21世紀ハリウッド・サウンドの元締め


- ハンス・ジマー Hans Zimmer と仲間たち -
<21世紀ハリウッド映画音楽界のラス・ボス>
 21世紀に入り、映画音楽の世界は大きく変わりつつあります。1950年代から60年代にかけて、ハリウッド映画黄金期に活躍した映画音楽作家たちのほとんどはこの世を去りました。そして、ハリウッドで作られる映画も大きく変わりました。ほとんどのヒット作品は、サスペンス・アクション大作もしくはSFファンタジー大作で、その多くはシリーズ化されたものです。以前よりもテレビの大作が増え、作曲家の仕事は減るどころか増えているかもしれませんが、やるべき仕事量のわりに印象に残る作品が減ったしまったようです。スタンダードになるほどヒットした映画のテーマ曲は、最近ではほとんどありません。かつては、歌のないテーマ曲がヒット・チャートの上位に来ることも珍しくはなかったのですが、もうそれは過去のことのようです。
 そんな映画界において、20世紀最後の巨人ジョン・ウィリアムスに代わる存在になろうとしているのが、ハンス・ジマー Hans Zimmer です。今や、映画音楽の世界でラスボス的存在となり、多くの仲間を抱える作曲家の仕事と、その仲間たちの仕事を調べてみました。

<ハンス・ジマーの作品>
 映画ファンでも、ハンス・ジマーと言われて何を作曲した人か、わからないかもしれません。昔のように、映画からヒット曲が出ない時代なので、映画音楽の作曲家はなかなか表には出てこないので当然です。(ヒットするのは、ポップ系アーティストによる主題歌です)
 ということで、先ずは彼の作品を並べてみます。主な作品だけでも、大ヒット作が目白押しです。それと大ヒットすることでシリーズ化された作品も多いので、パート2、パート3とどんどん作品の数が増えていることもわかります。

<1980年代>
「レインマン」(1988年)、「ブラック・レイン」(1989年)、「ドライビング・ミス・デイジー」(1989年)
<1990年代>
「グリーン・カード」(1990)、「バックドラフト」(1991年)、「ライオン・キング」(1994年)、「クリムゾン・タイド」(1995年)、「ザ・ロック」(1996年)、「シン・レッド・ライン」(1998年)
「プリンス・オブ・エジプト」(1998年)
<2000年代>
「グラディエーター」(2000年)、「MI-2」(2000年)、「ハンニバル」(2001年)、「パールハーバー」(2001年)、「ザ・リング」(2002年)
「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(2003年)、「ラスト・サムライ」(2003年)、「マッチスティック・メン」(2003年)、「マダガスカル」(2005年)
「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年)、「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」(2006年)、「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールズ・エンド」(2007年)
「カンフー・パンダ」(2007年)、「ダークナイト」(2008年)、「フロスト×ニクソン」(2008年)、「天使と悪魔」(2009年)、「シャーロック・ホームズ」(2009年)
<2010年代>
インセプション」(2010年)、「怪盗グルーの月泥棒」(2010年)、「パイレーツ・オブ・カリビアン 命の泉」(2011年)、「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」(2011年)
「ダークナイト・ライジング」(2012年)、「マン・オブ・スティール」(2013年)、「ラッシュ/プライドと友情」(2013年)、「それでも夜は明ける」(2013年)
「ダイバージェント」(2014年)、「インターステラー」(2014年)、「チャッピー」(2015年)、「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(2015年)
「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015年)、「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」(2016年)、「インフェルノ」(2016年)、「ドリーム」(2016年)
「ダンケルク」(2017年)、「ブレードランナー2049」(2017年)、「ザ・リング/リバース」(2017年)、「ボス・ベイビー」(2017年)

<ハンス・ジマーの生い立ち>
 ハンス・ジマー Hans Zimmer は、1957年9月12日、ドイツのハンブルクに生まれています。ミュージシャンを目指していた彼は、音楽活動のためロンドンに移住し、「ラジオスターの悲劇」で有名なバグルスに参加。キーボードを担当していました。その頃、映画「ディア・ハンター」などで知られるイギリス人の作曲家スタンリー・マイヤーズと知り合い、映画音楽と関わるようになりました。マイヤーズと共に参加したスティーブン・フリアーズ監督作品「マイ・ビューティフル・ランドレット」(1985年)が大ヒット。そして、クリス・メンゲスの初監督作品「ワールド・アパート」(1987年)の音楽を担当。そして、この映画を観たハリウッドの巨匠バリー・レヴィンソンが彼の音楽を気に入り、自作「レインマン」の音楽を依頼。ここからハンス・ジマーのハリウッドでの活躍が始まることになりました。
 1989年、ジェフ・リフキンと共に優秀な作曲家を育てながら共同で仕事を進めるための音楽家集団「メディア・ヴェンチャーズ」(現在のリモート・コントロール)を結成。さらに録音技師のアラン・マイヤーソンを中心とした録音スタジオも設立し、多くの優秀な作曲家を生み出して行くことになります。
 その中には、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、ジョン・パウエル、ニック・グレニー=スミス、クラウス・バデルト、スティーヴ・ジャブロンスキー、ヘンリー・ジャックマン・・・がいます。
 これらのメンバーによる作品は今やハリウッドにおけるエンターテイメント大作のかなりの部分をしめるようになったため、ハンス・ジマー節ともいえ曲ばかりなりつつあるかもしれません。そうでなくても、ハリウッドのヒット作がどれも大味な大作アクションになり、似た作品ばかりになったので似てしまうのも当然ですが・・・。
 以下に、そんな仲間たちによる作品を並べてみました。

<ハンス・ジマーの仲間と作品>
<ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ Harry Gregson-Williams>
「リプレイスメント・キラー」(1998年)、「エネミー・オブ・アメリカ」(1998年)、「チキンラン」(2000年)、「シュレック」(2001年)、「スパイ・ゲーム」(2001年)
「ヴェロニカ・ゲリン」(2003年)、「ブリジット・ジョーンズの日記」(2004年)、「キングダム・オブ・ヘブン」(2005年)、「ナルニア国物語 第一章ライオンと魔女」(2005年)
「デジャブ」(2006年)、「シュレック3」(2007年)、「ナルニア国物語 第二章カスピアン王子の角笛」(2008年)、「サブウェイ123」(2009年)
「ウルヴァリンX-ZERO」(2009年)、「アンストッパブル」(2010年)、「ザ・タウン」(2010年)、「トータル・リコール」(2012年)、「イコライザー」(2014年)
「オデッセイ」(2015年)、「夜に生きる」(2016年)

<ジョン・パウエル John Powell>
「フェイス/オフ」(1997年)、「アンツ」(1998年)、「エヴォリューション」(2001年)、「シュレック」(2001年)、「アイ・アム・サム」(2001年)
「ボーン・アイデンティティー」(2002年)、「ドラムライン」(2002年)、「ペイチェック消された記憶」(2003年)、「ボーン・スプレマシー」(2004年)
「アルフィー」(2004年)、「ロボッツ」(2005年)、「Mr&Mrsスミス」(2005年)、「ユナイテッド93」(2006年)、「X-MENファイナル・デシジョン」(2006年)
「ハッピー・フィート」(2006年)、「ボーン・アルティメイタム」(2007年)、「カンフー・パンダ」(2007年)、「PSアイ・ラブ・ユー」(2007年)
「ジャンパー」(2008年)、「ハンコック」(2008年)、「ヒックとドラゴン」(2010年)、「ナイト・アンド・デイ」(2010年)、「フェア・ゲーム」(2010年)
「カンフー・パンダ2」(2011年)、「ハッピー・フィート2」(2011年)、「PAN ネバーランド夢の始まり」(2015年)、「ジェイソン・ボーン」(2016年)

<ニック・グレニー=スミス Nick Glennie-Smith>
「ザ・ロック」(1997年)、「ホーム・アローン3」(1998年)、「ワンス・アンド・フォーエヴァー」(2002年)、「君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956」(2006年)

<クラウス・バデルト Klaus Badelt>
「タイムマシン」(2002年)、「K-19」(2002年)、「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」(2003年)、「ケリー・ザ・ギャング」(2003年)
「キャット・ウーマン」(2004年)、「コンスタンティン」(2005年)、「ポセイドン」(2006年)、「16ブロック」(2006年)、「スターシップ・トゥルーパーズ3」(2008年)
「シャンハイ」(2010年)、「ハート・ブレイカー」(2010年)、「空海 美しき王妃の謎」(2018年)

<スティーヴ・ジャブロンスキー Steve Jablonsky>
「テキサス・チェーンソー」(2003年)、「アイランド」(2005年)、「悪魔の棲む家」(2005年)、「トランスフォーマー」(2007年)、「13日の金曜日」(2008年)
「エルム街の悪夢」(2010年)、「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」(2011年)、「バトルシップ」(2012年)、「エンダ―のゲーム」(2013年)
「トランス・フォーマー ロスト・エイジ」(2014年)、「ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影」(2016年)

<ヘンリー・ジャックマン Harry Gregson-Williams>
「モンスター&エイリアン」(2009ネ年)、「X-MEN ファースト・ジェネレーション」(2011年)、「キック・アス」(2011年)、
「リンカーン 秘密の書」(2012年)、「シュガー・ラッシュ」(2012年)、「キャプテン・フィリップス」(2013年)、「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」(2014年)
「ベイマックス」(2014年)、「キングスマン」(2014年)、「ピクセル」(2015年)、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016年)
「キング・コング 髑髏島の巨神」(2017年)、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」(2017年)

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