ワインとチーズで至福の時を

- ワイン&チーズ Wine & Cheese -
<ワイン>
 最近は夜、一人で部屋で映画(DVD)を見ながらワインを飲むことが多くなりました。もちろん高いワインではなく安いワインばかりなので、味へのこだわりはほとんどありません。ただし、以前何度か唎酒大会に参加した時、日本酒、ビール、ワインなどで結構いい成績を収めたことがあり、舌にはちょっと自信があります。とはいえ最近めっきり飲めなくなってしまったのですが・・・。奥の深い料理についてのドキュメンタリー番組を見るのはけっこう好きです。
 先日、立花隆さんの本を読んでいたら、フランスのワインの産地を巡る旅のエッセイが掲載されていました。それもあの田崎さん(ソムリエ世界一になる前)と一緒の旅でした。その中にワインについての基本的な味わい方、種類の説明などが書かれていたのでその部分をまとめてみます。ただし、1984年に書かれたものなので、情報的に古くなっている部分もあるかもしれません。そこはご容赦を。あくまでも味わい方の参考になればと思います。たまに良いワインを飲むとやっぱり違いますが、その違いはどこにあるのか?
 さらに「ワイン」のお供にぴったりの「チーズ」についても書いてあったので、ご参考に!
 この中で立花さんがワインとチーズについて書いていた1980年代に比べれば、今や日本はワインもチーズも世界に誇れる名品を生み出せる国なっています。思えば、立花さんや田崎さんのような方がこうして旅をしながら学んできたことが日本中に影響を与えた結果ともいえそうです。時代は変わりますね。

<ワインのラベル表記>
(1)ワインの名称
(2)原料となっているブドウの原産地名
(3)AOCワインであることの表記
「AOC」とは、「原産地名表示統制」(Appellatiion d'Origine Controlee)のこと。
 法律によって厳密に規定されている地名(250以上)の中から選択して表記。同じ原産地名でも銘柄はまた別。同じ原産地でもそれぞれのシャトーが独自の名前を決めています。
(4)ワインを瓶詰めした責任者
 (A)ブドウ園が自分で瓶詰めする場合(シャトー、ドメイヌと呼ばれます)
 (B)ブドウの買い付け業者が瓶詰めする場合(ネゴシアントと呼ばれます)
(5)アルコール度数
(6)フランス産であること(輸出向け)
(7)容量

<ワインの味とは?>
 ワインの味はどうやって決まるのでしょうか?もちろんブドウの品種の違いによって味は大きく違います。しかし、ブドウの品種が同じでもワインの味は様々に変化します。その違いはどこから生まれるのでしょうか?
「ワインの味は、太陽と大地を味わうことである」という言葉があります。
 原料となるブドウが育った土地が地質学的にどういう地層から形成されているのか?
 土壌の成分はどうなっているのか?
 含まれているミネラルの特徴は?
 その畑は水利的にどんな場所にあるのか?
 その地域の気象条件は?日照条件は?
 これら様々な条件を考えると、同じ土地はまったくなく、同じ畑でも場所によっては違う味のブドウができて当然なのです。
 だからこそ、ワインの味は畑に照る太陽と日差しを浴びる土によって決まると言えるのです。

「美女はいかにして生まれるか。自然のミステール(神秘)だ。それと同じだよ。たとえば、ロマネ・コンティ。あのワインはやはりブルゴーニュが最高だが、あの味はどこから生まれるのか。なぜ、数メートルしか離れていない隣の畑のワインは味がちがうのか。誰も本当のところは、よくわからない。地質が微妙にちがう。あそこの土の中の何かの鉱物の作用らしい。それに表土の深さ、表土の下の礫層の石の大きさ、土の温度、風の流れ、そういったあらゆる要素が作用してああいうワインが生まれる。美女を生むいくつかの要因は分析できるが、トータルにはわからない。結局、自然のミステールなんだよ」
シャンベルタン村のドメイヌ、ルイ・トラぺ

<ワインの味わい方>
<目で味わう>
 先ず、大きめのワイングラスに注いで、それを光にかざして見ます。色の表現法だけで何十種類もの表現があります。
 例えば、「タマネギのような赤」、「ガーネット(宝石)のような赤」のような表現があります。
 さらに色の他にも、透明度、微小な浮遊物、オリの状態などもチェックします。
 グラスを傾けて、グラスの壁に残ったワインの戻り具合から粘性をチェックします。ワインの成分にグリセリンが多いと粘性が高く、油ぽく見えるようです。

<鼻で味わう>
「香りの第一撃」
 先ずは、グラスから自然に立ちのぼるワインの匂いを静かに嗅いでみます。それで静かに立ちのぼる揮発性の高い成分の香りをチェックします。
「香りの第二撃」
 ワインを温めないようワイングラスの脚の部分をもって、グルグルと回します。そうすることでワインの香りを際立たせます。それにより、ワインの中の様々な成分が刺激され、そこに含まれている成分の特徴が明確になります。
 ソムリエ・コンクールでは、この時、どれだけ多くの特徴を嗅ぎ分け、それを言葉で表現できるかが重要な判定ポイントになります。味わうだけではなく、言葉によってその違いを表現できる言葉の能力を持っている「詩人」のような能力も求められるのです。そして、その表現に必要な言葉のストックをいかに多く持つかもまた重要となります。
<香りを表現する言葉>
<花の香り>
 スミレ、ジャスミン、クローバー、カーネーションなど。
<果物の香り>
 リンゴ、ラズベリー、イチゴ、アプリコットやアーモンド、ナッツ類など。
<動物由来の香り>
 じゃ香、リュウゼン香、皮革の匂い、シカ肉の匂い、テンの毛皮の匂い、山しぎの匂いなど。
<スパイス・薬品の香り>
 ペパー、シナモン、クローブ、樟脳、ヨードなど。
<その他の香り>
 干し草の匂い、堆肥の匂い、こげたトーストの匂い、煙草の匂い、煤煙た煤の匂い、火打石の匂いなど。

<口で味わう>
 ワインを一口含んで、舌の上でころがします。舌触りを試します。舌をワインの中で動かして、場所によって感じ方が異なる舌のあちこちでワインを味わいます。さらに口の中に空気を吸い込んで、その空気を口の中のワインに通し、ゴボゴボさせます。そうすることでもう一度ワインの様々な香りを口の中に満たし、味と香りの融合を感じます。ここでチェックするのは、甘さ、辛さ、酸っぱさ、苦さ、渋さなどの味覚です。
 ボディやコク、舌触りのなめらかさ、粗さ、バランスの良さ、熱っぽさ、官能性、攻撃性、さわやかさ、品の良さなど。
<ボディとは?>
 主に赤ワインに使用する言葉です。(白ワインにも使われることはありますが)
 「重厚」「コクがある」「ふくよか」といった印象のものを「フルボディ」と言います。それに対して、「フレッシュ」「軽め」が「ライト・ボディ」と言います。その中間が「ミディアム・ボディ」です。
 「ボディ」の決め手は、ワインのアルコール度数、ポリフェノール類の違いと言われます。アルコール度数が高いほど、コクが強く「フルボディ」タイプとなります。ただし、アルコール度数が低くても、コクのあるワインの場合もあります。ポリフェノールとはアントシアニンやタンニンなどの総称で、ブドウの果皮や種子に由来します。タンニンが多いワインは重量感があり「フルボディ」となります。

<チーズ>
 ワインのお供といえば、やはり「チーズ」でしょう。だからこそ、フランスはワインだけでなくチーズ大国でもあるのです。今や日本でも素晴らしい味のチーズが作られるようになり、北海道はその中心地になりつつあります。とはいえフランスはチーズ王国です。その種類の多彩さと質の高さはフランスという国がヨーロッパ随一の農業国だからこそ可能なのかもしれません。
<チーズの主な種類>
 パリにあるヨーロッパ最大の食品市場ランジスで取り扱われているチーズの取扱量ランキングより。
カマンベール(25000t)(カマンベールはフランスのノルマンディー地方にあるカマンベール村発祥のチーズ)
エメンタール(12000t)(スイス中央部エメン渓谷が発祥のチーズ)
ブリー(5000t)
ブルー(4000t)(ロックフォールが900t)(ブレス地方産はブル・ド・ブレス、オーベルニュ地方産はブル・ドーベルニュなどと呼びます)
シェーブル(3800t)
その他のチーズとして、クロミエ、ポン・レベック、カンタルがそれぞれ1000t程度。サン・ポーラン、ルブロション、フレッシュチーズなどがあります。

<ヨーロッパ各国のチーズ>
デンマーク(ダナブルー、ダンボー)
オランダ(ゴーダ、エダム)
イギリス(チェダー、スティルトン)
ドイツ(ブルー・ブリー、ハルツ)
スイス(エメンタール、グリュイエール)
スペイン(カブラレス、マンチェゴ)
イタリア(パルジャミーノ・レジャーノ、ゴルゴンゾーラ、モッツァレラ、マスカルポーネ、リコッタ)

<チーズの製法>
(1)牛乳の中に凝固剤レンネットを入れます。(レンネットは牛の第四胃にある酵素)
(2)レンネットによって固まった牛乳はカードと呼ばれます。柔らかな豆腐状のカードを細かく裁断すると水分がぬけて固形分が残ります。こうしてできた脂肪と無脂肪固形分の塊はフレッシュ・チーズとして呼ばれます。
(3)フレッシュ・チーズを集めて型に入れてプレスし、さらに水分を取り除きます。それを塩水に数日間漬けこんだ後、空気中で数週間から数年熟成させます。熟成中は、定期的に反転させたり、雑菌がつかないように処理を行います。

 オランダやデンマークのような乳製品を大量に輸出している国々では、様々な種類のチーズの製造工程をオートメーション化して、大量生産し低価格で世界中に輸出しています。
 イタリア北部レッジョ・エミリア発祥のパルメザン(ペルミジャーノ・レジャーノ)は、1個35キロもある大型の塊として生産され、1年半から3年熟成されますが、大量のチーズを寝かせる設備や待ち時間に多額の費用を要します。そこで多くの製造業者はそれ以降の工程を銀行に委託するという方法をとってきました。
 最も大きな塊として生産されるのがスイスのエメンタールです。一つの塊が80キロもあるチーズは、チーズ・フォンデュに使われます。
 ブルー・チーズの代表的存在のロックフォールは羊の乳を使った青かびチーズです。羊の乳は牛乳よりも脂肪分が多いが貴重なので高額になります。(牛乳の4倍程度)天然の洞窟を使って4か月間かけて熟成させます。 


<参考>
「思索紀行 ぼくはこんな旅をしてきた」
 2004年
(著)立花隆
書籍情報社

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