伝説となったファンク&サルサ・イン・アフリカ

ドキュメンタリー映画「ソウル・パワー Soul Power」

- ジェームス・ブラウン、ファニア・オールスターズ・・・・-
<伝説のライブ・パフォーマンス>
 このドキュメンタリー映画は、1974年に開催されたザイールの首都キンシャサでの音楽フェスティバル「ザイール74」を撮影した作品です。そもそもこの音楽フェスは、後に「キンシャサの奇跡」と呼ばれることになる20世紀最大のボクシング試合モハメド・アリVSジョージ・フォアマン」の前夜祭として企画されたイベントでした。(ただし、ジョージ・フォアマンが試合前に怪我をしてしまい、タイトルマッチはこのコンサートの6週間後にずれ込むことになりました)
 アメリカを代表するやり手のプロモーター、ドン・キングは、3日間に及ぶ大規模なブラック・ミュージックの祭典へとスケール・アップし、それを世界的なイベントにしたのでした。ところが、今までのその映像はほとんど見ることができずにいました。そんな貴重な映像が、1時間半ほどの短縮版とは言え、見られるのです!特にジェームス・ブラウンやファニア・オールスターズなどは、撮影時、まさに黄金時代を迎えていただけに実に貴重な映像です。
 70年代半ばの時代の空気感や現地アフリカの人々の姿と共に、様々なアーティストたちの素晴らしいパフォーマンスをお楽しみ下さい!

<なぜキンシャサ?>
 そもそもなぜ、モハメド・アリとジョージ・フォアマンによる世紀のタイトルマッチが、アメリカではなくザイールの首都キンシャサで行われたのか?
 現在コンゴ民主共和国と呼ばれている国、当時のザイール共和国は、1971年にコンゴ共和国から名前を変更したばかりでした。そこは1960年にベルギーの植民地から独立した中央アフリカの大きな国で、初代首相はアフリカの偉人の1人パトリス・ルムンバでした。
 当初は時代の流れもあり、素直に独立を認めたベルギーでしたが、豊かな鉱物資源を諦めきれず、再び軍事力による併合を狙っていました。それに対し、軍事力では対抗できないザイールは国連に救済を求めますが支援を得ることができなかったため、仕方なくソ連に援助を要請します。こうした第三世界における内戦の米ソの代理戦争的な構図は、今も昔もそう変わりません。(ただし、かつてのソ連に代わり、最近は中国が第三世界の国々と救済役になる場合が多いようですが)こうしてルムンバがソ連に接近する動きをみせたことは、アメリカ政府に危機感をいだかせることになりました。新たな共産主義国家誕生の可能性もあったからです。そこでCIAはルムンバ政権を倒すための工作を開始。1965年に軍事クーデターを起こさせ、軍の参謀長ジョゼフ・デジレ・モブツを独裁者の地位につけます。
 モブツはアメリカの傀儡政権として、独裁政治を開始。国名をザイール共和国に改め、その後、32年の長きにわたり、国を支配しながら私腹を肥やし続けることになります。そして、自らを神のごとき英雄に仕立て上げるため、壮大なイベントである世紀のタイトルマッチを開催する案を受け入れたのでした。もちろんそのイベントにかかる巨額の費用も、国民の税金から支払われることになります。
 モブツ政権は、その後、国内の鉱物資源を掘りつくすと、経済的に崩壊。さらに1980年代にはソ連の崩壊が始まり、経済的な支援も得られなくなります。そんな状況下で、隣国ルワンダで悲劇的なジェノサイドが始まり、その影響でモブツはついに政権を追われることになります。

<アフリカン・ポップへの影響>
 このライブがこの後のアフリカン・ポップに与えた影響は非常に大きなものでした。
 ジェームス・ブラウンの人気は、それ以前にもアフリカでライブを行ったこともあり、すでに圧倒的でした。フェラ・クティは、その影響を直接的に受けたミュージシャンで、地元の音楽ハイライフとファンクを融合させた「アフロ・ビート」を生み出し、1970年代半ばに次々にアルバムを発表。世界的な注目を集めることになります。
 パパ・ウェンバは、このライブをに見来て、ファニア・オールスターズのライブで「音楽バンザイ! Viva La Musica ヴィヴァ・ラ・ムジカ!」のフレーズに感動。自らのバンドの名前を、ヴィヴァ・ラ・ムジカムジカとして、1976年にデビューし、その後、ザイールを代表するバンドとして、世界的な存在となり日本にも来ることになります。ちなみに、そんなパパ・ウェンバの先輩と言えるザイールのポップス「リンガラ」の大人気ミュージシャンがこのライブにも登場しているタブ・レイで、さらにその上を行く大物がO・K・ジャズを率いるフランコでした。
 なおこの時のファニア・オールスターズのライブ・パフォーマンスはレコード化されていて、アルバム「Fania All Stars In Africa」として1986年に発売されています。素晴らしい演奏が収められているので探してみて下さい!

<演奏された曲>
曲名  演奏  作曲  コメント 
「Soul Power」  ジェームス・ブラウン&The J.B.'s
James Brown & The J.B.'s 
James Brown 1971年全米29位
「Bakobosana」  Lita Bembo & Les Stukas Lita Bembo  
「I'll Never Let You Break My Heart Again」 "Sweet"Charles Sherrell
& The J.B.'s
Fred Wesley
Chales Bobbit
 
「One Of A Kind (Love Affair)」  ザ・スピナーズ
The Spinners 
Joseph B.Jefferson  フィ―リー・ソウル
1976年全米11位
「Simba Nkeni」  フランコ&OKジャズ
OK Jazz feat. Franco 
Francois "Franco"
Luabo Makiadi
ザイールを代表する
リンガラ・ポップの大御所 
「Hope She'll Be Happier」  ビル・ウィザース
Bill Withers 
Bill Withers 1971年のアルバム
「Just As I Am」収録
「The Click Song」  ミリアム・マケバ
Miriam Makeba 
The Manhattan Brothers 南アフリカから追放され米国で活動
1967年のシングル
「Pata Pata」は全米12位
「On And On」 シスター・スレッジ
Sister Sledge 
カーティス・メイフィールド
Curtis Mayfield
フィラデルフィアのソウル・コーラス
1979年「We Are Family」全米2位
「Thrill Is Gone」  B・B・キング
B.B.King 
Rick R. Darnell
Roy Hawkins
エレクトリック・ブルースの大御所
1970年全米15位
「Put It Where You Want It」  ザ・クルセイダーズ
The Crusaders 
ジョー・サンプル
Joe Sample
1970年代に大活躍
フュージョンバンドの最高峰
「Quimbara」  セリア・クルーズ&
ザ・ファニア・オールスターズ
Celia Cruz & The Fania All Stars
Junior Cepeda 「サルサの女王」&
サルサのオールスターバンドの共演
「Ponte Duro」  ザ・ファニア・オールスターズ
The Fania All Stars 
ジョニー・パチェーコ
Jonny Pacheco
最高のグルーブが展開される曲
鳥肌もののパーカッション炸裂!
「Bonjour L'afrique」  ビッグ・ブラック Big Black  Big Black   
「Seli-Ja」  タブ・レイ・ロシュロー
& アフリカ・インターナショナル
Tabu Ley Rochereau
& L'Africa International 
Tabu Ley Rochereau フランコの後継者
リンガラ・ポップの大人気バンド
「Pay Back」  ジェームス・ブラウン&The J.B.'s
James Brown & The J.B.'s  
James Brown
John H.Starks
Fred Wesley
1974年全米26位
「Cold Sweat」  ジェームス・ブラウン&The J.B.'s
James Brown & The J.B.'s 
James Brown
Alfred James Ellis
1967年全米7位
「I Can't Stand Myself(When You Touch Me)」 ジェームス・ブラウン&The J.B.'s
James Brown & The J.B.'s  
James Brown 1968年全米27位
「Say It Loud(I'm Black And I'm Proud)」  ジェームス・ブラウン&The J.B.'s
James Brown & The J.B.'s  
James Brown
Alfred James Ellis
1968年全米10位
「Same Beat」  ジェームス・ブラウン&The J.B.'s
James Brown & The J.B.'s   
James Brown  

ザ・スピナーズ The Spinners>
<このライブのメンバー>
Henry Fambrough , Billy Henderson , Pervis Jackson , Bobbie Smith , Phillippe Wynne

ザ・ファニア・オール・スターズ The Fania All Stars>
<このライブのメンバー>
ジョニー・パチェーコ Johnny Pacheco(Flute,Musical Director)
ラリー・ハーロウ Larry Harlow(Piano)
ボビー・バレンティン Bobby Valentin(Bass)
ニッキー・マレロ Nicky Marrero(Timbales)
レイ・バレット Ray Barretto(Congas)
ロベルト・ロエーナ Roberto Roena(Bongos)
ルイス・ペリーコ・オルティス Louis "Perico" Ortiz(Trumpet)
ヴィクター・パス Victor Paz(Trumpet)
ルイス・カーン Lowis Kahn(Trombone)
パピ・レガレッタ Pupy Legarreta(Violin)
ヨモ・トロ Yomo Toro(Cuatro)
チェオ・フェリシアーノ Cheo Feliciano(Singer)
エクトル・ラボー Hector Lavoe(Singer)
イスマエル・ミランダ Ismael Miranda(Singer)
イスマエル・キンターナ Ismael Quintana(Singer)
サントス・コローン Santos Colon(Singer)
セリア・クルス Celia Cruz(Guest Singer)



「ソウル・パワー Soul Power」(ドキュメンタリー映画) 2010年
(監)(製)ジェフリー・レヴィ=ヒント Jeffrey Levy=Hinte
(製)デヴィッド・ソネンバーグ、レオン・ギャスト
(編)デヴィッド・スミス
(出)フレッド・ウェズリー、メイシオ・パーカー(JB’sメンバー)、モハメド・アリ
ドン・キング(アリのマネージャー、プロモーター)、スチュワート・レヴィン(フェスのプロモーター)、ロイド・プライス(フェスのプロモーター)
ヒュー・マセケラ(フェスのプロモーター)、マヌ・ディバンゴ他ミュージシャンたち

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