「世界人権宣言」全文


- 国際連合 United Nations -
 「世界人権宣言」という言葉聞いたことがありますか?
 名前は聞いたことがあるけど、その内容はよく知らない、そんな方が多いのではないでしょうか?
 僕も、これまでよく知りませんでした。
 「世界人権宣言」とは、1948年に国際連合が定めた人権に関して世界中の国が守るべき憲法のようなものです。国連に加盟している国なら、法律を制定する際、この人権宣言に基づく必要があるわけです。そんなに重要な決め事にも関わらず、日本では学校などで詳しく学ぶ機会はないようです。
 先日、偶然この「世界人権宣言」の本を見つけたので、ここにその内容を書き出してみます。僕なりに解説を加え、わかりやすくしようと思います。(翻訳された文章だけではちょっとわかりにく気がするので・・・)
 書かれていることは、割と当たり前のことばかりにも思えます。
 例えば第四条では、「奴隷制の否定」について書かれていますが、イスラム国だけでなくその他の国でも、性奴隷として扱われる女性たちや商品として売買される子供たちの存在が問題視されています。
 第五条では「非人道的な刑罰の否定」と書かれていて、それには「死刑」も含まれていると世界的には言われています。しかし、日本ではそれが未だに存続しています。
 残念ながら、未だにこの宣言の内容は、世界中で実現されていないのです。

1948年12月10日国際連合総会にて
<前文>
 人類社会のすべての人に、
 それぞれ固有の尊厳と、
 平等で奪うことのできない権利があることを認めるのは、
 世界における自由と正義と平和の基礎なので、
 人権の無視と軽蔑が人間の良心に逆らう野蛮な行為をもたらし、
 人びとが言論と信仰の自由を得て恐怖と欠乏から解放される
 世界の実現が人類最高の願望として宣言されたので、
 専制と抑圧に対する最後の手段として
 人びとが反乱に訴えることができないようにするためには、
 法の支配によって人権を保護することが不可欠なので、
 諸国間の友好関係の発展を促進することが不可欠なので、
 国際連合の諸国家は、国際連合憲章で、
 基本的人権、人間の尊厳と価値、
 男女同権についての信念を再確認し、
 よりいっそう大きな自由のなかで、
 社会的進歩と生活水準の向上を促進することを決意したので、
 
 加盟国は、国際連合と協力して、
 人権と基本的自由をすべての点で
 実際に尊重することを約束したので、
 これらの権利と自由に対する共通の理解は、
 この約束を完全にはたすためにもっとも重要なので、
 国際連合総会は、社会の各個人の各機関が、
 この世界人権宣言をたえず心に留めながら、
 加盟国自身の国民のあいだでも、
 加盟国の管轄下にある地域の人びとのあいだでも、
 指導と教育によってこれらの権利と自由の尊重を推進し、
 それらの普遍的で効果的な承認と実践を、
 国内的、国際的な段階的措置によって、
 確かなものとするために努力するよう、
 すべての人とすべての国が到達すべき共通の理想として
 この世界人権宣言を公布する。 

<第1条> 
 すべての人間は、生まれたときから自由で、
 尊厳と権利の点で平等である。
 人間は理性と良心を備えており、
 たがいに友愛の精神で行動しなければならない。
自由と平等と友愛について
<第2条> 
(1)誰もが、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治的意見やそのほかすべての意見、
  民族や社会的出身、財産、家柄やそのほかの地位などを理由にしたどのような差別も受けることなく、
  この宣言に掲げるすべての権利と自由を主張することができる。
(2)さらに、個人が属する国や地域が、独立国であろうと、信託統治領であろうと、
  非自治領であろうと、なんらかの主権制限を受けていようと、
  その国や地位にもとづくどのような差別も受けることはない。 
差別の否定について 
<第3条> 
 すべての人は、生命と自由と身体の安全に対する権利をもっている。 
生命と安全の保障について
<第4条> 
 誰もが奴隷にされたり、奴隷状態に置かれることはない。
 奴隷制度や奴隷売買は、どのような形であっても禁じられる。
奴隷制・奴隷売買の否定について
<第5条>
 誰もが、拷問や、残虐で非人道的、または品位を傷つけるあつかいや刑罰を受けることはない。 
非人道的な刑罰・処遇の否定について 
<第6条>
 どこにいても、
 誰もが法的にひとりの人間として認められる権利をもっている。
法による人権の保障について
<第7条> 
 すべての人は法の下に平等で、差別されることなく、
 法律の平等な保護を受ける権利をもっている。
 すべての人には、この宣言に違反するどのような差別の原因となる。
 どのような行為からも、平等な保護される権利がある。  
法の下での平等について 
<第8条> 
 すべての人には、憲法や法律によって認められた基本的な権利を侵害する行為に対して、
 権限をもつ国内裁判所に有効な助けを求める権利がある。 
裁判を利用する権利について 
<第9条> 
 誰もが、不法に逮捕されたり、拘束されたり、追放されることはない。 
不法な逮捕、拘束の否定について
<第10条> 
 すべての人は、自分の権利や義務、または自分が負う刑事責任が決定されるにあたって、
 独立した正当な裁判所による公平な公開審理を受けることができるという点で、
 完全に平等の権利をもっている。 
裁判を受ける権利について 
<第11条> 
(1)犯罪で起訴された人はみな、自分を弁護するために必要なものを
  すべて保障された公開の裁判で有罪であることが法的に立証されるまでは、
  無罪と推定される。 
弁護を受ける権利について 
(2)誰もが、実行したときに国内法や国際法に違反していない作為や不作為を理由に、
  有罪とされることはない。
  また、犯罪が犯されたときに適用される刑罰よりも重い刑罰を科せられることはない。 
裁判所以外の誰にも刑を決めたり執行する権利はないことについて 
<第12条> 
 誰もが、私生活、家族、住居、通信に関して、不当に干渉されたり、
 名誉や評判を傷つけられることはない。
 すべての人は、このような干渉や攻撃に対して、法律の保護を受ける権利をもっている。 
プライバシーの保護について 
<第13条> 
(1)すべての人は、自国のなかで自由に移動し、
  住む場所を選ぶ権利をもっている。 
(2)すべての人は、自国を含むどの国からでも立ち去り、
  ふたたび自国に戻る権利をもっている。 
自由に移動する権利について 
<第14条>
(1)すべての人は、迫害を受けたとき、
  他国に避難することを求め、そこで安全を確保する権利をもっている。
(2)この権利は、普通法に背いた犯罪や、国際連合の目的と原則に反する行為が原因で
  起訴された場合には、主張することができない。
国を脱出する権利について 
<第15条> 
(1)誰もが、国籍をもつ権利がある。
(2)誰もが、国籍や、国籍を変更する権利を不当に奪われることはない。
国籍とその変更の権利について
<第16条> 
(1)成人した男には、人種、国籍、宗教にかかわらず、結婚して家庭をもつ権利がある。
  成人した男女は、結婚するとき、結婚の期間中、結婚の解消時に、平等の権利をもっている。
(2)結婚は、当事者ふたりの自由で完全な合意があったときにだけ成立する。
(3)家庭は、自然で基本的な社会単位で、社会と国家の保護を受ける権利がある。 
結婚する権利と選択の自由と平等について
<第17条> 
(1)すべての人は、ひとりでも、ほかの人と共同でも、財産を所有する権利をもっている。
(2)誰もが、財産を不当に奪われることはない。 
財産を所有する権利について 
<第18条> 
 すべての人は、思想、良心、宗教の自由に対する権利をもっている。
 この権利には、宗教や信念を変更する自由と、ひとりで、またはほかの人と共同で、
 公的にでも私的にでも、布教、行事、礼拝、儀式によって宗教や信念を表明する自由が含まれる。 
思想・宗教を選択する自由について 
<第19条> 
 すべての人は、意見と表現の自由に対する権利をもっている。
 この権利には、妨害されることなく自分の意見をもつ自由、
 国境を越えるかどうかにかかわらず、
 どのような手段によってでも、
 情報や思想を求め、受けとり、伝える自由が含まれる。 
意見・表現を受けとり、発信する自由について 
<第20条>
(1)すべての人は、平和的な集会や結社の自由に対する権利をもっている。
(2)誰もが、結社に属することを強制されない。 
集会・結社の自由について 
<第21条> 
(1)すべての人は、直接、または自由に選ばれた代表者を通じて、
  自国の政治に参加する権利をもっている。 
政治に参加する権利について 
(2)すべての人は、平等の条件で、自国の公職につく権利をもっている。 
政治家になる権利について
(3)国民の意思は、公権力の構成の基礎とならなければならない。
  この意志は、定期的に実施される正しい選挙によって表明される必要がある。
  この選挙は、平等の普通選挙によるもので、
  秘密投票、またはそれと同等の自由が保障される投票手続きによって行われなければならない。
投票による政治的意志表示の権利について 
<第22条> 
 すべての人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利をもっている。
 各国の組織と資源に応じた国家の努力と国際協力によって、
 誰でも自分の尊厳と人格の自由な発展に欠かすことのできない、
 経済的、社会的、文化的権利を満たす資格がある。 
社会保障を受ける権利について 
<第23条> 
(1)すべての人は、仕事をし、職業を自由に選び、公平でじゅうぶんな労働条件を得て、
  失業に対する保護を受ける権利をもっている。 
職業選択の自由、失業時に救済される権利について 
(2)すべての人は、どのような差別も受けることなく、同等の仕事に対して、
  同等の賃金を得る権利をもっている。 
平等に賃金を受けとる権利について 
(3)働く人は誰でも、自分と家族に対して、
  人間の尊厳を保つためにふさわしい生活を保障する公平でじゅうぶんな報酬を受けとり、
  必要な場合は、ほかの社会的保護手段による補充を受ける権利をもっている。
最低賃金の保障について
(4)すべての人は、自分の権利を守るため、ほかの人と一緒に労働組合をつくったり、
  労働組合に加入する権利をもっている。 
組合への参加、組合を組織する権利について
<第24条> 
 すべての人は、労働時間の適度な制限と定期的な有給休暇を含む、
 休息と余暇をとる権利をもっている。 
休暇をとる権利について 
<第25条> 
(1)すべての人は、衣食住、医療、必要な社会サービスなどを得て、
  自分と家族の健康と福祉を確保するためにじゅうぶんな生活水準を保つ権利をもっている。
  また、失業、病気、心身障害、配偶者の死亡、老齢、そのほか不可抗力によって
  生活手段を失った場合に、保障を受ける権利がある。
最低限の生活をするために健康・福祉サービスを受ける権利について 
(2)母親と子どもには、特別な保護と援助を受ける権利がある。
  すべての子どもは、 嫡出子でも非嫡出でも、同じ社会的保護を受けることができる。
母子が保護される権利について
<第26条> 
(1)すべての人は、教育を受ける権利をもっている。
  少なくとも、初等の基礎教育に関しては、無償でなければならない。
  初等教育は義務である。
  技術教育と職業教育は、一般に利用できるものでなければならない。
  高等教育は、能力に応じて、すべての人に対して平等に開けれている必要がある。
平等に教育を受ける権利について 
(2)教育は、人格の完全な成熟と、人権と基本的自由の尊重の強化を目的とする必要がある。
  また、すべての国、人種グループ、宗教グループ間の相互理解、寛容、友好関係を促進し、
  平和維持のために国際連合の活動を発展させるものでなければならない。 
自由と教育を尊重する教育を行う義務について 
(3)親は、子どもにあたえる教育の種類を選ぶ優先権をもっている。 
親による教育の選択権について 
<第27条> 
(1)すべての人は、自由に社会の文化生活に参加し、
  芸術を楽しみ、科学の進歩とその恩恵を得る権利をもっている。 
文化・芸術・科学の恩恵を享受する権利について 
(2)誰もが、自分のつくった科学作品、文学作品、または芸術作品から生じる、
  精神的、物質的利益を保護される権利をもっている。
特許、著作権を保護される権利について
<第28条> 
 すべての人は、
 この宣言に掲げる権利と自由が完全に実現される社会秩序と国際的秩序に対する権利をもっている。
社会秩序、国際秩序を求める権利について
<第29条> 
(1)各個人は、そのなかでだけ人格の自由で完全な発展が可能である社会に対する義務を負っている。
社会に対する義務について 
(2)すべての人は、権利を行使し、自由を享受する際、
  他人の権利と自由を認めて尊重し、
  民主的な社会における道徳と公の秩序と一般の福祉の正当な要求を満たすことだけを目的に
  法律が定めた制限しか受けることはない。 
権利行使の時に受ける制限について 
(3)これらの権利と自由は、どのような場合でも、
  国際連合の目的と原則に反して行使することはできない。 
国連の目的・原則の重視について 
<第30条>
 この宣言のどの条項も
 いずれかの国、集団、または個人に、
 この宣言に掲げる権利と自由を破壊する活動を行ったり、
 そのような目的をもったことをする権利を認められている解釈をしてはならない。 
条項を理由にした強要・攻撃の禁止について


「世界人権宣言」 2015年
Rien a declarer ? Sil les droits de l'homme
(編)シェーヌ出版社
(訳)遠藤ゆかり
創元社

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