アメリカ大統領選挙 勝利演説より

- バラク・オバマ Barack Obama -

 アメリカに初めて黒人の大統領が誕生しました。黒人が大統領になったということが、いかに画期的であるか、いかに危険なことであるかは、まだまだ語りきれていないように思いますが、現在アメリカがおかれている危機的な経済状況から考えれば当然かもしれません。黒人であってもアメリカを変えられる人材が求められているのは、それだけアメリカ国民が危機感を感じているという風に見ることもできるでしょう。でも、日本人ならそこまで変革を求めて、新しい選択ができるでしょうか?
 アメリカの民主主義はやはり凄い!このサイトでは、いつもアメリカに対して批判的なことばかり書いていますが、それでも僕はアメリカという国が好きです。それはアメリカには、古き良き民主主義の名残が未だに存在していて、何か大きな事件があればそれは必ず蘇るからです。これはアメリカという国が持っている最大の魅力なのかもしれません。
 オバマ氏の「Yes ! We Can」は、まさにそんなアメリカの火事場の馬鹿力を象徴する言葉なのです。

2008年11月6日1時46分シカゴにて

「 もし、米国ではあらゆることが可能であるということを疑ったり、建国者の夢がまだ生きているのか疑問に思っていたり、米国の民主主義の力を疑ったりする人がいたら、こう言いたい。今夜が答えだと。 
この答えは、(投票するために)全国の学校や教会の周りに行列を作ったこれまでにない数の人々、何時間も待ち続けた人々によって示された。
それは多くの人たちにとって初めてのことだったが、今回こそは自分たちの声が変革になりうると信じていた。・・・・・
 私を支持してくれなかった人たち、あなたたちの票は得られなかったが、あなたたちの声は聞こえている。あなた方の助けが必要だ。私はあなたたちの大統領にもなるのだ。
 今夜、米国の外で見守っている人たち、議会や王宮のみならず、忘れられた世界の片隅で、ラジオの周りに集まっている、あらゆる人々に対して言いたい。我々の物語はそれぞれ独自のものだが、行き先は共有できる。米国の新しい指導力の夜明けは近づいている、と。
 この世界を破壊しようとする者たち、我々はおまえたちを打ち負かす。そして、平和と安全を求める人々、我々はあなたがたを支援する。
 米国の(指導力の)灯台が今も明るく輝いているのか疑問に思っている人々よ。今夜、我が国の本当の強さが、武力や富の力ではなく、民主主義や自由、機会や希望といった絶えざる理想の力に由来することを改めて証明した。 これが米国の真の才能だ。米国は変化できる。我々の団結は完遂できる。これまで成し遂げたことから、明日達成できること、そしてしなければならないことへの希望が生まれる。
 今回の選挙で初めて起きたこと、そして多くの話が、何世代にもわたって語り継がれるだろう。しかし、今夜私の心に浮かぶのは、アトランタで1票を投じた女性のことだ。他の数百万人の有権者と同様に、行列に並んで投票した。ただひとつ他の人たちと違っていたのは、彼女、アン・ニクソン・クーパーさんが106歳だということだ。
 彼女は奴隷制が終わってわずか一世代後に生まれた。まだ道には車がなく、空には飛行機が飛んでいなかった時代だ。彼女のような人が、女性であるということと、肌の色という2つの理由で投票ができなかった時代だ。
 今夜、この1世紀に米国で彼女が見たすべてのことに思いをはせたい。傷心と希望、努力と進歩、「不可能だ」と言われ続けたことに対して、「我々はできる」という米国の信条を進めようとした人々。
 女性が声を出せず、希望が踏みにじられた時代もあったが、女性が立ち上がって発言し、投票を求める姿を、彼女は目の当たりにした。
 (30年代に中西部で起きた)土埃の嵐の絶望や全土の恐慌の時にも、この国がニューディール政策や新たな雇用、そして新たな共通目標の意識によって、恐怖そのものを克服するのを、彼女は見た。我々はできるのだ。
 我々の港が爆撃され、独裁体制が世界を脅かしたが、彼女は、一つの世代が立ち上がり、民主主義が守られるのを目撃した。我々はできるのだ。
 (黒人解放運動のきっかけとなったアラバマ州)モンゴメリーの通学バスのボイコットやセルマのデモ、「我々は勝利する」というキング牧師の言葉も聞いた。我々はできるのだ。
 人類が月に到達し、ベルリンの壁が崩壊し、世界は科学と想像力でつながった。
 そして今年、この選挙で彼女は指で画面に触れて一票を投じた。106年の生涯で良いときも暗い時代も経験し、彼女は米国がいかに変化するかを知っているからだ。我々はできるのだ。
 
 米国よ、我々はここまで来た。いろんなものを見てきた。だが、やるべきことはまだまだある。だから今夜、自らに問おう。我々の子どもたちは次の世紀を見られるのか。私の娘たちがアン・ニクソン・クーパーのように長生きできたら、どんな変化を見るのか。我々はどんな進歩を遂げているのか。これらの問いに我々が答える好機だ。今は、我々の時代なのだ。
 人々に仕事を戻し、子どもたちに機会の扉を開こう。繁栄を再建し、平和の大義を推進しよう。アメリカン・ドリームを取り戻し、我々は一つであるという根本的真実を再確認しよう。希望を持つことは息するくらい当たり前だ。皮肉や懐疑心に出会ったり、「できやしない」という人に出会ったりしたら、米国民の精神を要約する不朽の信条で応えよう。「我々はできる」」

20世紀事件簿   トップページへ