多様な生命を生み出した氷の惑星


「スノーボールアース Snowdall Earth - 生命大進化をもたらした全地球凍結 -」

- ガブリエル・ウォーカー Gabrelle Walker -

<科学革命の歴史>
 科学の歴史において、革命的な発見はそう多くありません。それまで、誰もが思ってもみなかった新理論を見つけ出すことは、それだけ大変なことです。しかし、発見することよりももっと大変なのは、その新理論が正しいことを証明することです。

「科学が最も進歩するのは、誰かが理論を提示し、他の誰かがそれを否定しようとするときだ。至高の科学哲学においては、ある理論を正しいと証明することはできない。理論は誤りを証明することができるだけで、それに対する攻撃に長く持ちこたえるほど、信憑性が高くなるのだ - が、正しいかどうかは決してわからない。・・・」

 ガリレオによる「天動説」、ウェゲナーによる「大陸移動説」、アインシュタインの「相対性理論」、ニュートンの「万有引力の法則」、メンデルによる「遺伝の法則」、ワトソンとクリックの「DNAらせん」、ダーウィンの「進化論」、ガモフの「ビッグバン理論」・・・
 これらの科学理論は数十年にひとつぐらいしか登場しないのですが、それが科学界で認められるには、それ以上の長い年月を要しています。
 ここで紹介するのは、上記の偉大な科学理論ほど画期的ではないものの、20世紀後半以降に登場した科学理論の中では1,2を争う大発見かもしれません。その価値は、単に地学の問題ではなく、地球物理学、気象学、生物学、進化論、海洋物理学など様々な分野に渡る影響力を持っていると思われます。

<「スノーボール仮説」とは?>
 はるか昔、地球は氷の惑星として凍りついてしまい、その間にほとんどの生命は死に絶えてしまいました。そのままだと、地球は永遠に氷漬けのままになっていたかもしれません。しかし、火山活動の活発化により、大気中に大量の二酸化炭素が増え、温度上昇が始まると氷が解け始めます。こうして、再び地上には生命が満ちあふれるようになります。そして、それが生物学における最大の謎のひとつである「カンブリア紀大爆発」(5億年前ごろ)の原因だったのではないか、というものです。
(注)「カンブリア紀の大爆発」とは、わずか500万年ぐらいの間に現在地球上に存在する動物門がすべて誕生したとされる奇跡ともいえる急激な進化のことを指します。

 これが超ザックリとした「スノーボール仮説」です。(まだ「仮説」の段階とするのが一般的のようです)
 なぜこの仮説が生まれたのか?その根拠は何だったのか?
 その仮説の誕生の歴史に迫った本「スノーボールアース」を元にもう少し詳細にその理論をまとめてみました。そして、この理論と「カンブリア紀の大爆発」との関わりについても調べてみました。

<元祖スノーボール仮説>(ブライアン・ハーランド)
 ケンブリッジ大学出身の地質学者ブライアン・ハーランドは、グリーンランドのスバールバル諸島で先カンブリア時代に形成された炭酸塩岩の地層を調査中、そこに別の時代にできた巨大な岩が埋まっていることに気づきます。その岩は、炭酸塩岩とは別の場所で生まれて運ばれてきたもので、解けた氷河が岩を削って海まで運んできた「アイスロック」であると考えられました。さらに彼は、同種のアイスロックが世界各地の同じ年代の炭酸塩岩の地層の中にも存在していることを確認します。ということは、その時代、赤道付近も含めた世界中に氷河が存在し、それが同時期に解けたことを示しているのではないか?と彼は考えたわけです。
 さらに、その時代に地球が氷に覆われていたとすれば、生物の多くが死滅していたと考えられますが、逆にそれがきっかけとなって「カンブリア紀の大爆発」と呼ばれる脊椎動物の多様化が起きたのではないか。そう考えた彼は、「インフラ - カンブリア氷河時代」として、その仮説を発表しました。
 これが1960年代に登場した「スノーボール仮説」の先駆的な考え方でした。(まだ「スノーボール」の名前はつけられていません)

<プレートテクトニクス理論>
 しかし、「インフラ - カンブリア氷河時代」の考え方に逆風が吹き始めます。それは、当時最新の理論として登場した「プレートテクトニクス理論」でした。大陸がプレートの移動によって動くことが理論的に明らかになったことで、アイスロック入りの炭酸塩岩の位置が移動した可能性も浮上します。それにより、アイスロックが発見された場所がどれも寒い地域に位置していたならば、氷河があっても不思議はないことになるのです。
 それに対し、ブライアンはアイスロック入り炭酸塩岩の位置を特定し、それが赤道付近にもあったことを証明しようと考えます。そのために彼が注目したのが、その岩のもつ磁性でした。
古地磁気学によると、岩は高温によって圧縮て誕生した時、その場所の磁気方向を刻み込まれます。したがって、その地層の中の岩が記憶している地磁気を調べれば、その岩石ができた時、それがどこにあったのかがわかることになるわけです。
 ブライアンはそれを利用してアイスロックの位置が動いていないことを証明しようと考えました。しかし、当時、この磁気を利用した位置の特定技術はまだ正確さが不十分で、精度の高いデータを得ることは不可能でした。そのため、彼はそれ以上この仮説を追及することはしませんでした。

<地磁気による証明>(ジョー・カーシュヴィンク)
 1986年、古地磁気学の専門家でもあったジョー・カーシュヴィンクは、アイスロックの誕生した場所を特定する研究に関する論文を読み、それを実行するために動き始めます。技術的にそれはこの時代充分可能になっていたのです。ただし、ここでもまた新たな問題が生じました。
 磁気は熱によって消える可能性もあり、その後、新たな熱を加えると磁気の記憶を書き換えることが可能であることがわかったのです。ということは、磁気が示す位置の記憶はそれができた時代のものとは限らないということです。(後で火山活動などによって書き換えられた可能性もあるので)しかし、それに対して彼は解決策を見出します。
<磁力線の歪み>
 彼はオーストラリアのエアーズロックがある乾燥地帯でリズマイトという種類の石の地層を調査中、あることに気がつきます。その地層は地滑りにより歪んでいたのですが、その場所の磁力線もまた同じような形に歪んでいたのです。ということは、その場所に磁場の記憶が刻まれたのは、地層が歪められる前のことだったことになります。(そうでなければ、磁力線の形は地層の歪みに関わりなく刻まれているはずです)その場所が赤道近くにあったとされる磁力線の方向を持つことになったのは、その地層ができた時と同時だったことが証明されたわけです。
 そして、そこにはアイスロックの存在が確認されたのですから、赤道付近もまた氷に覆われていたことの証明になっているわけです。
<鉄鉱石の地層>
 カナダにある鉄鉱石の厚い地層が先カンブリア紀のものであることが明らかになりました。他の地域でも、鉄鉱石の厚い層が同じ時代のものであることがわかっています。しかし、鉄鉱石のほとんどが誕生したのは、それよりもはるか昔、地球上に酸素が誕生した時代で、火山から発生したガスによる酸化が原因だったはずです。
 ではなぜ今から5億年ほどの昔に一時的とはいえ大量の鉄鉱石が生まれることになったのでしょうか?
 それは、大量の氷河が解けることによって、氷の中の鉄分が解けだして空気と触れて酸化、これが鉄鉱石を生み出したと考えれば納得できます。ということは、世界中で膨大な氷河が解ける時代があったことになるわけです。これもまた「スノーボール仮説」の根拠のひとつになりました。
<ミハイル・ブディコ>
 当然、簡単に新しい理論が受け入れられるわけはなく「スノーボール仮説」に対する否定的な意見も当然ありました。
 1960年代にロシアの気象学者ミハイル・ブディコは、「スノーボール仮説」を元に実際に地球が氷に覆われた場合をシュミレーション。地球がどうなるのかを予測しましたが、それによると一度凍りついた地球はそのまま永久に凍りついてしまい、回復することはないという結果がでてしまいます。そうなると、現在の地球のような季節のある環境は生まれなかったはずです。
 この考えに対して、ジョー・カーシュヴィンクは、火山の噴火による解決策を提示しています。ある時期に地球全体で火山の大規模な噴火が起こり、それにより大気中の二酸化炭素が急上昇し、温室効果による気温の上昇が進み、それによって地球を覆っていた氷が急激に解けだしたと考えたのです。(今や人類は自分たちの手でそれをやろうとしているのですが・・・)

<生命のいない不毛の地球>(ポール・ホフマン)
 1990年代、「スノーボール仮説」の完成者ともいえる人物、アメリカ人の地質学者ポール・ホフマンが登場します。彼が1998年8月、「サイエンス」に発表した「全地球凍結仮説」こそ、「スノーボール仮説」の決定版といえるものでした。
 彼は南アフリカのナミビアで先カンブリア紀の地層の調査を行っていて、アイスロックを含んだ炭酸塩岩の地層に遭遇。これまで、行われてきた過去の研究結果を知り、興味をもち始めます。そこで、より詳細にその地層の地質年代を調べるために、炭酸塩岩に含まれる炭素の同位体を調べました。すると同位体のうち炭素12という軽い同位体に比べると重い方の炭素13の割合が少なすぎることが明らかになりました。海水中でできたはずの炭酸塩岩なら、海水中のバクテリアが炭素12を取り込むはずなので、炭素13が多いはず。ということは、アイスロックが生まれた時代、生物はそこにほとんどいなかったということになるのです。これは、地球が氷づけになっていた証拠となるだろう。そう彼は考えたのです。
<幻のロディニア大陸>
 一時は「スノーボール仮説」の敵側だったプレートテクトニクス理論は、その後「スノーボール仮説」の重要な味方となります。ポールは、地球が「スノーボール」となった原因に当時の大陸の配置があったと考えたのです。現在とはまったく異なる陸地の配置が重要な意味を持つ理由をご説明します。
 現在の大陸の元になった巨大大陸パンゲア以前、まったく異なる大陸が太平洋の南半球側に存在していたという説があります。このロディニア大陸と名付けられた幻の超大陸は、太陽光がより多く当たる赤道付近に存在し、南北両極は海になっていました。陸地は海に比べて太陽光を反射する率が高く、その分、太陽エネルギーは宇宙に逃げてしまうことになりました。当然、地球の温度は、現在よりも低くなり、それがきっかけとなって全地球凍結という状況が生まれたと考えられます。(10億年から7億年ぐらい前のこと)
 さらにこの時のロディニア大陸の周辺の海において、「カンブリア紀の大爆発」以前に繁栄したことがわかってきたエディアカラ生物群が登場したとも考えられます。

<炭酸塩岩誕生の理由>(ダン・シュラグ)
 ポールとハーバード大学のダン・シュラグもまたポールと共に研究を行っていました。彼は、スノーボール仮説にとって重要な存在である炭酸塩岩がなぜその時代に多量に存在したのか?についての研究を行っていました。
 スノーボール状態だった地球で、前述のような火山活動などによる急激な温度上昇が始まったとすると、急激な気候変動が起き、地球上では巨大なハリケーンが多発するようになったはずです。するとその時に降る雨は、二酸化炭素を多量に含み、いつの間にか海は巨大なコカコーラのプールになっていたはずです。水中に崩れ落ちた岩のまた炭酸を多量に含み、それが積み重なってできたことで、巨大な炭酸塩岩の地層が生まれたと考えられるわけです。

<地磁気の逆転の記憶>(リンダ・ソール)
 スノーボール仮説の問題点を指摘しようとしていた地質学の研究者リンダ・ソールは、南オーストラリアで採取したアイスロックの磁場を調べていて、その中に磁場が逆転した跡を見出しました。磁場の逆転現象は地球上で過去に何十万年に一度は起きていて、その原因は未だに不明です。もし、磁場の逆転現象がその岩に記録されているのなら、その間の何十万年の間その岩はその場所を動いていないことになります。彼女が発見した中には、7回もの逆転現象が記録されているものまでありました。それだけの長い期間、赤道付近にあったアイスロックが動いていないとすれば、そこはやはり氷に覆われていたと考えるべきでしょう。

<氷の地球に季節があった?>(ジョージ・ウィリアムス)
 ジョージ・ウィリアムスは、オーストラリアのマウント・ガンソン地域の地層を調査していて、かつて赤道付近にあった地域のはずのその場所に季節の変動を発見します。
 その場所の砂岩層に岩が楔形にめり込んだ模様を見つけた彼は、それが氷結していた砂岩層が解けた時に岩が食い込んだものだと考えます。さらに詳細にその模様を調べると、その楔形の模様は繰り返されていることもわかってきました。ということは、その地域の気候は赤道付近でありながら、氷結と融解を繰り返していたことになるわけです。
 なぜ、氷漬けだったはずの赤道で季節が存在していたのか?それに対する、彼の考え方は、地軸の傾きを原因とみるものでした。地球に季節があるのは、地軸が傾いているために、365日の間に太陽の当たる面に傾斜が生まれ、日当たりの違いを生むからです。もし、地軸が今とは異なり北極と南極が赤道に当たる地域になっていたら?赤道地域が氷に覆われても不思議はないはず。そう考えました。これは「スノーボール仮説」に疑問を示し、新たな案を提出するものでした。

<分厚すぎる炭酸塩岩>(マーティン・ケネディ)
 マーティン・ケネディは、カリフォルニアのデスバレーにある厚さ3キロに及ぶアイスロックを含む炭酸塩岩の層を発見し衝撃を受けます。こんなに厚い地層を作り上げるには、数百万年は必要なはず。しかし、急激に氷が解けたといわれるスノーボール時代の終わりがそんなに長いはずはない。ということは、スノーボール仮説そのものに問題があるのではないか?彼はそう考えました。
 さらに彼はその地層の中の炭酸塩岩の中の炭素同位体を調べました。すると、その炭素同位体は、ほとんどが生命の存在を示す重いものでした。ということは、そこには生物が数多く存在していたことになります。やはり、その時代の地球は氷に覆われた不毛の地ではなかった、と彼は考えるようになりました。これも、「スノーボール仮説」に対する否定の理由のひとつになりました。
<ポールの反論>
 マーティンの上記の指摘に対して、ポールの反論は苦しいものでした。それは、調査が行われた地層はそれ以前にできた岩が砕けて、アイスロックとともに混じったものだったのかもしれないというものでした。それならば、生命が存在していた過去の時代の炭素同位体が混じる可能性もあるでしょう、というものでした。
 さらに凍結時代の地球大気をシュミレーションし、詳細な計算を行うと生物がいなかったとしても充分高い数値の重い同位体数値になることがわかりました。なぜなら、この時代のCo2濃度は今よりはるかに高かったからです。これで、炭素同位体が重かった理由は説明できそうでした。
 しかし、炭酸塩岩の3キロにも及ぶ分厚い地層ができた理由についての説明はできませんでした。

<気象モデルによる氷の地球>(ジム・ウォーカー)
 アメリカ、ミシガン州の気象学者、ジム・ウォーカーは、スノーボール仮説に基づいて、地球が凍りついた状態に気候モデルを作り、その変動のシュミレーションを行いました。それによると、凍りついているはずの赤道地域でも夏には0℃を越える時期があったことがわかりました。そのほとんどが氷になってしまったため、海という温度の緩衝装置を失った地球では、冬と夏の気温差は30℃はあったと考えられます。(当時は大陸の位置も形もまったく違い、陸地は赤道付近に集中していて、南北の極地は海でした)
 この説に基づけば、スノーボール仮説による地球でも赤道で氷が解ける現象はあり得たことになります。そして、場所によっては、分厚い炭酸塩岩の地層ができる可能性もあったと考えられます。

<分子時計による多細胞生物の誕生>(ケヴィン・ピータースン)
 ニューハンプシャー州のダートマス大学のケヴィン・ピータースンは、分子時計によって生物の祖先をさかのぼり、生物がどの時点で誕生したのかを調査しようと考えました。そのために、彼は化石の年代がはっきりしている棘皮類(ウニ・ヒトデ)のDNA変化を追跡。すると、すべての多細胞生物の共通の祖先が登場した年代は、およそ7億年前という結果が得られました。
 なんと、この数字は、ポールが算出していた地球凍結時代の終わりの時期とピタリと一致していました。
(ここでいう分子時計による計算方法というのは、DNAの変化を発見された同種の生物の化石データに基づいて調べ、それを並べてみるとDNAの変化が時の流れのように刻まれているので、それを元にデータの存在しない時代のDNAを予測することが可能になります。そうやって、過去へ過去へとさかのぼるとその生物が誕生した時期をある程度は推定できるわけです)

<半解けスノーボール仮説>
 気候モデルの研究者たちは、進化したコンピューターを用いてより詳細に凍結時代の地球環境をシュミレーション。しかし、どうしても地球全体が凍りついた状態を生み出すことはできなかったようです。もしかすると、スノーボールは完全な氷ではなく、部分的には海が存在し続けていたのかもしれません。
 生物学者の研究によると、氷が解けていたそのわずかな地域だけでも十分に生命は生態系を作りだすことは可能だと考えられるといいます。そして、ということはその地域に特化した様々な生物が生き続けていたとも考えられます。そうした避難所的な場所が1000程度あれば十分に生物は生き残ることができ、その後、氷が解けさえすればそれは再び繁栄することが可能だったのです。
 現在では、当初の「スノーボール仮説」ほど完璧に地球が凍りついていたとは考えられなくなりつつあるようです。

<「カンブリア紀大爆発」の原因>
 「スノーボール仮説」では、「カンブリア紀の大爆発」は地球の凍結が終わったことから始まった、と論じています。では、それはなぜなのでしょうか?それには様々な理由が考えられます。
(1)生態系のリセット
 地球の生態系において、長くバクテリアのような単純な肉食生物がその頂点に君臨し続けていました。その構造を崩すほどの生物が現れず、その生態系はそのままでは崩れなかったかもしれません。全地球の凍結はそうした生態系の構造を一時リセットすることになり、生態系の頂点に立つ上位生物が絶滅したことで、多様な生物が登場するチャンスが生まれたと考えられます。
(2)環境変化への適応
 凍結から解凍へ、気候の急激な温暖化は、様々な異常気象を発生させました。氷が解けだすことにより、海が急激に広がり、すべての環境が大幅に変化。こうして生まれた様々な環境に適応するには、そうした変化に対応できる多細胞生物の登場を促すことになったと考えられます。
(3)二酸化炭素の増加により植物(藻類)が育つ条件が揃い、それによって酸素が急増。生物が用いることができるエネルギーが増えたことで、より複雑な多細胞生物が生まれる進化の速度が速まることになりました。
(4)氷によって隔てられた空間で、それぞれの場所に応じたDNAをもつ集団が加速度的、集中的に世代を重ねて、それぞれが独自の進化を遂げることが可能になったと考えられます。

<エディアカラ生物群>
 現在では、「カンブリア紀」の以前、「先カンブリア紀」(6億年から5億5千年前ごろ)にすでに「カンブリア紀の大爆発」に匹敵する生物相の多様化が進んでいたことが明らかになっています。エディアカラ生物群の発見はその重要な証拠となるものでした。そうなると、地球の凍結は「カンブリア紀の大爆発」ではなく「エディアカラ生物群」の多様化の原因だったと考えるべきかもしれません。では、エディアカラ生物群とカンブリア紀に登場した生物群の大きな違いは何か?それは、カンブリア紀の生物群はエディアカラ時代に生まれた生物たちが持っていなかった鎧のような硬い殻を持っていたことです。
 ではなぜ、彼らはそうした殻を持つようになったのか?それについては、もうひとうの大発見ともえいる「眼の誕生」による急激な進化説というものがあります。そちらも参考していただきたいと思います。
 まだまだ科学の世界では大発見が登場するでしょう。最高のSF小説よりも夢があってスケールの大きな「新学説」に今後も注目したいと思います。

「スノーボールアース Snowdall Earth - 生命大進化をもたらした全地球凍結 -」 2003年
(著)ガブリエル・ウォーカー Gabrelle Walker
(監)川上紳一
(訳)渡会圭子
早川書房 

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