世界の美女も魅了したイタリアの名優


- マルチェロ・マストロヤンニ Marcello Mastroianni -
<イタリアが生んだ世界的名優>
 イタリアを代表するイケメン俳優としてアイドル的人気がありながら、様々な監督の様々な作品で様々な個性を演じた俳優マルチェロ・マストロヤンニは、イタリア映画の黄金期が生んだ俳優でもありました。
 その後、イタリアだけでなく、ヨーロッパ、アメリカにまで活躍の場を広げ、世界中で愛される名優となり、世界各国の美人女優とロマンスを繰り広げた伝説的伊達男でもあります。
 時には、フェデリコ・フェリーニの分身、時にはビットリオ・デ・シーカの分身となり、イタリア映画の巨匠たちだけでなく、女性たちにも愛され続けた「ミスター・イタリア」。
 彼の出演作品は数が多く、その多くは名作と言える作品です。あなたはどれがお好きですか?

<世界を制した伊達男>
 マルチェロ・マストロヤンニは、本名をMarcello Vincenzo Domenico Mastroianni といい、1924年9月28日イタリア中部ナポリに近いフォンターナ・リーリに生まれました。父親は家具職人でしたが、1928年にトリノに移住。その後、第二次世界大戦が始まると軍に入隊します。
 1943年にイタリアが連合軍に降伏すると、イタリア北部はドイツに占領され、彼はドイツ軍の捕虜となりました。幸い彼は収容所からの脱走に成功し、終戦までヴェネツィアで暮らしました。戦後はローマ大学演劇センターの劇団に入り、フェデリコ・フェリーニやジュリエッタ・マッシーナらと知り合ったり、フェリーニが書いたラジオドラマに出演。ルキノ・ビスコンティの芝居に出演するなどします。
 1948年に映画に端役として初めて出演。その後、多くの作品に出演し、その間に女優フローラ・カラベッラと結婚します。
 1950年代半ば頃からは、二枚目俳優として大物監督の作品にも出演するようになります。
 1957年、ルキノ・ビスコンティ監督によるドストエフスキー原作の「白夜」では、マリア・シェルと共演しいよいよスター俳優の仲間入りを果たします。
 1960年、フェデリコ・フェリーニ監督の代表作「甘い生活」では、主人公の三流ゴシップ誌の記者を演じて映画の狂言回しとなり、それ以降はフェリーニの分身的俳優として多用されることになりました。この年のミケランジェロ・アントニオーニ監督作「夜」で、彼は「甘い生活」でなれなかった「作家」を演じています。それは、彼にとって「甘い生活」の続編だったのかもしれません。
 1962年、ピエトロ・ジェルミ監督の「イタリア式離婚狂想曲」では、妻と別れるため、妻が不倫するように仕向け、射殺しようとする貴族を演じました。(当時は不倫した妻を殺しても罪は軽かった)
「悲劇的な恋をするシリアスな男」
「退廃的な社会を放浪する醒めた男」
「ブラックな笑いを誘う不思議な殺人者」

 まったく異なる人物像を演じられる演技力は世界的に評価され、その後も様々な役柄を演じることになります。
 1963年、の「8 1/2」では、再びフェリーニの分身を演じ、ビットリオ・デ・シーカの「昨日・今日・明日」(1963年)と翌年の「あゝ結婚」では妻の尻に敷かれる男を演じました。
 1969年、ビットリオ・デ・シーカの代表作となった大ヒット・メロドラマ「ひまわり」でソフィア・ローレンと共演。
 1973年、ジャック・ドゥミ監督の「モンパリ」は、夫が妊娠してしまうという不思議なコメディ映画。同じ年のマルコ・フェレーリ監督の「最後の晩餐」では、狂気の大食い男を演じました。
 こうして、様々な役を演じながらも、彼はイタリアナンバー1の恋多き男でした。
 「甘い生活」(1960年)で共演したイタリアの伝説的女優アニタ・エクバーグ。
 「恋人たちの場所」(1968年)で共演したアメリカの大物人気女優フェイ・ダナウェイ。
 「ひまわり」(1969年)で共演したイタリアのナンバー1女優ソフィア・ローレン。
 「ひきしお」(1972年)で共演したフランスのナンバー1美人女優カトリーヌ・ドヌーヴ。
 次々と大物女優たちとの恋が話題になりました。しかし、けっして最初の妻とは離婚することはありませんでした。
 「イタリア式離婚狂想曲」と「ひきしお」で彼が演じた役は、実は彼自身だったという説もあります。
 唯一、カトリーヌ・ドヌーヴとの間にだけ、娘が生まれていて、その娘は女優となって父親との共演も果たしています。(キアラ・マストロヤンニ)
 1996年12月19日、彼が膵臓癌でこの世を去った時、病床で死を待つ彼を看取ったのは、ドヌーヴと娘だったとのことです。

<その他の出演作品>
 「私生活」(1961年)ルイ・マル
 「異邦人」(1967年)ルキノ・ビスコンティ
 「ジェラシー」(1970年)エットーレ・スコラ(カンヌ国際映画祭男優賞
 「哀しみの終わるとき」(1971年)ナディーヌ・トランティニャン
 「特別な一日」(1977年)エットーレ・スコラ
 「女の都」(1980年)フェデリコ・フェリーニ
 「ビエラ 愛の遍歴」(1983年)マルコ・フェレーリ
 「マカロニ」(1985年)マルコ・フェレーリ
 「黒い瞳」(1987年)ニキータ・ミハルコフ(ロシア)(カンヌ国際映画祭男優賞
 「インテルビスタ」(1987年)フェデリコ・フェリーニ(「81/2」の続編的作品でマルチェロは、フェリーニと共に本人役として出演しています)
 「BARに灯ともる頃」(1989年)エットーレ・スコラ(ヴェネチア国際映画祭男優賞
 「みんな元気」(1990年)ジュゼッペ・トルナトーレ
 「こうのとり、たちづずさんで」(1991年)テオ・アンゲロプロス(ギリシャ)
 「迷子の大人たち」(1992年)ビーバン・キドロン(アメリカ)
 「プレタポルテ」(1994年)ロバート・アルトマン(アメリカ)
 「百一夜」(1995年)アニエス・ヴァルダ(フランス)
 「世界の始まりへの旅」(1997年)マヌエル・ド・オリヴェイラ(ポルトガル)(遺作)

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