- ジョン・ウィリアムス John Williams -

<娯楽映画音楽のチャンピオン>
 「スター・ウォーズ」「インディー・ジョーンズ」「スーパー・マン」「ジュラシック・パーク」「ハリー・ポッター」、どれもシリーズ化され大ヒットした映画ですが、その音楽がすべて同じ作曲者だというのは、ご存じでしょうか?それぞれのテーマを改めて聞いてみると、かなり似ているので、なるほどと思われるかもしれません。
 それにしても、これらの映画すべての音楽を書いたということは、世界中で彼の曲を聴いたことがない人は、ほとんどいないということになるかもしれません。もしかすると、ビートルズの曲よりも広く聞かれているのではないでしょうか。考えてみると、これはかなり大変なことです。
 100年後の人類が憶えている数少ない20世紀のメロディーの中に、「スター・ウォーズのテーマ」はきっと入っているような気がします。

アカデミー賞の超常連候補>
 それどころではありません。彼が本当に凄いのは、1969年に「華麗なる週末」でアカデミー作曲賞にノミネートされて以来、1997年までの28年間になんと33回もアカデミー賞の音楽部門の候補になっているのです。これは、一年に一回以上の脅威的なペースですが、そのうち彼はなんと5回も最優秀賞に選ばれています。
 「屋根の上のバイオリン弾き」最優秀編曲賞受賞(’71年)「ポセイドン・アドベンチャー」(’72年)「シンデレラ・リバティー」(’73年)「タワーリング・インフェルノ」(’74年)「ジョーズ」最優秀作曲賞受賞(’75年)「未知との遭遇」「スター・ウォーズ」最優秀作曲賞受賞(’77年)「スーパー・マン」(’78年)「E.T.」最優秀作曲賞(’82年)「イーストウィックの魔女たち」(’87年)「偶然の旅行者」(’88年)「7月4日に生まれて」(’89年)「ホーム・アローン」(’90年)「JFK」(’91年)「シンドラーのリスト」最優秀作曲賞(’93年)、以上、最優秀以外はすべてアカデミー賞にノミネートされた作品です。それ以外に「スター・ウォーズ」シリーズ、「インディー・ジョーンズ」シリーズなど。ハリウッドの大作映画には、もうこの人しかいないのか?と言うほどの活躍ぶりです。20世紀中に現役の作曲家でアカデミー賞に45回もノミネートされているのは彼だけです。
 ちなみに、彼の他の作品をあげてみると、「おしゃれ泥棒」(1966年)ロバート・アルトマン作品「ロング・グッドバイ」(1973年)「大地震」(1974年)クリント・イーストウッドのサスペンスもの「アイガー・サンクション」(1975年)「ミズーリ・ブレイク」(1976年)「ミッドウェイ」(1976年)「ブラック・サンディ」(1976年)「フューリー」(1978年)「ドラキュラ」(1978年)「1941」(1979年)「ザ・リバー」(1984年)「太陽の帝国」(1987年)「オールェイズ」(1989年)心温まる小品「アイリスへの手紙」(1990年)「推定無罪」(1990年)「フック」(1991年)「ニクソン」(1996年)「スリーパーズ」(1996年)・・・監督も一流ばかりですが、いろいろなジャンルの作品があり、超大作ばかりというわけではありません。最初に書いた大作群については、それぞれ何作もシリーズ作品が作られていて、それもまた彼が音楽を担当しています。なんという仕事の多さでしょう。

<テレビから映画へ>
 ジョン・ウィリアムス John Williams は、1932年にニューヨーク州ロングアイランドに生まれました。ニューヨークの名門ジュリアード音楽院でピアノと作曲、編曲を学んだ後、カリフォルニアに移住。ハリウッドでピアニストとして生活して行くため、コロンビアに入社します。その後20世紀フォックスに移り、シンガー・ソング・ライターのランディ・ニューマンの叔父にあたる作曲家アルフレッド・ニューマンの元で働きます。(なんという偶然でしょう。アルフレッド・ニューマンは彼と並ぶ45回のアカデミー賞ノミネートを果たしているただ一人の作曲家です)
 しだいに彼にはピアニスト以外の仕事として作曲や編曲の依頼が来るようになり、先ずはTVの音楽を担当するようになって行きます。「宇宙家族ロビンソン」(90年代に映画化もされた名作、懐かしい!)(1965〜1967年)「タイム・トンネル」(このシリーズでずいぶんと歴史の勉強をさせてもらいました。タイタニック号の話しもこの作品で知りました。本当に面白かった!)(1966年〜1967年)「巨人の惑星」(これもやってましたが、かなりマイナーですね)(1968年〜1970年)など、SFテレビ・シリーズなどで、知名度を上げた後、本格的に映画界に進出し始めました。最近では、作曲家としてだけでなくオーケストラの指揮者としても活躍しています。

<歴史に残る幸福な作曲家>
 かつては、ソロ・ピアニストを目指していたというジョン・ウィリアムスにとって、映画音楽作家としての人生は、もしかすると不本意なものだったのかもしれません。
 しかし、20世紀後半の音楽を代表するメロディーとして「スター・ウォーズのテーマ」が100年後も聞かれ続けているなら、それは作曲家としては充分幸福なことかもしれません。
 少なくとも、我が家の子供たちにとって「スター・ウォーズのテーマ」は、永遠に心に残る音楽となっています。たぶん彼らは、自分の子供たちにも聞かせることでしょう。(できれば、シリーズの7,8,9作も見たいものですが、どうやらルーカス氏はもう撮る気はないようです)

<21世紀のアメリカ史にも名を残した作曲家>
 2009年1月、彼は再び歴史に名を残す作品を発表しました。バラク・オバマ新大統領就任式のために彼が作曲した"Air and Simple Gifts"という曲です。大統領就任式の当日、この曲を演奏したのは、中国系のチェロ奏者ヨーヨー・マとイスラエル人でテルアビブ生まれのバイオリン奏者イツァーク・パールマン、南米ベネズエラ出身の女性ピアノ奏者ガブリエラ・モンテーロ、そしてアフロ・アメリカンのクラリネット奏者アンソニー・マクギル。
 男女、人種別に選ばれたメンバー構成はちょっとわざとらしいくらいでしたが、曲も演奏もさすがでした。寒さを考慮して事前に録音していたのは、まあしかたないでしょう。でも、それができなかった時代なら、ミスがあったとしてももっと感動が大きかったかもしれません。その後のアレサ・フランクリンは生で歌い声不十分だったと残念がったそうですが、あの場で生で歌った充実感はそれを上回るものだったということでしたから。とにかく、これで彼は21世紀のアメリカ史にも名を残すことになりそうです。

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