンレイ他(撮)ラリー・スミス
(美)ジョン・ゲイリー・スティール(衣)スーザン・ライアル(編)ジャスティン・ライト(音)ローン・バルフェ(視効)マット・カスミア
(出)イドリス・エルバ、アンディ・サーキス、シンシア・エリボ、ダーモット・クロウリー、トーマス・クームズ、ハティ・モラハン 
BBCの刑事ドラマ「刑事ジョン・ルーサー」の続編であり映画版。実にダークな刑事ドラマでしたが、その雰囲気も見事に継承。
人の弱味につけこむ史上最低のラスボスを演じるのは、あのゴラムことアンディ・サーキス。胸糞悪い役にはまっています。
残念ながら大好きなキャラクター「アリス」は登場せず。
国家の存続に関わる?大きな新たな任務を与えられることになりそうな次回作にも期待します。
「タン・ソイ:美しき殺し屋」 Furies/Thanh Soi (N)
(監)(出)ンゴ・タイヴァン(ベロニカ・グゥ)(ベトナム)
(脚)アーロン・トロント、グエン・チュオン・ニャン、グエン・ゴック・タン、リー・グエン・ニャ・ウエン
(出)ドン・アン・クイン、トック・ティエン、トゥアン・K・グエン、リマ・タン・ヴィ、ソン・ルアン 
母親を殺され、家も家族も失った少女が街で謎の女性に救われ、同じように拾われた女性たちと暮らすことに。
彼女はそこで戦うための訓練を受け、裏社会で娼婦として働かされる女性たちを救うために戦い始めます。
そして、街を仕切るボスを倒すための作戦を開始しますが・・・その裏には・・・ 
女性たちのアクションが見ごたえあり。ストーリーも単純な復讐物語かと思ったら、ラストは意外でした。
「美しき殺し屋」というタイトルはちょっと違いますよね。フェミニズムの映画と思ったらラストは違ったかも?
女性側のボス役がこの映画の監督。この監督が主演の「ハイ・フォン/ママは元ギャング」と言う作品の前日譚らしいです。
「ランナウェイ・シーフ」 Chor Nikal Ke Bhaga(N)
(監)エージェイ・シン(インド)
(製)ディネーシュ・ビジャン(製)(脚)アマル・カウシク(脚)シラージ・アーメド、ラジ・クマール・グプタ(撮)ジャンニ・ジャネリ
(編)チャール・サカール(音)ケタン・ソーダ、ヴィシャル・ミシュウ
(出)ヤミー・ガウタム、サニー・コウシャル、シャラード・ケルカー、インドラニール・セーン
<あらすじ>
多額の借金を返済する代わりにダイヤを奪う作戦に参加することになったカップル。
飛行機の中でダイヤを仕込んだスマホを盗み出し、偽物と交換する作戦でしたが、飛行機がハイジャックされてしまいます。
なんとか機内でダイヤの盗み出しに成功。さらに保安官が犯人の殺害に成功し事件は解決したように見えましたが・・・
ところが、機内に踏み込んだ警察は機内に犯人たちの死体がないことに気づきます。そしてダイヤも偽物だったとわかります。
犯人の死体はどこに?彼らを射殺した保安官はどこに?本物のダイヤはどこに?
スパイク・リーの銀行強盗ものの傑作「インサイドマン」の飛行機版とも言える作品。
ほぼほぼ先は読めちゃいましたが、それにしても実によくできた脚本です。
次回作は別れたはずの二人が一緒に仕事をするのはどうでしょう?赤ちゃんをあやしながら・・とか。