邦画の歴史と代表作
History of Japanese Films

- 邦画の歴史年表と代表的作品 -

<邦画の原点>
 パリで世界で初めてシネマトグラフの上映が行われたのが1895年のこと。意外なことに、それからわずか2年後の1897年遥か遠くアジアの果ての国日本の大阪でシネマトグラフが上映されています。(その早さに理由については、リュミエール兄弟のページをご覧下さい)そして、その2年後には国産初の映画が公開されています。まだ船でしか行き来ができなかった時代にもかかわらず、日本では欧米諸国とほぼ同じ時期に映画の時代が始まっていたのでした。
 ハリウッドで「ジャズシンガー」が公開されトーキーの時代が始まったのが、1927年。それに対して日本の初のトーキー映画「マダムと女房」が作られたのは1931年。ここでも4年遅れで日本はトーキーの時代を迎えています。しかし、この後、日本は太平洋戦争の混乱と敗戦により、映画文化の発展も一時停止してしまいます。そのため、ハリウッドで1935年に初のカラー映画が作られてから、日本における初のカラー映画「カルメン故郷に帰る」が公開されるまで16年もの年月が必要とされました。
 ただし、カラー化されていなくても日本映画の質の向上は確実に進んでいました。その証拠に1950年代日本映画は世界各地の映画祭で様々な賞を受賞し、世界に日本映画の素晴らしさを広めました。

<邦画ならではの魅力の原点>
(1)読み物文化
 日本は18世紀あたりから、世界で稀なほどに大衆的な読み物の興隆を見ていた。明治維新ののちには、落語、速記本に始まり、講談から新聞小説、児童読み物まで、ありとあらゆる書が溢れかえっていた。高い識字率が豊かな読者層を保証するという状況が、長きにわたって続いたのである。・・・
 こうした読み物は映画に原作を提供するばかりか、観客に物語の視覚化への潜在的欲望を換起させた。
(それは映画という文化を受け入れる下地となっただけでなく、字幕によって海外の作品を見るという習慣をも日本人にもたらしたといえます)

(2)歌舞伎からの影響
 戦前の時代劇は俳優の芸名から扮装、メイキャップ、細かな立ち居振る舞いと発声にいたるまで、歌舞伎役者の影響を受けていたし、物語の題材としても歌舞伎と人形浄瑠璃は豊かなストックをもっていた。
・・・1920年代初めまで日本映画に本格的女優が登場しなかったのは、歌舞伎に倣って女形がもっぱら女性の役を演じていたためであった。
(映画を作る際の下地となる演技、俳優、物語が歌舞伎にはそろっていたわけです)

「演出家ピーター・ブルックの説によれば、歌舞伎と能は演劇の中でもっとも豪奢を極めたものと、もっとも簡素なものとの両極であって、世界中の他のすべての演劇はこの両極のあいだに存在しているとのことだった。」
四方田犬彦「映画史への招待」より

(3)日本的画面構成
 ・・・溝口健二は「元禄忠臣蔵」を撮るにあたって、西洋絵画がクローズアップによる1点の凝視と焦点化に重きを置いているのに対して、日本絵画は「全体的画面構成」によるロングショットを基調とし、同じ画面のなかに複数の中心を持ち込んでいると論じた。彼は日本映画は「静かに平凡な日本画の立って学ばねばならぬ」と説いた。彼は住吉具慶の「洛中洛外図」に理想の構図を見出し、遠くから事物を俯瞰で見つめることを好んだ。また安藤広重の名所図絵の空間構成に深い関心を抱き、流動的にしてゆるやかな時間の推移と、それにともなう空間の連続的な変化を文体に取り入れた。「雨月物語」における露天風呂から岩場を越え、浜辺へと通じるカメラの移動とオーヴァーラップに、そのもっとも美しい実現を見ることができる。
(日本の映画ならではの画面構成は、屏風絵や襖絵など古くからの絵画の世界において生み出されてきたものだったのです)

(4)弁士の存在
 日本映画における「弁士」の役割は他の国とは異なり重要なものでした。(弁士という職業が活躍したのは、日本とアジアの一部のみでした)
「弁士はフィルムを解説し、外国語の字幕を外連味たっぷりに読み上げ、観客がスクリーンに一体化して陶酔の極に至るまでの導き手となった。1929年にハリウッドで最初の完全トーキー映画が現われるまで、世界中の大部分の観客は映画を単に視覚を通じてしか体験していなかった。しかし、この時期ただ日本人だけが視覚と聴覚の複合メディアとして受け取っていたのだ。」
四方田犬彦「映画史への招待」より

「弁士が殷賑をきわめた理由のひとつには、この国では活動写真が人形浄瑠璃のように映像(形態)と音声の分離を前提とした大衆演劇の延長線上に受け入れられたという経緯があずかっている。」
四方田犬彦「映画史への招待」より
「日本には無声映画などなかった」稲垣浩
 1896年に大阪でキネトスコープが初めて上映されたとき、上田衣袋軒という義太夫語りの芸人が説明者(弁士のこと)として舞台に上がりました。日本においては映画と弁士は初めからセットで存在していたわけです。

(5)大衆演劇の存在
「大衆演劇は映画に実に多くのものを提供してきた。まず俳優、演出家。それから誰もがよく知っているといった類の物語。伴奏音楽のスタッフ、劇場。しかし、もっとも重要なのは、それがあらかじめ観客を育て上げてきたということだ。」
四方田犬彦「映画史への招待」より

「1910年代に牧野省三は脚本をもたずに映画を撮ることができたが、それは彼の生家が千本座を経営する義太夫語りであり、彼自身がこの口承芸の多くを暗誦していたからであった。カメラを前に莫大な科白の記憶をたぐり寄せるだけで、演出は十分だったのである。」
四方田犬彦「映画史への招待」より

<邦画の黄金時代>
 黒澤明、溝口謙二、衣笠貞之助、稲垣浩、今井正が次々と海外の賞をとった1950年代後半、日本の映画人口は11億2700万に達し、そのピークを迎えました。さらに1960年には、映画の製作本数、映画館の数もピークに達しています。当時娯楽の王様だった日本の映画は、質、量ともに絶頂期を迎えていたのです。(1950年代といえば、「君の名は」が一大ブームとなったのが1953年。「太陽の季節」の大ヒットが1956年。「嵐を呼ぶ男」の大ヒットが1958年と、ブームを巻き起こした話題作もいろいろありました)その点では、興行的に稼げていたからこそ、巨匠たちは芸術性を追求することができたともいえるでしょう。なにせ、11億人以上の映画ファンがいたのですから、多少は難解な映画でも十分お客さんは入ったのでしょう。

<邦画の後退期>
 その後、1960年代から1970年代、1980年代にかけて邦画は、海外でほとんど賞をとっていません。もちろん、賞に縁がないからといって、作品のレベルが低いとは一概に言い切れません。しかし、製作本数が少なければ当然、賞をとれる作品が生まれる可能性が低くなるのも事実です。この時期、映画界は不況の時代に入り、質、量ともに下降気味になり、その担い手である新しい監督たちが登場するチャンスも急激に減りつつありました。
 この間、邦画は1975年には興行収入で洋画に初めて追い越され、その状況は21世紀に入るまで続くことになります。

<邦画復活への動き>
 邦画の苦境の時代に変化が現れ始めたのは、1990年代に入ってからです。東映のVシネマのように映画館ではなくビデオやDVDを意識した作品が生まれることで、映画の製作本数は久しぶりに増え始め、そのおかげで若い監督たちにも映画製作のチャンスが巡ってくるようになりました。さらに音楽業界におけるPV(プロモーション・ビデオ)の広がりもまた多くの才能が生まれるきっかけとなりました。
 シネコンの登場により、映画館の数はさらに減少し、1996年には映画人口は史上最低を記録しています。それでもレンタル・ビデオ(DVD)業界の発展により、映画館ではなく家で映画を見る人は増え、それにより映画界は映画館以外に場所でも収益をあげることができるようになります。さらに、メガヒットした「もののけ姫」もまた映画業界復活の起爆剤となりました。

<海外から注目される監督たち>
 不思議なことに、邦画が輝きを取り戻しつつあった1990年代には、多くの監督たちが海外で注目されるようになりました。河瀬直美、是枝祐和、小栗康平、青山真治、黒沢清、塚本晋也、北野武らの監督たちが海外の映画祭で賞を獲得。その他にも、ベテランの監督たち、相米慎二、新藤兼人、市川昆らも再評価され賞を獲得しています。(1999年から2004年にかけては特に集中していました)
 こうして、邦画の歴史をみてみると、創造性、芸術性が高まる時代というのは、その文化全体が勢いをもち少数の天才たちの自由な創造を支えるその他の多くのアーティストたちの存在が不可欠だということです。これは、もちろん映画だけではなく他のジャンルにもいえることでしょう。

「今から百年後に、人はどのような日本映画を観ているだろうか。
 おそらくその半分以上の作品を、すでにわれわれは知っている。未来の人々は、われわれと同じように黒澤明の「生きる」を観て涙を流し、大島渚の「御法度」を観てノスタルジックに耽り、それからまだわれわれが知らないでいる作品を観て、論文を書いていたりしているだろう。それは、われわれが現在、19世紀に執筆されら「ボヴァリー夫人」という小説を読んだり、「椿姫」というオペラに恍惚とした気分を味わうことと、ほとんど同じ体験だといってよい。映画はオペラのようになるだろう。新しいフィルムがこれまでと同じほどに制作されるわけではないが、過去に撮られた優れたフィルムはクラシックとして記憶されることだろう。」

四方田犬彦「日本映画史100年」より
1900年代 1920年代 1930年代 1940年代 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代

日本映画の偉大な監督・俳優たち


(注)映画の公開年は、年末12月公開のものは正月映画として翌年の公開年にしています。
(注)このページはまだまだこれから増強してゆきます。
1893年
エジソンがキネトスコープを発明(映画の起源とはならず)
1895年
12月、パリでシネマトグラフが初上映される(映画の始まり)
梅屋庄吉(日活創設者の一人)が香港で営業していた写真館「梅屋照相館」で孫文と知り合い、中国での革命運動への協力を約束。
1897年
2月、稲畑勝太郎によって輸入されたシネマトグラフが大阪で初上映される(映画伝来)この時、同時にフランスからカメラマンも来日し、京都で歌舞伎役者などを撮影していった。
1898年
前年に撮影されたリュミエール社による日本の映像が日本で公開される。これは外からの目で見た日本の姿を日本人が見た最初の体験となった
「・・・「異国的なるもの」を対象として見定める眼差しを通して、日本人は近代の植民地主義、帝国主義の眼差しを無意識的に学ぶことになった。
日本映画の誕生が台湾の植民地化と同時期であったことは、けっして偶然ではない。・・・」

四方田犬彦「日本映画史100年」より
日本はヨーロッパから征服すべき土地として見られている。そうならないためには、日本は同じような目でアジア諸国を見つめるようになる必要があるだろう。・・・そう思うきっかけとなったというわけです。
日本人による最初の映画が製作される
東京の小西写真館に勤める浅野四郎が撮った2本の短編映画「化け地蔵」、「死人の蘇生」はどちらもある意味SF・ホラー作品だった
1899年
初の劇映画「ピストル強盗清水定吉」製作される
現存する最古の映画「紅葉狩(もみじがり)」公開(歌舞伎役者、市川団十郎と尾上菊五郎主演の歌舞伎を三越写真部の柴田常吉が撮影したライブ映像的なもの)
駒田好洋は俳優に新派の役者を用いた作品を撮った
1900年
1903年
初の常設映画館が東京浅草にオープン(吉沢商店)
(上映されたのは、風景映画、歌舞伎、相撲、芸者の踊りなどの動画映像。昼3回、夜2回の一日5回上映で椅子席はまだなかった。なんとこのとき、すでに痴漢騒ぎが多発したといいます)
1904年
吉沢商店による日露戦争のドキュメンタリー風映画が大ヒット(トリック撮影ややらせ映像も含まれていたので正確な記録映画ではなかった)
「道草半時、戦争で活動写真と新演劇は天井知らずの好景気だ。
東洋活動写真が去る十四日から日露の海戦陸戦を呼び物の一つとして四条南座で開場してゐるが、陸戦で衛生隊がたんかで怪我の負傷兵を懇切に救助しつつあるところ等は大喝采だ。
 何しろすこぶる非常つきの駒田の説明で、すこぶる非常の大人気だ。」

「京都朝報」6月16日より
孫文との交友関係から中国政府が梅屋庄吉の逮捕に動き出したため、梅屋はシンガポールへと脱出。そこで「映画」と出会い、売春宿を経営しながら自ら映写技師となり映画館を開業します
フランスの大手映画会社「パテー社」から映写機とフィルムを購入し、日本での開業を目指します
1906年
梅屋庄吉がエム・パテー活動写真会を設立。(後のエム・パテー商会)弁士養成所を開設し、卒業生を弁士として雇った。
1908年
牧野省三が横田商会の依頼により「本能寺合戦」を撮影。この作品から京都を舞台にした映画製作が本格化。
日本最初の本格的な映画監督となった牧野省三(1878年〜1929年)は、浄瑠璃小屋を所有していてそこで上演される物語をすべて暗記していた。(彼の息子がマキノ雅弘)
「和製グリフィスと呼ばれ、日本で最初の本格的監督として活躍した牧野省三は、人から活動写真を撮るときにもっとも大切なことはなにかと尋ねられて、
「一スジ、二ヌケ、三ドウサ」と答えている。」

 ここでいうスジとは、物語の面白さのこと。ヌケとは、現像後に画面がすっきりと明るく仕上がっているかどうか。
(当時は、フィルムもカメラも性能が劣っていたために画像が薄暗くなる場合が多かった)
ドウサとは、役者の動き、演技のこと。(彼は浄瑠璃の動きなどからチャンバラの殺陣などの役者の動きを生み出していった)ただし、どの俳優を使うかの選択でもありました。
四方田犬彦「日本映画史100年」より
1909年
牧野省三と尾上松之助のコンビがスタート。「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助はこの後大人気となる。
牧野監督は日本初のスター俳優となった尾上松之助主演の映画を14年間に1000本以上撮ることになります。
日本初の映画雑誌「活動写真界」発行(映画の制作会社である吉沢商会は自社作品を解説するために作ったものだった。翌年には、批評家による解説も登場した。
 フランス映画「ジゴマ」の和製リメイク(もちろん無許可)が上映禁止となる(ジゴマの犯行をマネた強盗事件が多発したため)大ヒットしていたため、映画館にとっては大きな打撃となった
エム・パテー製作の第一作「曽我兄弟狩場の曙」を発表。
俳優には少女歌舞伎の人気者、中村歌扇とその一座「娘美団」を使ったが、それは当時、際物的なものと見られました。当時はまだ女性を演じるのは、「女形」(男性)が当たり前だったからです。
1921年に粟島すみ子が登場するまで女性のスターは、不在なままでした。
1910年
「忠臣蔵」(監)牧野省三(出)尾上松之助(この作品は歌舞伎の実況中継的な作品でした)
1911年
横浜オデオン座が日本初の外国映画専門の映画館としてオープン
梅屋庄吉のエム・パテーが白瀬中尉の南極探検隊に同行し記録映画を撮影
1912年
(大正元年)
<日活誕生>
四つの映画会社が合併し、日本活動写真株式会社「日活」となった(福宝堂、吉沢商会、エム・パテー、横田商会)
実は、この合併の仕掛け人となったエム・パテーの梅屋庄吉は多額の負債を抱えていたことが明らかになります。
アメリカで「フォックス」や「ワーナーブラザース」の前身のスタートもこの年
日活は東京の向島と京都の二条城西櫓下に撮影に撮影所を設け、前者では新派(後の現代劇)を、後者では旧劇(後の時代劇)を制作した。
以後、半世紀以上にわたって続く東京と京都の映画的対立は、ここに始まる。
東京は、モダンで西洋的な現代劇(ただし、関東大震災により一時的に発展はストップするが)
京都は、ノスタルジックで日本的な時代劇(こちらは第二次大戦後、GHQによって一時ストップする)
この二つのタイプの映画が同時進行することで、それぞれが独自性を保ち日本映画の多様性を生むことになったともいえます
1913年
<映画ファン誕生>
・・・田中純一郎「日本映画発達史」によれば、大正はじめ頃から洋画好きの「活動狂」「活動ファン」が登場したという。
「これらの『活動ファン』の多くは、中学校から専門学校あたりの学生に見られ、彼らの間には、早くも輸入映画の製作会社や監督者名、俳優名等をメモすることが流行し、グループを作って、同好誌を発行するものが現れて来た」

川本三郎「映画の戦後」
1914年
オープンしたばかりの浅草電気館で弁士として活躍し始めた染井三郎は、大人気となり、弁士が人気スター的な扱いを受けるようになります。
1916年
一、国体及び君主の尊厳を侵す場面。
二、姦通、自由恋愛等がわが国の良風美浴に反する場面。
三、接吻、寝室等に於いて見物に猥褻な観念を起こさせる場面。
四、放火、殺人、強盗等、見物に犯罪の動機を与えるやうな場面。
活動写真検閲取締規則
1917年
「大尉の娘」(監)井上正夫(クローズアップ、移動撮影、カットバックなどの手法を用いて撮られた作品)
帰山教正による映画理論の書「活動写真劇の創作と撮影法」発表
電気仕掛けの芝居としての「活動写真」からフィルムとして存在する総合芸術としての「映画」への転換始まる
・舞台脚本ではなくシナリオ
・女形ではなく女優
・弁士ではなく字幕
・舞台演劇ではないリアルな劇の追求
1918年
「生の輝き」「深山(みやま)の乙女」(監)帰山教正(海外公開も意識して日本語、フランス語の字幕つき、西洋演劇専門の新劇の俳優を起用している)
「日本に最初の女優が生まれるためには、新劇からの働きかけが必須であったし、時代劇の手法をより洗練されたものにするためには、新国劇の成果が少なからぬ役割を果たした」
<新劇>ヨーロッパの演劇を演じる劇(チェーホフ、イプセンなどの作品)
<新派>現代を舞台にした大衆演劇(歌舞伎からの進化形)
<新国劇>時代劇と現代劇の中間的な大衆演劇(渡世人とヤクザなどが題材)
「キネマ旬報」創刊
1920年
松竹映画誕生
歌舞伎の松竹が蒲田に撮影所を設立史、映画製作に進出。そのために俳優養成所も設立し、新劇運動の中心人物、小山内薫を所長に迎えた。その弟子の一人に村田実がいた
「アマチュア倶楽部」(監)トーマス栗原(出)葉山三千子
(葉山はこの映画で初の水着スターとなった!ハリウッドの影響を受けたこの作品は古いスタイルの作品に慣れた日本人に受け入れられなかった)
1921年
粟島すみ子「虞美人草」で日本初のスター女優となる
「路上の霊魂」(監)村田実(出)英百合子
1923年
マキノ省三が独立プロ活動を開始
関東大震災により映画製作の中心が京都に移動
1924年
松竹の蒲田撮影所所長に城戸四郎が就任。20年代後半の「蒲田調」映画の時代始まる
第一回キネマ旬報ベスト・テンが発表される
1925年
阪東妻三郎が独立プロを設立。スターによる独立プロ設立の先駆けとなる
貿易商、皆川芳造がアメリカよりトーキー技術の権利を購入。それを元にミナ・トーキーを考案し、「昭和キネマ」を設立
「日輪」(監)衣笠貞之助(出)市川猿之助(卑弥呼の物語を描いた作品が天皇制に反すると批判され検閲でずたずたにされてしまった
「荒木又右衛門」(監)池田富保(出)尾上松之助(なんと主演1000本目の作品)
「雄呂血」(監)二川文太郎(出)阪東妻三郎(迫力ある殺陣とバンツマの演技が圧倒的な作品)
1926年
制作者、城戸四郎の登場により、松竹が現代劇路線を本格化させる(一般大衆を主人公とするドラマ)
「狂った一頁」(製)(監)(脚)衣笠貞之助(原)(脚)川端康成(脚)犬塚稔、澤田晩紅(撮)杉山公平(配給)新感覚派映画連盟(出)井上正夫、中川芳江
(日本初の本格的な前衛映画として現在でも高く評価されている傑作)
「足にさはった女」(監)阿部豊(原)沢田撫松(脚)益田甫(撮)碧川道夫(出)岡田時彦、梅村蓉子
「日輪」(監)(脚)村田実(原)三上於菟吉(撮)青島順一郎(出)岡田嘉子、山本嘉一、中野英治
「陸の人魚」(監)阿部ジャック(阿部豊)(脚)畑本秋一(原)菊地寛(撮)伊佐山三郎(出)梅村蓉子、谷幹一、砂田駒子
「カラボタン」(監)(脚)野村芳亭(原)柴田端子、寺尾幸夫(脚)村上徳三郎(撮)長井信一郎(出)諸口十九、筑波雪子、新井淳
「受難華」(監)山本嘉次郎(原)菊地寛(脚)小林正(出)市川春代、星玲子、瀬良章太郎
「紙人形の春の囁き」(監)溝口健二(原)(脚)田中栄三(撮)横田達之(出)山本嘉一、島耕二
「転落」(監)井上金太郎(原)(脚)秋篠珊次郎(撮)石本秀雄(出)マキノ輝子、都賀清司
「水戸黄門」(監)(脚)池田富保(撮)松村清次郎、中西与之助(出)山本嘉一、河部五郎
「蜘蛛」(監)悪麗之助(原)(脚)寿々喜多呂九平(撮)鈴木博(出)阪東妻三郎、中村琴之助
1927年
「忠次郎旅日記」(三部作)(監)伊藤大輔(出)大河内傳次郎(移動撮影を多用したダイナミックな撮影が話題になった作品)
「彼を繞る五人の女」(監)阿部豊(原)(脚)田中栄三(撮)碧川道夫(出)岡田時彦、岡田嘉子
「海の勇者」(監)島津保次郎(原)菊地寛(脚)村上徳三郎(撮)桑原昴(出)鈴木伝明、松井千枝子
「からくり姫」(監)(原)五所平之助(脚)伏見晃(撮)三浦光男(出)渡辺篤、星光、八雲恵美子
「慈悲心鳥」(監)溝口健二(原)菊地寛(脚)畑本秋一(撮)横田達之、中山良夫(出)山本嘉一、中野英治、岡田時彦
「悪魔の星の下に」(監)二川文太郎(原)(脚)山上伊太郎(撮)松浦詩華留(出)月形龍之介、関根達発
「下郎」(監)(脚)伊藤大輔(原)中村藤吉(撮)唐沢弘光(出)河部五郎、久米譲、沢村春子
「道中悲記」(監)井上金太郎(原)(脚)秋篠珊次郎(撮)松浦茂(出)津村博、月形龍之介、杉狂児
1928年
全日本無産者芸術連盟(NAPF)が結成され、同時に日本プロレタリア映画同盟(NCPF)も誕生(中心人物は佐々元十、岩崎昶)
「十字路」(監)(脚)衣笠貞之助(撮)杉山公平(出)千早晶子、阪東寿之助(ヨーロッパでも公開され高い評価を受けた作品)
「浪人街 第一話 美しき獲物」(監)マキノ正博(原)(脚)山上伊太郎(撮)三木稔(出)南光明、谷崎十郎
「陸の王者」(監)牛原虚彦(原)畑耕一(脚)野田高梧(撮)水谷文次郎(出)鈴木伝明、八雲恵美子
「新版大岡政談 第三篇 解決篇」(監)(脚)伊藤大輔(撮)唐沢弘光(出)大河内伝次郎、尾上卯多五郎、伊藤みはる
「崇禅寺馬場」(監)マキノ正博(原)(脚)山上伊太郎(撮)三木稔(出)南光明、高木新平
「彼と東京」(監)牛原虚彦(原)(脚)北村小松(撮)水谷文次郎(出)田中絹代
「村の花嫁」(監)五所兵之助(原)桃園狂太(脚)伏見晃(撮)三浦光男(出)武田晴郎、八雲恵美子
「結婚二重奏」(監)田坂具隆(原)菊地寛(脚)畑本秋一(撮)伊佐山三郎(出)岡田時彦、夏川静枝
「平手造酒」(監)(原)(脚)志波西果(撮)松村清太郎(出)大河内伝次郎、梅村蓉子
「伊豆の踊り子」(監)五所兵之助
1929年
ロシア革命の影響、日本プロレタリア映画同盟の誕生を受け、左翼系の「傾向映画」が続々公開される
ミナ・トーキーによる第一作の映画「大尉の娘」公開。監督は落合浪雄
東條政生がディスク式のイーストフォン・トーキーで「戻橋」を制作
「実際ぼくら邦人俳優にとって、トーキーは苦手ですが、映画の将来はトーキーでなかればならぬと私は思います。トーキーは唖娘が口をきいたようなものだと思います。
サイレント・ピクチュアは唖娘です - 唖娘なるがゆえにかわいい、その唖娘がものをいうようになると思えば、親心としていかなる手段を講じても口を利かせてやらねばなりません。」

上山草人(俳優)
「首の座」(監)マキノ正博((原)(脚)山上伊太郎(撮)三木稔(出)谷崎十郎、桜木梅子
「灰燼」(監)村田実(原)徳富蘆花(脚)如月敏(撮)青島順一郎(出)三桝豊、英百合子
「浪人街 第三話 憑かれた人々」(監)マキノ正博(原)(脚)山上伊太郎(撮)三木稔(出)沢村国太郎、荒木忍
「摩天楼 争闘篇」(監)村田実(原)士師清二ほか(脚)畑本秋一(撮)青島順一郎(出)中野英治、高木高木永二
「沓掛時次郎」(監)辻吉朗(「股旅もの」の先駆作品)
「暫人暫馬剣」(監)(原)(脚)伊藤大輔(撮)唐沢弘光(出)月形龍之介、金子弘(時代劇版の「傾向映画」)
「生ける人形」(監)内田吐夢(原)片岡鉄兵(脚)小林正(撮)松沢又男(出)小杉勇、入江たか子(現代劇としての「傾向映画」)
「パイプの三吉」(監)滝沢英輔(原)(脚)近藤伊与吉(撮)木村角山(出)津村博、砂田駒子
「東京交響楽」(監)溝口健二(原)片岡鉄兵ほか(脚)岡田三郎、畑本秋一、小林正(撮)横田達之(出)夏川静江、小杉勇
(現代劇としての「傾向映画」、新し物好きの溝口は時代の流行に軽く乗る傾向があった)
「無理矢理三千石」(監)松田定次(原)根岸東一郎(撮)大森伊八(出)根岸東一郎、桜木梅子
1930年
オペラ歌手、藤原義江主演で溝口健二が監督の映画「ふるさと」完成。この映画は字幕と音声が併用された部分トーキー映画として最初の作品となった
トーキー研究所(Photo Chemical Loboratory略してPCL)設立(後の東宝)
<映画と流行歌>
「映画に流行歌を入れるようになったのは、昭和5、6年頃からだ。これはレコード会社とタイアップして、松竹映画にはほとんど1本につき一つは流行歌を入れた。・・・
 それまでの流行歌は、街の艶歌詞が、ヴァイオリン片手に、辻々で実演しては、小さな詞歌集を売っていたものだが、この頃からレコード会社が歌謡曲の名で、盛んに取り入れるようになり、日活がビクターと組み、松竹はコロムビアが総動員で提携して来たので、ほとんど全作品に主題歌をつけて、これを流行させた。そして松竹と日活が、それぞれのレコード会社のコンビになって、カフェやバーにデモ宣伝に歩いた。・・・」

「日本映画伝」(著)城戸四郎より 
「何が彼女をそうさせたか」(監)鈴木重吉(「傾向映画」の代表作。孤児院で育った少女が好色な男たちや偽善的なブルジョアたちによって苦しめられる現実を描いた作品)
「挑戦」(監)小石栄一(百姓一揆を題材にした「傾向映画」)
「落第はしたけれど」(監)小津安二郎
1931年
<トーキー革命>
洋画「モロッコ」に初めて字幕スーパーがつく(これにより、洋画に弁士は不要になりました)
初の完全なトーキー映画「マダムと女房」(監督は五所平之助で土橋システムによるトーキー)が公開される
トーキー革命は、これまでなかった分野からの俳優の活躍や新ジャンルの出現をもたらすことになります。
浅草のオペレッタや声帯模写、大阪の喜劇役者、落語家、浪曲師など語り芸のスペシャリストたちから次々にヒーローが誕生することになります。
(「エノケン」こと榎本健一、古川緑波、エンタツ・アチャコ、柳谷金五楼・・・)
「弁士の消滅は映画体験から、その場かぎりの演劇的パフォーマンスという性格を一掃し、観客を特定の映画館に帰属しない匿名の存在に変えた。」
四方田犬彦「日本映画史100年」より
<字幕の影響>
「イタリアとドイツは今日まで吹替えが一般的だが、日本とフランスはそれを原則的に嫌った。
そのため現在にいたるまで、外国映画を純粋な映画としてよりも、むしろ吹き出しをもった漫画に近いものとして体験することになった。」
四方田犬彦「日本映画史100年」より
(フランスと日本のアニメ好きは、ここからすでに始まっていたのかもしれません)
日本の中国進攻に合わせ国内ではナショナリズムが盛り上がり、プロレタリア運動は統制の対象となる。そのため「傾向映画」に代わり「侵略映画」が新たな流れとなる
「瞼の母」(監)稲垣浩(「股旅もの」の超定番作品)
1932年
「国士無双」(監)伊丹万作(剣豪を主人公としたパロディー的な時代劇)
<映画監督虎の巻>(伊丹万作による)
一、有名にして高価なる原作を獲得せよ。
一、人気ある役者を獲得せよ。
一、主演者のアップはできるだけ多くせよ。
一、主人公は決して負けるべからず。
一、ラストは幸福なるべし。
一、カットは短く。カットの数は多く。
一、カメラはわけもなく動かすべし。
「満蒙建国の黎明」(監)溝口健二(流行に敏感な溝口の「侵略映画」)
「生まれてはみたけれど」(監)小津安二郎
1933年
<PCLのスタート>
PCLが映画制作を行うため、スタッフを公募。この時入社したのが黒澤明と本田猪四郎でした。
PCLは日本初のプロデューサー・システムを採用し、新しい時代の企業としてスタートした
「丹下作膳」(監)伊藤大輔(日活初のトーキー映画)
1934年
日活が関東大震災後、11年ぶりに東京調布にスタジオを開設(トーキーの現代劇は東京弁でというのが基本になる)
「隣の八重ちゃん」(監)島津保次郎(松竹の正調ホームドラマ)
1935年
各社が映画館の弁士・楽師を全廃
「丹下左膳・百万両の壺」(監)山中貞雄(原)林不忘(脚)三村伸太郎(撮)安本淳(音)西梧郎(出)大河内傳次郎、喜代三、宗春太郎、沢村国太郎
(居候先の用心棒を勤める格好良くない丹下左膳を描いた異色の作品。数少ない現存する山中作品でもあります)
「雪之丞変化」(監)衣笠貞之助(原)三上於菟吉(脚)伊藤大輔(配給)松竹(出)林長二郎(長谷川一夫)、嵐徳三郎、伏見直江、千早晶子
「妻よ薔薇のやうに」(監)成瀬巳喜男(ニューヨークで一般公開された最初の日本映画)
「子宝騒動」(監)斉藤寅次郎
1936年
松竹が蒲田から大船へ撮影所を移転させる
<満映の設立>
 満州人への教化指導宣伝を主な目的として満州映画協会(満映)が長春(当時の名は新京)に設立。国策映画を次々と発表してゆきます。
終戦後、満州人のスタッフの多くはソ連による占領前に香港や台湾へと散らばり、そこで映画の製作に関わることになります。
そして日本に戻ったスタッフの多くは、終戦後に設立された東映の中心となります。
「河内山宗俊」(監)(脚)山中貞雄(脚)三村伸太郎(撮)町井晴美(音)西梧郎(出)河原崎長十郎、山岸しづ江、中村翫右衛門、原節子
「赤西蠣太」(監)伊丹万作(原)志賀直哉(出)片岡千恵蔵
「有りがたうさん」(監)清水宏(出)大河内傳次郎(素人の子供を主役にした即興的な演出によるロードムービー)
「人生劇場・青春篇」(監)内田吐夢(仁侠映画の代表作)
「一人息子」(監)(原)小津安二郎(出)飯田蝶子、笠智衆(小津監督のトーキー第一作で「東京物語」の先駆的内容)
1937年
満州で満州映画協会設立される
東宝映画設立(関西の鉄道王で宝塚少女歌劇団の経営者、小林一三がオーナーとなり、興行のルートも確立された)
日独合作映画「新しき土」主演の原節子は、この作品で「ファシストの女神」となった
「新しき土は兎に角完成し欧州十数か国の映画館で数千万の観衆に公開せられた。日本製映画に対する欧州一般大衆の興味は勃然と湧いて来た。
映画館は日本製映画の上映を希望し、興行配給者は繁く次の私達の計画を問う合わせてくる。
新しき土の捨石は有意義だったのだ。
第二段階として、アングロサクソン系国の開拓にスタンバーグか誰かアメリカの監督を招び、ラテン系諸国の市場の為にデュヴィヴィエを招きたいと考えている。
然しこれ等の計画もまた作品に輸出的商品をつける手段であって終局の目的は衣笠作品溝口作品小津作品が堂々と全世界の常設館に上映されることにあるのだ。」

川喜多長政
人情紙風船(監)山中貞雄(脚)三村明(原)黙阿弥(音)太田忠(出)中村翫右衛門、河原崎長十郎、助高屋助蔵
「蒼茫」(監)熊谷久虎(ブラジルへ移民する日本人の収容所を描いた作品)
「花形選手」(監)清水宏
「若い人」(監)豊田四郎(原)石坂洋次郎(脚)八田尚之(撮)小倉金弥(音)久保田公平(出)大目方傳、市川春代
「愛怨峡」
(監)(脚)溝口健二(原)川口松太郎(脚)依田義賢(撮)三木稔(音)宇賀神味津男(出)山路ふみ子、河津清三郎、三桝豊、田中春男
温泉宿の若旦那との恋仲になり子供ができた女中ふみが旦那と東京へ駆け落ち。しかし、旦那は父親に連れ戻され、ふみは赤ん坊と捨てられます。
子供を産んだふみは子供預け女給として働きますが、そんなふみを助ける流しのアコーディオン弾き芳太郎は2人で旅芸人の一座に入ります。
2年後、二人は一座と共に懐かしい温泉宿を訪れます。すると、そこで若旦那に結婚を申し込まれます。ところが・・・・・
トルストイの「復活」を基にした幻の作品。
「決闘高田馬場」(旧題「血煙高田の馬場」)
(監)(原)(脚)マキノ雅博、稲垣浩(名義のみ)(撮)三井六三郎、石本秀雄(音)高橋半(録)海原幸夫
(出)坂東妻三郎、志村喬、香川良介、大倉千代子、市川百々之助、原駒子
後に忠臣蔵47士最強の剣士と呼ばれることになる堀部安兵衛が叔父の決闘のために助太刀し18人切りをしたとされる伝説的決闘の映画化。
酔拳の元祖とも言える酔っぱらいが見事な立ち回りをするチャンバラ剣劇の最高峰的作品です。
緩急のテンポを見事に使い分け、ラストの決闘へ一気に持ち込むスピード感にあふれた展開が見事です!
ラストのチャンバラは撮影前日にマキノが坂東妻三郎にジャズを聞かせ、このリズムで切るよう指示。
まるでダンスを踊っているように切りまくる姿は、そのせいだった!納得です。
それにしても坂東妻三郎は、父親の田村高廣にそっくり!
初公開はこの年の大晦日ですが、戦争後はチャンバラ映画はGHQの支持により公開できず、1952年になって再公開されました。
1938年
野村浩将監督の「愛染かつら」(松竹)が大ヒットし、一大ブームとなり、恋愛メロドラマの定番となる
「映画の偉大なる力は、その通俗性と、その大衆性とにあるのである。大衆がその生活から切り離すことのできない娯楽性にある。・・・
吾々は、まづ、映画を知らない満人に、映画に親しませしめ、更に一歩進めて、映画に依る物の観方を満人に教えることが何よりの急務なのではないだろうか!?・・・」

マキノ光雄
 満州での映画製作は、日本人にとっては満州人を教育するための善意の行いと考えられていたわけです。それが他国を侵略するための作戦の一部であると気づいていたのかどうか?
「東洋平和の道」(監)鈴木重吉(「侵略映画」の典型的な作品)
「巨人伝」(監)伊丹万作(名作「レ・ミゼラブル」を西南戦争をバックに展開した作品)
「阿部一族」(監)熊谷久虎(原)森鴎外(原作に忠実ではなく武士道を批判した内容)
「花ちりぬ」(監)石田民三(京都祇園の芸妓からみた幕末の混乱)
「五人の斥候兵」
(監)田坂具隆(原)高重屋四郎(脚)荒巻芳郎(撮)伊佐山三郎
(出)小杉勇、見明凡太郎、伊沢一郎、井染四郎、長尾敏之助、星ひかる、井上敏正、渡部清、潮万太郎
けっして戦意高揚映画だけではないリアリズム戦争映画の名作。今見ても見ごたえのある作品です。
一見プロパガンダ映画に見えてもリアリズムに徹した映画は時代を超えることが可能。それを証明した作品として評価したい作品です。
兵士の個性が見えてこないのは、それが戦場の兵士の必然だからと考えるべきでしょうか?
前半は「最前線物語」、後半は「1917」的な戦場映画。戦場からの逃走シーンの走りっぷりも見ごたえあり。
スピード感、光の使い方、カメラの構図など田坂具隆監督の演出が光る作品。
ヴェネチア映画祭文化大臣賞
1939年
「土と兵隊」(監)田坂具隆(敵軍が登場しない戦争映画で、兵士たちの苦悩が描かれた人間映画になっている。それは戦場を舞台にした人間ドラマと呼ぶべきかもしれない)
「この時期の日本映画は戦闘の悲惨さと兵士たちの辛苦を強調するあまりに、もしアメリカ的な文脈で見るならば、ほとんどが反戦映画として受けとられることだろう。」
ルース・ベネディクト(文化人類学者)

「敵を醜悪な悪として描く必要は、あえてなかった。味方である皇軍の艱難の映像を通して、天皇の恩に報いるという道徳的メッセージの方が、はるかに重要とされていたのである。
ここに当時の日本と西洋の戦争観の決定的な違いが横たわっている。」

四方田犬彦「日本映画史100年」より

 日本人にとって戦争が悲惨なものであることは自明のことでした。それでもなお日本人が戦争に命がけで協力するという発想が、アメリカ人には理解できなかったのかもしれません。
このことは21世紀におけるアメリカと中東の関係にも共通すると思います。
映画法制定。検閲や製作・配給の制限が始まる
「天狗廻状」「江戸日記」など、嵐寛寿郎の「鞍馬天狗」ものが大ヒット 
「残菊物語」(監)溝口健二(歌舞伎の世界を舞台にした作品、クローズ・アップを用いず、長回しによりワンショットでシーンを撮る手法が完成)
「土」(監)内田吐夢(脚)八木保太郎(農民たちの苦悩をリアルに描いた作品)
「鴛鴦歌合戦」(監)マキノ雅弘(日本初のミュージカル映画をあえてこの時期に発表したのはなぜか?)
1940年
「支那の夜」
(監)伏水修(出)李香蘭(山口淑子)、長谷川一夫(日活無国籍アクションの原点ともいえる作品。日本人は誰もが李香蘭は中国人だと思っていた)
 「支那の夜」は、中国人孤児の信頼を、そして最後には愛を手に入れる理想主義的な日本人船員の物語で、なかばミュージカル仕立てになっています。
そして、三様に異なる観客のために、三つの異なる幕切れになるようつくられていた。(日本版、中国版、東南アジア版があった)
「蛇姫様」(監)衣笠貞之助(出)長谷川一夫
1941年
李香蘭の人気が頂点に達する
ニュース映画の強制上映が始まる
アメリカ映画の公開禁止となる
「元禄忠臣蔵」(監)溝口健二
 ハイライトであるはずの討ち入りシーンがない異色の忠臣蔵。そのためにチャンバラ映画とは異なる人間ドラマになった。(戦中のため予算不足だったことが原因という説もある)
 戦前の禁欲的な時代背景は、彼の作品により魅力をもたらし、自由に映画を撮れる時代は彼にとっては逆効果になったかもしれない。
 彼の作品は現実社会を描くというよりも、様式や抑圧のもとで生まれた閉ざされた世界を描くほうが魅力的なのはそのため。
「指導物語」(監)熊谷久虎(原)上田広(脚)沢村勉(出)丸山定夫、原節子、藤田進
 アメリカの映画研究家、ピーター・B・ハーイは「帝国の銀幕」のなかで、原節子を、当時、数多く作られた精神主義映画の「女王」と呼んでいるほど。原節子は「指導物語」で共演した藤田進と共に「1940年から終戦まで、精神主義映画と戦意高揚映画にとって不可欠な存在であった」
川本三郎「映画の戦後」
1942年
<大映(大日本映画)設立>
政府の企業統制により日活、新興、大都の三社が合併し大映設立。映画製作会社は、東宝、松竹、大映3社に統合される
(1941年にABC包囲網による経済制裁が始まりアメリカからのフィルム輸入が困難になったため、映画の製作本数を減らすことになります。
そのため1941年の製作本数が500本近かったのに対し、1945年にはそれがわずか26本に激減しています)
「ハワイ・マレー沖海戦」(監)山本嘉次郎(特撮)円谷英二(戦争娯楽作品として大ヒット)
1943年
戦後の日本映画を代表する二人の監督、黒澤明が「姿三四郎」で、木下恵介が「花咲く港」でデビュー
菊地寛が大映の社長に就任。ただし、実質的な最高権力者は永田雅一
学生の自由な映画観覧禁止
「無法松の一生」が年間最高収入の大ヒットとなる
「『ファンタジア』を見ながらこいつはいけない。相手が悪い。大変な相手とけんかをしたと思いましたね。」
小津安二郎
「姿三四郎」(監)(脚)黒澤明(原)富田常雄(撮)三村明(音)鈴木静一(出)藤田進、大河内伝次郎、轟夕起子、月形龍之介、志村喬
「阿片戦争」(監)マキノ雅弘(アメリカの巨匠D・H・グリフィスの「嵐の孤児」
(1921年)を19世紀の広州に移したグリフィスへのオマージュ的作品、あきらかに新米的だがその意図を見破る検閲官はいなかった)
「望楼の決死隊」(監)今井正(日本人巡査一家が部下の朝鮮人と抗日ゲリラと戦う戦争映画)
1944年
<戦中映画の特徴>
 ・・・日本の戦争映画の多くには、はっきりとした敵の姿がまったく現れない。どういうことかといえば、焦点はほとんどもっぱら純粋な自己のあてられたままなのだ。
・・・敵はたんに「彼ら」あるいは漠然と「敵」「敵兵」「敵軍」などとして単純に認識されるのがしばしばである。
・・・
 日本人にとっての戦争は、誰とどう戦うか、よりもいかに自分が戦うかの問題に重きを置いていたということです。
それに対して、ハリウッド映画の場合は、日系人を使って日本兵(ジャップ)を具体的に描き、敵兵=日本兵をいかに倒すかを描いています。

「敵の人格化というものがなく、それゆえ、敵にたいする憎しみがない」
ルース・ベネディクト
 しかし、日本人が「敵」の存在を具体的な人間として描かないことは、「敵」を人間扱いしないことにも結びつきます。
戦時中に日本兵が行った様々な残虐行為の根っこにはそのことがあったのかもしれません。
こうした日本人の特徴は、その後の日本における様々な事件にも共通する要素のような気がします。(連合赤軍の「総括」、「オウム真理教の地下鉄サリン事件」など残虐な殺人事件)
川島雄三「還ってきた男」で監督デビュー
家城巳代治「激流」で監督デビュー
日劇など19の大劇場が閉鎖となる
生フィルム欠乏のため、731館への配給停止となる
「加藤隼戦闘隊」がこの年最大のヒットとなる
「陸軍」(監)木下恵介(息子を兵士として送り出すことになった母親が哀しみを表せず苦悩する姿を描いた人間ドラマ、反戦の意図が見え隠れする微妙な作品)
 この映画のように戦争を悲劇として描いた作品は、意外に多かったようです。実は戦時中も日本の映画監督たちは、戦争の悲劇を描くことに積極的だったのです。
だからこそ、終戦後すぐに日本映画は反戦映画、民主主義映画の名作を世に出すことが可能だったのです。
黒澤明の「わが青春に悔いなし」(1946年)、溝口健二の「女性の勝利」(1946年)、木下恵介の「大曾根家の朝」(1946年)、今井正の「民衆の敵」(1946年)・・・
1945年
敗戦により映画製作は占領軍の指導を受けるようになる。
映画製作禁止条項には、国家主義、愛国主義、封建的忠誠心の礼賛、仇討ちに関する内容、自殺を認める内容、残忍非道な暴力を謳歌する内容、GHQの指令に反する内容などがありました。
それにより、事実上、「時代劇」は撮れなくなったため、多くのチャンバラ・スターが現代劇に出演するようになります。
(片岡千恵蔵は「多羅尾伴内」シリーズに、阪東妻三郎は「破れ太鼓」など)
甘粕正彦(満映理事長)自決
島津保次郎死去
反民主主義的映画225本が焼却処分となる
松竹大船従業員組合結成。(初代委員長は野田高梧)
戦後最初の映画企画松竹映画「そよ風」が主題歌「リンゴの唄」とともに大ヒット
「ユーコンの叫び」(監)B・リーブス・イーソン(戦後初の洋画が公開される)
「そよかぜ」(監)佐々木康(撮)寺尾清(並木路子の主題歌「リンゴの唄」大ヒット)
「虎の尾を踏む男達」(監)(脚)黒澤明(製)伊達基彦(撮)伊藤武夫(音)服部正(出)大河内伝次郎、藤田進、榎本健一、森雅之、志村喬
「伊豆の娘たち」(監)五所平之助
「最後の攘夷党」(監)稲垣浩
「東京五人男」(監)斉藤寅次郎(特技)円谷英一
1946年
GHQの指導により「アイデア映画」(民主主義を礼賛する映画)が次々と公開された
接吻映画第一号が公開される。「はたちの青春」(佐々木康監督作品)もしくは「或る夜の接吻」(千葉泰樹監督作品)
民主的恋愛映画の先駆「女生徒と教師」公開される
東宝のニューフェース48人が入社(その中に三船敏郎もいた)
9月、「キネマ旬報」が32ページの小冊子として復刊
アメリカ映画「春の序曲」、「キュリー夫人」公開
近代映画社「スクリーン」創刊
伊丹万作死去
東宝争議が始まる>
 終戦後、アメリカによる日本の民主化が行われ、その一環として組合活動の合法化がすすめられました。
しかし、急激な組合活動の活発化により、多くの企業でストライキなどの内紛が起きました。その代表的なものとして、東宝で起きたストライキ「東宝争議」があります。
「或る夜の殿様」(監)衣笠貞之助(脚)小国英雄(出)長谷川一夫、山田五十鈴、大河内伝次郎
「日本の悲劇」(監)亀井文夫(軍部に対する戦争責任追及の作品)
「大曽根家の朝」(監)木下恵介(脚)久坂栄二郎(出)杉村春子、小沢栄太郎、三浦光子(軍部に対する戦争責任追及の作品)
「はたちの青春」(監)佐々木康(出)大坂志郎、幾野道子(日本初の「キス」映画、これもGHQの指導によるものでした)
「ニコニコ大会 追ひつ追はれつ」(監)川島雄三(この映画が初のキスシーンがある作品とも言われています)
「待ちぼうけの女」(監)マキノ正博(脚)新藤兼人(出)小杉勇、高峰三枝子
「わが青春に悔いなし」(監)黒澤明(脚)久坂栄二郎(出)藤田進、原節子、大河内伝次郎
(戦後、急激に民主主義化した社会を生きる女性を描いた黒澤にとっては異色の「アイデア映画」)
「街の人気者」(監)牛原虚彦
「民衆の敵」(監)今井正
「国定忠治」(監)松田定次
「パレットナイフの殺人」(監)久松清児
「歌麿を巡る五人の女」(監)溝口健二
1947年
東宝脱退者が新東宝を設立
戦犯として映画人31名(城戸四郎、森岩雄ら)が業界から追放される(ただし、1950年には復帰)
東宝争議の混乱続く
ソ連映画「石の花」公開
米映画専門封切館として東京・有楽町に「スバル座」開場(3月25日)(第1回上映は『アメリカ交響楽』。入場料は25円だった)
アニメ映画「椰子の実」(演)荒井和五郎
「戦争と平和」(監)山本薩夫、亀井文夫(脚)八住利雄〈出)伊豆肇、岸旗江
 この映画では、軍によって戦時中公開を禁止された兵士たちの悲惨な日常を描いた作品「戦う兵隊」のフィルムが一部使われています。
「安城家の舞踏会」〈監)〈原)吉村公三郎〈脚)新藤兼人〈出)滝沢修、森雅之、原節子(「アイデア映画の女神」となった原節子の代表作)
「今ひとたびの」〈監)五所平之助(原)高見順(脚)植草圭之助(出)竜崎一郎、高峰三枝子
「女優」〈監)〈脚)衣笠貞之助〈脚)久板栄二郎〈出)山田五十鈴、土方与志
「素晴らしき日曜日」〈監)黒澤明(脚)植草圭之助〈音)服部正(出)沼崎勲、中北千枝子
「長屋紳士録」〈監)〈脚)小津安二郎(脚)池田忠雄〈出)飯田蝶子、青木富広
「仮面の街」(監)原研吉
「猿飛佐助 忍術千一夜」(監)沼田正平
「結婚」(監)木下恵介
「女優須磨子の恋」(監)溝口健二
1948年
大映の三益愛子主演の「母もの」シリーズがスタートし大ヒット(大映のドル箱シリーズとなる)
美空ひばりが歌手デビュー
<第三次東宝争議による大混乱>
 東宝で1200人のリストラが発表される。ストライキは134日に及び、その沈静化のためアメリカ軍が介入。飛行機3機、戦車7台、一個中隊が投入される大混乱となった。
その結果、東宝内部は分裂状態となり、多くの映画人が東宝を去ることになりました。
 長谷川一夫、大河内伝次郎らは、第二組合を設立し、後の新東宝の基盤となります。こちらは右派グループといえます。
 逆に戦いに敗れた山本嘉次郎、黒澤明らは、独自に映画芸術協会を設立し、自由な映画作りを目指します。
 最後まで組合活動にこだわった今井正、山本薩夫、亀井文夫らは行き場を失い、自ら独立プロを設立します。
 こうして、東宝争議は、戦前の3社による映画界の独占体制や古い企業体質を壊すきっかけとなった。
野田高梧「シナリオ方法論」
「王将」〈監)〈脚)伊藤大輔(原)北條秀司〈出)阪東妻三郎、水戸光子
「風の中の牝鶏」〈監)〈脚)小津安二郎(脚)斉藤良輔〈出)佐野周二、田中絹代
「手をつなぐ子等」〈監)稲垣浩〈脚)伊丹万作(原)田村一二〈出)初山たかし
「破戒」〈監)木下恵介〈原)島崎藤村〈脚)久坂栄二郎(出)池辺良、桂木洋子、宇野重吉
「酔いどれ天使」〈監)〈脚)黒澤明〈脚)植草圭之助〈出)志村喬、三船敏郎、久我美子、笠置シヅ子「ジャングル・ブギ」
「夜の女たち」〈監)溝口健二(脚)依田義賢(原)久坂栄二郎〈出)田中絹代,高杉早苗
「山猫令嬢」(監)森一生(出)三宅愛子(この作品から、無学だが優しく厳しい母親のおかげで子供が一人前になってゆくという物語からなる「母もの」シリーズが始まる)
「三百六十五夜 東京篇・大阪篇」監督:市川崑
「サザエさん 前後篇」(監):荒井良平
「追跡者」(監)川島雄三
「肉体の門」(監)マキノ正博(原)田村泰次郎
「花くらべ狸御殿」(監)木村恵吾
「フランチェスカの鐘」(監)大曾根辰夫
1949年
自主規制のための機関「映倫」が発足。映画倫理規定が作成される
美空ひばりの「悲しき口笛」が大ヒット
二時間を越える映画の料金50円に統一される
東京映画配給(後の東映)設立
「青い山脈」(監)(脚)今井正(原)石坂洋次郎(脚)井出俊郎(出)原節子、杉葉子、池辺良(大ヒットし一大ブームとなる!)
「女の一生」(監)亀井文夫(原)徳永直(出)岸旗江、沼崎勲 
「森の石松」(監)吉村公三郎(脚)新藤兼人(出)藤田進、殿山泰司
「晩春」〈監)(脚)小津安二郎(原)広津和郎(脚)野田高梧〈出)原節子、笠智衆
「野良犬」(監)(脚)黒澤明(脚)菊島隆三(撮)中井朝一(出)三船敏郎、志村喬、淡路恵子
 刑事が事件を追う。現在、刑事ものと呼ばれるこのジャンルの映画では、昭和24年(1949年)に公開された黒澤明監督の「野良犬」が早い。ピストルを奪われた若いケイジが、ベテランの刑事と共に犯人を追う。刑事ものはこの映画に始まったといっていい。・・・
川本三郎「映画の戦後」
「破れ太鼓」(監)(脚)木下恵介(脚)小林正樹(出)阪東妻三郎、森雅之、宇野重吉
「忘れられた子等」(監)(製)(脚)稲垣浩(出)堀雄二、笠智衆、島村イツマ
「人間模様」(監)市川崑
「銀座カンカン娘」(監)島耕二
「我が恋は燃えぬ」(監)溝口健二
「透明人間現わる」(監)安達伸生
「不良少女」(監)成瀬巳喜男
1950年
外国映画の輸入が自由化される
松竹、東宝、大映で「赤狩り」が始まる
(亀井文夫、山本薩夫、今井正、宮島義男、加藤泰らの監督、前進座所属の俳優たちがメジャーから追放されました)
独立プロを発足させる動きが活発化する(吉村公三郎の近代映画協会など)
岩波映画製作所設立
「暁の脱走」(監)(脚)谷口千吉(脚)黒澤明(出)池辺良、山口淑子(李香蘭)、若山セツ子
(朝鮮人従軍慰安婦を描いた最初の作品だったが、検閲により大幅カットとなった)
「帰郷」(監)大庭秀雄(脚)池田忠雄(原)大佛次郎(出)佐分利信、木暮実千代、津田恵子
「佐々木小次郎」(監)(脚)稲垣浩(原)(脚)村上元三(撮)安本淳(音)深井史郎(出)大谷友右衛門、山根寿子、清川荘司
(この年「続・佐々木小次郎」も大ヒット)
「細雪」(監)阿部豊(原)谷崎潤一郎(出)花井蘭子、山根寿子
「執行猶予」(監)(出)佐分利信(脚)猪俣勝人(原)小山いと子(出)木暮実千代
「醜聞」(監)(脚)黒澤明(脚)菊島隆三(製)小出孝(出)山口淑子、三船敏郎、志村喬
「また逢う日まで」(監)今井正(脚)水木洋子、八住利雄(出)岡田英次、久我美子、滝沢修
「宗方姉妹」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(原)大佛次郎(出)田中絹代、高峰秀子(興行収入第一位のヒット作)
羅生門(監)黒澤明(翌1951年ヴェネチア映画祭金獅子賞の傑作)(出)森雅之、三船敏郎京マチ子
「きけわだつみの声」(監)関川秀雄(学徒出陣の悲劇を描いた作品)
「てんやわんや」(監)渋谷実(原)獅子文六(出)淡島千景(戦後の価値転換を描いたコメディ作品)
「ペン偽らず 暴力の街」(監)山本薩夫
「夢を召しませ」(監)川島雄三
「氷柱の美女」(監)久松精児(原)江戸川乱歩
「憧れのハワイ航路」(監)斉藤寅次郎(原)サトウハチロー
「白い野獣」(監)成瀬巳喜男
「殺陣師段平」(監)マキノ正博
「黒い花」(監)大曾根辰夫(原)梅ア春生
「東京キッド」(監)斉藤寅次郎
1951年
<東映設立>
1938年に誕生した東急資本の東横映画を中心に太泉映画、東京映画配給が合併、満州映画の根岸寛一が参加して東映が設立
中心となったスタッフは満州帰りの映画人で、そこにレッドパージによりフリーになっていた今井正、関川秀雄、家城巳代治らも加わった
京都に撮影所を作った後は時代劇を中心に映画を制作。その他のスタッフとしては、加藤泰、山下耕作、内田吐夢らがいた
長谷川一夫「銭形平次捕物控」(監督:森一生)シリーズ始まる(1951年〜1961年)
新藤兼人監督「愛妻物語」でデビュー
初の国産カラー映画「カルメン故郷に帰る」公開
サンフランシスコ講和条約の締結により日本は独立。GHQによる検閲も終了することになる。
そのため、それまで不可能だった軍部批判ではなく戦争の悲惨を描く映画を発表することが可能になります。
羅生門がヴェネチア国際映画祭金獅子賞、イタリア批評家賞、アカデミー外国語映画賞などを受賞
(黒澤明監督作品で主演は、三船敏郎、森雅之、京マチ子
「愛妻物語」(監)(脚)新藤兼人(出)宇野重吉、乙羽信子、香川良介、滝沢修
「夜來香 いえらいしゃん」
(監)(脚)市川崑(製)望月利雄(脚)松浦健郎(撮)横山実(主題歌)「夜来香」(歌)山口俶子(曲)服部良一
(出)上原謙、久慈あさみ、利根はる恵、川喜多小六、河村惣吉、菅井一郎、伊藤雄之助
戦場で出会った娼婦、秋子と医師の関。二人は愛し合うが、爆撃によって別れ別れになってしまいます。
戦後、彼女を探し続けていた医師は、戦場での傷が原因で失明しそうになっていました。
そんな関と再会した秋子は、お互いの愛を確認し合いますが、失明することで秋子に迷惑をかけることを恐れた関は、彼女の元を去ってしまいます。
大ヒット曲「夜来香」を元に製作された映画。宝塚スターだった久慈の主演デビュー作?
「偽れる盛装」(監)吉村公三郎(脚)新藤兼人(音)伊福部昭(出)京マチ子、藤田泰子、進藤英太郎
「大江戸五人男」(監)伊藤大輔(脚)八尋不二、柳川真一、依田義賢(撮)石本秀雄(音)深井史朗(出)阪東妻三郎、山田五十鈴、本松一成
「カルメン故郷に帰る」(監)(脚)木下恵介(音)木下忠司(出)高峰秀子、小林トシ子、佐野周二
「源氏物語」(監)吉村公三郎(脚)新藤兼人(撮)杉山公平(出)長谷川一夫京マチ子、大河内伝次郎(大映10周年記念大作。大ヒットとなる!カンヌ映画祭で撮影賞を受賞)
「自由学校」(監)渋谷実(原)獅子文六(脚)斉藤良輔(撮)長岡博之(音)伊福部昭(出)佐分利信、高峰三枝子、淡島千影京マチ子(戦後の価値転換を描いた作品)
「どっこい生きてる」(監)(脚)今井正(脚)岩佐氏寿、平田兼三(出)河原崎長十郎、河原崎しづ江
「風雪二十年」(監)佐分利信(脚)猪股勝人(出)岡田英次、佐分利信、佐々木孝丸
「麦秋」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(撮)厚田雄春(出)原節子、笠智衆、三宅邦子、杉村春子
「めし」(監)成瀬巳喜男(原)林芙美子(出)上原謙、原節子、島崎雪子
「銭形平次」(監)森一生(原)野村胡堂(脚)冬島泰三(撮)牧田行正(出)長谷川一夫、長谷川裕見子
「武蔵野夫人」(監)溝口健二(原)大岡昇平
「お遊さま」(監)溝口健二
「銀座化粧」(監)成瀬巳喜男
「八ツ墓村」(監)松田定次(原)横溝正史
「右門捕物帖 片眼娘」、「又四郎行状記 鬼姫しぐれ」(監)中川信夫
「孔雀の園」(監)島耕二
「鉄の爪」(監)安達信生
「白痴」(監)黒澤明
「海賊船」(監)稲垣浩
「天使も夢を見る」(監)川島雄三
「ブンガワンソロ」(監)市川崑
「少年期」「善魔」(監)木下恵介
1952年
東宝の「サラリーマン喜劇」シリーズ始まり、人気シリーズとなる
松竹が二本立て公開用の映画を製作開始
「黎明八月十五日 終戦秘話」(監)関川秀雄
「安宅家の人々」
(監)久松静児(原)吉屋信子(脚)水木洋子(撮)高橋道夫(音)古関祐而
(出)船越英二、田中絹代、乙羽信子、三橋達也、三條美紀、山村聡、本間文子、大泉滉 
<あらすじ>
養豚業を営む資産家の家、知的障碍者の家長の妻がすべてを仕切っています。そこに事業を失敗した次男が嫁を連れて転がり込みます。
若く美しく優しい嫁は、義理の兄にも優しく接し、すぐに仲良くなりますが、次男は家の資産が目当てなのは明白でした。
彼は養豚場で働く従業員にストライキをさせ、姉を追い出すための策略を進め始めます。
親族の理不尽な仕打ちに対し、かなりイライラさせられますが、ラストに見事などんでん返しがあります!
教会が運営する知的障碍者のための施設が大きな意味を持ちます。
乙羽信子がなんとも可愛い!それに対してくず夫役の三橋美智也ははまり役!
なかなかの名作です。
生きる」(監)(脚)黒澤明(脚)橋本忍、小国秀雄(製)本木荘二郎(出)志村喬、小田切みき、金子信夫、伊藤雄之助(ベルリン映画祭三位入選)
「稲妻」(監)成瀬巳喜男(原)林芙美子(脚)田中澄江(出)高峰秀子、三浦光子
「おかあさん」〈監)成瀬巳喜男〈脚)水木洋子〈出〉田中絹代、岡田英次、香川京子
「お茶漬の味」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(撮)厚田雄春(音)斉藤一郎(出)佐分利信、木暮実千代、鶴田浩二、笠智衆
「カルメン純情す」(監)(脚)木下恵介(音)黛敏郎(出)高峰秀子、若原雅夫、淡島千影
「現代人」(監)渋谷実(製)山本武((脚)猪俣勝人(出)池辺良、小林トシ子、山田五十鈴、山村聡
「原爆の子」(監)(脚)新藤兼人(撮)伊藤武夫(音)伊福部昭(出)乙羽信子、滝沢修、宇野重吉、山内明(英国アカデミー賞国連賞)
「西鶴一代女」
(監)溝口健二(製)児井英生(脚)依田義賢(原)井原西鶴(撮)平野好美(美)水谷浩(編)後藤敏男(音)斎藤一郎(振付)井上八千代
(出)田中絹代、三船敏郎、山根寿子、菅井一郎、松浦築枝、進藤栄太郎、宇野重吉、沢村貞子
ヴェネチア映画祭国際賞
とにかく不運ばかりが続く女の一生を長回しや凝ったセットで見せる大作映画。二転三転、四転五転と転がる人生。
ただし、今一つ主人公に感情移入しきれないのは、主人公がそうなったのは「見栄」や「色気」などのせいと思わせるような演出、脚本のせいなのか?
どこかで突き抜けてほしかった気がします。そうした演出に主演の田中絹代は違和感を抱いていなかったのか?
徹底したリアリズム演出だとそれが当時の真実であり、女性はそこから抜け出しようはなかったのか?
「真空地帯」(監)山本薩夫(原)野間宏(脚)山形雄策(出)木村功、利根はる恵
「西陣の姉妹」(監)吉村公三郎(脚)新藤兼人(撮)宮川一夫(音)伊福部昭(出)宮城野由美子、三浦光子、津村悠子、田中絹代、宇野重吉
「ひばり姫初夢道中」(監)大曾根辰夫(脚)八住利雄(撮)片岡清(出)美空ひばり、宮城千賀子、高田浩吉、伴淳三郎
「本日休診」(監)渋谷実(原)井伏鱒二(製)山本武(出)柳永二郎、鶴田浩二、淡島千影
「山びこ学校」(監)今井正(脚)八木保太郎〈撮)伊藤武夫〈出)木村功、岡田英次、杉葉子
「三等重役」(監)春原政久(原)源氏鶏太
「毒蛇島奇譚 女王蜂」(監)田中重雄(原)横溝正史
「虎の尾を踏む男達」(監)黒澤明
「お国と五平」「おかあさん」(監)成瀬巳喜男
「清水港は鬼より怖い」(監)加藤泰
「東京の恋人」(監)千葉泰樹
「怪談深川情話」(監)犬塚稔
「腰抜け巌流島」(監)森一生
「次郎長三国志 第一部 次郎長売出す」(監)マキノ正博
「七色の街」(監)山本嘉次郎(原)武田麟太郎
1953年
「ひめゆりの塔」が大ヒットし、戦争の悲劇を描いた映画のブームが起きる
(アメリカ批判ともなるこれらの作品は、GHQによる検閲廃止により可能になったともいえる)
邦画5社による引き抜き防止協定(五社協定)
この後映画のライバルとなるテレビの本放送開始(NHK)
阪東妻三郎(俳優)死去(51歳)
<「君の名は」ブーム>
 「君の名は」が大ヒットし社会現象となる(ラジオ・ドラマは1952年から1953年にかけて放送された)
映画版の興行収入は3作で9億6千万円。この金額は日本国民全員が一度は見た金額に相当します
マフラーの「真知子巻き」の流行。ラジオ放送が始まる夕方8時には銭湯の女湯から人が消えるという現象も起きた
当然、ブームに乗ろうとする類似作品も登場。大映の「愛染かつら」、「金色夜叉」、東映の「この太陽」などが生まれた。
松竹は「君の名は」の大ヒットにより、その後もメロドラマ路線にこだわり続けることになり、逆に作品の幅を狭めることになります
「あにいもうと」〈監)成瀬巳喜男(原)室生犀星(脚)水木洋子〈出)京マチ子、森雅之、久我美子
「雨月物語」(監)溝口健二〈製)永田雅一(出)京マチ子、田中絹代、森雅之(ヴェネチア映画祭銀獅子賞
「煙突の見える場所」〈監)五所平之助〈原)椎名鱗三(出)田中絹代、上原謙、芥川比呂志
「雁」〈監)豊田四郎〈原)森鴎外〈脚)成沢雅茂〈出)高峰秀子、芥川比呂志、宇野重吉
「君の名は(第一部)〈第二部)」〈監)大庭秀雄(原)菊田和夫(脚)柳井隆雄〈出)佐田啓二、岸恵子、淡島千影、月丘夢路
「祇園囃子」〈監)溝口健二〈原)川口松太郎(脚)依田義賢(出)木暮実千代、若尾文子
「太平洋の鷲」(監)本多猪四郎(脚)橋本忍(撮)山田一夫(音)古関裕而(出)大河内伝次郎、二本柳寛、清水将夫
地獄門(監)衣笠貞之助(美)西岡善信カンヌ映画祭グランプリアカデミー外国語映画賞!和田三造はアカデミー衣装デザイン賞受賞)
(出)長谷川一夫京マチ子
東京物語(監)〈脚)小津安二郎〈脚)野田高梧〈撮)厚田雄春〈出)笠智衆、東山千栄子、原節子、山村聡
「夏子の冒険」(監)中村登(原)三島由紀夫(脚)山内久(撮)生方敏夫(音)黛敏郎(出)角梨枝子、若原雅夫、高橋貞二、東山千栄子
にごりえ〈監)今井正〈原)樋口一葉〈脚)水木洋子、井手敏郎〈出)杉村春子、淡島千影、久我美子
「日本の悲劇」〈監)〈脚)木下恵介(撮)楠田浩之〈出)望月優子、桂木洋子、三橋達也
「ひめゆりの塔」〈監)今井正〈脚)水木洋子〈出)津島恵子、香川京子、岡田英次、小田切みき
(戦地となった沖縄に散った少女たちの悲劇)
「千羽鶴」(監)吉村公三郎(原)川端康成
「夫婦」(監)成瀬巳喜男
「煙突の見える場所」(監)五所平之助(原)椎名麟三
「アジャパー天国」(監)斉藤寅次郎(原)サトウハチロー
「妻」(監)成瀬巳喜男(原)林芙美子
「獅子の座」(監)伊藤大輔(原)松本たかし
「丹下左膳」(監)マキノ正博
「夜明け前」(監)吉村公三郎(原)島崎藤村
「女の一生」(監)新藤兼人(原)ギィ・ド・モーパッサン
「怪傑黒頭巾」(監)河野寿一
「蟹工船」(監)山村聰(原)小林多喜二
「ひろしま」(監)関川秀雄
1954年
日活が映画製作を再開。「国定忠治」、「かくて夢あり」
東映が二本立て興行を始める
日本映画が海外で多くの賞を獲得し、黄金時代を迎える
中村錦之助が「笛吹き童子」の大ヒットにより子供たちのアイドルとなった
<5社体制の始まり>
 新東宝、東映、さらに日活が設立され、5社体制の時代が始まり、それぞれが独自の路線を打ち出してゆきます。こうして、始まった競合が邦画の黄金時代を生み出すことになります
 以下は、この後の各社の方向性です
<新東宝>
 「細雪」、「宗方姉妹」、「雪夫人絵図」などの文芸作路線
<東映>
 市川歌右衛門、片岡千恵蔵らによる時代劇。「きけわだつみの声」、「ひめゆりの塔」などの反戦映画路線でヒットを連発
<松竹>
 いち早く国産初のカラー映画「カルメン故郷へ帰る」公開し、カラー化を進める
 スター路線を打ち出し、男優では鶴田浩二、佐田啓二、高橋貞二、女優では淡島千景、津島恵子、岸恵子らを中心に恋愛メロドラマのヒットを飛ばす
<大映>
 三益愛子の「母もの」映画。長谷川一夫の時代劇ものに加え、新たなスターとして京マチ子、若尾文子、山本富士子らを育てる
 さらに質の高い芸術映画の路線では、溝口健二、吉村公三郎、成瀬巳喜男らの作品を発表
<東宝>
 新人俳優として育てた三船敏郎、久我美子、若山セツ子、杉葉子、さらに有馬稲子、岡田茉莉子をスターに育てます
<日活>
 松竹から月丘夢路、北原三枝を東宝から三国連太郎、大映から南田洋子らを引き抜いて1954年、製作活動を再開します。
ただし、メジャー他社が引き抜きを阻止するために協定を結んだためにそれ以上の引抜が不可能となり、しかたなく公募による新人獲得を行うことに。
しかし、その新人たちが日活の新時代を築くことになります。(石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、宍戸錠、渡哲也・・・)
 日活は青春映画のヒット作を連発し、大人と子供が中心だった映画界に若者の観客をもたらすことになり、全世代が映画館を訪れる黄金時代を築くことになります。
七人の侍(監)(脚)黒澤明(脚)橋本忍(出)三船敏郎、志村喬(ヴェネチア映画祭銀獅子賞
「ゴジラ」(監)本多猪四郎(特)円谷英二(この映画の撮影は当時極秘で行われたそうです)
「女の園」(監)(脚)木下恵介(原)阿部知二(出)東山千栄子、毛利菊江、高峰三枝子
「君の名は(第三部)」〈監)大庭秀雄(原)菊田和夫(脚)柳井隆雄〈出)佐田啓二、岸恵子、淡島千影、月丘夢路
「黒い潮」(監)山村聡(原)井上靖(脚)菊島隆三(出)山村聡、東野英治郎、津島恵子
「金色夜叉」(監)(脚)島耕二(原)尾崎紅葉(脚)川口松太郎(撮)高橋通夫(出)山本富士子、根上淳、信欣三
「山椒太夫」(監)溝口健二(出)田中絹代、花柳喜章(ヴェネチア映画祭銀獅子賞
「近松物語」(監)溝口健二(原)近松門左衛門、川口松太郎(出)長谷川一夫、香川京子、進藤英太郎
「忠臣蔵 花の巻・雪の巻」(監)大曾根辰夫(脚)村上元三、依田義賢(撮)石本秀雄(音)鈴木静一(出)松本幸四郎、高田浩吉、滝田修、鶴田浩二
「晩菊」(監)成瀬巳喜男(原)林芙美子(脚)田中澄江、井出俊郎(出)杉村春子、見明凡太郎
「二十四の瞳」(監)〈脚)木下恵介(原)壺井栄(出)高峰秀子、天本英世、八代敏之
小学校の教師の目から見た太平洋戦争の悲劇を時代の流れと共に描いた傑作。
子供達が歌う大ヒット「唱歌」そして「軍歌」を再現・記録したミュージカル映画でもあります!
「宮本武蔵」(監)(脚)稲垣浩(脚)若尾徳平(出)三船敏郎(1956年度アカデミー外国語映画賞
「山の音」(監)成瀬巳喜男(原)川端康成
「番町皿屋敷 お菊と播磨」(監)伊藤大輔(原)岡本綺堂
「真実一路」(監)川島雄三(原)山本有三
「悪の愉しさ」(監)千葉泰樹(原)石川達三
1955年
日本テレビ、東京放送が開局。しかし、まだテレビの普及台数はまだ13万台に過ぎなかった
東映の娯楽映画「紅孔雀」(中村錦之介)大ヒット
「生きものの記録」(監)(脚)黒澤明(脚)橋本忍、小国英雄(出)三船敏郎、志村喬、東郷春子
浮雲(監)成瀬巳喜男(原)林芙美子(脚)水木洋子(出)高峰秀子、森雅之
「浮草日記」(監)山本薩夫(脚)八住利雄(出)津島恵子、菅原謙二、小沢英太郎
「狼」(監)(脚)新藤兼人(出)音羽信子、浜村純、殿山泰司、菅井一郎(実録もの、生命保険の勧誘員5人による郵便車襲撃事件)
「警察日記」
(監)久松静児(脚)井出俊郎(撮)姫田真左久(音)團伊玖磨
(出)森繁久弥、三国連太郎、二木てるみ、杉村春子、伊藤雄之助、十朱久雄、宍戸錠、東野英次郎
福島県会津の警察署と街の人々の日常を描いたオムニバス作品。ラストにはそれぞれの新たな旅立ちで終わります。
当時6歳の二木てるみの演技は凄い!自然な涙に泣けてきます。こりゃ傑作だ!
2020年「風の電話」で原発事故の後、福島に帰ってきたおじいさん(西田敏行)が、この映画のことを語る場面があります。
「あの映画に出てきた福島にもどれるのかなあ?」と語る姿が感動的!笑いが無くても西田敏行の名優です!
「ここに泉あり」(監)今井正(脚)水木洋子(出)小林桂樹、岸恵子、岡田英次
「月は上りぬ」
(監)田中絹代(製)児井英生(脚)斎藤良輔、小津安二郎(撮)峰重義(編)近藤光雄(美)木村威夫(企)日本映画監督協会(音)斎藤高順
(出)笠智衆、佐野周二、山根寿子、杉葉子、北原三枝、三島耕、安井昌二、田中絹代、塩田順二、小田切みき、汐見洋
<あらすじ>
戦争で奈良へ疎開していた浅井家に久しぶりに来た戦争未亡人の長女の友人に二女が恋をしていると察した三女。
なんとか二人をくっつけようと作戦を練ります。そして、月の出る夜にその作戦が成功します。
ところが二女もまたもう一人の友人に恋をしてますが、それを言えずにいました。
姉妹のことには積極的になれるのに自分のことはそうなれない純情三姉妹の恋愛模様を描いたラブ・コメの名作。
最後にケチはつくものの、今も輝く名作にはなっています。
3姉妹の恋を見事に対比させ、月明りとともに描きます。見事な脚本は小津安二郎によるもの。
恩師の溝口には五社協定に参加していなかった日活での撮影に反対されたが、小津のおかげで完成できた。
終盤までは素晴らしいのですが、最後になって主人公の三女に恋人の安井が「これからは妻として働け!そのぶん可愛がってやる」 と宣言。
これが余計だった。残念です。せっかく傑作になると思ったのに。
フェミニズム映画の傑作にはなれなかった。でも彼女がラブ・コメもとれることを証明した貴重な作品。
「月夜の傘」 
(監)久松静児(製)坂上靜翁(原)壷井栄(脚)井手俊郎(撮)姫田真佐久(美)木村威夫(音)斎藤一郎
(出)田中絹代、宇野重吉、渡辺鉄彌、真塩洋一、加藤淳子、轟夕起子、三島雅夫、茂崎幸雄、飯田蝶子、新珠三千代、二木てるみ、坪内美詠子
伊藤雄之助、宍戸錠、東山千栄子、三島耕、桜井真、杉幸彦、新井麗子、加原武門、高田敏江、大森暁美
<あらすじ>
ご近所4家族の奥様たちが井戸で選択肢ながら語り合う中で、それぞれの家庭の出来事や問題が浮上。
封建的な教師の父親と対立する子供たち。やっとマイホームを購入し、新婚の夫婦。息子が知らない女の子にラブレターを出したことを知った母親。
ピアニストだった息子を失ったお婆さん。夫を戦争で失い娘と二人で暮らしている女性にきた見合い話。
古き良きに日本の家族と価値観の変化を群像劇として描いたホームコメディ。 
東京郊外の住宅地が舞台で、駅、食堂、デパート、映画館などの懐かしい風景が映し出されます。
「警察日記」と同じように群像劇で昭和日本を描き出した名作。
「乳房よ永遠なれ」
(監)田中絹代(製)児井英生、坂上靜翁(脚)田中澄江(原)若月彰「乳房よ永遠なれ」、城ふみ子「乳房喪失」「花の原型」
(撮)藤岡粂信(編)中村正(音)斎藤高順
(出)月丘夢路、葉山良二、大坂志郎、阿部徹、緒本順吉、川崎弘子、森雅之、杉葉子、北原文枝、田中絹代、飯田蝶子、左卜全
<あらすじ>
結婚し二人の子供がいるふみ子は夫の浮気もあり、離婚して実家に戻っていました。
ところがある日胸の痛みに倒れ、乳癌だあるとこがわかり緊急手術を受けて両乳房を切除します。
しかし、癌の完全除去はできず、彼女の余命は短いことがわかります。
そんな中、彼女が書き溜めていた短歌を彼女がかつて愛していた旧友が紹介してくれたおかげで出版されます。
公開当時、主人公の自由奔放さが批判されたといいます。確かに主人公は単純な悲劇のヒロインではなく、時には不倫しかねない悪女でもあります。
彼女のショート・ヘアーも象徴的で魅力的。それが実に人間的で多層的な描き方で魅力的なのですが、当時はそれは受け入れられなかったわけです。
監督の田中絹代はそのことにショックを受けたようです。もし、彼女の作品が正統に評価されていたら、もっと監督作は多かったかもしれません。
今この作品が高い評価を受けるのは、その評価基準が変わったからです。
子供が連れて行かれるのを見送る主人公の背中。東京に戻る彼女が最後に愛した記者を見送る主人公の後姿。
手鏡に映る記者の笑顔。風呂場の窓からのぞく主人公の不気味な笑顔。
主人公が死亡したご遺体が運ばれるのを追って霊安室に向かう廊下。
様々なカットが実に計算され、無駄なカットやセリフがほとんどない完成された作品です。
そこを自身が遺体となって運ばれるのを追ってきた関係者の最後には二人の子供。人はみなここへ向かって生きているのだ、と言っているよう。
でも二人はそこには入れません。まだ君たちには早いから生きなさい、と言われているようです。
ふみ子の子供、茂を演じていたのは緒本順吉でした。
今後、この作品の評価はもっと高くなり、世界のオールタイムベスト100に入る可能性もあるかもしれない。そんな気がします。
「緑はるかに」(監)井上梅次(脚)京中太郎(出)浅丘ルリ子、高田稔、藤代鮎子(浅丘ルリ子14歳でのデビュー作)
「野菊の如き君なりき」(監)(脚)木下恵介(原)伊藤左千夫(出)有田紀子、田村高広
「ひろしま」(監)関川秀雄(撮)宮島義勇(ベルリン映画祭作品賞
夫婦善哉(監)豊田四郎(原)織田作之助(脚)八住利雄(出)森繁久弥、淡島千景
「力道山物語 怒濤の男」(監)森永健次郎(脚)菊島隆三(撮)山崎安一郎(出)力道山、河津清三郎、安倍徹
「陽気な天国」(監)古川緑波(美)東郷青児
「女の一生」(監)中村登(原)山本有三(脚)水木洋子(出)淡島千景、上原謙、草笛光子
「人間回転魚雷」(監)松林宗恵
「七つの顔の銀次」(監)三隅研次
「血槍富士」(監)内田吐夢
「番場の忠太郎」(監)中川信夫
「愛のお荷物」(監)川島雄三
「楊貴妃」(監)溝口健二(脚)陶秦、依田義賢、川口松太郎(撮)杉山公平(出)京マチ子、森雅之、山村聰
「猿飛佐助」(監)井上梅次
「ノンちゃん雲に乗る」(監)(脚)倉田文人(原)石山桃子(脚)村山節子(出)鰐淵晴子、徳川夢声
「たそがれ酒場」(監)内田吐夢
「新・平家物語」(監)溝口健二
1956年
「太陽の季節」など「太陽族映画」がブームとなる
<石原裕次郎の魅力>
(1)日本の男優は尾上松之助から長谷川一夫にいたるまで、これまで大きな目立つ顔をもつことが第一条件だと考えられてきた。裕次郎は違った。
顔よりもその身長の高さ、足の長さによって観客を掴んだ。(彼を生かすのはアップではなくロングショットだった)
(2)彼が戦後ようやく日本人が学びだした個人主義の完璧な体現者であるとともに、自己意識の塊だという事実だった。
 こうして、彼の後には、宍戸錠、小林旭、赤木圭一郎、渡哲也らが続くことになりました。
彼らに共通していたのは、世界そのものへの捕らえがたい違和感であり、家族や国家といった共同体かた追放された者のみがもちうるダンディズムと孤独だった。
(当時、「狂った果実」をフランスで見たまだ映画評論家だったフランソワ・トリュフォーは、この映画を絶賛。
この映画がその後彼が撮ることになる「大人は判ってくれない」に影響を与えなかったはずはないと思われます)
四方田犬彦「日本映画史100年」より

日仏合作映画「忘れ得ぬ慕情」公開
アニメ映画発展の原動力となる東映動画設立
溝口健二(監督)死去(58歳)
「洲崎パラダイス 赤信号」
(監)川島雄三(製)坂上静翁(原)芝木好子(脚)井手俊郎、寺田信義(撮)高村倉太郎(美)中村公彦(編)中村正(音)真鍋理一郎(助監)今村昌平
(出)新珠三千代、三橋達也、轟夕起子、植村謙二郎、平沼徹、松本薫、芦川いづみ、小沢昭一、牧真介
<あらすじ>
仕事も住む家もないカップルが、赤線地帯、洲崎パラダイスの手前で営業する居酒屋に住み込みで働き始めます。
しかし、蔦枝は店の常連客と仲良くなり、その世話になろうと出て行ってしまいます。
その頃、居酒屋の行方不明だった旦那が戻ってきます。
蔦枝を探して、働いていた蕎麦屋をさぼった義治に惚れてしまった蕎麦屋の女の子は義治をかばってくれます。
東京に実在した赤線地帯、洲崎パラダイス周辺で撮影された人間ドラマの傑作。 
事件が起きるわけではないものの、予測不能の展開にハラハラさせられました。
合間に入る小沢昭一の使い方もうまかった。
ラストも、決してハッピーエンドはもなく、かと言って、救いがないわけでもない、粋な終わり方でした。
ダメ男とダメ女のラブストーリーは、優柔不断な男と金に弱い女、どちらも実に人間的で憎めないのです。
川島雄三的なリアリズムタッチのコメディ・ドラマ。原作の小説も良いのでしょう。実によくできたストーリーです。
「カラコルム」(ドキュメンタリー映画)(撮)中村誠二(ベルリン映画祭シルバー・ベア賞
「白夫人の妖恋」(監)豊田四郎(撮)三浦光雄(ベルリン映画祭色彩映画特別賞
「早春」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(出)池辺良、淡島千影、岸恵子
「太陽の季節」(監)(脚)古川卓巳(原)石原慎太郎(出)石原裕次郎(裕次郎が鮮烈デビューを飾る)
「狂った果実」
(監)中平康(製)水の江滝子(原)(脚)石原慎太郎(撮)峰重義(美)松山崇(編)辻井正則(音)佐藤勝、武満徹
(出)石原裕次郎、津川雅彦、北原三枝、岡田真澄、深見泰三、藤代鮎子
フランスで公開され大きな反響を呼び、ヌーヴェルバーグに影響を与えたといわれる重要な作品。
確かに音楽、映像、会話、ファッションなど当時の日本の最先端であり、青春映画としてもまったく新しかったはず。原作が凄かったのは確か。
太陽族の説明のような前半部のメンバーによる顔のアップによる語りは印象的。
ジャズ、ハワイアンを融合させ、前衛的な音響のように聞こえ続ける音楽、不思議な連続音が不思議な世界観を生み出しています。
巨匠二人による音楽はこの作品の隠れた魅力になっています。
津川雅彦の演技が迫真!裕次郎はそのまんま。北原三枝の魔性の女的に魅力もさすがです。(綾瀬はるかに似ている気がしました?)
長門勇と石原慎太郎が喧嘩相手のチンピラ役でちょい役出演しています!岡田真澄のイケメンぶりはジョージ・チャキリス以上!
しつこいほどの旋回からのラストは当時衝撃的だったんでしょう。
「猫と庄造と二人のをんな」(監)豊田四郎(原)谷崎潤一郎(脚)八住利雄(出)森繁久弥、山田五十鈴、香川京子
「ビルマの竪琴 第一部」(監)市川崑(原)竹山道雄(出)三国連太郎(ヴェネチア映画祭サン・ジョルジョ賞
(外地ビルマで死んだ兵士たちへの鎮魂の映画)
「真昼の暗黒」(監)今井正(脚)橋本忍(原)正木ひろし(出)左幸子、内藤武敏、草薙幸二郎
「夜の河」(監)吉村公三郎(原)沢野久雄(脚)田中澄江(出)山本富士子、上原謙、小野道子
「決闘巌流島」(監)稲垣浩
「驟雨」(監)成瀬巳喜男(原)岸田國士
「流れる」(監)成瀬巳喜男(原)幸田文
「宇宙人東京に現る」(監)島耕二(脚)小国秀雄(製)永田雅一(撮)渡辺公夫(色指導)岡本太郎(出)刈田とよみ、川崎敬三
「風船」(監)川島雄三
「赤線地帯」(監)溝口健二
「死の十字路」(監)井上梅次(原)江戸川乱歩
「残菊物語」(監)島耕二(原)松村梢風
「鬼火」(監)千葉泰樹(原)吉屋信子
「滝の白糸」(監)島耕二(原)泉鏡花
「わが町」(監)川島雄三
「月形半平太」(監)衣笠貞之助
「壁あつき部屋」(監)小林正樹(脚)安部公房
「空飛ぶ円盤恐怖の襲撃」(監)関沢新一
「空の怪獣ラドン」(監)本多猪四郎
1957年
シネマスコープ作品第一作「鳳城の花嫁」公開。他社も追随する
「お姉さんといっしょ」(監)青山通春(撮)木塚誠一(ヴェネチア記録児童映画祭グランプリ)
「蜘蛛巣城」(監)(製)(脚)黒澤明(製)本木荘二郎(脚)三船敏郎、山田五十鈴、千秋実
「米」(監)今井正(原)(脚)八木保太郎(撮)中尾駿一郎(出)江原真二郎、中村雅子、望月優子、木村功
「純愛物語」(監)今井正(原)(脚)水木洋子(製)大川博(出)江原真二郎、中原ひとみ、楠田薫、岡田英次(ベルリン国際映画祭監督賞
「どん底」(監)(脚)黒澤明(脚)小国英雄(出)三船敏郎、山田五十鈴、香川京子
幕末太陽伝(監)川島雄三(脚)田中啓一、川島雄三、今村昌平(出)フランキー堺、左幸子、石原裕次郎、南田洋子
「マナスルに立つ」(監)依田孝喜(撮)渡辺浦人(イタリア・ダヴェンツォ国際スポーツ映画祭最高賞モスクワ映画祭特別賞
「明治天皇と日露大戦争」(監)渡辺邦男(出)嵐寛寿郎
(新東宝のシネマスコープ作品第一号作品。戦争へのノスタルジア、反米感情の盛り上がり、天皇のヒーロー復帰などの流れを受けたヒット)
「喜びも悲しみも幾歳月」(監)(原)(脚)木下恵介〔撮)楠田浩之(音)木下忠司(出)佐田啓二、高峰秀子、桂木洋子
「大菩薩峠」(監)内田吐夢(原)中里介山(脚)猪俣勝彦、柴英三郎(撮)三木滋人(出)片岡知恵蔵、中村錦之介
「俺は待ってるぜ」(監)蔵原惟繕(脚)石原慎太郎(製)水之江滝子(出)石原裕次郎、北原三枝子
「くちづけ」(監)増村保造(原)川口松太郎(脚)船橋和郎(撮)小原譲治(出)川口浩、野添ひとみ、三益愛子
「女殺し油地獄」(監)堀川弘通(原)近松門左衛門(脚)橋本忍(撮)中井朝一(出)中村扇雀、中村鴈治郎、三好栄子、香川京子
「桃太郎侍」(監)三隅研次
「任侠清水港」(監)松田定次
「大阪物語」(監)吉村公三郎
「鋼鉄の巨人(スーパージャイアンツ)」(監)石井輝男
1958年
「嵐を呼ぶ男」(監)井上梅次のヒットにより裕次郎ブーム本格化
初の長編カラーアニメ映画「白蛇伝」公開
この年、日本の映画観客動員数が11億2745万人(国民一人あたり年12.3回)
これがピークとなりこの後、観客動員数は減り続けることになります。
この年の配給収入は邦画が294億円に対し洋画は91億円、本数では邦画が504本に対し洋画は171本でした。
「駅前旅館」(監)豊田四郎(脚)八住利雄(原)井伏鱒二(出)森繁久弥、伴淳三郎、フランキー堺、淡島千景、淡路恵子
(駅前シリーズの他の作品とは異なる古き良き旅館を描いた隠れた名作)
「炎上」(監)市川昆(原)三島由紀夫(音)黛敏郎(製)永田雅一(美)西岡善信(出)市川雷蔵、仲代達也
「隠し砦の三悪人」(監)(脚)(製)黒澤明(脚)菊島隆三、小国英雄、橋本忍(出)三船敏郎、上原美佐、千秋実、藤原鎌足
ベルリン映画祭作品、監督、国際批評家賞
「巨人と玩具」(監)増村保造(脚)白坂依志夫(原)開高健(出)川口浩、野添ひとみ、高松英郎
「楢山節考」(監)(脚)木下恵介(原)深沢七郎(出)田中絹代、高橋貞二、望月優子、宮口精二
「裸の大将」(監)堀川弘通(脚)水木洋子(出)小林桂樹、三益愛子、青山京子
「裸の太陽」(監)家城巳代治(脚)新藤兼人(原)氷室和敏(出)江原真二郎、丘さとみ、中原ひとみ
「張り込み」(監)野村芳太郎(原)松本清張(脚)橋本忍(出)高峰秀子、田村高広、宮口精二
「彼岸花」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(製)山内静夫(出)佐分利信、田中絹代、山本富士子、有馬稲子
無法松の一生(監)稲垣浩(出)三船敏郎、高峰秀子(ヴェネチア映画祭金獅子賞
「白蛇伝」(監)藪下泰司(日本初の長編カラー・アニメ映画)
「錆びたナイフ」(監)(脚)舛田利雄(原)(脚)石原慎太郎(製)水の江滝子(出)石原裕次郎、小林旭、宍戸錠、北原三枝
「蛍火」(監)五所平之助(原)織田作之助
「陽のあたる坂道」(監)田坂具隆(原)石坂洋次郎
「月光仮面」(監)小林恒夫(原)(脚)川内康範
「点と線」(監)小林恒夫(原)松本清張
「果てしなき欲望」(監)今村昌平(原)藤原審爾
「あらくれ」(監)成瀬巳喜男
「柳生武芸帳」(監)稲垣浩
「雪国」(監)豊田四郎(原)川端康成
「東京暮色」(監)小津安二郎
「弁天小僧」(監)伊藤大輔
「少年探偵団 かぶと虫の妖気」(監)関川秀雄
「大当たり狸御殿」(監)佐伯幸三
「蜘蛛男」(監)山本弘之(原)江戸川乱歩
「大怪獣バラン」(監)本多猪四郎
1959年
皇太子と美智子妃の結婚により、テレビが急激に売れ始め、155万台から346万台に増える
日活の小林旭「渡り鳥」シリーズ始まる(日活「無国籍アクション」の代表作、このシリーズは1962年まで続きます)
(株)黒澤プロダクション設立
「蟻の街のマリア」(監)五所平之助(撮)竹野治夫(スペイン・サンセバスチャン映画祭カトリック賞
「愛と希望の街」(監)大島渚(監督デビュー作)
「いつか来た道」(監)島耕二(撮)小原譲治(モスクワ国際映画祭審査員特別賞
「危険な女」
(監)若杉光夫(企)大塚和(原)松本清張(脚)原源一郎(撮)井上莞(美)岡田力(音)林光
(出)渡辺美佐子、芦田伸介、高友子、下元勉、大滝修司、南風夕子、宮坂将嘉
55分と短い作品ながら実によくできた作品。松本清張の原作小説が面白いおかではあります。
自分が書いた連載小説を読むために新聞を買っているという女性と偶然出会った小説家。
しかし、その女性が最近新聞に載ったばかりの心中事件と関りがあると知った彼は彼女に接近します。
もしかすると、心中ではなく殺人だったのではないか?そんな疑問が生じ始めます。
ジャズのテンポの良さに合わせるような展開。予想を裏切るラストと二つの乾杯の対比の見事さ。
小品ながらピリリとワサビのきい快作です。
「キクとイサム」(監)今井正(脚)水木洋子(撮)中尾俊一郎(出)高橋エミ子、奥の山ジョージ、北林谷栄
「白鷺」(監)衣笠貞之助(撮)渡辺公夫(カンヌ映画祭審査委員賞
「第五福竜丸」(監)新藤兼人(脚)八木保太郎(音)林光(出)宇野重吉、小沢英太郎
「にあんちゃん」(監)(脚)今村昌平(脚)池田一郎(原)安本末子(出)長門裕之、松尾嘉代、吉行和子
「荷車の歌」(監)山本薩夫(原)山代巴(脚)依田義賢(出)三国連太郎、望月優子、左幸子
「人間の条件(第一部・第二部)」(監)(脚)小林桂樹(原)五味純平(脚)松山善三(出)仲代達也、山村聡、新珠三千代、淡島千影
ヴェネチア映画祭サンジョルジョ賞、パシネッティ賞
「野火」(監)市川崑(原)大岡昇平(脚)和田夏十(出)船越英二、ミッキー・カーティス、滝沢修
「独立愚連隊」(監)(脚)岡本喜八(出)佐藤充、中谷一郎、雪村いづみ、鶴田浩二、三船敏郎
戦争アクション映画の傑作!
「任侠中仙道」(監):松田定次
「薄桜記」(監)森一生(撮)本多省三(出)市川雷蔵、勝新太郎
「不道徳教育講座」(監)西河克己(原)三島由紀夫
「明日の太陽」(監)大島渚
「私は貝になりたい」(監)(原)(脚)橋本忍(出)フランキー堺、新珠三千代
「大菩薩峠 完結篇」(監)内田吐夢
「お早よう」(監)小津安二郎
「東海道四谷怪談」(監)中川信夫
「里見八犬傳」(監)内出好吉
「暗夜行路」(監)豊田四郎(原)志賀直哉
「かげろう絵図」(監)衣笠貞之助(原)松本清張
「ギターを持った渡り鳥」(監)斉藤武市(出)小林旭
「明治大帝と乃木将軍」(監)小森白
浮草(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(撮)宮川和夫(出)中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、杉村春子、川口浩
「浮かれ三度笠」(監)田中徳三
「浪花の恋の物語」(監)内田吐夢
1960年
松竹ヌーヴェルバーグが注目される。ただし、興行的には失敗、一時的なブームで終わった
「青春残酷物語」(大島渚)、「ろくでなし」(吉田喜重)、「乾いた湖」(篠田正浩)、「悪人志願」(田村孟)、「真昼の罠」(八木美津雄)・・・
政治的、前衛的な作品は松竹では受け入れられず、それぞれが松竹を離れATGなどで映画を撮ることになります。
逆に松竹は多くの才能を失うことになり、この後、松竹を支えるのは、小林正樹、野村芳太郎、山田洋次(寅さん)ぐらいになってしまいます。
映画の製作本数が547本、映画館数7457。ともにこの年がピークとなりました(ロサンゼルスにも東宝の直営館ができた)
 この時期の映画界では東映が時代劇の人気もありダントツの人気でした。
映画館が不足してしまい、この年、東映は「第二東映」を設立。三日に一本は映画を完成するペースで撮影を行っていたといいます!
 ところが、「第二東映」は、1年9か月で消えてしまいます。すでにこの年、映画ブームの終わりが始まっていたのでした。
「秋日和」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(撮)厚田雄春(出)原節子、佐田啓二、司葉子
おとうと(監)市川崑(製)永田雅一(原)幸田文(脚)水木洋子(出)岸恵子、田中絹代、川口浩
「鍵」(監)市川崑(カンヌ映画祭審査員賞)(出)京マチ子
「黒い画集 あるサラリーマンの証言」(監)堀川弘通(脚)橋本忍(原)松本清張「証言」(出)小林桂樹、原知佐子、西村晃
「拳銃無頼帖・電光石火の男」(監)野口博志(出)赤木圭一郎、吉永小百合(吉永小百合のデビュー作
「少年猿飛佐助」(監)藪下泰次(ヴェネチア国際児童映画祭サンマルコ獅子賞
「青春残酷物語」(監)大島渚(松竹ヌーヴェル・ヴァーグの第一作として公開)
「長靴をはいた猫」(監)矢吹公郎(脚)井上ひさし
「日本の黒い霧」(監)(脚)大島渚(脚)石堂淑朗(出)渡辺文雄、津川雅彦、桑野みゆき、小山明子(4日間で公開打ち切りとなる)
裸の島(監)(製)(脚)新藤兼人(音)林光(出)殿山泰司、乙羽信子(モスクワ映画祭グランプリ受賞)
「ぼんち」(監)(脚)市川崑(脚)和田夏十(撮)宮川一夫(原)山崎豊子(出)市川雷蔵、若尾文子、京マチ子、中村玉緒
(「おとうと」、「鍵」の影に隠れてしまった作品)
「悪い奴ほどよく眠る」(監)(製)(脚)黒澤明(脚)小国英雄、菊島隆三、橋本忍他(出)三船敏郎、森雅之
「太陽の墓場」(監)大島渚
「乾いた湖」(監)篠田正浩(脚)寺山修司
「独立愚連隊に死へ」(監)(脚)岡本喜八(撮)逢沢譲(美)阿久根巌(出)加山雄三、佐藤允、フランキー堺
「暗黒街の対決」(監)岡本喜八
女が階段を上る時(監)成瀬巳喜男((脚)(製)菊島隆三(撮)玉井正夫(音)黛敏郎
(出)高峰秀子、森雅之、仲代達也、団玲子、加東大介、中村鴈次郎、小沢栄太郎
「女経」(監)増村保造、市川崑、吉村公三郎
「大江戸の侠児」(監)加藤泰
「大いなる旅路」(監)関川秀雄
「黄線地帯(イエローライン)」(監)石井輝男
「親鸞」(監)田坂具隆
「けものの眠り」(監)鈴木清順
「すべてが狂ってる」
(監)鈴木清順(原)一条明(脚)星川清司(撮)萩原泉(美)千葉一彦(音)三保敬太郎、前田憲男
(出)川地民夫、禰津良子、奈良岡朋子、芦田伸介、吉永小百合、坂本九、中川姿子
主人公にも恋人にもまったく感情移入できず。脚本のすべてが狂ってる!
カーチェイスシーンの迫力は今でな絶対に無理な撮影。ジャズがカッコいいのですが、中身に合わない!
コールマン・ホーキンスのポスターは確かにチャーリー・パーカーのように見える。そこまで狂ってる!? 
「電送人間」(監)福田純
「切られ与三郎」(監)伊藤大輔
「地獄」(監)中川信夫
「大菩薩峠」(監)三隅研次
「笛吹川」(監)木下恵介
「筑豊の子供たち」(監)内川清一郎
1961年
日本アートシアター・ギルド(ATG)発足(製作費一千万円の映画に500万円出資することで、日本映画の若手育成に大きな役割を果たすことになる)
新東宝が倒産
東宝「若大将」シリーズが始まる
初の70ミリ映画「釈迦」が公開
赤木圭一郎(俳優)日活の撮影所内でゴーカートでの事故死(21歳)
古川緑波(俳優、コメディアン)死去(57歳)
「悪名」(監)田中徳三(脚)依田義賢(撮)宮川一夫(原)今東光(出)勝新太郎、田宮二郎、中村玉緒、水谷良重
(「続・悪名」で田宮はチンピラに刺されて死んだが、あまりの人気に弟として復活。2作のはずが16作まで続くことになります)
「不良少年」(監)(脚)羽仁進(音)武満徹(出)山田幸男、吉武広和
「永遠の人」(監)(製)(脚)木下恵介(出)高峰秀子、佐田啓二、仲代達也
「小早川家の秋」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(出)中村鴻治郎、原節子、司葉子、新珠三千代
原節子が出演した最後の小津作品。1963年に彼の葬儀に出席後、彼女は公の場から消えることに)
「飼育」(監)大島渚(原)大江健三郎(脚)田村孟(出)三国連太郎、小山明子、H・ハード
「大学の若大将」(監)杉江敏夫(脚)笠原良三、田波靖男(出)加山雄三、星由里子(若大将シリーズがスタート!)
「妻は告白する」(監)増村保造(脚)井手雅人(原)円山雅也「遭難・ある夫婦の場合」(出)若尾文子、川口浩、小沢栄太郎、馬渕晴子
(法廷サスペンス、山岳サスペンス、サイコサスペンス)
「名もなく貧しく美しく」(監)(脚)松山善三(製)藤本真澄、角田健一郎(出)高峰秀子、小林桂樹、原泉(サンフランシスコ映画祭主演女優賞
「人間の条件(完結篇)」(監)(製)(脚)小林正樹(原)五味川純平(出)仲代達也、新珠三千代
「豚と軍艦」(監)今村昌平(脚)山内久(撮)姫田真左久(出)長門裕之、吉村実子、丹波哲郎(300頭の豚が松竹のオープンセットを駆けめぐったラストも見もの!)
用心棒」(監)黒澤明(アクション映画の仕掛けがすべてあり!三船敏郎ヴェネチア映画祭主演男優賞
「釈迦」(監)三隅研次(インドロケまで行った大映の超大作、映画黄金時代のピークだからこその作品)
「モスラ」(監)本多猪四郎(脚)中村真一郎、福永武彦、堀田善衛(特技)円谷英二(出)フランキー堺、小泉博、香川京子、ザ・ピーナッツ
「甘い夜の果て」(監)(脚)吉田喜重(脚)前田陽一(音)林光(出)津川雅彦、山上輝世、滝沢修
「夕陽に赤い俺の顔」(監)篠田正浩(脚)寺山修司(撮)小杉正雄(音)山本直純(出)川津祐介、岩下志麻
「ゼロの焦点」(監)野村芳太郎(原)松本清(脚)張橋本忍、山田洋次(撮)川又昂(出)久我美子、高千穂ひづる
「好色一代男」(監)増村保三(原)井原西鶴(脚)白坂依志郎(出)市川雷蔵、若尾文子、中村玉緒、船越英二
「顔役暁に死す」(監)岡本喜八(原)大藪晴彦(脚)池田一朗、小川英(撮)太田幸男(出)加山雄三、島崎雪子
「無鉄砲大将」(監)鈴木清順(脚)杉浦健郎、中西隆三(撮)永塚一栄(出)和田浩治、清水まゆみ、芦川いづみ
「黒い十人の女」(監)市川崑(脚)和田夏十(撮)小林節雄(出)船越英二、岸恵子、山本富士子
「宮本武蔵」(監)内田吐夢(原)吉川英治(脚)成沢昌茂、鈴木尚也(出)中村錦之助、風見章子
1962年
大蔵映画設立
大映「座頭市」シリーズ始まる
「キングコング対ゴジラ」監督:本田猪四郎
「銀座の若大将」監督:杉江敏男
三船プロ、石原プロ、虫プロ(手塚治虫)が設立される
東京・砂川に日本初のドライブイン・シアター登場
大河内伝次郎(俳優)死去(64歳)
「キューポラのある街」(監)(脚)浦山桐郎(原)早船ちよ(脚)今村昌平(出)吉永小百合、浜田光夫、東野英治郎
「座頭市物語」(監)三隅研次(脚)犬塚稔(原)子母澤寛「座頭市物語」(主)勝新太郎、天知茂、万里昌代、柳永二郎
(座頭シリーズ第一作、この後1971年まで続く)
「秋刀魚の味」(監)(脚)小津安二郎(脚)野田高梧(美)西岡善信(出)笠智衆、佐田啓二、岩下志麻
「忍びの者」(監)山本薩夫(脚)高岩肇(原)村山知義「忍びの者」(出)市川雷蔵、藤村志保、伊東雄之助、西村晃、岸田今日子
(忍者ものがブームだった1960年代前半を代表する作品)
「しろばんば」(監)滝沢英輔(企)大塚和(原)井上靖(脚)木下恵介(撮)山崎善弘(美)松山崇(音)斎藤高順
(出)芦川いづみ、島村徹、北林谷栄、渡辺美佐子、宇野重吉、芦田伸介、高野由美
作家、井上靖の少年期を描いた伝記小説が原作。伊豆の田舎の村が舞台。映像も音楽も俳優も風景も素敵です。
ラストの裸の少年たちの行進は凄い!笑い泣きのラストは実に新鮮でした。
「切腹」(監)小林桂樹(原)滝口康彦(脚)橋本忍(撮)宮島義勇(出)仲代達也、石浜朗、岩下志麻
「椿三十郎」(監)(脚)黒澤明(原)山本周五郎(脚)菊島隆三、小国英雄(出)三船敏郎、仲代達也、加山雄三
「ニッポン無責任時代」(監)古澤憲吾(脚)田波靖男、松木ひろし(出)クレージー・キャッツ
「破戒」(監)市川崑(原)島崎藤村、(脚)和田夏十((撮)宮川和夫(出)市川雷蔵、船越英二、藤村志保
「私は二歳」(監)(製)市川崑(脚)和田夏十(原)松田道雄(出)鈴木博雄、山本富士子、船越英二
「斬る」(監)三隅研次(脚)新藤兼人(撮)本多省三(出)市川雷蔵、藤村志保
「雁の寺」(監)(脚)川島雄三(原)水上勉(脚)舟橋和郎(撮)村井博(美)西岡義信(出)若尾文子、木村功
「女の座」(監)成瀬巳喜男(脚)松山善三、井手俊郎(撮)安本淳(出)笠智衆、高峰秀子、司葉子
「瞼の母」(監)(脚)加藤泰(原)長谷川伸(撮)坪井誠(出)中村錦之介、松方弘樹
「上を向いて歩こう」(監)舛田利雄(脚)山田信夫(撮)山崎善弘(出)坂本九、浜田光男、高橋英樹
「銀座の恋の物語」(監)蔵原惟繕(脚)熊井啓、山田信夫(音)鏑木創(出)石原裕次郎、ジェリー藤尾、浅丘ルリ子
「黒蜥蜴」(監)井上梅次(原)江戸川乱歩(脚)三島由紀夫、新藤兼人(撮)中川芳久(出)京マチ子、大木実
「青べか物語」(監)川島雄三(原)山本周五郎(脚)新藤兼人(撮)岡崎宏三(出)森繁久彌、乙羽信子、フランキー堺
「喜劇 駅前温泉」(監)久松靜児(出)森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺
「放浪記」(監)成瀬巳喜男(原)林芙美子(脚)井手俊郎、田中澄江(撮)安本淳(出)高峰秀子、田中絹代、宝田明
「ハイティーンやくざ」(監)鈴木清順(脚)吉村望、奥園守(撮)萩原健治(出)川内民夫、初井言栄、杉山敏夫
「しとやかな獣」(監)川島雄三(原)(脚)新藤兼人(撮)宗川信夫(出)若尾文子、川端愛光、伊藤雄之助、山岡久乃
団地の一部屋を舞台に詐欺師一家と被害者たち、いずれも小悪人たちのトークバトルが展開します。
まるで舞台劇のようなセットとスリリングな展開!カメラアングルも実に多彩で凝っています!
若尾文子の色気が圧倒的な傑作です。
<あらすじ>
芸能プロダクションの集金係の息子が会計係の未亡人のために使い込みをしていたことが明らかになり、社長が乗り込んできます。
姉は有名な小説家の二号として稼ぎ、そうして稼いだお金で一家は暮らしていたのでした。
1963年
任侠映画の元祖とも言われる「人生劇場・飛車角」
(この映画の主役、鶴田浩二、高倉健に藤純子、若山富三郎が加わり次々とヒット作が誕生します。「昭和残侠伝」、「網走番外地」、「緋牡丹博徒」などのシリーズ)
 任侠映画を熱狂的に支持したのは、60年代後半に新左翼的心情を抱いていた学生と三島由紀夫だった。
その理由は簡単で、彼らはともに自分たちが個人主義を放棄しないままに埋没することのできる共同体を求めていたのであり、自己同一性を保証してくれる儀礼の体系こそが、
まさに戦後の子である彼らに欠落していたためだった。

四方田犬彦「日本映画史100年」より
(この流れが世紀末にオウム真理教にまでつながることになります)
 やくざ映画を何本か見れば分かる。やくざ映画とは実はほとんどがプロレタリア文学と同じ世界を描いている。このことは特筆されていい。そして高倉健演じるヒーローは、おかみの手を借りずに、ひとり悪と戦い、去って行く。もっとも汚れていると思われていたやくざが誰よりも義と重んじ、生命を賭けて戦う。一種の「まれびと」である。どこからともなく現れ、弱き者、貧しい者を助け、去ってゆく。孤高のヒーローである。
川本三郎「映画の戦後」
「十三人の刺客」
(監)工藤栄一(脚)池上金男(出)片岡千恵蔵、里見浩太郎、嵐寛寿郎、西村晃、月形龍之介、内田良平
(50年代の時代劇黄金時代を過ぎた次期に生まれた「集団抗争時代劇」の決定版。2010年の三池監督のリメイク版とほぼ同一の内容)
「ひとは侍といえば剣というが、今の世に真剣をもって闘った侍などおらぬのだ。われらもなければ、相手にもない。
ひとが命と命をぶつけあって闘うとき、どんなことが起こるか、誰にも想像がつかぬのだ。」

嵐寛寿郎の科白
 この言葉の通り、ラストの戦闘シーンではリアリズムに徹した泥くさいチャンバラが展開され迫力満点です。
前半の静的なカメラ(構図が素晴らしい!)と後半の手持ちカメラ(ブレブレながら迫力あり)、その対比が印象的です。
最後の戦闘はどうしても「七人の侍」と比較されてしまうので苦しいところではありますが、前半の画面の美しさは黒澤とは違う魅力あり!
世話になっていた芸者との別れの際、里見浩太朗演じる主人公の甥っ子の台詞もカッコイイ!
「いつ帰ってきてくれるの?」
「こ一か月ぐらいであろう。ただ、もしかすると、次に会えるのは来年のお盆になるかもしれんが・・・」
大映「眠狂四郎」シリーズ開始
山本富士子がフリー宣言。激怒した大映社長永田により映画界から干される
都内・川端にオールナイト映画館オープン
小津安二郎(監督)死去(60歳) 
「江分分満氏の優雅な生活」(監)岡本喜八(原)山口瞳(脚)井手俊郎(撮)村井博(編)黒岩義谷(音)佐藤勝
(出)小林桂樹、新珠三千代、矢内茂、東野英治郎 、横山道代、中丸忠雄、ジェリー伊藤、松村達夫、天本英世、桜井浩子
「彼女と彼」(監)(脚)羽仁進(脚)清水邦夫(音)武満徹(出)左幸子、岡田英次
「切腹」(監)小林正樹(出)仲代達也(カンヌ映画祭審査員特別賞
「五番町夕霧楼」(監)(脚)田坂具隆(原)水上勉(脚)鈴木尚之(出)佐久間良子、河原崎長一郎、進藤英太郎
「サムライの子」
(監)若杉光夫(企)大塚和(脚)今村昌平(原)山中恒(撮)井上莞(編)丹治睦夫(音)渡辺宙明(美)岡田戸夢
(出)田中鈴子、小沢昭一、南田洋子(ブルーリボン助演女優賞)、浜田光夫、松尾嘉代、上田吉二郎、田代みどり、鈴木光子、三崎千恵子 
野武士の少年の一人として古谷徹が子役としてデビュー!
1960年代小樽にあったサムライ部落を舞台にした社会派映画の名作。
くず拾いをして暮らす人々が暮らす「サムライ部落」に住む父と暮らすため紋別から来た少女。
サムライ部落にやってきた元犯罪者の集団「野武士」の子供たち。(住宅は市営住宅でした)
「サムライ部落」に住むことを学校で話すなと言われた少女は複雑な気持ちで暮らしますが、・・・
部落の撮影は大型がかりなセットで行われたようですが、小樽ロケはかなりあります。
今ではどこかわからないような場所ですが、花園公園、花園小学校、忠魂碑、入船グランド周辺、港小樽港、妙見川などが登場!
同級生にいじめられているのを救った母親(南田洋子)が娘に「お嬢さん」と声をかけるシーンは泣かせます。
東京オリンピックが目前の日本にまだこうした社会があったとは!というか僕はもうこの時、小樽の街に生まれていたのですが知らなかった。
「サムライ部落」の名前は噂には聞いていましたが初めてその意味がわかりました。(本州でいう「部落」とはまた違うようですが)
「サムライ」という呼び名は、廃品回収をする姿が「侍」のように見えたことでついた名前だそうです。
1972年札幌オリンピックの頃には無くなっていたそうですが、僕が小学校の頃はまだあったということでしょうか。
小樽出身の作家、山中恒は子の原作小説で第一回講談社児童文学賞を受賞し、「転校生」「さびしんぼう」などを書くことになります。
山中恒は1931年生まれなので、僕と30歳違いです。
「下町の太陽」(監)(脚)山田洋次(脚)不破三雄、熊谷勲(出)倍賞千恵子、勝呂誉(倍賞千恵子のデビュー作
「しとやかな獣」(監)川島雄三(原)(脚)新藤兼人(出)若尾文子、伊藤雄之助、山岡久乃
「社長漫遊記」(監)杉江敏男
「その夜は忘れない」(監)吉村公三郎(撮)小原譲治(ソ連平和擁護委員会賞カンヌ映画祭国際キリスト教会賞
「太平洋ひとりぼっち」(監)市川崑(原)堀江謙一(脚)和田夏十(音)芥川也寸志(出)石原裕次郎、森雅之
「天国と地獄」(監)(脚)黒澤明(脚)菊島隆三他(原)エド・マクベイン(出)三船敏郎、山崎努、香川京子、仲代達也
「にっぽん昆虫記」(監)(脚)今村昌平(脚)長谷部慶次(音)黛敏郎(出)左幸子(ベルリン国際映画祭主演女優賞)、岸輝子、佐々木すみ江、北村和夫
「拝啓天皇陛下様」(監)(脚)野村芳太郎(脚)多賀祥介(原)棟田博(出)渥美清、長門裕之、藤山寛美、桂小金治
(渥美清のもうひとつの代表作。藤山寛美との共演も魅力)
「非行少女」(監)(脚)浦山桐郎(原)森山啓(出)浜田光夫、和泉雅子、小池朝雄(モスクワ映画祭金賞
「武士道残酷物語」(監)今井正(脚)鈴木尚之、佐田義賢(出)中村錦之助、東野英治郎(ベルリン国際映画祭グランプリ
「マタンゴ」(監)本多猪四郎(脚)木村武(原案)星新一、福島正美(ウィリアム・ホジスン作「闇の声」より)(特撮)円谷英二(出)久保明、水野久美、小泉博、佐原健二
「芽をふく子ども」(監)原功(撮)三宅義行(モスクワ記録映画祭名誉賞
「泥だらけの純情」(監)中平康(出)吉永小百合、浜田光夫(日活純情路線の代表作)
「新撰組始末記」(監)三隅研次(撮)本多省三(出)市川雷蔵、藤村志保
「みんなわが子」(監)家城巳代治(脚)植草圭之助(撮)井上莞(出)桑山正一、中原ひとみ
「野獣の青春」(監)鈴木清順(原)大藪晴彦「人狩り」(脚)池田一朗、山崎忠昭(撮)永塚一栄(出)宍戸錠、木島一郎、渡辺美佐子
1964年
<東映ヤクザ映画時代始まる>
 下記の2作品でヤクザ映画のパターンが誕生し、この後の任侠映画ブームが始まった。ブームをけん引した藤純子は、本物の任侠の世界からプロデューサーとなった俊藤浩滋の娘だった。
「博徒」(監)(脚)小沢茂弘(出)鶴田浩二、松方弘樹、藤純子
「日本侠客伝」(監)マキノ雅弘(脚)笠原和夫(出)中村錦之助、高倉健、藤純子

松竹「白日夢」「紅閨夢」(監督・武智鉄二)公開。成人映画ブームの先駆けとなる
「愛と死をみつめて」で吉永小百合ブームが起こる
「若草物語」監督:森永健次郎
「モスラ対ゴジラ」「三代怪獣 地球最大の決戦」監督:本田猪四郎
「卍」監督:増村保造
円谷特技プロダクション設立
テレビのカラー放送開始
全国の映画館数が5000を切る
佐田啓二(俳優)死去(38歳)
「赤い殺意」(監)〈脚)今村昌平(脚)長谷部慶次(撮)姫田真左久〈出)西村晃、赤木蘭子、春川ますみ
「越後つついし親不知」(監)今井正(原)水上勉(脚)八木保太郎〈出)三国連太郎、小沢昭一、佐久間良子
「怪談」〈監)小林正樹〈原)小泉八雲(脚)水木洋子(撮)宮島義男(音)武満徹(出)新珠三千代、中村賀津雄、岸恵子
「乾いた花」(監)(脚)篠田正浩(脚)馬場当(原)石原慎太郎(出)池辺良、加賀まりこ、藤木孝、原知佐子、佐々木功、宮口精二
(池辺、加賀の出世作、公開時には不道徳、退廃的と批判されたハードボイルド&クールな犯罪娯楽映画の隠れた名作らしい)
「香華」〈監)(製)(脚)木下恵介〈原)有吉佐和子(出)乙羽信子、岡田英次、岡田茉莉子
砂の女(監)勅使河原宏(原)安部公房(出)岡田英次(カンヌ映画祭審査員特別賞メキシコ映画新聞雑誌協会外国語映画賞
「帝銀事件 死刑囚」
(監)(脚)熊井啓(企)柳川武夫(撮)岩佐一泉(編)丹治睦夫(美)千葉和彦(音)伊福部昭
(出)信欣三、内藤武敏、笹森礼子、井上昭文、高野由美、柳川慶子、鈴木瑞穂、佐野浅夫、高品格、草薙幸二郎、垂水悟郎 
1948年に起きた12人が殺害された帝銀事件を描いたドキュメンタリー・タッチのリアリズム映画の傑作。
熊井啓監督のデビュー作ですでにこのクオリティーはさすがです。
オープニングの事件の再現シーンは、実に見事。怖くなるほどの再現度です。ストップモーションの使い方も上手い。
俳優たちの演技はちょっとやりすぎですが・・・それも時代なのかも?
伊福部昭の音楽も映画を盛り上げています。
「荷車の歌」(監)山本薩夫(撮)前田実(アジア・アフリカ映画祭入賞
「乱れる」(監)(製)成瀬巳喜男(脚)松山善三(撮)安本淳(出)高峰秀子、加山雄三、草笛光子
「ならず者」(監)(脚)石井輝男(撮)林七郎(出)高倉健、丹羽哲郎、杉浦直樹
「ああ爆弾」(監)(脚)岡本喜八(原)コーネル・ウールリッチ「万年筆」(撮)宇野晋作(出)伊藤雄之助、越路吹雪、高橋正
「肉体の門」(監)鈴木清順(原)田村泰次郎(脚)棚田吾郎(出)宍戸錠、野川由美子
「暗殺」(監)篠田正浩(原)司馬遼太郎(脚)山田信夫(撮)小杉正雄(出)丹羽哲郎、岡田英次、岩下志麻
「日本脱出」(監)(脚)吉田喜重(撮)成島東一郎(音)武満徹(出)鈴木やすし、待田京介、坂本スミ子
「鬼婆」(監)(脚)新藤兼人(撮)黒田清巳(出)乙羽信子、吉村実子、佐藤慶
1965年
ドキュメンタリー映画「東京オリンピック」が大ヒットを記録(動員2000万人突破)2001年の「千と千尋の神隠し」公開まで破られない記録となった
東映が任侠・やくざ映画路線を本格化させる
ポルノ映画「壁の中の秘事」がベルリン映画祭に出品され、日本国内で「国辱だ!」と大騒ぎになる
松竹の京都撮影所が閉鎖される
加山雄三主演作「エレキの若大将」大ヒット
「大怪獣ガメラ」(監)湯浅憲明(脚)高橋二三(撮)宗川信夫(特技)藤井和文、築地米三郎(出)船越英二、姿美千代
「怪獣大戦争」(監)本多猪四郎(特撮)円谷英二(脚)関沢新一(出)ゴジラ、キングギドラ、ラドン、宝田昭、ニック・アダムス、田崎潤
「赤ひげ」(監)黒澤明〈原)山本周五郎〈脚)井手雅人、菊島隆三他
(出)三船敏郎ヴェネチア映画祭主演男優賞)加山勇三、山崎努(ヴェネチア映画祭サンジョルジョ賞、国際カトリック協会賞
「網走番外地」(監)〈脚)石井輝男〈原)伊藤一(出)高倉健、南原宏治、嵐寛寿郎、安倍徹、田中邦衛、丹波哲郎
(ヒロイン不在の映画ではヒットしないと予算を削られモノクロ映画になったが、そのおかげで今見ても古さを感じさせない映像になった。この映画のヒットにより、シリーズ化され10作品製作。
さらに「新網走番外地」が8作品作られた。高倉健と南原宏治のコンビによる脱獄はスタンリー・クレーマーの名作「手錠のままの脱獄」の翻案)
「怪談」(監)小林正樹(主)三国連太郎、岸恵子(カンヌ映画祭審査員特別賞)(公開は1964年)(原)小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)
「飢餓海峡」〈監)内田吐夢〈原)水上勉(脚)鈴木尚之〈音)富田勲〈出)三国連太郎、小沢昭一、左幸子、高倉健、伴淳三郎(ブラジル・サッシー賞外国語映画賞主演男優賞
(1947年に起きた青函連絡船洞爺丸の転覆事故を背景にしたサスペンス・ドラマ。532名の遺体の中に他殺体があったという設定が見事)
「黒い雪」(監)武智鉄ニ(わいせつ図画頒布の疑いで摘発される)わいせつ裁判の原点
「血と砂」(監)(脚)岡本喜八(原)伊藤桂一(脚)佐藤乾(撮)西垣六郎(出)三船敏郎、仲代達也、佐藤充、伊藤雄之助、団玲子、天本英世、名古屋章
軍楽隊の少年たちと古参の曹長たちによる勝利なき戦いを描いた戦争映画の傑作。
可笑しくてやがて悲しい青春映画でもあります。アクション映画としても魅力的なところはサム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」を思わせます。
東京オリンピック(監)市川崑(カンヌ映画祭特別賞
「にっぽん泥棒物語」(監)山本薩夫(脚)高岩肇、武田敦(出)三国連太郎、佐久間良子、伊東雄之助、市原悦子、緑魔子、北林谷栄
(コメディータッチの犯罪娯楽映画、三国は「飢餓海峡」よりも好きだったらしい)
「日本列島」〈監)〈脚)熊井啓(企画)大塚和(原)吉原公一郎(撮)姫田真佐久(美)千葉和彦(音)伊福部昭
(出)宇野重吉、芦川いづみ、二谷英明、鈴木瑞穂、下元勉、内藤武敏、大滝秀治、加藤嘉、佐野浅夫、北林谷栄、佐々木すみ江
北は札幌のレイプ事件から横浜での米軍曹長殺人事件、最期は沖縄での殺人事件まで「日本列島」を股にかけた米軍がらみの事件。
その真実に迫ろうとする人々の虚しい戦いの記録をドキュメンタリータッチで描いた社会派サスペンスの名作。
さすがは熊井啓監督です。社会派の作品と言っても、ちゃんとエンターテイメントとして引き込まれる作品に仕上がっています。
途中からと登場する誘拐された偽札印刷の技術者の娘役、芦川いづみが素晴らしい演技と魅力で盛り上げています。
地味な男たち、宇野、内藤、佐野、下元、加藤らがまたいい味を出しています。
「侍」(監)岡本喜八(脚)橋本忍(撮)村井博(出)三船敏郎、小林桂樹、伊藤雄之助、松本幸四郎、新珠三千代
「桜田門の変」を架空の侍を主人公に描き直した時代劇。脚本担当の橋本忍の色が出た迫力の時代劇で岡本喜八風ユーモアは封印気味。
「美しさと哀しみと」(監)篠田正浩(原)川端康成(脚)山田信夫(撮)小杉正雄(出)山村聡、加賀まり子、八千草薫、山本圭
「日本一のゴマすり男」(監)古澤憲吾(脚)笠原良三(撮)斉藤孝雄(音)宮川泰(出)植木等、浜三枝、中村是好
「悦楽」(監)(脚)大島渚(原)山田風太郎(撮)高田昭(音)湯浅譲二(出)中村賀津雄、加賀まり子、野川由美子
「けものみち」(監)(脚)須川栄三(原)松本清張(脚)白坂依志郎(撮)福沢康道(出)池内淳子、小林桂樹、池部良
「刺青一代」(監)鈴木清順(脚)直居欽哉、服部佳(撮)高村倉太郎(出)高橋英樹、花ノ本寿、山内明
「ユンボギの日記」(監)(脚)大島渚(原)イ・ユンボギ(撮)川俣昂(語り)小松方正
1966年
黒澤明が東宝から独立。多くの監督が独立プロを設立し始める
日本映画輸出振興協会発足
日活「二人の世界」が大ヒットし、日活ムードアクション映画ブーム始まる
「大魔神」大ヒット(監)安田公義
「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」(監)本多猪四郎(特技)円谷英二
「”エロ事師たちより”より人類学入門」〈監)〈脚)今村昌平(原)野坂昭如(出)小沢昭一、坂本スミ子、ミヤコ蝶々
「紀ノ川」〈監)中村登(原)有吉佐和子〈脚)久坂栄二郎〈出)司葉子、田村高広、岩下志麻
「沓掛時次郎遊侠一匹」(監)加藤泰(脚)鈴木尚之、掛札昌裕(原)長谷川伸(出)中村錦之助、池内淳子、渥美清、東千代介、弓恵子
(股旅ものの代表作。格調高い美しい画面と男たちの生き様が魅力。渥美清のヤクザ姿の魅力)
けんかえれじい(監)鈴木清順(出)高橋秀樹
「白い巨塔」〈監)山本薩夫〈原)山崎豊子〈脚)橋本忍(製)永田雅一(出)田宮二郎、小沢栄太郎、東野英治郎(モスクワ映画祭銀賞
「湖の琴」〈監)田坂具隆(原)水上勉(脚)鈴木尚之〈出)佐久間良子、中村賀津雄、山岡久乃
「他人の顔」〈監)勅使河原宏〈原)〈脚)安部公房(音)武満徹〈出)仲代達也、平幹二郎
「白昼の通り魔」〈監)大島渚(脚)田村孟(出)川口小枝、佐藤慶、小山明子
「刺青」(監)増村保造(原)谷崎潤一郎(脚)新藤兼人(撮)宮川一夫(出)若尾文子、長谷川明男、山本学、佐藤慶
「とべない沈黙」(監)(脚)黒木和雄(脚)松川八州雄、岩佐壽弥(撮)鈴木達夫(出)加賀まり子、平中実、小沢昭一、戸浦六宏
「非行少女ヨーコ」(監)降旗康男(脚)神波史男(撮)仲沢半次郎(出)緑魔子、谷隼人、石橋蓮司、大原麗子
「憂国」(監)(製)(原)(脚)(美)三島由紀夫(撮)渡辺公夫(出)三島由紀夫、鶴岡淑子
東京流れ者(監)鈴木清順(原)(脚)川内光範(撮)峰重義(出)渡哲也、松原智恵子、二谷英明
「大忍者映画 ワタリ」(監)船床定男(原)白土三平(子供心に怖かった・・・)
「裏切りの季節」(監)(脚)大和屋竺(撮)伊東秀夫(出)立川雄三、谷口朱里
「胎児が密猟する時」(監)若松孝二(脚)足立正生、大谷義明(撮)伊東英男(出)志摩みはる、山谷初男
1967年
わいせつとして訴えられていた武智鉄二監督の「黒い雪」が無罪判決をうける
「殺しの烙印」監督:鈴木清順
「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(監)湯浅憲明
「大巨獣 ガッパ」(監)野口晴康
「あかね雲」〈監)篠田正浩(原)水上勉〈脚)鈴木尚之(出)岩下志麻、小川真由美、山崎努
「上意討ち・拝領妻始末」(監)小林正樹(出)三船敏郎、加藤剛(ヴェネチア映画祭国際映画評論家連盟賞
「智恵子抄」〈監)〈脚)中村登〈原)高村光太郎、佐藤春夫〈出)岩下志麻、丹波哲郎、南田洋子
「日本のいちばん長い日」(監)岡本喜八(原)大宅荘一(脚)橋本忍(出)三船敏郎、笠智衆、宮口精二、山村聡
歴史大作なのにサスペンス映画とした見事に楽しめる傑作。ただし、軍の狂気、愚かさにがっかりし、今との変わらなさにも嫌になる作品ですが・・・。
「人間蒸発」(監)(企)今村昌平(撮)石黒健治(出)早川佳江、露口茂(ATGによる最初の作品)
「忍者武芸帳」〈監)〈脚)大島渚〈原)白土三平(脚)佐々木守〈出)山本圭、小沢昭一、小山明子
(当時大人気だった白土三平の漫画を映画化。アクション映画としての面白さを打ち出し漫画の実写映画化の先駆となった)
「斜陽のおもかげ」
(監)斎藤光正(企)横山弥太郎(原)太田治子(脚)八住利雄(撮)萩原憲治(美)千葉和彦(編)丹治睦夫(音)林光
(出)吉永小百合、新珠三千代、岸田森、芦田伸介、高杉早苗、北林谷栄、笹森みち子、小池朝雄
太宰治の代表作「斜陽」にも登場する木田かず子とその娘(町子)を主人公にした太宰死後の後日談。
大作家というよりも醜聞まみれの不倫作家のイメージに人生を狂わされてきた町子が父のおもかげを求め津軽の旅にでます。
その部分ではあえてドキュメンタリーになり、太宰の友人だった檀一雄も登場します。(奥さんは女優、檀ふみに似てます)
主人公の恋人が山で遭難するくだりは、死と結びつける少々強引な展開。
でも山で遺体を焼いてしまうのは?当時はまだ許されていたのかな?まるでガンジスのほとりになってます。
ゴシップ記者役で小池朝雄が登場します。
「華岡青洲の妻」〈監)増村保造(原)有吉佐和子(脚)新藤兼人(美)西岡善信(出)市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子
「乱れ雲」(監)成瀬巳喜男(脚)山田信夫〈音〉武満徹(出)加山雄三、司葉子、加藤大介
「夜霧よ今夜も有難う」(監)江崎実生(出)石原裕次郎、二谷英明(カサブランカの日本版、日活ムードアクションの代表作)
「拳銃は俺のパスポート」(監)野村孝(出)宍戸錠(「Aのジョー」の代表作)
「殺しの烙印」(監)鈴木清順(脚)具流八郎(撮)永塚一永(出)宍戸錠、小川万里子、真里アンヌ、南原宏治
「無理心中 日本の夏」(監)(脚)大島渚(脚)田村孟、佐々木守(撮)吉岡康弘(出)桜井啓子、佐藤慶、殿山泰司
1968年
ATGが「一千万円映画」の製作開始
黒澤明がアメリカ映画「トラ・トラ・トラ!」の監督を解約される
日活が鈴木清順との契約を解除
大映が田宮二郎を解雇
フォーククルセダーズの大ヒット「帰ってきたヨッパライ」が大島渚監督により映画化
「ザ・タイガース 世界は僕らを待っている」和田嘉訓監督(GSブームの頂点に合わせて製作された)
野田高梧(脚本家、小津組)死去(74歳)
「神々の深き欲望」(監)(脚)今村昌平(製)山野井正則(脚)長谷部慶次(出)三国連太郎、沖山秀子、河原崎長一郎
「斬る」(監)(脚)岡本喜八(原)山本周五郎(出)仲代達也、高橋悦司、神山繁、岸田森、中村敦夫 
「黒部の太陽」(監)(脚)熊井啓(企)中井景(脚)井手雅人(原)木本正次(撮)金宇満司(音)黛敏郎
(出)三船敏郎、石原裕次郎、滝沢修、志村喬、寺尾聡、宇野重吉、佐野周二、辰巳柳太郎、樫山文枝、日色ともゑ、高峰三枝子、川口晶、大滝秀治、鈴木瑞穂
加藤武、下川辰平、二谷英明、芦田伸介、北林谷栄、岡田英二、下條正巳、佐野朝夫、内藤武敏
 黒部第四ダム建設現場までのトンネル完成までのリアリズム超大作。プロジェクトXのドラマ版ですが、戦争、労働問題、白血病、ラブストーリー詰め込み過ぎか?
 完全版は3時間越えでさすがにちょっと長い。辰巳柳太郎の演技はさすがにやりすぎ!俳優が多すぎて大変でしょうけど、・・・。
 CGなしの時代なので命がけの撮影が行われました。そこはさすがに迫力あります!大ヒットしただけあり、見ごたえのある娯楽大作に仕上がっています。
 「人間やればどんなことも可能」というメッセージですが、そもそも環境破壊も甚だしい工事です。今の視点で見ると問題点色々ありますね。
「絞死刑」(監)(脚)大島渚(脚)田村孟、佐々木守ほか(出)佐藤慶、渡辺文雄、戸浦六宏、小松方正
「人生劇場 飛車角と吉良常」(監)内田吐夢(原)尾崎士郎(脚)柳田吾郎(出)鶴田浩二、松方弘樹、辰巳柳太郎
「初恋 地獄篇」(監)(脚)羽仁進(脚)寺山修司(製)藤井知至(出)高橋章夫、石井くに子
「緋牡丹博徒」(監)山下耕作(出)藤純子(シリーズ第一作が大ヒットとなる)
「肉弾」(監)(脚)岡本喜八(製)馬場和男(撮)村井博(出)寺田農、大谷直子、天本英世
「日本春歌考」(監)大島渚(脚)田村孟、佐々木守、田島敏男(撮)高田昭(出)荒木一郎、岩淵孝次、田島和子
「忍者武芸帳」(監)(脚)(製)大島渚(原)白土三平(脚)佐々木守(撮)高田昭(出)山本圭、戸浦六宏、小山明子
「黒蜥蜴」(監)深作欣司(原)三島由紀夫(脚)成沢昌茂(出)丸山明宏、木村功、河津祐介
「犯された白衣」(監)(脚)若松孝二(脚)唐十郎、山下治(撮)伊東英男(出)唐十郎、林美樹、小柳冷子
「さらば夏の光」(監)(脚)吉田喜重(脚)山田正弘、長谷川竜生(撮)奥村裕治(出)岡田茉莉子、横内正
「太陽の王子 ホルスの大冒険」(監)高畑勲(長編アニメ)
1969年
フジテレビが「御用金」で映画に進出(テレビ局による映画界進出が始まる)
「コント55号 人類の大弱点」監督:福田 純
「処女ゲバゲバ」(監)若松孝二
「女学生ゲリラ」(監)足立正生
松竹がシリーズ開始
黒澤明、木下恵介、市川崑、小林正樹が独立プロダクション「四騎の会」を設立
ソニーがビデオ・プレイヤーを開発
成瀬巳喜男(監督)死去(64歳)
市川雷蔵(俳優)肝臓癌にて死去(37歳)
「男はつらいよ」
(監)(脚)山田洋次(脚)森崎東(出)渥美清、倍賞千恵子(超ロングラン・シリーズの始まり)
「続 男はつらいよ」(監)(脚)山田洋次(脚)森崎東(出)渥美清、佐藤オリエ
「かげろう」(監)(脚)新藤兼人(脚)関功(出)乙羽信子、富山真沙子、伊丹十三
「少年」(監)大島渚(脚)田村孟(製)中島正幸、山口卓治(撮)吉岡康弘、仙元誠三(美)戸田重昌(編)白木末子(音)林光
(出)渡辺文雄、阿部哲夫、小山明子、木下剛志
高知から福山、松江、城崎、天橋立、福井、敦賀、秋田、稚内、小樽、札幌、大阪、最後に高知。電車と船と飛行機による日本海側日本縦断のロードムービー
ラストのクライマックスは小樽の船見坂周辺で撮影されています。
当たり屋家族4人の仕事と逃亡の日々を正義の宇宙人になりたかった少年目線で描いた傑作。
三角の雪ダルマは実は宇宙から来たとは・・・少年目線のファンタジー映画にも見えます。天才少年の阿部君はその後、どうしているのでしょう?
カラーとモノトーン映像の切り替え、カットそれぞれの構図の良さと色の美しさに驚きました。さすが大島渚!荒っぽい作りですが、繊細な画面作りは天才です。
「新宿泥棒日記」(監)大島渚(脚)田村孟(製)中島正幸(出)横尾忠則、田辺茂一、唐十郎
「心中天網島」
(監)(企)(脚)篠田正浩(原)近松門左衛門(脚)富岡多恵子、武満徹(出)岩下志麻、中村吉右衛門
「長靴をはいた猫」
(監)矢吹公郎(原)シャルル・ペロー(アニメ作品)(モスクワ映画祭入賞
「橋のない川」
(監)(製)今井正(原)住井すえ(脚)八木保太郎(出)北林谷栄、伊藤雄一郎、長山藍子(読売ホールから自主上映公開始まる)
「風林火山」(監)稲垣浩(脚)橋本忍ほか(出)三船敏郎、中村錦之助、佐久間良子
「私が棄てた女」(監)浦山桐郎(原)遠藤周作(脚)山内久(出)河原崎長一郎、小林トシエ、浅丘ルリ子
「薔薇の葬列」(監)(脚)松本俊夫(撮)鈴木達夫(美)朝倉摂(出)ピーター、土屋嘉男、小笠原修
1970年
日活と大映がダイニチ映配を設立
国立フィルムセンター開設
「座頭市と用心棒」監督:岡本喜八
「日本解放同盟 三里塚」(ドキュメンタリー)(監)小川紳介
榎本健一(俳優)65歳で死去
円谷英ニ(特撮、監督、製作)68歳で死去
月形龍之介(俳優)死去(68歳)
内田吐夢(監督)72歳で死去
「お荷物小荷物」(テレビ・ドラマ)
(プロデューサー)山内久司(脚)佐々木守(衣)コシノヒロコ(音)佐藤允彦(出)中山千夏、志村喬、桑山正一、河原崎長一郎、浜田光夫、林隆三、渡辺篤史、佐々木剛、戸浦六宏、佐藤慶、中原早苗、鮎川いずみほか 
 登場人物のほとんどが死んでしまうという衝撃的なラスト、スキャンダラスな内容が話題となった大人向けでブラックなテレビドラマ。
 今なら放送不可能な内容ですが、フィルムも残っていない時代を象徴する幻の作品
「エロス+虐殺」
(監)(製)(脚)吉田喜重(脚)山田正弘(撮)長谷川元吉(出)茉莉麻理子、楠有子、細川俊之
「男はつらいよ 望郷篇」(監)(原)(脚)山田洋二(脚)宮崎晃(出)渥美清、長山藍子、倍賞千恵子
「家族」
(監)(原)(脚)山田洋二(脚)宮崎晃(製)三嶋与四治(出)倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆、前田吟
「昭和残侠伝・死んで貰います」(監)マキノ雅広(出)高倉健、藤純子(黄金コンビ誕生!)
「戦争と人間」(監)山本薩夫(原)五味川純平(脚)山田信夫(撮)姫田真左久(出)滝沢修、芦田伸介、浅丘ルリ子
「地の群れ」(監)(脚)熊井啓(脚)(原)井上光晴(製)高島幸夫、大塚和(出)鈴木瑞穂、寺田誠、紀比呂子
被爆者、被差別部落、差別される人びと同士の憎み合いが生んだ救いようのない悲劇の物語
そそしてその両方の気持ちが理解できる医師の心の葛藤の物語。医師が駄目なわりに強姦された被害者少女が強いのが救い。
「どですかでん」
(監)(製)(脚)黒澤明(製)松江陽一(脚)橋本忍、小国英雄(出)頭師佳孝、菅井きん、芥川比呂志(アデレード映画祭作品賞、監督賞
「裸の十九才」(監)(脚)新藤兼人(製)能登節雄、桑原一雄ほか(出)原田大二郎、乙羽信子(モスクワ映画祭金賞
「無常」
(監)実相寺昭雄(脚)石堂淑郎(製)淡豊昭(音)冬木透(出)田村亮、司美智子、岡田英次(ロカルノ映画祭ゴールデン・ジャガー賞
「緋牡丹博徒 お竜参上」(監)(脚)加藤泰(脚)鈴木則文(撮)赤塚滋(出)藤純子、菅原文太、若山富三郎、山城新伍
「無頼漢」(監)篠田正浩(脚)寺山修司(原)河竹黙阿弥(撮)岡崎宏三(音)佐藤勝(出)仲代達矢、岩下志麻、太地喜和子、丹羽哲郎
「でんきくらげ」(監)(脚)増村保造(脚)石松愛弘(撮)小林節雄(出)渥美マリ、川津祐介、根岸明美
「にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活」(ドキュメンタリー)(監)(脚)今村昌平(撮)柳沢正夫(助監)長谷川和彦(出)赤座たみ、赤座あけみ
「反逆のメロディー」(監)澤田幸弘(脚)佐治乾、蘇武路夫(撮)山崎善弘(出)原田芳雄、佐藤蛾次郎、梶芽衣子
「赤頭巾ちゃん気をつけて」(監)(脚)森谷司郎(原)庄司薫(脚)井手俊郎(撮)中井朝一(出)岡田祐介、森加代、富岡徹夫
「煉獄エロイカ」(監)(製)(脚)吉田喜重(脚)山田正弘(撮)長谷川元吉(出)岡田茉利子、鴨田貝造、木村菜穂
「日本の悪霊」(監)黒木和雄(原)高橋和己(脚)福田善之(撮)堀田泰寛(出)佐藤慶、高橋辰夫、観世栄夫
1971年
大映が倒産
東映社長・大川博の死去により、岡田茂が社長就任
日活はロマン・ポルノ製作へと方向転換。組合主導での再スタート。全作品を製作費750万円で製作。「団地妻昼下がりの情事」(監)西村昭五郎と「色暦 大奥秘話」(監)林功からスタート
ロマン・ポルノ出身の監督は、西村昭五郎、林功、田中登、加藤彰、藤田敏八、神代辰巳、村川透、根岸吉太郎、小原宏裕、曽根中生、池田敏春、中原俊らがいます。
黒澤明、手首を切り自殺を図る
「ゴジラ対ヘドラ」(監)坂野義光
「八月の濡れた砂」(監)(脚)藤田敏八(脚)大和屋竺(出)広瀬昌助、村野武範、中沢直人、テレサ野田、渡辺文雄、地井武男
ロマンポルノ前、日活最後の作品。70年安保が終わり、学生運動の終焉とともに「全共闘世代」も「太陽族」も過去のものになりつつある時期の青春映画。
それは日本の青春時代の終わりでもあった。石川セリの同名主題歌はこの時代を象徴する歌詞だった。
「あの夏の光と影は、どこへ行ってしまったの・・・」)
「後悔するぞ!健一郎!」
「ああ、したいんだ。できればな」

渡辺文雄と村野武範の会話
「男はつらいよ 寅次郎恋歌」
(監)(原)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆(出)渥美清、倍賞千恵子、池内淳子
「儀式」(監)(脚)大島渚(脚)田村孟、佐々木守(撮)成島東一郎(出)佐藤慶、河原崎健三、小山明子、中村敦夫、賀来敦子
「犬神家の一族」から殺人事件をとった感じ?と思って見ていたら、小山明子が惨殺されました。ええ!
その後、新婦に逃げられた主人公の結婚式が、見事に笑え、結婚式の直後の交通事故死で、架空の初夜と葬式が同時に・・・
真面目にやってるだけに笑えます。伊丹十三の「お葬式」の先駆作だった?やはり大島渚は凄いわ。
戦後日本の変化が儀式に臨む人々から見えてくる作品。
「三里塚・第二砦の人々」(監)小川紳介(撮)田村正毅(ドキュメンタりー映画)(西独マンハイム映画祭ズテンベルグ映画祭
「書を捨てよ町へ出よう」
(監)(原)(脚)寺山修司(音)下田逸郎、荒木一郎、クニ河内ほか(出)佐々木英明、小林由紀子、斉藤正治、平泉征、丸山明宏、浅川マキ、クニ河内
サンレモ国際映画祭グランプリ
2021年に改めて見て、主人公がウザいのにビックリ!70年代に見た時はカッコイイと思えたはずが、今はまったく感情移入できないことに驚き!
寺山の作品は、舞台劇なだけに時代と共に生きる作品だったのかもしれない。
ただし、編集の面白さ、色使いの美しさ、光の使い方や構図のセンスの良さは、時代を超えています。そこはやはり天才だ!
それと音楽も多彩で聴きごたえあり!ロック・ミュージカルとも言える作品。
「戦争と人間 第二部愛と悲しみの山河」(監)山本薩夫(原)五味川純平(脚)武田敦、山田信夫(出)滝沢修、吉永小百合
「沈黙」(監)(脚)篠田正浩(原)(脚)遠藤周作(出)デヴィッド・ランプソン、岩下志麻、マコ・岩松
「水俣-患者さんとその世界」(監)土本典昭(ドキュメンタりー映画)
「やさしいにっぽん人」(監)(脚)東陽一(脚)前田勝弘(製)高木隆太郎(出)河原崎長一郎、緑魔子、伊丹十三
「団地妻・昼下がりの情事」(監)西村昭五郎(日活ロマン・ポルノ第一作)
「博徒外人部隊」(監)(脚)深作欣司(脚)神波史男、松田寛夫(撮)仲沢半次郎(出)鶴田浩二、安藤昇、若山富三郎
「修羅」(監)(脚)松本俊夫(原)鶴屋南北、石沢秀二(撮)鈴木達夫(出)中村賀津雄、三条泰子、唐十郎
「緋牡丹博徒 お命戴きます」(監)(脚)加藤泰(脚)鈴木則文、大和久守正(撮)わし尾元也(出)藤純子、若山富三郎、大木実、内田朝雄
「激動の昭和史 沖縄決戦」(監)岡本喜八(脚)新藤兼人(撮)山田一夫、村井博、富岡素敬
(出)小林桂樹、仲代達矢、丹羽哲郎、森幹夫、加山雄三、田中邦衛(ナレーション)小林清志
「顔役」(監)(製)(脚)勝新太郎(脚)菊島隆三(撮)牧浦地志(美)西岡善信(出)勝新太郎、山崎努、太地喜和子
「曼陀羅」(監)実相寺昭雄(脚)石堂淑朗(撮)稲垣涌三(出)清水紘治、森秋子、田村亮
1972年
日活ロマン・ポルノ3作品が猥褻疑惑で問題となる(「濡れた唇」(監)神代辰巳、「恋の狩人」など)
映画館入館者数が1億8700万人となり2億人をきる
東映「女囚さそり」がヒット(劇画映画化の先駆)
市川崑 演出のテレビ・ドラマ「木枯らし紋次郎」スタート、大ヒットとなる(出)中村敦夫(美)西岡善信(映画版は菅原文太)
「仮面ライダー対ショッカー」(監)山田稔
「一条さゆり 濡れた欲情」(監)(脚)神代辰巳(企)三浦朗(撮)姫田真左久(出)一条さゆり、白川和子、伊佐山ひろ子、高橋明(一世を風靡したストリッパーの人生)
「男はつらいよ 柴又慕情」
(監)(原)(脚)山田洋次(製)島津清(脚)朝間義隆(出)渥美清、倍賞千恵子、吉永小百合
「軍旗はためく下に」(監)深作欣司(原)結城昌治(脚)新藤兼人(音)林光(出)丹波哲郎、三谷昇、左幸子
「忍ぶ川」(監)(脚)熊井啓(原)三浦哲郎(脚)長谷部慶次(撮)黒田清己(出)栗原小巻、加藤剛、永田靖、滝花久子
「女囚701号さそり」
(監)伊藤俊也(脚)神波史男、松田寛夫(原)篠原とおる「さそり」(出)梶芽衣子、扇ひろ子、夏八木勲、渡辺文雄、横山リエ、三原葉子
(タランティーノの「キル・ビル」のエンディング・テーマとして復活した「怨み節」は梶自身が歌い当時大ヒットした。
反権力のエネルギーが行き場を失った時代に梶の怨みを込めた目力が人々を魅了した。
さそりは園子温監督作品「愛のむきだし」でも復活しています。栗山千秋と満島ひかりは梶の後継者となるのか)
「白い指の戯れ」
(監)(脚)村川透(脚)神代辰巳(企)三浦朗(撮)姫田真左久(出)荒木一郎、伊佐山ひろ子、谷本一(少女のスリの性を描いた青春ドラマ)
「旅の重さ」
(監)斉藤耕一(原)素九鬼子(脚)石森史郎(製)上村務(音)吉田拓郎(出)高橋洋子、岸田今日子、高橋悦史、三国連太郎
「故郷」(監)(原)(脚)山田洋次(製)島津清(脚)宮崎晃(出)井川比佐志、倍賞千恵子、渥美清、笠智衆
「約束」(監)斉藤耕一(脚)石森史郎(製)斉藤節子、樋口清(撮)坂本典隆(出)岸恵子、萩原健一、南美江
「天使の恍惚」(監)(製)(企)若松孝二(脚)出口出(音)山下洋輔トリオ(撮)伊東英男(出)吉沢健、本田竜彦、吉沢友雄
「八月はエロスの匂い」(監)(脚)藤田敏八(脚)大和屋竺(撮)木村武(出)川村真樹、片桐夕子
「夏の妹」(監)(脚)大島渚(脚)田村孟、佐々木守(撮)吉岡康弘(出)栗田ひろみ、石橋正次、リリィ、小松方正
1973年
東映「仁義なき戦い」から実録ヤクザ路線が始まる
東宝の大作路線として作られた「日本沈没」(監督:森谷司郎)が大ヒット
オイルショックにより平日午前中の上映が中止になる
菊田一夫(作家、原作者)死去(65歳)
「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」
(監)(原)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆、宮崎晃(音)山本直純(出)渥美清、浅丘ルリ子
「恍惚の人」(監)豊田四郎(原)有吉佐和子(脚)松山善三(撮)岡崎宏三(出)森繁久弥、田村高広、高峰秀子、乙羽信子
「戦争と人間 第三部 完結篇」(監)山本薩夫(原)五味川純平(脚)武田敦、山田信夫(出)滝沢修、高橋悦史
仁義なき戦い
(監)深作欣二(原)飯干千一(脚)笠原和夫(撮)吉田貞次(音)津島利章(出)菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、金子信雄、田中邦衛、渡瀬恒彦
  この作品もまた全共闘世代に愛された。サム・ペキンパーが撮ったヤクザ映画でリアリズムに徹した娯楽アクションの傑作。
松方演じる坂井のセリフ「わしらが最初に考えた、したいことが自由に出来る組を作り直すんよ」は、内ゲバによって内部崩壊した赤軍派の言葉のようにも聞こえます。
「青幻記 遠い日の母は美しく」(監)(脚)(撮)成島東一郎(原)一色次郎(脚)平岩弓枝、伊藤昌輝(出)田村高広、賀来敦子、山岡久乃
「津軽じょんがら節」
(監)(脚)斉藤耕一(脚)中島丈博(撮)坂本典隆(音)高橋竹山、白川軍八郎(出)江波杏子、織田あきら、中川三穂子
「股旅」
(監)(脚)市川崑(脚)谷川俊太郎(出)小倉一郎、尾藤イサオ
「四畳半襖の裏張り」(監)(脚)神代辰巳(原)永井荷風(撮)姫田真左久(出)宮下順子、江角英明、山谷初男(戦前の遊郭を舞台にした娼婦たちの生活)
「恋人たちは濡れた」(監)(脚)神代辰巳(脚)鴨田好史(撮)姫田真佐久(出)中川梨絵、絵沢萌子
「戒厳令」(監)吉田喜重(脚)別役実(撮)長谷川元吉(出)三国連太郎、松村康世、三宅康夫
「宮本武蔵」(監)加藤泰(原)吉村英治(脚)野村芳太郎、山下清泉(撮)丸山恵司(出)高橋英樹、田宮二郎、倍賞美津子、松坂慶子
「化石の森」(監)篠田正浩(原)石原慎太郎(脚)山田信夫(撮)岡本宏三(出)萩原健一、二宮さよ子、杉村春子
「修羅雪姫」(監)藤田敏八(原)小池和雄、上村一夫(脚)長田紀生(撮)田村正毅(出)梶芽衣子、赤座美代子、大門雅正明
1974年
大映が独立プロとして再建
岩波ホールにおいてエキプ・ド・シネマがスタート。第一回作品としてサタジット・レイの「大樹のうた」公開
(東和副社長の川喜多かしこ、岩波ホール支配人の高野悦子によるプロジェクト)
東映と暴力団との癒着が問題になる
「ゴジラ対メカゴジラ」(監)福田純
田坂具隆(監督)死去(73歳)
花菱アチャコ(俳優)死去(77歳)
山本嘉次郎(監督)死去(72歳)
「赤ちょうちん」(監)藤田敏八(脚)中島丈博(製)岡田裕(出)高岡健二、秋吉久美子、長門裕之
「伊豆の踊子」(監)西河克巳(原)川端康成(脚)若杉光夫(出)山口百恵、三浦友和(黄金コンビ第一作)
「妹」(監)藤田敏八(脚)内田栄一(製)岡田裕(音)木田高介(出)秋吉久美子、林隆三、吉田日出子
「華麗なる一族」(監)山本薩夫(原)山崎豊子(脚)山田信夫(出)佐分利信、京マチ子、仲代達矢
「小林多喜二」
(監)今井正(原)手塚秀孝(脚)勝山俊介(出)山本圭、森幹太(ベルガモ国際映画祭グランプリ
「サンダカン八番娼館 望郷」
(監)(脚)熊井啓(原)山崎朋子(脚)広沢栄(音)伊福部昭(出)栗原小巻、田中絹代(ベルリン映画祭主演女優賞)、田中健
「砂の器」
(監)野村芳太郎(原)松本清張(脚)橋本忍、山田洋次(音)芥川也寸志(出)丹波哲郎、加藤剛、森田健作、島田陽子、緒方拳(モスクワ国際映画祭審査員特別賞
「青春の蹉跌」
(監)神代辰巳(原)石川達三(脚)長谷川和彦(製)田中収(出)萩原健一、桃井かおり、檀ふみ
「宵待草」
(監)神代辰巳(製)岡田裕(企)奥村幸士(脚)長谷川和彦(撮)姫田真佐久(編)鈴木晄(美)横尾嘉良(音)細野晴臣
(出)高橋洋子、高岡健二、夏八木勲、吉田次昭、青木義朗、仲谷昇、浜村淳、殿山泰司、原田千枝子、荻島真一、江角英明
大正時代を舞台にアナーキストの青年が華族の娘を誘拐。身代金を得ようとします。
しかし、その娘を愛してしまった若者は、もう一人の友人と3人で逃げることになり、銀行強盗を三人で実行します。
笑いながら歌いながら展開する不思議な映画ですが、その音楽の作曲が当時ティンパンアレーの中心だった細野晴臣!
彼らしい美しい曲や不思議な歌の数々が実に新鮮で魅力的です。ヌーヴェルヴァーグっぽいカメラと遠くからのカットが印象的です。
それにしても前転が多いこと!映画の中で前転をする回数世界一間違いなし。ちょっとやり過ぎじゃない?何か意味があるのかな?
高橋洋子が可愛いし謎めいていて素敵です。夏八木も貫録ですが、高岡健二がどうも今一。大正のアナーキストに見えない。
「ともだち」(監)沢田幸弘(脚)勝目貴久(出)阿部仁志、鈴木典子、松田優作(ベルグラード国際映画祭 金賞
「ねむの木の詩」(監)(製)(原)(脚)(音)(歌)(ナレーション)宮城まり子(ドキュメンタリー映画)(国際赤十字映画祭銀賞
「竜馬暗殺」(監)黒木和雄(脚)清水邦夫、田辺泰志(製)黒田征太郎ほか(出)原田芳雄、石橋蓮司、松田優作、桃井かおり
「わが道」(監)(脚)新藤兼人(製)高島道吉ほか(撮)黒田清巳(出)乙羽信子、殿山泰司
「襤褸の旗」(監)吉村公三郎(脚)宮本研(撮)宮島義勇、関根重行(出)三国連太郎、荒木道子
「卑弥呼」(監)(製)(脚)篠田正浩(脚)富岡多恵子(撮)鈴木達矢(音)武満徹(出)岩下志麻、草刈正雄、横山リエ、三国連太郎
1975年
洋画の興行収入が邦画を上回る
東映「トラック野郎」シリーズが始まる「トラック野郎 御意見無用」(監)鈴木則文
東映太秦映画村がオープン
加藤大介(俳優)死去(64歳)
「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」(監)(構成)(台本)(インタビュー)新藤兼人(撮)三宅義行
「男はつらいよ 寅次郎相合傘」
(監)(脚)山田洋次(製)島津清(脚)朝間義隆(出)渥美清、浅丘ルリ子
「化石」(監)小林正樹(原)井上靖(脚)稲垣俊、よしだたけし(音)武満徹(出)佐分利信、岸恵子、井川比佐志
「金環蝕」(監)山本薩夫(製)伊藤武郎(原)石川達三(脚)田坂啓(撮)小林節雄(出)宇野重吉、仲代達矢、三国連太郎
「新幹線大爆破」
(監)(脚)佐藤純弥(企)天尾完次、坂上順(原)加藤阿礼(脚)小野竜之介(撮)飯村雅彦(音)青山八郎
(出)高倉健、山本圭、織田あきら、宇津井健、千葉真一、小林稔侍、志村喬、黒部進、丹波哲郎、竜雷太、北大路欣也
パニック映画ブームの中、日本で製作され海外でも高い評価を得た作品ですが、今見ても古くない傑作です。
「スピード」と同じ仕掛けの爆弾を使用した画期的なアイデアだけでなく、犯人グループの人間描写やリアルな展開と穴がない作品。
俳優も特に犯人側の高倉健、山本圭がカッコイイ!やはりサスペンス映画は犯人役が重要です。
「田園に死す」
(監)(製)(原)(脚)寺山修司(製)九条映子、ユミ・ゴヴァース(出)八千草薫、高野浩之、原田芳雄
「本陣殺人事件」
(監)(脚)高林陽一(撮)森田富士郎(出)中尾彬、田村高広、高沢順子(横溝正史ブーム始まる)
「祭りの準備」
(監)黒木和雄(原)(脚)中島丈博(製)大塚和、三浦波夫(出)江藤潤、ハナ肇、原田芳雄
「略称・連続射殺魔」(監)(製)(ナレーター)足立正生(撮)野々村政行(編)市丸房子、山田幸子
「実録・阿部定」(監)田中登(脚)いどあきお(撮)森勝(出)宮下順子、江角英明、坂本長利
「吶喊」(監)(脚)岡本喜八(撮)木村大作(音)佐藤勝)(出)伊藤敏孝、岡田祐介、高橋悦史、伊佐山ひろ子、坂本九
「桜の森の満開の下」(監)(脚)篠田正浩(原)坂口安吾(脚)富岡多恵子(撮)鈴木達矢(出)若山富三郎、岩下志麻、西村晃、伊佐山ひろ子
「迷宮譚」(監)(台)寺山修司(撮)福本文一(音)田中未知(出)新高惠子、蘭妖子、有栖川志栖子
「黒薔薇昇天」(監)(脚)神代辰巳(原)藤本義一(撮)姫田真佐久(出)岸田森、谷ナオミ
1976年
角川書店「犬神家の一族」で映画製作に進出。メディア・ミックス、広告重視の映画公開時代始まる
映倫「一般映画制限付(R指定)」を設定
田中絹代(俳優)死去(67歳)
「嗚呼!!花の応援団」(監)曽根中生(原)どおくまんプロ(脚)田中陽造(出)井上治之、深見博
「あにいもうと」(監)今井正(原)室生犀星(脚)水木洋子(出)草刈正雄、秋吉久美子、大滝秀治(インド映画祭外国語映画最優秀賞
「犬神家の一族」
(監)市川崑(製)角川春樹、市川喜一(原)横溝正史(出)石坂浩二、あおい輝彦、高峰三枝子、島田陽子
(角川映画第一作、映画会社以外の企業の参入により映画の製作スタイルが変わるきっかけとなった)
「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」
(監)(原)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆(出)渥美清、太地喜和子、倍賞千恵子
「さらば夏の光よ」(監)山根成之(原)遠藤周作(脚)ジェームス・三木(出)郷ひろみ、秋吉久美子
「青春の殺人者」
(監)長谷川和彦(製)今村昌平、大塚和(原)中上健二「蛇淫」(脚)田村孟(音)ゴダイゴ(出)水谷豊、原田美枝子(デビュー作がキネマ旬報の1位に輝いた)
「この犯罪は、まさに都市と農村がぶつかるところ、日本社会の諸矛盾が一挙に吹き出ている”周縁地域”で起こっている」
川本三郎
「大地の子守歌」(監)増村保造(原)素九鬼子(脚)白坂依志夫(製)藤井浩明、木村元保(出)原田美枝子、佐藤佑介、岡田英次
「不毛地帯」(監)山本薩夫(原)山崎豊子(脚)山田信夫(出)仲代達矢、八千草薫、丹波哲郎
「変奏曲」(監)(脚)中平康(原)五木寛之(脚)市古聖智(撮)浅井慎平(出)麻生れい子、佐藤亜土、松橋登
「君よ憤怒の河を渉れ」(監)(脚)佐藤純弥(原)西村寿行(脚)田坂啓(撮)小林節雄(出)高倉健、原田芳雄、中野良子、池部良
「金閣寺」(監)(脚)高林陽一(原)三島由紀夫(製)(美)西岡善信(撮)森田富士郎(出)篠田三郎、市原悦子、柴俊夫
1977年
邦画の一本立て公開が増加
角川映画「人間の証明」が大ヒット(日本映画初の本格ニューヨーク・ロケ実施)
アニメ映画「宇宙戦艦ヤマト」大ヒット(監)舛田利雄(原)松本零士。
豊田四郎(監督)死去(71歳)
「悪魔の手毬唄」
(監)(製)市川崑(原)横溝正史(脚)久里子亭(出)石坂浩二、岸恵子、若山富三郎
「幸福の黄色いハンカチ」
(監)(原)山田洋次(脚)朝間義隆(原)ピート・ハミル(撮)高羽哲夫(出)高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり
(第一回日本アカデミー賞作品賞、監督賞受賞)
「青春の門 自立篇」
(監)(脚)浦山桐郎(脚)早坂暁(原)五木寛之(出)田中健、大竹しのぶ、いしだあゆみ
「遠い一本の道」(監)(製)左幸子(脚)宮本研(出)井川比佐志、左幸子、市毛良枝
「竹山ひとり旅」
(監)(脚)新藤兼人(音)林光(出)高橋竹山、林隆三、乙羽信子(モスクワ映画祭監督賞、ソ連美術家同盟賞
「ねむの木の詩がきこえる」(監)(製)(脚)(音)(出)宮城まり子(撮)岡崎宏三(国際赤十字映画祭最高賞
「八甲田山」
(監)森谷司郎(製)橋本忍、野村芳太郎(原)新田次郎(脚)橋本忍(出)高倉健、北大路欣也、栗原小巻、三国連太郎
「はなれ瞽女おりん」
(監)(脚)篠田正浩(原)水上勉(撮)長谷部慶次(出)岩下志麻、原田芳雄、奈良岡朋子、殿山泰司
「ボクサー」
(監)(脚)寺山修司(脚)石森史郎、岸田理生(音)J・A・シーザー(出)菅原文太、清水健太郎
「八つ墓村」
(監)野村芳太郎(原)横溝正史(脚)橋本忍(出)渥美清、萩原健一、小川真由美
「壇ノ浦夜枕合戦」(監)神代辰巳(12世紀の貴族・武将の性生活)
「日本の首領」(監)中島貞夫(3部作の第一作)
「僕は天使ぢゃないよ」(監)あがた森魚(原)林静一
「江戸川乱歩の陰獣」(監)(脚)加藤泰(脚)仲倉重郎(原)江戸川乱歩(撮)丸山恵司(出)あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太郎
「HOUSE ハウス」
(監)(製)大林宣彦(脚)桂千穂(原案)大林千茱萸(撮)阪本善尚(出)池上季実子、大場久美子、神保美喜
「黒木太郎の愛と冒険」
(監)(脚)森崎東(原)野呂重雄(撮)村上雅彦(出)田中邦衛、財津一郎、倍賞美津子、伴淳三郎
「三里塚 五月の空 里のかよい路」(ドキュメンタリー)(監)小川紳介
1978年
東映が小規模作品用の製作会社東映セントラル設立
第一回日本アカデミー賞受賞式が開催される
「日活」が「にっかつ」社名変更(アダルト・ビデオの登場により、ロマン・ポルノは終焉へ)
田宮二郎(俳優)散弾銃による自殺(43歳)
古賀政男(作曲家)死去(73歳)
佐野周二(俳優)死去(67歳)
「愛の亡霊」
(監)大島渚(主)吉行和子、田村高広(カンヌ映画祭監督賞、フランス映画高等技術委員会賞
「帰らざる日々」
(監)(脚)藤田敏八(製)岡田裕(原)(脚)中岡京平(撮)前田米造(音)アリス(出)永島敏行、江藤潤、浅野真弓
「鬼畜」
(監)(製)野村芳太郎(原)松本清張(脚)井手雅人(撮)川又昴(出)緒方拳、岩下志麻、小川真由美
サード
(監)東陽一(製)前田勝弘(原)軒上泊(脚)寺山修司(音)田中未知(出)永島敏行、森下愛子
「さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦士たち」(監)舛田利雄(原)松本零士(一作目を上回る大ヒットとなる)
「事件」
(監)(製)野村芳太郎(脚)新藤兼人(原)大岡昇平(撮)川又昴(出)永島敏行、松坂慶子、大竹しのぶ、渡瀬恒彦
「曽根崎心中」
(監)(脚)増村保造(製)藤井浩明他(原)近松門左衛門(脚)白坂依志夫(音)武満徹(出)藤竜也、吉行和子
「ダイナマイトどんどん」
(監)岡本喜八(原)火野葦平(脚)井手雅人(監)菅原文太、北大路欣也
「人妻集団暴行致死事件」(監)田中登(製)三浦朗(原)長谷部日出雄(脚)佐治乾(出)室田日出男、酒井昭、黒沢のり子(現代を「舞台にした極限の性)
「博多っ子純情」(監)曽根中生(製)土肥静加(原)長谷川法世(脚)石森史郎(出)光石研、松本ちえこ
「ブルークリスマス」
(監)岡本喜八(製)嶋田親一、垣内健二、森岡道夫(脚)倉本聰(撮)木村大作(音)佐藤勝(美)竹中和雄(編)黒岩義民
(出)勝野洋、竹下景子、高橋悦司、仲代達也、岡田英次、沖雅也、岡田祐介、田中邦衛、中条静夫、大滝秀治、新井春美、八千草薫、天本英世
岸田森、神山繁、大谷直子、松田洋二、草野大吾、小沢栄太郎、芦田伸介、稲葉義男、中谷一郎、島田正吾
SFポリティカル・サスペンス映画の傑作。
21世紀になり、よりその重さが理解できるようになってきました。俳優陣も豪華で、なにせ竹下景子が究極のカワイさ!
「冬の華」
(監)降旗康男(脚)倉本聰(音)クロード・チアリ(出)高倉健、池上季実子、田中邦衛
「柳生一族の陰謀」
(監)(脚)深作欣二(脚)野上龍雄、松田寛夫(出)千葉真一、萬屋錦之助、丹波哲郎(東映12年ぶりの時代劇、大ヒットとなる)
野性の証明
(監)佐藤純弥(原)森村誠一(脚)高田宏治(出)高倉健薬師丸ひろ子
「原子力戦争 Lost Love」(監)黒木和雄(原)田原総一郎(脚)鴨井達比古(撮)根岸栄(出)原田芳雄、山口小夜子、風吹ジュン、佐藤慶
「お吟さま」(監)熊井啓(原)今東光(脚)依田義賢(撮)岡田宏三(出)志村喬、中野良子、梅野泰靖、高橋長英、三船敏郎
「SCHOOL DAYS」(監)黒沢清(出)宮城恒夫、森本隆司、蓮實重彦
「高校大パニック」
(監)石井聰亙、澤田幸弘(原案)石井聰亙、大屋龍二(脚)山崎善弘(撮)神波史男(出)浅野温子、山本茂、河原崎長一郎
1979年
「銀河鉄道999」「ルパン三世」などのヒットからアニメ映画時代始まる
黒澤明監督の「影武者」オーディションに15000人が応募
「愛のコリーダ」猥褻裁判。大島渚に無罪判決
「ああ野麦峠」(監)山本薩夫(原)山本茂実(脚)服部佳(製)伊藤武郎(出)大竹しのぶ、原田美枝子
「赫い髪の女」(監)神代辰巳(製)三浦朗(原)中上健次(脚)荒井晴彦(出)宮下順子、石橋蓮司、亜湖、阿藤海
「エーゲ海に捧ぐ」(監)(脚)(原)池田満寿夫(出)イロナ・スターラ、クラウディオ・アリオッティ(異業種監督登場)
「限りなく透明に近いブルー」(監)(脚)(原)村上龍(出)三田村邦彦、中山真理、平田満(異業種監督登場)
「月山」
(監)(製)村野鐡太郎(原)森敦(脚)高山由紀子(撮)高間賢治(出)河原崎次郎、友里千賀子
「Keiko」
(監)(製)(脚)クロード・ガニヨン(撮)アンドレ・ペルチエ(音)深町純(出)若芝順子、きたむらあきこ
「絞殺」
(監)(脚)(製)新藤兼人(出)西村晃、乙羽信子、狩場勉(ヴェネチア映画祭イタリア批評家連盟主演女優賞
「十九歳の地図」
(監)(製)(脚)柳町光男(原)中上健次(撮)榊原勝己(出)本間優二、蟹江敬三、沖山秀子、山谷初男
「衝動殺人 息子よ」
(監)(脚)木下恵介(製)飯島敏宏他(原)佐藤秀郎(脚)砂田量爾(出)若山富三郎、高峰秀子、田中健
「太陽を盗んだ男」
(監)(脚)長谷川和彦(原)(脚)レナード・シュナイダー(製)山本又一朗(出)沢田研二、菅原文太、池上季美子
「東京大空襲 ガラスのうさぎ」(監)橘裕典(原)高木敏子(脚)立原りゅう(出)蛯名由紀子、長門裕之(インド国際児童映画祭最優秀賞
「復讐するは我にあり」
(監)今村昌平(製)井上和男(原)佐木隆三(脚)馬場当(撮)姫田真左久(出)緒方拳、三国連太郎、小川真由美、倍賞美津子
「もう頬づえはつかない」
(監)(脚)東陽一(製)有馬孝他(原)見延典子(脚)小林竜雄(音)田中未知(出)桃井かおり、森本レオ
「天使のはらわた・赤い教室」
(監)(脚)曽根中生(原)(脚)石井隆(撮)水野尾信正(出)水原ゆう紀、蟹江敬三、あきじゅん(学校を舞台にした暴行事件)
「天使のはらわた 名美」(監)田中登(原)(脚)石井隆(撮)森勝(出)鹿沼えり、地井武男、山口美也子
「十八歳、海へ」
(監)藤田敏八(原)中上健次(脚)田村孟、渡辺千明(撮)安藤床平(出)永島敏行、森下愛子、小林薫
「夜叉ヶ池」(監)(脚)篠田正浩(原)泉鏡花(脚)田村孟、三村春彦(撮)小杉正、坂本典隆(出)坂東玉三郎、加藤剛、山崎努、三木のり平
「戦国自衛隊」
(監)斉藤光正(製)(音監)角川春樹(原)半村良(脚)鎌田敏夫(撮)伊佐山厳(出)千葉真一、中康治、江藤潤、にしきのあきら
1980年
特設テント・シネマプラセットで「ツィゴイネルワイゼン」公開される(インディーズ映画公開の新しいスタイル)
日活ロマン・ポルノ裁判、全員に無罪判決
アニメ「ドラエもん」シリーズ始まる
「お母さんのつうしんぼ」(監)武田一成(原)宮川ひろ(出)藤田弓子、久保田理恵(サレルノ映画祭特別賞
「海潮音」(監)(脚)橋浦方人(製)佐々木史朗(音)深町純(出)池辺良、荻野目慶子、山口果林
「影武者」
(監)黒澤明(製作総)フランシス・フォード・コッポラスティーブン・スピルバーグカンヌ映画祭パルムドール
「神様のくれた赤ん坊」
(監)(脚)前田陽一(脚)荒井晴彦、南部英夫(出)渡瀬恒彦、桃井かおり、河原崎長一郎
「狂い咲きサンダーロード」
(監)(脚)石井聡互(製)(脚)秋田光彦(撮)笠松則通(音)パンタ&ハル(出)山田辰夫、大地雅光
「四季・奈津子」
(監)東陽一(原)五木寛之(製)吉田達(音)田中未知(出)烏丸せつこ、阿木耀子、風間杜夫、藤田敏八
「太陽の子 てだのふあ」(監)(脚)浦山桐郎(原)灰谷健次郎(撮)安藤庄平(出)原田春美、大空真弓、大竹しのぶ、河原崎長一郎
「父よ母よ!」(監)(脚)木下恵介(原)斉藤茂男(出)三原順子、滝沢美幸、吉田康子
「ツィゴイネルワイゼン」
(監)鈴木清順(製)荒戸源次郎(脚)田中陽造(出)大谷直子、原田芳雄、大楠道代、藤田敏八(ベルリン映画祭審査員特別賞、国際アートシネマ連盟賞
「遥かなる山の呼び声」
(監)(脚)山田洋次(製)島津清(脚)朝間義隆(撮)高羽哲夫(出)高倉健、倍賞千恵子、吉岡秀隆(モントリオール映画祭審査員特別賞
「ヒポクラテスたち」
(監)(脚)大森一樹(製)佐々木史朗(出)古尾谷雅人、柄本明、伊藤蘭
「動乱」(監)森谷司郎(脚)山田信夫(撮)仲沢半次郎(出)高倉健、吉永小百合、米倉斉加年、田村高広、永島敏行、佐藤慶
「復活の日」
(監)深作欣司(原)小松左京(脚)高田宏治、グレゴリー・ナップ(撮)木村大作(出)草刈正雄、ジョージ・ケネディ、オリビア・ハッセイ、渡瀬恒彦、夏木勲、グレン・フォード、ロバート・ボーン
「夕暮れまで」(監)黒木和雄(原)吉行淳之介(脚)浜地一郎、田辺泰志(撮)鈴木達夫(出)桃井かおり、伊丹十三、加賀まり子、馬淵晴子
1981年
たのきんトリオ、薬師丸ひろ子など、アイドル映画がヒット
パイオニアが20世紀FOXの作品をビデオで販売開始
五所平之助(監督)死去(79歳)
木村功(俳優)死去(58歳)
伊藤大輔(監督)死去(82歳)
河原崎長十郎(俳優)死去(78歳)
伴淳三郎(俳優)死去(73歳)
「嗚呼!おんなたち 猥歌」(監)(脚)神代辰巳(脚)荒井晴彦(製)三浦朗(出)内田裕也、中村れい子
「ええじゃないか」(監)(原)(脚)今村昌平(製)小沢昭一他(脚)宮本研(音)池辺晋一郎(出)桃井かおり、泉谷しげる、草刈正雄
「駅 Station」(監)降旗康男(脚)倉本聡(撮)木村大作(音)宇崎竜童(出)高倉健、倍賞千恵子、いしだあゆみ、烏丸せつこ、根津甚八
「遠雷」
(監)根岸吉太郎(原)立松和平(脚)荒井晴彦(撮)安藤庄平(出)永島敏行、石田えり、ジョニー大倉
ガキ帝国
(監)井筒和幸(製)佐々木史朗、森信夫(脚)西岡琢也(出)島田紳介、松本竜介、趙方豪、紗貴めぐみ
「陽炎座」
(監)鈴木清順(製)荒戸源次郎(原)泉鏡花(脚)田中陽造(撮)永塚一栄(出)松田優作、大楠道代、中村嘉津雄、加賀まりこ
「幸福」(監)市川崑(製)後藤由多加(原)エド・マクベイン(出)水谷豊、永島敏行、中原理恵、谷啓
「子どものころ戦争があった」(監)斉藤貞郎(脚)鈴木尚之(出)斉藤優一、樫山文枝(マニラ国際映画祭国際カトリック大賞
「近頃なぜかチャールストン」
(監)(製)(脚)岡本喜八(脚)(出)利重剛(出)小沢栄太郎、古館ゆき
泥の河
(監)小栗康平(原)宮本輝(出)田村高広、藤田弓子(子供たちがなんと生き生きしていたことか!)(モスクワ映画祭銀賞
「の・ようなもの」
(監)(企)(脚)森田芳光(撮)渡部眞(編)川島章正(音)塩村宰(出)伊藤克信、秋吉久美子、尾藤イサオ
「北斎漫画」(監)(脚)新藤兼人(製)赤司学文、中條宏行(原)矢代静一(出)緒方拳、西田敏行、田中裕子、樋口可南子
「水俣の図 物語」(監)土本典昭(撮)瀬川順一、一之瀬正史(製)高木隆太郎、若月治(音)武満徹(ナレーター)伊藤惣
「ヨコハマBJブルース」(監)工藤栄一(原案)松田優作(脚)丸山昇一(撮)仙元誠三(出)松田優作、辺見マリ、蟹江敬三、山田辰夫
「魔界転生」
(監)(脚)深作欣(製)角川春樹(原)山田風太郎(脚)野上龍雄、石川孝人(撮)長谷川清(出)沢田研二、千葉真一、真田広之、緒方拳
「上海異人娼館/チャイナ・ドール」(監)(脚)寺山修司(原)ポリーヌ・レアージュ(撮)鈴木達夫(出)イザベル・イリエ、クラウス・キンスキー、ピーター、山口小夜子、高橋ひとみ
「セーラー服と機関銃」
(監)相米慎二(製)角川春樹他(原)赤川次郎(脚)田中陽造(撮)仙元誠三(出)薬師丸ひろ子、渡瀬恒彦、風祭ゆき、大門正明
1982年
ディレクターズ・カンパニー設立(長谷川和彦、相米慎二、根岸吉太郎、黒沢清、高橋伴明・・・)1992年解散
日中合作映画「未完の対局」公開
江利チエミ(歌手、俳優)死去(45歳)
衣笠貞之助(監督)死去(86歳)
岸田森(俳優)死去(43歳)
佐分利信(俳優)死去(73歳)
志村喬(俳優)死去(76歳)
「怪異談 生きている小平次」(監)中川信夫(製)磯田啓二、佐々木史朗(原)鈴木泉三郎(出)藤間文彦、宮下順子
「蒲田行進曲」
(監)深作欣二(原)(脚)つかこうへい(製)角川春樹(出)風間杜夫、松坂慶子、平田満
「鬼龍院花子の生涯」(監)五社英雄(原)宮尾登美子(脚)高田宏治(出)仲代達矢、夏目雅子、岩下志麻(マニラ映画祭主演男優賞
「疑惑」(監)(製)野村芳太郎(原)(脚)松本清張(撮)川又昴(出)岩下志麻、桃井かおり、柄本明
「さらば愛しき大地」
(監)(製)(脚)柳町光男(製)池田哲也、池田道彦(出)根津甚八、秋吉久美子、山口美也子
「TATOO[刺青]あり」(監)高橋伴明(製)佐々木史朗(脚)西岡琢也(音)宇崎竜童(出)宇崎竜童、関根恵子
「転校生」(監)大林宣彦(製)佐々木史朗(原)山中恒(脚)剣持宣(撮)阪本善尚(音)林昌平(出)小林聡美、尾見としのり
「遠野物語」(監)(製)村野鐡太郎(原)柳田國男(脚)高山由紀子(撮)吉岡康弘(出)原陽子、隆大介、仲代達也(サレルノ国際映画祭グランプリ
「日本国 古屋敷村」(監)小川紳介(製)伏屋博雄(撮)田村正毅(音)関一郎)(ドキュメンタリー映画)(ベルリン映画祭国際批評家賞
「未完の対局」(監)佐藤純弥、段吉順(脚)神波忠男ほか(出)三国連太郎、松坂慶子(モスクワ映画祭グランプリ
「水のないプール」(監)(製)若松孝二(脚)内田栄一(撮)袴一喜(音)大野克夫(出)内田裕也、中村れい子、MIE
「誘拐報道」
(監)伊藤俊也(原)読売新聞大阪支社社会部(脚)松田寛夫(出)萩原健一、小柳ルミ子、秋吉久美子、伊藤四朗(モントリオール映画祭審査員特別賞
「爆裂都市」
(監)(企)(脚)(編)(音)石井聰亙(企)戸井十月、泉谷しげる(編)(美)阪本順治(出)陣内孝則、大江慎也、町田町蔵、戸井十月、泉谷しげる、スターリン、麿赤児、コント赤信号
「ダイアモンドは傷つかない」(監)藤田敏八(原)三石由紀子(脚)田中晶子(撮)田村正毅(出)田中美佐子、山崎努、加賀まり子
「ひめゆりの塔」(監)今井正(原)石野径一郎(脚)水木洋子(撮)原一民(出)栗原小巻、古手川裕子、大場久美子、斉藤とも子
1983年
「南極物語」が興行記録を塗り替えるヒットとなる
「男はつらいよ」シリーズがギネス・ブックの映画の最長シリーズとして認定される
片岡千恵蔵(俳優)死去(79歳)
寺山修司(演出家、詩人、俳人、映画監督)死去(47歳)
山本薩夫(監督)死去(73歳)
「天城越え」
(監)(脚)三村晴彦(製)野村芳太郎、宮島秀司(脚)加藤泰(原)松本清張(出)渡瀬恒彦、田中裕子、平幹二郎(モントリオール映画祭主演女優賞
家族ゲーム
(監)(脚)森田芳光(製)佐々木史朗他(原)本間洋平(撮)松田優作、宮川一朗太、伊丹十三、由紀さおり
「魚影の群れ」
(監)相米慎二(原)吉村昭(脚)田中陽造(撮)長沼六男(出)緒方拳、夏目雅子、十朱幸代
「細雪」(監)(製)(脚)市川崑(原)谷崎潤一郎(撮)長谷川清(出)岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川裕子、石坂浩二
「十階のモスキート」(監)(脚)崔洋一(脚)(出)内田裕也(出)中村礼子、小泉今日子
戦場のメリー・クリスマス
(監)大島渚(原)ローレンス・ヴァンデル・ポスト(製)ジェレミー・トーマス(出)デヴィッド・ボウィ、坂本龍一、ビートたけし、トム・コンティ(イタリア映画批評家協会最優秀映画賞
東京裁判
(監)(脚)小林正樹(原)稲垣俊(脚)小笠原清(音)武満徹(ドキュメンタリー)
「楢山節考」
(監)(脚)今村昌平(主)緒方拳、坂本スミ子(カンヌ映画祭パルムドール受賞)
「南極物語」(監)(製)(脚)蔵原惟繕(脚)野上龍雄(日本映画史上最高のヒット56億の配給収入)
「ふるさと」(監)(製)(脚)神山征二郎
(原)平方浩介(出)加藤嘉、長門裕之、樫山文枝(モスクワ映画祭主演男優賞
ダムに沈む岐阜県の村が舞台。妻を失いボケかけている祖父と孫が川の上流へアマゴ釣りに出かけます。
もうすぐ消える美しい川と村と山の風景が画面の中に残されていることに感動。そして加藤嘉らの自然体の演技、いや姿が記録されていることに感動。
映画の価値は映像としてこうして価値ある風景と人々の姿を残すことでもあると再確認。
映画は、質さえ伴っていれば古くなっても価値が増す可能性もある。
音楽がくどいのは確かにそうかもしれません。(淀川長治さんが言っていたとのことです)
孫役の浅井晋くんはその後、どうしているのでしょう?良い俳優になれた気がしますが・・・。
「竜二」
(監)川島透(脚)鈴木明夫(プロ)大石忠敏(撮)川越道彦(出)金子正次、永島瑛子、北公次
「ションベン・ライダー」
(監)相米慎二(原)レナード・シュレーダー(脚)チエコ・シュレーダー、西岡琢也(撮)田中正毅、伊藤昭裕(出)藤竜也、河合美智子、永瀬正敏、坂上忍
「時をかける少女」
(監)(脚)(編)大林宣彦(原)筒井康隆(脚)剣持亘(撮)阪本善尚(音)松任谷正隆(出)原田知世、高柳良一、尾美としのり、上原謙
「神田川淫乱戦争」(監)(脚)(ナレーター)黒沢清(撮)瓜生敏彦(セカンド助監督)周防正行(出)麻生うさぎ、美野真琴
1984年
西武シネセゾン設立
大川橋蔵(俳優)死去(55歳)
森谷司郎(監督)死去(53歳)
長谷川一夫(俳優)死去(75歳)
平田昭彦(俳優)死去(56歳)
「お葬式」
(監)(脚)伊丹十三(撮)前田米造(出)山崎努、宮本信子、菅井きん、大滝秀治
「おはん」(監)(製)(脚)市川崑(原)宇野千代(出)吉永小百合、大原麗子、石坂浩二
「風の谷のナウシカ」
(監)(原)(脚)宮崎駿(プロ)高畑勲(音)久石譲(作画監)小松原一男
「ゴジラ」(監)橋本幸治(原)(製)田中友幸(出)田中健、沢口靖子(ゴジラ三十周年記念作品)
「さらば箱舟」
(監)(台)寺山修司(台)岸田理生(出)小川真由美、山崎努、原田芳雄
「瀬戸内少年野球団」
(監)篠田正浩(製)原正人(原)阿久悠(脚)田村孟(美)西岡善信(出)夏目雅子、郷ひろみ、佐倉しおり
「Wの悲劇」
(監)(脚)澤井信一郎(製)角川春樹(原)夏樹静子(脚)荒井晴彦(音)久石譲(出)薬師丸ひろ子、三田佳子
「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」(アニメ) 
(監)石黒昇、河村正治(演)秋山勝仁、笠原達也(原)スタジオぬえ(脚)富田裕弘(キャラD)美樹本春彦(音)羽田健太郎
(主題歌)「愛・おぼえていますか」(曲)加藤和彦(詞)安井かずみ(歌)飯島真理
(声)飯島真理、長谷有洋、土井美加、羽佐間道夫、神谷明、小原乃梨子
歌が地球を救う!という凄い発想のアニメ。人種融合、男女平等、コンサートの演出など未来を予見させる部分も多い。
テレビ版を再編集だが絵は新しく、ストーリーもかなり変更。
加藤和彦のテーマ曲が大ヒットしたが、さすがに素晴らしい。それ以外の挿入曲もオーケストレーションも豪華で逆に目立ち過ぎか?
「チ・ン・ピ・ラ」
(監)(脚)川島透(脚)(企)金子正次(出)柴田恭兵、ジョニー大倉、石田えり
「ときめきに死す」
(監)(脚)森田芳光(製)増山茂(原)丸山健二(撮)前田米造(美)中山克己(音)塩村修
(出)沢田研二、杉浦直樹、樋口可南子、岡本真、矢崎滋、日下武、宮本信子、加藤治子
 「家族ゲーム」と「太陽を盗んだ男」の融合的映画。沢田研二の役作りはさすがです。不思議な謎の人物像が実に魅力的です。
 驚いたことに、後のオウム真理教が設立されたのがこの年でした!
「廃市」
(監)(プ)(企)(音)大林宣彦(原)福永武彦(脚)内藤誠、桂千穂(出)小林聡美、山下規介、根岸季衣
「麻雀放浪記」(監)(脚)和田誠(製)角川春樹(原)阿佐田哲也(脚)澤井信一郎(出)真田広之、鹿賀丈史
「逆噴射家族」
(監)(脚)石井聰亙(原)(脚)小林よしのり(脚)神波史男(撮)田村正毅(出)小林克也、倍賞美津子、工藤夕貴、植木等
「変態家族兄貴の嫁さん」(監)(脚)周防正行(撮)長田勇市、滝影志(出)風かおる、山地美貴、大杉漣(小津安二郎「晩春」の続編として作られたポルノ映画!)
1985年
映画館の入館者数1億5500万人となり、ピーク時の1/8となる
中堅、若手の監督たちの多くがテレビ界で稼ぐようになる。(「仕掛け人」シリーズの三隅研次、「キイハンター」の佐藤純弥
第一回東京国際映画祭開催
「ロマンX」路線というハードなポルノ映画へ転換
天地茂(俳優)死去(54歳)
浦山桐郎(監督)死去(54歳)
大友柳太郎(俳優)死去(73歳)
笠置シヅ子(歌手、俳優)死去(70歳)
加藤泰(監督)死去(68歳)
夏目雅子、急性骨髄性白血病にて死去(まだ27歳)
藤原釜足(俳優)死去(80歳)
細川俊夫(俳優)死去(54歳)
宮口精二(俳優)死去(70歳)
生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言
監)(脚)森崎東(脚)近藤昭二、大原清秀(出)倍賞美津子、平田満、原田芳雄
「国東物語」(監)(製)村野鐡太郎(原)(脚)高山由紀子(出)隆大介、貞永敏(サレルノ映画祭グランプリ
「恋文」(監)神代辰巳(製)奥山和由、長良じゅん(原)連城三紀彦(出)萩原健一、倍賞美津子、高橋恵子
「さびしんぼう」
(監)(脚)大林宣彦(原)山中恒(脚)剣持宣、内藤忠司(撮)阪本善尚(出)富田靖子、尾美としのり、藤田弓子
「早春物語」(監)澤井信一郎(製)角川春樹(原)赤川次郎(脚)那須真知子(撮)仙元誠三(音)久石譲(出)原田知世、林隆三、田中邦衛
「それから」
(監)森田芳光(原)夏目漱石(脚)筒井ともみ(撮)前田米造(出)松田優作、藤谷美和子、小林薫(モントリオール映画祭特別優秀作品賞
台風クラブ
(監)相米慎二(企)(製)宮坂進(脚)加藤祐司(撮)伊藤昭裕(出)三上祐一、工藤夕貴、大西結花
「花いちもんめ」(監)伊藤修也(脚)松田寛夫(撮)井口勇(出)千秋実、十朱幸世、西郷輝彦
「火まつり」(監)柳町光男(脚)中上健次(製)清水一夫(撮)田村正毅(出)北大路欣也、太地喜和子、宮下順子、三木のり平
「ビルマの竪琴」(監)市川崑(原)竹山道雄(脚)和田夏十(撮)小林節雄(出)石坂浩二、中井貴一、川谷拓三
「乱」
(監)(脚)黒澤明(脚)小国秀雄、井出雅人(音)武満徹(出)仲代達矢、根津甚八、原田美枝子、隆大介(ワダエミがアカデミー衣装デザイン賞全米絵映画批評家協会作品賞
「ドレミファ娘の血は騒ぐ」
(監)(脚)黒沢清(脚)万田邦敏(撮)瓜生敏彦(出)洞口依子、伊丹十三、麻生うさぎ
「タンポポ」
(監)(脚)伊丹十三(撮)田村正毅(料理スタイリスト)石森いづみ(音)村井邦彦(出)山崎努、宮本信子、役所広司、渡辺謙、安岡力也、加藤嘉、桜金蔵造
1986年
六本木、渋谷に単館劇場が続々とオープン
海外からの輸入映画の多様化が進み、邦画離れが進む
レンタル・ビデオを中心にビデオ産業が急成長
日本映画学校(校長・今村昌平)の新校舎完成
フジテレビ製作の映画「子猫物語」が大ヒットとなる
佐々木孝丸(俳優)死去(88歳)
増村保造(監督)死去(62歳)
「ウホッホ探検隊」
(監)根岸吉太郎(原)干刈あがた(脚)森田芳光(音)鈴木さえ子(出)十朱幸代、田中邦衛、藤真利子
海と毒薬
(監)(脚)熊井啓(製)滝島恵一郎(原)遠藤周作(出)奥田瑛ニ、渡辺謙、田村高広(ベルリン映画祭銀熊賞
「火宅の人」(監)(脚)深作欣二(原)檀一雄(脚)神波史男(撮)木村大作(出)緒形拳、いしだあゆみ、松坂慶子、原田美枝子
「キネマの天地」(監)(脚)山田洋次(製)野村芳太郎(脚)井上ひさし、山田太一、朝間義隆(出)渥美清、有森也実、中井貴一
「恋する女たち」(監)(脚)大森一樹(原)氷室冴子(撮)室田武久(音)かしぶち哲郎(出)斉藤由貴、高井麻巳子、相楽ハル子
「コミック雑誌なんかいらない!」
(監)滝田洋二郎(脚)内田裕也、高木功(音)大野克夫(出)内田裕也、麻生祐未、ビートたけし
「子猫物語」(監)畑正憲、市川崑(ナレーション)露口茂、小泉京子(フジ・テレビ初のテレビドラマが大ヒット、今後テレビ局よる映画製作は急に増えてゆく)
「ジャズ大名」(監)(脚)岡本喜八(原)(音)筒井康隆(脚)石堂淑郎(音)山下洋輔(出)古谷一行、財津一郎、神崎愛、山下洋輔、タモリ、ミッキー・カーティス
 ジャズ映画というよりもジャムセッション映画、ラストの長ーいジャムセッションは前衛映画でもある。ただし、日本の芸能もしっかりと取り込んでいるところがさすが!
「鑓の権三」(監)篠田正浩(原)近松門左衛門(脚)富岡多恵子(撮)宮川一夫(音)武満徹(出)郷ひろみ、岩下志麻、田中美佐子(ベルリン映画祭銀熊賞
「天空の城ラピュタ」
(監)(原)(脚)宮崎駿(製)徳間康快(音)久石譲
「人間の約束」(監)(脚)吉田喜重(原)佐江衆一(脚)宮内婦貴子(撮)山崎善弘(出)三国連太郎、村瀬幸子、河原崎長一郎(セバスチャンシルバー・シェル賞)
「春駒のた」(監)(製)(脚)神山征二郎(原)宮川ひろ(出)田村高広、二木てるみ、左幸子(タシケント映画祭最優秀作品賞
「夢みるように眠りたい」(監)(製)(脚)(編)林海象(撮)長田勇一(出)佳村萌、佐野史郎(スペイン・ベナルマデナ映画祭大賞
1987年
異なる業界からの監督次々に誕生。異なる業界からの映画界への出資も増える
レンタル・ビデオが急速に普及。観客数が1億4000万人を突破
石原裕次郎(俳優)死去(52歳)
有島一郎(俳優)死去(71歳)
鶴田浩二(俳優)死去(62歳)
「永遠の1/2」(監)根岸吉太郎(原)佐藤正午(脚)内田栄一(撮)川上皓一(出)時任三郎、大竹しのぶ、中島朋子
「映画女優」(監)(製)(脚)市川崑(製)田中友幸(原)新藤兼人(出)吉永小百合、菅原文太、石坂浩二、渡辺徹
「男はつらいよ 知床慕情」(監)(原)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆(出)渥美清、倍賞千恵子、竹下景子
「ゴンドラ」(監)(原案)(脚)伊藤智生(P)貞末麻哉子(原案)棗耶子(撮)瓜生敏彦(編)掛須秀一(音)吉田智
(出)上村桂子、界健太、木内みどり、佐々木すみ江、佐藤英夫、出門英
少女と青年の都会からの逃亡の旅を幻想的に描いた青春映画の名作
佐々木昭一郎の作品を思わせる作風ですが、この後、伊藤監督はアダルトビデオの世界へと転身。
2021年この作品のリマスター版発表後、第二作を撮るという噂ですが・・・
「親鸞 白い道」(監)(原)(脚)三國連太郎(出)森山潤久、大楠道代、泉谷しげる(カンヌ映画祭審査員賞
「女衒」(監)(脚)今村昌平(脚)岡部耕大(撮)栃沢正夫(出)緒形拳、倍賞美津子、深水三章
「1000年刻みの日時計 牧野村物語」(監)小川紳介(製)伏屋博雄(撮)田村正毅
「ちょうちん」(監)梶間俊(原)(脚)金子正次(脚)縞五郎(撮)鈴木達矢(出)陣内孝則、石田えり、新田恵利
「光る女」(監)相米慎二(原)小檜山博(脚)田中洋造(撮)長沼六男(出)武藤敬司、安田成美、すまけい
「BU・SU」
(監)市川準(脚)内館牧子(製)小倉斉(出)富田靖子、高島政宏、大楠道代
「マルサの女」
(監)(脚)伊丹十三(製)玉木泰、細越省吾(撮)前田米造(音)本多俊之(出)宮本信子、山崎努、津川雅彦、大滝秀治、ギリヤーク尼崎
ゆきゆきて、神軍
(監)(撮)原一男(製)小林佐智子(企)今村昌平(編・構)鍋島惇(ロッテルダム映画祭批評家賞国際ドキュメンタりー映画祭グランプリベルリン映画祭カリガリ賞
「水俣病 その30年」(監)土本典昭(撮)清水良雄(音)高橋鮎生
「ロビンソンの庭」(監)(脚)山本政志(脚)山崎幹夫(撮)トム・ディチロ、苧野昇(音)じゃがたら他(出)太田久美子、町田町蔵、上野裕子
1988年
にっかつロマン・ポルノが終了、「にっかつ」は「ロッポニカ」と社名を変更し、一般映画に復帰。結局、1年もたずに再び破綻することになりますが、そこから多くの監督が誕生します。
(池田敏春、中原俊、那須博之、金子修介、石井隆、根岸吉太郎、森田芳光・・・・。その他にも、黒沢清、周坊正行などもいます。
「座頭市」撮影中に真剣が刺さり俳優加藤幸雄が死亡
ミニシアターのブームにより、外国映画の封切りが急増
東八郎(俳優、コメディアン)死去(52歳)
荻昌弘(映画解説者)死去(62歳)
清水俊二(映画字幕の草分け)死去(81歳)
中井朝一(黒澤組カメラマン)死去(78歳)
「AKIRA」
(監)(原)(脚)大友克洋
(製)鈴木良平、加藤俊三(脚)橋本以蔵(作画)なかむらたかし(美)海老沢一男、池畑裕治、大野広司(美監)水谷利春(撮監)三澤勝治(編)瀬山武司
(音監)山城祥二(音響監)明日川進(音)芸能山城組
(声)岩田光央、佐々木望、小山茉美、玄田哲章、鈴木瑞穂、大竹宏、石田太郎
<あらすじ>
1988年に東京で起きた大爆発。それから31年後の2019年東京オリンピックを直前に控えたネオ東京。
暴走族の金田と鉄雄は、敵グループとの喧嘩の最中に政府の施設から逃げてきた少年のような高齢者と遭遇。
鉄雄はその時に怪我を負い軍のヘリで運ばれます。しかし、そのまま彼は研究施設に入れられます。
謎の超能力者との遭遇により、鉄雄は秘められた能力を覚醒してしまいます。そして、その能力は暴走を始めます。
東京オリンピックなどその後の歴史との符号は驚きですが、それとは関係なく今見てもまったく古くない歴史的傑作アニメ。
1988年は日本がバブルの真っただ中でした。社会は、経済だけでなく精神的な面でも崩壊に向けて動き出していた時代です。
「オウム真理教」による坂本弁護士一家誘拐事件は1989年。 1990年には、日本経済のバブルが崩壊することになります。
音楽の芸能山城組によるガムランはインドネシアの民族音楽ですが、ワールド・ミュージック時代に最初にブレイクした音楽でした。
原作を2時間にまとめるため、歴史的な背景などは大幅にカットしていますが、今なら十分理解できます。
巨大なエネルギーが収縮してしまう物理学的展開も今ならなるほどと思えます。
ストーリーといい、細部まで描かれた絵といい、多彩なキャラクターの魅力といい、どれもが古くなっていませんし、よくできています。
「2001年宇宙の旅」へのオマージュ的ラストですが、「超人類への進化」なのでテーマは同じでした。
異人たちとの夏
(監)大林宣彦(製)杉崎重美(原)山田太一(脚)市川森一(出)風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎
「怪盗ルビイ」(監)(脚)和田誠(原)ヘンリイ・スレッサー(撮)丸池納(出)小泉今日子、真田広之、水野久美
「木村家の人々」(監)滝田洋二郎(原)谷俊彦(脚)一色伸幸(音)大野克夫(出)鹿賀丈史、桃井かおり、岩崎ひろみ
「郷愁」(監)(脚)中島丈博(撮)林淳一郎(音)近藤等則(出)西川弘志、小牧彩里、吉行和子
「さくら隊散る」(監)(脚)新藤兼人(原)江津萩枝(撮)三宅義行(音)林光(出)吉田将士、未来貴子
「釣りバカ日誌」(監)栗山富夫(出)西田敏行、三國連太郎(「釣りバカ・シリーズ」の第一作)
「となりのトトロ」
(監)(原)(脚)宮崎駿(製)徳間康快(撮)白井久男(音)久石譲
「TOMORROW/明日」
(監)(脚)黒木和雄(脚)井上正子、竹内銃一郎(原)井上光晴(出)桃井かおり、南果歩、原田芳雄
「敦煌」(監)(脚)佐藤純弥(原)井上靖(脚)吉田剛(出)西田敏行、佐藤浩市、中川安奈(45億円の超大作大ヒットとなる)
「火垂の墓」(監)(脚)高畑勲(原)野坂昭如(撮)小山信夫(音)間宮芳生
「リボルバー」(監)藤田敏八(原)佐藤正午(脚)荒井晴彦(出)沢田研二、村上雅俊、佐倉しおり
「ロックよ、静に流れよ」(監)(脚)長崎俊一(原)吉岡紗千子(脚)北原陽一(出)岡本健一、成田昭次
「帝都物語」
(監)実相寺昭雄(製)堤康二(原)荒俣宏(脚)林海象(撮)中堀正夫(クリD)H・R・ギーガー(美)木村威夫(音)石井眞木(絵コンテ)樋口真嗣
(出)石田純一、原田美枝子、嶋田久作、佐野史郎、勝新太郎、西村晃、桂三枝、中村賀津雄、阪東玉三郎、宍戸錠、平幹二朗、島田省吾、いとうせいこう
改めて見ると、自分に知識が増えているせいもあり面白い。原作も知らず、歴史の知識もなく、ただ見たらそれほど面白いとは思えないかもしれない。
原田美枝子がとにかう美しい!俳優が無駄に豪華!ギーガーがなんの役にも立っていない!木村威夫のセットが素晴らしい!実相寺だけあってカットが凝っている!
原作者、荒俣さんのこだわりが感じられる場面が様々にありました。
「砂の惑星」の失敗を思わせる詰め込み過ぎの大作です。でも、お金をかけただけのことはあります。
加藤保憲とは何者か?荒俣さんの自伝を読むと、その答えがありました。かつては「妖怪」として人間の前に出てきた世を正すワンダーな存在なんです。
ビヤガーデンのシーンにその原作者、荒俣さん映ってました!
「1999年の夏休み」(監)金子修介(原)萩尾望都(脚)岸田理生(撮)高間賢治(出)宮島依里、大寶智子、中野みゆき
「嵐が丘」(監)(脚)吉田喜重(原)エミリー・ブロンテ(撮)伴淳一郎(出)松田優作、田中裕子、名高達郎、石田えり、萩原流行
「噛む女」(監)神代辰巳(原)結城昌治(脚)荒井晴彦(撮)篠田昇(出)桃井かおり、永島敏行、平田満
「ドグラマグラ」(監)(脚)松本俊夫(原)夢野久作(脚)大和屋竺(美)木村威夫(出)桂枝雀、松田洋二、室田日出夫、江波杏子、森本レオ
1989年
東映Vシネマ「クライム・ハンター」発売(映画館以外で映画が稼ぐ新たなスタイルが生まれる)
新しい映画の興行スタイルを目指すアルゴ・プロジェクト設立
井出雅人(脚本家)死去(69歳)
菊島隆三(脚本家)死去(75歳)
辰巳柳太郎(俳優)死去(84歳)
殿山泰司(俳優)死去(73歳)
原泉(俳優)死去(84歳)
松田優作(俳優)死去(39歳)
「あ・うん」(監)降旗康男(原)向田邦子(脚)中村努(撮)木村大作(出)高倉健、富司純子、板東英二
「ウンタマギルー」
(監)(脚)高嶺剛(撮)田村正毅(出)小林薫、戸川純、ジョン・セイルズ
「黒い雨」
(監)(脚)今村昌平(原)井伏鱒二(脚)石堂淑郎(出)田中好子、北村和男、市原悦子(カンヌ映画祭フランス映画芸術貢献賞
「社葬」(監)舛田利雄(脚)松田寛夫(撮)北坂清(音)宇崎竜童(出)緒形拳、十朱幸代、江守徹
「千利休 本覺坊遺文」(監)熊井啓(原)井上靖(脚)依田義賢(撮)栃沢正夫(出)奥田瑛ニ、三船敏郎、萬谷錦之助(ヴェネチア映画祭サンマルコ銀獅子賞
「その男、凶暴につき」
(監)北野武(製)奥山和由(脚)野沢尚(撮)佐々木原保志(出)ビートたけし、白竜、川上麻衣子、芦川誠
「どついたるねん」
(監)(脚)阪本順治(製)荒戸源次郎(撮)笠松則通(出)赤井英和、相楽晴子、原田芳雄、麿赤児
「ファンシイダンス」
(監)(脚)周坊正行(原)岡野玲子(撮)長田勇市(音)周坊義和(出)本木雅弘、鈴木保奈美、大沢健、彦麿呂、田口浩正
「北京的西瓜」
(監)大林宣彦(原)林小利、久我山通(脚)石松愛弘(撮)長野重一(出)ベンガル、もたいまさこ、峰岸徹
「魔女の宅急便」
(監)(脚)(プロ)宮崎駿(原)角野栄子(音)久石譲
「満月のくちづけ」(監)(脚)金田龍(製総)三宅祐司(出)高原里絵、寺脇康文、松村亜希子(ローマ国際ファンタスティック映画祭監督賞、主演女優賞
「利休」(監)(企)(脚)勅使河原宏(原)野上彌生子(脚)赤瀬川原平(撮)森田富士郎(音)武満徹(美)西岡善信(出)三国連太郎、山崎努、三田佳子
モントリオール映画祭最優秀芸術賞
「スウィート・ホーム」(監)(脚)黒沢清(撮)前田米造(総指揮)伊丹十三(出)宮本信子、山本新伍、NOKKO、伊丹十三
「鉄男」(監)(脚)(撮)(美)(編)塚本晋也(撮)藤原京(出)田口トモロヲ、藤原京、塚本晋也、石橋蓮司(ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ)
「砂の上のロビンソン」(監)(脚)すずきじゅんいち(原)上野瞭(撮)鈴木耕一(出)大地康雄、浅茅陽子、高橋ひとみ、片桐はいり
「キッチン」
(監)(脚)森田芳光(原)吉本ばなな(撮)仙元誠三(出)川原亜矢子、松田ケイジ、橋爪功、浜三枝、四谷シモン
1990年
東映Vシネマの人気に乗りオリジナル・ビデオ映画が急増。映画業界に追い風となる
ビデオによる映画人口が7〜8億人に達する。映画館では1億4千万人。10億人近い数字の人がテレビ放映を見ていると考えると、映画最盛期の11億人を超えたといえます
夕張国際冒険・ファンタスティック映画祭始まる
「アルゴ・プロジェクト」スタート(佐々木史郎らのプロデューサー6人によるインディーズ映画専門の映画館)
木暮実千代(俳優)死去(72歳)
高峰三枝子(俳優)死去(71歳)
成田三樹夫(俳優)死去(55歳)
藤田進(俳優)死去(78歳)
藤山寛美(俳優、コメディアン)死去(60歳)
「櫻の園」
(監)中原俊(原)吉田秋生(脚)じんのひろあき(撮)藤沢順一(音)熊本マリ(出)中島ひろ子、つみきみほ、白島靖代
「3−4×10月」
(監)(脚)北野武(製)奥山和由(撮)柳島克巳(出)小野昌彦、石田ゆり子、井口薫仁
「式部物語」(監)(脚)熊井啓(原)秋元松代(出)奥田瑛ニ、原田美枝子(モントリオール映画祭準グランプリ
死の棘(監)(脚)小栗康平(主)松坂慶子、岸辺一徳(カンヌ映画祭審査員特別賞、国際批評家連盟賞
「少年時代」
(監)篠田正浩(企)(製)藤子不二雄(脚)山田太一(音)池辺晋一郎(出)藤田哲也、堀岡祐二
「白い手」(監)神山征二郎(原)椎名誠(脚)佐藤繁子(撮)飯村雅彦(出)南野陽子、哀川翔
「つぐみ TUGUMI」
(監)(脚)市川準(原)吉本ばなな(音)坂倉文(出)牧瀬里穂、中島朋子、白島靖代、真田広之(この映画の牧瀬里穂、本当に素敵でした!大好きな映画です)
「バタアシ金魚」(監)(脚)松岡錠司(製)長谷川誠(原)望月峯太郎(出)筒井康隆、高岡早紀、白川和子
「浪人街」
(監)黒木和雄(原)山上伊太郎(脚)笠原和夫(撮)高岩仁(出)原田芳雄、勝新太郎、樋口可南子、石橋蓮司
「われに撃つ用意あり」(監)若松孝二(原)佐々木譲(脚)丸内敏治(プ)清水一夫(出)原田芳雄、桃井かおり、蟹江敬三
「夢」
(監)(脚)黒澤明(撮)斉藤孝雄、上田正治(美)村木与四郎(出)寺尾聡、倍賞美津子、原田美枝子、笠智衆(黒澤明がアカデミー特別賞受賞)
「夢には人間の心の中に眠っている、あるいは、かくしたり、押さえ込んだりしている、いろいろな気持ちが正直にあらわれます。
 そして、夢はそれを驚くほど自由奔放な形で見事に表現してくれます」

黒澤明
1991年
今井正(監督)死去(79歳)
上原謙(俳優)死去(82歳)
「あの夏、いちばん静かな海」
(監)(企)(脚)北野武(音)久石譲(撮)柳島克巳(出)真木蔵人、大島弘子(淀川長治が最も愛した映画、僕も大好きです!)
「王手」(監)(脚)阪本順治(製)荒戸源次郎(脚)豊田利晃(撮)伊藤昭裕(出)赤井英和、加藤雅也、広田玲央名
「四万十川」(監)恩地日出夫(原)笹山久三(脚)古田求(撮)安藤庄平(音)毛利蔵人(出)樋口可南子、小林薫
「おもいでぽろぽろ」
(監)(脚)高畑勲(プ)鈴木敏夫ほか(原)岡本蛍、刀根夕子(音)星勝
12人の優しい日本人
(監)中原俊(脚)三谷幸喜、東京サンシャイン・ボーイズ(出)塩見三省、相島一之、豊川悦司(三谷幸喜の出世作、もちろん「十二人の怒れる男」のパロディー)
「大誘拐 Rainbow Kids」
(監)(脚)岡本喜八(原)天藤真(撮)岸本正広(美)西岡善信(出)北林谷栄、緒形拳、風間トオル、樹木希林
「八月の狂詩曲」
(監)(脚)黒澤明(原)村田喜代美(出)村瀬幸子、吉岡秀隆、リチャード・ギア
「ふたり」
(監)大林宣彦(原)赤川次郎(脚)桂千穂(撮)長野重一(音)久石譲(出)石田ひかり、中島朋子、富司純子
「息子」(監)(脚)山田洋次(原)椎名誠(脚)朝間義隆(撮)高羽哲夫(出)三国連太郎、永瀬正敏、和久井映見
無能の人
(監)(主)竹中直人(原)つげ義春(原)丸内敏治(音)GONTITI(出)風吹ジュン(ヴェネチア映画祭国際批評家連盟賞
「夢二」(監)鈴木清順(脚)田中洋造(撮)藤沢順一(美)池谷仙克(出)沢田研二、毬谷友子、広田玲央名、原田芳雄、大楠道代
1992年
ワーナーマイカルのシネマ・コンプレックス海老名にオープン(映画公開の新しい流れが始まる)
厚田雄春(小津組カメラマン)死去(87歳)
岡田嘉子(俳優)死去(89歳)
小川紳介(監督)死去(55歳)
五社英雄(監督)死去(63歳)
太地喜和子(俳優)自殺?(48歳)
三宅邦子(俳優)死去(76歳)
若山富三郎(俳優)死去62歳
「阿賀に生きる」(監)(編)佐藤真(撮)小林茂(音)経麻朗(国際ドキュメンタりー映画祭国際批評家連盟賞
「いつかギラギラする日」
(監)深作欣二(脚)丸山昇一(製)奥山和由(出)萩原健一、石橋蓮司、荻野目慶子、木村八大
「紅の豚」
(監)(原)(脚)宮崎駿(製)徳間康快他(音)久石譲
「シコふんじゃった。」
(監)(脚)周坊正行(製)徳間康快・平明(撮)栢野直樹(出)本木雅弘、清水美砂、柄本明、竹中直人
「死んでもいい」(監)(脚)石井隆(製)伊地智啓(原)西村望(撮)佐々木保志(出)大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男
「青春デンデケデケデケ」
(監)大林宣彦(脚)石森史郎(原)芦原すなお(音)久石譲(出)林泰文、大森嘉之、浅野忠信
「寝盗られ宗介」(監)若松孝二(製)奥山和由(原)(脚)つかこうへい(出)原田芳雄、藤谷美和子
「橋のない川」(監)(脚)東陽一(原)住井すゑ(音)エルネスト・カブール(出)大谷直子、中村玉緒、杉本哲太、高岡早紀
「墨東綺譚 」(監)(製)(脚)新藤兼人(原)永井荷風(撮)三宅義行(音)林光(出)津川雅彦、墨田ユキ、杉村春子、乙羽信子
永井荷風の小説を作者本人に置き換えて映画化し、永井の赤線「玉の井」通いとお雪との恋愛、戦争、死までを描いた作品。
「ミンボーの女」
(監)(脚)伊丹十三(製)玉木泰(撮)前田米造(音)本多俊之(出)宮本信子、宝田明、大地康雄、村田雄浩
「豪姫」(監)(脚)勅使河原宏(原)富士正晴(脚)赤瀬川源平(撮)森田富士郎(出)宮沢りえ、仲代達矢、松本幸四郎、三国連太郎
「地獄の警備員」(監)(脚)黒沢清(脚)富岡邦彦(撮)根岸憲一(出)久野真紀子、松重豊、長谷川初範
「鉄男U BODY HAMMER」
(監)(脚)(撮)(編)(美)塚本晋也(出)田口トモロヲ、塚本晋也
「ザザンボ」(監)(製)(脚)(撮)(出)渡辺文樹(出)秋山誠、小勝新
1993年
シネコンの建設が本格化
「にっかつ」が事実上の倒産
安部徹(俳優)死去(76歳)
大和屋竺(脚本家)死去(55歳)
川喜多和子(東和副社長、エキプ・ド・シネマ)死去(53歳)
服部良一(作曲家)死去(85歳)
本多猪四郎(監督)死去(81歳)
笠智衆(俳優)死去(88歳)
「愛について、東京」(監)(プ)(脚)柳町光男(撮)安藤庄平(出)ウー・シャオトン、岡坂あすか、藤岡弘、戸川純
「お引越し」
(監)相米慎二(原)ひこ・田中(脚)奥寺佐渡子、小比木聡(出)中井貴一、桜田淳子、田畑智子
「学校」(監)(脚)山田洋次(原)廣澤榮(脚)朝間義隆(音)富田勲(出)西田敏行、竹下景子、萩原聖人、中江有里
「ソナチネ」
(監)(脚)(編)北野武(製)奥山和由(撮)柳島克巳(音)久石譲(出)ビートたけし、渡辺哲、勝村政信、寺島進
「月はどっちに出ている」(監)(脚)崔洋一(原)梁石日(脚)鄭義信(出)岸谷五朗、ルビー・モレノ、絵沢萌子
「ヌードの夜」(監)(脚)石井隆(撮)佐々木原保志(出)竹中直人、余貴美子、椎名桔平、清水美子
「病院で死ぬということ」(監)(脚)市川準(原)山崎章郎(撮)小林達比古(出)岸辺一徳、塩野谷正幸、石井育代
「僕らはみんな生きている」(監)滝田洋二郎(原)(脚)一色伸幸(撮)浜田毅(出)真田広之、岸辺一徳、嶋田久作、ベンガル
「まあだだよ」
(監)(脚)黒澤明(原)内田百聞(美)村木与四郎(出)松村達雄、香川京子、井川比佐志、所ジョージ
「わが愛の譜 滝廉太郎物語」(監)(脚)澤井信一郎(脚)宮崎晃、伊藤亮爾(出)風間トオル、鷲尾いさ子、雨宮良
「つげ義春ワールド ゲンセンカン主人」(監)(脚)石井輝男(原)(出)つげ義春(撮)石井浩一(出)佐野史郎、横山あきお、中上ちか
「裸足のピクニック」(監)(脚)矢口史靖(脚)鈴木卓爾ほか(撮)古澤敏文、鈴木一博(出)芹沢砂織、浅野あかね、Mrオクレ
「ニ十才の微熱」(監)(脚)橋口亮輔(撮)戸澤潤一(出)袴田吉彦、片岡礼子、遠藤雅
「部屋 THE ROOM」(監)(脚)(編)園子温(撮)大塚雄一郎(出)麿赤児、洞口依子、佐野史郎
1994年
東映がヤクザ路線から撤退
乙羽信子(俳優)死去(70歳)
「愛の新世界」(監)高橋伴明(原)島本慶(脚)剣山象(音)山崎ハコ、かしぶち哲郎(出)鈴木砂羽、片岡礼子
「居酒屋ゆうれい」
(監)渡辺孝好(原)山本昌代(脚)田中洋造(撮)藤沢順一(出)萩原健一、山口智子、室井滋
「119」(監)(脚)(出)竹中直人(脚)筒井ともみ、宮沢章夫(音)忌野清志郎(出)赤井秀和、鈴木京香
全身小説家
(監)(撮)原一男(製)小林佐智子(撮)大津幸四郎(音)関口孝(出)井上光晴、井上侑子、埴谷雄高
「忠臣蔵外伝・四谷怪談」
(監)(脚)深作欣二(製)桜井洋三(脚)古田求(撮)石原興(出)佐藤浩市、高岡早紀
「夏の庭」
(監)相米慎二(原)湯本香樹実(脚)田中洋造(撮)篠田昇(出)三国連太郎、坂田直樹、戸田菜穂
「平成狸ぽんぽこ」
(監)(原)(脚)高畑勲(企)宮崎駿(プ)鈴木敏夫
「棒の哀しみ」(監)(脚)神代辰巳(原)北方謙三(脚)伊藤秀裕(撮)林淳一郎(出)奥田瑛ニ、永島瑛子
「毎日が夏休み」(監)(脚)金子修介(原)大島弓子(製)藤峰貞利(出)佐野史郎、佐伯日菜子 
「トカレフ」(監)(脚)阪本順治(原案)徳田寛(撮)石井勲(出)大和武士、西山由海、佐藤浩市
「わが人生最悪の時」(監)(プロ)(脚)林海象(脚)天願大介(撮)長田勇市(出)永瀬正敏、南原清隆、佐野史郎
「屋根裏の散歩者」(監)実相寺昭雄(原)江戸川乱歩(脚)薩川昭夫(撮)中堀正夫(出)三上博史、宮崎ますみ、六平直正、嶋田久作
「あなたがが好きです、だいすきです」(監)(脚)(撮)大木裕之(出)CHANO、渋谷和則、田中要次
「オートバイ少女」(監)(製)(脚)(出)あがた森魚(撮)山中潤(出)石堂夏央、村松利史、深浦加奈子
「夜がまた来る」(監)(脚)石井隆(撮)笠松則通(出)夏川結衣、根津甚八、寺田農、竹中直人、椎名桔平
「NIGHT HEAD」(監)(脚)(原)飯田譲治(脚)笠井健夫(撮)榎田洋美(出)豊川悦司、武田真治、小島聖、篠井英介、南美江、山口リエ
1995年
入江たか子(俳優)死去(83歳)
金子信雄(俳優)死去(71歳)
川谷拓三(俳優)死去(54歳)
神代辰巳(監督)死去(67歳)
山田康雄(俳優、声優)死去(62歳)
「KAMIKAZE TAXI」(監)(脚)原田眞人(撮)阪本善尚(音)川崎真弘(出)役所広司、高橋和也、片岡礼子
「ガメラ 大怪獣空中決戦」(監)金子修介(脚)伊藤和典(出伊原剛志、中山忍、小野寺
攻殻機動隊 Ghost in the Shell
(監)押井守(ビデオ版が発売されアメリカで売上トップに)
午後の遺言状
(監)新藤兼人(製)新藤次郎(撮)三宅義行(出)杉村春子、乙羽信子、観世榮夫、津川雅彦(モスクワ映画祭批評家賞
「写楽」(監)(脚)篠田正浩(脚)皆川博子、堺正俊、片倉美登(プ)原正人(出)真田広之、岩下志麻、葉月里緒菜
「東京兄妹」(監)市川準(脚)藤田昌裕、猪股敏郎、鈴木秀行(出)緒形直人、栗田麗、手塚とおる
「TOKYO FIST 東京フィスト」(監)(プ)(脚)(撮)(美)塚本真也(出)藤井かほり、塚本真也、六平直政
「マークスの山」(監)(脚)崔洋一(原)高村薫(脚)丸山昇一(出)中井貴一、萩原聖人、名取裕子
「渚のシンンドバッド」(監)(脚)橋口亮輔(製)高井英幸他(撮)上野彰吾(編)米田美保(音)高橋和也
(出)岡田義徳、草野康太、浜崎あゆみ、山口耕史、高田久実、村井国男、山口美也子、根岸季衣、袴田吉彦、橋口亮輔(精神科の医師)
ロッテルダム映画祭グランプリ
同性愛の高校生と彼が好きな同級生男子、彼のことが気になる不思議な女子、様々な高校生のひと夏の経験。
彼らが痛みを抱えながら不器用に純粋に生きようとあえぐ青春ドラマの傑作。
演出の見事さに出演者が演技を越えた生き様を見せてくれます。とはいえ、岡田と浜崎の演技は圧倒的に素晴らしい!
ゆったりとしたリズムは橋口監督ならではのもの。長崎の美しい風景がまたゆったりして気持ち良く、きついドラマを救います。
「幻の光」(監)是枝裕和(製)重延造(原)宮本輝(脚)荻田芳久(撮)中堀正夫(照)丸山文雄(音)陳明章
(出)江角マキコ、内藤剛志、浅野忠信、木内みどり、柄本明、大杉漣、赤井英和、寺田農
ヴェネチア映画祭オゼロ・ドゥ・オロ賞シカゴ国際映画祭ゴールド・ヒューゴ賞バンクーバー映画祭グランプリ
 自殺によって夫を失った女性が再婚後も死の謎に悩まされる苦悩と再生を描いた作品。
 北陸輪島自然とそこに住む人々と家族によって癒されて行く家庭が丹念に描かれます。
 台詞が少ない分を映像(構図、アングル、光、色合い)が補って余りある地味ながら見事な作品です。長編デビュー作とは思えない!
「深い河」(監)(脚)熊井啓(原)遠藤周作(撮)栃沢正夫(出)奥田瑛ニ、秋吉久美子、井川比佐志
「Love Letter」
(監)(脚)岩井俊二(撮)篠田昇(音)REMEDIOS(出)中山美穂、豊川悦司、酒井美紀
「EAST MEETS WEST」(監)(脚)岡本喜八(撮)加藤雄大(美)西岡善信(出)真田広之、竹中直人、岸部一徳、仲代達矢
「水の中の八月」(監)(脚)石井聰互(撮)笠松則通(出)小嶺麗奈、青木伸輔、天本英世
「GONIN」(監)(脚)石井隆(撮)佐々木原保志(出)本木雅弘、ビートたけし、佐藤浩一、竹中直人、根津甚八
「静かな生活」(監)(脚色)伊丹十三(原)大江健三郎(撮)前田米造(出)山崎努、柴田美保子、渡部篤郎
「につつまれて」(監)(製)(撮)(編)(企)(出)河瀬直美
1996年
「にっかつ」が社名を「日活」と再スタート
映画人口が戦後最低となった(1億4千万を切る)ただし、制作本数はプラスに転じる(DVDの登場により、収益が増したため)
「絵の中の僕の村」(監)(脚)東陽一(原)田島征三(脚)中島丈博(出)松山慶吾、松山翔吾、原田美枝子
「学校U」(監)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆(撮)長沼六男(音)富田勲(出)西田敏行、吉岡秀隆、いしだあゆみ
「岸和田少年愚連隊」(監)井筒和幸(原)中場利一(脚)鄭義信、我妻正義(出)矢部浩之、岡村隆史、大河内奈々子
「キッズ・リターン」
(監)(脚)北野武(撮)柳島克巳(音)久石譲(出)金子賢、安藤政信、森本レオ、石橋凌
「スワロウテイル」
(監)(脚)(編)岩井俊二(撮)篠田昇(音)小林武史(主題歌)Yen Town Band
(出)Chara、伊藤歩、三上博史、渡部篤郎、江口洋介、小橋賢児、桃井かおり、山口智子、洞口依子、田口トモロヲ、鈴木慶一、アンディ・ホイ、酒井敏也、大塚寧々、ミッキー・カーチス、塩見三省、渡辺哲、ROLLY、クリス・ペプラー、ケント・フック
無国籍近未来SFの名作で、岩井俊二の代表作
やはりCHARAとYEN・TOWN・BANDの魅力がこの作品最大の売り!
日本語、英語、中国語がごった煮状態が見事です。
「シャブ極道」(監)細野辰興(原)山之内幸夫(脚)成島出(撮)山本英夫(出)役所広司、早乙女愛、菅田俊
Shall we ダンス?
(監)(脚)周防正行(撮)柏野直樹(出)役所広司、草刈民代、竹中直人、渡辺えり子
トキワ荘の青春
(監)(脚)市川準(脚)鈴木秀行、森川幸治(出)本木雅弘、大森嘉之、古田新太
「眠る男」(監)(脚)小栗康平(脚)剣持潔(撮)丸池納(出)安聖基、クリスティン・ハキム、役所広司(モントリオール映画祭審査員特別賞
「(ハル)」(監)(脚)森田芳光(製)鈴木光(撮)高橋比呂志(出)深津絵里、内野聖陽、戸田菜穂
「ビリケン」
(監)(脚)阪本順治(脚)豊田利晃(出)杉本哲太、岸辺一徳、山田智子
「女優霊」(監)(原案)中田秀夫(脚)高橋洋(撮)浜田毅(出)柳ユーレイ、白島靖代、石橋けい、根岸季衣
1997年
「もののけ姫」が史上最高の興行記録達成
「うなぎ」
(監)今村昌平(主)役所広司、清水美砂(カンヌ映画祭パルム・ドール受賞)
「鬼火」(監)望月六郎(原)山之内幸夫(脚)森岡利行(出)原田芳雄、片岡礼子、哀川翔
「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」(監)篠田正浩(原)阿久悠(脚)成瀬活雄(出)長塚京三、岩下志麻、鳥羽潤
「東京日和」(監)竹中直人(原)荒木陽子、荒木経惟(脚)岩松了(出)中山美穂、竹中直人、松たか子、三浦友和
「東京夜曲」(監)市川準(脚)佐藤信介(撮)小林達比古(出)長塚京三、桃井かおり、倍賞美津子
「バウンス ko GALS」(監)(脚)原田眞人(撮)阪本善尚(出)佐藤仁美、佐藤康恵、岡本夕紀子
「マルタイの女」
(監)(脚)伊丹十三(製)玉木泰(撮)前田米造(音)本多俊之(出)宮本信子、西村雅彦、江守徹、村田雄浩
「身も心も」(監)(脚)荒井晴彦(原)鈴木貞美(企)黒澤満、植村徹(出)奥田瑛二、かたせ梨乃、柄本明、永島映子
「萌の朱雀」
(監)(脚)河瀬直美(主)國村隼(カンヌ映画祭カメラ・ドール賞受賞)
「もののけ姫」
(監)(原)(脚)宮崎駿(プ)鈴木敏夫(作監)安藤雅司、高坂希太郎、近藤喜文
「誘拐」(監)大河原孝夫(脚)森下直(撮)木村大作(音)服部隆之(出)渡哲也、永瀬正敏、酒井美紀、柄本明
「ラヂオの時間」
(監)(脚)三谷幸喜(撮)高間賢治(音)服部隆之(出)唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、戸田恵子
「桂子ですけど」(監)(製)(脚)(美)(編)園子温(撮)ウォン・オン・リン(出)鈴木桂子、内田栄一
「明日なき街角」(監)若松孝二(原)北方謙三(脚)丸内敏治、新間章正ほか(撮)佐光朗(出)金子賢、室田日出男、金久美子
「2/デュオ」(監)(構成)諏訪敦彦(撮)田村雅毅(出)柳愛理、西島秀俊、渡辺真起子、中村久美
「鬼畜大宴会」(監)(脚)(編)熊切和嘉(撮)橋本清明(出)杉原敏行、小曽木健太郎、三上純未子
1998年
フジテレビのドラマの映画版「踊る大捜査線 THE MOVIE」が大ヒット。テレビから映画へというヒットの新しいパターンが生まれる
(テレビ・ドラマ→映画→スピンオフ→DVD)
「タイタニック」の興行記録更新により、映画館への観客動員がプラスに転じる
「リング」(中田秀夫)のヒットにより和製ホラー映画ブーム始まる
映画評論家 淀川長治氏死去
「愛を乞うひと」(監)平山秀幸(原)下田治美(脚)鄭義信(出)原田美枝子、中井貴一、小日向文世
「犬、走る DOG RACE」(監)(脚)崔洋一(原)丸山昇一(脚)鄭義信(出)岸谷五朗、大杉漣
「愚か者 傷だらけの天使」(監)(脚)阪本順治(脚)田村竜(音)鈴木茂(出)真木蔵人、鈴木一真、大楠道代、大杉漣
「学校V」(監)(原)(脚)山田洋次(原)鶴島緋紗子(脚)朝間義隆(出)大竹しのぶ、小林稔侍、黒田勇樹
「カンゾー先生」(監)(脚)今村昌平(原)坂口安吾(脚)天願大介(撮)小松原茂(出)柄本明、麻生久美子、松坂慶子
「がんばっていきまっしょい」(監)(脚)磯村一路(製)周防正行(原)敷村良子(出)田中麗奈、清水真実
「絆 - きずな-」(監)根岸吉太郎(原)白川道(脚)荒井晴彦(撮)丸池納(出)役所広司、渡辺謙、麻生祐未
「CURE キュア」(監)黒沢清(製)加藤博之(出)役所広司、萩原聖人、うじきつよし
「鮫肌男と桃尻女」(監)(脚)石井克人(原)望月峯太郎(撮)町田博(出)浅野忠信、小日向しえ、岸部一徳
「四月物語」
(監)(脚)(編)岩井俊二(撮)篠田昇(出)松たか子、田辺誠一、津田寛治、松本幸四郎、光石研、江口洋介、留美、加藤和彦
映像で描いた素敵な短編小説。松たか子って、こんなにかわいかったんだ!四月という独特な時期のふわふわした雰囲気をイメージ映像に仕上げた傑作。
出てくる俳優がみんな若い!どのカットも計算しつくされた美しいものばかり。映画製作の教科書になりそうな作品です。
「時雨の記」(監)(脚)澤井信一郎(脚)伊藤亮二(撮)木村大作(出)吉永小百合、渡哲也、林隆三
「中国の鳥人」(監)三池崇史(原)椎名誠(脚)NAKA雅MURA(撮)山本英夫(出)本木雅弘、石橋蓮子、マコ・イワマツ
HANA-BI
(監)(脚)北野武(音)久石譲(出)ビートたけし、岸本加世子、大杉漣(ヴェネチア映画祭金獅子賞
「ラブ&ポップ」
(監)庵野秀明(原)村上龍「ラブ&ポップ トパーズ2」(脚)薩川昭夫(撮)柴主高秀(編)奥田浩史(音監)光宗信吉
(主歌)「あの素晴らしい愛をもう一度」(歌)三輪明日美(曲・詞)加藤和彦・北山修
(出)三輪明日美、希良梨、工藤浩乃、仲間由紀恵、三輪ひとみ、平田満、吹越満、モロ師岡、手塚とおる、渡辺いっけい、森本レオ、岡田奈々
浅野忠信、林原めぐみ、河P直美、石田彰
トパーズの指輪(12万円)が欲しい女子高校生がそのお金を作るため援助交際をしようとする1日の物語。
庵野監督の実写映画デビュー作。でもすでに庵野節であるアップ、自撮り、テロップ、様々なカメラ・アングルによるカット割りの連発。
まだ若かったおっさん俳優が次々登場します。
仲間由紀恵の女子高生姿がなんとも初々しいけど、圧倒的に他の3人より魅力的です。
「A」
(監)(撮)(編)森達也(製)(撮)(編)安岡卓治(音)朴保(出)荒木浩広報副部長を中心とするオウム真理教の信者達
1999年
「あ、春」(監)相米慎二(脚)中島丈博(原)村上政彦(出)佐藤浩市、斉藤由貴、山崎努
「雨あがる」
(監)小泉堯史(出)寺尾聡、宮崎美子(ヴェネチア映画祭緑の獅子賞
「大阪物語」(監)市川準(脚)犬童一心(撮)小林達比古、蔦孝洋(出)池脇千鶴、沢田研二、田中裕子、ミヤコ蝶々
「菊次郎の夏」
(監)(脚)北野武(撮)柳島克巳(音)久石譲(出)ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、吉行和子
「金融腐食列島[呪縛]」(監)原田眞人(原)(脚)高杉良(脚)鈴木智、木下麦太(出)役所広司、椎名桔平、仲代達矢
「コキーユ 貝殻」(監)中原俊(原)山本おさむ(脚)山田耕大(出)小林薫、風吹ジュン
「39 刑法第三十九条」(監)森田芳光(原)永井泰宇(脚)大森寿美男(音)佐橋俊彦(出)鈴木京香、堤真一、岸部一徳
「鉄道屋(ぽっぽや)」(監)(脚)降旗康男(原)浅田次郎(脚)岩間芳樹(出)高倉健、大竹しのぶ、広末涼子
「どこまでもいこう」(監)(脚)塩田明彦(撮)鈴木一博(出)鈴木雄作、水野真吾
「のど自慢」(監)(脚)井筒和幸(脚)安部照男(音)藤野浩一(出)室井滋、大友康平、尾藤イサオ、竹中直人
「M/OTHER」(監)(脚)諏訪敦彦(主)三浦友和、渡辺真紀子(カンヌ映画祭国際批評家連盟賞受賞)
「ワンダフルライフ」
(監)(脚)(編)是枝裕和(撮)山崎裕(音)笠松泰洋(出)ARATA、小田エリカ、内藤剛司、谷啓、伊勢谷友介
「ニンゲン合格」(監)(脚)黒沢清(撮)林淳一郎(音)ゲイリー芦屋(出)西島秀俊、役所広司、りりぃ、麻生久美子、哀川翔、大杉漣
「完全なる飼育」(監)(製)和田勉(脚)新藤兼人(撮)佐々木原保志(原)松田美智子(出)竹中直人、小島聖、北村一輝、塚本晋也
「黒い家」(監)森田芳光(原)貴志祐介(脚)大森寿美男(撮)北信康(出)内野聖陽、大竹しのぶ、西村雅彦、小林薫
「カリスマ」(監)(脚)黒沢清(撮)伴淳一郎(音)ゲイリー芦屋(出)役所広司、池内博之、大杉漣、洞口依子
2000年
韓国映画「シュリ」が大ヒット。韓国映画のブーム始まる
松竹大船撮影所閉鎖
デジタル方式による公開が始まる
「顔」
(監)(脚)阪本順治(原・脚)宇野イサム(撮)笠松則通(音)coba(出)藤山直美、豊川悦史、国村隼、佐藤浩市、大楠道代
「御法度」
(監)(脚)大島渚(製)大谷義信(撮)栗田豊通(音)坂本龍一(美)西岡善信(出)松田龍平、ビートたけし、武田真治、浅野忠信、崔洋一
「三文役者」
(監)(原)(脚)(出)新藤兼人(製)新藤次郎(撮)三宅義行(編)渡辺行夫(河内音頭指導)初音家賢次(音)林光
(出)竹中直人、荻野目慶子、吉田日出子、乙羽信子、二木てるみ、倍賞美津子、江角英明、田中要次、大森南朋、川上麻衣子、原田大二郎
絵沢萌子、六平直政、上田耕一、松重豊、原ひさ子、大杉漣、田口トモロヲ、木場勝己、篠田拓馬(「私の青空」の太陽)
(証言)堀川弘通、神山征二郎、今村昌平
生涯に300作品以上に出演した脇役俳優、殿山泰司の伝記「三文役者の死」を映画化。
「愛妻物語」(1951年)「原爆の子」(1952年)「どぶ」(1954年)「銀心中」(1956年)「裸の島」(1960年)「人間」(1962年)「鬼婆」(1964年)
「悪党」(1965年)「落葉樹」(1986年)、遺作1989年「黒い雨」(今村昌平)「千羽づる」(神山征二郎)「花物語」(堀川政通)
竹中直人が実によく似ています!荻野目慶子の体当たり演技も凄い!脇役俳優も実に豪華!
お話としては、とにかくおバカな酒と女の事件の連続でまたかい!の連続です!
「十五才 学校W」(監)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆、平松恵美子(撮)長沼六男(出)金井勇太、麻美れい、赤井英和、丹波哲郎
「式日 - SHIKI - JITSU」(監)(脚)庵野秀明(撮)岩井俊二(原)藤谷文子(音)加古隆(出)岩井俊二、藤谷文子、大竹しのぶ
アニメではなく実写が撮りたいと思い悩む日々に不思議な女性(セガールの娘)が現れ、1ヶ月の映画撮影が始まります。
藤谷文子が何か今一つ魅力的じゃないんですよね。
「ジュブナイル」
(監)(脚)(SFX)山崎貴(撮)柴崎幸三(テーマ曲)山下達郎(出)香取慎吾、酒井美紀、鈴木杏
「スリ」(監)(原)(脚)黒木和雄(脚)真辺克彦、堤泰之(撮)川上皓一(音)松村貞三(出)原田芳雄、風吹ジュン、真野きりな、石橋蓮司
「独立少年合唱団」(監)緒方明(原)(脚)青木研次(撮)猪本政三(音)池辺晋一郎(出)伊藤淳史、藤間宇宙、香川照之、光石研
「バトル・ロワイアル」(監)深作欣二(脚)深作健太(撮)柳島克己(原)高見広春(出)藤島竜也、前田亜季、ビートたけし
「ナビィの恋」
(監)(脚)中江悠司(製)竹中功、佐々木史郎(撮)高間賢治(音)磯田健一郎(出)西田尚美、村上淳、平良とみ、登川誠仁
「日本の黒い夏 冤罪」
(監)(脚)熊井啓(製)豊忠雄(製総)中村雅哉(原)平石耕一(撮)奥原一男(美)木村威夫(編)井上治(音)松村禎三
(出)中井貴一、遠野凪子、寺尾聡、細川直美、石橋蓮司、北村有起哉、北村和男、平田満、二木てるみ、根岸季衣、岩崎加根子
松本サリン事件(1994年)で犯人扱いをされ、日本中からバッシングを受けた河野さんをモデルにした冤罪ドラマ。
高校の放送部が事件を振りかえる取材を行う中で、マスコミによる報道の問題点や警察による人権無視の捜査が明らかにされます。
取材する女子高生が異常に熱つ過ぎるのが残念。逆に見る方が引いてしまいました。そこが昭和の社会派監督熊井啓の良さであり、悪さでもあります。
ラストに持ってきた事件の再現映像の迫力は見事です!それにしても、河野さんは可哀想過ぎます。二人の人生に幸あれと願うばかりです。
EUREKA ユリイカ
(監)(脚)(編)(音)青山真治(製)塩原徹、長瀬文男、仙頭武則、滝島優行(出)役所広司(沢井)、宮崎あおい、宮崎将、斉藤陽一郎、光石研
2001年
「ウォーターボーイズ」
(監)(脚)矢口史靖(撮)長田勇市(音)松田岳二、冷水ひとみ(出)妻夫木聡、玉木宏、三浦哲郎、金子貴俊、平山綾
「陰陽師」
(監)滝田洋二郎(原)(脚)夢枕獏(脚)福田靖(音)梅林武(出)野村万斎、伊藤英明、今井絵里子、夏川結衣
「GO」(監)行定勲(脚)宮藤官九郎(原)金城一紀(撮)柳島克己(音)めいなCo(出)窪塚洋介、柴咲コウ、山崎努、大竹しのぶ
「千と千尋の神隠し」(アニメ)
(監)(脚)(原)宮崎駿(プ)鈴木敏夫(音)久石譲(作監)宮藤雅司、高坂希太郎、賀川愛
「千年女優」(アニメ)
(監)(原案)(脚)(キャラD)今敏(脚)村井さだゆき(演)松尾衝(キャラD)(作監)本田雄(作監)井上俊之、濱州英喜、小西賢一、古谷勝悟
(美)池信孝(色設)橋本賢(撮)白井久男(編)寺内聡(音響)三間雅文(音Z)平沢進(P)真木太郎(制)ジェンコ、マッドハウス
(声)荘司美代子、小山芙美、折笠富美子(藤原千代子)、飯塚昭三、佐藤政道(立花)山寺宏一、津嘉山正種
引退した老名女優のインタビューのために隠遁先の自宅を訪れた制作者の男性は彼女に自分が預かっていた鍵を返します。
彼女は自分の生い立ちから女優人生について、そして謎の鍵についての話を始めます。
それは謎の老婆に呪いをかけられ永遠に恋人を追いかける運命になった女性の物語でもありました。
「満月になる前の14夜の月」「愛する人を追いかける自分」「明日への希望があること」「見果てぬ夢を追う幸福」・・・
永遠に続く恋を描いた長くて短くて幸福なファンタジー映画の傑作。
「DISTANCE/ ディスタンス」(監)(脚)(編)是枝裕和(プ)秋枝正幸(撮)山崎裕(助監)西川美和(美)磯見俊裕(録)森英司
(出)ARATA、伊勢谷友介、寺島進、夏川結衣、浅野忠信、りょう、遠藤憲一、中村梅雀、津田寛治、木村多江、山下容莉枝
オウム真理教による地下鉄サリン事件をモデルにした架空の大量殺人を犯した犯人家族のその後の物語です。
今見ると俳優陣がやたら豪華で驚かされます。あえて音楽を排除し、虫の鳴き声、雨音、川のせせらぎなどを背景音にしている実験的映画。
大きな事件が起きるわけではなく、静かに静かに過去をそれぞれが振り返りながら、ポツリポツリと語り合い事件と向き合います。
 また来年彼らはその場所で再会し、静かに語り合うのでしょう。事件の悲劇を忘れるには長い時間必要ですが着実に人は成長すると信じたいです。
「ハッシュ!」(監)(脚)(原)橋口亮輔(撮)上野彰吾(音)ボビー・マクファーリン(出)田辺誠一、高橋和也、片岡礼子
「光の雨」(監)高橋伴明(原)立松和平(脚)青山武(音)梅林武(出)萩原聖人、祐木奈江、山本太郎、大杉蓮
「風花」(監)相米慎二(原)鳴海章(脚)森らいみ(撮)町田博(音)大友良英(出)小泉今日子、浅野忠信、香山美子、柄本明、麻生久美子
「リリィ・シュシュのすべて」(監)(脚)岩井俊二(撮)篠田昇(音)小林武(出)市原隼人、忍成修吾、伊藤歩、蒼井優
「Avalon アヴァロン」
(監)押井守(脚)伊藤和典(撮)グジェゴシ・ケンジェルスキ(音)川井憲次(出)マウゴジャータ・フォレムニャック、ヴワディスワフ・コヴァルスキ
「BROTHER」
(監)(脚)(編)北野武(製)ジェレミー・トーマスほか(撮)柳島克己(音)久石譲(出)ビートたけし、オマー・エッブス、真木蔵人、寺島進
「回路」(監)(脚)黒沢清(撮)林淳一郎(音)羽毛田丈史(出)加藤晴彦、麻生久美子、小雪、武田真治
「火垂」(監)(脚)(撮)(音)河瀬直美(撮)猪本雅三(音)松岡奈緒美(出)中村優子、永沢俊矢、山口美也子、光石研
「けものがれ、俺らの猿と」(監)須永秀明(脚)木田紀生、久保直樹(原)町田康「屈辱ポンチ」(撮)北信康(出)永瀬正敏、鳥肌実、小松方正、ムッシュかまやつ
「ピストル・オペラ」(監)鈴木清順(脚)伊藤和典(撮)前田米造(特撮)樋口真嗣(出)江角マキコ、山口小夜子、永瀬正敏、樹木希林、加藤治子、沢田研二
2002年
「AIKI」(監)(脚)天願大介(撮)李以須(音)めいなCo(出)加藤晴彦、ともさかりえ、石橋凌、原千晶
「OUT」(監)平山秀幸(原)桐野夏生(脚)鄭義信(撮)柴崎幸三(音)安川午朗(出)原田美枝子、倍賞美津子、室井滋、西田尚美
「アカルイミライ」
(監)(脚)黒沢清(撮)柴主高秀(音)パシフィック231(出)オダギリ・ジョー、浅野忠信、藤竜也、笹野高史、白石マル美、りょう
(シュールで不気味な暴力映画。オダギリ、浅野の魅力全開)
「阿弥陀堂だより」
(監)(脚)小泉堯史(原)南木佳士(撮)上田正治(音)加古隆(出)寺尾聰、樋口可南子、北林谷栄、田村高広、香川京子
「刑務所の中」(監)(脚)崔洋一(原)花輪和一(脚)鄭義信、中村義洋(撮)浜田毅(出)山崎努、香川照之、田口トモロヲ、松重豊、大杉蓮
「KT」
(監)阪本順治(原)中薗英助『拉致-知られざる金大中事件』(脚)荒井晴彦(撮)笠松則通(出)佐藤浩市、キム・ガブス、筒井道隆、香川照之
(日本では珍しい本格的な社会派歴史サスペンス映画。金大中事件の真相に迫った作品)
「たそがれ清兵衛」
(監)(脚)山田洋次(原)藤沢周平(脚)朝間義隆(撮)長沼六男(美)西岡善信(出)真田広之、宮沢りえ、田中眠、大杉蓮
(江戸時代に舞台を移したサラリーマン社会の悲哀を描いた名作。真田の渋い男の魅力が生かされ、宮沢りえの美しさも光る)
「笑う蛙」(監)平山秀幸(原)藤田宜永(脚)成島出(撮)柴崎幸三(音)村山竜二(出)長塚京三、大塚寧々、國村隼
「アレクセイと泉」(監)本橋誠一(撮)一之瀬正史(編)松本勝(音)坂本龍一
チェルノブイリ原発事故によって汚染された村を舞台にしたドキュメンタリー映画
「自殺サークル」(監)(脚)園子音(撮)佐藤和人(音)長谷川智樹(出)石橋凌、永瀬正敏、さとう珠緒、麿赤児、ROLLY
「突入せよ!あさま山荘事件」
(監)(脚)原田眞人(撮)阪本善尚(原)佐々淳行「連合赤軍あさま山荘事件」(出)役所広司、宇崎竜童、伊武雅刀、串田和美
「ピンポン」
(監)曽利文彦(原)松本大洋(脚)宮藤官九郎(撮)佐光朗(音)真魚(出)窪塚洋介、中村獅童、ARATA、大倉孝二
(ロンドン・オリンピックの原点はもしかするとここにあるのかもしれません。卓球ブームの火付け役のひとつ。窪塚、ARATA、中村獅童の魅力が生かされた青春映画の傑作)
「この映画『ピンポン』を見た後で、松本大洋の原作を読むと、まったく何も『引かれていない』ことに驚くだろう。
全五冊の漫画に含まれている要素をほとんど引かず、また付け加えることもなく1時間54分の映画にまとめ上げることに成功したのは、
脚本家としての宮藤官九郎の力量なのかもしれない。」

沢木耕太郎「シネマと書店とスタジアム」より
<オマケ>
 ラストでARATAに卓球の指導を受けている小学生は、なんと染谷将太です!
2003年
美しい夏キリシマ
(監)(脚)黒木和雄(脚)松田正隆(撮)田村正毅(音)村松禎三(配給)パンドラ(出)柄本佑、原田芳雄、小田エリカ、牧瀬里穂
「リアリズムの宿」
(監)(脚)(編)山下敦弘(原)つげ義春(撮)近藤龍人(曲)くるり(出)長塚圭史、山本浩司、尾野真千子
(「山下ワールド」「つげワールド」に「くるりワールド」が合体した「ゆるーい青春ロードムービー」、夜中に静かにくすくすしながら見ましょう!)
「『リアリズムの宿』は、貧しげな風景が好きな人間が本当に貧しい世界の中に入ってしまったときの困惑をユーモラスに描いている」川本三郎
「壬生義士伝」
(監)滝田洋二郎(原)浅田次郎(脚)中島丈博(撮)浜田毅(音)久石譲(出)中井貴一、三宅祐司、夏川結衣、中谷美紀、村田雄造、佐藤浩市
(現代的な視点から描いた幕末を舞台にした人間群像劇。中井貴一のまじめさがぴったりはまった異色の時代劇)
「赤目四十八瀧心中未遂」 (監)荒戸源次郎(原)車谷長吉(脚)鈴木棟也(撮)笠松則通(音)千野秀一(出)大西滝次郎、寺島しのぶ、大楠道代、内田裕也、新井浩文、麿赤児、大森南朋、内田春菊、沖山秀子、赤井英和
日本を代表する女優となる寺島しのぶの初主演作品で日本アカデミー賞主演女優賞受賞作
滝の美しさ、音楽の怪しさ、寺島の美しさ、大西の力み過ぎの演技、大楠、内田、麿、沖山など脇役たちの不気味さ・・・とにかくインパクト大の寺山的世界観の作品
「阿修羅のごとく」(監)森田芳光(原)向田邦子(脚)筒井ともみ(撮)北信康(音)大島ミチル(出)大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子
「ヴァイブレータ」
(監)廣木隆一(原)赤坂真里(脚)荒井晴彦(撮)鈴木一博(出)寺島しのぶ、大森南朋、田口トモロヲ、戸田昌宏
主演二人による名演技が印象深いロード・ムービーの傑作!カメラも、風景も、会話も、無線通信も、どれもいい感じです。
寺島しのぶがかわいい!大森もかわいい!
<音楽>
Keito Blow,Ozymandias,Simon le Bon,Upper Nile Square,cafe,Kaho,Overall,はぴいえんど、浜田真理子・・・音楽もいい曲ばかりです!
「座頭市」
(監)(脚)北野武(原)子母沢寛(撮)柳島克己(音)鈴木慶一(出)ビートたけし、浅野忠信、大楠道代、夏川結衣
「ジョゼと虎と魚たち」
(監)犬童一心(原)田辺聖子(脚)渡辺あや(撮)蔦井孝洋(音)くるり(出)妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里
(池脇千鶴が最高の演技。悲しく美しい青春ラブ・ストーリーの傑作!大好きです)
「茶の味」
(監)(原)(脚)(脚)石井克人(製)飯泉宏之(撮)松島孝助(美)都築雄二(アニメD)小池健(音)リトルテンポ(ナレ)(出)和久井映見
(出)佐藤貴広、浅野忠信、坂野真弥、手塚理美、三浦友和、我衆院達也、土屋アンナ、中嶋朋子、驫木一騎、樹木希林、森山開次、加瀬亮、庵野秀明、寺島進、岡田義徳、武田真治、草g剛、相武紗季、尾野真千子、志賀廉太郎、高橋一生、松山ケンイチ、菊地凛子・・・
 今見ると物凄いオールスター作品です。若かりし高橋一生、菊地凛子などを探すだけでも楽しい!(DVDならではの楽しみ方)
 特殊効果はちゃっちいのですが、アニメの部分はよく出来てます。と思ったら、アニメーター家族の物語でもありました。
 ゆったりの楽しみたい作品です。いい味出してますよ。
「東京ゴッドファーザーズ」(監)(脚)(原)(キャラクター・デザイン)今敏(音)鈴木慶一(声)江守徹、梅垣義明、岡本綾
「ドッペルゲンガー」(監)(脚)黒川清(脚)古澤健(撮)水口智之(音)林祐介(出)役所広司、永作博美、ユースケ・サンタマリア、柄本明
「わらびのこう 蕨野行」(監)恩地日出男(原)村田喜代子(脚)渡辺寿(撮)上田正治(出)市原悦子、清水美那、石橋蓮司
「月の砂漠」(監)(脚)(編)青山真治(撮)田村正毅(美)清水剛(出)三上博史、とよた真帆、柏原収史、ピエール瀧、生瀬勝久
2004年
「犬猫」(監)(脚)井口奈己(出)榎本加奈子、藤田陽子、小池栄子
「隠し剣 鬼の爪」
(監)(脚)山田洋次(脚)朝間義隆(原)藤沢周平(撮)長沼六男(音)富田勲(美)西岡善信(出)永瀬正敏、松たか子、吉岡秀隆、小澤征悦、田畑智子
「この世の外へ クラブ進駐軍」
(監)(脚)阪本順治(製)椎井友紀子(撮)笠松則通(音)立川直樹(編)深野俊英
(出)萩原聖人、オダギリジョー、MITCH、松岡俊介、村上淳、真木蔵人、大杉連、根岸季衣、田中哲司、光石研、哀川翔、前田亜季
戦後の混乱の中、ジャズバンドとして進駐軍クラブなどで活動し始めた若者たちの青春ドラマ。
そこから後の日本の音楽界、芸能界の中心となる多くの人材が生まれることになります。
音楽も素晴らしく、日本では数少ない音楽歴史映画の名作です。 
「下妻物語」
(監)(脚)中島哲也(原)嶽本野ばら(撮)阿藤正一(音)菅野よう子(出)深田恭子、土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子、樹木希林
(ジャパ二メーション風ゴスロリ耽美主義コメディ映画?の傑作。中島ワールドはここですでに完成していた)
「スウィングガールズ」
(監)(脚)矢口史靖(撮)柴主高秀(音)ミッキー吉野(出)上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ、豊島由佳、平岡祐太
(我が家では飽きるほどサントラを聞きました。長男が音楽の道を目指すきっかけもこの映画だったかもしれません)
「世界の中心で、愛をさけぶ」(監)(脚)行定勲(原)片山恭一(脚)坂元裕二、伊藤ちひろ(撮)篠田昇(音)めいなCo(出)大沢たかお、柴崎コウ、長澤まさみ、森山未来
誰も知らない
(監)(プロ)(脚)(編)是枝裕和(撮)山崎裕(音)ゴンチチ(出)柳楽優弥、北浦愛、木村飛影、韓英恵、YOU
「父と暮らせば」
(監)(脚)黒木和雄(原)井上ひさし(撮)鈴木達夫(音)松村貞三(出)原田芳雄、宮沢りえ、浅野忠信
(黒木監督による「原爆映画」の傑作。原田芳雄と宮沢りえの魅力全開の作品。浅野忠信の静かな魅力も印象的)
「血と骨」
(監)(脚)崔洋一(原)梁石日(脚)鄭義信(撮)浜田毅(出)ビートたけし、新井浩文、田畑智子、オダギリ・ジョー、松重豊
(「これぞ韓国パワー」です。韓国に日本がいつも負けるのはこのパワーの差があるから・・・重くて力強い本格歴史映画の傑作)
「チルソクの夏」
(監)(脚)佐々部清(撮)坂江正明(編)青山昌文(音)加羽沢美濃
(出)水谷妃里、上野樹里、桂亜沙代、三村恭代、鈴木淳評、山本譲二、福士誠治、田山涼成、夏木マリ、イルカ、高樹澪、谷川真理、竹井みどり
チルソク(七夕)に開催された下関と釜山の親善高校陸上競技会で出会った男女の時と国境と人種を越えた恋物語。
ロミオとジュリエットの日韓版青春ラブストーリーの快作
「トニー滝谷」
(監)(脚)市川準(原)村上春樹(撮)広川泰士(音)坂本龍一(出)イッセー尾形、宮沢りえ(ナレーター)西島秀俊
(村上ワールドにはやはり市川監督でした。まさに「クール・ジャパン・ムービー」)
「ハウルの動く城」
(監)(脚)宮崎駿(原)ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法使いハウルと火の悪魔』(音)久石譲(声)倍賞千恵子、木村拓哉、美輪明宏
「花とアリス」
(監)(プ)(脚)(編)(音)岩井俊二(撮)角田真一(出)蒼井優、鈴木杏、郭智博、相田翔子、平泉成、木村多江、阿部寛、広末涼子、大沢たかお
(ラストの蒼井優のバレエの場面を観ていて、涙が出ました。奇跡のような瞬間をとらえた最高の映像に感動。映像と俳優と音楽と・・・すべての一体感は岩井作品ならではです)
「理由」(監)(脚)大林宣彦(原)宮部みゆき(脚)石森史郎(撮)加藤雄大(音)山下康介(出)村田雄宏、寺島咲、岸部一徳、大和田伸也
「恋の門」(監)(脚)松尾スズキ(アニメ演出・デザイン)庵野秀明(原)羽生生純(撮)福本淳(出)松田龍平、酒井若菜、松尾スズキ、忌野清志郎
2005年
岡本喜八(監督)2005年2月19日死去
「ALWAYS 3丁目の夕日」
監)(脚)山崎貴(脚)古沢良太(撮)柴崎幸三(原)西岸良平(音)佐藤直紀(出)吉岡秀隆、堤真一、小雪、掘北真希
(CGの新たな魅力を発掘した名作。僕はまだ生まれていない時代ですが・・・でも涙が出るほど懐かしい)
「いつか読書する日」
(監)(案)緒方明(原)(脚)青木研次(撮)笠松則通(音)池辺晋一郎(出)田中裕子、岸部一徳、仁科明子、上田耕一
(映画では貴重な大人のラブ・ストーリー作品。僕は昔からずっと田中裕子さんのファンでした・・・・)
「運命じゃない人」
(監)(脚)内田ケンジ(撮)井上恵一(音)石橋光晴(出)中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介
(内田ワールドが世に知られることになった傑作。やあ面白かった!)
「男たちの大和/YAMATO」(監)(脚)佐藤純彌(原)辺見じゅん(撮)阪本善尚(音)久石譲(出)反町隆史、中村獅童、仲代達矢、松山ケンイチ
「空中庭園」(監)(脚)豊田利晃(原)角田光代(撮)藤澤順一(音)ZAK(出)小泉今日子、板尾創路、鈴木杏、大楠道代、ソニン
 原作も良いのでしょうが、ぶっ飛んだホームドラマです。監督の覚せい剤所持での逮捕が、少々納得のような・・・でもいいですよ。
 小泉今日子もいいけど、大楠道代はやはり凄い!貫禄です。
「交渉人 真下正義」
(監)本広克行(案)君塚良一(脚)十川誠志(撮)佐光朗(音)松本晃彦(出)ユースケ・サンタマリア、寺島進、小泉孝太郎
「紀子の食卓」
(監)(原)(脚)園子音(EP)諸橋裕(P)鈴木剛(撮)谷川創平(編)伊藤潤一(美)藤田徹(音)長谷川智樹(主題歌)マイク真木
(出)吹石一恵、吉高由里子、光石研、つぐみ、並樹史郎、安藤玉枝、三津谷葉子、宮田早苗 
「自殺サークル」による新宿駅女子高生54人飛び込み同時自殺
「レンタル親子」を演じる謎のグループの中心の女性「上野54」とは?
吉高由里子のデビュー作で、すでに凄い演技力。「世にも奇妙な物語」の拡大版のようですが予想は不能なのでラストまで見入りました。
さすがは園子音。寺山修司的な詞的で不条理な世界がちょっとレトロで懐かしい気もします。
パッチギ!
(監)(脚)井筒和幸(脚)羽原大介(案)松山猛(撮)山本英夫(音)加藤和彦
(出)塩谷瞬、高岡蒼佑、沢尻エリカ、オダギリジョー
「メゾン・ド・ヒミコ」
(監)犬童一心(脚)渡辺あや(撮)蔦井孝洋(音)細野晴臣(出)オダギリ・ジョー、柴咲コウ、田中眠
(田中眠の迫力とオダギリの魅力だけでも最高の作品、もちろん柴崎コウちゃんの魅力も全開です!)
「リンダ・リンダ・リンダ」
(監)(脚)山下敦弘(脚)向井康介、宮下和雅子(撮)池内義浩(音)JamesIha(出)ペ・ドゥナ、前田亜希、香椎由宇
(青春音楽ムービーの名作。山下監督作品と多くの人の出会いがここから始まりました)
「レイクサイド・マーダーケース」(監)(脚)青山真治(原)東野圭吾(撮)たむらまさき、池内義弘(出)役所広司、薬師丸ひろ子、柄本明、鶴見辰吾
さすがは東野圭吾原作の映画化です。ひねりが効いていて、最後まで見逃せません。役者も豪華で芝居合戦としても楽しめます。
「真夜中の弥次さん喜多さん」(監)(脚)(出)宮藤官九郎(原)(出)しりあがり寿(撮)山中敏康(音)ZAZEN BOYS
(出)長瀬智也、中村七ノ助、小池栄子、阿部サダヲ、柄本佑、岩松了、荒川良々、研ナオコ、山口智充、中村勘九郎、ARATA、妻夫木聡、松尾スズキ、麻生久美子
超がつく駄作!凄い!前半の小ネタより、後半荒川が出てからの方が笑える!
自分探しのイージーライダーが賽の河原を越えてお伊勢様詣りに・・・
「17歳の風景」(監)若松孝二(脚)山田孝之、出口出、志摩敏樹(撮)辻智彦(出)柄本佑、針生一郎、関えつ子、不破万作
「ゲルマニウムの夜」(監)大森立嗣(脚)浦沢義雄(原)花村萬月(撮)大塚亮(出)新井浩文、広田レオナ、大森南朋、麿赤児
2006年
「明日の記憶」
(監)堤幸彦(原)萩原浩(脚)砂本量、三浦為子(撮)唐沢悟(音)大島ミチル(出)渡辺謙、樋口可南子、坂口憲二
(東京でこの映画を見たのですが、その後渋谷の駅前で道に迷いそうになり、渡辺謙さん気分を味わいました。堤監督異色の重い映画)
「紙屋悦子の青春」
(監)(脚)黒木和雄(脚)山田英樹(原)松田正隆(撮)川上皓市(音)松村禎三(出)原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ、小林薫
(黒木監督による戦争3部作はどれも素晴しい!原田知世がいよいよ大人の女性として名優の域に到達した作品)
「かもめ食堂」
(監)(脚)荻上直子(原)群ようこ(撮)トゥオモ・ヴィルタネン(音)テロ・マルムベリ(出)小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
(これぞ癒しの映画、旅行にゆきたいけど時間もお金もないという方にお奨めの心のリゾート映画)
「嫌われ松子の一生」
(監)(脚)中島哲也(原)山田宗樹(撮)阿藤正一(音)金橋豊彦(出)中谷美紀、瑛太、伊勢谷友介、香川照之
(毒満載のミュージカル、コメディ?ミュージカル?人生賛歌?犯罪映画?まあ見てからのお楽しみ・・・)
「THE 有頂天ホテル」
(監)(脚)三谷幸喜(撮)山本英夫(音)本間勇輔(出)役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、オダギリジョー
(本当にこういうタイプの映画はアメリカでも珍しくなっている気がします。懐かしのハリウッド映画がここ日本で作られているという不思議)
「博士の愛した数式」
(監)(脚)小泉尭史(原)小川洋子(撮)上田正治、北澤弘之(音)加古隆(出)寺尾聡、深津絵里、斉藤隆成、浅丘ルリ子
(小川洋子さんの原作がいい。あとはそれをきちんと映像化すればいいのですから・・・)
「武士の一分」
(監)(脚)山田洋次(原)藤沢周平(脚)平松恵美子、山本一郎(撮)長沼六男(音)富田勲(出)木村拓哉、檀れい、笹野高史
「フラガール」
(監)(脚)李相日(脚)羽原大介(撮)山本英夫(音)ジェイク・シマブクロ(出)松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代
(ちょっと暗いけど、町おこしと集団ドラマものの傑作、実録ものというのがミソでもあります)
「長い散歩」(監)奥田瑛二(出)緒方拳、高岡早紀、杉浦花菜
雪に願うこと
(監)根岸吉太郎(脚)加藤正人(原)鳴海章(撮)町田博(音)伊藤ゴロー(出)伊勢谷友介、佐藤浩市、小泉今日子、吹石一恵、山崎努
「ゆれる」
(監)(脚)西川美和(企)是枝裕和(撮)高瀬比呂志(音)カリフラワーズ(出)オダギリ・ジョー、香川照之、伊武雅刀、真木よう子
(才色兼備の西川監督による毒満載のサスペンス心理ファミリー映画の傑作。是枝監督にはできない世界はやはり女性ならではか?)
「ルート225」
(監)中村義洋(原)藤野千夜(脚)林民夫(撮)小松高志(音)江藤直子(出)多部未華子、岩田力、崔洋一、梅沢昌代、石田えり、嶋田久作、田中要次
パラレルワールドに迷い込んだ姉弟。微妙に違う世界からの脱出はできるのか?
是枝監督の「誰も知らない」(2004年)と同じネグレクトの悲劇を描いた作品のようにも思えてきました。
でも最後は不条理ドラマとして終わり、多部ちゃんは小樽に来てしまいます!ようこそ小樽へ!
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」(監)(脚)青山真治(撮)たむらまさき(出)浅野忠信、宮崎あおい、中原昌也、筒井康隆
「AA 音楽批評家:間章」(監)青山真治(出)大友良英、近藤等則、亀田幸典
2007年
「あしたの私のつくり方」
(監)市川準(原)真戸香(脚)細谷まどか(撮)鈴木一博(音)佐々木友理(出)成海璃子、前田敦子
(「市川ワールド」全開の少女映画の傑作。ここでも市川監督は二人の少女の魅力を見事に引き出しています)
「歩いても歩いても」
(監)(原)(脚)(編)是枝裕和(撮)山崎裕(音)ゴンチチ(衣)黒澤和子
(出)阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、樹木希林、原田芳雄、寺嶋進 
是枝監督が自分の家族との思い出を映画化した作品。ほのぼのとした心温まる作品。
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」
(監)(製)(企)(脚)若松孝二(プロ)尾崎宗子(原)(脚)掛川正幸(プロ)(脚)大友麻子(撮)辻智彦、戸田義久(美)伊藤ゲン(音)ジム・オルーク
(ナレーション)原田芳雄(出)坂井真紀、ARATA、並木愛枝、地曳豪、伴杏里、大西信満、渋川清彦、奥貫薫、佐野史郎
 若松孝二監督による3時間10分にに及ぶ実録歴史超大作。すべて学生たちの側から描きますが、けっして学生側に偏った内容ではありません。
 連合赤軍の誕生に至る1960年安保からの学生運動の歴史をオープニング映像で描き、その後、連合赤軍による恐るべき集団リンチ殺人「総括」からあさま山荘立てこもり事件までを描き、最後には21世紀まで続いた連合赤軍とその残党たちの記録までを記して終わります。まさに20世紀学生運動の「総括」的作品。あの時代を知り、関わった人すべでにとって、総括を迫る作品でもあります。ドラマの展開はほぼ実際に起こった通りで、記録的な価値も高い内容になっています。もちろん学生たちの行動を正当化するのではなく、彼らの愚かさをうんざりするほど見せつけます。
 特に中盤の「総括」は目をそむけたくなるシーンの連続。あさま山荘に立てこもり、勝利なき戦いに向かう時の方が、迷いなく生き生きとしています。
「エクステ」
(監)(脚)園子温(脚)安達正軌、真田真(撮)柳田裕男(音)長谷川智樹(出)栗山千明、大杉漣、佐藤めぐみ、つぐみ、山本未来
(なんで髪の毛ってこんなに不気味なんでしょう。大杉漣の演技も怖いけど、「伸びる髪の毛」ほど怖いキャラクターはないです。この手の作品は苦手だけどついつい見ちゃった・・・) 
「河童のクゥと夏休み」(監)(脚)原恵一(原)木暮正夫(作画)末吉雄一郎(声)田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ
「歌謡曲だよ、人生は」(監)矢口史靖、蛭子能収ほか(出)妻夫木聡、関根恵子、宮史郎、余貴美子、吉高由里子、武田真治ほか
「小指の思い出」「ラブユー東京」「逢いたくて逢いたくて」「女のみち」「僕は泣いちっち」「さんがの値打ちもない」ほか12曲から生まれたオムニバス作品集
矢口作品はさすがの出来映えです!蛭子作品は凄い!
「サイドカーに犬」
(監)根岸吉太郎(原)長嶋有(脚)田中晶子、真辺克彦(撮)猪本雅三(音)大熊ワタル(出)竹内結子、古田新太、鈴木砂羽、ミムラ、トミーズ雅
(竹内結子の魅力全開です!生意気な女子をやらせると本当に素敵です。主人公の女の子も上手かったし、かわいかった)
「サッド・ヴァケイション」(監)(原)(脚)青山真治(撮)たむらまさき(音)長蔦寛幸(出)浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、オダギリ・ジョー、光石研
「しゃべれども しゃべれども」
(監)平山秀幸(原)佐藤多佳子(脚)奥寺佐渡子(撮)藤澤順一(音)安川午朗(出)国分太一、香里奈、松重豊、八千草薫、伊藤四郎
「それでもボクはやってない」(監)(脚)周坊正行(撮)栢野直樹(音)周坊義和(出)加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、もたいまさこ、光石研、山本耕史
「大日本人」
(監)(脚)松本人志(脚)高須光聖(撮)山本英夫(出)松本人志、竹内力、UA、神木隆之介、板尾創路 
「魂萌え!」(監)(脚)阪本順治(原)桐野夏生(撮)大塚亮(音)coba(出)風吹ジュン、常盤貴子、田中哲司、藤田弓子、由紀さおり、今陽子、林隆三
「たみおのしあわせ」
(監)(脚)(出)岩松了(撮)山崎裕(音)勝手にしやがれ(出)オダギリ・ジョー、原田芳雄、麻生久美子、大竹しのぶ、小林薫、忌野清志郎、石田えり、富士真奈美)
(家族ドラマなのにスリリングで予想不能な展開が面白い作品、常連の「ふせえり」が出てこないと思ったらラストに石田えりが登場!おまけにラストはあの名作映画のパロディー!) 
「天然コケッコー」
(監)山下敦弘(原)くらもちふさこ(脚)渡辺あや(撮)近藤龍人(音)レイ・ハラカミ(出)夏帆、岡田将生、夏川結衣、佐藤浩市
(山下監督にしては珍しい爽やかでノスタルジックな青春映画、夏帆、岡田が魅力的です)
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
(監)(脚)吉田大八(原)本谷有希子(撮)阿藤正一、尾澤篤史(音)鈴木惣一郎(出)佐藤江梨子、永作博美、永瀬正敏
(毒の撒き散らし方が半端じゃないと思ったら原作は舞台劇とのことで納得。それも素敵な女性作家の作品。主演の女性二人が魅力全開!)
「松ヶ根乱射事件」
(監)(脚)山下敦弘(脚)向井康介、佐藤久美子(撮)蔦井孝洋(音)パスカルズ(出)新井浩文、山中崇、川越美和、木村祐一、三浦友和
(なんでしょう、この世界観。残念な人々の残念な物語がリアルに展開されます。実話が基になっていないと「アリエネー!」って感じかもしれません)
「夕凪の街 桜の国」
(監)(脚)佐々部清(製)松下順一(原)こうの史代(脚)国井桂(撮)坂江正明(音)松村崇継(出)麻生久美子、田中麗奈、堺正章、吉沢悠、藤村志保
こうの史代のマンガを実写映画化した感動作。広島の被爆者家族の歴史を時を越えて描いた作品。麻生久美子が可愛すぎる!
孫の代までも放射能の影響を受け続けなければならない宿命に涙です。
2008年
「アフタースクール」
(監)(脚)内田けんじ(撮)柴崎幸三(音)羽岡恵(出)大泉洋、佐々木蔵之助、堺雅人、常盤貴子、田畑智子
(「内田ムービー」全開で楽しめます!文句なしに楽しく、最低2回は見て細部まで楽しみたい作品です)
「歩いても 歩いても」
(監)(原)(脚)是枝裕和(撮)山崎裕(音)ゴンチチ(出)阿部寛、夏川結衣、YOU、高橋和也、原田芳雄、樹木季林、加藤治子
(力が抜けたさっぱり系の是枝映画もまた味わいがあっていいです。小津作品へのオマージュといった感じの作品)
おくりびと
(監)滝田洋二郎(脚)小山薫堂(撮)浜田毅(音)久石譲(出)本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、笹野高史、杉本哲太、峰岸徹
「母べえ」(監)(脚)山田洋次(原)野上照代(撮)長沼六男(音)富田勲(出)吉永小百合、浅野忠信、檀れい、志田未来、笹野高志、でんでん
崖の上のポニョ
(監)(原)(脚)宮崎駿(プロ)鈴木敏夫(音)久石譲(作監)近藤勝也(声)山口智子、長島一茂
「クライマーズ・ハイ」
(監)(脚)原田眞人(原)横山秀夫(脚)加藤正人、成島出(撮)小林元(音)松村崇雄(出)堤真一、堺雅人、尾野真千子、高島政宏、山崎努、田口トモロヲ
(気合の入った本格的な「映画」です。娯楽映画であり、社会派映画でもあるバランスがとれた名作です。やはり原作がいいのでしょうか)
ぐるりのこと。
(監)(原)(脚)(編)橋口亮輔(音)Akeboshi(出)木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、柄本明、安藤玉恵、加瀬亮、上田耕一・・・
「接吻」(監)(脚)万田邦敏(脚)万田珠美(撮)渡辺眞(音)長蔦寛幸(出)小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎
「つみきのいえ」(アニメ)
(監)(作画)(背景)加藤久二生(脚)平田研(音)近藤研二(作画)森川耕平他(P)日下部雅謹、秦裕子
海面上昇により家を高くすることで生き延びたおじいさんのお話。深く潜るたびに過去の記憶が蘇ります。ノスタルジックで悲しい文明崩壊SF。 
アカデミー短編アニメ賞など多くの賞を受賞した傑作。
トウキョウソナタ
(監)(脚)黒沢清(脚)マックス・マニックス、田中幸子(撮)芦沢明子(出)香川照之、小泉今日子、井之脇海、小柳友、井川遥、役所広司
「百万円と苦虫女」
(監)(脚)タナダユキ(製)前田浩子、木幡久美、田中正(撮)安田圭(編)宮島竜治、菊井貴繁(音)櫻井映子、平野航(出)蒼井優、森山未來、ピエール瀧、佐々木すみ江、齋藤隆成、笹野高史、モロ師岡、平岩紙、江口のりこ、斉藤歩、山中崇、中村靖日、安藤玉枝、キムラ緑子、矢島健一
主題歌「やわらかくて気持ちいい風」原田郁子(クラムボン)
<あらすじ>
 事件を起こし、前科者となった主人公が家を出て、百万円を貯めると引っ越すという旅を始めます。「海の家」、「桃農家」、「地方都市のホームセンター」で働きながらいろいろな人と出会い、別れます。
 女性監督らしい優しいけど強い映画です。地味ながら豪華な俳優が出ていてそこも楽しめます。
「闇の子供たち」(監)(脚)阪本順治(原)梁石日(撮)笠松則通(音)岩代太郎(出)江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、プラパドン・スウワンバーン、プライマー・ラッチャッタ
タイのおける児童買春、臓器売買の実態に迫った重い内容の作品。よくぞここまでリアリズムで撮った!それも救いのない終わり方で・・・
犯罪グループのタイ人青年の逮捕後の表情が素晴らしかった。実は彼ほど、逮捕を待ち望んでいた人物はいなかったのかもしれません。
それに対して主人公までもが闇の人間だったというラストが・・・悲しく衝撃です。
日本映画もここまで重い作品を作れるのか!感心しました。俳優さんたちもご苦労様でした。
出演しているタイの少年少女たちは撮影後、トラウマになったりしなかったのか少々心配になりました。
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
(監)(製)(企)(脚)若松孝二(脚)掛川正幸、大友麻子(撮)辻智彦、戸田義久(出)坂井真紀、ARATA、並木愛枝、地曵豪
「純喫茶磯辺」(監)(原)(脚)(編)吉田恵輔(撮)村上拓(出)宮迫康之、麻生久美子、濱田マリ、近藤春奈、ダンカン
「スカイ・クロラ」(アニメ)(監)押井守(脚)伊藤ちひろ(原)森博嗣(声)菊池凛子、加瀬亮
2009年
「愛のむきだし」
(監)(原)(脚)園子温(撮)谷川創平(音)(主題歌)ゆらゆら帝国(出)西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、渡辺篤郎、渡辺真起子
(4時間弱の超変態大作!世界中の変態たちに愛を込めて送る真実の愛の物語。エロこそが人類にとって最後のエネルギー源なのかもしれない
・・・パワーにやられました。ひかり&サクラが凄い!)
「ウルトラミラクルラブストーリー」(監)(脚)横浜聡子(撮)近藤龍人(音)大友良英(出)松山ケンイチ、麻生久美子、ノゾエ征爾、ARATA
「風が強く吹いている」(監)(脚)大森寿美男(原)三浦しをん(撮)佐光朗(製)(企)鈴木光(出)小出恵介、林遣都、中村優一、ダンテ・カーヴァー
「空気人形」(監)(プロ)(脚)(編)是枝裕和(撮)リー・ピンビン(原)業田良家(人形)寒河江弘(音)World's end Girlfriend(衣)伊藤佐智子
(出)ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、岩松了、オダギリ・ジョー、富司純子、寺嶋進、余貴美子、柄本佑、丸山智巳
セックスのためのゴム製の人形が心を持つ、ピノキオの現代&女性版
ペ・ドゥナのスタイルといい表情といい、まるでお人形さんのよう!しゃべりもちょっと可笑しいのが自然でした。彼女といいオダギリといい見事な配役です。
「サマーウォーズ」
(監)細田守(脚)奥寺佐渡子(CG)堀部亮(音)松本晃彦(主題歌)山下達郎「僕らの夏の夢」
我が家ではこの映画のおかげで花札がブームになりました。もちろんアニメの枠を超えた名作です。
ノーカット版を再見して再感動。座敷を横に移動しながら撮影した婆ちゃんの死の後のカットが素晴らしい!
3人の子供達がまた可愛い!細かな部分の動き、描写、書き込みが良くかけていることにも感動!
「沈まぬ太陽」(監)若松節朗(脚)西岡琢也(原)山崎豊子(撮)長沼六男(出)渡辺謙、三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、香川照之
「誰も守ってくれない」
(監)(脚)君塚良一(脚)鈴木智(撮)栢野直樹(音)村松崇継(出)佐藤浩市、志田未来、松田龍平、石田ゆり子
「剱岳 点の記」
(監)(撮)(脚)木村大作(脚)菊池淳夫、宮村敏正(原)新田次郎(出)浅野忠信、香川照之、松田龍平、モロ師岡、螢雪次朗、宮崎あおい
(いまどき珍しい本格的な歴史大作映画。スタッフの苦労が感じられる力のこもった作品です。これはやっぱり映画館で見るべき作品)
「ディア・ドクター」
(監)(脚)(原)西川美和(撮)柳島克己(音)モアリズム(出)笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、松重豊、岩松了
(毒が少ないのがちょっと不満かな?でも彼女独特の世界にいることが楽しめます)
「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」
(監)根岸吉太郎(脚)田中陽造(原)太宰治(撮)柴主高秀(出)松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、光石研
(「純文学」の世界そのものの不条理な世界。こんな馬鹿な男がモテル時代もまた良しかな・・・この映画は市川準監督が撮影する予定でした)
「SR サイタマノラッパー」(監)(脚)入江悠(撮)三村和弘(音)岩崎太整(出)駒木根隆介、みひろ、水澤紳吾
「こおろぎ」(監)青山真治(脚)岩松了(撮)たむらまさき(音)長嶌寛幸(出)山崎努、鈴木京香(製作は2006年)
「色即ぜねれいしょん」(監)田口トモロヲ(脚)向井康介(原)三浦じゅん(撮)柴主高秀(出)渡辺大知、峯田和伸、岸田繁、堀ちえみ、リリー・フランキー
三浦じゅんの青春時代を描いた自伝的小説を映画化した青春映画です。
田口トモロヲのロック魂が生んだ快作です。
「ハイキック・ガール!」 High Kick Girl!
(監)(P)(脚)(企)(原)(出)西冬彦
(P)水野政明、中西研二(EP)吉田鏡、木村元子、坂井洋一(脚)木村好克(撮)松井信行(音)見里朝生(主歌)「Future」ステファニー
(出)武田梨奈、高橋龍輝、中達也、神尾佑
女子空手ガール、武田梨奈の映画デビュー作。強くて可愛い女子高生!ファンになるやろ!
バトルシーンはすべて本物、ワイヤーもCGもなしのガチバトル!完全に当たってます。痛そうです。
ストーリーにリアリティーはまったくなしですが、リアリティーのあるバトルなので十分に見応えはあります。
師匠役の中達也は確かに強い!でも見た目は実に普通のオジサンです。もう少しカッコ良い見た目にしてほしかった。
「ハルフウェイ」
(監)(脚)北川悦吏子(製)岩井俊二、小林武史(音)小林武史(主題歌)Salyu「Halfway」
(出)北乃きい、岡田将生、溝端淳平、仲里依紗、成宮宏貴、大沢たかお、白石美帆
小樽を舞台にした青春ラブ・ストーリー
この映画のための事務所を商店街で用意したことから、岩井さんにサインをもらった思い出の作品です。
評判は良くなかったみたいですが、僕はけっこう好きです。アドリブの台詞も良いと思うのですが・・・。
大沢たかおはやっぱり上手。ちなみに撮影のための学校は小樽の学校が使えず、石狩の学校での撮影になりました。
「ライブテープ」(監)松江哲明(撮)近藤龍人(録)山本タカアキ(出)前野健太、長澤つぐみ
「女の子ものがたり」(監)(脚)森岡利行(原)西原理恵子(撮)清久素延(出)深津絵里、大後寿々花、福士誠治、風吹じゅん、波瑠
2010年
「悪人」
(監)(脚)李相日(原)(脚)吉田修一(撮)笠松則通(音)久石譲(出)妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、塩見三省、樹木希林、柄本明、・・・名演技ばかりでした!
 暗く悲しい映画、でもそこには生きる力が詰め込まれている、そんな映画です。久々に「映画」を見たという気がしました。
 主役二人に樹木希林、満島ひかりなど俳優陣が名演技を披露。
「海炭市叙景」(監)熊切和嘉(原)佐藤泰志(脚)宇治田隆史(撮)近藤龍人(音)ジム・オルーク(出)谷村美月、竹原ピストル、加瀬亮、南果歩、小林薫
 函館を舞台に様々な人生模様が描かれた悲劇の作家、佐藤泰史原作のしみじみとした傑作です!
 「まだ若い廃墟」、「ネコを抱いた婆さん」、「黒い森」、、「裂けた爪」、「裸足」の短編小説から生み出された物語集。
 「猫婆さん」の存在感、谷村美月の健気さ、竹原ピストルの純粋さ、加瀬亮の怖さ、小林薫の優しさ、ジム・オルークの音楽の美しさ・・・・
 見どころいろいろで、悲しいのに暗いのに・・・しみじみとします。
「川の底からこんにちは」(監)(脚)石井裕也(撮)沖村志宏(出)満島ひかり、遠藤雅、相原綺羅、岩松了
「キャタピラー」(監)若松孝二(脚)黒沢久子、出口出(撮)辻智彦、戸田義久(出)寺島しのぶ、大西信満、吉澤健、河原さぶ、ARATA
「告白」(監)(脚)中島哲也(原)湊かなえ(撮)阿藤正一、尾澤篤史(出)松たか子、木村佳乃、岡田将生、西井幸人、橋本愛
実によく出来た映画です。でも、湊かなえ原作のお話は生理的にあまり好きになれないのです。
「十三人の刺客」
(監)三池崇史(原)池宮彰一郎(脚)天願大介(撮)北信康(出)役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、吹石一恵、谷村美月
どぎついまでの残虐描写から痛快?娯楽時代劇へ。三池監督ならではの作品です。
巨匠工藤監督によるオリジナル版もお薦めです。
「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」(監)(脚)(製)石井隆(撮)柳田裕男、寺田緑郎(出)竹中直人、佐藤寛子、大竹しのぶ、井上晴美、宍戸錠
「必死剣鳥刺し」(監)平山秀幸(脚)伊藤秀裕、江良至(原)藤沢周平(撮)石井浩一(出)豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、戸田菜穂、村上淳
「ヒーローショー」(監)(脚)井筒和幸(脚)羽原大介、吉田康弘(撮)木村信也(出)後藤淳平、福徳秀介、ちすん、米原幸佑、桜木涼介
BECK
(監)堤幸彦(原)ハロルド作石(脚)大石哲也(撮)唐沢悟(音)GRAND FUNK ink.(音プロ)茂木英興(出)水嶋ヒロ、佐藤健、桐谷健太、向井理、中村蒼、忽那汐里
「ヘブンズ・ストーリー」(監)瀬々敬久(脚)佐藤有記(撮)斎藤幸一、鍋島淳裕(出)寉岡萌希、長谷川朝晴、忍成修吾、村上淳、山崎ハコ
「BOX 袴田事件 命とは」(監)(脚)高橋伴明(脚)夏井辰徳(撮)林淳一郎(出)萩原聖人、新井浩文、葉月里緒奈、村野武範
「パーマネント野ばら」(監)吉田大八(原)西原理恵子(脚)奥寺佐渡子(出)菅野美穂、小池栄子
2011年
一枚のハガキ
(監)(原)(脚)新藤兼人(撮)林雅彦(音)林光(出)大竹しのぶ、豊川悦司、大杉連、六平直政、柄本明、倍賞美津子、川上麻衣子
「エンディング・ノート」
(監)(撮)砂田麻美(製)(P)是枝裕和(音)ハナレグミ(主題歌)ハナレグミ「天国さん」
ガンによる余命宣告を受けた父親の最期の日々を記録したドキュメンタリー映画。
「幸福な死」を描いた貴重な作品。
死を迎えるにあたり、その準備のマニュアルとしても役立ちそうですが、実際は思い通りにはならないはず。 
それにしても今なら病院のベッドで死の瞬間までスマホで遺言や挨拶を残すことが可能な時代なんですね。
「大鹿村騒動記」
(監)阪本順治(原田芳雄の遺作となった名作。歌舞伎と現代劇のコラボであり、名優たちの演技合戦が楽しい集団人間ドラマ)
「かぞくのくに」
(監)(脚)ヤン・ヨンヒ(企)(EP)河村洋庸(P)佐藤順子、越川道夫(撮)戸田義久(編)菊井貴繁(美)丸尾知行(衣)宮本まさ江(音)岩代太郎
(出)井浦新、安藤サクラ、ヤン・イクチュン、津嘉山正種、宮崎良子、京野ことみ、村上淳、大森立嗣、諏訪太郎
脳腫瘍のため北朝鮮から25年ぶりに一時帰国したソンホとその家族の物語。1970年代に帰国事業によって日本から移民した在日朝鮮の人々の悲劇。
家族を残し北に渡った青年の悲劇は、救いようもなく、帰国の時間が迫ってきます。 
「奇跡」
(監)(脚)(編)是枝裕和(撮)山崎裕(美)三ツ松けいこ(音)くるり
(出)前田航基、前田旺志郎、林凌雅、永吉星之介、橋本環奈、オダギリ・ジョー、大塚寧々、長澤まさみ、りりい、原田芳雄、樹木希林、夏川結衣、阿部寛、橋爪功
監督自身も鉄オタのようでその趣味を存分に生かした作品であり、この年の九州新幹線開業に合わせて作られた作品。
前田兄弟が大活躍。
「キツツキと雨」
(監)(脚)沖田修一(企)佐々木史郎他(脚)守屋文雄(撮)月永雄太(編)佐藤崇(音)OME-TONE(主題歌)星野源「フィルム」
(出)役所広司、小栗旬、古館寛治、高良健吾、臼田あさ美、山崎努、平田満、嶋田久作、伊武雅刀、りりィ、神戸浩、黒田大輔、宇野祥平、森下能幸
ゾンビ映画の撮影で岐阜の山間の村に来た撮影隊。監督は自信が持てずに不安に負けて逃げ出してしまいます。
そんな監督を助けることになった樵の男性は、妻の3回忌を迎え、息子とは喧嘩の毎日でした。
そんな二人が映画の撮影で助け合い、しだいに本気になってゆきます。
映画愛、家族愛に満ちた「沖田ワールド」全開の素敵な映画です!
「恋の罪」
(監)(脚)園子温(製)鳥羽乾二郎、大月俊倫(撮)谷川創平(編)伊藤潤一(音)森永泰弘(出)水野美紀、富樫真、神楽坂恵、児島一哉、津田寛治
「東電OL殺人事件」をモチーフにした強烈なラブ・サスペンス。「愛のむきだし」の主婦版と言える気もします。
暑苦しい舞台劇を見るような迫力の演技が連続し圧倒されます。嫌な人は嫌なんでしょう。
このパワーは普通の人には絶対に無理!だって、この年、他にも同じようにパワー全開の作品が二本。病気か?この人。
この年、園子温監督は気力、体力、才能のピークだったのかもしれません。(もちろんまだ終わったわけではないと思います)
「KOTOKO」
(監)(製)(企)(脚)(撮)(編)塚本晋也(企)(原案)(美)(音)COCCO(撮)林啓史(出)COCCO、塚本晋也、加藤遥音、嘉数心大
ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ受賞
一人息子を育てるシングルマザーが、子育ての不安から精神を病んで行き、ついに子供を姉に預けることになります。
一人都会で暮らす彼女の前に小説家が現れ、彼女と暮らし始めます。彼女の暴力をも受け入れる小説家のおかげで落ち着いた母。
しかし、子供が戻るとき、小説家が消え、再び彼女の心は・・・
カメラの動き、編集、COCCOの演技、音楽と背景音・・・どれも怖い!なぜ沖縄に戻らない?と少々イラつくも、やはり怖く引き付けられます。
それにしても、2011年の映画は怖い作品が多すぎます。やはり東日本大震災の影響なのか?
オカルト映画より、スプラッタ映画よりも怖い、サイコホラー・リアリズム映画の傑作
「サウダーヂ」(監)(脚)(編)富田克也(脚)相澤虎之助(撮)高野貴子(出)鷹野毅、伊藤仁、田我流、ディーチャイ・パウイーナ
「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」
(監)(製)(脚)若松孝二(脚)掛川正幸(企協)鈴木邦夫(撮)辻智彦、満若勇咲(音)板坂文夫(衣)宮本まさ江
(出)井浦新、満島真之介、タモト清嵐、寺島しのぶ、小倉一郎、篠原勝之、永岡佑
 1970年11月25日市谷の防衛庁に立てこもり、自衛隊員に決起を呼びかける演説をした後、割腹自殺を遂げた三島由紀夫とその弟子たち。
 その日までの日本の歴史を描きつつ、三島と彼が設立した楯の会の訓練と準備といら立ちの日々を描いています。
 いかに彼らが左派の過激派とライバル関係にあり、似ていたのかがよくわかりました。
 満島の熱演は光ります。ただし、三島由紀夫に興味がないと面白くないし、説得力も今一つかもしれません。
「スケッチ・オブ・ミャーク」
(監)(製)(撮)(録)(編)大西功一(原案)(監修)久保田真琴(企)(製)大西功一映像事務所(美)有山達也
(出)長崎トヨ、高良マツ、村山キヨ、成島宏、友利サダ、本村キミ、久保田真琴
琉球の中でも宮古島にだけ残る古い民謡を残すため、久保田真琴が島でインタビューや録音を実施。
その集大成として東京・草月ホールでのライブ・イベントを開催した記録。
第25回音楽祭2009「宮古島の神歌と古謡」がそのメイン・ベント。
観客たちも一緒に歌い踊るエンディングは感動的で涙が出ちゃいました。素晴らしいライブです。
唄を歌う場面以外にも、人がいない海や砂浜やサトウキビ畑だけを撮ったカットにも懐かしく泣けてきました。
昔は沖縄が好きで何度もダイビングに行き、その帰りに那覇で琉球民謡などのCDを買って帰ってきました。
<挿入曲>
「池間口説イケマウドゥチ」(唄)嵩原清(演)BLUE ASIA
「旅栄えの綾語タビハイヌアーグ」(唄)長田ヒロ(お囃子)池間ヨシ
「マイグムイマウヤ」(唄・三線)成島宏(お囃子)本村キミ(太鼓)友利サダ
「西が沖ニスガトゥ」(唄)前泊美歌子(演)BLUE ASIA
「探偵はBARにいる」
(監)橋本一(ありそうでなかった和製ハードボイルド作品。舞台が地方都市、札幌というところがミソです)
「冷たい熱帯魚」
(監)(脚)園子温(脚)高橋ヨシキ(撮)木村信也(音)原田智英(出)吹越満、でんでん、神楽坂恵、黒沢あすか、渡辺哲、梶原ひかり
 でんでん怖すぎ!神楽坂恵色っぽ過ぎ!園監督やりすぎ!終いには死体に慣れてしまうのがまた怖い。
 不穏だったり美しかったり笑えたりと、音楽が実に素晴らしい!ヤクザ映画、ポルノ映画、ホラー映画、スプラッタ映画、社会派映画、家族映画・・・臨界点映画
 この映画を笑って観られる人に僕はなりたいのですが、精神的に健康な時に見ないとダメかも・・・どこにも救いが見えないし・・・
 リアリズムに徹したスプラッタもしくは社会派ホラーと思えばいいか。
 いやいや、「埼玉愛犬家連続殺人事件」という有名な事件がもとになっているので、単にホラーではすまされないのもまた事実。・・・やっぱり恐いわ。
「東京公園」
(監)青山真治(「ユリイカ」とは異なり、爽やかな癒しの映画。これもまた確かに「青山ワールド」です)
「ヒミズ」
(監)(脚)園子温(原)古谷実(製)梅川治男、山崎雅史(撮)谷川創平(編)伊藤潤一(音)原田智英(出)染谷将太、二階堂ふみ、渡辺哲、光石研、吹越満、でんでん、神楽坂恵、渡辺真紀子、モト冬樹、村上淳、黒沢あすか、窪塚洋介、吉高由里子、西島隆弘、鈴木杏、、木野花、堀部圭亮、新井浩文
ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)(染谷将太、二階堂ふみ)
 原作漫画の背景を震災後の日本に移し変えたことで物語の意味は大きく変化。ラストの「住田がんばれ!」の連呼は、不条理な悲劇に見舞われた人々へのエールとなり、その象徴として被災地の風景が選ばれたと考えられます。
 園監督作品の演劇性が生かされた作品で、主役二人の演技力に大きく支えられています。だからこそ二人はヴェネチア国際映画祭で新人俳優賞を獲得できたのでしょう。渡辺哲の演技も熱いし、ゲスト俳優の豪華さも驚きです!
「friends after 3・11(劇場版)」
(監)(製)(編)(出)岩井俊二(撮)角田真一、神戸千木(音)ラッドウィンプス(出)松田美由紀、山本太郎、小出裕章、小林武史、北川悦吏子ほか
 実にわかりやすく、さまざまなジャンルのスペシャリストたちが東日本大震災で明らかになった原子力発電の問題点を明らかにしてくれます。日本はこれからどっちに向かって歩み出そうとしているのか?
原子力発電の問題だけでなく、社会、教育、マスコミなどの問題点を鋭く指摘。でも、これらの指摘は今のテレビや新聞など大手企業によるマスコミにはできないこと・・・
なぜなら原子力行政は、巨費を投じている企業の方針に逆らえず、彼らを中心とした巨大な利益供与システムによって動かされているのですから。
システム全体を変えるのではなく、一部だけ変更しようとしてもそれは無理なこと。でも時間はかかるけれど、ゆっくりと世代が変化する中で少しづつでも変わって行けばいいのかもしれません。
「マイ・バック・ページ」
(監)山下敦弘原)川本三郎(脚)向井康介(撮)近藤龍人(美)安宅紀史(音)ミト(出)妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈、中村蒼
「まほろ駅前多田便利軒」
(監)(脚)大森立嗣(原)三浦しをん(撮)大塚亮(出)瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑
(映画もいいけど、テレビ版も楽しいです!)
「モテキ」
(監)(脚)大根仁(原)久保ミチロウ(撮)宮本亘(出)森山未來、長澤まさみ、麻生久美子、真木よう子、仲里依紗、山田真歩、リリィ、満島ひかり、リリー・フランキー
(文句なしに面白い!森山未来はいいなあ。それと四人の魅力も全開!長澤まさみ、真木よう子、仲里依紗、麻生久美子)
「八日目の蝉」
(監)成島出(原)角田光代(脚)奥寺佐渡子(撮)藤澤順一(音)安川午朗(出)井上真央、永作博美、小池栄子、田中哲司、平田満、風吹ジョン
(井上真央と永作博美が女優賞を総なめにしたのも当然。重いテーマを見事に映像化。見ごたえのある映画です)
「わが母の記」
(監)(脚)原田眞人(P)石塚慶生(原)井上靖(撮)芦澤明子(美)山崎秀満(編)原田遊人(音)富貴晴美
(出)役所広司、樹木希林、宮崎あおい、ミムラ、南果歩、キムラ緑子、三浦貴大、赤間麻里子、菊池亜希子、真野恵里菜、三國連太郎
作家、井上靖と母親の年代記を昭和の美しい風景と共に映像化した傑作。
樹木希林が日本アカデミー主演女優賞を受賞。
「軽蔑」(監)廣木隆一(原)中上健次(脚)奥寺佐渡子(撮)鍋島淳裕(出)高良健吾、鈴木杏、大森南朋、村上淳、田口トモロヲ
「朱花(はねづ)の月」(監)(脚)(撮)(編)河瀬直美(原案)坂東眞砂子(音)ハシケン(出)こみずとうた、大島葉子、明川哲也、麿赤児、樹木希林
「トーキョードリフター」(監)松江哲明(制)岩淵弘樹(撮)近藤龍人(録)山本タカアキ(出)前野健太
「極道めし」(監)(脚)前田哲(原)土山しげる(脚)羽原大介(撮)谷川創平(出)麿赤児、勝村正信
2012年
「アウトレイジ・ビヨンド」
(監)(脚)北野武(撮)柳島克己(音)鈴木慶一(出)ビートたけし、西田敏行、三浦友和、加瀬亮、小日向文世、桐谷健太、新井浩文
(「仁義なき戦い」がホットなやくざ映画の最高峰なら、この映画はクールなやくざ映画の最高峰です)
「悪の教典」(監)(脚)三池崇史(原)貴志祐介(撮)北信康(出)伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都
「歌旅 中島みゆきLIVE劇場版
(出)中島みゆき
「おおかみこどもの雨と雪」((監)細田守(声)宮崎あおい、大沢たかお、谷村美月、菅原文太、麻生久美子、黒木華(やっぱり細田作品は魅力的です。ジブリをも上回る存在)
「かぞくのくに」(監)(脚)ヤン・ヨンヒ(撮)戸田義久(出)安藤サクラ、井浦新、ヤン・イクチュン、京野ことみ、大森立嗣、村上淳
「カミハテ商店」(監)(脚)山本起也(脚)水上竜士(撮)小川真司(出)高橋恵子、寺島進、あがた森魚
「希望の国」
(監)(脚)園子音(撮)御木茂則(出)夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵、山中崇、でんでん
 大谷直子がお婆ちゃんなのに可愛すぎる!
 東日本大震災での原発被害を現地ロケという最高の背景を得て撮っただけでも凄い作品。これは映画人にとっては、最高の素材・背景ですが、それを商業映画に仕上げて、公開させた園子温監督のパワーが凄い!(震災の翌年公開)
桐島、部活やめるってよ
(監)(脚)吉田大八(原)朝井リョウ(脚)喜安浩平(撮)近藤龍人(出)神木隆之介、橋本愛、東出昌大、大後寿々花
「KOTOKO」(監)(製)(企)(脚)(編)(撮)塚本信也(撮)林啓史(製)(企)(音)Cocco(出)Cocco、塚本信也、加藤遙音
「311」(監)森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治(4人の監督による東日本大震災のドキュメンタリー映画)
「駄作の中にだけ俺はいる」(監)渡辺正悟(プロ)キム・ヒージュン(撮)大石英男(ナレーション)岡田裕子(出)会田誠、岡田裕子
(現代美術作家、会田誠の制作と生活に迫ったドキュメンタリー映画)
「チチを撮りに」
(監)(脚)(編)中野量太(P)平形則安(撮)平野晋吾(音)渡邉崇(出)柳英里沙、松原菜野花、渡辺真起子、滝藤賢一、二階堂智、宇野祥平
14年前に女をつくって家を出た夫の死が近いことを知った母に病院へ行き、写真を撮ってくるよう頼まれた姉妹。
二人が着いてみると父親はこの世を去っていました。仕方なく葬儀に参加する二人の前に、存在を知らなかった小さな弟が現れます。
中野量太監督のメジャーデビュー作で、この作品で一躍彼は注目の存在になります。
確かにユーモアと愛情と泣かせの上手さはベテランの技を思わせます!見事です。
「ヒミズ」(監)(脚)園子音(原)古谷実(撮)谷川創平(アクション監)坂口拓
(出)染谷翔太、二階堂ふみ、渡辺哲、吹越満、渡辺真紀子、光石研、でんでん
「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」(監)(脚)(編)入江悠(撮)三村和弘(出)奥野瑛太、駒木根隆介、水澤紳吾
「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち(監)(製)(企)(脚)若松孝二(脚)掛川正幸(撮)辻智彦、満若勇咲
(出)井浦新、満島真之介、タモト清嵐
「名探偵コナン 群青の拳」(アニメ)
(監)永岡智佳(原)青山剛昌(脚)大倉崇裕(音)大野克夫(声)高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、山口勝平
シンガポールを舞台にコナンと怪盗キッドが活躍。恋のライバルが共通の敵に挑みます。
「横道世之介」
(監)(脚)沖田修一(原)吉田修一(脚)前田司郎(撮)近藤龍人(音)高田漣(主題歌)Asian Kung-Fu Genaration「今を生きて」
(出)高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、朝倉あき、黒川芽衣、柄本佑、井浦新、きたろう、余貴美子、江口のり子、國村隼人、佐津川愛美、眞島秀和、大水洋介、堀内敬子、ムロツヨシ
 1980年代の東京を舞台にした青春ドラマ。様々な人物が未来から振り返るかたちで「横道世之介」の人物像を浮かび上がらせます。その後、活躍することになる若手役者の顔ぶれだけでも楽しい作品。主役の二人、高良健吾、吉高由里子はまさにはまり役です!
 様々な仕掛けがあって、それらがラストに向けて、見事に回収されて行きます。地味なお話ですが、しみじみとした素晴らしい作品です。僕と同世代で感情移入しやすいせいもありますが、なんだか妙に好きな作品です。
2013年
「太秦ライムライト」(監)落合賢(脚)大野裕之(撮)クリス・フライリク(出)福本清三、山本千尋
 引退近い「チャンバラ役者」を主役とした時代劇ファンには答えられない作品です。
「凶悪」
(監)(脚)白石和彌(脚)高橋泉(撮)今井孝博(原)新潮45編集部(出)山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴、白石和子
「くちづけ」
(監)堤幸彦(原)(脚)宅間孝行(撮)斑目重友(出)貫地谷しほり(ブルーリボン主演女優賞)、竹中直人、宅間孝行、田畑智子、橋本愛、平田満、麻生祐未、岡本麗、嶋田久作   知的障害者の問題を扱った重いストーリーをもつ舞台劇の映画化。堤監督のシリアスなもうひとつの顔。嶋田久作の演技は実に自然。それに比べて、ウーやん役の宅間孝行は、やりすぎかなあ。
もちろん、貫地谷しほりの演技は素晴らしいし、竹中直人も珍しくカッコよかった。死を選ぶ結末に納得してしまうのは、現実が間違っているから・・・。
「さよなら渓谷」(監)(脚)大森立嗣(脚)高田亮(原)吉田修一(撮)大塚亮(出)真木よう子、大西信満、鈴木杏、井浦新、大森南朋
(Eテーマ)「幸先坂」(歌)真木よう子(作詞)(作曲)椎名林檎
 「悪人」に次ぐ吉田修一作品の映画化作品。重いテーマですが、これまた見入ってしまいました。真木よう子も作品さえ間違えなければ、良い女優さんです。
「謝罪の王様」
(監)水田伸生(脚)宮藤官九郎(撮)(音)(出)阿部サダヲ、井上真央、竹野内豊、尾野真千子、岡田将生、濱田岳、荒川良々、高橋克己、松雪泰子
さすがは宮藤官九郎脚本作品、よくできた脚本です。でも前半の方が良かったかな、謎の国のお話は今一つ乗り切れなかった・・・
「地獄でなぜ悪い」(監)(脚)(音)園子音(撮)山本英夫(出)國村隼、堤真一、長谷川和己、星野源、二階堂ふみ、友近、板尾創二
「 SPEC〜結(クローズ)〜 爻(コウ)ノ篇&漸(ゼン)ノ篇」
(監)堤幸彦(脚)西荻弓絵(撮)斑目重友(編)伊藤伸行(音)渋谷慶一郎、ガブリエル・ロベルト
(出)戸田恵梨香、加瀬亮、竜雷太、向井理、大島優子、北村一輝、香椎由宇、栗山千明、有村架純、城田優、遠藤憲一、浅野ゆう子、神木隆之介、田中哲司、福田沙紀、安田顕、真野恵里菜、イ・ナヨン、三浦貴大、佐野元春、渡辺いっけい、石田えり、堀北真希、宅間孝行、北大路欣也、松澤一之、ダンディ坂野
 内容的には2本にするほどではなかった。話がでかくなりすぎてしまった気もします。SPECたちをもっと活躍させてほしかった。テレビ・シリーズの方が楽しかった。・・・不満はいっぱいあります。
でも、僕はこの作品の戸田恵梨香が一番好きです!加瀬亮がかっこよかった!竜雷太の刑事魂にも感動した!
そして、エンディングの「彼女」(佐野元春の名曲)にしびれました。この映画は、この曲のこのシーンのために作られたのかもしれない。そんな気がしました。曲に救われたといえばそれまでですが・・・
 脚本の西荻さんは僕と同じ年。佐野元春のセカンド・アルバム「Heart Beat」をリアルタイムで聞いた世代のはず。「彼女」はその中の幻の名曲ですから、それをとにかく使いたかったのではないかと。
<追記>
 西荻さんは僕の弟の慶応時代の演劇部の先輩。僕が結婚するときに「兄貴がダイビングで出会って結婚する」というのを弟が彼女に話したことから、あの大ヒットドラマ「ダブル・キッチン」が誕生したといいます。
 そんなわけで、西荻さんは他人とは思えないのです。思えば、僕もかつては思いっきりバブリーでトレンディーだったのかも・・・。西荻さん、応援してますよ!
「千年の愉楽」
(監)(企)若松孝二(原)中上健次(脚)井出真理(撮)辻智彦、満若勇咲(出)寺島しのぶ、高良健吾、染谷将太、山本太郎(若松監督の遺作)
「そこのみにて光輝く」
(監)呉美保(脚)高田亮(原)佐藤泰志(撮)近藤龍人(音)田中拓人(出)綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、火野正平、伊佐山ひろ子、高橋和也 観ていられないほどドロドロした世界を美しい 映像によってファンタジーのように写し出したラブ・ストーリー。これぞ映画によるマジック。マジックアワーの美しい映像による函館の街と海がそれを可能にしました。
ドロドロの世界をリアルに見せた俳優たちの演技力に脱帽。池脇千鶴は本当に上手い、そして愛おしい。女性監督ならではの美しいセックスシーンも見どころです。
とはいえ、この映画最大の見どころは、菅田将暉のおちゃらけから「鬼ちゃん」への変身ぶりの演技でしょう。(仮面ライダーのフィリップ役から観てますが、オダギリ以来の逸材かも?)
「そして父になる」
(監)(脚)(編)是枝裕和(製)亀田千広、畠中達郎他(撮)瀧本幹也(美)三ッ松けいこ(衣)黒澤和子
(出)福山雅治、真木よう子、リリー・フランキー、尾野真千子、二宮慶多、黄升げん、中村ゆり、高橋和也、田中哲司、ピエール瀧、井浦新、風吹ジュン、國村隼、樹木希林
カンヌ国際映画祭審査員賞 
6年間育てた子供が違う親の子供だった!子供を取り違えてしまった実話をもとにした家族の物語。
誰も悪くないし、基本的に良い人ばかりなので、気持ちよく泣けます。親になれば本当にわかる気がします。リリー・フランキーがいい味。
「ただいま、ジャクリーン」
(監)大九明子(脚)村越繁(脚監修)高橋洋(撮)大沢佳子(出)染谷将太、趣里、いっこく堂、中原三千代、江原由夏
大九監督の短編作品。
バスの転落事故で生き残った二人の子は事故現場で腹話術人形をひろいます。それをもらった少年は腹話術に挑みます。
大人になった少年は腹話術をお世話になった養護施設で披露することになりますが・・・ 
「天地明察」
(監)(脚)滝田洋二郎(製)椎名保他(原)冲方丁(脚)加藤正人(撮)浜田毅(編)上野聡一(音)久石譲(ナレ)真田広之
(出)岡田准一、宮崎あおい、佐藤隆太、市川猿之助、横山裕、笹野高史、岸部一徳、市川染五郎、松本幸四郎、中井貴一、染谷将太
 実在の数学者・天文学者、安井算哲が自らがつくり上げた暦、大和暦の正しさを証明し、採用されるまでの苦難を描いた歴史大作。
 前半はそれまでの数学、天文学、地理学など江戸の科学を描いた歴史ドラマとして十分に楽しめます。
 物語としては実に面白いけど、映画としては物足りない作品。
 ただし、後半は出来過ぎのドラマになってしまい少々残念です。もっとリアリズムに徹してほしかった!残念です。
「舟を編む」
(監)石井裕也(脚)渡辺健作(原)三浦しおん(撮)藤澤順一(編)普嶋信一(美)原田生満(音)渡邊崇
(出)松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見慎吾、八千草薫、小林薫、加藤剛、宇野祥平、麻生久美子
出版社、玄武書房で13年以上かけて編纂された中型百科事典「大渡海」。その完成までの日々を描いた大河ドラマ映画。
本が好きな人にはたまらない作品です。
「ペコロスの母に会いに行く」
(監)森崎東(原)岡野雄一(脚)阿久根知昭(撮)浜田毅(音)星勝、林有三(主題歌)一青窈(出)岩松了、赤木春恵、原田貴和子、加瀬亮、竹中直人、大和田健介、原田知世、温水洋一  認知症の母親の介護をする漫画家・ミュージシャンの日々を追った実録映画。重いテーマでありながら、けっして暗くならず、前向きにとらえているところが素敵です。原作者の生き方がそのまま作品に現れているのでしょう。
 森崎監督の人間への信頼と愛が感じられる名作です。禿をかつらで隠す竹中と禿を示して母を納得させる岩松、そこに温水洋一が加わる場面は、素晴らしい3ショットです!
「めめめのくらげ」
(監)(原)(キャラ・デザイン)村上隆(脚)西村喜廣、継田淳(撮)長野泰隆(出)末岡拓人、浅見姫香、窪田正孝、染谷将太、
「0.5ミリ」
(監)(原)(脚)安藤桃子(エグP)奥田暎二(P)長澤佳也(撮)灰原隆裕(美)竹内公一(編)増永純一(音)TaQ(フードS)安藤和津(主題歌)「残照」(歌・曲・詞)寺尾紗穂
(出)安藤サクラ、織本順吉、木内みどり、土屋希望、柄本明、津川雅彦、草笛光子、浅田美代子、角替和枝、坂田利夫、東出昌大、ベンガル、井上竜夫
 介護の仕事中に火事で老人を死なせてしまった山岸サワは、職も住む家もなく、老人の家に押しかけて介護をしながらの生活を始めます。それぞれの思いを抱えながら老後を過ごす様々な高齢者との暮らしから、彼女が見つけたものは?
 南国高知を舞台に3時間を超えるゆったりとした作品なのは、描いている題材から当然とも言えます。でもけっして長くは感じないはず。
 安藤サクラには適役。
 織本順吉も凄かったけど、津川雅彦の演技はまさに鬼気迫るものでした!それぞれの俳優がいい味を出しています。
 女性監督ならではの作品と言えそう!続編だったてできるかも?東京編とか?大阪編とか?
2014年
「思い出のマーニー」(アニメ)
(監)米林宏昌(声)高月彩良、有村架純
「映画 深夜食堂」
(監)(脚)松岡錠司(原)安倍夜郎(脚)真辺克彦、小嶋健作(撮)大塚亮
(出)小林薫、高岡早紀、榎本時生、多部未華子、谷村美月、余貴美子、筒井道隆、松重豊、光石研、オダギリジョー、向井理
「まほろ」シリーズ同様テレビ・シリーズの映画化だが、こちらはスケールアップせず、八百屋とマスターの自宅アパートのロケぐらいに収めているところがいいです。
それぞれのキャラクターがみんな生き生きしていて役者もみなさんはまってます。心が癒される作品です。また見たい!
「白ゆき姫殺人事件」
(監)中村義洋(原)湊かなえ(脚)林民夫(撮)小林元(編)川瀬功(音)安川午朗(出)井上真央、綾野剛、菜々緒、蓮沸美沙子、金子ノブアキ、貫地谷しほり、谷村美月、染谷将太、生瀬勝久
 面白いし現代的な題材。ラストには救いもあります。でも30分長いかな、同じシーンのくり返しによる説明が多すぎる感じ。そこで語られる登場人物たちの醜さになんか嫌になってきます。やな感じと思っていたら、やはり原作は湊かなえさんでした。そんなに人間が嫌いなんですか?と突っ込みたくなります。
 どうも湊さんの作品は苦手なんですよ。
「TOKYO TRIBE」
(監)(脚)園子温(アクション監)匠馬敏郎(製)小口文子、由里敬三(原)井上三太(撮)相馬大輔(美)林田裕至(編)伊藤潤一(衣)松本智恵子(音)BCDMG(出)鈴木亮平、YOUNG DAIS、清野菜名、染谷将太、大東駿介、竹内力、窪塚洋介、でんでん、中川翔子、佐藤隆太、叶美香
園版青春ラップ・バトル・アクション・ミュージカル(東京編)です。ラップの上手い下手はありますが、楽しい!上がる!熱い!
窪塚のラップは上手い!YOUNG DAISらのプロラッパーはやはり本物です。清野ちゃんのバトル・アクションも素晴らしい!本物です。
長回しあり、ラップによる台詞も斬新で、セットも魅力的で一気に見せてくれます。園子温ってやはり天才ですね。
「繕い裁つ人」
(監)三島有紀子(脚)林民夫(原)池辺葵(撮)阿部一孝(衣)伊藤佐智子(音)小林洋平 (主題曲)平井堅「切手のないおくりもの」
(出)中谷美紀、三浦貴大、余貴美子、片桐はいり、杉咲花、永野芽郁、黒木華、伊武雅刀、中尾ミエ
女性監督ならではの美しいドレスにこだわった作品。日本文化のもう一つの顔である着るものへのこだわりに感動。
中谷さんにぴたりの役ですが、三浦はちょっとファッション・フェチは似合わない。朝ドラ「カーネーション」の綾野剛が良かった気がします。
女性の衣料品を販売しているので、興味深く見られました。片桐はいりの衣装も素敵です。
主人公のオープニングの昭和っぽい雰囲気が、ラストに若々しいスタイルで作業に向かう姿は実に見事な変身です。
そうしたファッションの違いとかが、見分けられ楽しめないと面白くない映画かもしれません。
「ニシノユキヒコの恋と冒険」
(監)(脚)井口正己(原)川上弘美(撮)鈴木昭彦(美)清水剛(音)ゲイリー芦屋(主題歌)七尾旅人
(出)竹野内豊、麻生久美子、中村ゆりか、尾野真千子、木村文乃、成海璃子、本田翼、阿川佐和子、田中要次
いきなり主人公が死んでしまう展開。葬式に集まる元カノたち。その顔ぶれが実に豪華!そんな女性たちに愛された主人公を演じる竹野内豊がさすがの存在感。
今なら中村倫也か高橋一生でしょうか・・・俳優たちの演技が実に自然で楽しい!(撮影も絶対楽しかったはず!)
女性たちが夢見る理想の男性像を女性監督、女性原作者が描いた女性のための映画なのかもしれませんが、なかなかに面白いです!
「野火」
(監)(製)(脚)(撮)(出)塚本晋也(原)大岡昇平(撮)(照)林啓史(音)石川忠(音響)北田雅也(出)塚本晋也、森優作、神高貴宏、入江庸仁、山本浩司、リリー・フランキー
「バンクーバーの朝日」
(監)石井裕也(脚)奥寺佐渡子(撮)近藤龍人(音)渡邉崇(出)妻夫木聡、亀梨和也、高畑充希、佐藤浩市、石田えり、上地雄介、池松壮亮、宮崎あおい、徳井優、鶴見辰吾
バンクーバーの街を再現したオープンセットと美しい映像が素晴らしい!さらに高畑充希、妻夫木らの演技がさらに素晴らしい。石井監督らしいけっして大作っぽくない抑制された感じに好感度大。
悲劇の物語ではあっても、野球をやっている彼らの喜びがあれば、すべては救われる!そんな気にさせてくれる作品です。
「百円の恋」
(監)武正晴(製)間宮登良松(脚)足立紳(撮)西村博光(音)海田庄吾(主題歌)クリープハイプ(出)安藤サクラ、新井浩文、稲川実代子、早織、宇野祥平
 ニートの女性が妹とケンカして家を出て、バイトを開始。ボクサーと出会うもフラれてしまい、本気でボクシングに挑みます。
 そこからは「ロッキー」の女性版となり本気のスポコン映画になります。安藤サクラ以外の女優にこの役は無理じゃないでしょうか?(長澤まさみぐらいかな)二重あごのポッチャリ女子から、驚くようなスピードのボクサーへの変身は見ごたえあります。 かっこいい!
「まほろ駅前狂騒曲」
(監)(脚)大森立嗣(原)三浦しをん(脚)黒住光(撮)大塚亮(音)岸田繁(くるり)(出)瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、本上まなみ、永瀬正敏、新井浩文、麿赤児、奈良岡朋子
人気シリーズの映画版第二弾、映画だからと言ってバスジャックまでしなくてもいいのに・・・瑛太と松田龍平のレイドバックした会話だけでも1時間半見れますから・・・。高良、新井のコンビだまた楽しい。
「龍三と七人の子分たち」
(監)(脚)北野武(撮)柳島克己(音)鈴木慶一(出)藤竜也、近藤正臣、ビートたけし、中尾彬、安田顕、勝村政信、下條アトム、清水富美加
「中尾彬の盾」がブラックで最高!でも、いまひとつはっちゃけた感じが不足しているような・・・。
2015年
「アイアムアヒーロー」
(監)佐藤信介(原漫)花沢健吾(脚)野木亜紀子(撮)河津太郎(音)ニマ・ファクララ(出)大泉洋、長澤まさみ、有村架純、吉沢悠、岡田義徳、徳井優
「ゾンビもの」の新たなヴァージョンとなる「ゾキュンもの」の快作!笑えて、スリリングなよく出来た作品です!
「あん」
(監)(脚)河P直美(原)ドリアン助川(撮)穐山茂樹(主題歌)秦基博(出)永瀬正敏、樹木希林、内田伽羅、市原悦子
 永瀬もすっかりおじさんになったなあ。それにしても樹木希林は凄い!今どき珍しいゆっくりとおっとりとした孫(内田)の演技も印象的。河瀬監督作品としてはわかりやすく、素直に感動できる一作です。
「海街diary」
(監)(脚)是枝祐和(原)吉田秋生(撮)瀧本幹也(音)菅野よう子(出)綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、堤真一、風吹ジュン、大竹しのぶ、リリー・フランキー、樹木希林、鈴木亮平
 なんだか平成の小津安二郎作品を観ているようでした。お葬式の煙突からでる煙、山から眺める街の風景、どれも小津安二郎作品へのオマージュのように思えました。そう考えてみると、四姉妹が小津映画の女優達にも見えてきました。綾瀬はるか=原節子、長澤まさみ=淡島千景、夏帆=香川京子、広瀬すず=司葉子って感じ。どうでしょう?
 昭和のホームドラマを久しぶりに見た気がして妙に懐かしく、今はもうない母親の実家を思い出しました。鎌倉の雰囲気もいいですね。画面の感じも映画っぽくて良かった。是枝監督の映画なら、どれでも間違いないでしょうね。
「岸辺の旅」
(監)(脚)黒沢清(脚)宇治田隆史(原)湯本香樹実(撮)芹沢明子(音)大友良英、江藤直子(出)深津絵里、浅野忠信、小松政男、柄本明、奥貫薫、蒼井優
 三途の川を渡らせるために岸辺を旅する幽霊とその妻のロードムービー。生と死の境目が曖昧になる感覚は、日本人が得意とする分野。
 もっとも怖いシーンは、人間同士の会話だった!(蒼井優と深津絵里のバトル)カメラの切り替えしと表情の不気味さはさすがです。
 クラシック音楽が少々大げさすぎて聞えたのが残念。ヨーロッパでは受けたのかもしれませんが・・・もっともミニマルな曲で良かったのではないかと思います。
 深津絵里も含めて、全員が幽霊に見えてくるが、そういう自分は生きていると言えるのか?反省することがないように生きないと・・・
 静かで優しくてちょっと怖くて、妙に懐かしい映画。僕は大好きです。
「きみはいい子」
(監)呉美保(製)川村英巳(原)中脇初枝(撮)月永雄太(音)田中拓人(出)高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴、高橋和也、富田靖子、喜多道枝
我が街、小樽市を舞台に教育、児童虐待問題を描いた感動作。喜多道枝さん他、子供たちも含めて素晴らしい存在感です。
フランスの高校を舞台にした「パリ20区、僕たちのクラス」の日本版、小学校版のように厳しいお話が、途中からノンフィクションに変わり、救われ始めます。
それでもラストは・・・?
「恋人たち」
(監)(原)(脚)橋口亮輔(音)明星(出)篠原篤、成嶋瞳子、池田良
「心が叫びたがってるんだ」(アニメ)
(監)長井龍雲(演)吉岡忍(脚)岡田磨里(原)超平和バスターズ(音)ミト、横山克(声)水瀬いのり、内山昴輝、雨宮天、吉田羊
2017年には実写版も作られた青春ミュージカルのヒット作
「GONIN サーガ」
(監)(脚)(編)石井隆(企)菊地剛、加茂克也(撮)佐々木原保志、山本圭昭(音)安川午朗(挿入歌)「紅い花」ちあきなおみ、「ラスト・ワルツ」森田童子
(出)東出昌大、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、竹中直人、安藤政信、テリー伊藤、井上晴美、りりぃ、根津甚八、鶴見辰吾、佐藤浩市
「GONIN」の19年ぶりの続編。ちゃんと話がつながり、熱く面白く出来ています。若手の主人公たちも良いけど、やっぱ竹中直人のキャラ最高! 
「屍者の帝国」(アニメ)
(監)牧野亮太郎(原)伊藤計劃、円城塔(脚)瀬古浩司、後藤みどり、山本幸治(声)細谷圭正、村瀬歩、大塚明夫
 フランケンシュタイン博士が生命復活の秘密を記録したノートを巡る冒険物語です。ワトソン、エジソン、Mなどの登場人物も多彩。
 伊藤さんが残した遺構はどうやらわずかしかなかったようで、題材は面白いのにその復活はいま一つだったようです。正直残念な出来です。 
「ジヌよさらば 〜かむろば村へ〜」
(監)(脚)(出)松尾スズキ(製)木下直哉他(原)いがらしみきお(撮)月永雄太(編)上野聡一(音)佐橋佳幸(主題歌)OKAMOTO'S「ZEROMAN」
(出)松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ、荒川良々、西田敏行、片桐はいり、中村優子、伊勢志摩、オクイシュージ、モロ師岡、皆川猿時、三谷幸喜
<あらすじ>
お金アレルギーとなり、限界集落が近い村に越してきたタケは、お金を使わずに生きると宣言。しかし、村人の世話になりっぱなしです。
事故を起こしてダメにしたバスを自分のお金で弁償。恩人の村長の代わりに村長選挙に出馬することになります。
原作がしっかりしているせいか、松尾スズキにしてはちゃんとした感動もある味のある作品です。
村の神様(西田敏行)のお言葉
「この村では、どんなことも必ずなんとかなる。思った通りにはならないけど」
なんだか2021年コロナ禍の日本国民に語りかけているような・・・
「太陽」
(監)(脚)(編)入江悠(製)畠中達郎、井上伸一郎(原)(脚)前川知大(撮)近藤龍人(音)林裕介
(出)神木隆之介、門脇麦、古川雄輝、古館寛治、森口瑤子、鶴見辰吾、高橋和也、中村優子、村上純、織田俊樹
<あらすじ>
ウィルスにより人類の多くが死に、生き残りが知能は優秀だが太陽の光を浴びられないノックスと彼らに支配されるキュリオに別れていました。
キュリオの村で育った少女は、ノックスになるための手術を受けることに。ノックスになりたかった少年は、ノックスの駐在と旅に出る約束をします。
<渋いSF>
 「散歩する侵略者」と似た地味なSFと思ったら同じ原作者でした!地味ながら設定が面白く、舞台劇のような展開と思ったら原作は戯曲でした。
 ただし、映画化するということは、それが舞台劇のように見えてはいけないようにも思います。あくまでも「映画的」でないと・・・。
門脇麦、神木隆之介共に熱演。でもまだ肩に力が入り過ぎていたかもしれません。村上純もそうでなくても松田優作に似ているのに演技が熱すぎる・・・
それでもなお、「自由」とは何か?「幸福」とは何か?考えさせられる物語です。
「天空の蜂」
(監)堤幸彦(製総)迫本淳一(原)東野圭吾(脚)楠野一郎(撮)唐沢悟(音)リチャード・プリン(主題歌)秦基博
(出)江口洋介、仲間由紀恵、本木雅弘、綾野剛、佐藤二郎、光石研、竹中直人、石橋蓮司、柄本明、國村隼人、やべきょうすけ
 原発問題を扱ったサスペンス映画という難しい題材に挑戦して意欲作。父と子の問題とか犯人像の描き方とか、失笑したくなる部分もあるもののヘリでの救出シーンやラストのオチなど、なかなか見ごたえもあり、見ごたえは十分あり!さすがは堤監督、娯楽エンタメとして成立しています。
 現実を直視しない大衆への警告というテーマがちょっと上から目線で嫌味に感じられるのが難点かもしれません。でもそれが本当なのも確か。
 役者の演技はちょっと力が入り過ぎじゃないかなあ?
 謎が多い分、綾野が魅力的です。
「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」
(監)(脚)押井守(原)ヘッドギア(出)筧利夫、高島礼子、千葉繁、森カンナ、吉田鋼太郎  実写版と言っても、写真による紙芝居を声優が吹き替えたようにも見える作品。これぞ「押井守映画」です。アニメでは可能だったスケール感が出せず、アクション表現も困難。
それでもなお、押井映画が観たいという方にはお薦めです。
「俳優 亀岡拓次」
(監)(脚)横浜聡子(原)戌井昭人(撮)鎌苅洋一(音)大友良英(出)安岡顕、麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、山崎努、工藤夕貴、神戸浩、染谷将太、三田佳子
 架空のカメレオン俳優「亀岡」の日常と仕事ぶりを描いた作品。麻生久美子との居酒屋シーンが好きです。それと様々な仕事風景は映画へのオマージュとなっていて映画ファンにはたまりません。ファンタジックな演出と大友良英の音楽が非日常的で不思議な雰囲気を作っていて、映画の中と日常、どれが映画の中の世界なのか?境界があいまいになるのも魅力。ストーリー自体もあいまいになってしまったのが、惜しいのか、それとも未完成の魅力ととるかは、あなた次第です。 
ハーモニー(アニメ)
(監)なかむらたかし、マイケル・アリアス(原)伊藤計劃(脚)山本幸司治(キャラクター原案)redjuice(演出)廣田祐介(キャラデザ)(作画監督)田中孝弘(アニメ制)STUDIO4℃(色彩設計)成毛久美子(音)池頼広(主題歌)EGOIST
(出)沢城ミユキ、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、森田順平、チョー
 本を燃やす場面、その中に「すばらしき新世界」(オルダス・八クスリー)があったの気づきましたか?
 ラスト近く、チェチェンの廃工場に入る場面は「ストーカー」、ミャハが影の中から登場するシーンは「地獄の黙示録」・・・
 背景が美しすぎてリアリティーがなさ過ぎたのはちょっと残念でした。
 映像的に物足りないけど、でもでも実に面白かった。
 よくぞこんな難解で暗いお話を映像化してくれました。
 ラストの映像は実に魅力的でした! 
「ヒメアノ〜ル」
(監)(脚)吉田恵輔(原)古谷実(撮)志賀貴之(音)野村卓史(出)森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ、駒木根隆介、大竹まこと、山田真歩、山中聡
 ダメダメ男二人の恋愛映画から始まり、不穏なストーカー・ドラマへ、さらにはスプラッタ・ホラー連続殺人事件へ、ラストにはまさかの感動青春映画へと変化
「お母さん、麦茶二杯持ってきてー」泣けました・・・。 
FOUJITA
(監)(脚)(製)小栗康平(製)井上和子、クロディ―・オサール(撮)町田博(美)小川富美夫、カルロス・コンティ(音)佐藤聰明
(出)オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、マリー・クレメール、加瀬亮、岸部一徳、リリィ、風間杜夫 
フランスで最も愛された日本人画家レオノール・フジタこと藤田嗣治の伝記映画。ただし、フランスで人気画家となった1920年代半ばと日本に帰国した1940年代の二つの時代にスポットを当てた2部構成。
「星を継ぐ者 / Inherit The Stars」
(監)(製)(原)(脚)(編)末長敬司
(出)沢大洋、吉岡里帆、延命聡子、末長敬司、十菅業之助、狂井たかし、永田南
ファイアースターターの能力を持つ「魔女」と呼ばれる謎の人々を追うロシアの日系軍人とアメリカの部隊。
追われる魔女と彼女を守る軍に特殊な空間認識能力を与えられた兵士。
160万円で製作されたというわりには、よくできている作品。
音楽も良いのですが、セリフとのバランスが悪く聞き取りずらいのが難。
ブレイク前の吉岡里帆が可愛いこと!
セリフもよく練られていますが、ちょっとカッコつけすぎかな?もう少し自然にしゃべって欲しかった。
「予告犯」
(監)中村義洋(企P)平野隆(P)武田吉孝(原)筒井哲也(脚)林民夫(撮)相馬大輔(編)松竹利郎(音)大間々昴
(出)生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、荒川良々、濱田岳、宅間孝行、坂口健太郎、窪田正孝、小松菜奈、福山唐平(ヒョロ)、小日向文世、田中圭、滝藤賢一
ラストの海辺の宴会シーンがたまりません。見事に回収される展開も見事。(まあまあ読めましたけど)
戸田恵梨香とゲイツの追っかけシーンが良かった。もちろん彼女の演技も。良々の笑いながらの涙もさすがの名演技でした!
フィリピン人(ヒョロ)役の福山君の演技も泣かせてくれました。
出番は少ないものの、偶然の出会いから共犯者となった青年役の窪田もまたさすがでした!説得力あった。
犯人グループ4人の顔ぶれだけでも満足。
SNSがらみの展開ながら胸糞が悪い終わり方ではなく、ラストは突然別の青春映画を見ているようなさわやかさでした。
2016年
「海よりもまだ深く」
(監)(脚)(原案)(編)是枝裕和(製)石原隆、川城和実他(撮)山崎裕(美)三ツ松けいこ(衣)黒澤和子(音)ハナレグミ
(出)阿部寛、真木よう子、樹木希林、橋爪功、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、中村ゆり、高橋和也、小澤征悦、蒔田彩珠、ミッキー・カーチス、古館寛治
探偵事務所で働く自称作家の駄目夫とその夫を捨てて出て行った元妻。月に一度の子供との面会日。台風のせいで久々に一緒になった二人と家族のドラマ
そうそうたる顔ぶれで描く、是枝ワールド的家族の物語。
「オーバー・フェンス」
(監)山下敦弘(脚)高田亮(撮)近藤龍人(音)田中拓人(原)佐藤泰司(出)オダギリ・ジョー、蒼井優、松田祥太、北村有起哉、満島真之介、優香、松澤匠
函館を舞台に人生をやり直そうとする40代のための青春映画
やはり山下監督は青春映画が似合います。そして、蒼井優の神がかった演技が熱く、クールで残酷なオダギリとの対比が見事です。
北の大地の青い空の下、鳥たち、そしてソフトボールがフェンスを越えて飛んで行きます。
いい映画です。
「カランコエの花」
(監)(脚)(編)(企)中川駿(企)木佐優士、柴田徹也(P)山野淳、木佐優士(撮)伊藤弘典(助監)柴田徹也(録)内田達也(録監)治田俊秀
(出)今田美桜、永瀬千裕、笠松将、須藤誠、手島美優、有佐、石本径代、イワゴウサトシ
ある日、高校の授業でLGBTのことが保健の教師によって説明されます。それを聞いた生徒の中で、クラスに同性愛者がいるのではと噂がたちます。
主人公は、それが自分の友だちの一人だと知り、悩みます。
ところがある日、学校へ行くと黒板に彼女の名前とレズビアンであると書かれていたのです。どうしたらよいのか?
短編映画でラストも観客に任せることでよりインパクトのある仕上がりになっています。
多くの賞を獲得したのも納得の完結で純粋なLGBTQ映画の傑作です。
LGBTQ初心者の入門編としても最適の作品かもしれません。
「クリーピー 偽りの隣人」
(監)(脚)黒沢清、池田千尋(撮)芹沢明子(原)前川裕(音)羽深由里(出)西島秀俊、竹内結子、香川照之、川口春奈 
「聲の形」(アニメ)
(監)(絵)山田尚子(原)大今良時(脚)吉田玲子(総作監)西屋太志(声)入野自由、早見沙織、悠木碧
聾唖者の同級生をいじめてしまい、彼女を転向に追いこんだ少年が、彼女との関係をやり直そうとするもなかなか上手く行かず、ついには悲劇的な事件が・・・
素晴らしい作品とのことでしたが、決してご都合主義な展開にならず、リアルにこだわることでじっくりと感動させてくれます。
中高生みんなに学校で見せてほしい!
この世界の片隅に(アニメ)
(監)(脚)片渕須直(原)こうの史代(画面構成)浦谷千恵(プロ)真木太郎(キャラデザ)松原秀典(音)コトリンゴ(声)のん、細谷佳正
(テレビ版もなかなか良いです!)
「疾風ロンド」
(監)(脚)吉田照幸(原)東野圭吾(脚)ハセベバクシンオー(撮)佐光朗(音)三澤康広
(出)阿部寛、柄本明、大倉忠義、ムロツヨシ、大島優子、堀内敬子、志尊淳
NHKのTV「サラリーマン・ネオ」役者がいっぱい出てます!
「シン・ゴジラ」
(総監)(脚)(編)庵野秀明(監)(特技)樋口真嗣(撮)山田康介(ゴジラ)野村萬斎(出)長谷川博己、竹之内豊、石原さとみ、高良健吾、松尾愉、市川実日子、余貴美子、國村隼
平泉成、柄本明、大杉連、犬童一心、原一男、斎藤工、片桐はいり、小出恵介、KUREVA、高橋一生、塚本晋也、津田寛治、鶴見辰吾、野間口徹、ピエール瀧、古田新太
前田敦子、三浦貴大、光石研、モロ師岡、嶋田久作、松尾スズキ
 ちょうど「エヴァンゲリオン」の再放送を見た後だったので、より楽しめました。でも、映画館で観るべきだったと後悔もしています。文句なしに面白かった!でも、これだけの大ヒットになったということは、「エヴァンゲリオン」も今ならもっと受け入れられたということであり、日本人の多くが「オタク文化」を許容するようになったということでもありそうです。まさに「21世紀版のゴジラ」ですが、これが海外で受け入れられるのか?日米安保の問題まで理解できないと難しいでしょうね。
「SCOOP!」
(監)(脚)大根仁(製)林雄一郎(原)原田眞人(撮)小林元(音)川辺ヒロシ(主題歌)TOKYO NO.1 Soul Set Feat.福山雅治
(出)福山雅治、二階堂ふみ、吉田羊、滝藤賢一、リリー・フランキー、斎藤工、塚本晋也、宇野祥平
 もう少しラストの事件が大きな事件になってほしかった。それとリリー・フランキーとの関係が今一つ不明なので、感情移入できなかった。
 野火(二階堂ふみ)と静(福山雅治)が愛し合うという設定も何か今一つ。
 静がパパラッチで満足している理由も今一つ。
 パパラッチの仕事ぶりが格好良くは見えないので、そこも感情移入が今一つ。
 そんなわけで、全体的にも今一つでした。
「続・深夜食堂」
(監)(脚)松岡錠司(脚)真辺克彦、小嶋健作(撮)槇憲治(原)安倍夜郎(出)小林薫、池松壮亮、キムラ緑子、オダギリ・ジョー、多部未華子、小島聖、佐藤浩市
 なんともくつろいで見られる「寅さんシリーズ」のような作品。二年に一本ぐらい作ってくれれば感謝です。
 懐かしい人々、懐かしい音楽、懐かしい風景・・・
 個人的に神楽坂のおでん「せつ」を思い出してしまいます。
「園子温という生きもの」(ドキュメンタリー)
(監)(製)大島新(製)由里敬三(プロ)小室直子、前田亜紀(撮)高橋秀典(編)大川義弘(出)園子温、神楽坂恵、染谷将太、二階堂ふみ、エリイ
「ひそひそ星」(2015年)撮影風景と画家としての個展準備中の園子温に密着し、インタビューを加えたドキュメンタリー。
質より量を宣言していた量産体制の鬼才が、いかにぶっ飛んでいるのかがわかる作品。監督は大島渚の息子だそうな・・・。(関係ないか)
福島への熱いこだわりも伝わってきて、見ごたえ十分!未見の過去作品も見たくなり、「TOKYO TRIBE」見ました。
日本の映画界を支える熱い男に感謝します。
「団地」
(監)(脚)阪本順治(撮)大塚亮(音)安川午朗(出)藤山直美、岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代、斎藤工、宅間孝行、濱田マリ
 大阪の団地を舞台にした驚異と感動のSF映画
 「ありえないことが起こるのが団地」そんなキャッチフレーズがぴったりの展開
 様々な仕掛けもあるので注意して見て下さい!間違いなく面白いので・・・
 肉体を失い本当の自分になる瞬間とは?あなたの場合はどんな時ですか?僕は映画を観終わった瞬間もその一つです。
「ちはやふる-上の句-」「ちはやふる- 下の句 -
(監)(脚)小泉徳宏(原)末次由紀(撮)柳田裕男(出)広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、松田美由紀、國村隼
「ちかえもん」(テレビ)
(脚)藤本有紀(プロデューサー)木村明広(演出)梶原登城、川野秀昭(義太夫)三味線担当指導 竹澤團七(人形)桐竹勘十郎(音)宮川彬良
(出)松尾スズキ、青木崇高、優香、小池徹平、早見あかり、山崎銀之丞、北村有起哉
近松門左衛門とはいかなる人物だったのか?
 「人形浄瑠璃」と「歌舞伎」の違いは、人形を使う使わないの違いだけなのか?
 「義太夫」とは、音楽?語り?ミュージカル?何なのか? 
「TOO YOUNG TO DIE 若くして死ぬ」
(監)(脚)宮藤官九郎(撮)相馬大輔(音)向井秀徳(出)神木隆之介、長瀬智也、尾野真千子、杉谷健太、森川葵、清野菜名、古舘寛治、皆川猿時、シシドカフカ、古田新太、宮沢りえ
ロック・ミュージカルの快作です。「ロッキー・ホラー・ショー」の日本版って感じでしょうか。作る側が楽しく撮っていることがわかる映画でもあります。
「ディストラクション・ベイビーズ」
(監)(脚)真利子哲也(脚)喜安浩平(製)西ヶ谷寿一、西宮由貴他(撮)佐々木靖之(音)向井秀徳
(出)柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、でんでん、北村匠海、池松壮亮、三浦誠己、岡山天音
 これは凄い!なぜ彼はケンカを続けるのか?「どこかで見たことがある?」とよく考えたら、「世にも奇妙な物語」の傑作「ハイ・ヌーン」でした。
 定食屋に入った男がメニューを端から注文し始め、次々に食べて行き、いつしか多くの観客が見守る中、全メニュー制覇に向けて盛り上がる。
 どこが似ているかは、見ればわかるでしょう。舞台が松山ということで、その方言も迫力あります。
 柳楽と菅田の好対照な存在感が見事に生かされています。
 ナンバー・ガールの向井によるノイジーな音楽も不穏で暴力的でロックです。 映画タイトルは、ナンバー・ガールの曲名からとられたそうです。
「日本で一番悪い奴ら」
(監)白石和彌(原)稲葉圭昭『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』(脚)池上純哉(撮)今井孝博(音)安川午朗(主題曲)『道なき道、反骨の。』東京スカパラ&Ken Yokoyama
(出)綾野剛、中村獅童、Young Dais、デニス、矢吹春奈、斉藤歩、中村倫也、田中隆三、みのすけ、音尾琢真、青木崇高、木下隆行、ピエール瀧
道警のエースと呼ばれた刑事主導による違法捜査の数々を実録映画化。これぞ白石作品という面白さ!まさに笑劇の実話です!
それにしても警察
「淵に立つ」
(監)(脚)(編)深田晃司(撮)根岸憲一(音)Haruhi(出)浅野忠信、筒井真理子、古館寛治、太賀、三浦貴大、篠川桃音(カンヌ国際映画祭「ある視点部門 審査員賞」受賞)
 久々に重い映画でした。年に一本あるかないかの作品です。不穏な人々が繰り広げる危うい物語が、緊張感を保ちながら見る者を深い淵へと引っ張ってくれます。
日本映画もまだまだいけますね!映画ファンの方に是非見てほしい作品です!
「ぼくのおじさん」
(監)山下敦弘 (企)須藤泰司(脚)春山ユキオ(原)北杜夫(撮)池内義浩(編)佐藤崇(音)きだしゅんすけ(出)松田龍平、大西利空、真木よう子、寺島しのぶ、宮藤官九郎、キムラ緑子、銀粉蝶、戸次重幸、戸田恵梨香
北杜夫原作の映画化。松田龍平にピッタリののどかで優しい叔父さんと少年のお話。
哲学者の叔父さんのことを作文にしようと思い立った少年。叔父さんのなんともいい加減で行き当たりばったりな人生が素敵に見えてきます。
「MIFUNE:THE LAST SAMURAI」(ドキュメンタリー)
(監)(脚)(編)スティーブ・アオキ(製)田中渉他(原)松田美智子「サムライ 評伝三船敏郎」(脚)スチュアート・ガルプレイス4世(音)ジェフリー・ウッド
(声)AKIRA(EXILE)(出)香川京子、土屋嘉男、司葉子、八千草薫、加藤武、夏木陽介、スティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、役所広司
佐藤忠雄、黒澤久雄、三船史郎、中島貞夫、宇仁貫三、二木てるみ、野上照代
本格的な三船敏郎の伝記ドキュメンタリー作品。
映画における時代劇の始まりから、三船敏郎の生い立ちへ、その後は三船の代表作を紹介してゆきます。
黒澤明と共に日本映画の黄金期を築いた時代を振り返ります。
予想以上に歴史的価値、奥の深い作品です。時代劇とは?三船敏郎とは?見ごたえ十分な作品です。
「蜜のあわれ」
(監)(編)石井岳龍(原)室生犀星(脚)丘岳彦(撮)笠松則通(編)武田峻彦(音)森俊之、勝本道哲(出)大杉連、二階堂ふみ、真木よう子、永瀬正敏、韓英恵、高良健吾、渋川清彦、上田耕一
1959年発表の室生犀星による自伝的ファンタジー小説の映画化。自らの死を前にして作家の夢を彼が愛した金魚と彼の前に現れた女性の幽霊と芥川龍之介の幽霊との対話で描いています。
自分が死ぬときに、赤井赤子のような素敵な女子が現れて天国に連れて行ってくれるなら・・・まんざらでもないですね。ていうか、幸福ですよね。
それにしても二階堂ふみちゃんのダンスや表情、動きのなんとも金魚的で魅力的なことか!ブリジット・バルドーの名前が出ましたが、和製べべかも。
高良健吾も本当にカッコイイ!芥川龍之介にドンピシャです。
「湯を沸かすほどの熱い愛」
(監)(脚)中野量太(撮)池内義浩(音)渡邊崇(主曲)「愛のゆくえ」きのこ帝国(出)宮沢りえ、杉咲花、オダギリ・ジョー、篠原ゆき子、伊東蒼、松坂桃李、駿河太郎
メジャー初監督らしいですが、気持ちよく泣かせてくれました。泣かせる映画は好きじゃないのですが、ここまでちゃんとした芝居を見せられたら仕方ない!特に女子3人にはそれぞれ泣かされました。伊東蒼ちゃんの演技も凄かった!
ラストの異常さだって許せるぐらいに熱い愛でした。それにしても、宮沢りえは細すぎる!
「リップヴァンウィンクルの花嫁」
(監)(原)(脚)岩井俊二(撮)神戸千木(音)桑原まこ(出)黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、リリィ
ストーリー展開がまったく読めない映画は本当に久しぶりでした。映画って、もともとそうあっていいはず。岩井映画全開なのに先は読めない。それがこの監督の魅力なのかもしれません。
それと黒木華と綾野剛の実に自然な演技が素晴らしい!ファンタジーなのにリアリズム。これも岩井監督の作品がもつ魅力です。
「セトウツミ」
(監)(脚)大森立嗣(原)此本和也(脚)宮崎大(撮)高木風太(音)平本正弘(出)池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ
マンガの映画化、ただしテレビ・ドラマ版がすごく良かったので、これも悪くはないけど・・・
2017年
「あゝ、荒野」(前編)(後編)
(監)(脚)岸善幸(原)寺山修司(脚)港岳彦(撮)夏海光造(音)岩代太郎(主歌)BRAHMAN(出)菅田将暉、ヤン・イクチュン、でんでん、木村多江、ユースケ・サンタマリア
東京オリンピックの後の時代、それは1960年代末東京オリンピック後の東京と似ているのかもしれない。そして、そんな昭和を思わせる時代といえば、「明日のジョー」
平成のジョーが向かう明日はどっちだ?
エンディング近くの迫力は、昭和の小劇場演劇のよう!懐かしくて新しいパワフルな作品
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(アニメ)
(監)新房昭之、武内宣之(原)岩井俊二(脚)大根仁(アニメ制作)シャフト(声)菅田将暉、広瀬すず、松たか子
岩井俊二の出世作となったテレビドラマのアニメ版リメイク
「美しい星」
(監)(脚)吉田大八(原)三島由紀夫(脚)甲斐聖太郎(製)依田巽(撮)近藤龍人(音)渡邉琢磨
(出)リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、川島潤哉、若葉竜也、板橋駿谷
<あらすじ>
 気象予報士の大杉はある夜自分が火星人であることに目覚めます。そして、テレビの天気予報の時間に地球温暖化の危険について語り始めます。息子は金星人、娘は水星人であるとわかり、それぞれバラバラの生き方を開始。息子は金星人の仲間と政界進出を模索しますが、火星人である父と対立することになります。しかし、その父が不治のガンに冒されていることがわかり、バラバラだった家族は父のための動き出します。

 異色のSF映画です。
 三島由紀夫の原作では、米ソ冷戦と核戦争がテーマになっていましたが、この作品では地球温暖化がテーマに変更されています。テレビ番組での主人公と金星人(佐々木蔵之介)とのディベート・シーンは、ウルトラセブンの有名なメトロン星人との卓袱台を挟んだ場面を意識しているそうです。確かに、どちらも愚かな地球人抜きで異星人が地球の未来について語り合い、選択を行う場面です。
 喜劇と思いきやシリアスなシーンが多く、ラストには家族のドラマとして感動へと向かいます。
「エルネスト ERNEST」
(監)(脚)阪本順治(製)椎井友紀子、アルマンド・オリベイラ・ノダーゼ(撮)儀間眞悟(音)安川午朗
(出)オダギリジョー、永山絢斗、ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ、ジゼル・ロミンチャル
「もし我々を空想家のようだと言うなら、救いがたい理想主義者だと言うなら、できもしないことを考えていると言うなら
我々は何千回でも答えよう。その通りだと」

エルネスト・チェ・ゲバラ

 ゲバラによって「エルネスト・メディコ」と名づけられた「もうひとりのゲバラ」日系ボリビア人ゲリラ・医師、フレディ・前村・ウルタ―ドの伝記映画
オープニングはゲバラが来日し、広島を訪れて原爆資料館などを見学した際の出来事を再現。
その後は、キューバの医学校に留学していたフレディの物語となりますが、後に彼は元々医師だったゲバラと出会い、彼と共に故国へ向かいます。
そして、ゲバラの死の直前に彼もまたボリビア軍に処刑されていました。(享年25歳) 
リアリズムに基づいて淡々と描かれた一人のゲリラ・医師の物語です。さすがは阪本監督、どっしりとしたいい映画です。
「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」
(監)(脚)大根仁(製)市川南、中山道彦(原)渋谷直角(撮)宮本亘(音)岩崎太整
(出)妻夫木聡、水原希子、新井浩文、安藤サクラ、江口のり子、松尾スズキ、リリー・フランキー、天海祐希
 水原希子の魔性の魅力はわかります。凄いです。でも、男たちがあまりにダメすぎなので、どうも感情移入しきれなかったのが少々残念。それでもラストの四角関係のバトルは、まさかのサイコサスペンスとなり、さらにその後はいい感じの青春映画にもなりますので、きっと楽しめるはず。
 それにしても安藤サクラの怪演はさすがです!彼女の演技だけでも見ごたえあります。
<使用されている曲>
作詞・作曲・歌はどれも奥田民生
「息子」(1995年)「愛のために」(1994年)「674」(1995年)「ハネムーン」(1995年)「海へと」(2003年)「近未来」(2000年)「スカイウォーカー」(2004年)「ギブミ―クッキー」(2005年)「チューイチューイトレイン」(2013年)「花になる」(2002年)「マシマロ」(2000年)「The Standard」(曲:Andy Sturmer 2001年)「御免ライダー」(2002年)「月を超える」(1999年)「CUSTOM」(2002年)
「幼な子われらに生まれ」
(監)三島由紀子(原)重松清(脚)荒井晴彦(撮)大塚亮(音)田中拓人(出)浅野忠信、田中麗奈、鎌田らい樹、新井美羽、宮藤官九郎、寺島しのぶ
離婚経験者同士の結婚が生んだ複雑な家族の問題をサスペンスタッチで描いた感動作
世界中どこの家庭でもありそうなリアルな物語は、モントリオール映画祭で審査員特別賞を獲得しています。
「おじいちゃん、死んじゃったって」
(監)森ガキ侑大(原)(脚)山崎佐保子(P)島拓生、木滝和幸他(撮)今村圭佑(主題歌)Yogee New Waves
(出)岸井ゆきの、岩松了、美保純、光石研、岡山天音、水野美紀、小野花梨、赤間麻里子、松沢匠
祖父の葬儀に久しぶりに集まった親族のもめ事を描いたお葬式ホームドラマ。
岸井ゆきのの初主演作。でも水野美紀が出るとやはり花があります!岡山、小野の二人も新鮮!
藤原信也「メメント・モリ 死を想え」の「人は犬に食われるほど自由だ」
「風の色」
(監)(脚)クァク・ジェヨン(製総)上野由洋(原)鬼塚忠(主題歌)「風の色」華原朋美
(出)古川雄輝、藤井武美、竹中直人、石井智也、中田喜子、小市慢太郎、袴田吉彦、Mrマリック
北海道を舞台に「猟奇的な彼女」の監督が撮影したラブ・ファンタジー。北見、知床、札幌、小樽(あまとう、日銀小樽支店?)
ドッペルゲンガーとマジックを融合させたところがミソ。ラストの展開はなるほど!でした。とはいえ2時間はちょっと長かった。
脇役は充実しているものの、主役二人の演技力不足はいなめなかった。
「勝手にふるえてろ」
(監)(脚)大九明子(企・プロ)白石裕菜(原)綿矢リサ(脚協)樋口七海(撮)中村夏葉(編)米田博之(音)高野正樹(主題歌)「ベイビー・ユー」黒猫チェルシー
(出)松岡茉優、渡邉大知、石橋杏奈、北村匠海、趣里、片桐はいり、古館寛治、前野智哉、池田鉄洋、稲川美代子
これは予想外にお薦め作品です。
「時効警察」(2019版)の監督でもある大九明子をはじめ、女性スタッフが多い作品。
松岡茉優がカワイイ!けど渡邉大知もカワイイ!っていうかみんなカワイイ!
時にコメディ、時にミュージカル、時にシリアスな芝居、時にファンタジー、時に前衛的・・・実に新鮮な作品です。
「彼女がその名を知らない鳥たち」
(監)白石和彌(企プロ)西口典子(脚)浅野妙子(原)沼田まほかる(撮)灰原隆裕(音)大間々昂
(出)蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、村川絵梨、竹野内豊
白石流ラブ・ストーリーはやっぱり凄かった。とにかく熱すぎるぜ! 
「彼らが本気で編むときは、」
(監)(脚)荻上直子(製)石川豊、井上肇他(撮)柴崎幸三(美)富田麻由美(衣)田中美由紀(音)江藤直子(フード)飯島奈美(出)生田斗真、柿原りんか、桐谷健太、ミムラ、小池栄子、近江海翔、リリィ、田中美佐子、門脇麦、江口のりこ、柏原収史
トランスジェンダーで女性に戸籍を変えようとしているリンコ(生田)とマキオ(桐谷)に預けられた母親に於いて行かれたトモ(柿原)3人、トモの同級生で性同一障害に悩む少年やマキオの母親など、様々な人々の物語。
決して暗くなく、優しくて明るい素敵な作品になっているのは、やはり荻上監督です。
生田斗真はもちろんですが、桐谷健太もいつもと違う真面目な役どころでいい味、柿原りんかちゃんもカワイイ!
「3月のライオン」(前編)(後編)
(監)(脚)大友啓史(原)羽海野チカ(脚)渡部亮平、岩下悠子(撮)山本英夫(美)古積弘二(音)菅野裕悟
(出)神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、加瀬亮、伊藤英明、高橋一生、前田吟、佐々木蔵之介、豊川悦司、岩松亮、中村倫也
 前編はアニメで見ていた部分だったので、その再現性に目が行きましたが、後編の後半は未見の部分だったので、新鮮に楽しめました。
特に宗谷名人との決勝の背景(山寺)や後藤との準決勝での回想シーンには感動しました。個々の配役もどれも良かったのですが、最も原作に近く思えたのは、ひなた役の清原ちゃんだった気がします。良かった!
 加瀬亮のカリスマ性はさすがですが、後藤役の伊藤英明も良かったと思います。
「三度目の殺人」
(監)(原)(脚)(編)是枝裕和(撮)瀧本幹也(製)小川晋一、原田知明ほか(音)ロドリゴ・エイナウディ
(出)福山雅治、役所広司、広瀬すず、満島真之介、斉藤由貴、吉田鋼太郎
 平成版の「藪の中」。なぜ「三度目の殺人」なのか?が最後に明らかになります。
 役所広司、広瀬すずなどの演技はさすがです。
「散歩する侵略者」
(監)(脚)黒沢清(原)前川知大(脚)田中幸子(撮)芹沢明子(音)柴崎憲治(出)長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、長谷川博己、前田敦子、光石研、東出昌大
ストーリーが読めないワクワク・ドキドキのSF映画の傑作。たった3人の先遣隊による調査方法とは?
名作「宇宙戦争」の21世紀版ですが、こちらの最終兵器はウイルスではなく・・・見てのお楽しみ!
「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」
(監)新藤風(新藤兼人の孫!)(製)新藤次郎(脚)(音)磯田健一郎(撮)山崎裕(美)金勝浩一(録)吉田憲義
(出)伊藤蒼、安藤サクラ、山田真歩、金城実、渋川清彦、でんでん、角替和枝
沖縄の慶良間阿嘉島を舞台にした「スウィングガールズ」の小学生版&琉球音楽版
景色が素晴らしい!人が素晴らしい!音楽が素晴らしい!映画的には、これと言った大きな魅力はないのですが・・・
舞台のせいか、役柄のせいか、安藤サクラは演技力を生かせず。渋川清彦の方が生き生きして見えます。
「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」
(監)三池崇史(原)荒木飛呂彦(脚)江良至(撮)北信康(美)林田裕至、佐久嶋依里(編)山下健治(音)遠藤浩二
(出)山崎賢人、神木隆之介、岡田将生、小松奈々、新田真剣佑、國村隼人、観月あずさ、山田孝之、伊勢谷友介
ジョジョ・シリーズの実写化。配役は豪華でイメージも合っているけど、そこでまとまってしまったのが残念。
バッドカンパニーの軍隊はアニメより見応えがあった。特撮っぽくて良かった。
「JUNK HEAD」(アニメ)
(監)(脚)(製)(原)(美)(衣)(アニメ)(編)(音)(人形)(特効)掘貴秀(アニメ)(特効)三宅敦子(セット)牧野謙、杉山雄治
人類が生殖能力を失った未来。その能力を求めて地下世界へと旅立った探検家の冒険を描いたSF冒険活劇の傑作!
7年かけて1時間40分の映画をほぼ一人で作り上げたストップモーションアニメへの狂気とも言える愛が生んだ作品。
続編はどうなるのか?楽しみです。
アレクサンドル、ジュリアン、フランシスに涙と感動と笑いをもらいました!
「DESTINY 鎌倉ものがたり」
(監)(脚)(特効)山崎貴(原)西岸良平(撮)柴崎幸三(音)佐藤直紀(出)堺雅人、高畑充希、安藤サクラ、堤真一、田中泯、中村玉緒、三浦友和、薬師丸博子
「千と千尋の神隠し」のSFX実写版だった!それに「ALWAYS三丁目の夕日」のノスタルジックな雰囲気をまぶしています。 
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
(監)廣木隆一(原)東野圭吾(脚)斉藤ひろし(撮)鍋島淳裕(出)山田涼介、村上虹郎、西田敏行 、成海璃子、林遣都、門脇麦
原作が良いので、無難に撮ればこのぐらいの映画になっても不思議はない作品。よくできたお話です!
 
「花筐/HANAGATAMI」
(監)(脚)(台)(編)大林宣彦(原)檀一雄「花筐」(脚)林千穂(撮)(編)三本木久城(美)竹内公一(音)山下康介
(出)窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、矢作穂香、柄本時生、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、村田雄吉、武田鉄矢、入江若葉、池端慎之介、根岸季衣、白石加代子、南原清隆、片岡鶴太郎、高嶋政宏、伊藤孝雄、小野ゆり子
 原作は檀一雄「花筐」ですが、まるで寺山修司か唐十郎のアングラ時代の芝居を映像化したような作品。今になってここまでの作品を撮るとは!まるでベンジャミン・バトンのように若返っている!鈴木清順も亡き今、もうこんな作品を撮れるのは、大林監督だけでしょう。
  古くて新しい幻想的な作品をあなたは楽しめますか?
「光」
(監)(脚)河P直美(P)澤田正道、武部由実子(ラインP)齋藤寛朗(撮)百々新(美)塩川節子(衣)渡部祥子(編)ティナ・バス
(出)永瀬正敏、水崎綾女、神野三鈴、小市慢太郎、早織、大西信満、藤竜也、白川和子、堀内正美、大塚千弘
視力を失いかけている元カメラマンと映画の音声ガイドを制作する女性との出会いを描いた作品。
映画とは何か?を改めて問い直す作品にもなっていて、映画好きにはたまらない作品のはずです。
永瀬は貫禄の演技ですが、ヒロインの水崎綾女の演技が新鮮でいいです。ファンになってまうやろ!って感じにカワイイ。
永瀬が彼女の顔を触るシーンは、エロチック過ぎます!
ラストも良いですね!
「羊の木」
(監)吉田大八(プロ)井手陽子(原)いがらしみきお、山上たつひこ(脚)香川まさひと(撮)芦澤明子
(出)錦戸亮、木村文乃、松田龍平、北村一輝、優香、田中眠、市川実日子、中村有志、安藤玉恵、細田善彦、山口美也子
 殺人犯を過疎化対策の切り札にしようという政府の新政策により6人の殺人犯が富山県の港町にやってきます。そこから始まる不穏な状況。
 6人の世話を任された市役所の担当は、しだいに事態に巻き込まれて行きます。
 6人と主人公それぞれのその後は・・・ 
 なかなか予想できない展開のサスペンス映画
「BLAME!」(アニメ)
(監)瀬下寛之(原)(総監)弐瓶勉(脚)村井さだゆき(キャラD)森山佑樹(PD)田中直哉(アニメD)永園玲仁(美監)滝口比呂志(音)菅野裕悟
(声)櫻井孝宏、花澤香菜、雨宮天、山路和弘、宮野真守、洲崎綾、島崎信長、早見沙織、梶裕貴、豊崎愛生
<あらすじ>
 制御を失い永遠に巨大化を続ける都市。人間はそこでは駆除の対象になっていました。
 わずかに残された人間たちの村では、駆除の対象外の場所に住みながら外に食料を探しに出ていました。
 しかし、食料を確保する電基漁師たちもセーフガードによって殺され続け、村は餓死の瀬戸際に追い込まれていました。
 そこに謎の男、霧亥が現れ、ネット端末遺伝子をもつ人間を探していると尋ねます。
 村の下にその「ネット端末遺伝子」を持つ人間がいるかもしれないことがわかり、霧亥と村人がそこに向かいます。
 絵、世界観、キャラクター、リアリティー、オリジナリティー、メカデザイン、音楽など、どれもなかなかもの! 
 奥行きがたっぷりとある物語のほんの一部で、続編も過去編もスピンオフも想像させてくれる壮大な作品。
 「風の谷のナウシカ」&「JUNK HEAD」的な終末SFの傑作。
「blank 13」
(監)斎藤工(脚)西条みつとし(原)はしもとおうじ(撮)早坂伸(音)金子ノブアキ(主曲)「家族の風景」笹川美和
(出)高橋一生、斎藤工、リリー・フランキー、松岡茉優、神野三鈴、大西利空、佐藤二郎、金子ノブアキ、織本順吉、神戸浩、くっきー、伊藤沙莉、大木洋介 、波岡一喜、村上淳、福士誠治
 初監督とは思えない見事な作品です。笑えて、泣けて、不思議になれて、楽しめる娯楽作品。
 地味ながらなかなか豪華な役者の顔ぶれは、彼の人脈のおかげなのでしょうか?顔ぶれだけでも楽しめます!
 次回作が楽しみです。
「武曲 MUKOKU」
(監)熊切和嘉(原)藤沢周(脚)高田亮(撮)近藤龍人(美)井上心平(音)池永正二(AC)辻井啓伺(題字)武田双雲
(出)綾野剛、柄本明、村上虹郎、小林薫、神野三鈴、風吹ジュン、前田敦子、片岡礼子、康すおん
現代を舞台にした剣豪の映画。暗く狂気に満ちた世界はまさに熊切ワールド。綾野剛はその世界にぴったりですが、その肉体美が凄い!(背中の筋肉が・・・)
鎌倉を舞台にこんな思い映画ができるとは・・・。小林薫の精悍な顔がまたさすがです。
もちろん決闘のシーンは見ごたえあります。(スローモーションや編集による小細工なし)
「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(ドキュメンタリー)
(監)佐古忠彦(製)大友淳、秋山浩之(製総)藤井和史(声)山根基世、役所広司(撮)福田安美(編)後藤亮太(音)坂本龍一他
(出)瀬永亀次郎、稲峰恵一、内村千尋
TBSテレビ「報道の魂」スペシャル「米軍が最も恐れた男〜あなたはカメジローを知っていますか?〜」に追加映像を加えて映画化した作品。
「ユリゴコロ」
(監)(脚)(編)熊澤尚人(原)沼田まほかる(製)石田雄治(撮)今村圭佑(音)安川午朗(主題歌)Rihwa「ミチシルベ」
(出)松坂桃李、吉高由里子、松山ケンイチ、木村多江、清原果耶、清野菜名、佐津川愛美、貴山侑哉
俳優陣が皆怪演!それぞれの配役が見事にはまっています。途中、リストカットの場面は見ていられなくなりましたが、そこを過ぎると一気に見りました。
お話は少々出来過ぎの感はあるのですが、十分に感情移入できるし、よく出来たお話なので見ごたえありました。
吉高の冷たさ、清原の不気味さ、マツケンの人の好さ、佐津川の怖すぎる快感、松坂の狂気ギリギリの顔、貴山の渋さ、木村の相変わらずの薄幸ぶり・・・
「夜明け告げるルーのうた」(アニメ)
(監)(製)(脚)湯浅政明(チーフP)山本幸司(制P)チェ・ウニョン(脚)吉田玲子(キャラクターD)ねむようこ(撮)バティスト・ペロン(作監)伊東伸高(色設)ルシアン・ブリアン(曲)松村崇継(主題曲)「歌うたいのバラッド」斉藤和義(声)谷花音、下田翔大、寿美菜子、斎藤壮馬、柄本明、チョー
 「クレヨンしんちゃん」「ピンポン」などの監督による長編アニメ映画。
 ポニョ+トトロ+サマーウォーズといった感じですが、けっしてパクリで終わることなく、それ以上の想像力の翼が見る者を驚かせます。
 斉藤和義のテーマ曲も今更ながら素晴らしい。
 これは掘り出し物の傑作です。
「夜は短し歩けよ乙女」(アニメ)
(監)(演)(製)湯浅政明(原)森見登美彦(脚)上田誠(制P)チェ・ウニョン(キャラD)(総作画)伊東伸高(色設)ルシアン・ブリアン(音)大島ミチル(キャラ原)中村佑介(主題歌)「荒野を歩け」アジアン・カンフー・ジェネレーション(声)星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜二、麦人、本多力
 スタジオSARUによるこちらも傑作です。時間と労力をかけてリアリズムに徹すのも良いのですが、リアルなだけがアニメではない。そのことを証明した監督。
 ヨーロッパ企画(上田誠)とのコラボ作品ということで、伏線の回収も見事です!「リンゴ」は落ちるけど、「コイ」も落ちてくるとは、なかなかお上手です。
 京都ロケでもないのに、京都の雰囲気もよく出ていたと思います。
 色とデザインのセンスが抜群なのは、監督の才能は当然ですが、スタッフ全体のセンスもなくてはならないのがアニメ。スタジオ「SARU」いい仕事しています。
「映画 夜空はいつも最高密度の青色だ」
(監)(脚)石井裕也(原)最果タヒ(撮)鎌苅洋一(音)渡邊崇(主題歌)The Mirraz「New World」
(出)池松壮亮、石橋静河、田中哲司、松田龍平、ポール・マグサリン、佐藤玲
寺山の「あゝ荒野」に対し、こちらは最果タヒの詩集が原作。人生をゼロからスタートする若者たちの新鮮な世界を見つめる目に心が洗われました。
「恋」とは?「人生」とは?「幸せ」とは?すべてに感動できるのは素晴らしい、でももう戻る気にはなれない。
そう思えたら、自分は幸福だということ。
事件もなし、ラブシーンもなし、キスも喧嘩もなし、それなのに素晴らしい映画。
脚本家でもある石井監督の成長ぶりに驚き!
「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜」
(監)滝田洋二郎(製)林雄一郎(企)秋元康(原)田中経一(脚)林民夫(撮)浜田毅(編)李英美(音)菅野裕悟
(出)二宮和也、西島秀俊、宮崎あおい、綾野剛、西畑大吾、竹野内豊、大地康雄、笈田ヨシ、伊川東吾
 伝説の料理人の足跡をたどる旅は、同時に彼が生み出したメニュー(レシピ)をたどる旅となり、日本による満州征服の歴史の旅でもあります。
 落ちは大体読めましたが、それでもなお予想出来なかった部分もありました。あまりに出来過ぎの展開すぎたのがちょっと残念。
 もっとシンプルに撮った方が感動したかもしれません。でもグルメものは、さすがに日本らしいジャンルで音楽と共に楽しめます。
2018年
「海を駆ける」
(監)(脚)(編)深田晃司(製)新井重人(EP)太田和弘、荒木宏幸他(撮)芦澤明子(音)小野川浩幸
(出)ディーン・フジオカ、太賀、鶴田真由、阿部純子、アディパティ・ドルティン、セカール・サリ
インドネシアの海から現れた謎の日本人、それが誰なのかを調べることになった母と子。
津波によって大きな被害を受けたアチェ。植民地時代の影響が今も残るインドネシア。
そこに現れた生みの化身のような男「ラウ」とは何者なのか?
不思議なファンタジー作品
「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」
(監)(脚)三木聡(撮)相馬大輔(音)上野耕路(特造)西村喜廣
(出)吉岡里帆、阿部サダヲ、千葉雄大、ふせえり、松尾スズキ、麻生久美子、田中哲司、小峠雄二、岩松了、池津祥子
 「スター誕生」のリメイクともいえる作品です。でも三木スタイルはやはり楽しい!ふせ&松尾コンビは最高です!
 早く「時効警察」の続編が見たい!
「カメラを止めるな」
(監)(脚)(編)上田慎一郎(製)市橋浩治(撮)曽根剛(録)古茂田耕吉(特メイク)下畑和彦(音)永井カイル
(出)濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、秋山ゆずき
 この年の日本映画を代表する大ヒット映画、文句なしに面白いのはなぜか?
「菊とギロチン」
(監)(脚)瀬々敬久(脚)相澤虎之介(撮)鍋島淳裕(美)磯見俊裕、馬場正男(音)安川午朗(題字)赤松陽構造(ナレ)永瀬正敏
(出)木竜麻生、寛一郎、東出昌大、韓英恵、渋川清彦、山中崇、井浦新、大西信満、嘉門洋子、嶋田久作、宇野祥平、大森立嗣
 パワフルです。女相撲の歴史にも興味津々ですが、大正デモクラシーについてももっと知りたくなりました。
 まるで今村昌平と若松孝二を足して二で割ったような迫力の映画です。
「きみの鳥はうたえる」
(監)(脚)三宅唱(製)(企)菅原和博(原)佐藤泰志(撮)四宮秀俊(衣)石原徳子(照)秋山恵二郎(音)Hi'Spec 
(出)柄本佑、石橋静河、染谷将太、渡辺真紀子、萩原聖人、足立智充、Hi'Spec、OMSB
 佐藤泰志原作による函館3部作の後でまさかの名作が再び誕生!
 主役3人の自然な演技をカメラがこれまたごくごく自然に撮り続けます。これといった事件もなく坦々進むのに目が離せないのは、なぜ?
 クラブの場面、石橋静河が踊る姿が本当に魅力的です。3人の楽しそうな姿はこちらまで幸福になってきます。(はかないとわかっていても)
 これぞ映画の原点。原作が魅力的なだけではこうはならないはず。監督の才能でしょう。きっと。
 石橋静河がとにかく可愛い!謎めいていて魅力的!今後も期待大!(思えば、母親の原田美枝子も好きでした・・・) 
 意外に函館の街の存在感が薄かったのはちょっと残念でしたが・・・(原作は東京が舞台なので仕方なのかな?)
孤狼の血
(監)白石和彌(原)柚木裕子(脚)滝上純哉(撮)灰原隆裕(音)安田午朗
(出)役所広司、松坂桃李、真木よう子、江口洋介、石橋蓮司、ピエール瀧、竹野内豊、田口トモロヲ
 凄い映画が生まれた! 早くも続編が楽しみです!
「今夜、ロマンス劇場で」
(監)武内英樹(製)稲葉直人(脚)宇山佳佑(撮)山本英夫(編)松尾浩(衣)宮本まさ江(美)原田満生、岡田拓也(音)住友紀人
(出)綾瀬はるか、坂口健太郎、北村一輝、柄本明、酒井敏也、池田鉄洋、竹中直人、加藤剛、本田翼、中尾明慶、石橋杏奈、西岡徳馬
映画の世界から現実へ飛び出したお姫様。東映のしがない助監督との恋物語。
レトロな映画ファン向けはわかるものの、綾瀬はるかの魅力に頼り過ぎ。
ラストはなかなか素敵です。でも途中、少々間延びして、コメディ的には中途半端で惜しい。
 
「斬、」
(監)(製)(脚)(撮)(編)(出)塚本晋也(撮)林啓史(美)遠藤剛(衣)宮本まさ江(音)石田忠(音響)北田雅也(殺陣)辻井啓伺(時考)大石学
(出)池松壮亮、蒼井優、中村達也、前田隆成 
「野火」がリアルに戦争を描いた作品だったのに対し、こちらはリアルに「チャンバラ」を描いた作品です。
チャンバラって、本当はこんなに怖いものなのだと実感。素晴らしい背景の音楽、音響がさらに不気味に緊張感を高めます。
配役も絶妙で、塚本監督は「七人の侍」の志村喬を思わせます。
<あらすじ>
時代は幕末。混沌とする日本の状況の中、田舎の村から一人の侍、都築が江戸に抜けて出発しようとしていた。
そこに現れた剣豪の侍、澤村は、君の腕ならご公儀の役に立てる。一緒に江戸に行こうと誘います。
しかし、その頃、彼が世話になっていた村に流れ者の浪人たちが現れ、村人たちは怯えて外にも出られなくなります。
そんな浪人たちを追い払うため、澤村は浪人たちを追い払おうとしますが、それが悲惨な結果を迎えます。
都築もその戦いに巻き込まれ、澤村に実力を証明するよう求められますが・・・。
「四月の永い夢」
(監)(脚)中川龍太郎(P)藤村駿(共脚)吉野竜平(撮)平野礼(衣)タカダヒカル(編)丹羽真結子(音)加藤久貴
(出)朝倉かすみ、三浦貴大、川崎ゆり子、高橋由美子、志賀廉太郎、高橋恵子、森次晃嗣
(主題歌)「書を持ち僕は旅に出る」(演)赤い靴(曲)東川亜希子(詞)平岡恵子
 普段なら脇役の二人が主人公の地味目のモラトリアム・ドラマです。朝倉かすみがどこにでもいそうな繊細な女性役で輝いています!
 彼女なら人生をかけて守ってあげたい!そう思わせてくれます。すっかりファンになってしまいました。
<あらすじ>
3年前に別れた恋人が突然死亡したことを知り、それから音楽教師を辞めて蕎麦屋でバイトをして暮らす初海。
彼女に2年間声をかけようと店に通っていた染物職人の青年が、声をかけます。
そんな頃、彼女のもとに教え子だったジャズ・シンガーを目指す女子生徒が現れ、恋人の母親から手紙が送られてきます。
「鈴木家の嘘」
(監)(脚)野尻克己(製)井田寛(企P)小野仁史(撮)中尾正人(編)早野亮(美)渡辺大智、塚根潤(衣)小里幸子(音)明星「点と線」
(出)岸部一徳、原日出子、木竜麻生、大森南朋、加瀬亮、岸本加代子、宇野祥平、吉本菜穂子、山岸門人
自殺した引きこもりの長男を前に気を失い記憶を失った母親のため、家族が長男は部屋を出てアルゼンチンに旅だったと嘘をつきます。
回復した母は、そのことを知り安堵しますが、他の家族はなぜ長男が自殺したのかを悩み続けます。
自殺者について悩む人々のためのカウンセリングの会の場面は、それぞれのエピソードだけで泣かされます。
監督は長編デビューですが、今後の期待大!ちょっと長いかもしれませんが、きっちりとした良い家族の映画です。
木竜ちゃんは、体育会系の「のん」といった感じで輝いています!
 
「太陽の塔」
(監)関根光才(日本)
(製)井上肇、大桑仁、清水井敏夫、掛川治男(エグP)平野暁臣(P)曽根祥子、菅原直太、鈴木南美他(撮)上野千蔵(編)本田吉孝(音)JAMAPUR
「太陽の塔」のメイキング・ドキュメンタリーかと思ったら、それ以上の「ベラボー」な作品でした!
「デイ・アンド・ナイト」
(監)(脚)藤田道人(製)(脚)山田孝之(製)伊藤主税、岩崎雅公(脚)小寺和久(原)阿部進之介(撮)今村圭佑(編)古川達馬(音)堤裕介
(出)阿部進之介 、安藤政信、清原果耶、小西真奈美、佐津川愛美、室井滋、田中哲司、渡辺裕之
父親の自殺を知り故郷に戻った息子は父親が自動車泥棒たちのメンバーでその資金で児童養護施設を助けていたことを知ります。
施設長の誘いから強盗団の仲間入りをした息子は父親を自殺に追い込んだ自動車会社への復讐を計画しますが・・・
夜は強盗団、昼は児童養護施設で働くシーンの転換の連続場面は音楽と編集が良いです!
この監督のクールな描き方は「新聞記者」でも生かされています。
でもラストもう少しなんとかならなかったのかなあ?救いが無さ過ぎでしょ。
山田孝之の製作、脚本。主演の阿部進之介による原案。 
止められるか、俺たちを
(監)白石和彌(製)尾崎宗子(脚)井上淳一(撮)辻智彦(美)津留啓亮(音)曽我部恵一(主題歌)「だれだっけ」
(出)門脇麦(吉積めぐみ)、井浦新(若松孝二)、山本浩司(足立正生)、岡部尚(沖島勲)、大西信満(大和屋竺)、タモト清嵐(秋山道男)、毎熊克哉(小泉一男)、伊島空(高間賢治)、藤原季節(荒井晴彦)、音尾琢真(赤塚不二夫)、高岡蒼佑(大島渚)、奥田英二(葛井欣士郎)、高良健吾(吉沢健)
満島真之介、吉沢健、寺島しのぶ 
 1960年代から70年代にかけて、熱い時代の熱い若者たちの記録が熱い!
「翔んで埼玉」
(監)武内英樹(製)石原隆他(脚)徳永友一(原)魔夜峰央(撮)谷川創平(美)あべ木陽次(衣)田中まゆみ(音)Face2fAKE(主題歌)はなわ
(出)二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザー・トム、麻生久美子、島崎遥香、中尾彬、成田凌、、加藤涼、武田久美子、京本政樹、竹中直人、麿赤児、小沢真珠
 これだけぶっ飛んだ内容なのに実写化が可能になったのは、GACKTの存在感、二階堂ふみの演技力があってこそでしょう。
 一歩間違うと学芸会のレベルになるところですが、それがちゃんとドラマになったのは大したものです。
 僕は、東京の中野、川崎の生田、埼玉の行田市に住んだ経験があるので、この映画実によくわかります。さすがに関東圏に住んでいないと楽しめないはずですね。と関東以外への差別かい!
「寝ても覚めても」
(監)(脚)濱口竜介(EP)福嶋更一郎(P)定井勇二、山本晃久、服部保彦(原)柴崎友香(脚)田中幸子(撮)佐々木靖之(編)山崎梓(SE)浅梨なおこ
(出)東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤紗莉、渡辺大知、田中美佐子、仲本工事
 いろいろといわくつきの作品で未見でした。すいません。面白かった!東出君が惚れるのも仕方ないか?映画の魔力が事件を起こさせたのか?
 恋をするってのは、そんな馬鹿げた過ちをさせるものです。僕もわかるし、愛さる人がいることの幸せな気持ちもわかるつもりです。
 そう思って、この作品を見られることに感謝したいとも思います。映画を見ること、その魅力を感じることは、実人生とも関わるものだと思います。
 恋愛映画に関しては、その差は決定的かもしれません。そんなことをしみじみ感じながら見ていました。
 そうさせるのは、この作品にリアリティーがあり、俳優たちの名演があるからでもあります。
「ハード・コア」
(監)山下敦弘(原)狩撫麻礼「ハード・コア平成地獄ブラザース」(脚)向井康介(撮)高木風太(音)Ovallエンディング曲「なだらかな夜」Feat.Gotch(後藤正文)
(出)山田孝之、佐藤健、荒川良々、石橋けい、首くくり栲象 、康すおん、松たか子
 山田&山下コンビによるオフ・ビート・SFコメディ
 途中まではわくわくして見ていたのですが、何か物足りなかったような・・・
「ハナレイ・ベイ」
(監)(脚)(編)松永大司(原)村上春樹(撮)近藤龍人(音)半野喜弘(テーマ曲)イギー・ポップ「ザ・パッセンジャー」(薬中の栗原類が聞いていた曲)
(出)吉田羊、佐野玲於、村上虹郎、佐藤魁、栗原類
村上春樹の中編を映画化。
サメに襲われて死んだ息子が死んだハワイのハナレイ・ベイを毎年訪れる母親。
地元の人々、日本人サーファーの若者たちとの交流が、少しずつ彼女の心を癒し、しだいに息子と向き合えるようになります。
静かで淡々とした作品で好感が持てます。風景も良いし、音楽も良い。
「パンク侍、斬られて候」
(監)石井岳龍(原)町田康(脚)宮藤官九郎(撮)松本ヨシユキ(美)林田裕至(音)森俊之
(主題歌)「アナキー・イン・ザ・UK」セックス・ピストルズ(ナレーター)(ゼウス)永瀬正敏
(出)綾野剛、北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、豊川悦司、國村隼人、村上淳、渋川清彦、近藤公園、若葉竜也
 元パンクロッカーであるパンク小説家町田康の同名タイトル作品(2004年刊)
「半世界」
(監)(脚)阪本順治(製総)木下直哉(撮)儀間眞悟(音)安川午朗(出)稲垣吾郎、長谷川博己、渋川清彦、池脇千鶴、杉田雷麟、石橋蓮司、小野武彦
 悩みながら生きる男三人の友情物語。渋川清彦、池脇千鶴、石橋蓮司など脇役も味があります。
 「半世界」とはどんな世界かは見てのお楽しみです。
「日日是好日」
(監)(脚)大森立嗣
(プロ)吉田知己、金井隆治、近藤貴彦(原)森下典子(撮)槇憲治(字)赤松陽構造
(美)原田満生、堀明元紀(衣)宮本まさ江(音)世武裕子(音響)伊藤進一
(出)黒木華、樹木希林、多部未華子、鶴見辰吾、鶴田真由
 「茶道」をテーマとしたザ・日本映画といえるワビサビに満ちた作品。日本人の多くにも新鮮な内容で非常に勉強になります!
 黒木華、多部未華子のコンビも新鮮。「茶道」やってみたくなりました。
 そして、樹木希林さんの集大成でもあり、なんだかいつもより若く見えました。改めてご冥福をお祈りします。
 「日日是好日」いい言葉です。
「ビブリア古書堂の事件手帖」
(監)三島有紀子
(企P)小川真司(製)堀内大示、宮崎信夫他(原)三上延(脚)渡部亮平、松井香奈(撮)阿部一孝(美)黒瀧きみえ(衣)宮本まさ江(編)加藤ひとみ(音)安川午朗(Eテーマ)サザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」
(出)黒木華、野村周平、東出昌大、夏帆、成田凌、神野三鈴、渡辺美佐子、高橋洋
 テレビ・シリーズも好きだったのですが、こちらはその初回的内容。
 映画だけに細部へのこだわりもあって楽しい。でもそれは前半で後半、事件が進むとどうも今一つ盛り上がりません。
 問題は犯人がすぐわかってしまったことと、逃げる理由がわからないこと。映像化したことで展開の不自然さが出てしまった。
 もっと本好きがよろこぶウンチクとかエピソードが欲しかったなあ。そんなにドラマチックにしなくていいのに・・・。
「ペンギン・ハイウェイ」
(監)石田裕康(原)森見登美彦(脚)上田誠(ヨーロッパ企画)(キャラD)新井陽次郎(制)スタジオ・コロリド(音)阿部海太郎(歌)宇多田ヒカル「Good Night」
(声)北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、西島秀俊、竹中直人
 2010年に日本SF大賞を受賞したSF小説をアニメ化。
 スケールの大きな想像力爆発の内容が楽しく、「ジュブナイル」的な夏休み感も懐かしい。
 ペンギンたちも可愛いし・・・これぞ日本のアニメって感じ。
「マスカレード・ホテル」
(監)鈴木雅之
(製)石原隆ほか(原)東野圭吾(脚)岡田道尚(撮)江原祥二(美)あべ木陽次(音)佐藤直紀
(出)木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、鶴見辰吾、松たか子、生瀬勝久、勝地涼、渡部篤郎、石橋凌
 さすがは東野圭吾原作です。実によく出来たお話です。最後まですきのない展開で十分に楽しめました。
 木村拓哉も「キムタク臭」を消していて好ましかった。
「漫画誕生」
(監)(脚)大木萌(アニメ監)ひらさわひさよし
(P)加瀬修一、田村昌裕(脚)若木康輔(撮)高間賢治(美)坂入蛇虎(編)太田義則(音)住友紀人
(出)イッセー尾形、篠原ともえ、橋爪遼、稲荷卓央、モロ師岡、芹沢興人、とみやまあゆみ、吉岡睦雄
北沢楽天、岡本一平(岡本太郎の父)、宮武骸骨、福沢諭吉、横山隆一(フクちゃん)、近藤日出造などが登場。
漫画雑誌の元祖の一つ「東京パック」で漫画を描いた画家の伝記映画。
時代の要請もあり、当時の漫画は「風刺漫画」としての存在意義が大きかったようです。
そんな中、関西で活躍する宮武骸骨に触発され、関東では「東京パック」が登場し大ヒットしました。
戦時中の検閲官との対話で過去を振り返る形で展開し、少々無理もあります。
イッセー尾形はもちろんですが、篠原ともえが素晴らしい女優なのに感心しました!
「万引き家族」
(監)(脚)(編)是枝裕和(製)石原隆、依田巽、中江康人(撮)近藤龍人(美)三ツ松けいこ(衣)黒澤和子(音)細野晴臣(出)リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、池松壮亮、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、緒方直人、森口瑤子、山田裕貴 
カンヌ国際映画祭パルムドール
 「万引き家族」と言っても万引きするのは「父と子」で「シン・家族」とした方が近い気がします。「本物の家族よりも幸福な家族の物語」でも良いです。
 少年役の城くんの演技力とイケメンぶりは、今後が楽しみです。
 そして「追悼、樹木希林さん」本当に映画を生き切った方でした。ご冥福をお祈りします。
「未来のミライ」(アニメ)
(監)(原)(脚)細田守(CG)堀部亮(作画)青山浩行、秦綾子(音)高木正勝(主曲)山下達郎
(声)上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、役所広司、福山雅治、宮崎良子、吉原光男、山像かおり
 子供を甘やかしすぎでは?と思うのはもう古いのか?ヴァーチャルで子供を育てるための映像作品?
 ラストは上手くまとめているものの、ちょっとイライラしたのも事実です。 
「メランコリック」
(監)(脚)(編)田中征爾(製)皆川暢二(撮)高橋亮(録)宗晋瑞、でまちさき、衛藤なな(助監)蓮池貴範
(出)皆川暢二、磯崎義知、吉田芽吹、羽田真、矢田政信、浜谷康幸、山下ケイジ
 湯るーいブラック・ユーモア犯罪ドラマの秀作。
 もう少しテンポ・アップすればとも思いましたが、そこが魅力かもしれません。
 ラスト近く主人公と殺し屋青年が居酒屋でする会話が実に魅力的。その後の実家での家族交えての会話もシュールで魅力的。
 ラストは予想外でした。
「モリのいる場所」
(監)(脚)沖田修一(製)吉田憲一、宇田川寧(製総)永山雅也(撮)月永雄太(美)安宅紀史(音響)勝亦さくら(音)牛尾憲輔
(出)山崎努、樹木希林、加瀬亮、青木崇高、池谷のぶえ、光石研、吉村界人、三上博史、きたろう、吹越満、林与一
 画家、熊谷守一と妻のある一日にスポットを当てた作品。小さな庭が無限の広さをもつ宇宙のような広さに見えてくる壮大な映画。
 ラストには本当に地球を飛び出すSF映画にまで拡張されてしまいます・・・!この場面は必要なかった気がしますが・・・、それよりもアリの二番目の脚が動き出す映像がほしかったなあ。
 山崎努と樹木希林が初共演だったとは!これまた驚きでした。
 沖田監督は、「南極料理人」といい「横道世之介」といい人間を優しい視点で描くのが本当に得意。心優しい映画も必要です。
 「ディストラクション・ベイビーズ」ばかりじゃ疲れますから。 
「リバーズ・エッジ」
(監)行定勲(原)岡崎京子(脚)瀬戸山美咲(撮)槇憲治(音)世武裕子(主題歌)小沢健二 
(出)二階堂ふみ、吉沢亮、上杉祥平、SUMIRE、森川葵、土居志央梨、西田尚美
 主役二人の存在感なしに成り立たないほど、素晴らしい演技!
 1990年代の東京の青春を描いた伝説のカルト作品を実写映画化。

 この街は悪疫のときにあって -
 僕らの短い永遠を知っていた
 僕らの軽い永遠 僕らの愛
 僕らの愛は知っていた
 街場レベルの のっぺりした壁を
 僕らの愛は知っていた 沈黙の周波数を
 僕らの愛は知っていた 平坦な戦場を
 僕らは現場担当者になった 格子を解読しようとした
 相転移して新たな配置になるために
 深い亀裂をパトロールするために 落ち葉を見るがいい
 枯れた噴水をめぐること 平坦な戦場で僕らが生き延びること
「The Beloved」 by William Gibson ウィリアム・ギブソン
「若おかみは小学生!」(アニメ)
(監)(演)高坂希太郎
(アニ制)マッドハウス、DLE(製)川島崇、中村敦子他(企)椎木隆太、角田真敏他(Eプロ)紙谷零、松下卓也他
(プロ)齋藤雅弘、五味秀晴他(原)令丈ヒロ子、亜沙美(脚)吉田玲子(作監)廣田俊輔(CG)設楽友久
(美監)渡邉洋一(色設)中内照美(撮監)加藤道哉(音)鈴木慶一(主題歌)「また明日」藤原さくら
(出)小林星蘭、水樹奈々、松田颯水、一龍齋春水、てらそままさき、ホラン千秋、鈴木杏樹、薬丸裕英、山寺宏一
 両親を交通事故で失った少女が祖母が経営する温泉旅館で暮らし始めます。そこには祖母の幼馴染の幽霊がいて、彼女にだけ見えました。
 そこで彼女は若女将になることを決意しますが・・・。そこにはいろいろな客が来て、彼女は対応に追われながらも成長して行きます。
 泣けます!いい作品です!
2019年
「愛がなんだ」
(監)(脚)今泉力哉(製総)福島更一郎、成宏基(原)角田光代(脚)澤井香織(撮)岩永洋(編)佐藤崇(音)ゲイリー芦屋
(出)岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、江口のりこ、若葉竜也、筒井真理子、中嶋歩、片岡礼子
低予算作品ながらロングランヒットになり、映画館は女子だらけだったという異色のラブストーリー。
相思相愛のカップルが出てこない今時の恋愛事情が描かれているものの、昔も今も変わらないすれ違い、いやボタンの掛け違いが愛おしい。
いまさら「愛がなんだ」もないけれど、いい味出しています。予想外のラストでしたが・・・ありだよね。田中君になりたかったんだもの。
「アイネクライネナハトムジーク」
(監)今泉力哉(製)依田巽他(原)伊坂幸太郎(脚)鈴木謙一(撮)月永雄太(編)相良直一郎(音)斉藤和義
(出)三浦春馬、多部未華子、矢本悠馬、原田泰造、貫地谷しほり、森絵梨佳、恒松裕里、MEGUMI、濱田マリ、萩原利久、サンドイッチマン
10年がかりの愛の行くへを仙台の街を背景に描いた伊坂幸太郎らしい見事なお話!
実によくできた脚本(原作)です。できすぎな展開の気もしますが、それも納得させる上手い作りです!
それにしても三浦春馬いい顔していました。なんでいっちゃったのかなあ?
多部、貫地谷は当然ですが、それ以上に森絵梨佳、恒松裕理の親子が素敵です!
「i - 新聞記者ドキュメント -」
(監)森達也(製)河村光庸(編)鈴尾啓太(音)MARTIN(監補)小松原茂幸
(出)望月衣塑子
安倍政権によるマスコミへの圧力に対抗して質問を続ける東京新聞の記者、望月衣塑子に密着したドキュメンタリー映画。
いかに現在の政権が国民に対して情報を開示していないのか。記者クラブが政権からの独自情報ほしさに委縮してしまっているのか。
記者クラブ主催の記者会見なのに上村とかいう無礼な男による司会や妨害がまかりとおるおかしな現状。
彼女が孤立してしまっている情況を生み出した情けないマスコミたちの現状。
彼女への菅官房長官からのパワハラは見ていて気分が悪くなります。
でも、それを毎日平気で繰り返す望月さんのKYぶりは、本当に凄い!僕は怒りで胃が痛くなりそうでした。
大人しい僕でもあの上村とか菅さんに暴言を吐きたくなります。絶対言っちゃそう。
「今、質問中なんだよ。わからんのか!黙れ!」
言いたい!思えば、今回の作品は森さんが大人しかった。
たぶん主役の望月さんを立てて、自分が目立つことを避け、なおかつ彼女の今後の取材活動に迷惑をかけたくなかったのでしょう。
そうでなければ、森さんなら官邸への強行突入もやりかねなかったはずだと思うのですが・・・。
応援しています。望月さん!森さんも!
「浅田家!」
(監)(脚)中野量太(製)市川南(企・P)小川真司(原)浅田政志(脚)菅野友恵(撮)山崎裕典(編)上野聡一(美)黒川通利(音)渡邉崇
(出)二宮和也、妻夫木聡、風吹ジュン、平田満、菅田将暉、渡辺真紀子、黒木華、北村有起哉、池谷のぶえ
<あらすじ>
写真家を目指す浅田家の次男は、ぶらぶらするばかりでしたが、ある日、父親の夢をかなえ消防士のコスプレ写真を家族と共に撮影。
これが気に入った家族は、それをシリーズ化して様々な写真を撮影し、それを写真集として発表。それが賞を受賞し、写真家として活動を開始。
家族の写真を撮る専門化として、日本各地を回り始めます。そんなある日、あの東日本大震災が起きます。
彼はかつて自分が撮った最初の家族写真の被写体となった一家の安否を確かめるために岩手県野津町を訪れます。
するとそこで津波で流された写真を家族に返却するボランティア活動をする青年と出会い、彼を助け始めます。 
さすがは家族映画の巨匠、中野量太監督です。
特にラストのどんでん返しが好きです。 写真を撮らない一流の写真家。一流の写真家とは、写真の技術より、メンタルやアイデアが重要なんですね。
写真というメディアの存在価値を改めて感じさせてくれました。
「あの日のオルガン」
(監)(脚)平松恵美子
(製)三宅はるえ(製総)李鳳宇(原)久保つぎこ「あの日のオルガン 疎開保育園物語」(撮)近森眞史(編)小堀由起子(音)村松崇継
(主題歌)「満月の夕」(詞・曲)中川敬(歌)アン・サリー
(出)戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、奥村佳恵、田中直樹、橋爪功、夏川結衣、松金よね子
山中崇、田畑智子、林屋正蔵、萩原利久、白石糸
<挿入歌>
「どんぐりころころ」(詞)青木存義(曲)梁田貞、「きんたろう」(詞)石原和三郎(曲)田村虎蔵、「雀の学校」(詞)清水かつら(曲)弘田龍太郎
「花火」(詞)井上赳(曲)下総皖一、「なつかしの歌声」(詞)西條八十(曲)古賀政男、「靴が鳴る」(詞)清水かつら(曲)弘田龍太郎
「お猿のかごや」(詞)山上武夫(曲)海沼實、「お山の杉の子」(詞)吉田テフ子(補詞)サトウハチロー(曲)佐々木すぐる
「夕日」(詞)葛原しげる(曲)室崎琴月、「赤とんぼ」(詞)三木露風(曲)山田耕作、「かごめかごめ」(わらべうた)
「この道」(詞)北原白秋(曲)山田耕作、「うれしいひなまつり」(詞)山野三郎(曲)河村直則、「春の小川」(詞)高野辰之(曲)岡野貞一
「露営の歌」(詞)薮内喜一郎(曲)古関祐而、「故郷」(詞)高野辰之(曲)岡野貞一 
1944年から1945年、東京品川区の戸越保育所と墨田区の愛育隣保館の子供たち53人を埼玉県の桶川に疎開させた保育士たちの物語
戦闘もなくただただ戦火から逃れるための闘いの日々を記録した原作を映画化。
監督・脚本は山田洋次作品の共同脚本、助監督の平松恵美子。二作目のようですが、十分に後継者としての役割を果たしています。
戦時中らしい色も素晴らしく、俳優陣の演技も見ごたえあります。主人公の戸田恵梨香は本当に熱演です。
お涙頂戴の内容ですが、それは必然です。泣けますよそりゃあ。わざとらしさはなく抑えた演出にも好感が持てます。
「アルキメデスの大戦」
(監)(脚)(VFX)山崎貴(原)三田紀房(製)佐藤善宏、守屋圭一郎(製総)阿部秀司、山内章弘(撮)柴崎幸三(音)佐藤直紀(出)菅田将暉、舘ひろし、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼人、橋爪功、田中眠
 オープニングで大和が海に沈むところから始まります。しかし、この物語は数学の力によって、大和の建造をストップさせようというもの。
ではどうやって、お話を終わらせるのか?ラストに予想外の展開があります。それがあるからこの作品は映画として成立したのです!なるほどです。
 ただし、数学の天才というよりも、経理の天才のようにも思えましたけどね。そして、東京オリンピックのスタジアムとダブりますね。
 この作品には舞台劇版もあるようです。確かに、特撮なしでも成り立ちそうです。
「ある船頭の話」
(監)(脚)(編)オダギリ・ジョー(製総)木下直哉(プロ)市山尚三、永井卓郎、中島裕作(撮)クリストファー・ドイル(衣)ワダエミ
(美)佐々木尚(音)ティグラン・ハマシアン(音響)白鳥貢
(出)柄本明、川島鈴遥、村上虹郎、永瀬正敏、橋爪功、細野晴臣、伊原剛志、村上淳、蒼井優、草笛光子、笹野高志、浅野忠信
<あらすじ>
山奥の村で渡し舟で暮らすトイチ。ある日、彼は舟を漕いでいて怪我をした少女を救います。
しかし、彼女には記憶がなく、行く場所もないため、彼のもとで暮らすことに。
様々な人々を乗せるトイチですが、上流に建設中の橋ができれば彼の仕事は失われるはずでした。

新潟県阿賀町の阿賀野川で撮影されています。秘境のような美しい川が主役の映画と言えるかもしれません。
それだけ川の表情が様々に変わり、素晴らしい演技を披露してくれます。人間はあくまで脇役です。
それを見事に映しとっているのは、ウォン・カーウァイ作品など世界の巨匠のカメラを担当してきたクリストファー・ドイル。画面だけでも感動。
「いつくしみふかき」
(監)(脚)大山晃一郎(企)遠山雄(脚)安本史哉(撮)谷康生(編)菊池史子
(出)渡辺いっけい、遠山雄、平栗あつみ、柄本桜、金田明夫、三浦浩一、眞島秀和、塚本高史
詐欺師の父親に捨てられた息子が故郷を出て、知人の神父に預けられます。すると、そこへ事件を起こして逃げてきた父親が・・・
教会で再会した親子ですが、父親は改心するのか?
 大筋は面白い題材ですが、コメディか?悲劇か?暴力映画か?かなりブレブレなのが残念。渡辺いっけいはまさに熱演!
 主人公があまりに情けなくて感情移入できないのも残念。途中から急にまともになって彼女までできるなんて!
「海辺の映画館 - キネマの玉手箱」
(監)(脚)(編)大林宣彦(製総)奥山和由(脚)内藤忠司、小中和哉(撮)(編)三本木久城(美)竹内公一(VFX)塚元陽大(音)山下康介
(出)厚木拓郎、細山田隆人、細田義彦、吉田玲、成海璃子、常盤貴子、山崎紘菜、小林稔侍、高橋幸宏、白石加代子、中江有里、尾見としのり、武田鉄矢
片岡鶴太郎、柄本時生、村田雄吉、稲垣吾郎、浅野忠信、伊藤歩、笹野武、蛭子能収、品川徹、入江若葉、南原清隆、手塚眞、犬童一心、川上麻衣子
満島真之介、窪塚俊介、渡辺えり、長塚圭史、犬塚弘、ミッキー・カーチス、根岸季衣、渡辺博之、大森喜之
大林監督の遺作なのにどの作品よりも、未完成でおもちゃ箱的でエネルギッシュ!やりたいことを詰め込もうと必死に作られた3時間弱の傑作。
若者たちに戦争とは何か?その歴史を知ってもらおうという試みですが、詰め込み過ぎて理解困難なはず。歴史に詳しくないと一度では理解不能。
でもその分、僕には面白かった!遊び心が凄すぎてお話を掴むのが前半は大変ですが、中盤からはお話の基本が見えてきます。
ミュージカル、映画内映画、タイムスリップSF、日本戦争史概論、戦中ヒット曲史、とにかくいろいろな要素が満載。
「おいしい家族」
(監)(脚)ふくだももこ(製)新井重人、松井智(撮)高橋草太(編)(衣)江森明日佳(美)大原清孝(音)本田俊之
(出)松本穂香、浜野健太、板尾創路、モトーラ世里奈、笠松将、三河悠牙、柳俊太郎
板尾創路と浜野健太が結婚する?その設定を納得できるようにすることがこの作品の目指すところ。
まずまず成功しています。新島という特殊な環境がそれを可能にした?それだけじゃダメですが、俳優陣のがんばりのおかげです。
松本穂香は、今は亡き竹内結子に迫ってほしい女優さん。これからにも期待しています!
とはいえ、演技以上に頑張っていたのが「おいしい料理」かもしれません!
「男はつらいよ お帰り寅さん」
(監)(原)(脚)山田洋次(製)大谷信義(脚)朝原雄三(撮)近森眞史(美)牧亜矢美、松田和夫(編)石井巌、石島一秀(音)山本直純、山本純之介
(出)渥美清、倍賞千恵子、吉岡秀隆、前田吟、後藤久美子、美保純、池脇千鶴、浅丘ルリ子、夏木マリ、橋爪功、笹野高志、佐藤蛾次郎、カンニング竹山
寅さん亡き後、小説家になった満男は妻を6年前に失くしていました。作家として有名になってきた彼はある日、書店でサイン会を開催。
するとそこに偶然帰国していた泉が現れます。高校時代の初恋と悲しい別れの二人の再開あ恋に発展するのか?
オープニングに桑田佳祐が登場し、口上を語り主題歌を歌います!
次々に登場するマドンナの顔ぶれにも感動。でも現役で女優業やっているのは、本当に少なくなりました。池脇千鶴も出演出来、大物の仲間入りできて良かった!
「おろかもの」
(監)芳賀俊、鈴木祥(脚)沼田真隆(撮)(編)芳賀俊(編)秦敏樹(音)柴山明史(主歌)円庭鈴子「Kaleidscope」
(出)笠松七海、村田唯、イワゴウサトシ、猫目はち、葉媚、広木健太 
<あらすじ>
兄と二人暮らしの高校二年生(洋子)は、結婚式を前に兄の不信な行動を追い不倫現場を目撃。
その不倫相手を尾行していたら、不倫相手に見つかり話をすることに、そして彼女のことを憎めなくなります。
いつしか仲が良くなった二人は兄の結婚式を壊そうか?という話になりますが・・・
これといった事件が起きるわけではないけれど、兄と妹、不倫相手と結婚相手が結婚式を前にどうなって行くのか?
スリス満点、予想不能な展開が続き目が離せません。実に面白い!
俳優もみな演技が上手で、配役もはまっています。まさに掘り出し物。
主役の七海ちゃんも、シャオメイちゃんも輝いています。兄の会社の同僚がなかなか重要な役を果たします。
「音楽」(アニメ)
(監)(脚)(絵コンテ)(キャラD)(作監)(美監)(編)岩井澤健治(原)大橋裕之「音楽 完全版」(音)伴瀬朝彦(声)坂本慎太郎、駒井漣、前野智哉、竹中直人
不良高校生3人組がひょんなことからバンドを始めます。まったく音楽の知識がない3人の音は、ミニマルで原始的でフリーキーな究極のロックでした。
その後、知り合ったバンド「古美術」にロックフェスへの出演を誘われた3人はそのための準備を開始しますが・・・
独りで7年かけて描いただけあって凄い!ロックへのこだわりも凄い!
「タルカス」(ELP)「チューブラーベルズ」「原子心母」(ピンクフロイド)「キングクリムゾン」「はっぴいえんど」「ウォール・オブ・サウンド」…オマージュも楽しい!
ロック好きにはたまらない作品です!タイトルは「ロック」でもよかったんじゃない?誰も文句言わないと思うけど。
80年代に活躍したニューウェーブのバンド、ポップ・グループを思い出しました。
 カ
「海獣の子」(アニメ)
(監)渡辺歩(原)五十嵐大介「海獣の子供」(キャラ・作画)小西賢一(音)久石譲(主題歌)米津玄師「海の幽霊」(美)木村真二(プロ)田中栄子
(声)芦田愛菜、石橋陽彩、浦上晟周、田中眠、森崎ウィン、富司純子、稲垣吾郎、蒼井優
海や風景、生命、そして宇宙の美しい映像を体感する作品。久石譲の音楽もそのために見事に機能しています。
海辺の町、夏休み、学校になじめない少女、上手く行かない家庭の事情・・・海にその解答があるのかもしれません。
海が好きで、空が好きで、宇宙が好きで、生命を愛する人ならたまらない映像作品。
松本大洋の傑作アニメ版「鉄コン筋クリート」のスタジオ4℃らしい世界観の前衛的な少年少女ファンタジー。
「解放区」
(監)(脚)太田信吾(製総)カトリヒデトシ(P)筒井龍平、伊達浩太朗(製)金子祐史(撮)(出)岸健太朗(出)太田信吾、本山大、山口遥、琥珀うた
「リアル」を追いかけるドキュメンタリー作家が、自らの「リアル」を失い、それを探しに旅に出る疑似ドキュメンタリー・ドラマ。
ドキュメンタリーの撮影で引きこもり男性宅を訪れたダメダメのAD。自身の企画で西成に生きる知り合いの少年を取材しようと大阪に向かいます。 
そのためのADとして引きこもり男性を大阪まで呼び出しますが、財布を盗られ、少年には会えず、恋人には捨てられ、どん底へ。
つにには解放区西成で働き、シャブに手を出し、自分のリアルと出会いますが・・・。
役者が下手過ぎるのと主人公があまりにもダメな奴で感情移入しずらいのが残念。でもこれが今のリアルなのかもしれません。
この監督のリアルは次作で明らかになるのかもしれません。
「火口のふたり」
(監)(脚)荒井晴彦(製)瀬井哲也、小西啓介他(企)寺脇研(プ)田辺隆史、行実良(原)白石一文(撮)川上晧市(編)州ア千恵子(音)下田逸郎
(出)柄本佑、瀧内公美(声)柄本明
(挿入歌)「早く抱いて」伊東ゆかり、「この世の夢」下村陽子、「紅い花咲いた」下村陽子(作曲はどれも下田逸郎)
いとこ同志で愛し合っていた2人。直子の結婚式のために秋田に戻った賢治は、東京で離婚し仕事も失っていました。
二人は再開後、自衛隊員の新郎が戻るまでの5日間、お互いの身体を求めてセックスづけの毎日を送ります。
「ザ・昭和」っぽい映画で、ほとんど二人の会話劇、セックス劇でその背景に秋田の名所が映し出されます。
ラストは予想外の展開で、新型コロナの2020年、もしくは次なる大災害に見舞われる日本を背景にしたSF映画的に展開して行きます!
「火口のふたり」の運命は?身体を求めあう人間関係が理解できるかどうか?そこがこの作品への評価の分かれ目になりそうです。
「<片隅>たちと生きる 監督・片渕須直の仕事」(ドキュメンタリー)
(監)山田礼於(音)コトリンゴ(語り)中井貴恵(出)片渕須直、のん、岩井七世、川本三郎、コトリンゴ
「カツベン!」
(監)周防正行(製)村松秀信、木下直哉他(製総)佐々木基(脚)片島章三(撮)藤澤順一(美)磯田典宏(編)菊地順一(音)周防義和
(出)成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、井上真央、竹中直人、渡辺えり、竹野内豊、小日向文世、徳井優、池松壮亮
カツベンに憧れる青年が活動写真館で働き、そこでカツベンで人気者になる。しかし、彼はかつて犯罪に関わっており警察に追われていました。
よく出来た脚本で落ちも実によく出来ています。
「ブルース・ブラザース」「ニューシネマ・パラダイス」・・・
昔、弁士による映画上映をやったことがあるので感慨深いものがありました。
ただし、周防監督はスラップスティック・コメディは、性格が真面目過ぎるのか、ドタバタがはじけないのが残念でした。
「記憶にございません」
(監)(脚)三谷幸喜(製)石原隆、市川南(撮)山本英夫(編)上野聡一(音)萩野清子
(出)中井貴一、ディーン・フジオカ、小池栄子、石田ゆり子、木村佳乃、草刈正雄、佐藤浩市、斉藤由貴、吉田羊、山口崇、田中圭
梶原善、寺嶋進、藤本隆宏、ROLLY、有働由美子、飯尾和樹、川平慈英
記憶を失ってしまった総理大臣がそれを機に政治改革に乗り出す、政治コメディ。
難しい題材に挑戦し、エンターテイメントとしては成功。しかし、政治的に効果はあったのか?
ラストにドン伝返しがあったがそれほどの驚きえはなく、それより主人公の義理の弟がROLLYだったことの方が大きな驚きでした! 
「きみと、波にのれたら」
(監)(製)湯浅政明(企)松崎容子(脚)吉田玲子(キャラD)(総作画監督)小島崇史(音)大島ミチル(主歌)「Brand New Story」Generations
(アフレコ演出)木村絵理子(美)赤井文尚(色計)中村絢郁(撮監)福士享(編)廣瀬清志(アニメ制作)サイエンスSARU 
(声)片寄涼太、川栄李奈、松本穂香、伊藤健太郎、堀越真己 
<あらすじ>
 消防士とサーファー女子の恋を描いたラブ・スト―リー。消防士が事故でこの世を去り、彼女は海から離れた場所に越してしまいます。
 ある日、彼女が彼氏の好きだった歌を歌うとコップの中に彼氏が現れます。成仏できない幽霊?
 彼女の言動を心配する彼氏の消防士の後輩と妹。それでも彼女は少しずつ立ち直り、ライフセイバーを目指し始めますが・・・。

 湯浅得意の水の演出が冴えたラブ・ロマンスの秀作。もちろん単なるラブ・ロマンスから人生の意味にまで迫る素敵な作品。
「キングダム」
(監)(脚)佐藤信介(原)(脚)原泰久(脚)黒岩勉(撮)島秀樹(音)やまだ豊(主題歌)ONE OK ROCK(出)山ア健人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本田奏多、大沢たかお、満島真之介、石橋蓮司、加藤雅也、宇梶剛士
 坂口拓(アクションのスペシャリスト)とのラストの闘いは見ごたえあり!それぞれの配役が実に良かった。
 アニメを見ていて実写化に心配していた人にもほぼほぼ納得の出来映えです。
 正統派の手法で実写化に挑み成功させたこの監督の手腕はなかなかです。
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」
(監)(脚)片淵須直(P)真木太郎(企)丸山正雄(アニ)MAPPA(CD)(作監)松原秀典(美監)林孝輔(音・主題歌)コトリンゴ
(声)のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾見美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、牛山茂
2016年公開の「この世界の片隅に」に30分の未公開シーンを追加したロング・バージョン。
遊郭で働く白木リンとの関係がより深く描かれます。
「コンフィデンスマンJP」
(監)田中亮(脚)古沢良太(撮)板倉陽子(音)Fox Capture Plan(主題歌)Official髭男dism
(出)長澤まさみ、東出昌大、竹内結子、小日向文雄、三浦春馬、江口洋介、織田理沙、P川英次、前田敦子、小手伸也
 同名テレビ・ドラマの映画版。テレビ版の出来が良すぎただけに映画版の期待値は高かったが、十分に楽しめます!
 とはいえ、テレビ版を見ていないと楽しさは半減するかもしれません。テレビ・シリーズも見ることをお薦めします。
 それにしても、長澤まさみのなんと生き生きしていることか!もっと彼女の魅力を全開にしてほしかった!
 映画版ならではの+アルファがあれば最高だったのですが・・・
「屍人荘の殺人」
(監)木村ひさし(製)市川南(原)今村昌弘(脚)蒔田光治(撮)葛西誉仁(SD)郡司英雄(編)富永孝(音)Tangerine House(主題歌)パフューム「再生」
(出)神木隆之介、浜辺美波、中村倫也、池田鉄洋、矢本悠馬、柄本時生、ふせえり、塚地武雅、佐久間由衣、葉山奨之、山田安奈、古川雄輝
 名探偵による推理ドラマとゾンビ映画の強引なる融合。俳優陣の顔ぶれだけでも楽しめます。
 監督は「トリック」の助監督からスタートしている堤監督の愛弟子的存在と思われます。先ずは無難な仕事ぶりです。
 ラストの明智君のくだりはかなり予想外ていうか、そこは必要でしたか?色々な意味で予想を覆らせる作品ではあります。
「十二人の死にたい子どもたち」
(監)堤幸彦(製)飯沼伸之、小林美穂(原)冲方丁(脚)倉持祐(撮)班目重友(音)小林うてな
(出)杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈
 さすがは堤監督、舞台劇のような演技合戦を生み出したのはカメラを何台も同時に回して、俳優の演技を何度もさせなかったからのよう。
 そろぞれが役割を果たして芝居に熱中していたことがわかります。
 音楽が控え目ですがなかなかいい感じです。おおよそラストは読めたんですが、ラストにもちゃんと仕掛けがあっていい!
 十分に見ごたえがありました。
「女優 原田ヒサ子」(ドキュメンタリー)
(監)(制)(撮)(編)原田美枝子(撮)廣田達也、鈴木昭子(録)鈴木昭彦、石河大河
(出)原田ヒサ子、原田美枝子、石橋大河、石橋エマニュエル、優河、石橋靜可
80歳を過ぎ認知症となった女優、原田美枝子の母、原田ヒサ子は、ある日、自分は15歳から女優をしていると言い出します。
もちろん、それは自分ではなく娘の原田美枝子のことです。
原田美枝子は、母親が実は女優など自分を表現する仕事をしたかったのだと気づきます。
それでは彼女に映画に出てもらおうと原田家の人々が集合します。
「新聞記者」
(監)(脚)藤井道人(製)(企)(原)河村光庸(原作)望月衣塑子「新聞記者」
(脚)詩森ろば、高石明彦(撮)今村圭佑(衣)宮本まさ江(編)古川達馬(音)岩代太郎 
(出)シム・ウンギョン、松坂桃李、本田翼、岡山天音、田中哲司、北村有起哉、高橋和也、西田尚美、望月衣塑子
 2019年最大の話題作となった社会派の作品。最近のマスコミに対する不満を現実の事件をからめながら上手く描いています。
 地味なお話をエンターテイメントとして作品化できたのは、大金星。ラストはどうなのかな?内閣調査室の描き方が悪すぎて現実味がないのはどうかな?
 など、様々な惜しい点もあるけど、でも原作が良かったのでしょう。上出来です!
 ラスト近く、松坂が出産祝いをもらう場面、吉岡記者を交互に映すカットは二人を対照的に描いて見事でした!
 原作者を追ったドキュメンタリー「i - 新聞記者ドキュメント-」(森達也)も見たい!
「台風家族」
(監)(脚)市井昌秀(製)木下直哉(撮)灰原隆裕(編)森下博昭(音)スパム春日井(主題歌)フラワーカンパニーズ「西陽」
(出)草なぎ剛、MEGUMI、新井浩文、中村倫也、若葉竜也、尾野真千子、甲田まひる、長内映里香、藤竜也、榊原るみ
銀行強盗をしたまま行方不明になった両親の葬儀のために集まった兄妹たちが遺産の相続について大喧嘩。
そこに現れた謎の女性が、両親が銀行強盗をしたのは私のせいですと・・・。
なぜ?何があったのか?舞台劇のような展開が楽しい。でもラストのご遺体のまさかの登場はちょっと・・・やりすぎかな。
何か他の方法はなかったのか?惜しい。
「ダンスウィズミー」
(監)(脚)矢口史靖(製)高橋雅美、池田宏之、朝妻一郎他(撮)谷口和寛(振付)Q-TARO、EBATO(音)Gentle Forest Jazz Band
(出)三吉彩花、やしろ優、ムロツヨシ、宝田明、Chay、三浦貴大
 催眠術によって音楽が聞こえると歌い踊らなければならなくなった女性が術を解いてもらうため、旅に出ます。
 「夢の中へ」「年下の男の子」「タイムマシンにお願い」「ハッピー・バレー」・・・など楽しい曲とダンスに癒されます。
  脚本が良くできていて、思ったよりもずっと面白かった。お薦めです!
「天気の子」(アニメ)
(監)(脚)(原)新海誠(企)川村元気(キャラD)田中将賀(作監)田村篤(音)RADWINPS
(声)醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、小栗旬、吉柳咲良、平泉成、倍賞千恵子 
 初期作品の山崎まさよしとのコラボ時代に戻った原点回帰作品。RADWINPSの世界に映像がついた音楽映画でもあります。(映画館の良い音で見るべき!)
 ラストは、ヒット作に共通する予定調和的に終わりかけながら、そこから賛否両論必至の悪夢の展開に移って行きます。
 それでもなお、「世界は狂ったままだっていい!」と叫ぶ主人公
 その叫びしか選択できない時代への怒りが生んだ映画です。
 気候変動が、人類全員の毎日の選択が生み出した必然の結果だとするなら、そこに「ノー」ということはできないのか?
 「ノーと言えよ!」と平気で言う大人こそ、その責任を他人のせいにしているはずです。
 さてあなたは「ノー」と言えますか?
 かつてフィリップ・K・ディックは、着てほしくない悪夢の未来を描くのがSFと語っていました。
 この作品もそんなディック作品と同じなのだと僕は思っています。
 新海監督は、「君の名は」を常に意識しながら作ったようです。同じにならないようにしながらも、登場人物を再登場させています。そこも注目!
「長いお別れ」
(監)(脚)中野量太(EP)豊島雅郎、福田一平(P)井手陽子他(原)中島京子(脚)大野敏哉(撮)月永雄太(編)伊藤潤一(音)渡邉崇
(出)蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山崎努、北村有起哉、中村倫也、杉田雷麟、池谷のぶえ、不和万作
 認知症が発症してからの7年を追った家族のドラマ。静かで暖かで時にクールで味わ深い作品です。
 認知症が長いお別れなら、自殺は短すぎるお別れです。そう思いながら、竹内結子最後の演技を見つめていました。
 アメリカでの結婚が上手く行かず、「お父さんとお母さんのようになりたかった!」と涙する彼女の心にあったのは?
 中野監督は、21世紀の小津安二郎?
人間失格 太宰と3人の女たち
(監)蜷川実花(P)宇田充(脚)早船歌江子(撮)近藤龍人(照)藤井勇(美)enzo(衣)長瀬哲郎(音)三宅純
(主歌)東京スカパラダイスオーケストラ f. チバユウスケ「カナリヤ鳴く空」
(出)小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、成田凌、高良健吾、藤原竜也、千葉雄大、瀬戸康史
「僕はイエス様が嫌い」
(監)(脚)(撮)(編)奥山大史(P)吉野匡志(美)藤本楓
(出)佐藤結良、大熊理樹、チャド・マローン、佐伯日菜子、木引優子、ただのあつ子
 東京から引っ越してきた由来は、ミッション系の小学校に通うことになります。そんな彼の目の前に小さなイエス様が現れます。
 サッカーが上手い同級生の和馬と親しくなりますが、ある日和馬は交通事故にあってしまいます。
 まだ大学生の奥山監督による初長編ですが、いきなりの高い評価を得ました。
 少年が友人の死を乗り越えて、成長する姿と思い出の悲しさにしみじみ泣けました。良い映画です!
「麻雀放浪記2020」
(監)(脚)白石和彌(製総)紀伊宗之(脚)(原)阿佐田哲也「麻雀放浪記」(脚)佐藤佐吉、渡部亮平(撮)馬場元(編)加藤ひとみ(プロット)片山まさゆき(音)牛尾憲輔(主歌)CHAI「Feel The Beat」
(出)斎藤工、もも(チャランポランタン)、ベッキー、竹中直人、的場浩司、小松政夫、岡崎体育、ピエール瀧、音尾琢真、矢島健一(ナレ)伊武雅刀
<あらすじ>
 1945年命がけの麻雀中にタイム・スリップし、2020年の東京・浅草に来た哲。地下アイドルと彼女のマネージャーに助けられた彼は、イケメン雀士として活躍を始めます。強い相手を求めた哲は、ネットの麻雀で最強の雀士ミスターKに挑戦しますが破れてしまいます。やけくその彼は賭博に手を出し、警察に逮捕されます。しかし、彼は麻雀オリンピックの代表に選ばれたため、釈放され、AIのYUKIに挑戦することになります。

 戦争によりオリンピックが中止になった2020年の東京が舞台という設定からしてスキャンダラス。そこにピエール瀧、ベッキーが出演。それを新型コロナの日本で見ると実にインパクトは大きい!麻雀のルールを詳しく知らなくても十分に楽しめる作品です。
 撮影は20台のスマホによって行われたそうです。
「蜜蜂と遠雷」
(監)(脚)(編)石川慶(製)市川南(原)恩田陸(撮)ピエトロ・ニエミイスキ(編)太田義則(音効)柴崎憲治(音P)杉田寿宏(録)久連石由文
(演)東京フィル(劇音)篠田大介(劇中曲「春と修羅」作曲)藤倉大
(出)松岡茉優(河村尚子)、松坂桃李(福間洸太郎)、森崎ウィン(金子三勇士)、鈴鹿央士(藤田真央)
臼田あさ美、ブルゾンちえみ、平田満、斉藤由貴、片桐はいり、鹿賀丈史、アンジェイ・ヒラ、眞島秀和、福島リラ
<使用曲>
「雨だれ」ショパン、「平均律クラヴィーア曲集第一巻第一番前奏曲」J・S・バッハ、「無伴奏チェロ組曲第一番」J・S・バッハ、「月の光」ドビュッシー、「It's Only A Paper Moon」H・アレン、ピアノソナタ第14番「月光」ベートーベン、メフィスト・ワルツ第一番「村の居酒屋の踊り」フランツ・リスト、「夢」ドビュッシー、「交響曲第一番第一楽章」ブラームス、「レクイエム・エテルナウ」「キリエエレイソン」モーツァルト、「ピアノ協奏曲第二番第四楽章」プロコフィエフ、「ピアノ協奏曲第三番」バルトーク、「ピアノ協奏曲第三番第一楽章、第三楽章」プロコフィエフ
「よくぞ映画化してくれました!日本もこれだけの映画が作れる国になったんですね」というのが第一の感想。
松坂、松岡の二人の名優ぶりに感嘆。それとピアノの吹き替えがそれぞれいるのにも感心しました。「カデンツァ」の個性の違いは見事!
原作にはもっと登場人物がいて、人物描写も丹念なのでしょうが、仕方ない。それでも見事に2時間という枠に収めています。
スタイリッシュな映像も美しいし、音の録音も、編集も苦労したのでしょうね。もっと音楽を聴きたくなりました。
昔、ピアノの発表会で練習が上手く行かず逃げ出したくなったことを思い出しました。
「宮本から君へ」
(監)(脚)真利子哲也(製)佐藤順子(原)新井秀樹(脚)港岳彦(撮)四宮秀俊(音)池永正二(新じめ決められた恋人たち)(主題歌)宮本浩次「Do You Remember?」
(出)池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、ピエール瀧、佐藤二朗、柄本時生、松山ケンイチ、古館寛治
 同名タイトルの漫画をテレビ・ドラマ化したものの映画化。とはいえ、「ディストラクション・ベイビーズ」の監督、真利子哲也にとってぴたりとはまる作品でした。無目的でただただケンカを続けた柳楽に対し、この作品では戦う目的も、守るべき者もあるケンカということでまったく違いますが、そもそもケンカで決着をつけるしかないという発想は普通じゃないです。まるで昭和のヤクザ映画のようで、熱い映画。
 これが現代ではどう受け入れられるのか?気になるところではあります。
 結末が予想できたこともあり、途中からは笑いながら見れます。これは青春ケンカ喜劇ですよね。
 音楽も迫力があるし、「宮本」のエンディング・テーマもいいです!
「ラストレター」
(監)(共製)(原)(脚)(編)岩井俊二(企)川村元気(製)市川南(撮)神戸千木(美)都築雄二、倉本愛子(音)小林武史 
(主歌)「カエルノウタ」(歌)森七菜
(出)松たか子、福山雅治、広瀬すず、森七菜、神木隆之介、庵野秀明、豊川悦司、中山美穂、小室等、鈴木慶一、さとう宗徳、水越けいこ、木内みどり
永遠のロマンチスト、岩井俊二ワールド全開!胸キュン連発のストーリー展開。
森七菜ファンは必見!福山は大熱演!神木、広瀬はまたも高校生ながら貫禄!松たか子の得意のキャラが最高!ミュージシャン3人も活躍!
元祖「ラブレター」コンビも久々の競演!ドローンを使った映像も素敵です!
岩井ワールドに脱帽です。オッサンになってもなおこのロマンチシズム・・・素敵ですよ。
「ルパン三世 The First」(アニメ)
(監)(脚)山崎貴(製)竹崎忠、沢圭一他(制)トムス・エンターテイメント、マザー・アニメ(原)モンキーパンチ(CG)荒川孝宏(音)大野雄二
(声)栗田貫一、沢城みゆき、広瀬すず、小林清志、浪川大輔、吉田鋼太郎、山寺宏一、藤原竜也
 ルパン1世にまでさかのぼるお話。CGの違和感はあるものの、それはそれで十分に楽しめます。音楽も良い。
「わたしは光をにぎっている」
(監)(脚)中川龍太郎(チーフP)和田丈嗣(脚)末木はるみ、左近圭太郎(撮)平野礼(編)伊東航平(美)安藤秀敏、菊池実幸(音)加藤久貴
(出)松本穂香、光石研、渡辺大知、徳永えり、樫山文枝、吉村界人、忍成修吾
ぼーっとした役なら日本一の女優、松本穂香。叱る女がぴったりの徳永えり。二人の魅力もはまっています。
両親を失い故郷を去って、父親の親友が営業する東京下町の銭湯で働くことになった女性の東京での日々。
彼女が働く銭湯も、再開発で周辺の商店街や映画館と共に廃業することになります。
失われゆく過去への愛情に満ちた素晴らしい作品です。美しい映像のコラージュでもある商店街や風景のカットの連続に鳥肌でした!
<祖母からの言葉>
言葉は必要な時に向こうからやってくるものなのよ。
形のあるものは いつかは姿を消してしまうけれど
言葉だけはずっと残る
言葉は心だから 心は光だから
<山村暮鳥「自分は光をにぎつてゐる」より>
自分は光をにぎっている いまもいまとてにぎっている
しかもおりおりは考える この掌をあけてみたら からっぽではあるまいか からっぽであったらどうしよう
けれど自分はにぎっている いよいよしっかりにぎるのだ
あんな烈しい暴風(あらし)のなかで 掴んだ光だ はなすものか どんなことがあっても
おゝ石になれ、拳 この生きのくるしみ くるしければくるしいほど 自分は光をにぎりしめる
わたしは光をにぎっている
「ワンピース スタンピート」(アニメ)
(監)(脚)大塚隆史(製)小山弘起(原)尾田栄一郎(脚)冨岡淳広(音)田中公平(声)田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、チョー、磯部勉、大谷育江、山口由里子、ユースケ・サンタマリア、指原莉乃、山里良太
海賊フェスティバルに集まった様々なキャラクターが入り乱れての宝探し!懐かしいキャラクターが次々に登場して、ワンピースを長年見てきたファンにはうれしい内容です。本編とは関係ないし、時系列的に?という部分もありますが、まあまあそこは良しとしましょう。
2020年以降はここから!

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